説明

軟膏様組成物を用いた後眼部組織への非侵襲性ドラッグデリバリーシステム

【課題】眼局所組織を介した後眼部組織への薬物移行性が優れた非侵襲性投与ドラッグデリバリーシステムを開発すること。
【解決手段】
薬物を0.01〜10%(W/V)含有し、ワセリン/流動パラフィン配合比が2/1〜10/1である軟膏様組成物を眼表面へ投与することにより、眼局所組織を介した後眼部組織への薬物移行性が優れたドラッグデリバリーシステムを構築できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網膜、脈絡膜、強膜、視神経、視神経周囲組織および硝子体等の後眼部組織への非侵襲性ドラッグデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
網膜、脈絡膜、強膜、視神経、視神経周囲組織、硝子体等の後眼部組織における疾患には難治性疾患が多く、失明の原因となり得る重篤な症状を示すものも少なくない。代表的な疾患として、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、ぶどう膜炎、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、網膜剥離、サイトメガロウイルス網膜炎、緑内障に伴う視神経障害等が挙げられる。これらはすべて視力の低下および失明の原因となり得る疾患であり、このような後眼部組織の疾患に対して効果的な薬物治療法の開発が望まれている。
【0003】
後眼部疾患に対して有効な薬物としては、ベタメタゾン、デキサメタゾン等のステロイド剤、ブロモフェナック等の抗炎症剤、キノロン系化合物、エリスロマイシン等の抗菌剤、ガンシクロビル、アシクロビル等の抗ウイルス剤、メトトレキサート、MMP阻害剤等の抗癌剤、エンドスタチン、VEGF阻害剤等の血管新生阻害剤、MK−801、チモロール等の神経保護剤、カテキン、ビタミンE等の抗酸化剤、ビスホスホネート等の骨吸収阻害剤、レチノイン酸及びその誘導体等の視機能維持に関わる薬剤等といった多くの薬物を挙げることができる。しかし、有用な薬物が多く認められているものの、疾患部位である後眼部組織が眼組織の奥に位置し、該部位へ薬物を移行させることが非常に困難であるため、後眼部疾患に対する薬物治療法を開発する上で課題となっていた。
【0004】
ここで、眼疾患の薬物治療においては、点眼投与による治療がもっとも一般的であり、利便性も優れている。しかし、点眼投与では後眼部組織へ薬物が移行しにくいという問題がある。
【0005】
そこで、後眼部疾患に対する薬物の投与方法としては、静脈内注射、経口投与といった全身投与が試みられている。しかし、これらの投与方法は、疾患部位である後眼部組織への薬物の移行量が微量であるため、十分な薬物量を後眼部組織へ送達させるには高頻度および高用量の投与が必要となり、後眼部組織の薬物治療という観点からすると効率の点で問題がある。
【0006】
一方で、硝子体内、テノン嚢下、結膜下への注射およびインプラントといった投与方法も後眼部疾患の薬物治療法に試みられている。例えば、非特許文献1には、硝子体内注射による後眼部組織へのドラッグデリバリーシステムが記載されており、特許文献1および2には、薬物を含有させた徐放性微粒子を結膜下投与することによる後眼部組織へのドラッグデリバリーシステムや薬物を含有させた微粒子をテノン嚢下投与することによる後眼部組織へのドラッグデリバリーシステムが記載されている。また、特許文献3には、後眼部組織へ薬物を移行させるための生体適合インプラントが記載されている。これらの投与方法では、薬物を疾患部位またはその近傍組織に直接的に投与およびインプラントするため、十分な薬物量を疾患部位に移行できるというメリットがある。しかし、その反面、これらは眼組織の侵襲を伴う投与方法および送達技術であるため、投与時において、患者はストレスや痛みを負うこともある。また、これらの投与方法は、患者自身の手で行うことができず、専ら医師の手によりなされる必要があるため、利便性の面においても課題がある。
【特許文献1】特開2003−313119号公報
【特許文献2】特開2005−097275号公報
【特許文献3】特表2004−535886号公報
【非特許文献1】Journal of ocular pharmacology and therapeutics, (2001) 17/4 393-401
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、注射やインプラントといった投与方法に伴う投与時の組織侵襲性がないドラッグデリバリーシステムであって、疾患部位へ薬物を効率よく移行できる非侵襲性のドラッグデリバリーシステムの開発が望まれていた。
【0008】
