説明

軟包装袋及び軟包装袋用吐出装置

【課題】本出願に係る発明が解決しようとする課題は、搾り出し機構の進行方向と軟包装袋とが平行性を保つようコーキングガンへの装填を確実にすること、及び軟包装袋のデッドスペースを小さくし、かつ、ヒート加工を容易にすることである。
【解決手段】【請求項1】粘稠性液体を含有する包装袋から粘稠性液体を搾り出す搾り出し装置であって、前記包装袋の挟持部の中央に少なくとも1本のフックを設けたことを特徴とする搾り出し装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーキング剤(シーリング剤)又は接着剤等の粘稠性液体を収納包装する軟包装袋及び軟包装袋用の吐出装置(コーキングガン)に関する。
【背景技術】
【0002】
容器リサイクル法の施行以降、減容型容器に於ける軟包装袋のクランプ口栓付パウチ、所謂、スパウトパウチ等は各製袋メーカーの樹脂使用量の軽減化を目標に、詰め替え容器として、著しい拡がりをみせているが、それも食料品、日用品、化粧品、医療品の分野に限られ、工業分野には、ほぼ進展が見受けられていない状態である。
【0003】
建築用シーリング材(コーキング剤)の生産推移を見ると、08年以降、減少の傾向が見られることや、食料品、日用品、化粧品、医療品の分野の大手製袋メーカーも、投資額が億単位になることから、手を出し難い状態と推察される。
【0004】
こうした状況の中で、更に進展が見られない理由は、主として建材用途の粘稠性液体であるコーキング剤(シーリング剤)、接着剤等に適応した軟包装袋と、その軟包装袋専用の吐出装置(コーキングガン)がないことにあると考えられる。
技術的には、単なる、三方シール袋であれば、現行の製袋メーカーで制作でき、単なる、コーキングガンであれば、現行の機械メーカーで制作できる。
【0005】
現在の円筒形容器(カートリッジ)とコーキングガンの存在を考えると、両者が一対で初めて価値を生んでいるものであって、単独ではなんの価値もない。
しかしながら、両業種のメーカーからは、それぞれの分野から多くの出願がなされているが、各々別々の領域からの出願のみに終わっている。
これでは、工業分野における、安価で、ゴミとして減容性のある軟包装袋の進展は、考え難いものがあった。
【0006】
軟包装袋の特徴を考えると、様々な優位性が上げられるが、その中でも、フレキシブルであることが上げられる。
しかし、この点は収納された軟包装袋をコーキングガンへ装填する時点での軟包装袋、そして、粘稠性液体を充填する時点での軟包装袋には、大変な困難性も併有している。
かかる軟包装袋とコーキングガンについては、特許文献1及び特許文献2に記載の発明があるが、これらは実際に軟包装袋をコーキングガンに装填する際に、正確に装填(センタリング)することが困難であった。
【0007】
また、粘稠性液体充填後の、ファスナー部のヒートシール加工には以下のような問題があった。
i)軟包装袋の搾り出し装置への装填が困難であること。
ii)軟包装袋が捩れ、軟包装袋に皺が寄ること。
iii)軟包装袋のヒートシール加工部のデッドスペースが広すぎること。
iv)ファスナーのヒートシール加工(要エアー洩れ対策)が困難であること。
v)軟包装袋にファスナー部を設けた場合の排気口処理、加工が困難であること。
vi)ファスナーの糊代部のヒートシール加工が困難であること。
vii)内容物を完全に漏らさない排気口では、充填に時間が掛かり過ぎること。
そこでこれらの問題を解決できる軟包装袋とコーキングガンの開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4251659号公報
【特許文献2】特許第4435852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願に係る発明が解決しようとする課題は、軟包装袋のコーキングガンへの装填位置を明確にし、同時に、搾り出し機構の進行方向と軟包装袋とが平行性を保つようにすること、及び軟包装袋のデッドスペースを小さくし、かつ、ヒート加工を容易にし、更に、充填時間の短縮を計ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書によれば以下の発明が提供される。
