説明

転動運搬装置

この発明は、本質的にわずかの構成要素から構成される。すなわち、ガイドレール6、6’、5’であって、それぞれ自由に回転可能な複数のローラ2を備えた転動体1、1’、8がそこに配置され、転動体のローラ間で自由に変位可能である複数の運搬体10と動作上で相互作用する。転動体はそれ自体閉じた軌道を形成するが、それらは引きも押しもされないので、チェーンではない。運搬体は単独で変位され、それぞれ転動体間で駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はマテリアルハンドリング技術の分野に関連するとともに、材料、物体などの運搬のための運搬装置に関し、この装置は、材料または物体を積込むためのいかなる手段も装備することができる。この発明は、少数の低価格な手段によりあらゆる運搬経路または運搬軌道を生成することができ、その上で流れるような運搬を行うことが可能であることによって特徴付けられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
この発明は、本質的にわずかな構成要素からなる。すなわち、1つまたは2つのガイドレールからなり、そこに転動体、または自由に回転する複数のローラ、ボール、シリンダなどを備えたローラの組み合せが配置され、転動体のローラ上またはその間で変位することができる複数の運搬体を備える。転動体は、例えばそれ自身閉じた回路を形成するが、それはチェーンではない。チェーンとは異なり、引かれも押されもしないからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
図1Aおよび図1Bは、この発明による例示的な運搬装置の軌道の1片、または一部を分解図で示す。この例において、ガイドレール6のうち1つは係合溝またはガイド溝7を含み、転動体1のローラ2はその中で自由に回転することができる。ローラの組み合せとしての転動体1は、接続ピース4からなり、その上で複数のローラ2が軸3上で自由に回転可能であるよう配置される。ガイドレール6’とローラ2を備えた転動体1’との同じ構成が、対として鏡像でさらに存在する。その間に(複数のうちの)2つの運搬体10が見え、運搬体は、ローラ本体1および1’ならびにレール6および6’との動作上の接続を行うために、その両側面の長手方向に、ローラ2が自由かつ駆動されずに動くための係合溝またはガイド溝11を含み、この示された実施例では、後者はレール6からレール6’まで延在し、運搬体10の転動変位を可能にしている。ローラ2は、用いられるローラ直径の最大1/5から1/3分だけ、対応するガイド溝7および11に係合する。概略的に図示された運搬体10は、例えば搬送される材料用のクランプを取付けるためのレセプタクル12を含む。運搬体10がそれによって動き、または駆動される、1つの駆動部または数個の駆動部は図示されない。2つのガイドレール6および6’を互いから同じ距離でともに保持する接続プレート5がその下に示される。述べたように、すべての図は任意の長さおよび任意の経路における運搬軌道の部分を示すのみである。変形例は図の説明に続いて説明される。
【0004】
転動体1または1’、および、装置のさらなる実施例では、転動体8(図Aおよび図B参照)が、以下の態様で設計され得る。接続ピース4は弾性材料から製造され、ローラ2のための軸3がそこに固定される。軸3は台座を含み(ここでは示されない)、それはローラ2が接続ピース4と接触するのを防ぎ、換言すればローラ2が自由に回転可能であるようにする。ローラ2が軸3の上に置かれ、軸3から分離することを適切に防ぐように、その上端部に固定される。この実施例では、ローラ本体がガイドレール6、6’のいずれかの軌道形状に適合することが可能である。接続ピース4の材料として利用することができるのは、例えばプラスチックバンド(リボン)であり、ローラ2用には硬質プラスチック材料、および軸3については金属ピンが使用可能な材料である。
【0005】
運搬体10は、ローラ2と同じ材料から製造され得る。運搬体は連結して駆動され、一方が他方を押す。この種の駆動部では、互いに離れて配置された数個の運搬駆動部によって、例えば接続プレート5を通して下から、またはレセプタクル12上で側面から、係合
