説明

転写具

【課題】 転写シートを傷つけることなく、保管、運搬等を容易に行うことができる転写具を提供することを目的としている。
【解決手段】 ケース2と、このケース2内に巻回されて収納され、該ケース2に形成された開口部5から外側に引き出し可能な帯状の転写シート3とを備え、前記ケース2内に、前記転写シート3が巻き付けられる軸部6を正逆方向に回転自在に設け、該軸部6を、前記ケース2の外面に正逆方向に回転自在に設けられた操作ダイヤル10に連結する。したがって、転写シート3を使用した後に、運送、保管する際には、前記操作ダイヤル10を回転させることにより、前記軸部6を巻き戻し方向に回転させて、転写シート3を軸部6に巻き取ってケース2内に巻回された状態で収納しておくことによって、該転写シート3を傷つけることなく、その保管、運搬等を容易に行う。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、文字、記号、図形等を台紙等に転写する際に用いられる転写シートを備えた転写具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図面やデザイン画を描く際において、これらに文字、記号、図形等を描くには、例えば、テンプレートを使用してペンによって書き込むか、あるいは、レタリングシートと称される転写シートを使用して、該転写シートから文字や記号を転写するインスタントレタリングによって行っている。
前記転写シートは、樹脂等で形成されたシートの裏面側に、文字や記号等をインキ等によって特殊加工してなるものであり、シート表面側から軽く擦ると該シートから文字や記号が剥がれ台紙に転写できるようになっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、前記転写シートは薄い長方形状をなしており、折れ曲がったり、損傷したりし易いので、保管、運搬等がしずらいという問題がある。
特に、多種類かつ多数の文字や記号が描かれた転写シートは、それ自体が大きくなってしまって、保管、運搬等が相当しずらくなる。
【0004】
本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、転写シートを傷つけることなく、その保管、運搬等を容易に行うことができる転写具を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の請求項1の転写具は、ケースと、このケース内に巻回されて収納され、該ケースに形成された開口部から外側に引き出し可能な帯状の転写シートとを具備してなるものである。
前記転写シートは、上述したようなインスタントレタリングに使用されるレタリングシートであってもよいし、昇華型転写法、アイロンプリント法等の加熱転写に使用される転写シートであってもよい。
また、転写シートの先端部には、該転写シートを引き出す際に掴む掴み部を取付けるのが望ましい。
【0006】
この請求項1の転写具にあっては、転写を行う際には、転写シートをケースに形成された開口部から引き出して使用することによって行い、一方、運送、保管等の際には、転写シートをケース内に巻回された状態で収納しておくことによって、該転写シートを傷つけることなく、その保管、運搬等を容易に行うことができる。
【0007】
請求項2の転写具は、請求項1において、前記ケース内に、前記シートが巻き付けられる軸部を正逆方向に回転自在に設け、該軸部を、前記ケースの外面に正逆方向に回転自在に設けられた操作ダイヤルに連結したものである。
前記操作ダイヤルは、例えば、端面の一部に操作用の穴が形成された円板と、この円板の中心部に立設された中心軸とによって構成する。
【0008】
そして、前記操作ダイヤルを前記ケースの外面に正逆方向に回転自在に設けるには、例えば、ケースの外側面に円形状の凹所を形成して、この凹所に前記操作ダイヤルの円板を回転自在にはめ込むとともに、この凹所の中心部にケース内に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔に前記中心軸を回転自在に挿通することにより行う。
また、前記軸部を前記操作ダイヤルに連結するには、該軸部を円筒状に形成し、その内側に操作ダイヤルの中心軸をはめ込むことにより行う。
【0009】
この請求項2の転写具にあっては、転写を行う際には、転写シートをケースに形成された開口部から引き出して使用することによって行い、一方、運送、保管等の際には、前記操作ダイヤルを回転させることにより、前記軸部を巻き戻し方向に回転させて、転写シートを軸部に巻き取ってケース内に巻回された状態で収納しておくことによって、該転写シートを傷つけることなく、その保管、運搬等を容易に行うことができる。
【0010】
請求項3の転写具は、請求項2において、前記軸部を、径方向に分割可能な一対の分割片で構成し、これら分割片によって前記転写シートの基端部を挾持したものである。
前記軸部を一対の分割片で構成するには、例えば、一方の分割片を、円筒状をなし、かつ外周面の一部に前記転写シートの端部が巻き付けられる巻付け部を一段低く形成したものとし、他方の分割片を、略半円筒をなし、かつ前記巻付け部に嵌合することによって、前記一方の分割片とで円筒状の軸部を構成するものとする。
【0011】
