説明

軟質の粒状超吸収体及びその使用

少なくとも1個の酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーをベースとし、その際、該酸基の少なくとも5モル%が、少なくとも1種の第三級アルカノールアミンで中和されている粒状超吸収体は、熱可塑性物質の公知の形状付与法により、超吸収体を含有する成形体へと成形される熱可塑性混合物の特に適した超吸収性の成分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質の粒状超吸収体、その使用、並びに、この種の超吸収体及び熱可塑性ポリマーを含有する製品に関する。殊に本発明は、超吸収体を含有するポリマー混合物の、例えば押出のような熱可塑性物質の形状付与法による加工にも関する。
【0002】
超吸収体は公知である。この種の材料には、"高膨潤性ポリマー"、"ヒドロゲル"(乾燥形にもしばしば用いられる)、"ヒドロゲルを形成するポリマー"、"水を吸収するポリマー"、"吸収性のゲル形成材料"、"膨潤性樹脂"、"水を吸収する樹脂"、"水を吸収するポリマー"等のような名称も一般に使われている。当該材料は、架橋された親水性ポリマー、殊に(共)重合された親水性モノマーのポリマー、適したグラフトベース上での1種以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋されたセルロースエーテル又はデンプンエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシド又は水性液体中で膨潤可能な天然製品、例えばグアール誘導体であり、その際、部分中和されたアクリル酸をベースとする超吸収体が最も広く普及している。超吸収体の本質的な特性は、その自重の何倍もの水性液体の量を吸収し得る能力であり、且つ該液体は、ある一定の圧力下でも再び放出されない。乾燥粉末の形態で使用される超吸収体は、液体を吸収するとゲルに変わり、通常は水を吸収すると相応してヒドロゲルに変わる。架橋は、合成超吸収体にとって重要であり、且つ通常の純粋な増粘剤との重大な相違点であり、なぜなら、これはポリマーを水に不溶化させるからである。可溶性物質は、超吸収体として有用ではない。超吸収体の格段に重要な使用領域は、体液を吸収することである。超吸収体は、例えば、幼児用おむつ、成人用失禁製品又は婦人用衛生用品において用いられる。他の適用領域は、例えば、市場園芸における保水剤として、火災から保護するための貯水タンクとして、食品包装における吸液のため又は極めて一般的には湿分の吸収のためである。
【0003】
超吸収体は、その自重の数倍もの水の量を吸収し、且つ、ある一定の圧力下で保持することができる。一般的に、この種の超吸収体は、少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも10g/g、及び特に有利な形態では少なくとも15g/gのCRC("遠心保持容量"、測定法は下記を参照されたい)を有する。"超吸収体"は、物質的に異なる個々の超吸収体の混合物又は、相互作用して初めて超吸収特性を示す成分の混合物であってもよく、この場合、物質組成は、超吸収特性に比べてあまり問題ではない。
【0004】
超吸収体にとって重要なことは、その吸収容量のみならず、液体を圧力下で保持する能力(保持力、たいていの場合、"荷重下吸収量"("AUL")又は"加圧下吸収量"("AAP")で表される)並びに膨潤した状態における液体輸送(たいていの場合、"食塩水流れ誘導性"("SFC")で表される)である。膨潤したゲルは、まだ膨潤していない超吸収体への液体輸送を邪魔乃至妨げることがあり得る("ゲルブロッキング")。液体に対する良好な輸送特性を、例えば、膨潤した状態で高いゲル強度を有するヒドロゲルが持つ。ごく僅かなゲル強度を有するゲルは、適用された圧力(物体圧力)下で変形し得、細孔を閉塞し、且つそれによって更なる液体の吸収を妨げる。高められたゲル強度は、一般に、より高い架橋度によって達成されるが、とはいっても、それによって生成物の吸収容量が減少される。ゲル強度を高めるための優れた方法は、超吸収体粒子の内部と比べて該粒子の表面での架橋度を高めることである。そのために、たいていの場合、表面後架橋工程において乾燥された、平均的な架橋密度を有する超吸収体粒子が、それらの粒子の薄い表面層で付加的な架橋に供される。表面後架橋によって、超吸収体のシェルにおける架橋密度が増大し、そのことによって、圧力負荷下での吸収量は、より高い水準に高められる。超吸収体粒子の表面層における吸収容量は下がる一方で、そのコアは、可動性のポリマー鎖が存在することによって、シェルと比較して改善された吸収容量を有することから、該シェル構造によって、ゲルブロッキングが発生することなく、改善された液体誘導性が保証される。全体的により高度に架橋された超吸収体を作り出すこと、及び粒子の内部における架橋度を粒子の外側のシェルと比べて後から減少させることも同様に公知である。
【0005】
超吸収体の製造法も公知である。市場で最も流通している、アクリル酸をベースとする超吸収体は、架橋剤("内部架橋剤")の存在におけるアクリル酸のラジカル重合によって製造され、その際、アクリル酸は、重合前に、重合後に、又は部分的に重合前、部分的に重合後に、ある程度まで中和され、通常はアルカリ、たいていの場合、水酸化ナトリウム水溶液の添加によって中和される。そのようにして取得されたポリマーゲルは、微粉砕(用いられる重合反応器に応じて、これは重合と同時に行ってよい)及び乾燥される。そのようにして取得された乾燥粉末("基本ポリマー"又は"ベースポリマー")は、粒子内部と比べてより高度に架橋された表面層を作り出すために、通常は粒子の表面で、該乾燥粉末を、有機架橋剤又は多価カチオン、例えばアルミニウム(たいていの場合、硫酸アルミニウムとして使用される)といったような更なる架橋剤又は両方と反応させることによって後架橋される。
【0006】
Fredric L.Buchholz及びAndrew T.Graham(編集者)は、"Modern Superabsorbent Polymer Technology",J.Wiley & Sons,New York,U.S.A/Wiley−VCH,Weinheim,Germany,1997,ISBN 0−471−19411−5において、超吸収体の概要、その特性及び超吸収体の製造法を示している。
【0007】
US5352480は、なかでもアミノアルコールを用いて、超吸収体を繊維に結合するための方法を教示している。WO03/104543A1は、超吸収体を繊維に結合するために、有利にはトリエタノールアミンを用いることを教示しており、その際、トリエタノールアミンは、同時に超吸収体の中和度を高めるために用いられる。
【0008】
WO2009/060062A1は、超吸収体の表面後架橋剤としてのトリエタノールアミンの考えられ得る使用に言及している。
【0009】
EP725084A1は、トリエタノールアミンを、エチレン性不飽和モノマーの(任意に架橋する)重合に際しての考えられ得る重合調節剤として挙げている。
【0010】
WO99/44648A1は、可撓性の超吸収体フォームの製造を教示し、その際、アクリル酸及びトリエタノールアミンを中和剤として含有するモノマー混合物が、発泡され、且つ重合される。WO00/52087A1の教示によれば、この発泡は、不活性ガスをモノマー混合物中に圧入し、且つ引き続き減圧することによって行われる。
【0011】
WO03/092757A1は、超吸収体中でのトリエタノールアミンの2つの考えられ得る使用を開示している。この文献の教示によれば、トリエタノールアミンは、超吸収体、すなわち、軽度に架橋された酸性ポリマーと軽度に架橋された塩基性ポリマーとの混合物の超吸収体の特殊な事例における可塑剤であり、該可塑剤は、この文献によれば、可撓性層の形態で使用される。そのうえ、この文献は、可撓性層が、よく用いられるアルカリ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はトリエタノールアミンで中和されている慣例の超吸収体20質量%までを含有していてよく、その際、トリエタノールアミンの使用は、吸収体層の可撓性に不利な影響を及ぼさず、且つそれどころか可撓性に寄与し得る可塑化された慣例の超吸収体を生み出す。
【0012】
超吸収体を、水を吸収する特性を有するポリマー混合物の構成成分として用いることも公知である。これらのポリマー混合物は、しばしば熱可塑性であり、且つ熱可塑性物質の通常の形状付与法により、例えば、超吸収体を含有するポリマーフィルム又は他の成形体へと成形される。超吸収体は、様々な目的に利用されることができる、水を吸収する特性をこれらのフィルムに付与する。