をもたらすことが可能である。
【0006】
本質的な点は、ガイド溝11内のローラ2の係合が、動作性が減じられることなく比較的大きな遊びを含むことができることである。これは、製造中、高精度を必要とすることなく装置の構成要素を大量に生産する可能性を与え、それにより費用面で非常に有益な効果を有する。この機械的構造として比較的緩いアセンブリにもかかわらず、運搬体は絹のように柔軟な、ほとんど流れるような態様で動き、その結果、一種の流れるようなマテリアルハンドリング技術と称することが可能である。
【0007】
この発明の上述の目的が、実施例の好ましい例に基づいてより詳細に下記に記載され、添付の図面に示される。
【0008】
図面に用いられた符号およびその意味は、符号表中に要約して挙げられる。一般に図面では、同じ態様で作用する同一の構成要素または類似の構成要素は、同じ参照符号を与えられる。
【0009】
このコンテキストで下記に注意されたい。例示は素描の形式であって完成した構造ではなく、物理的な描写はすべて全体の部分である。全体は、それぞれそれ自体閉じた軌道であり得、転動体、運搬体の列およびガイドレールは、それぞれそれ自体に戻っていく。
【0010】
図2Aおよび図2Bは、転動運搬装置の異なる実施例の一部を分解図で示す。図1Aおよび図1Bに示された実施例に加えて、第3の転動体8(例外的に1と指定されないが、転動体1と同じ製造にかかるのが有利である)が運搬体10の真下に配置され、その位置は図2Bによる正面図において容易に見られる。転動体8のローラ2を導く運搬体10は、係合溝またはガイド溝11’を含む。同じく、修正された接続プレート5’は、ガイドレールに類似する係合溝またはガイド溝7’を含む。運搬体10のガイド溝11’の深さは、用いられるローラ直径の1/5未満までにすることができる。運搬体に全くそれ(ガイド溝)なしで済ませること、およびローラ2が単に負荷を支持する役目をするだけとすることも考えられる。この実施例は、例えば重い負荷に適し、その場合には追加的な転動体8が負荷の相当部分を引継ぐことができる。さらに、ローラの組み合せとしてのローラ2または転動体8の設計が、特により大きな負荷に対して実現され得る。同じことがガイドレール6、6’、5にもあてはまる。
【0011】
この実施例は、外形に合わせた運搬、すなわち、数レベル以上の、例えば郵便配達センタ内の小包または空港での旅客の手荷物などの物品の運搬に適する。流れがよく、がたつきがなく、扱いやすく、可能な限り連続的な、費用のかからない設備による運搬が常に市場で要求されており、それはこの発明によるこの種の装置によって容易に満たされる。
【0012】
図3A、図3Bおよび図3Cは、さらなる実施例の一部を分解図で示す。運搬体10は、本質的に60度の角度を備えた一種の角柱の形状に設計される。2つの転動体1および1’は運搬体の表面に直角に配置され、その結果、それ自体互いの方へ傾く(本質的には、それらは120度の角度を形成する)。ローラ2の間の「先端」において、例えばクランプ、フックまたは類似の手段を取付るためのレセプタクル12が配置される。対向して位置する平らな側面には運搬歯部9が見られ、その上に、駆動モータ19を備える様式化した駆動装置20があり、軸18を通じて、ここでは星形の駆動輪16を両矢印で示される両方の回転方向に駆動することができる。運搬延伸部がより長い場合には、この種の駆動装置20は転動運搬装置全部にわたって分散されて配置される。運搬延伸部にわたって分散されたいくつかの駆動装置を与えるほうが単一のものより有利である。このように、単一の駆動部のすぐ後ろに1つの大きなギャップがある代りに、「ギャップの分散」が期待される。このコンテキストでは、すべての駆動装置がシステムに対して同じ運搬速度を
与えることが当然観察されなければならず、それはこのモータ制御用手段を備えれば問題はない。
【0013】
この実施例は、例えば部屋の天井に配置するのに好適である。図3Cは天井15への取付部を示し、それはさらに例えば脚部にともにUベントの外観を有してもよく、また、その上部側に固定穴14を含み、穴を通して天井に取付ることができる。ガイドレール領域には固定ネジが見え、それによって天井取付部がガイドレールと接続する。図に示されるこの種の取付部は、駆動部と直接組み合わせることもできる。さらに、この種の懸架および駆動の実施例は、運搬延伸部全体にわたって分散されて配置することもできる。
