説明

転相インク

【課題】取り扱い中にインクがこぼれる可能性がなく、広範囲の印刷密度および印刷品質が得られ、紙のしわまたは歪みが最低限になリ、ノズルに蓋をしなくても、ノズルが目詰まりする危険性がなく、無期限に印刷しない期間が可能な転相インクを提供する。
【解決手段】以下の式を有し、


式中、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、(i)アルキル基、(ii)アリールアルキル基、(iii)アルキルアリール基、または(iv)芳香族基であり、但し、RおよびRのうち、少なくとも1つは芳香族基であり、融点が約65℃〜約150℃である、少なくとも1種類の結晶性要素と;少なくとも1種類のアモルファス要素と;任意要素の着色剤とを含む、転相インク。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェット印刷プロセスでは、室温で固体であり、高温では液体であるインクを使用することがある。このようなインクは、ホットメルトインクまたは転相インクと呼ばれることがある。ホットメルトインクを使用するサーマルインクジェット印刷プロセスでは、印刷装置内のヒーターで固体インクを溶融させ、従来のサーマルインクジェット印刷と同様の様式で、液体として利用する(すなわち、吐出する)。印刷基材と接触したら、溶融インクはすばやく固化し、着色剤は、毛細管作用によって基材(例えば、紙)内部に入り込むのではなく、基材の表面にかなりの量が留まり、一般的に液体インクを用いて得られるものよりも印刷密度を高くすることができる。したがって、インクジェット印刷に転相インクを用いる利点は、取り扱い中にインクがこぼれる可能性がないこと、広範囲の印刷密度および印刷品質が得られること、紙のしわまたは歪みが最低限になること、ノズルに蓋をしなくても、ノズルが目詰まりする危険性がなく、無期限に印刷しない期間が可能になることである。
【0002】
圧電式インクジェット印刷の固体インクは、インクが中間転写ドラムに吐出される転写固定モードでうまく印刷されるように設計されている。転写固定印刷プロセスでは、インクは、吐出温度(広範囲には、約75℃〜約180℃以下、典型的には、約110℃〜約140℃)からドラム温度(典型的には、約50℃〜約60℃)まで冷却され、その後、実質的に固相として、インクが紙基材に圧着される。このようなプロセスは、鮮明な画像、吐出部を使用する際の経済性、多孔性を含む紙基材の自由度といった多くの利点を与える。しかし、このようなインクの設計は、コーティングされた紙に塗布する場合には問題となることがある。一般的に、このインクおよび印刷プロセスは、十分な画像耐久性を与えることができない場合がある。
【0003】
現時点で入手可能な転相インクまたは固体インクによる印刷プロセスは、これらの意図する目的に適している。しかし、紙に対する画像接着性の向上、画像の性能向上、機械的な応力に対する堅牢性の向上といった性質を改良する固体インクおよびこれを使用するプロセスが依然として必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、安息香酸 2−ナフチルについて、1回目の加熱および冷却の温度(℃、x軸)に対する熱流量(W/g、y軸)を示すグラフである。
【図2】図2は、本開示にしたがって調製したインクについて、1回目の加熱および冷却の温度(℃、x軸)に対する熱流量(W/g、y軸)を示すグラフである。
【図3】図3は、本開示にしたがって調製したインクについて、温度(℃、x軸)に対する複素粘度(センチポイズ(cps)、y軸)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の転相インクは、配置温度または吐出温度に対応する第1の温度で、溶融し、分離していない状態であり、つまり、溶融した液体の単一相であり、また、転相インクの少なくとも1つの要素の結晶化を開始させるのに十分な第2の温度では複数相の状態であり、第2の温度で、転相インクが結晶相とアモルファス相とを含むようなインクを含む。つまり、転相インクは、第2の温度で結晶化する少なくとも1つの結晶性要素と、第2の温度でアモルファス状態である少なくとも1つのアモルファス要素とを含んでいてもよい。本明細書で使用する場合、結晶性要素または結晶化可能な要素は、構成要素である原子、分子またはイオンが、3次元の空間全体にわたって規則的な繰り返しパターンで整列した固体材料を意味する。本明細書で使用する場合、アモルファス要素は、結晶構造を示さない固体材料を意味する。つまり、原子または分子が局所的に規則的であってもよいが、長い範囲の規則性をもたない。
【0006】
さらなる実施形態では、最終的な画像を受け入れる基材の上に、少なくとも1種類の転相インクを画像になる様式で配置し、インク画像を作成し、この配置することが、少なくとも1種類の転相インクが溶融し、分離していない状態である(すなわち、単一相である)第1の温度で行われることと;このインク画像を、転相インクの少なくとも1種類の結晶性要素の結晶化を開始させるのに十分な第2の温度まで冷却し、この第2の温度で、少なくとも1種類の転相インクが、結晶相とアモルファス相とを含むことと;場合により、最終的な画像を受け入れる基材の上でインク画像に圧力をかけることと;インクを完全に結晶化させることとを含む、転相インクの印刷プロセスが記載される。
【0007】
本プロセスを任意の適切な印刷用途または望ましい印刷用途で用いてもよい。いくつかの実施形態では、このプロセスは、最終的な画像を受け入れる基材の上に1種類以上の転相インクが直接配置されるインクジェット印刷プロセスである。いくつかの実施形態では、最終的な画像を受け入れる基材は、紙である。インクジェット印刷の設計概念に関し、インクは、吐出温度と本質的に同じ温度で紙に衝突する(吐出温度は、典型的には、約100℃〜約140℃である)。インクが吐出温度から冷えるにつれて、特定の種類のインクは、あるインク要素が迅速に結晶化し、別のインク要素はアモルファス状態のままであり、相分離させることができる。アモルファス相は、紙のコーティングに浸透し続け、着色剤のほとんどがアモルファス相とともに運ばれてもよい。このプロセスでは、結晶性材料の上側層は、色があまり集約していない保護コーティングとして作用し、画像の機械的損傷に対する耐性を高めることができる。
【0008】
本明細書の印刷プロセスは、(1)単一相インクの要素が「溶融した」状態、または、吐出領域でブレンドしたカラーインクとなる2種類以上のインクが「溶融した」状態であり、(2)1種類または複数のインクが、展着領域で固体状態になることができる。溶融した相および固相によって、コーティングされた媒体の上にある印刷物の堅牢性を高めることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書の転相インクは、紙に直接印刷する用途のための結晶性芳香族モノエステルを含有する。本明細書の転相インクは、以下の式の少なくとも1種類の結晶性要素を含むことができる。
【化1】