すなわち、眼局所組織を介した後眼部組織への薬物移行性が優れた非侵襲性投与によるドラッグデリバリーシステムを開発することは重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、驚くべきことに、薬物を0.01〜10重量%含有し、ワセリン/流動パラフィン重量比が2/1〜10/1である軟膏様組成物を眼表面に投与する手段が、直接的な後眼部組織への薬物移行性に優れた非侵襲性ドラッグデリバリーシステムとして非常に有用であることを見出した。
【0010】
本発明のドラッグデリバリーシステムは、非侵襲性のドラッグデリバリーシステムであるため、医療現場で汎用されている注射やインプラントといった投与方法とは異なり、投与による組織侵襲性がない。また、患者は、注射剤やインプラントのような投与に伴うストレスや痛みを負うことはない。
【0011】
本発明のドラッグデリバリーシステムで用いられる軟膏様組成物は眼表面へ投与するものであり、患者自身での投与が可能であるため、従来、医療現場で汎用されている注射剤やインプラントと比べて利便性の面で優れている。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1)薬物を0.01〜10重量%含有し、ワセリン/流動パラフィン重量比が2/1〜10/1である軟膏様組成物を眼表面に投与することにより、後眼部組織への薬物の移行性が向上した非侵襲性ドラッグデリバリーシステム、
(2)薬物を0.1〜5重量%含有し、ワセリン/流動パラフィン重量比が3/1〜9/1である前記(1)記載の非侵襲性ドラッグデリバリーシステム、
(3)後眼部組織への薬物の移行が眼局所組織を介した移行である前記(2)記載の非侵襲性ドラッグデリバリーシステム、
(4)後眼部組織が網膜、脈絡膜、強膜、視神経、視神経周囲組織または硝子体である前記(3)記載の非侵襲性ドラッグテリバリーシステム、
(5)薬物が網膜、脈絡膜、強膜、視神経、視神経周囲組織または硝子体疾患の治療または予防のための薬物である前記(3)記載の非侵襲性ドラッグテリバリーシステム、
(6)薬物が抗炎症剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、抗血栓剤、血管新生抑制剤、視神経保護剤、抗菌剤、抗真菌剤または抗酸化剤である前記(3)記載の非侵襲性ドラッグデリバリーシステム、
に関する。
【0013】
本発明のドラッグデリバリーシステムは、後眼部組織への直接的な薬物の移行性に優れている。後眼部組織への直接的な薬物の移行とは、後眼部組織への薬物の移行が全身経路によらずに、眼局所組織を介して薬物が後眼部組織に移行することをいう。すなわち、本発明のドラッグデリバリーシステムは、眼局所組織を介した後眼部組織への薬物の移行性が優れている。特に、本発明のドラッグデリバリーシステムは、結膜組織および強膜組織を介した後眼部組織への薬物の移行性が優れている。
【0014】
本発明の軟膏様組成物に含有させる薬物量は0.0001〜95重量%であって、好ましくは0.001〜30重量%、より好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。また、本発明の軟膏様組成物のワセリン/流動パラフィン重量比は1/100〜100/1であって、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは2/1〜10/1、さらに好ましくは3/1〜9/1である。
【0015】
本発明のドラッグデリバリーシステムは、網膜、脈絡膜、強膜、視神経、視神経周囲組織または硝子体の疾患の治療または予防のために用いられる。具体的な疾患例としては、種々の原因による炎症、ウイルスや細菌の感染症、網膜脈絡膜の血管新生に起因する疾患、網膜の虚血に起因する疾患、緑内障に起因する視神経障害が挙げられる。さらに具体的に述べると、ぶどう膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、増殖性硝子体網膜症、網膜剥離、網膜色素変性症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症等が挙げられる。
【0016】
本発明の軟膏様組成物に含有させる薬物については特に制限は無く、対象疾患に適した薬物を選択することができる。具体的にはベタメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、ハイドロコルチゾン、フルオシノロンアセトニド等のステロイド剤またはそれらの誘導体;プロゲステロンやテストステロン等のホルモン剤またはそれらの誘導体;ブロモフェナック、ジクロフェナック等の抗炎症剤;TNF−α阻害剤、抗TNF−α抗体、PDE−IV阻害剤、ICE阻害剤等のサイトカイン抑制剤;シクロスポリン、タクロリムス等の免疫抑制剤;ガンシクロビル、アシクロビル、インターフェロンβ等の抗ウイルス剤;キノロン系化合物、クラリスロマイシン、エリスロマイシン等の抗菌剤;カプトプリルなどのACE阻害剤;プラバスタチン、シンバスタチン等のHMG−CoA還元酵素阻害剤;フルオロウラシル、メトトレキサート、MMP阻害剤等の抗癌剤;エンドスタチン、VEGF阻害剤、抗VEGF抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、PKC阻害剤、接着因子阻害剤、血管静止性ステロイド等の血管新生阻害剤;MK−801、チモロール、クレアチン、タウリン、BDNF等の神経保護剤・神経栄養因子、アセタゾラミド等の炭酸脱水酵素阻害剤、ウロキナーゼ等の血栓溶解剤、循環改善剤、抗真菌剤、カテキン、ビタミンE等の抗酸化剤、ビスホスホネート等の骨吸収阻害剤、レチノイン酸及びその誘導体等の視機能維持に関わる薬剤等が挙げられる。