【0013】
DE10143002A1は、耐水性ポリマーから成るマトリックス中に超吸収体粒子が埋め込まれている、チャネルが備え付けられたフィルム様の平面形成物を開示している。この形成物は、例えば、耐水性ポリマーの押出に際して超吸収体粒子を添加することよって作り出される。EP1616906A1は、熱可塑性マトリックス中にエラストマー材料及び超吸収体を分散して含有する、水膨潤性の組成物を教示している。この種の成形部材は、押出成形、射出成形、ブロー成形、深絞り成形、カレンダー成形又は圧縮成形のような熱可塑性物質加工の慣例の方法によって作り出されることができる。WO03/022316は、超吸収体の特定の粒径分布が、熱可塑性物質との共押出といったような個々の適用目的にとって好ましくあり得ることを指し示している。
【0014】
超吸収体自体は、熱可塑物質ではない。超吸収体粒子は、乾燥状態において比較的硬質又は脆性である。それゆえ、超吸収体を含有する熱可塑性の混合物の成形に際して、成形の間に加熱によって可塑化された材料中での、脆性又はいずれにせよ硬質の超吸収体粒子が、この材料の加工を妨害するという問題が現れる。例えば1つの問題は、成形ツールの摩耗であり得る。この問題は、必然的に、熱可塑性材料が圧力下でツールを通過する箇所か又はツールによって動かされる箇所で特に現れる。その際、特に現れやすいのは、押出機のノズル又はマウスピースといったような、熱可塑性材料が圧縮される全ての種類のノズルである。超吸収体の脆性又は硬度を減少させるための最も簡単な公知の措置、すなわち、最小含水量の調整は、熱可塑性物質の形状付与法の場合、しばしば成功に至らず、なぜなら、これらの形状付与法の場合、成形されるべき材料が加熱され、このことは、水の蒸発をもたらすからである。超吸収体粒子がますます脆性となる問題に足して、その時には熱可塑性材料中での気泡の問題が起こり得る。
【0015】
それゆえ、殊に熱可塑性材料の構成成分として熱可塑性物質の通常の成形法による更なる加工に適している、新規の又は改善された超吸収体及び係る超吸収体の製造法を見出すという課題が存在する。
【0016】
それに応じて、少なくとも1個の酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーをベースとする粒状超吸収体において、酸基の少なくとも5モル%が少なくとも1種の第三級アルカノールアミンで中和されている粒状超吸収体が見出された。この超吸収体は、それが加工に際して熱可塑性材料の構成成分として問題をあまりもたらさず、且つ殊に成形ツールの摩耗をあまりもたらさないことによって際立っている。さらに、この超吸収体の製造法、この超吸収体の使用並びに超吸収体を含有する成形体及びその製造法が見出された。
【0017】
本発明による混合物中に存在する超吸収体は、種々の様式で、例えば溶液重合、懸濁重合、滴下重合又は噴霧重合によって製造されることができる。この種の方法は、当業者に公知である。慣用の超吸収体の製造には、そのために通常は、少なくとも1個の酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーが架橋剤の存在下で重合される。
【0018】
アクリレート超吸収体を製造するための目下のところ工業的に通常用いられる重合法の一例は、
a)任意に少なくとも部分的に塩として存在する、少なくとも1種のエチレン性不飽和の酸基含有モノマー、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意に1種以上の、a)で挙げられたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び
e)任意に1種以上の水溶性ポリマー
を含有するモノマー混合物の水溶液重合である。
【0019】
モノマーa)は、好ましくは水溶性であり、すなわち、23℃における水中での溶解度は、概して水100g当たり少なくとも1g、好ましくは水100g当たり少なくとも5g、特に有利には水100g当たり少なくとも25g、極めて有利には水100g当たり少なくとも35gである。
【0020】
適したモノマーa)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、及びイタコン酸又はそれらの塩のような、エチレン性不飽和カルボン酸又はそれらの塩である。特に有利なモノマーはアクリル酸及びメタクリル酸である。極めて有利なのはアクリル酸である。
【0021】
更なる適したモノマーa)は、例えば、スチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)のようなエチレン性不飽和スルホン酸である。
【0022】
不純物は重合に重大な影響を与えかねない。それゆえ、使用される原料は可能な限り高い純度を有するべきである。それゆえ、しばしばモノマーa)を特別に精製することが好ましい。適した精製法は、例えば、WO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載されている。適したモノマーa)は、例えば、WO2004/035514A1に従って精製されたアクリル酸であって、アクリル酸99.8460質量%、酢酸0.0950質量%、水0.0332質量%、プロピオン酸0.0203質量%、フルフラール0.0001質量%、無水マレイン酸0.0001質量%、ジアクリル酸0.0003質量%及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.0050質量%を有する。
【0023】
モノマーa)の全体量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、特に有利には少なくとも90モル%、極めて有利には少なくとも95モル%である。
【0024】
モノマー溶液は、好ましくは、そのつど中和されていないモノマーa)を基準として、せいぜい250質量ppm、有利にはせいぜい130質量ppm、特に有利にはせいぜい70質量ppm並びに有利には少なくとも10質量ppm、特に有利には少なくとも30質量ppm、殊に約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、中和されたモノマーa)、すなわち、モノマーa)の塩が、中和されていないモノマーとして計算上考慮される。例えば、該モノマー溶液の製造のために、相応するヒドロキノン半エーテルの含有量を有する、エチレン性不飽和の酸基含有モノマーが用いられることができる。
【0025】
有利なヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はα−トコフェロール(ビタミンE)である。
【0026】
適した架橋剤b)("内部架橋剤")は、架橋に適した少なくとも2個の基を有する化合物である。この種の基は、例えば、ポリマー鎖中にラジカル重合導入されることができるエチレン性不飽和基、及びモノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0027】
架橋剤b)は、好ましくは、ポリマー網目構造にラジカル重合導入されることができる少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えば、EP0530438A1に記載されるような、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、EP547847A1、EP559476A1、EP0632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載されるような、ジアクリレート及びトリアクリレート、DE10331456A1及びDE10355401A1に記載されるような、アクリレート基の他に更なるエチレン性不飽和基を有する混合アクリレート、又は、例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/032962A2に記載されるような架橋剤混合物である。
【0028】
