説明

車輪止め装置及び車両

【課題】車両の不用意な動きを容易に防止できる車輪止め装置を提供する。
【解決手段】車輪止め装置10は、車両に固定された取付枠50に取り付けられている。車輪止め装置10は、地面Gと車輪52の隙間に形成された禁止位置54に配置されて車輪52の回転を禁止する回転禁止部材12を備えている。この回転禁止部材12は楔状のものであり、移動機構20によって、車輪52の回転を禁止しない非禁止位置及び禁止位置54双方のいずれかの位置に選択的に移動させられる。移動機構20は、その先端部32aに回転禁止部材12が着脱自在に取り付けられたシリンダシャフト32を有するシリンダ30を備えている。シリンダ30の後端部は、シリンダシャフト32の伸縮に伴って回動できるようにブラケット14に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が不用意に動くことを阻止できる車輪止め装置、及びこの車輪止め装置を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が駐車中に不用意に動くことを阻止するために、地面と車輪の隙間に楔状の部材を差し込むことがある。特にトラックなどの大型車両が駐車するときは、この楔状部材で車輪の回転を禁止しておくことが安全上から大事である。この楔状部材を地面と車輪の隙間に差し込むとき、及び抜き取るときは通常、運転手が車両から降りて所要の動作を行っている。このような動作は雨の日などは厄介な作業となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記事情に鑑み、車両の不用意な動きを容易に防止できる車輪止め装置、及びこの車輪止め装置を備えた車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明の車輪止め装置は、
(1)地面と車輪の隙間に形成された禁止位置に配置されて前記車輪の回転を禁止する回転禁止部材と、
(2)前記車輪の回転を禁止しない非禁止位置及び前記禁止位置双方のいずれかの位置に選択的に前記回転禁止部材を移動させる移動機構とを備えたことを特徴とするものである。
【0005】
ここで、前記移動機構は、
(3)その先端部に前記回転禁止部材が着脱自在に取り付けられたシリンダシャフトを有する、車体に固定されたシリンダと、
(4)前記回転禁止部材が前記非禁止位置から前記禁止位置に移動するように前記シリンダシャフトを案内する案内ロッドとを備えたものであってもよい。
【0006】
さらに、前記移動機構は、
(5)前記シリンダシャフトを伸ばしながら前記案内ロッドに案内させることにより、前記回転禁止部材を前記非禁止位置から前記禁止位置に移動させるものであってもよい。
【0007】
さらにまた、
(6)その一端部が前記回転禁止部材に接続された接続部材と、
(7)該接続部材の他端部が接続された、該接続部材を該他端部から巻き取る巻取機構とを備えてもよい。
【0008】
さらにまた、
(8)前記移動機構は、前記巻取機構で前記接続部材を巻き取ることにより、前記回転禁止部材を前記禁止位置から前記非禁止位置に移動させるものであってもよい。
【0009】
さらにまた、
(9)前記シリンダは、油圧で駆動する油圧シリンダであり、
(10)該油圧シリンダに作用する油圧を検知する検知センサを備え、
(11)前記シリンダシャフトの先端部に取り付けられた前記回転禁止部材が前記非禁止位置から前記禁止位置に移動して、前記シリンダシャフトの先端部から前記回転禁止部材が取り外される第1の油圧を前記検知センサが検知したときには、前記回転禁止部材を前記禁止位置に残した状態で前記シリンダシャフトだけが前記非禁止位置に戻るように構成してもよい。
【0010】
さらにまた、
(12)前記禁止位置に位置する前記回転禁止部材に向けて前記シリンダシャフトが移動して、前記シリンダシャフトの先端部に前記回転禁止部材が装着される第2の油圧を前記検知センサが検知したときには、その先端部に前記回転禁止部材が装着された前記シリンダシャフトが前記非禁止位置に戻るように構成してもよい。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の車両は、