【0017】
本発明における軟膏様組成物は有効成分である薬物を基剤に研和、または溶融させて製造、調製することができる。軟膏様組成物の基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル、ロウ類、界面活性剤、高級アルコール、シリコン油、グリコール類、植物油、動物油、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、防腐剤、着香剤等を含んでいてもよい。また、軟膏様組成物の具体的な製造例として、薬物の代わりに蛍光色素であるフルオレセインまたはフルオレセインナトリウムを0.8重量%含有する軟膏様組成物であって、ワセリン/流動パラフィン重量比が4/1である軟膏様組成物を後述の実施例に示す。ここで、薬物の代わりに蛍光色素を用いたのは、後眼部組織への移行性を簡便かつ高感度に評価するためである。
【0018】
本発明のドラッグデリバリーシステムに使用する軟膏様組成物は眼表面へ投与すればよく、投与時において、特に専門的な技術を必要とせず、患者自身で眼表面へ投与することができる。
【0019】
本発明の軟膏様組成物の投与回数は症状、年齢、基剤等によって適宜選択することができるが、適量を1日1〜数回(例えば、1〜6回)投与すればよい。
【発明の効果】
【0020】
後述する試験の項で詳述するが、蛍光色素を0.8重量%含有し、ワセリン/流動パラフィン重量比が4/1である軟膏様組成物を眼表面へ投与することにより、投与眼と非投与眼の網脈絡膜中に存在する蛍光色素の濃度で明らかな差異が認められる。すなわち、本発明の軟膏様組成物を眼表面へ投与することにより、眼局所組織を介した後眼部組織への直接的な薬物の移行を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の軟膏様組成物の調製、後眼部組織中の蛍光色素濃度測定試験ならびに製剤例を示すが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
1.試験1
蛍光色素を含有する軟膏様組成物および点眼液を用いて、眼局所組織を介した後眼部組織への移行性を調べた
1−1.製剤の調製
【実施例1】
【0023】
白色ワセリン(39.6g)、および流動パラフィン(10.0g)を均一になるまで溶融攪拌させた。この溶融液中にフルオレセイン(LogP=3)(0.4g)を徐々に加え、一様になるまで攪拌した後に徐々に冷却していき、0.8%(W/W)フルオレセイン含有製剤(軟膏様組成物)を得た。以下、この製剤を被験製剤1とする。
【比較例1】
【0024】
フルオレセイン(16mg)を乳鉢に秤量し、0.1%(W/W)ポリソルベート80含有リン酸緩衝生理食塩水2mLを徐々に滴下して懸濁し、0.8%(W/W)フルオレセイン含有懸濁点眼液を得た。以下、この製剤を比較製剤1とする。
【0025】
1−2.試験方法
実施例1で調製した被験製剤1をラットの片眼(右眼)の結膜嚢内へ塗布(フルオレセインの投与量:1眼あたり40μg)してから30分後に屠殺し、投与眼および非投与眼の両眼を摘出し、それぞれ網脈絡膜を回収した。回収した網脈絡膜は2眼分を1サンプルとしてこれにメタノール/水(1/1)混合液(250μl)を添加し、ホモジナイズ、遠心分離(13000rpm、10分)を行い、不溶物を除去してから、蛍光強度を測定し(Em:485nm、Ex:530nm)、網脈絡膜中のフルオレセイン濃度を算出した。フルオレセイン濃度の算出は検量線を用いて行った。検量線は、フルオレセインを溶解したメタノール/水(1/1)混合液を標準溶液とし、これを正常眼の網脈絡膜に添加後、上記と同様の回収操作を行って作成した。
【0026】
一方で、上述の操作でラットを屠殺する前に採血を行い、得られたサンプルを遠心分離(13000rpm、10分)し、不溶物を除去してから、蛍光強度を測定し(Em:485nm、Ex:530nm)、血漿中のフルオレセイン濃度を算出した。検量線は、フルオレセインを溶解したメタノール/水(1/1)混合液を標準溶液とし、これを血漿に添加後、上記と同様の回収操作を行って作成した。
【0027】
また、比較製剤1をラットの片眼(右眼)へ点眼し(フルオレセインの投与量:1眼あたり40μg)、その後は上述した操作と同様の操作を行って、投与30分後の網脈絡膜中および血漿中のフルオレセイン濃度を算出した。
【0028】
1−3.試験結果および考察