有利な架橋剤b)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、10〜20箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、10〜20箇所エトキシル化されたトリメチロールエタントリアクリレート、特に有利には15箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコール鎖中に4〜30個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、3〜30箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリレート及びトリアクリレート、特に有利には10〜20箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリレート及びトリアクリレート、及びトリアリルアミンである。完全にはアクリル酸でエステル化されなかったポリオールは、この場合、それ自体によるマイケル付加物としても存在していてよく、そのことによって、テトラアクリレート、ペンタアクリレート又はより高次のアクリレートも存在していてよい。
【0029】
極めて有利な架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、ジアクリレート又はトリアクリレートを得るためにアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化されたポリエトキシル化グリセリン及び/又はポリプロポキシル化グリセリンである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートが特に好ましい。極めて有利なのは、1〜5箇所エトキシル化された及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジアクリレート又はトリアクリレートである。最も有利なのは、3〜5箇所エトキシル化された及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレート、殊に、3箇所エトキシル化されたグリセリンのトリアクリレートである。
【0030】
架橋剤b)の量は、そのつどモノマーa)を基準として、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に有利には0.1〜1質量%、極めて有利には0.3〜0.6質量%である。架橋剤含有量が増大するにつれて、遠心保持容量(CRC)は低下し、且つ0.3psi(AUL 0.3psi)の圧力下での吸収量は増大することになる。
【0031】
開始剤c)として、重合条件下でラジカルを作り出す全化合物、例えば、熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤を使用してよい。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸のような、熱開始剤とレドックス開始剤からの混合物が使用される。還元性成分として、しかし、好ましくは、2−ヒドロキシ−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸のジナトリウム塩と重亜硫酸ナトリウムからの混合物が使用される(L.Brueggemann KG(Salzstrasse 131,74076 Heilbronn,Deutschland,www.brueggemann.com)から入手されるBrueggolit(R)FF6M又はBrueggolit(R)FF7、それかBRUGGOLITE(R)FF6M又はBRUGGOLITE(R)FF7)。
【0032】
エチレン性不飽和の酸基含有モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、マレイン酸及び無水マレイン酸である。
【0033】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、メチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースのような変性セルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースを使用してよい。
【0034】
通常、モノマー水溶液が用いられる。該モノマー溶液の含水率は、好ましくは40〜75質量%、特に有利には45〜70質量%、極めて有利には50〜65質量%である。モノマー懸濁液、すなわち、過飽和モノマー溶液を使用することも可能である。含水量が増大するにつれて、引き続く乾燥に際してのエネルギー消費量が増大し、且つ含水量が下がるにつれて、重合熱はもはや不十分にしか排出されることができなくなる。
【0035】
有利な重合抑制剤は、最適な作用のために溶存酸素を必要とする。それゆえ、モノマー溶液から、重合前に、不活性化、すなわち、不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素による流過によって溶存酸素を取り除いてよい。好ましくは、重合前のモノマー溶液の酸素含有量は、1質量ppm未満に、特に有利には0.5質量ppm未満に、極めて有利には0.1質量ppm未満に低下される。
【0036】
モノマー混合物は、更なる成分を含有していてよい。この種のモノマー混合物中で使用される更なる成分の例には、キレート形成剤が挙げられ、そうして金属イオンが溶解状態に保たれる。
【0037】
適した重合反応器は、例えば混練反応器又はベルト型反応器である。混練機中で、水性のモノマー溶液又はモノマー懸濁液の重合に際して生じるポリマーゲルが、WO2001/38402A1に記載されるように、例えば反転撹拌シャフトによって連続的に微粉砕される。ベルト上での重合は、例えばDE3825366A1及びUS6,241,928に記載されている。ベルト型反応器中での重合に際して、更なる方法工程、例えば肉挽き機、押出機又は混練機中で破砕されなければならないポリマーゲルが生じる。或いはまた、球状の超吸収体粒子も、懸濁重合法、噴霧重合法又は滴下重合法によって製造されることができる。
【0038】
得られたポリマーゲルの酸基は、通常は部分的に中和されている。中和は、好ましくは、モノマーの段階で実施され、言い換えれば、酸基含有モノマーの塩又は厳密に言えば酸基含有モノマーと酸基含有モノマーの塩の混合物("部分的に中和された酸")が成分a)として重合に用いられる。通常これは、中和剤を、水溶液又は有利には固体としても、重合のために意図されたモノマー混合物中に又は有利には酸基含有モノマー若しくはその溶液に混入することによって行われる。中和度は、一般的に少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%、及び特に有利な形態では20モル%、例えば少なくとも40モル%、又は、例えば少なくとも50モル%並びに一般的にせいぜい95モル%、有利にはせいぜい85モル%、及び特に有利な形態ではせいぜい80モル%である。
【0039】
通常の中和剤が用いられることができる。これは、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにそれらの混合物である。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩も用いられることができる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属カチオンとして特に有利であるが、しかしながら、極めて有利なのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及び第一級アルカノールアミン、第二級アルカノールアミン及び第三級アルカノールアミン並びにこれらの中和剤の混合物である。
【0040】
本発明による超吸収体は、しかしながら、中和剤として、それに加えて又はもっぱら、少なくとも1種の第三級アルカノールアミンをいずれにしても含有する。一般的に、超吸収体中の酸基の少なくとも5モル%が、第三級アルカノールアミンによって中和されており、有利には少なくとも10モル%、及び特に有利な形態では少なくとも20モル%が中和されている。第三級アルカノールアミンの他に、超吸収体は、全体として所望の中和度(すなわち、全ての酸基の中で中和された酸基の割合(モル%記載))を調整するために更なる中和剤を含有していてよい。例えば、超吸収体は、アルカノールアミンで部分的に、且つナトリウム又はカリウムといったようなアルカリで部分的に中和されていてよい。全体の中和度は、本発明による超吸収体の場合、一般的に少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも50モル%、及び特に有利には少なくとも60モル%並びに一般的にせいぜい95モル%、好ましくはせいぜい85モル%、及び特に有利にはせいぜい80モル%である。しかしながら、超吸収体は、実質的に第三級アルカノールアミン以外に別の中和剤を含有せず、すなわち、不可避の不純物又は別の中和剤の些細な量を除いて、第三級アルカノールアミンで中和されていることが有利である。殊に、超吸収体は、不可避の不純物を除いて、第三級アルカノールアミン以外に別の中和剤を含有していないことが有利である。