式中、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、(i)直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和のアルキル基であり、ヘテロ原子が、場合により、アルキル基に存在していてもよく、いくつかの実施形態では、炭素原子が約1〜約40個、または約1〜約20個、または約1〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキル基、(ii)置換または非置換のアリールアルキル基であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、いくつかの実施形態では、炭素原子が約4〜約40個、約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリールアルキル基、(iii)置換または非置換のアルキルアリール基であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、いくつかの実施形態では、炭素原子が約4〜約40個、約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキルアリール基、または、(iv)置換または非置換の芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、芳香族基に存在していてもよく、炭素原子が約3〜約40個、または約6〜約20個、または約6〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)、芳香族基であり、〔但し、RおよびRのうち、少なくとも1つが芳香族基である〕、融点が約65℃〜約150℃である、少なくとも1種類の結晶性要素と;少なくとも1種類のアモルファス要素と;任意要素の着色剤とを含んでいてもよい。
【0010】
本明細書の実施形態で選択される結晶性要素は、望ましい特性をもち、選択したアモルファス要素と混和性である任意の適切な結晶性要素または望ましい結晶性要素であってもよい。結晶性要素は、任意の適切な融点または望ましい融点をもっていてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書の結晶性要素は、融点が約65〜約150℃、約66〜約145℃、または約67℃〜約140℃である。特定の実施形態では、本明細書の少なくとも1種類の結晶性要素は、融点が約150℃未満である。
【0011】
結晶性要素は、任意の適切な結晶化温度または望ましい結晶化温度をもっていてもよい。いくつかの実施形態では、結晶性要素は、示差走査熱量測定によって10℃/分の速度で決定した場合、結晶化温度が、約60〜約140℃、約65〜約125℃、または約66℃〜約120℃である。特定の実施形態では、本明細書の少なくとも1種類の結晶性要素は、65℃より高く、140℃未満の結晶化温度をもつ。
【0012】
特定の実施形態では、本明細書の転相インクは、以下の式を有する化合物を含み、
【化2】