【0014】
図3A、図3B、図3Cはそれぞれ、転動運搬装置の一部を多くの運搬体のうち1つのみとともに様式化した形状で示し、装置は、それぞれ詳細に示す転動体1、1’と、ガイドレール6、6’と、カバー15を有する駆動部20とを備え、後者の要素は懸架装置と考えられ、運搬軌道全体に沿って互いに少し離れて配置され得る。
【0015】
図4A、図4Bおよび図4Cは他の実施例を示し、ローラの組み合せとして、ローラの代わりに(ローラ2に類似する)ボール2’が利用される。図4Aおよび図4Bでは、運搬体10は、生成されるギャップを通してボールが見えるように、多少引き離されて示される。互いに押し合う運搬体は、組立てられた形では有意のギャップを有しない。ガイドレール6および6’と運搬体10との間のギャップは、用いられるボール直径の約1/3にまでなる。ガイド溝7、11は、当然ボール形状に適合される。さらに、ローラ本体1、1’には、ボール2’を受取るための接続体4を識別することができる(図4A)。
【0016】
図5A、図5Bおよび図5Cは、運搬体10の特定の変位のためのあり得る駆動部20の様式化した図を示し、運搬体10にはここで図示されない製品のために操作部、例えば平らな物体用のグリッパを取付けることができる。固定ブロック17内に導かれた、ここでは星形の駆動輪16が運搬体10の下側に係合し(例として図3Aおよび図5Cの運搬歯部9を参照)、駆動軸18を通じて駆動モータ19によって駆動される。例えば歯車に利用される歯部のような、駆動部と駆動される部分との間の他の型の係合も考慮され得るのは言うまでもない。駆動部は必要に応じて制御される。駆動部は、必要であれば両矢印に示されるように2つの回転方向に駆動することも可能であり、その結果、図の運搬体10は左にも右にも変位することができる。運搬体10によって形成される複数の運搬部全体の、それ自体閉じた軌道における運搬は、運搬装置中の駆動部であると考えられる。個別の駆動装置20は、運搬軌道の長さに依存して、さらなる駆動部が必要であるさまざまなポイントに取付けることができ、これは上述の「ギャップ分散」のコンテキストにもあてはまる。
【0017】
図6は、運搬体の特定の変位のためのあり得るさらなる駆動部20の様式化した図を示し、製品のための操作部、例えばグリッパを運搬体の上に取付ることが可能である。星形の駆動輪16に類似する、ここでは扇形の駆動輪16’は、駆動軸18を通じて駆動モータ19、例えばステッピングモータによって駆動される。様式化した保持装置、ここでは駆動軸18のための固定ブロック17がここで見られる。駆動輪16’の駆動角度は必要に応じ、状況に依存して調節される。角度は360度になっても、その一部のみになってもよく、必要に応じて双方向(両矢印参照)でもよく、その結果、図の運搬体10は左にも右にも変位することができるが、例えば停止中の正確な位置決めが必要であれば、部分的のみでも可能である。これはすべての運搬体それぞれの運搬にともに同時に関係する。
【0018】
図7A、図7Bおよび図7Cは、一方ですべての複数の運搬体のうち4つの運搬体10の形状を例として示し、他方では、例えば2つの方向9(横方向および上方向)に湾曲した軌道の僅かなカーブにおいて互いに係合して運搬され得る態様でこれらをともに配置し
たところを示す。運搬体10は、例えば操作部を取付けることができる手段を取付けるための、様式化したレセプタクル12を含む。さらに、ローラ本体1および1’のローラ2を係合するためのガイド溝11が見える。運搬体10は、ともに結合されていない場合、常に、引かれないで押されるので、外縁部に対してある角度Wのある傾斜面21によって2つの運搬体の間に接点を形成することにより、これらに延伸された可動運搬体の特性を与えることが有利である。図7Cは列の正面図を示し、2つの方向に曲がった軌道上における運搬体の転がり運動がここでよく見える。
【0019】