【0041】
中和を重合後に、重合に際して生じるポリマーゲルの段階で実施することも可能である。さらに、中和剤の一部をすでにモノマー溶液に加え、且つ所望の最終中和度を重合後に初めて、ポリマーゲルの段階で調整することによって、酸基の一部を重合前に中和することが可能である。例えば、第三級アルカノールアミンでモノマーの段階で部分的に中和し、且つ第1級アルカノールアミン又は第2級アルカノールアミン又は水酸化ナトリウムのようなアルカリで重合後に所望の最終中和度を調整してよく、又はこの添加順序を逆にしてもよい。ポリマーゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合、該ポリマーゲルは、好ましくは機械的に、例えば押出機によって微粉砕され、その際、中和剤を吹き付けるか、振り掛けるか又は注ぎ込み、次いで入念に相互に混合してよい。そのために、得られたゲル材料を、なお何度か均質化のために押出してよい。
【0042】
この後中和は、好ましくは乾燥前に行われる。
【0043】
しかしながら、中和をモノマーの段階で実施することが有利である。言い換えれば:極めて有利な実施形態では、モノマーa)として、所望の中和度に相当するのと同じだけのモル%の酸基含有モノマーの塩と残留分(合わせて100モル%の酸基含有モノマーとなる)からの混合物が使用される。この混合物は、例えば、トリエタノールアンモニウムアクリレートとアクリル酸からの混合物である。
【0044】
アルカノールアミンは、モノマーの段階での中和に際して、又はポリマーの後中和に際して純粋に又は溶剤若しくは溶剤混合物中の溶液として用いられることができる。アルカノールアミン用の溶剤として、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はアセトンを用いてよく、その際、水又は溶剤なしの使用が有利である。
【0045】
用いられる第三級アルカノールアミンは、一価、多価又は多官能価の塩基であってよい。アルカノールアミンは、それらのアミノ基及びヒドロキシル基に加えて、例えばエステル、ウレタン、エーテル、チオエーテル、尿素等のような更なる官能基を有していてよい。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、ジメチルアミノジグリコール、N,N,N',N'−テトラ−(ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラ−(ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン、ジメチルアミノトリグリコール、ジエチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロピルアミノエタノール、水酸化コリン、炭酸コリンのような低分子化合物、それに例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドール又は別のエポキシドと反応させられたアミノ基含有の重合体又は縮合体のようなオリゴマー又はポリマー、少なくとも二官能性の低分子アルカノールアミンと、該アルカノールアミンのヒドロキシル基又はアミノ基のいずれかと反応することができる、カルボン酸、エステル、エポキシド又はイソシアネートのような試薬とからの反応生成物が使用されることができる。
【0046】
有利には用いられる第三級アルカノールアミンは、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノジグリコール、ジメチルエタノールアミン及びN,N,N',N'−テトラ−(ヒドロキシエチル)−エチレンジアミンである。トリエタノールアミンが極めて有利である。
【0047】
有利な実施形態では、中和のために、鉄の含有量が一般的に10質量ppmを下回り、好ましくは2質量ppmを下回り、及び特に有利には1質量ppmを下回る中和剤が用いられる。同様に、塩化物並びに塩素の酸素酸のアニオンの低い含有量も所望されている。
【0048】
水溶液重合及び場合により事後の中和から得られたポリマーゲルは、次いで、残留湿分率が、好ましくは0.5〜15質量%、特に有利には1〜10質量%、極めて有利には2〜8質量%となるまで(残留湿分率又は含水率の測定法は下記を参照されたい)、好ましくはベルト型ドライヤーで乾燥される。残留湿分が高すぎると、乾燥されたポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度Tgを有し、且つ、さらに加工するにも必ず困難を伴う。残留湿分が低すぎると、乾燥されたポリマーゲルは脆性すぎ、且つ引き続く微破砕工程において、不所望にも小さすぎる粒径を有するポリマー粒子("fines")が大量に生ずる。ゲルの固形分含有率は、乾燥前に、一般的に25〜90質量%、好ましくは30〜80質量%、特に有利には35〜70質量%、極めて有利には40〜60質量%である。任意に、或いはまた、流動層ドライヤー、又は、例えばショベル型ドライヤーのような機械的な混合ユニットを有する加熱可能なミキサー若しくは別様に形作られた混合ツールを有する類似のドライヤーも用いられることができる。任意に、ドライヤーは、酸化黄変現象を防止するために、窒素若しくは別の非酸化性不活性ガス下で又は少なくとも酸素の減少された分圧下で運転されることができる。或いはまた、通常の場合、十分な通気及び水蒸気の排出も、許容可能な製品に結び付く。色及び製品品質の点について好ましいのは、一般に、出来る限り短い乾燥時間である。慣例のベルト型ドライヤーの場合、通常の運転様式では、そのために、乾燥のために用いられるガスの温度は、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも80℃、及び特に有利な形態では少なくとも100℃の並びに一般的にせいぜい250℃、好ましくはせいぜい200℃、及び特に有利な形態ではせいぜい180℃に調整される。慣例のベルト型ドライヤーは、しばしば複数のチャンバーを有し、これらのチャンバー内の温度は異なっていてよい。すべてのドライヤータイプにおいて、運転条件は全体的に、所望の乾燥結果が達成されるように公知の通り選択されるべきである。
【0049】
乾燥の間、ポリマー粒子中の残留モノマー含有量も減少し、且つ開始剤の最終的な残留分が破壊される。
【0050】
この後で、乾燥されたポリマーゲルは粉砕及び分級され、その際、粉砕のために通常用いられる単段式又は多段式のロールミル、有利には二段式又は三段式のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又は振動ミルが使用されることができる。しばしば内側でまだ乾燥していない過大なゲル塊状物はエラストマーであり、粉砕に際しての問題に結び付き、且つ、好ましくは粉砕前に分離され、このことは、空気分級又は篩(ミル用の"保護篩")によって簡単に行われることができる。篩のメッシュ幅は、用いられるミルを考慮に入れて、過大なエラストマー粒子による妨害が可能な限り発生しないように選択されるべきである。遅くとも粉砕によって、乾燥されたポリマーゲル(これは、用いられる重合装置及び場合によっては反応器の後で用いられる微粉砕装置に応じて、すでに砕けやすくあり得る)から、粒状超吸収体、つまり、個々の粒子の形態における超吸収体が生じる。
【0051】
超吸収体は、通常は、所望の粒径分布の生成物を得るために引き続き分級される。これは、通常の分級法、例えば空気分級によって、又は適したメッシュ幅の篩による篩分によって行われる。超吸収体の衛生適用の典型的な篩画分は、せいぜい1000μm、好ましくはせいぜい900μm、特に有利にはせいぜい850μm、及び極めて有利にはせいぜい800μmである。例えば、700μm、650μm又は600μmのメッシュ幅を有する篩が用いられる。分離された粗大なポリマー粒子("篩上")は、コスト最適化のために、粉砕サイクル及び篩サイクルに再供給してよいか又は別個に更に加工してよい。
【0052】