(13)上記した移動機構を制御する制御器を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動機構によって回転禁止部材が非禁止位置及び禁止位置双方のいずれかの位置に選択的に移動する。従って、人手によって回転禁止部材を移動させなくても、必要に応じて非禁止位置及び禁止位置双方のいずれかの位置に回転禁止部材を容易に移動させることができる。このため、車両の不用意な動きを容易に防止できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、トラックなどの大型車両に好適な車輪止め装置に実現された。
【実施例1】
【0014】
図1と図2を参照して、本発明の車輪止め装置の一例を説明する。
【0015】
図1は、本発明の車輪止め装置の一例を模式的に示す説明図である。図2は、回転禁止部材とシリンダシャフトの接合部を示す斜視図である。
【0016】
車輪止め装置10は、車両(図示せず)に固定された取付枠50に取り付けられている。この取付枠50は、車両の下部であって車輪52の近傍に固定されている。車輪止め装置10は、地面Gと車輪52の隙間に形成された禁止位置54に配置されて車輪52の回転を禁止する回転禁止部材12を備えている。この回転禁止部材12は楔状のものであり、木製、鋼製、硬質ゴム製などである。回転禁止部材12は移動機構20によって、車輪52の回転を禁止しない非禁止位置(図3(a)に示す位置)及び禁止位置54双方のいずれかの位置に選択的に移動させられる。
【0017】
移動機構20は、その先端部32aに回転禁止部材12が着脱自在に取り付けられたシリンダシャフト32を有するシリンダ30を備えている。シリンダ30の後端部は、取付枠50及びこれに固定されたブラケット14を介して車体(図示せず)に固定されている。シリンダ30の後端部は、シリンダシャフト32の伸縮に伴って回動(所定角度だけ回転)できるようにブラケット14に取り付けられている。
【0018】
シリンダシャフト32の長手方向中央部には、長尺の案内ロッド16の先端部16aが回動自在に固定されている。案内ロッド16の後端部16bは、取付枠50及びこれに固定されたブラケット18を介して車体(図示せず)に固定されている。案内ロッド16の後端部16bは、シリンダシャフト32の伸縮に伴って回動できるようにブラケット18に取り付けられている。案内ロッド16は、回転禁止部材12が非禁止位置から禁止位置54に移動するようにシリンダシャフト32を案内するものであり、その動作については図3を参照して後述する。
【0019】
回転禁止部材12の上部には、チェーン又はロープなどの接続部材40の一端部が接続されている(取り付けられている)。接続部材40の他端部は、この接続部材40をその他端部から順に巻き取る巻取機構42に接続されている。シリンダ30とシリンダシャフト32には、接続部材40を通すための複数個(図1には5個を示す)のガイド部材42が固定されており、接続部材40はこれらのガイド部材42を通ることにより垂れ下がらないようになっている。巻取機構42は、取付枠50のうちブラケット14の上の部分に固定されている。巻取機構42によって接続部材40をその他端部から順に巻き取ることにより、禁止位置54に位置する回転禁止部材12を非禁止位置に移動させることができる。
【0020】
シリンダシャフト32の先端部32aには、図2に示すように、シリンダシャフト32と回転禁止部材12とを着脱自在にするためのロック機構34が固定されている。一方、回転禁止部材12には、ロック機構34を着脱するためのキャッチャ機構36が固定されている。ロック機構34には、このロック機構34をキャッチャ機構36に案内するガイドピン34aが形成されている。ガイドピン34aはキャッチャ機構36のガイドホール36aに差し込まれる。
【0021】
