転写胴

【課題】印刷機の印刷装置の新規な転写胴を創出することを課題とする。
【解決手段】本発明は印刷機の印刷装置の転写胴（１０）であって、当該転写胴に複数のブランケットプレート（１２）を張設するために当該転写胴に組み込まれた緊締装置を有する転写胴に関する。本発明によれば、当該緊締装置は緊締手段（１５）を含んでおり、当該緊締手段は前記転写胴の周方向において互いにずれを有するとともに、前記転写胴の軸方向においてそれぞれ貫通している前記転写胴（１０）の二つの張り溝（１６）に組み込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、請求項１のおいて書き部に記載された、印刷機の印刷装置の転写胴に関する。
【背景技術】
【０００２】
印刷機の印刷装置の転写胴を用いて、すなわち、当該転写胴に配置された少なくとも一つの転写版を用いて、印刷装置のインキ装置によって当該印刷装置の版胴に配置された少なくとも一つの印刷版に塗布された印刷インキは、印刷されるべき被印刷材料に転写され得る。転写胴に配置される転写版の場合、基本的にブランケットとブランケットプレートとの区別がなされる。ブランケットプレートはメタルバックブランケットとも呼ばれる。ブランケットプレートもしくはメタルバックブランケットは、金属の担体層を備えており、当該担体層上に、印刷転写を行うためのゴム層が設けられている。
【０００３】
ブランケットプレートはブランケットに対して以下のような有利点を有している。すなわち、ブランケットプレートを用いると、当該ブランケットプレートを転写胴に張設するための張り溝をより小さく実現することができる。従ってブランケットの使用に対して、ブランケットプレートの使用は有利である。
【０００４】
しかしながら、ブランケットプレートはブランケットに対して以下のような不利点を有している。すなわち、金属の担体層の製造は手間がかかるとともに高価であり、特に、大きな版型のブランケットプレートを、大きな直径を有する転写胴に張設する必要がある場合は、コストが嵩む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上記の点に鑑み、本発明は印刷機の印刷装置の新規な転写胴を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記の課題は、請求項１に記載の転写胴によって解決される。
【０００７】
本発明によれば緊締装置は緊締手段を含んでおり、当該緊締手段は転写胴の周方向において互いにずれを有するとともに、当該転写胴の軸方向においてそれぞれ貫通している当該転写胴の二つの張り溝に組み込まれている。
【０００８】
本発明によって以下のような転写胴が初めて提案される。すなわち、転写胴の軸方向において貫通しているとともに、当該転写胴の周方向において互いにずれを有する二つの張り溝を備え、それぞれの張り溝内にブランケットプレートを張設するための緊締手段が組み込まれている転写胴である。これによって転写胴の直径が大きく、それとともに円周が大きい場合であっても、当該転写胴に比較的小さな版型のブランケットプレートを配設することが可能となる。これによって、ブランケットプレート、すなわち当該ブランケットプレートの金属の担体層を製造するためのコストが減少する。それによって、大きな円周もしくは大きな直径を有する転写胴においても、ブランケットプレートもしくはメタルバックブランケットの経済的な使用が可能である。
【０００９】
本発明の有利なさらなる構成は従属請求項および下記の詳細な説明に記載されている。本発明の実施の形態を、図面に基づいて以下により詳しく説明するが、本発明は当該実施の形態に限定されるものではない。図面に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明に係る転写胴の斜視図である。
【図２】本発明に係る転写胴の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
本発明は輪転印刷機、特にロール紙印刷機の印刷装置の転写胴に関する。当該転写胴には、ブランケットプレートを張設するための緊締装置が組み込まれている。ブランケットプレートはメタルバックブランケットもしくはメタルブランケットとも呼ばれる。
【００１２】
図１は本発明に係る転写胴１０の斜視図を示している。当該転写胴は側方のジャーナル１１を介して、図に示されていない印刷機の架台に回転自在に軸受けされ得る。
【００１３】
図２は転写胴の一部を当該転写胴に張設されたブランケットプレート１２とともに示している。ブランケットプレート１２のそれぞれは、金属の担体層１３と、当該担体層１３上に設けられるとともに印刷インキの転写に用いられるゴム層１４とを備えている。
【００１４】
本発明に係る転写胴は、すでに述べた通り、ブランケットプレート１２を当該転写胴に張設するための緊締装置を備えており、本発明に係る転写胴１０の当該緊締装置は緊締手段１５を含み、当該緊締手段は転写胴１０の周方向において互いにずれを有するとともに、転写胴１０の軸方向において貫通している二つの張り溝１６に組み込まれている。従って本発明に係る転写胴１０は、転写胴１０の軸方向において貫通しているとともに、当該転写胴の周方向において互いにずれを有する二つの張り溝１６を備え、それぞれの張り溝１６にブランケットプレート１２のための緊締手段１５が配設されている。このとき転写胴１０の軸方向において貫通している二つの張り溝１６は、当該転写胴の周方向において互いに１８０°のずれを有している。
【００１５】
従って、本発明に係る転写胴１０には、当該転写胴の周方向において二つのブランケットプレートを前後に連続して張設することができる。当該転写胴の軸方向においては好適に、一つのブランケットプレートが当該転写胴に張設可能であるが、軸方向において複数のブランケットプレートを並べて、当該転写胴に張設可能とすることもできる。
【００１６】
軸方向において一つのブランケットプレートが転写胴１０に張設可能であるか、あるいは複数のブランケットプレートが転写胴１０に張設可能であるかに関わらず、周方向においてはそれぞれ、二つのブランケットプレートを前後に連続して当該転写胴に張設することができる。
【００１７】
転写胴１０の軸方向において貫通している二つの張り溝１６においてそれぞれ、第一のブランケットプレート１２の前縁１７と、周方向において第一のブランケットプレートの後ろに配置される第二のブランケットプレート１２の後縁１８が、緊締可能である。このとき、同一の張り溝１６に設けられる、前後に連続して配置されたブランケットプレート１２の端部もしくは縁は、張り溝１６内で同一の緊締手段１５を介して緊締可能である。
【００１８】
本発明に係る転写胴１０が、軸方向において貫通しているとともに、周方向において互いにずれを有する張り溝１６を備えることによって、ブランケットプレート１２に対して、小さな版型のブランケットプレート、すなわち小さな版型の金属の担体プレート１３を用いることができる。このために、ブランケットプレート１２を製造するためのコストが減少し、それによって、大きな直径もしくは大きな円周を有する転写胴において、ブランケットプレート１２の経済的な使用が可能となる。
【符号の説明】
【００１９】
１０転写胴、１１ジャーナル、１２ブランケットプレート／メタルバックブランケット、１３担体層、１４ゴム層、１５緊締手段、１６張り溝、１７前縁、１８後縁