図8は、図7A、図7B、図7Cに類似するが、運搬軌道の半径がより小さい場合についての実施例の別の例を示す。第4の運搬体は、ゾーン内で形状がよく見えるようにするために他の運搬体からさらに距離をおいて示され、運搬体はここで互いに接触している。傾斜面21は、図7A、図7B、図7Cの場合よりも、運搬体の長手の縁部に対するより大きい角度Wを含む。さらなる実施例として、装置の運搬体10すべての例としての3つの運搬体10が、接続手段13、例えば弾性の接続部を通じてともに連結される。これにより、組立およびあり得るオーバーホールの際には操作がより容易になり、互いに対してある方向にローラ本体の間に挿入しなければならない個々の構成要素を、軌道を形成するために組立てる必要はない。図に示されるように、ガイド本体は、力を吸収することができるよう、例えばすべての側面でボールシェルとして、または相互に支持されることが可能である。
【0020】
図9Aおよび図9Bはそれ自体閉じた軌道の例を示す。既に指摘した通り、構成要素であるガイドレール6、6’、ローラ本体2、2’、および運搬体10は、閉じた軌道としてそれ自体に戻っていき、そのため閉じた軌道を形成し、任意の必要なやり方で空間的に配置されてもよい。これは、図9Aでは例えばリング形状の軌道であり、ここでも様式化した構成要素ガイドレール6、6’、ローラ2を備えたローラ本体、および取付手段のレセプタクル12を備えた運搬体10を示すため、詳細な図9Bに示すように、ギャップLを含むあるポイントで切れて開いている。これらの部分は、詳細図9Bにおいて拡大されて視認できる。
【0021】
図10Aおよび10Bは、転動体1、1’(ここではレセプタクル22またはローラ本体用の開口部を1つのみ備える)および接続ピース4が1ユニットを形成し、これらが接続体4を通じて、または接続手段4’によって互いに接続される場合の実施例を示す。この実施例は、半径の小さいカーブのまわりの運搬に特に適する。図10Aは第1の湾曲方向への湾曲を示し、(90度回転された)図10Bは第2の湾曲方向への湾曲を示す。これより、図10Aに対して180度反対側の、図10Bに対応する、さらなる湾曲方向も明らかである。したがってこの実施例で、カーブを備えた曲がった軌道のみならず、螺旋形の軌道上でも運搬が可能である。
【0022】
接続ピース4および転動体1、1’は、1ユニットを形成する。これらの図において、個々の部分はそれぞれ、ローラ本体、すなわちローラ2、ボール2’、シリンダ2”などを受取るか、またはそれぞれ組込むための、2つのレセプタクル22を含み、この態様で配置された複数のローラ本体は、それぞれ第1および第2の転動体1または1’を形成する。この種の複数の構成要素は、接続ピース4’によってともに接続される。さらには関節式の態様でともに接続されることも可能である。関係する適用例に従って選択することができるユニット間の距離は、マスタされるカーブ半径に直接的な影響を与える。図10Bではこの「曲がり」の場合には距離が短くてもよいことが容易に視認され、図10Aでは、これらの距離は運搬体の構造的形状によって制限されることが視認される。これは、接続体4を通じて接続された転動体1、1’が、図10Aに対して180度回転されて、曲がるようにされるとますます顕著である。
【0023】
図11Aおよび図11Bは、ボール2’の形状のローラ本体および追加的に2つのガイドレール6、6’のうち1つのガイドレール6を備えた、先ほど述べた実施例を示す。図11Aはカーブを上から示し、ボールは、動作可能な状態では、当然ガイド溝7に係合する。しかしながら、図11Bにおける異なる視点からは、視覚的なゆがみのために、もはやローラ本体1、1’のすべてのボール2’が見えるわけではない。しかしこの図は、この種の運搬装置をどのようにして組立てることができるかを実証するのに好適である。
【0024】
図11Cおよび図11Dは、ローラ本体として挿入されたボール2’、およびその間に単純な態様で配置された運搬体10を備えた、転動体/ローラ本体1、1’の要素または部分を示す。
【0025】