過度に低い粒径を有するポリマー粒子は、透過性(SFC)を低下させる。それゆえ、好ましくは、この分級に際しては、微細なポリマー粒子も分離される。これは、篩分される場合には、せいぜい300μm、好ましくはせいぜい200μm、特に有利にはせいぜい150μ、及び極めて有利にはせいぜい100μmのメッシュ幅を有する篩によって都合よく用いられることができる。分離された微細なポリマー粒子("篩下"又は"fines")は、コスト最適化のために、任意に、モノマー流、重合性ゲル又は完全に重合したゲルに、該ゲルの乾燥前に再び供給されることができる。
【0053】
生成物画分として分離されたポリマー粒子の平均粒径は、衛生適用において、一般的に少なくとも200μm、有利には少なくとも250μm、及び有利な形態では少なくとも300μm、並びに一般的にせいぜい600μm及び有利にはせいぜい500μmである。少なくとも150μmの粒径を有する粒子の割合は、一般的に少なくとも90質量%、有利には少なくとも95質量%、及び特に有利には少なくとも98質量%である。せいぜい850μmの粒径を有する粒子の割合は、一般的に少なくとも90質量%、有利には少なくとも95質量%、及び特に有利には少なくとも98質量%である。
【0054】
超吸収体のより具体的な使用に応じて、他の粒径分布が選択されることができる。一般的に、超吸収体を含有する熱可塑性混合物の成形法での使用のために、これまで本発明によらない超吸収体で用いていたのと同じ粒径が選択される。これは、衛生適用において通常用いられる粒径よりしばしば小さい。押出法においては、例えば、5〜50μmか或いは50〜150μmの篩画分がしばしば選択される。
【0055】
超吸収体の多数の他の公知の製造法の場合、殊に懸濁重合、噴霧重合又は滴下重合の場合、プロセスパラメーターの選択によって粒径分布が規定される。これらの方法の場合、所望の粒径の粒状超吸収体が直接生じることから、粉砕工程及び篩工程がしばしば省かれることができ、多数の方法(殊に噴霧重合又は滴下重合の場合)において、固有の乾燥工程もしばしば省かれることができる。本発明による超吸収体の製造法の特有の構成は、本発明にとって重要ではない。
【0056】
これまで記載されたように製造されたポリマーは、超吸収特性を有し、且つ"超吸収体"の概念に含まれるそのCRCは概して比較的高く、それに対して、そのAUL又はSFCは比較的低い。表面後架橋されなかったこの種の超吸収体が、そこから製造された表面後架橋された超吸収体と区別されるために、しばしば"基本ポリマー"又は"ベースポリマー"と呼ばれる。
【0057】
任意に、超吸収体粒子は、特性の更なる改善のために、殊にAUL及びSFC値を高めるために(その際、CRC値は低下する)、その表面で後架橋される。超吸収体の後架橋は自体公知である。
【0058】
適した後架橋剤は、超吸収体粒子の少なくとも2個の官能基と結合を形成することができる基を含有する化合物である。市場に広く出回っているアクリル酸/アクリル酸ナトリウムをベースとする超吸収体は、少なくとも2個のカルボキシレート基と結合を形成することができる基を含有する、表面後架橋された適した化合物である。有利な後架橋剤は以下のものである:
・ ジエポキシド又はポリエポキシド、例えばジグリシジル化合物又はポリグリシジル化合物、例えばホスホン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル又はポリアルキレングリコールのビスクロロヒドリンエーテル、
・ アルコキシシリル化合物、
・ ポリアジリジン、アジリジン単位を含有する、ポリエーテル又は置換された炭化水素をベースとする化合物、例えばビス−N−アジリジノメタン、
・ ポリアミン又はポリアミドアミン並びにそれらとエピクロロヒドリンとの反応生成物、
・ ポリオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、メチルトリグリコール、平均分子量Mw200〜10000を有するポリエチレングリコール、ジグリセリン及びポリグリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、これらのポリオールのオキシエチラート並びにそれらとカルボン酸とのエステル又は炭酸、例えばエチレンカーボネート又はプロピレンカーボネート、
・ 炭酸誘導体、例えば尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノン及びその誘導体、ビスオキサゾリン、ポリオキサゾリン、ジイソシアネート及びポリイソシアネート、
・ ジ−及びポリ−N−メチロール化合物、例えばメチレンビス(N−メチロール−メタクリルアミド)又はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、
・ 2個以上のブロックされたイソシアネート基を有する化合物、例えば2,2,3,6−テトラメチル−ピペリジノン−4でブロックされたトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート。
【0059】
任意に、酸性触媒、例えばp−トルエンスルホン酸、リン酸、ホウ酸又はリン酸二水素アンモニウムを添加してよい。
【0060】
特に適した後架橋剤は、ジ−又はポリグリシジル化合物、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドアミンとエピクロロヒドリン、2−オキサゾリジノン及びN−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノンとの反応生成物である。
【0061】
上述の選択肢からの個々の後架橋剤又は種々の後架橋剤の任意の混合物が使用されることができる。
【0062】
後架橋剤は、一般的に、該後架橋剤が加えられた基本ポリマーの質量をそのつど基準として、少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.02質量%、特に有利な形態では少なくとも0.05質量%の量で、並びに一般的にせいぜい2質量%、好ましくはせいぜい1質量%、特に有利な形態ではせいぜい0.3質量%、例えばせいぜい0.15質量%又はせいぜい0.095質量%の量で使用される。
【0063】
通常、後架橋は、後架橋剤の溶液を、乾燥された基本ポリマー粒子上に吹き付けるようにして実施される。吹き付けに続けて、後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子は熱乾燥され、その際、該後架橋反応は、乾燥前でも乾燥中にも行ってよい。重合可能な基を有する表面後架橋剤が使用される場合には、表面後架橋は、慣用のラジカル形成剤を用いた、或いは、例えばUV光のような高エネルギー線を用いた、係る基のラジカル誘起重合によっても行われることができる。これは平行して行ってよいか、又は基本ポリマー粒子の表面で官能基に対する共有結合又はイオン結合を形成する後架橋剤を使用する代わりに行ってよい。
【0064】
表面後架橋剤のための溶剤として、通常用いられる適した溶剤、例えば水、アルコール、DMF、DMSO並びにそれらの混合物が使用される。特に有利なのは、水、及び水/アルコール混合物であり、例えば水/メタノール、水/1,2−プロパンジオール及び水/1,3−プロパンジオールである。後架橋剤溶液中の後架橋剤の濃度は、後架橋剤溶液を基準として、概して1〜20質量%、好ましくは1.5〜10質量%、特に有利には2〜5質量%である。
【0065】
後架橋剤溶液の吹き付けは、好ましくは可動式混合ツールを有するミキサー中で、例えばスクリュー型ミキサー、ディスク型ミキサー、パドル型ミキサー若しくはショベル型ミキサー又は他の混合ツールを有するミキサー中で実施される。しかしながら、特に有利なのは縦型ミキサーである。或いはまた後架橋剤溶液を流動層中で吹き付けることも可能である。適したミキサーは、Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH(Elsener−Strasse 7−9,33102 Paderborn,Germany)社製のPflugschar(R)ミキサーとして、又はHosokawa Micron BV(Gildenstraat 26,7000 AB Doetinchem,the Netherlands)社製のSchugi(R)Flexomix(R)ミキサー、Vrieco−Nauta(R)ミキサー又はTurbulizer(R)ミキサーとして入手される。
【0066】