式中、RおよびRのうち、少なくともひとつは以下の式
【化3】

を有し、式中、
【化4】

は、化合物に対するR基およびR基の接続点をあらわす。
【0013】
特定の実施形態では、RとRは同じである。特定の他の実施形態では、RおよびRは、それぞれアリール基である。
【0014】
特定の実施形態では、少なくとも1種類の結晶性要素は、以下の式
【化5】

を有する化合物である。
【0015】
結晶性要素は、任意の適切な方法または望ましい方法によって調製することができる。例えば、結晶性要素は、ヒドロキシル基を含む化合物と、カルボン酸基または酸塩化物基を含む化合物とのエステル化反応によって調製されてもよい。そのほか、結晶性要素は市販もされている(例えば、TCI Americaから)。
【0016】
選択される結晶性要素と適合性であれば、任意の適切なアモルファス化合物または望ましいアモルファス化合物を本明細書の転相インクに用いてもよい。いくつかの実施形態では、アモルファス要素は、以下の式を有する化合物であり、
【化6】

式中、R、RおよびRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、R、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約1〜約40個、または約1〜約20個、または約1〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよく、炭素原子が約約3〜約40個、約6〜約20個、または約6〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよく、炭素原子が約4〜約40個、約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリールアルキル基;または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよく、炭素原子が約4〜約40個、約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキルアリール基から選択される。いくつかの実施形態では、R、RおよびRは、同じである。
【0017】
特定の実施形態では、アモルファス要素は、以下の式を有する化合物である。
【化7】