ロック機構34には、このロック機構34をキャッチャ機構36に着脱自在に固定するためのロック34bが4箇所に配置されている。キャッチャ機構36には、4つのロック34bに噛み合うキャッチャ36bが4箇所に配置されている。ロック34bとキャッチャ36bが互いに離れているときに、ロック34bをキャッチャ36bに所定の力で押し付けることにより、ロック34bとキャッチャ36bは強固に固定される。一方、ロック34bとキャッチャ36bが互いに固定されているときに、ロック34bをキャッチャ36bに所定の力で押し付けることにより、固定が解除されてロック34bとキャッチャ36bが互いに離れる。上記のようなロック機構34とキャッチャ機構36は周知のものを利用している。
【0022】
図3を参照して、車輪止め装置10の動きを説明する。
【0023】
図3(a)は、回転禁止部材が非禁止位置に位置するときの車輪止め装置の概略を示す側面図であり、(b)は、回転禁止部材が非禁止位置から禁止位置に移動したときの車輪止め装置の概略を示す側面図であり、(c)は、回転禁止部材が禁止位置に位置すると共にシリンダ等は非禁止位置に位置するときの車輪止め装置の概略を示す側面図である。図3では、図1と図2に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されているが、一部は省略されている。
【0024】
車両の走行中などは、例えば(a)に示すように、移動機構20は、車輪52の回転を妨げない位置(非禁止位置)に位置しており、回転禁止部材12もこの非禁止位置に位置している。車両が駐車しているときは、移動機構20は車輪52の回転を禁止させるために、(b)に示すように、地面Gと車輪52の隙間に形成された禁止位置54に回転禁止部材12を差し込むように動く。この動きを説明する。
【0025】
(a)に示すように非禁止位置に位置する回転禁止部材12を禁止位置54に移動させたい場合、車両の運転席近傍に配置された制御器(図示せず)を制御して(制御器のレバーを非禁止位置から禁止位置に切り替えて)移動機構20を駆動させる。この駆動によって、(a)に示すようにシリンダシャフト32は矢印A方向に伸び始めるが、案内ロッド16が後端部16bを中心にして図での時計方向に回転し始めるので、シリンダシャフト32は伸びながら案内ロッド16に案内されることとなり、(b)に示すように回転禁止部材12は禁止位置54に向かって移動してこの禁止位置に到達する。禁止位置に到達した回転禁止部材12は、車輪52に阻まれて更に奥には進めない。この状態でシリンダシャフト32を更に伸ばすことにより、互いに固定されているロック34bとキャッチャ36b(図2参照)が互いに離れる。続いて、シリンダシャフト32を縮めることにより、(c)に示すように、回転禁止部材12と接続部材40を除く他の部材は非禁止位置に移動する。回転禁止部材12には接続部材40がつながったままであり、この状態では、接続部材40に多少の緩みが生じている。従って、車輪52は回転できない状態に保たれる。
【0026】
回転禁止部材12を禁止位置54から非禁止位置に移動させるには、上記の制御器を制御して(制御器のレバーを禁止位置から非禁止位置に切り替えて)移動機構20を駆動させる。この駆動によって、(c)の状態のシリンダシャフト32はそのままの状態を保つと共に、巻取機構42によって接続部材40をその他端部から順に巻き取る。これにより、(a)に示すように、回転禁止部材12は接続部材40と共に非禁止位置に移動し、シリンダシャフト32の先端部近傍に到達して、ガイドホール36aがガイドピン34aに案内されながらロック34bとキャッチャ36b(図2参照)が互いに固定される。これにより、回転禁止部材12が非禁止位置に保持されるので、車輪52は回転できる状態となって車両を移動できる。
【0027】
上記の例では、非禁止位置を取付枠50の下方にしたが、取付枠50の下面に、回転禁止部材12や移動機構20を保持する保持台などを設置して、この保持台に回転禁止部材12や移動機構20が保持された位置を非禁止位置にしてもよい。また、上記の例では、一つの車輪52について車輪止め装置10を用いた例を説明したが、通常は安全のために、全ての車輪の前後に回転禁止部材12を配置する構成にする。車両としては、トラック、バス、トレーラ、建機などの広範囲の車両に車輪止め装置10を適用でき、これらの車両の特性に応じて適宜の位置に車輪止め装置10を取り付ける。