図1に、被験製剤1および比較製剤1の投与30分後の投与眼および非投与眼における網脈絡膜中のフルオレセイン濃度を示す(例数6眼、3例)。また、図2に、被験製剤1および比較製剤1の投与30分後における血漿中のフルオレセイン濃度を示す(例数6眼、3例)。
【0029】
図1から明らかなように、網脈絡膜中のフルオレセイン濃度において、被験製剤1の投与眼は非投与眼と比べて明らかに高い値を示したのに対し、比較製剤1の投与眼は非投与眼と比べてやや高い値を示した。また、図2から明らかなように、血漿中のフルオレセイン濃度において、被験製剤1は、比較製剤1と比べて明らかに低い値を示した。よって、本発明の軟膏様組成物を用いることにより、眼局所組織を介した網脈絡膜組織への蛍光色素の移行を促進できることが分かった。すなわち、本発明の軟膏様組成物を眼表面に投与することにより眼局所組織を介した後眼部組織への薬物の移行を促進できることが示唆された。
【0030】
2.試験2
脂溶性の蛍光色素であるフルオレセインを含有する軟膏様組成物および水溶性の蛍光色素であるフルオレセインナトリウムを含有する軟膏様組成物を用いて、眼局所組織を介した後眼部組織への移行性を調べた
2−1.製剤の調製
【実施例2】
【0031】
白色ワセリン(39.6g)、および流動パラフィン(10.0g)を均一になるまで溶融攪拌させた。この溶融液中に水溶性の蛍光色素としてフルオレセインナトリウム(LogP=−0.5)(0.4g)を徐々に加え、一様になるまで攪拌した後に徐々に冷却していき、0.8%(W/W)フルオレセインナトリウム含有製剤(軟膏様組成物)を得た。以下、この製剤を被験製剤2とする。
【0032】
2−2.試験方法
被験製剤1および2について「1−2.試験方法」と同様の操作を行い(フルオレセインまたはフルオレセインナトリウムの投与量:1眼あたり40μg)、投与後0.5、1.5時間後の網脈絡膜中のフルオレセイン濃度を算出した。
【0033】
2−3.試験結果
図3に、被験製剤1および2の投与一定時間(0.5、1.5時間)経過後の投与眼および非投与眼における網脈絡膜中のフルオレセイン濃度を示す(例数6眼、3例)。
【0034】
2−4.考察
図3から明らかなように、脂溶性の蛍光色素を含有する軟膏様組成物である被験製剤1と水溶性の蛍光色素を含有する軟膏様組成物である被験製剤2は、網脈絡膜中のフルオレセイン濃度において、投与0.5時間後および1.5時間後においても投与眼と非投与眼で差異が認められた。よって、後眼部組織への移行性促進の程度に差はあるものの、本発明の軟膏様組成物は、該組成物に含有される薬物の脂溶性に関わらず後眼部組織への移行を促進できることが示唆された。
【0035】
3.製剤例
処方例1 軟膏様組成物 (100g中)
トリアムシノロン 0.8g
白色ワセリン 79.2g
流動パラフィン 20g
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、被験製剤1および比較製剤1の投与30分後の投与眼および非投与眼における網脈絡膜中のフルオレセイン濃度を示すグラフである。
【図2】図2は、被験製剤1および比較製剤1の投与30分後における血漿中のフルオレセイン濃度を示すグラフである。
【図3】図3は、被験製剤1および2の投与一定時間経過後の投与眼および非投与眼における網脈絡膜中のフルオレセイン濃度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を0.01〜10重量%含有し、ワセリン/流動パラフィン重量比が2/1〜10/1である軟膏様組成物を眼表面に投与することにより、後眼部組織への薬物の移行性が向上した非侵襲性ドラッグデリバリーシステム。
【請求項2】
薬物を0.1〜5重量%含有し、ワセリン/流動パラフィン重量比が3/1〜9/1である請求項1記載の非侵襲性ドラッグデリバリーシステム。
【請求項3】
後眼部組織への薬物の移行が眼局所組織を介した移行である請求項2記載の非侵襲性ドラッグデリバリーシステム。
【請求項4】
後眼部組織が網膜、脈絡膜、強膜、視神経、視神経周囲組織または硝子体である請求項3記載の非侵襲性ドラッグテリバリーシステム。
【請求項5】
薬物が網膜、脈絡膜、強膜、視神経、視神経周囲組織または硝子体疾患の治療または予防のための薬物である請求項3記載の非侵襲性ドラッグテリバリーシステム。
【請求項6】
薬物が抗炎症剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、抗血栓剤、血管新生抑制剤、視神経保護剤、抗菌剤、抗真菌剤または抗酸化剤である請求項3記載の非侵襲性ドラッグデリバリーシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−56012(P2007−56012A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205584(P2006−205584)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】