(1)粘稠性液体を含有する軟包装袋から粘稠性液体を搾り出す搾り出し装置であって、前記軟包装袋の挟持部に少なくとも1本のフックを設けたことを特徴とする搾り出し装置。
【0011】
フックは少なくとも1本設け、1本の場合は挟持部の中央部分に設置する。これにより、包装袋と搾り出し装置の前面体とが垂直性を取ることができるという効果を有する。好ましくはこの中央の1本に加えて、その両側に、包装袋と搾り出し装置の前面体とが垂直性を取ることができる、2本又はそれ以上のフックを設けてもよい。フックの本数は最も好ましくは3本であるが、片方にのみ1本ないし2本を設置して合計で2本(中央+左右いずれか1本)、3本(中央+いずれか1方に2本)又は4本(中央+両側1本づつ+いずれか一方に1本)等であってもよい。要するに、搾り出し装置に袋を装填する際に、センタリングを取ることができ、鉛直方向に袋を吊り下げることができ、搾り出し装置のローラが移動する面に平行に袋を装填することができればよい。
【0012】
中央の1本は、L字状に曲がり、搾り出し装置の設置面とは平行方向を向く。中央以外のフックもL字状であってもよい。
さらに、フックは左右対称で2本、4本等複数本であってもよい。この場合、操作性が悪くなるが、対称の位置にある2本のフックにかけた時点で袋と搾り出し装置の平行が保たれる。
【0013】
また、袋は内容物が充填された場合、上下に膨らみ、長手方向には縮んだ状態にある。しかしながら、搾り出し機構により内容物が放出されるにつれて長手方向に長く伸びる。そこで、袋の先端に装着したノズルは搾り出し装置の先端部に固定せず、ノズルと直角方向にノズルを誘導する穴を設置し、その中で長手方向に自由に移動できるようにする。これにより、内容物が押し出され、袋が長手方向に伸びたとしても内容物を支障なく押し出すことができる。もし、先端を固定した場合、内容物の押し出しにしたがって袋が長手方向に伸びるため、途中でしわがよったりして内容物が残存するおそれがある。
【0014】
(2)粘稠性液体用軟包装袋において、前記軟包装袋の後端部に、少なくとも1個の引っ掛け穴を設けることを特徴とする軟包装袋。
粘稠性液体用包装袋を搾り出し装置に装填する際に、装置が重い(グリップが後縁端にあり、前方部が重い)ために、下を向けた方が作業(袋の装填)がしやすい。そこで、装置を鉛直方向に向け、粘稠性液体用包装袋を吊り下げて装置、袋が略平行になった後に把(挟)持部(材)により固定する。これにより、袋が斜めに装填されて、しわが寄ったりせず、液体の全部が搾り出せるようになるという効果を有する。ここで後端部とは、後端から内側に入った部分をいう(図1参照)。この後端部と後端の間に充填後ヒートシールする部分が存在する。
【0015】
(3)(2)の軟包装袋に於いて、射出部に内ねじが付いていることを特徴とする軟包装袋。
【0016】
(4)(2)又は(3)の軟包装袋に於いて、前記軟包装袋底部に長方形及びその下側に両側から中央に向かい、中央部は開放されたシール加工が施されていることを特徴とする軟包装袋。
長方形及びその下側のシールは、1/4ガロン(1/3リットル)サイズの場合、例えば長方形のシールは、タテ19mm〜25mm×ヨコ78mm〜96mm、両サイドの隙間1mm、小シール:タテ3mm〜5mm×ヨコ39mm〜48mm 中央の隙間1mm〜5mmが好ましく用いられるがこれらに限られない。要は長方形シール部分は引っ掛け穴を設置するのに十分な強度が得られ、液体充填時に十分な充填速度が得られる隙間であればよい。
【0017】
(5)(2)ないし(4)のいずれか1に記載の軟包装袋であって、排気口を有し、前記排気口の幅が400μm ≦ W ≦ 2000μmであることを特徴とする軟包装用袋。上限はより好ましくは1000(2000)μmである。
【0018】
(6)粘稠性液体用軟包装袋を搾り出し装置に装填する際に、搾り出し装置を鉛直方向に向け、前期軟包装袋の中央又は両端の穴を搾り出し装置の挟持部に設けたフックにかけて鉛直に吊り下げ、先端部を誘導穴に挿入することで、平行に取りつけることを特徴とする軟包装袋の装填方法。
【発明の効果】
【0019】