この請求項3の転写具にあっては、請求項2の転写具と同様にして保管、運搬等を行うが、ケース内の転写シートを全て使いきった際において、前記軸部を構成する一対の分割片を離して使用済みの転写シートを取り外した後、未使用の新しい転写シートを前記一対の分割片で挾持することによって、転写シートの取り替えを容易に行うことができる。
【0012】
請求項4の転写具は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記ケースに、前記転写シートの表面側を擦るための擦り部材を取り出し可能に収納したものである。
前記擦り部材は例えば棒状に形成し、この擦り部材をケースに取り出し可能に収納するには、ケースの下部に収納部を設けるとともに、該ケースの底壁に、収納部から擦り部材を取り出すための取出口を形成することにより行う。
【0013】
この請求項4の転写具にあっては、保管、運搬等は上記と同様にして行うが、転写を行う際には、前記擦り部材をケースから取り出して、台紙等に密着させた転写シートの表面側を前記擦り部材によって軽く擦ることによって行い、転写が終了したら、擦り部材をケースに収納する。
【0014】
【考案の実施の形態】
以下、図面を参照して本考案の転写具の実施の形態の一例を説明する。図1〜図3は本考案の転写具の一例を示すもので、図1は転写具の分解斜視図、図2は転写具の斜視図、図3は転写具の側断面図である。
これらの図に示す転写具1は、ケース2と、このケース2内に巻回されて収納された転写シート3とを備えて構成されている。
【0015】
前記ケース2は、左右一対の半ケース2a,2bで構成されており、これら半ケース2a,2bは互に対向されて接合されている。この接合は、左側のケース2aの内側面に形成された円筒部4…に、右側のケース2bの内側面に形成された図示しない軸を挿脱自在に挿入することにより行われており、したがって、ケース2は、半ケース2a,2bを引き離すことによって容易に開くことができるようになっている。また、前記半ケース2a,2bのそれぞれの外周部には、スリット5a,5aが形成されており、これらスリット5a,5aは半ケース2a,2bを接合することによって、前記転写シート3を外側に引き出すための開口部5を構成するようになっている。
【0016】
前記転写シート3は、樹脂等で形成されたシート3aの裏面側に、文字や記号
等をインキ等によって特殊加工してなる帯状のものであり、シート3aの表面側から軽く擦ると該シート3aの裏面から文字や記号が剥がれ台紙に転写できるようになっている。また、前記シート3aの裏面側には、当該シート3aの裏面側に加工された文字や記号等を保護する保護シート3bが軽く貼着されており、この保護シート3bは、文字や記号を台紙に転写する際には、シート3aから剥がされるようになっている。
【0017】
さらに、前記転写シート3は軸部6に巻き付けられてケース2内に収納されている。前記軸部6は径方向に分割可能な一対の分割片7,8で構成されている。
一方の分割片7は、略円筒状をなしており、その外周面の一部には、前記転写シート3の基端部を巻き付けるための巻付け部7aが一段低く形成されている。
また、他方の分割片8は、略半円筒をなしており、前記巻付け部7aに若干弾性的に撓むことで着脱自在に嵌合できるようになっている。
そして、前記転写シート3は、その基端部を前記一方の分割片7の巻付け部7aに巻き付けたうえで、この巻付け部7aに他方の分割片8を嵌合することで、転写シート3の基端部が挾持され、さらに軸部6の外周部に巻き付けられている。
さらに、前記転写シート3の先端部は、前記ケース2に形成された開口部5から外側に延出されており、その先端には、転写シート3を引き出す際に掴む掴み部9が取付けられている。
【0018】
また、前記ケース2を構成する右側の半ケース2bには、操作ダイヤル10が正逆方向に回転自在に設けられている。
すなわち、前記操作ダイヤル10は、端面の一部に操作用の窪み11aが形成された円板11と、この円板11の端面中心部に立設された中心軸12とによって構成されている。
一方、前記半ケース2bの外側面には、前記操作ダイヤル10の円板11とほぼ同径か若干大径の円形状の凹所13が形成されており、この凹所13の中心部には、前記操作ダイヤル10の中心軸12とほぼ同径か若干大径の貫通孔13aが形成されている。
そして、前記操作ダイヤル10は、その中心軸12を前記貫通孔13aに回転自在に挿通するとともに、円板11を前記凹所13に回転自在にはめ込むとともに、ことによって、半ケース2bに回転自在に設けられている。
【0019】
また、前記操作ダイヤル10の中心軸12は前記ケース2内に突出されており、該中心軸12は、外周部にキー14aが形成された円筒状のキー部材14の内側に嵌入されている。
一方、前記転写シート3が巻き付けられる円筒状の軸部6の内周面には、キー溝6aが形成されており、該軸部6内には、前記キー部材14がそのキー14aをキー溝6aにはめ込んで挿通されている。
したがって、前記軸部6はキー部材14を介して前記操作ダイヤル10の中心軸12に連結されており、操作ダイヤル10の回転に伴って回転するようになっている。
【0020】