【実施例2】
【0028】
図4と図5を参照して、本発明の車輪止め装置の他の例を説明する。
【0029】
図4は、本発明の車輪止め装置の他の例を模式的に示す説明図である。図5(a)は、回転禁止部材が非禁止位置に位置するときの車輪止め装置の概略を示す側面図であり、(b)は、回転禁止部材が非禁止位置から禁止位置に移動したときの車輪止め装置の概略を示す側面図であり、(c)は、回転禁止部材が禁止位置に位置すると共にシリンダ等は非禁止位置に位置するときの車輪止め装置の概略を示す側面図である。図4と図5では、図1から図3までに示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。
【0030】
実施例1の車輪止め装置10には、チェーン又はロープなどの接続部材40や巻取機構42が備えられているが、実施例2の車輪止め装置100には、このような接続部材40や巻取機構42は備えられていない。実施例2の車輪止め装置100は、油圧シリンダ130を有する移動機構120を備えている。油圧シリンダ130のシリンダシャフト132の先端部132aには、実施例1の車輪止め装置10と同様に、回転禁止部材12が着脱自在に取り付けられている。また、油圧シリンダ130の後端部は、実施例1の車輪止め装置10のシリンダ30と同様に、取付枠50及びこれに固定されたブラケット14を介して車体(図示せず)に固定されている。
【0031】
取付枠50のうちブラケット14の上の部分には、油圧シリンダ130に供給される油(オイル)が貯められた油タンク134が配置されている。油タンク134に貯められている油は油圧ポンプ(図示せず)によって油圧ホース136を経由して油圧シリンダ130に供給される。この逆に、油圧シリンダ130に供給された油は、油圧ポンプ(図示せず)によって油圧ホース136を経由して油タンク134に戻される。このようなシステムは、周知の油圧シリンダと同様である。なお、油タンク134の近傍には、油圧シリンダ130に作用している油の圧力を検知する油圧検知センサ138が取り付けられている。
【0032】
油圧ポンプは、上記のように、油タンク134から油圧シリンダ130に油を供給するか、この逆に、油圧シリンダ130から油タンク134に油を戻すかのいずれかになるように駆動し、この油圧ポンプを制御する制御器(図示せず)が車両の運転席の近傍に配置されている。この制御器には、非禁止位置に位置する回転禁止部材12を禁止位置に移動させるときに押す禁止位置移動ボタンと、禁止位置に位置する回転禁止部材12を非禁止位置に移動させるときに押す非禁止位置移動ボタンとが備えられている。これら2つのボタンに代えてレバーで操作するように構成してもよい。
【0033】
上記の禁止位置移動ボタン及び非禁止位置移動ボタンのいずれを押しても、油圧検知センサ138によって検知される油圧に基づいて油圧ポンプは駆動する。この駆動について図5を参照して説明する。
【0034】
車両の走行中などは、図5(a)に示すように、移動機構120は、車輪52の回転を妨げない位置(非禁止位置)に位置しており、回転禁止部材12もこの非禁止位置に位置している。車両が駐車しているときは、移動機構120は車輪52の回転を禁止させるために、(b)に示すように、地面Gと車輪52の隙間に形成された禁止位置54に回転禁止部材12を差し込むように動く。なお、非禁止位置として図5(a)に示すように車体の下方を例示したが、移動機構120や回転禁止部材12が車両フレームの内部に入り込むような位置を非禁止位置としてもよい。
【0035】