図12Aは、ローラ軸が2つの対向する尖った円錐24によって置換された場合の、転動体1または1’を、転動体、ここではローラ2またはシリンダ2”とともに示す(さらにボール2’も利用できる)。これらのローラ本体は接続体4に入れられ、接続体4はすべての種類のローラ本体、ローラ、ボール、シリンダなどのためのレセプタクル22を含む。この転動体1は、好ましくは弾性であるが可撓性ではないように設計され、その結果、異なる方向に向いた両矢印で示されるように、湾曲可能な態様でカーブ半径のまわりを動くことができるが、挿入されたローラ2またはシリンダ2”が安全なグリッパを有するために十分に硬い。この種の転動体は任意の長さに製造することができる。転動体は標準的な長さを含み、運搬体10とガイドレール6、6’との間の部分に配置されることも可能である。下記に、この種の転動体の興味深い適用例が説明される。
【0026】
ここで図12Bおよび図12Cは、図12Aによる転動体の利用を2つの視点から示す。2つのガイドレール6および6’を含むガイド本体26が見える。ガイドレール6、6’は湾曲し、ここでは1片として実現され、換言すれば、ガイド本体26は一方側に一方の、他方側に他方の運搬体のためのガイドがあり、転動体が配置されるか成型される態様で設計される。この1片としての設計に対応する運搬体10は、転動体1のローラ本体2”をガイドレールの一方側すなわち部分6上で転がすためのガイド溝11を含み、様式化して示されるように、他方側、したがって反対側には、固定ローラ(スライダ)であってもよい、ガイドレールすなわち部分6’に沿って走る、ローラ2を含む。この小型の実施例は、例えば壁を通る通路もしくは壁に沿った通路、もしくは床面高さの遷移部分の通路で、または軌道が螺旋形の場合において、スペースを理由に可能な限り小さな体積しか許容されない場合に特に適する。より大きな負荷については、運搬体10を転動体1に据える態様で運搬体に荷重を加え、より小さな負荷については、運搬体10が転動体1’とともにガイドレール6’に沿って動く、懸架された動作を選択することができる。
【0027】
図は両方とも3つの運搬体10を異なる位置で示す。第1の運搬体は、一方側のガイドレール6および他方側のガイドレール6’と係合する。運搬体10のガイド溝11とガイドレール6のガイド溝7との間に、部分しか示されない転動体1が滑り込む。反対側には、転動体の上で分かれた、ガイドレール6と係合するローラ2を備えた転動体1’がある。転動体1のための空間は図12Bにおいて容易に見える。第2の運搬体はガイドレールと係合しないが、転動体1は、図12Cにおいて容易に見えるガイド溝11に接近して位置する。第3の運搬体は、係合なしにガイドレール6の上に示され、そのためにその構造が容易に認識される。この種の図は、一方では構成要素の互いの係合を明確に示す位置に表わされ、他方では構成要素自体を明らかに示すよう選択された。設置する場合、ローラ本体および任意の数の運搬体を備えた軌道の長さが要件に適する態様で寸法決めされるのは言うまでもない。
【0028】
図13A、図13Bおよび図13Cはさらなる実施例を示し、この場合、転動体1、1’は、ともに接続されていない複数のローラ本体、ここでは(ローラ本体用のレセプタク
ル22を備える)スペーサケージ27内のボール2’から構成され、転動体はともに接近して運搬体10とガイドレール6との間に位置する態様で配置される。この実施例は実施例4に続くが明らかに特殊性を示しており、それは軌道にカーブがある場合に役割を果たす。ローラ本体、ここではボール2’は、スペーサケージ27およびローラ本体用のリング形レセプタクル22において回転可能に配置される。スペーサケージ27は、ボール2’を受取るためのみならず、ガイドレールと運搬体との間のスペーサとしても役立ち、それは図13Aに明示される。図13Bは図13Aの正面図であり、ガイド溝11を備えた運搬体10を示し、ガイド溝11は、ボール2’と溝との間の特別な構造を通して、ガイドレール6、6’(ガイドレール6’は示されない)のガイド溝7、7’に交わる両矢印Dの方向に運搬体10が変位され得る態様で遊びを含み、それは運搬体10の長手軸からのわずかなずれの形で示される。ガイドレールのカーブの場合、ここでは上向きまたは下向きであるが、2つのボール2’の上に延在する硬い運搬体10は軌道半径上にいわば傾くことができ、それは図13Cに両矢印Dで示される。図13Cは原理的構成を斜視図で示し、ガイドレール6の反対側においては同じ複数の転動体1’のボール要素2’が追加的に示され、次にそこに、示されないが、第2のガイドレール6’が隣接することができる。