本出願に係る発明によれば、吐出装置に突起軸を設けることにより、軟包装袋をより簡単に吐出装置に装填させることができる。また、本願発明によれば、ほぼ通常の三方シール袋と同じ加工にさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は軟包装用袋及び挟持具の一部を示した図である。(実施例1)
【図2】図2は搾り出し装置に軟包装用袋を装填した状態を示した図である。(実施例2)
【図3】図3は軟包装袋を装填した搾り出し装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に於いて、「軟包装袋」とは、プラスティックフィルム、金属箔、セロハン、その他の基材を任意に積層して、三方シール、ピロー、ガゼットパウチ、スパウトパウチ等のフィルム軟包装袋一般をいう。
【0022】
本明細書に於いて、「コーキングガン」とは、粘稠性液体容器を、建築現場、あるいは工場等において、より使いやすく、ハンディーにするための、ハンディーガンと称される吐出装置に装填して使用するコーキングガンをいう。
【0023】
本明細書に於いて、「搾り出し装置」とは、コーキングガンの1種であり、軟包装袋を取り付け、ローラが軟包装袋の底部から先端部に向けて移動することにより内容物を搾り出す装置をいう。
【0024】
本明細書に於いて、「粘稠性液体」とは、コーキング剤(シーリング剤)、接着剤のような、主として建材用途の粘稠性液体をいう。
【0025】
硬質形容器(カートリッジ)用コーキングガンと軟包装袋用コーキングガンでは、一つの大きな違いがあり、この相違点は、両者の特質の違いからくるものである。
前者においては、容器先端から装填位置にセットすれば、後端は自然に嵌め込まれて、固定される。
後者においては、内容物が減少すると伴に容器が伸びるために、上下・左右方向は一定の固定が必要なものの、前後方向には固定するとしわが寄る等して溶液の残存が問題になるから、容器後端から装填位置にセットされなければならない。
このため、コーキングガンの前面体に対し、垂直にセットできる、突起軸と引っ掛け穴が必要とされる。
【0026】
粘稠性液体包装袋の、搾り出し装置への装填は、装置に平行に取り付けることが困難であった。この困難性を解消するためには、特許文献1の図1における、挟持具(27)内に、例えば3本のフック(突起軸)を設ければよい。この3本の内、中央の1本は、L字状に曲がり、搾り出し装置(10)とは水平に後方向を向くようにすることで外れにくくなり容易に取り付けることができる。この場合、フックの数は3本に限らず、包装袋を装置に平行に取り付けられればよい。例えば、1本、5本でもよく、2本、4本又はそれ以上で、左右対称に設置することが好ましい。また、L字型以外に丸型や三角型のフックを用いてもよく、要は単なる突起に比べ外れにくければよい。
【0027】
特許文献1の挟持具は搾り出し機構部(12)のスライドによってもファスナー(44)が挟持具外方で引っ掛かり、確実に固定することができるが、その前段階行動であるコーキングガンへの装填が困難であった。本発明ではこの点を容易に操作できるようにした。
【0028】
特許文献2における、コーキングガンへの装填行動では、中央スライド案内溝(16a)の中央部を下支えする形で、収納された軟包装袋を装填せざるを得ない状態にある。
一般的に、作業者はコーキングガンのグリップ(17)から手を離さないでいるから、コーキングガン前方は下を向いた状態にある。
こうした状態で、収納された軟包装袋を、コーキングガンへ装填することは難しい。
【0029】
難儀して装填しても、挟持具と軟包装袋に垂直性が取れていないと、搾り出し装置がスライドするに従い、軟包装袋に皺が寄り、残量性が悪くなる。
【0030】
これに対し、コーキングガン前方が下方向の時、中央突起軸は上向きになるから、軟包装袋後端部の3穴のうちの、中央の引っ掛け穴に引っ掛け易い。
順次、残りの両サイドの2つの引っ掛け穴にも嵌められ、この時点で、搾り出し機構とは垂直性が取れている訳だから、軟包装袋に皺が寄ることもない。
【0031】
後者の、軟包装袋への充填時の困難性の克服には、特許文献2[にある通り、前方充填でなければ、工業分野での軟包装袋の進展はあり得ない。