図5(a)に示すように非禁止位置に位置する回転禁止部材12を禁止位置54に移動させたい場合、上記した制御器の禁止位置移動ボタンを押す。この禁止位置移動ボタンが押されることにより、油圧ポンプが駆動して油タンク134から油圧シリンダ130に油が供給される。これにより、(a)に示すようにシリンダシャフト132が矢印A方向に伸び始めるが、案内ロッド16が後端部16bを中心にして図での時計方向に回転し始めるので、シリンダシャフト132は伸びながら案内ロッド16に案内されることとなり、(b)に示すように回転禁止部材12は禁止位置54に向かって移動してこの禁止位置に到達する。禁止位置に到達した回転禁止部材12は、車輪52に阻まれて更に奥には進めない。この状態でも油タンク134から油圧シリンダ130に油が供給されているが、回転禁止部材12が奥には進めないので、シリンダシャフト132は伸びることができない。このため、油の供給に伴って、油圧シリンダ130に作用している油の圧力が上昇して、互いに固定されているロック34bとキャッチャ36b(図2参照)が互いに強く押されて離れる。これらロック34bとキャッチャ36bが離れるときに油圧シリンダ130に作用している油の圧力(本発明にいう第1の油圧)は予め決まっている。
【0036】
そこで、油圧検知センサ138がこの第1の油圧を検知したときには、ロック34bとキャッチャ36bが離れてシリンダシャフト132の先端部から回転禁止部材12が取り外されたものとし、油圧シリンダ130から油タンク134に油を戻し始めるように油圧ポンプを駆動させる(油圧ポンプを逆回転させる)。このような油圧ポンプの制御は、上記の制御器に予め組み込まれたソフトウエアに基づいて実行される。油圧ポンプが逆回転を開始することにより、回転禁止部材12が禁止位置に残った状態でシリンダシャフト132が縮み始めて非禁止位置に戻る。シリンダシャフト132が非禁止位置に戻ったときは制御器等の電源が切れて、この状態が保たれるようになっている。以上説明したように制御器の禁止位置移動ボタンを押すだけで、回転禁止部材12を禁止位置に移動させて車両の不用意な移動を容易に防止できる。
【0037】
禁止位置に位置する回転禁止部材12を非禁止位置に移動させて車両を移動できるようにするためには、先ず、制御器の非禁止位置移動ボタンを押す。これにより、油圧ポンプが駆動し始めて油タンク134からシリンダ130に油が供給され始める。これにより、図5(c)の状態のシリンダシャフト132が矢印A方向に伸び始めて、(b)に示すようにシリンダシャフト132の先端部が回転禁止部材12に到達する。シリンダシャフト132を更に伸ばすことにより、互いに離れているロック34bとキャッチャ36bが互いに固定される(シリンダシャフト132の先端部に回転禁止部材12が装着される)。これらロック34bとキャッチャ36bが互いに固定されるときに油圧シリンダ130に作用している油の圧力(本発明にいう第2の油圧)は予め決まっている。
【0038】
そこで、油圧検知センサ138がこの第2の油圧を検知したときには、ロック34bとキャッチャ36bが互いに固定されてシリンダシャフト132の先端部に回転禁止部材12が装着されたものとし、油圧シリンダ130から油タンク134に油を戻し始めるように油圧ポンプを駆動させる(油圧ポンプを逆回転させる)。このような油圧ポンプの制御は、上記の制御器に予め組み込まれたソフトウエアに基づいて実行される。油圧ポンプが逆回転を開始することにより、回転禁止部材12と共にシリンダシャフト132が縮み始めて非禁止位置に戻る((a)に示す状態となる)。シリンダシャフト132が非禁止位置に戻ったときは制御器等の電源が切れて、この状態が保たれるようになっている。以上説明したように制御器の禁止位置移動ボタンを押すだけで、回転禁止部材12を禁止位置から非禁止位置に容易に移動させて車両を移動できるようになる。
【0039】
なお、実施例1と同様に、一つの車輪52について車輪止め装置100を用いた例を説明したが、通常は安全のために、全ての車輪の前後に回転禁止部材12を配置する構成にする。車両としては、トラック、バス、トレーラ、建機などの広範囲の車両に車輪止め装置100を適用でき、これらの車両の特性に応じて適宜の位置に車輪止め装置100を取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の車輪止め装置の一例を模式的に示す説明図である。
【図2】回転禁止部材とシリンダシャフトの接合部を示す斜視図である。
【図3】(a)は、回転禁止部材が非禁止位置に位置するときの車輪止め装置の概略を示す側面図であり、(b)は、回転禁止部材が非禁止位置から禁止位置に移動したときの車輪止め装置の概略を示す側面図であり、(c)は、回転禁止部材が禁止位置に位置すると共にシリンダ等は非禁止位置に位置するときの車輪止め装置の概略を示す側面図である。