【0029】
この発明は、概して以下のように要約することができる。運搬装置は、少なくとも1つの運搬体10と、それと動作可能に相互作用する、複数ではあるが少なくとも2つのローラ2、ボール2’、シリンダ2”などの転動体を備えた転動体1、1’とを含み、転動体1、1’は、ローラ本体2、2’、2”が少なくとも1つの運搬体10の変位中に自由に回転することができる態様で、ガイドレール6、6’、5および少なくとも1つの運搬体に配置される。転動体1、1’はローラの組み合せを形成し、例えばそれは、ローラ2および/またはボール2’またはシリンダ2”などを含むことができる。装置は1つまたはいくつかの転動体1、1’を含むことができる。2つの転動体1、1’は、互いに対向して運搬体10に対して平角で位置することができる。この角度が平角でないことも可能である。第3の転動体8は、付加的な負荷力を吸収することができる態様で、2つの転動体1、1’に相対して配置することができる。運搬体10は概して駆動されるが、転動体1、1’、8は駆動されない。ローラの組み合せは、運搬される運搬体10の回転支持部として役立ち、運搬体10とガイドレール6、6’、5との間に配置される。運搬体10には、運搬される品物を搬送するためのさまざまな種類の手段を取付けることができる。それらを鎖状の態様でともに繋ぐことも可能である。
【0030】
3つのサブアセンブリ、ガイドレール、転動体および運搬体は、必要な適用例に従ってそれぞれ設計される。絶対的相互速度を合わせて考慮すると、下記が適用可能である。
V(ガイドレール)=0 および
V(転動体)<V(運搬体)
これらは積極的な連動する態様でともに繋がれるが、互いに対して緩く導かれ、それにより一方では製造コストを低減する効果があり、他方では摩耗を減じる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】この発明の上述の実施例の図である。
【図1B】この発明の上述の実施例の図である。
【図2A】運搬体を導くための3つの転動体を備えた実施例の一部の図である。
【図2B】運搬体を導くための3つの転動体を備えた実施例の一部の図である。
【図3A】運搬体を動かすための様式化した駆動部を備えたさらなる実施例の一部の図である。
【図3B】運搬体を動かすための様式化した駆動部を備えたさらなる実施例の一部の図である。
【図3C】運搬体を動かすための様式化した駆動部を備えたさらなる実施例の一部の図である。
【図4A】ローラの代りにボールローラの組み合せを備えた実施例の図である。
【図4B】ローラの代りにボールローラの組み合せを備えた実施例の図である。
【図4C】ローラの代りにボールローラの組み合せを備えた実施例の図である。
【図5A】運搬体のための様式化した駆動部を備えた実施例の図である。
【図5B】運搬体のための様式化した駆動部を備えた実施例の図である。
【図5C】運搬体のための様式化した駆動部を備えた実施例の図である。
【図6】運搬体のための様式化した駆動部を備えた別の実施例の図である。
【図7A】三次元カーブにおける運搬体の列の図である。
【図7B】三次元カーブにおける運搬体の列の図である。
【図7C】三次元カーブにおける運搬体の列の図である。
【図8】互いの間に特別な形状のリンク継手を備えた運搬体の図である。
【図9A】この発明による閉じた軌道としての運搬装置の図である。
【図9B】この発明による閉じた軌道としての運搬装置の図である。
【図10A】急なカーブ半径に特に適した転動体の実施例の図である。
【図10B】急なカーブ半径に特に適した転動体の実施例の図である。
【図11A】挿入されたボールと2つのガイドレールのうち1つとを備えて示される転動体の実施例の図である。
【図11B】挿入されたボールと2つのガイドレールのうち1つとを備えて示される転動体の実施例の図である。
【図11C】挿入されたローラ体を備えた転動体の一構成要素およびガイド本体を示す正面図である。
【図11D】挿入されたローラ体を備えた転動体の一構成要素およびガイド本体を示す斜視図である。
【図12A】1つのガイドレールが第2のガイドレールの機能を引継ぐこともできる場合の、両方のガイドレール、したがってガイドレールを含むガイド本体、転動体および運搬体の3つの要素のさらなる実施例を示す図である。