従って、軟包装袋底側短辺貼合領域(Ax2)にある、引っ掛け部(D)は必要のない存在になり、替わって底側短辺貼合領域の更に縁側に、細い底側短辺貼合領域を設ける。
【0032】
主として建材用途の粘稠性液体であるコーキング剤(シーリング剤)は、その性格上、縦塗りだから、製品としては可なり高粘度の範囲に属する。
高粘度とはいえ、製品には様々な成分が含まれており、なかには相当細かな微粒子もあるため、これ等をも完全に袋部(A)外部に漏出させない機能を発揮する隙間では、軟包装袋への充填時間が必要とされる傾向になる。
【0033】
充填スピードを上げるためには、排気口(E)の幅(W)は400 μm ≦ W ≦ 2000 μmが好ましく、より好ましくは400 μm ≦ W ≦ 1000μmである。
この位の幅になっても、軟包装袋後端部の内側面にある、細いヒートシール部がガーター(樋)効果を生み、微粒子が雫状態となって少量漏れ出る範囲であって、中央の隙間に至るまでには、軟包装袋内のエアーは除去されるから、充填後の底側短辺非貼合領域(Az)は汚染されずに確保される。
また、3本の突起軸は挟持具内にあるため、軟包装袋底側短辺貼合領域に当る、太いヒートシール部は、挟持具部域のデッドスペースのみとなり、大幅に縮小される。
【0034】
本発明の搾り出し装置に用いる包装袋としては、ガスバリア性を有する合成樹脂製のシート材を貼り合わせて構成された袋体内部に封止した粘調性液体を先端外方向へ導出する貫通孔が形成される粘調性液体用包装袋であればよく、既存のパウチ袋を応用することができる。最も簡易な包装袋としては、ガスバリア性を有する合成樹脂製のシート材を貼り合わせて構成された袋体の先端部にスタウト又は口栓を融着させた袋体を用いることができる。
【0035】
軟包装袋の製造に際しては所謂「パウチ」と称されるフレキシブル包装袋の製造技術を用いることができるため、既存のパウチ製造装置で製造することができる。また、保存に際してはガスバリア性が高く扁平な包装袋とすることにより使用前には長期間の保存にも耐えることができると共に積層することにより、狭い体積であっても多数の保管が可能である。使用後に際しては全体が扁平となるため廃棄物の容量が小さくて済む等の利点がある。
【0036】
本発明の袋体としては、ガスバリア性を有する合成樹脂製のシート材の周囲を貼り合わせて構成されたものであればよい。貼り合わせによる袋体の形成に際しては、シート材の全ての周囲又は一部の周囲を貼り合わせてシールして作製することができる。貼り合わせにはパウチ袋の製造技術を用いることができる。
【0037】
例えば、シート材の材質としては、ガスに対するバリア性を有する材質、例えば、アルミ箔をガスバリア層として、その片側に延伸ポリアミド樹脂を、他方の側にはヒートシール可能な低密度ポリエチレン樹脂層もしくは未延伸ポリプロピレン樹脂層等を積層した積層フィルム等を用いることができる。より具体的には、袋体を構成するフィルムは、その周囲の内面同士をヒートシールすればよいため、かかるフィルムとしては、通常、プラスチックを主体とする積層フィルムであって、その一方の面(裏面あるいは最内層)を(に)ヒートシール性を有するヒートシール層とし、他方の面(表面あるいは最外層)を(に)ヒートシール性を有さない層とするフィルムが好ましくは用いられる。
【0038】
従って、最も簡単な構成としては、ベースフィルム層とヒートシール層との間に、中間層として、ガスバリア機能を持つフィルム層を積層して構成することができる。ベースフィルム層としては、ポリエチレンやポリプロピレンの一軸又は二軸延伸フィルムのほか、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等の一軸又は二軸延伸ポリエステルフィルム等の一軸又は二軸延伸ポリアミドフィルム等を好適に用いることができる。特に開封性の観点から、一軸延伸フィルムが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
【0039】