さらに、前記ケース2の半ケース2aの内側下部には、内壁15が形成されており、この内壁15と半ケース2aの底壁16との間に、収納部17が設けられている。また、前記底壁16には、該底壁16の一部を矩形状に切り欠いてなる取出口17aが形成されており、この取出口17aから前記収納部17に擦り部材18が取り出し可能に収納されている。この擦り部材18は、前記転写シート3から台紙等に文字や記号を転写する際に該転写シート3の表面側を擦るものであり、棒状に形成されている。
そして、転写を行う際には、前記擦り部材18を収納部17から取り出して、台紙等に密着させた転写シート3の表面側を前記擦り部材18によって軽く擦ることによって行い、転写が終了したら、擦り部材18を収納部17に収納するようになっている。
【0021】
上記構成の転写具1を使用して転写を行う際には、転写シート3の先端部の掴み部9を掴んで引っ張ることによって、転写シート3をケース2に形成された開口部5から引き出す。
一方、運送、保管等の際には、前記操作ダイヤル10を回転させることにより、前記軸部6を巻き戻し方向に回転させる。すると、転写シート3が軸部6に巻き取られてケース2内に巻回された状態で収納される。したがって、転写シート3を傷つけることなく、その保管、運搬等を容易に行うことができる。
【0022】
また、ケース2内の転写シート3を全て使いきった際は、前記半ケース2a,2bを引き離すことによってケース2を開き、前記軸部6を構成する一対の分割片7,8を離して使用済みの転写シート3を取り外した後、未使用の新しい転写シートを前記一対の分割片7,8で挾持し、さらに、ケース2を閉めて前記操作ダイヤル10を巻取り方向に回転させることによって、転写シート3を軸部6に巻き取ってケース2内に巻回された状態で収納することによって、転写シート3の取り替えを容易に行うことができる。
【0023】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案の請求項1の転写シートは、ケースと、このケース内に巻回されて収納され、該ケースに形成された開口部から外側に引き出し可能な帯状の転写シートとを具備してなるものであるから、運送、保管等の際には、転写シートをケース内に巻回された状態で収納しておくことによって、該転写シートを傷つけることなく、その保管、運搬等を容易に行うことができる。
【0024】
請求項2の転写具は、請求項1において、前記ケース内に、前記シートが巻き付けられる軸部を正逆方向に回転自在に設け、該軸部を、前記ケース本体の外面に正逆方向に回転自在に設けられた操作ダイヤルに連結したものであるから、転写シートを使用した後に、運送、保管する際には、前記操作ダイヤルを回転させることにより、前記軸部を巻き戻し方向に回転させて、転写シートを軸部に巻き取ってケース内に巻回された状態で収納しておくことによって、該転写シートを傷つけることなく、その保管、運搬等を容易に行うことができる。
【0025】
請求項3の転写具は、請求項2において、前記軸部を、径方向に分割可能な一対の分割片で構成し、これら分割片によって前記転写シートの基端部を挾持したものであるから、ケース内の転写シートを全て使いきった際において、前記一対の分割片を離して使用済みの転写シートを取り外した後、未使用の新しい転写シートを前記一対の分割片で挾持することによって、転写シートの取り替えを容易に行うことができる。
【0026】
請求項4の転写具は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記ケースに、前記転写シートの表面側を擦る擦り部材を取り出し可能に収納したものであるから、転写を行う際に使用する擦り部材をすぐに用意することができ、また、この擦り部材によって、転写シートの表面側軽く擦ることによって転写を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の転写具の一例を示すもので、転写具の分解斜視図である。
【図2】同、斜視図である。
【図3】同、側断面図である。
【符号の説明】
1 転写具
2 ケース
3 転写シート
5 開口部
6 軸部
7,8 分割片
10 操作ダイヤル
18 擦り部材

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ケースと、このケース内に巻回されて収納され、該ケースに形成された開口部から外側に引き出し可能な帯状の転写シートとを具備してなることを特徴とする転写具。
【請求項2】 前記ケース内には、前記転写シートが巻き付けられる軸部が正逆方向に回転自在に設けられ、該軸部が前記ケースの外面に正逆方向に回転自在に設けられた操作ダイヤルに連結されていることを特徴とする請求項1記載の転写具。
【請求項3】 前記軸部が径方向に分割可能な一対の分割片で構成され、これら分割片によって前記転写シートの基端部が挾持されていることを特徴とする請求項2記載の転写具。
【請求項4】 前記ケースに、前記転写シートの表面側を擦るための擦り部材が取り出し可能に収納されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の転写具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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