【図12B】1つのガイドレールが第2のガイドレールの機能を引継ぐこともできる場合の、両方のガイドレール、したがってガイドレールを含むガイド本体、転動体および運搬体の3つの要素のさらなる実施例を示す図である。
【図12C】1つのガイドレールが第2のガイドレールの機能を引継ぐこともできる場合の、両方のガイドレール、したがってガイドレールを含むガイド本体、転動体および運搬体の3つの要素のさらなる実施例を示す図である。
【図13A】転動体が相互接続のないローラ本体を含むこともできる場合の、図4による実施例の模倣である実施例を示す図である。
【図13B】転動体が、相互接続のないローラ本体を含むこともできる場合の、図4による実施例の模倣である実施例を示す図である。
【図13C】転動体が、相互接続のないローラ本体を含むこともできる場合の、図4による実施例の模倣である実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
符号表
1 第1の転動体、1’第2の転動体
2 ローラ
3 ローラ軸
4 接続体
4’転動体のための接続手段
5 接続プレート/床板
5’ 第3の係合溝、または、ガイド溝
6 第1のガイドレール、6’第2のガイドレール
7 第1の係合溝、または、ガイド溝、7’第2の係合溝、または、ガイド溝
8 第3の転動体
9 運搬歯部
10 駆動された運搬体
11 運搬体上の係合溝、または、ガイド溝
12 手段を取付けるためのレセプタクル
13 運搬体のための接続手段
14 取付け穴
15 天井取付部
16 運搬体のための駆動輪
17 固定ブロック
18 駆動軸
19 駆動モータ
20 駆動装置
21 運搬体上の傾斜面
22 ローラ本体用レセプタクル
23 取付部
24 円錐
25 ボールケージ
26 ガイド本体
27 スペーサケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの運搬体(10)と、複数だが少なくとも2つのローラ(2,2’,2”)を備えた運搬体(10)と動作上接続する転動体(1および1’および/または8)とを含む運搬装置であって、転動体は、少なくとも1つの運搬体の変位中にローラ(2,2’,2”)が自由に回転可能である態様で、ガイドレール(6および6’および/または5’)と少なくとも1つの運搬体との間に配置される、運搬装置。
【請求項2】
複数の運搬体(10)を含み、運搬体は、少なくとも1つの運搬体(10)が変位されるときローラ(2,2’,2”)が自由に回転可能であるように、転動体(1,1’,8)とガイドレール(6および6’および/または5’)との間に配置される、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項3】
2つの転動体(1および1’)は、1つの運搬体またはいくつかの運搬体(10)に対して平角で互いに対向して配置され、1つの運搬体またはいくつかの運搬体(10)およびガイドレール(6および6’)に動作上接続する、請求項1または2に記載の運搬装置。
【請求項4】
2つの転動体(1および1’)は、1つの運搬体またはいくつかの運搬体(10)に対して平角でなく互いに対向して配置され、1つの運搬体またはいくつかの運搬体(10)およびガイドレール(6および6’)に動作上接続する、請求項1または2に記載の運搬装置。
【請求項5】
3つの転動体(1,1’,8)は、相互に互いに支持し、少なくとも1つの運搬体(10)が転動体(1,1’,8)に及ぼす力に反対して作用し、それ自体としては割当てられたガイドレール(6,6’,5’)上で自身を支持する態様で、少なくとも1つの運搬体(10)に対して配置される、請求項2または3に記載の運搬装置。
【請求項6】
第3の転動体(8)は、少なくとも1つの運搬体(10)に対して互いに対向する平角にある2つの転動体(1および1’)に対して、直角に配置される、請求項5に記載の運搬装置。
【請求項7】
転動体(1,1’,8)はローラ(2)を含む、請求項1から6のいずれかに記載の運搬装置。
【請求項8】