また、中間層にガスバリア性を持たせる場合には、中間層としてエチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等のフィルムを好適に用いることができる。これらフィルムに、アルミニウム箔、あるいは、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の蒸着層やポリ塩化ビニリデンの塗膜層等を設けることによりガスバリア性を向上させることができる。この場合には、前記ベースフィルム層の内面に直接蒸着又は塗布して形成してもよく、また、別の二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等に形成しておいて、そのフィルムを中間層に積層してもよい。これらのうち、アルミニウム箔とアルミニウム蒸着層は、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
【0040】
さらに、最内層のヒートシール層としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンのほか、エチレンαオレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレンまたはその共重合体等を用いることができる。これら積層フィルムからなるシート材をヒートシールで貼り合わせて袋体を作製する。
【0041】
また、本発明の包装袋の先端部の前記搾り出し装置への装着方法としては、搾り出し装置の先端面から上方に立ち上がった前面板にノズルの側壁に当接・支持するノズル当接孔を備え、ノズルを挿着した袋体の先端部を載置する。これにより、ノズルはノズルの長軸方向には自由に周動できるが、その直角方向の上下左右にはほぼ固定された状態となる。また、好ましい後端部の固定手段としては、袋支持体の後部の引っ掛け穴にフックを挿入して挟持具により固定する。これにより搾り出し機構部の先端部方向へのスライドによっても袋の後端部がフック(挟持具)で引っ掛かり、確実に固定することができる。
【0042】
本発明に係る好ましい包装袋は、(1)後端内部に長方形と線状のシールを形成する工程と、ガスバリア性を有する合成樹脂製の(2)シート材を筒状に成型して袋体胴部を形成する工程と、(3)筒状に成型した袋体胴部の先端にスパウト又は口栓を融着させて袋体の先端部を形成する工程と、(4)筒状に成形したフィルムのスパウト又は口栓部から粘調性液体を充填する工程と、(5)後端部をシールする工程とを経ることにより、製造することができる。先端に取り付けるスパウト又は口栓については、内ネジ式のものが好ましく用いられるが、外ネジ式のスパウト又は口栓も使用できる。この先端部に設けられたネジに使用目的に適したノズルをねじ込んで使用する。
【0043】
具体的なキャップ挿着片としては、シート材の貼り合わせ端縁に確実に融着する素材のものが選択される。例えば、シート材の内側層のポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂に融着しやすいポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂で構成される。
【0044】
搾り出し装置の搾り出し機構部12は上下2つのローラ21を有し、このローラで軟包装袋を挟み込んで先端方向に移動することにより、軟包装袋の内容物を押しだす。先端方向への移動はトリガの引き寄せ操作により一定のピッチでなされる。先端方向へ一定のピッチで前進させる機構としては、ラチェット送り機構や送り爪機構等が用いられる。
【0045】
搾り出し装置の軟包装袋を支持する手段としては、特許文献1のように、支持棒で支持してもよいが、図3のように底板によって支持してもよい。底板の場合、軽量化等の目的で強度を損なわない程度に空間を設けることができる。また、底板を袋の曲面に合わせてカーブさせてもよい。
【実施例1】
【0046】
図1に軟包装袋の構造を示す。Fig1aは軟包装袋の平面図、Fig1bはA−A面で切断した断面図(挟持具)である。袋の上部には内ネジ式の口栓1が設置され、ヒートシールにより固定されている。この口栓1から内容物を充填する。充填完了後キャップ3が付けられる。軟包装袋の左右両側部はヒートシールされ、底部の内側も長方形にヒートシールされている。さらに、前記長方形の下部にも細いヒートシール部4が設けられている。長方形のヒートシール部の中央とその両側には直径3mm〜9mmの穴5が開けられている。両側部と長方形の間には排気孔が設けられている。排気孔の大きさは、内容物の粘度や粒子の大きさを考慮して内容物のうち、(雫状の)微粒子のみが空気とともに排出される大きさであり、400 μm ≦ W ≦ 2000 μmの範囲が好ましい。さらに好ましくは400 μm ≦ W ≦ 1000 μmの範囲である。充填、排気後、長方形の下の部分はヒートシールされる。Fig1aの挟持部27は軟包装袋を上下から挟む構造になっている。Fig1bは挟持具の下側の断面を示す。