後架橋剤溶液又はすでに基本ポリマーに、公知のように界面活性剤又は解凝集助剤が添加されることができる。全てのアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の界面活性剤が解凝集助剤として適しているが、しかしながら、有利なのは、皮膚適合性の理由から非イオン性及び両性の界面活性剤である。界面活性剤は窒素も含有してよい。例えば、ソルビタンモノエステル、例えばモノヤシ油脂肪酸ソルビタン及びモノラウリン酸ソルビタン、又はそれらのエトキシル化された変種、例えばPolysorbat 20(R)が添加される。更なる適した解凝集助剤は、商標名Lutensol XL(R)及びLutensol XP(R)で販売される(BASF SE,Carl−Bosch−Strasse 38,67056 Ludwigshafen,Germany)2−プロピルヘプタノールのエトキシル化及びアルコキシル化された誘導体である。解凝集助剤は、別個に計量供給されるか又は後架橋剤溶液に添加されることができる。好ましくは、解凝集助剤は、後架橋剤溶液に単純に添加される。基本ポリマーを基準とした解凝集助剤の使用量は、例えば、0〜0.1質量%、好ましくは0〜0.01質量%、特に有利には0〜0.002質量%である。好ましくは、膨潤した基本ポリマー及び/又は膨潤した後架橋された超吸収体の水抽出物の表面張力が、23℃で少なくとも0.060N/m、好ましくは少なくとも0.062N/m、特に有利には少なくとも0.065N/m、及び好ましくはせいぜい0.072N/mとなるように、解凝集助剤が計量供給される。
【0067】
基本ポリマー粒子の表面上での表面後架橋剤と官能基との反応による実際の表面後架橋は、たいていの場合、表面後架橋剤溶液で濡らされた基本ポリマーの、通常は"乾燥"と呼ばれる(しかし、よりずっと多くの液体が概して除去される必要のある、重合からのポリマーゲルの上記の乾燥と混同されるべきでない)加熱によって実施される。乾燥は、ミキサー自体中で、ジャケットの加熱によって、熱交換器表面によって又は暖かいガスを送り込むことによって行なわれることができる。超吸収体と表面後架橋剤との同時混合及び乾燥は、例えば流動層ドライヤー中で行われることができる。しかし乾燥は、たいていの場合、後接続されたドライヤー中で、例えば箱形ドライヤー、回転管炉、パドルドライヤー又はディスクドライヤー又は加熱可能なスクリュー中で実施される。適したドライヤーは、例えば、Bepex International LLC(333 N.E.Taft Street,Minneapolis,MN 55413,U.S.A)社製のSolidair(R)若しくはTorusdisc(R)ドライヤーとして、又はNara Machinery Co.,Ltd.(ヨーロッパ支社、Europaallee 46,50226 Frechen,Germany)社製のショベル型ドライヤー若しくは箱形ドライヤー、或いはまた流動層ドライヤーとして入手される。
【0068】
有利な乾燥温度は、100〜250℃、有利には120〜220℃、特に有利には130〜210℃、極めて有利には150〜200℃の範囲にある。反応ミキサー又はドライヤー中のこの温度での有利な滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に有利には少なくとも20分、極めて有利には少なくとも30分であり、及び通常はせいぜい60分である。概して、超吸収体が、一般的に少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.2質量%及び特に有利な形態では0.5質量%、並びに一般的にせいぜい15質量%、好ましくはせいぜい10質量%及び特に有利な形態ではせいぜい8質量%の残留湿分率を有するように乾燥は行われる。
【0069】
本発明の1つの実施形態では、付加的に基本ポリマーの粒子表面の親水性が錯体の形成によって変性される。粒子の外側シェル上での錯体の形成は、二価又は多価のカチオンの溶液を吹き付けることによって行われ、その際、該カチオンは、ポリマーの酸基と反応して錯体を形成し得る。二価又は多価のカチオンの例は、形式的に全体的に又は部分的にビニルアミンモノマーから合成されたポリマー、例えば部分的に又は完全に加水分解されたポリビニルアミド(いわゆる"ポリビニルアミン")であって、そのアミン基は常に−非常に高いpH値でも−部分的にアンモニウム基にプロトン化されて存在するポリマー、又は金属カチオン、例えばMg2+、Ca2+、Al3+、Sc3+、Ti4+、Mn2+、Fe2+/3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Y3+、Zr4+、La3+、Ce4+、Hf4+、及びAu3+である。有利な金属カチオンは、Mg2+、Ca2+、Al3+、Ti4+、Zr4+及びLa3+であり、及び特に有利な金属カチオンは、Al3+、Ti4+及びZr4+である。該金属カチオンは、単独でも、互いに混合物としても使用されることができる。挙げられた金属カチオンの内では、使用されるべき溶剤に十分な溶解性を持つ全ての金属塩が適している。特に適しているのは、弱錯体生成アニオン、例えば塩化物イオン、硝酸イオン及び硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、二水素リン酸イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンを有する金属塩である。特に有利な形態では、アルミニウム硫酸塩が使用される。金属塩用の溶剤として、水、アルコール、DMF、DMSO並びにこれらの成分の混合物が使用されることができる。特に有利なのは、水、及び水/アルコール混合物であり、例えば水/メタノール、水/1,2−プロパンジオール及び水/1,3−プロパンジオールである。
【0070】
二価又は多価のカチオンの溶液による基本ポリマーの処理は、表面後架橋剤による処理と同じように、任意の乾燥工程を含めて行われる。表面後架橋剤及び多価カチオンは、共通の溶液中で又は別個の溶液として吹き付けられることができる。超吸収体粒子への金属塩溶液の吹き付けは、表面後架橋の前でも後でも行われることができる。特に有利な方法では、金属塩溶液の吹き付けは、架橋剤溶液の吹き付けと同じ工程で行われ、その際、双方の溶液は、別個に連続して又は同時に2つのノズルを介して吹き付けられるか、又は架橋剤及び金属塩溶液は、まとめて1つのノズルを介して吹き付けられることができる。
【0071】
しかし、表面後架橋及び/又は錯化剤による処理に続けて乾燥工程が実施される限りにおいては、生成物を乾燥後に冷却することが必ずしも必要でないということが好ましい。冷却は、連続的に又は不連続的に行われることができ、都合よくは、生成物はそのために連続的に、ドライヤーに後接続された冷却器に移送される。そのために、粉末状の固体から熱を排出するためにすべての公知の装置、殊に乾燥装置として上で言及されたすべての装置が、該装置に、熱媒体ではなく、例えば冷却水のような冷却媒体が加えられることで、いかなる熱も、壁を通してや、構造に応じて攪拌ユニット又はそれ以外の熱交換器表面を通しても超吸収体に取り込まれることなく、そこから排出される限りにおいて使用されることができる。有利なのは、生成物が移動させられる冷却器、つまり、冷却ミキサー、例えばショベル型冷却器、ディスク型冷却器又はパドル型冷却の使用である。超吸収体は、流動層中でも、冷気のような冷却されたガスを送り込むことによって冷却されることができる。冷却の条件は、更なる加工のために所望された温度を有する超吸収体が得られるように調整される。概して、一般的に少なくとも1分間、好ましくは少なくとも3分間、及び特に有利な形態では少なくとも5分間、並びに一般的にせいぜい6時間、好ましくはせいぜい2時間、及び特に有利な形態ではせいぜい1時間の冷却器中での平均滞留時間が調整され、且つ冷却能力の調節は、得られた生成物が、一般的に少なくとも0℃、好ましくは少なくとも10℃、及び特に有利な形態では少なくとも20℃、並びに一般的にせいぜい100℃、好ましくはせいぜい80℃、及び特に有利な形態ではせいぜい60℃の温度を有するように行われる。
【0072】
表面後架橋された超吸収体又は混合物は、任意に通常の方法で粉砕及び/又は篩分される。粉砕は、ここでは概して必要とされないが、しかし、たいていの場合、生成物の所望の粒径分布の調整のために、形成された凝集物又は細粒の篩分除去が付け加えられる。凝集物及び細粒は廃棄されるか、又は好ましくは公知の方法で、且つ適した箇所で処理に返送される;微粉砕後の凝集物。表面後架橋された超吸収体に所望された粒径は、基本ポリマーの時と同じ粒径である。
【0073】