【図4】本発明の車輪止め装置の他の例を模式的に示す説明図である。
【図5】(a)は、回転禁止部材が非禁止位置に位置するときの車輪止め装置の概略を示す側面図であり、(b)は、回転禁止部材が非禁止位置から禁止位置に移動したときの車輪止め装置の概略を示す側面図であり、(c)は、回転禁止部材が禁止位置に位置すると共にシリンダ等は非禁止位置に位置するときの車輪止め装置の概略を示す側面図である。
【符号の説明】
【0041】
10、100 車輪止め装置
12 回転禁止部材
16 案内ロッド
30、130 シリンダ
32、132 シリンダシャフト
40 接続部材
50 取付枠
52 車輪
54 禁止位置
134 油タンク
138 油圧検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面と車輪の隙間に形成された禁止位置に配置されて前記車輪の回転を禁止する回転禁止部材と、
前記車輪の回転を禁止しない非禁止位置及び前記禁止位置双方のいずれかの位置に選択的に前記回転禁止部材を移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする車輪止め装置。
【請求項2】
前記移動機構は、
その先端部に前記回転禁止部材が着脱自在に取り付けられたシリンダシャフトを有する、車体に固定されたシリンダと、
前記回転禁止部材が前記非禁止位置から前記禁止位置に移動するように前記シリンダシャフトを案内する案内ロッドとを備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の車輪止め装置。
【請求項3】
前記移動機構は、
前記シリンダシャフトを伸ばしながら前記案内ロッドに案内させることにより、前記回転禁止部材を前記非禁止位置から前記禁止位置に移動させるものであることを特徴とする請求項2に記載の車輪止め装置。
【請求項4】
その一端部が前記回転禁止部材に接続された接続部材と、
該接続部材の他端部が接続された、該接続部材を該他端部から巻き取る巻取機構とを備えたことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の車輪止め装置。
【請求項5】
前記移動機構は、
前記巻取機構で前記接続部材を巻き取ることにより、前記回転禁止部材を前記禁止位置から前記非禁止位置に移動させるものであることを特徴とする請求項4に記載の車輪止め装置。
【請求項6】
前記シリンダは、油圧で駆動する油圧シリンダであり、
該油圧シリンダに作用する油圧を検知する検知センサを備え、
前記シリンダシャフトの先端部に取り付けられた前記回転禁止部材が前記非禁止位置から前記禁止位置に移動して、前記シリンダシャフトの先端部から前記回転禁止部材が取り外される第1の油圧を前記検知センサが検知したときには、前記回転禁止部材を前記禁止位置に残した状態で前記シリンダシャフトだけが前記非禁止位置に戻ることを特徴とする請求項3に記載の車輪止め装置。
【請求項7】
前記禁止位置に位置する前記回転禁止部材に向けて前記シリンダシャフトが移動して、前記シリンダシャフトの先端部に前記回転禁止部材が装着される第2の油圧を前記検知センサが検知したときには、その先端部に前記回転禁止部材が装着された前記シリンダシャフトが前記非禁止位置に戻ることを特徴とする請求項6に記載の車輪止め装置。
【請求項8】
請求項1から7までのうちのいずれか一項に記載された移動機構を制御する制御器を備えたことを特徴とする車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−254719(P2008−254719A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130576(P2007−130576)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(390001579)プレス工業株式会社 (173)