【特許請求の範囲】
【請求項１】
印刷機の印刷装置の転写胴であって、当該転写胴に複数のブランケットプレートを張設するために当該転写胴に組み込まれている緊締装置を有する転写胴において、
前記緊締装置は、緊締手段（１５）を含んでおり、
当該緊締手段は、前記転写胴の周方向において互いにずれを有するとともに、前記転写胴の軸方向においてそれぞれ貫通している前記転写胴の二つの張り溝（１６）に組み込まれていることを特徴とする転写胴。
【請求項２】
請求項１に記載の転写胴において、
当該転写胴には、周方向において、二つのブランケットプレートが前後に連続して張設可能であることを特徴とする転写胴。
【請求項３】
請求項２に記載の転写胴において、
当該転写胴には、軸方向において、一つのブランケットプレートが張設可能であることを特徴とする転写胴。
【請求項４】
請求項２に記載の転写胴において、
当該転写胴には、軸方向において、複数のブランケットプレートが隣接して張設可能であることを特徴とする転写胴。
【請求項５】
前記転写胴の軸方向においてそれぞれ貫通している前記二つの張り溝（１６）は、前記転写胴の周方向において互いに１８０°ずれていることを特徴とする請求項１から４のいずれか一項に記載の転写胴。
【請求項６】
前記転写胴の軸方向においてそれぞれ貫通している二つの張り溝（１６）において、第一のブランケットプレート（１２）の少なくともそれぞれ前縁（１７）と、周方向において当該第一のブランケットプレートの後ろに配置される第二のブランケットプレート（１２）の少なくともそれぞれ後縁（１８）と、が緊締可能であることを特徴とする請求項５に記載の転写胴。

【図１】