【0018】
アモルファス要素は、任意の適切な方法または望ましい方法によって調製することができる。例えば、アモルファス要素は、米国特許出願第13/095,015号[まだ割り当てられていない、代理人整理番号20101358−US−NP]、名称「Solventless Reaction Process」に記載されるように調製することができ、この内容全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0019】
結晶性要素は、転相インク中に、任意の適切な量または望ましい量で存在していてもよい。いくつかの実施形態では、結晶性要素は、結晶性要素およびアモルファス要素を合わせた合計重量を基準として、約60〜約95重量%、または約65〜約95重量%、または約70〜約90重量%で与えられる。
【0020】
アモルファス要素は、転相インク中に、任意の適切な量または望ましい量で存在していてもよい。いくつかの実施形態では、アモルファス要素は、結晶性要素およびアモルファス要素を合わせた合計重量を基準として、約5〜約40重量%、または約5〜約35重量%、または約10〜約30重量%で与えられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、結晶性要素とアモルファス要素との比率は、結晶性要素およびアモルファス要素を合わせた合計重量を基準として、約60:40〜約95:5重量%である。さらに特定的な実施形態では、結晶性要素とアモルファス要素との重量比は、結晶性要素およびアモルファス要素を合わせた合計重量を基準として、約65:35〜約95:5重量%、または約70:30〜約90:10重量%である。
【0022】
転相インクは、任意の適切な方法または望ましい方法で調製することができる。例えば、上の要素を撹拌し、加熱しつつ合わせ、転相インクを作成してもよい。転相インクキャリア材料を任意の適切な順序または望ましい順序で合わせてもよい。例えば、インクキャリアのそれぞれの要素を一緒に混合した後、この混合物を少なくとも融点まで(例えば、約60℃〜約150℃、約80℃〜約145℃、または約85℃〜約140℃まで)加熱してもよいが、これに限定されない。インク成分を加熱する前、またはインク成分を加熱した後に、着色剤を加えてもよい。顔料が、選択された着色剤である場合、溶融した混合物を、アトライタまたはボールミル装置または他の高エネルギー混合装置で粉砕し、インクキャリアに顔料を分散させてもよい。次いで、加熱した混合物を、例えば、約5秒〜約30分間またはそれ以上撹拌し、実質的に均質で均一な溶融物を得て、その後、インクを周囲温度(典型的には、約20℃〜約25℃)まで冷却してもよい。インクは、周囲温度では固体である。
【0023】
転相インクは、そのほかに着色化合物を含んでいてもよい。この任意要素の着色化合物は、望ましい色または色相を得るのに望ましい量または有効な任意の量でインク中に存在していてもよく、いくつかの実施形態では、インクの約0.1重量%〜約50重量%で存在していてもよい。インク媒剤に溶解または分散させることができるものであれば、染料、顔料、これらの混合物などを含む任意の望ましい着色剤または有効な着色剤を用いてもよい。転相キャリア組成物は、従来の転相インク着色剤材料、例えば、Color Index(C.I.)Solvent Dye、Disperse Dye、改質されたAcidおよびDirect Dye、Basic Dye、Sulphur Dye、Vat Dyeなどと組み合わせて用いてもよい。
【0024】
適切な染料の例としては、Neozapon(登録商標)Red 492(BASF);Orasol(登録商標)Red G(Pylam Products);Direct Brilliant Pink B(Oriental Giant Dyes);Direct Red 3BL(Classic Dyestuffs);Supranol(登録商標)Brilliant Red 3BW(Bayer AG);Lemon Yellow 6G(United Chemie);Light Fast Yellow 3G(Shaanxi);Aizen Spilon Yellow C−GNH(Hodogaya Chemical);Bemachrome Yellow GD Sub(Classic Dyestuffs);Cartasol(登録商標)Brilliant Yellow 4GF(Clariant);Cibanone Yellow 2G(Classic Dyestuffs);Orasol(登録商標)Black RLI(BASF);Orasol(登録商標)Black CN(Pylam Products);Savinyl Black RLSN(Clariant);Pyrazol Black BG(Clariant);Morfast(登録商標)Black 101(Rohm & Haas);Diaazol Black RN(ICI);Thermoplast(登録商標)Blue 670(BASF);Orasol(登録商標)Blue GN(Pylam Products);Savinyl Blue GLS(Clariant);Luxol(登録商標)Fast Blue MBSN(Pylam Products);Sevron Blue 5GMF(Classic Dyestuffs);Basacid(登録商標)Blue 750(BASF);Keyplast Blue(Keystone Aniline Corporation);Neozapon(登録商標)Black X51(BASF);Classic Solvent Black 7(Classic Dyestuffs);Sudan Blue 670(C.I.61554)(BASF);Sudan Yellow 146(C.I.12700)(BASF);Sudan Red 462(C.I.26050)(BASF);C.I.Disperse Yellow 238;Neptune Red Base NB543(BASF,C.I.Solvent Red 49);Neopen(登録商標)Blue FF−4012(BASF);Fastol(登録商標)Black BR(C.I.Solvent Black 35)(Chemische Fabriek Triade BV);Morton Morplas Magenta 36(C.I.Solvent Red 172);金属フタロシアニン着色剤、例えば、米国特許第6,221,137号(開示内容は、全体的に本明細書に参考として組み込まれる)に開示されているものなどが挙げられる。