任意に、超吸収体粒子の表面に、製造法での各処理工程において、必要であれば、全ての公知の添加物質又はコーティング、例えば造膜性ポリマー、熱可塑性ポリマー、デンドリマー、ポリカチオン性ポリマー(例えばポリビニルアミン、ポリエーテルイミン又はポリアリルアミン)、非水溶性の多価金属塩、例えば炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム又はリン酸カルシウム、当業者に公知の全ての水溶性の一価又は多価の金属塩、例えば硫酸アルミニウム、ナトリウム塩、カリウム塩、ジルコニウム塩又は鉄塩、又は親水性の無機粒子、例えば粘度鉱物、熱分解法シリカ、コロイド状シリカゾル、例えばLevasil(R)、二酸化チタン、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムが付加的に施与されることができる。有用なアルカリ金属塩の例は、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム、乳酸ナトリウム及び乳酸カリウム、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム及びソルビン酸カリウムである。それによって、付加的な効果、例えば製造法のそれぞれの処理工程における最終生成物又は中間生成物のケーキング傾向の減少、加工特性の改善又は液体誘導性(SFC)の更なる上昇が達成されることができる。添加剤が分散液の形態で使用され、且つ吹き付けられる場合、該添加剤は、有利には水性分散液として使用され、且つ有利には、なお付加的に除塵剤が、超吸収体の表面上に添加剤を固定するために施与される。次いで除塵剤は、無機粉状添加剤の分散液に直接加えられるか、場合により別個の溶液として、無機粉状添加剤の塗布前、塗布の間、又は塗布後に吹き付けによって加えられることもできる。最も好都合なのは、後架橋剤、除塵剤及び粉状無機添加剤を後架橋において同時に吹き付けることである。更なる変法においては一方で、除塵剤は、別個に冷却器中に、例えば吹き付けによって、上方から、下方から又は側方から添加される。粉状無機添加剤を超吸収体粒子の表面に固定するためにも利用されることができる特に適した除塵剤は、400〜20000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール、ポリグリセリン、3〜100箇所エトキシル化されたポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール及びネオペンチルグリコールである。特に適しているのは、7〜20箇所エトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、例えばPolyol TP 70(R)(Perstorp、SE)である。殊に後者は、それが超吸収体粒子の水抽出物の表面張力をほんの少ししか下げないという利点を有する。
【0074】
同様に、本発明による超吸収体は、所望の含水率へと水を添加することによって調整することも可能である。
【0075】
全てのコーティング、固形分、添加物及び助剤は、それぞれ別個の方法工程で添加されることができるが、しかしながら、たいていの場合、最も好都合な方法は、それらを−それらが表面後架橋剤による基本ポリマーの架橋の間には添加されない場合は−超吸収体に冷却器中で、例えば溶液を吹き付けるか又は微細な固体の形態で若しくは液体の形態で添加することである。
【0076】
本発明による超吸収体は、一般的に、少なくとも5g/g、好ましくは少なくとも10g/gの、及び特に有利な形態では少なくとも20g/gの遠心保持容量(CRC)を有する。CRCの更なる適した最小値は、例えば25g/g、30g/g又は35g/gである。通常、それは40g/gを超えない。表面後架橋された超吸収体のCRCの典型的な範囲は28〜33g/gである。
【0077】
本発明による超吸収体は、概して、少なくとも18g/g、好ましくは少なくとも20g/g、有利には少なくとも22g/g、特に有利には少なくとも23g/g、極めて有利には少なくとも24g/g、及び通常は30g/gを超えない圧力下での吸収量(AUL 0.7psi、測定法は下記を参照されたい)を有する。
【0078】
本発明による超吸収体は、さらに、少なくとも10×10-7cm3s/g、好ましくは少なくとも30×10-7cm3s/g、有利には少なくとも50×10-7cm3s/g、特に有利には少なくとも80×10-7cm3s/g、極めて有利には少なくとも100×10-7cm3s/g、及び通常は1000×10-7cm3s/g超えない液体誘導性(SFC、測定法は下記を参照されたい)を有する。
【0079】
本発明による超吸収体は、公知の超吸収体も使用されるすべての目的に使用されることができる。殊に本発明による超吸収体は、液体、殊に水又は水溶液が吸収される全ての技術分野において使用されることができる。これらの分野は、例えば貯蔵、包装、輸送(感水性又は感湿性の品物用の包装材料の構成成分として、花の輸送用に、それに機械的な作用から保護するものとして);家畜衛生(キャットリター);食品包装(魚、新鮮な肉の輸送;新鮮な魚の包装又は新鮮な肉の包装における水、血液の吸収);薬(絆創膏、火傷包帯用の又は他の湿潤性創傷用の吸水性材料)、化粧品(医薬品及び薬剤用の担体材料、リウマチプラスター、超音波ゲル、冷却ゲル、化粧品増粘剤、日焼け止め);油/水エマルジョン若しくは水/エマルジョン用の増粘剤、テキスタイル(テキスタイル、靴の中敷きにおける湿度制御、例えば防護服、手袋、ヘッドバンドにおける蒸発冷却のために);化学工学的適用(酵素のような大きい機能性分子を固定化するための、有機反応における触媒として、凝集に際しての接着剤、蓄熱剤、濾過助剤、ポリマーラミネート中の親水性成分、分散剤、液化剤として);粉末射出成形に際しての助剤、建築及び建設における助剤として(ロームをベースとする下塗りへの、振動抑制媒体としての導入、水量の多い基層におけるトンネル掘削、ケーブル被覆に際しての助剤);水処理、廃棄物処理、水分離(除水剤、再利用可能なサンドバッグ);洗浄;農産業(灌漑、雪解け水及び霜露の保持、堆肥添加剤、菌類/害虫発生からの森林保護、植物への作用物質の遅延放出);消防のために又は消火のために;熱可塑性ポリマー中の共押出剤(例えば多層フィルムの親水化のために);水を吸収することができる熱可塑性成形体(これはフィルムを含む)の製造(例えば雨水及び露結水を貯蔵する農業用フィルム;湿潤フィルムに包装される果物及び野菜を新鮮に保つための超吸収体を含有するフィルム;例えば、肉類、魚類、食用飼鳥類、果物及び野菜のような食品包装用の超吸収体−ポリスチレン共押出物);又は作用物質調製物中の担体物質として(医薬品、植物保護)である。
【0080】
本発明による超吸収体の有利な使用は、熱可塑性混合物の構成成分、殊に成形体への成形が予定されている熱可塑性混合物の構成成分としての使用である。本発明による熱可塑性混合物、その加工法及びその加工法により製造された成形体は、それらが本発明による超吸収体を含有するか又は本発明による超吸収体が添加されているという点で公知のものとは区別される。
【0081】
超吸収体を含有するこの種の熱可塑性混合物は自体公知である。それらは通常、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレート、塩化ポリビニル、ポリアミド、ポリカーボネート若しくはポリウレタン又はコポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー若しくはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、又は係るポリマー及び/又はコポリマーからの混合物の割合を含有する。混合物中での熱可塑性物質の割合は少なくとも、材料が全体的に熱可塑性物質と同じように加工されることができるほど高くなければならない。
【0082】
そのうえまた熱可塑性混合物は、本発明による超吸収体を含有する。その割合は少なくとも、水を吸収する所望の特性が達成されるほど少ない。
【0083】
熱可塑性物質及び超吸収体に加えて、熱可塑性混合物は、該熱可塑性混合物に及び/又は該熱可塑性混合物から製造された成形体に所望の特性を付与する更なる成分を含有してよい。それに関する例は、充填剤、例えば無機充填剤、例えば、無機酸化物、例えばシリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物又はジルコン酸化物、カーボンブラック、粒状エラストマー、例えばゴム粒子、又はこの種の目的のために知られた他の任意の添加物質である。