転動体(1,1’,8)は、軸(3)が嵌合される接続体(4)で構成され、これらの軸上にローラ(2)が自由に回転可能に配置される、請求項7に記載の運搬装置。
【請求項9】
転動体(1,1’,8)の接続体(4,13)は弾性材料で構成される、請求項7または8に記載の運搬装置。
【請求項10】
少なくとも1つの転動体はボール(2’)で構成される、請求項3に記載の運搬装置。
【請求項11】
転動体(1,1’,8)と少なくとも1つの運搬体(10)または複数の運搬体(10)との動作上の接続は、これらの中の転動体のローラ(2)またはボール(2’)の係合のための係合溝、または、ガイド溝(7,11)によって達成される、請求項1から10のいずれかに記載の運搬装置。
【請求項12】
転動体(1,1’)は運搬方向を横切るユニットとして互いに接続される、請求項1または2に記載の運搬装置。
【請求項13】
転動体は弾性接続手段(4,4’)に接続される、請求項12および9に記載の運搬装置。
【請求項14】
転動体(1,1’,8)と少なくとも1つの運搬体(10)または複数の運搬体(10)との動作上の接続は、これらの中の転動体のローラ(2)またはボール(2’)の係合のための接触溝、または、ガイド溝(7,11)によって達成される、請求項13および11に記載の運搬装置。
【請求項15】
2つのガイドレール(6,6’)は1ユニットを形成する、請求項1または2に記載の運搬装置。
【請求項16】
2つのガイドレールのうち1つにおける係合のための運搬体(10)は、ローラ(2,2’,2”)を含むか、または可動ローラの代りに固定ローラを含む、請求項15に記載の運搬装置。
【請求項17】
2つのガイドレールのうち1つにおける係合のための運搬体(10)は、ローラ(2,2’,2”)のためのガイド溝(11)を含む、請求項15および/または16に記載の運搬装置。
【請求項18】
転動体(1,1’)は、接続されないローラ(2,2’,2”)で構成される、請求項1または2に記載の運搬装置。
【請求項19】
ローラ(2,2’,2”)は、転動体のためのレセプタクル(22)に配置される、請求項18に記載の運搬装置。
【請求項20】
運搬される物品を一時的に保持するための手段の取付け用手段(12)が運搬体(10)に与えられる、請求項1から19のいずれかに記載の運搬装置。
【請求項21】
運搬体(10)は運搬体のための接続手段13によって互いに接続される、請求項1から20の少なくとも1つに記載の運搬装置。
【請求項22】
それ自体閉じた装置であって、すべての運搬体(10)は互いに係合し、転動体(1,1’,8)およびガイドレール(6,6’,5’)はそれ自体に戻っていく、請求項1から13のいずれかに記載の運搬装置。
【請求項23】
運搬体(10)は、駆動部(19)によって駆動され得る態様で設計される、請求項1から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
平らな製品、特に印刷製品の運搬のための、請求項1から23のいずれかに記載の装置の利用。
【請求項25】
小包および旅行用荷物の運搬のための、請求項1から23に記載の装置の利用。
【請求項26】
物品の運搬のための方法であって、ガイドレールに接触する転動体の上および/またはその間で製品を運搬するための運搬体は、下記の条件:
V(ガイドレール)=0 および
V(転動体)<V(運搬体)
が満たされる態様で動かされる、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【公表番号】特表2007−529385(P2007−529385A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503175(P2007−503175)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000144
【国際公開番号】WO2005/087627
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(506314379)ベー・エル・ハー・バルター・ライスト・ホウルディング・アクチェンゲゼルシャフト (11)
【氏名又は名称原語表記】WRH WALTER REIST HOLDING AG