【0047】
この構造により、特許文献2のパウチ型粘調性液体容器よりも迅速に液体を充填できる。また、ファスナーを無くしたこととヒートシール部が液体により汚染されないことにより、充填後のヒートシールが容易にできるという効果を有する。
【実施例2】
【0048】
図2、図3に搾り出し装置への包装袋の装填方法を示す。装置の挟持具27には突起が3個設けられ、中央の突起8はL字型となっている。これにより、片手でも装填することが可能になり、確実に包装袋をガンに固定できる。また、装填時には、ガンの包装袋設置面を鉛直方向にし、挟持具に設けた中央の突起8を包装袋の中央の穴に挿入し、次いで、両側の2つないし4つの突起を同様に包装袋の穴に挿入する。これにより、重力により、ガンの設置面と袋が平行になるので、そこで挟持具27で固定し、搾り出し機構部12のローラではさみ、トリガを引くことによりローラを先端方向に移動させて内容物を搾り出すことができる。
【0049】
搾り出し終了時には、残存液体はノズル内に残るので次の包装袋に装着してロスを少なくすることができる。特に内ネジ方式の場合にはスパウト又は口栓部分の液体がノズル内に残るのでよりロスを少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
軟包装袋に引っ掛け穴を設け、搾り出し装置のフックに引っ掛けることにより、軟包装袋を搾り出し装置と並行に設置することができ、内容物を確実に搾り出すことができるため、建築現場等で利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 軟包装袋
2 口栓
3 キャップ
4 ヒートシール部
5 引っ掛け穴
6 排気口
7 充填後シール部
8 フック(中央)
9 フック
10 搾り出し装置
12 搾り出し機構部
13 駆動機構部
14 前面版
15 後面板
17 グリップ
18 トリガ
19 スライドバー
21 上下ローラ
22 ローラ支持体
27 挟持具(把持具)
29 留め具
40 底板
50 誘導穴
60 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘稠性液体を含有する軟包装袋から粘稠性液体を搾り出す搾り出し装置であって、前記包軟装袋の挟持部に少なくとも1本のフックを設けたことを特徴とする搾り出し装置。
【請求項2】
粘稠性液体用軟包装袋において、前記軟包装袋の後端部に、少なくとも1個の引っ掛け穴を設けることを特徴とする軟包装袋。
【請求項3】
請求項2に記載の軟包装袋に於いて、射出部に内ねじが付いていることを特徴とする軟包装用袋。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の軟包装袋に於いて、前記軟包装袋底部に長方形及びその下側に両側から中央に向かい、中央部は開放されたシール加工が施されていることを特徴とする軟包装袋。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の軟包装袋であって、排気口を有し、前記排気口の幅が400 μm ≦ W ≦ 2000 μmであることを特徴とする軟包装袋。
【請求項6】
粘稠性液体用軟包装袋を搾り出し装置に装填する際に、搾り出し装置を鉛直方向に向け、前記軟包装袋の中央又は両端の穴を搾り出し装置の挟持部に設けたフックにかけて鉛直に吊り下げ、先端部を誘導穴に挿入することで、平行に取りつけることを特徴とする軟包装袋の装填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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