【0084】
本発明による混合物は、通常の方法で製造され、且つ成形体へと加工される。そのために一般的に、熱可塑性混合物が作製され、加熱によって成形可能なものにされ、引き続き成形される。
【0085】
熱可塑性混合物は、成形前に製造されることができるが、或いはまた成形の間に製造されることもできる。混合物が成形前に製造される場合、そのために通常、熱可塑性物質が溶融され、且つ他の成分が混入される。次いで混合物は直接成形されることができるか、又は冷却され且つ半製品へと成形されることができる。この種の半製品(例えばペレット)は、最終生成物へと成形するために他の場所に輸送されることができる。或いはまた混合物は、例えば熱可塑性物質を押出機に供給し、且つ押出機の別の箇所で更なる成分を供給することによって、成形の間に作製されることもできる。同様に可能なのは、所望の最終組成物の部分を予め混合し、且つ成形の間に、残りの成分を加えることである。これら全ては熱可塑性物質加工の公知の手段である。
【0086】
所望の成形体の最終的な組成を成形後になって初めて調整することも可能であるし望ましいとされ得る。例えば、超吸収体は、実際の成形−例えば熱可塑性フィルムの製造−後、これに施与されることができる。
【0087】
熱可塑性混合物の成形は、熱可塑性物質を成形するための公知の任意の方法により行われる。それに関する例は、押出成形、射出成形、ブロー成形、深絞り成形、カレンダー成形又は圧縮成形である。本発明による超吸収体に特に適している方法は押出成形である。押出成形によって、フィルムも含めた、ほぼ任意の形状が製造可能である。
【0088】
本発明の更なる対象は、熱可塑性混合物からの成形体であり、その際、本発明による超吸収体が該混合物の構成成分である。
【0089】
試験法
超吸収体粒子は、次に記載される試験法によって試験される。次に記載される"WSP"と呼ばれる標準試験法は、"Worldwide Strategie Partners" EDANA(欧州不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association),Avenue Eugene Plasky,157,1030 Brussels,Belgium,www.edana.org)及びINDA(不織布工業会(Association of the Nonwoven Fabrics Industry),1100 Crescent Green,Suite 115,Cary,North Carolina 27518,U.S.A.,www.inda.org)から共同発行された"Standard Test Methods for the Nonwovens Industry",2005 editionに記載される。この刊行物はEDANA又はINDAから入手可能である。
【0090】
次に記載される全ての測定は、他に記載がない場合、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対湿度で実施されるべきである。超吸収体粒子は、他に記載がない場合、測定前に十分に完全混合される。
【0091】
遠心保持容量(CRC,Centrifuge Retention Capacity)
超吸収体の遠心保持容量(CRC)は、標準試験法No.WSP 241.5−02 "Centrifuge Retention Capacity"に従って測定される。
【0092】
荷重下吸収量(AUL 0.7psi,0.7psiの圧力下での吸収量)
4826Pa(0.7psi)の圧力下での超吸収体の吸収量も同様に、標準試験法No.WSP 242.2−05 "Absorption under Pressure"に従って測定され、その際、しかしながら、49g/cm2の重み(0.7psiの圧力につながる)が、21g/cm2の重み(0.3psiの圧力につながる)の代わりに用いられる。
【0093】
液体誘導性(SFC,"食塩水流れ誘導性")
超吸収体により液体吸収によって形成された膨潤したゲル層の液体誘導性は、0.3psi(2068Pa)の圧力負荷下で、EP640330A1に記載されるように、超吸収体粒子からの膨潤したゲル層(そこでは"吸収性ゲル化材料"について"AGM"と呼ばれる)の"ゲル層透過性(GLP)"として測定され、その際、前述の特許出願の第19頁及び図8に記載された装置は、ガラスフリット(40)がもはや使用されず、プランジャー(39)が円筒体(37)と同じポリマー材料から成り、且つここで全載置面にわたって均一に分布して21個の同一サイズの穿孔を含むように変更が加えられている。該測定の手順並びに評価は、EP640330A1と変わらない。流量は自動的に検知される。
【0094】
液体誘導性(SFC)は、次のように計算される:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)、
式中、Fg(t=0)は、NaCl溶液の流量(g/秒)であり、これは流量測定のデータFg(t)の線形回帰分析に基づいてt=0に対する外挿法によって得られ、L0は、ゲル層の厚さ(cm)であり、dは、NaCl溶液の比重(g/cm3)であり、Aは、ゲル層の面積(cm2)であり、且つWPは、ゲル層上の静水圧(dyn/cm2)を表す。
【0095】
超吸収体の湿分量(残留湿分、含水量)
超吸収体の含水量は、標準試験法No.WSP 230.2−05 "Moisture Content"に従って測定される。
【0096】
粒径
生成物画分の粒径は、標準試験法No.WSP 220.2−05 "Particle Size Distribution"に従って測定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーをベースとする粒状超吸収体において、該酸基の少なくとも5モル%が、少なくとも1種の第三級アルカノールアミンで中和されていることを特徴とする粒状超吸収体。
【請求項2】
前記酸基の少なくとも20モル%が、少なくとも1種の第三級アルカノールアミンで中和されていることを特徴とする、請求項1記載の超吸収体。
【請求項3】
前記酸基の少なくとも40モル%が、少なくとも1種の第三級アルカノールアミンで中和されていることを特徴とする、請求項2記載の超吸収体。
【請求項4】
第三級アルカノールアミンとは異なる中和剤を実質的に含有しないことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の超吸収体。
【請求項5】
前記第三級アルカノールアミンがトリエタノールアミンであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の超吸収体。
【請求項6】
少なくとも1個の酸基を含有する少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーを架橋剤の存在下で重合させることによって、請求項1から5までのいずれか1項において定義された超吸収体を製造する方法において、該重合前、該重合中に又は該重合後に、該酸基の少なくとも5モル%を少なくとも1種の第三級アルカノールアミンで中和することを特徴とする方法。
【請求項7】
熱可塑性混合物の構成成分としての、請求項1から5までのいずれか1項において定義された超吸収体の使用。
【請求項8】
熱可塑性混合物を成形する方法であって、その際、該熱可塑性混合物を、加熱によって成形可能にする方法において、請求項1から5までのいずれか1項において定義された超吸収体を、該熱可塑性混合物の構成成分として使用することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記方法が押出工程を包含することを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
熱可塑性混合物から形成された成形体において、請求項1から5までのいずれか1項において定義された超吸収体が、該混合物の構成成分であることを特徴とする成形体。

【公表番号】特表2013−503214(P2013−503214A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525977(P2012−525977)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061658
【国際公開番号】WO2011/023536
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】