例えば、米国特許第5,621,022号および米国特許第5,231,135号(それぞれの開示内容全体が本明細書に参考として組み込まれる)に開示されているもの、例えば、Milliken Ink Yellow 869、Milliken Ink Blue 92、Milliken Ink Red 357、Milliken Ink Yellow 1800、Milliken Ink Black 8915−67、uncut Reactint(登録商標)Orange X−38、uncut Reactint(登録商標)Blue X−17、Solvent Yellow 162、Acid Red 52、Solvent Blue 44、およびuncut Reactint(登録商標)Violet X−80としてMilliken & Companyから市販されているような、ポリマー染料を用いてもよい。
【0025】
顔料も、転相インクの適切な着色剤である。適切な顔料の例としては、PALIOGEN(登録商標)Violet 5100(BASF);PALIOGEN(登録商標)Violet 5890(BASF);HELIOGEN(登録商標)Green L8730(BASF);LITHOL(登録商標)Scarlet D3700(BASE);SUNFAST(登録商標)Blue 15:4(Sun Chemical);Hostaperm(登録商標)Blue B2G−D(Clariant);Hostaperm(登録商標)Blue B4G(Clariant);Permanent Red P−F7RK;Hostaperm(登録商標)Violet BL(Clariant);LITHOL(登録商標)Scarlet 4440(BASF);Bon Red C(Dominion Color Company);ORACET(登録商標)Pink RF(BASF);PALIOGEN(登録商標)Red 3871 K(BASF);SUNFAST(登録商標)Blue 15:3(Sun Chemical);PALIOGEN(登録商標)Red 3340(BASF);SUNFAST(登録商標)Carbazole Violet 23(Sun Chemical);LITHOL(登録商標)Fast Scarlet L4300(BASF);SUNBRITE(登録商標)Yellow 17(Sun Chemical);HELIOGEN(登録商標)Blue L6900、L7020(BASF);SUNBRITE(登録商標)Yellow 74(Sun Chemical);SPECTRA(登録商標)PAC C Orange 16(Sun Chemical);HELIOGEN(登録商標)Blue K6902、K6910(BASF);SUNFAST(登録商標)Magenta 122(Sun Chemical);HELIOGEN(登録商標)Blue D6840、D7080(BASF);Sudan Blue OS(BASF);NEOPEN(登録商標)Blue FF4012(BASF);PV Fast Blue B2GO1(Clariant);IRGALITE(登録商標)Blue GLO(BASF);PALIOGEN(登録商標)Blue 6470(BASF);Sudan Orange G(Aldrich);Sudan Orange 220(BASF);PALIOGEN(登録商標)Orange 3040(BASF);PALIOGEN(登録商標)Yellow 152、1560(BASF);LITHOL(登録商標)Fast Yellow 0991 K(BASF);PALIOTOL(登録商標)Yellow 1840(BASF);NOVOPERM(登録商標)Yellow FGL(Clariant);Ink Jet Yellow 4G VP2532(Clariant);Toner Yellow HG(Clariant);Lumogen(登録商標)Yellow D0790(BASF);Suco−Yellow L1250(BASF);Suco−Yellow D1355(BASF);Suco Fast Yellow D1355、D1351(BASF);HOSTAPERM(登録商標)Pink E 02(Clariant);Hansa Brilliant Yellow 5GX03(Clariant);Permanent Yellow GRL 02(Clariant);Permanent Rubine L6B 05(Clariant);FANAL(登録商標)Pink D4830(BASF);CINQUASIA(登録商標)Magenta(DU PONT);PALIOGEN(登録商標)Black L0084(BASF);Pigment Black K801(BASF);およびカーボンブラック、例えば、REGAL 330(商標)(Cabot)、Nipex 150(Evonik)Carbon Black 5250およびCarbon Black 5750(Columbia Chemical)など、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
インク基剤中の顔料分散物は、共力剤および分散剤によって安定化されてもよい。一般的に、適切な顔料は、有機材料であっても無機材料であってもよい。例えば、堅牢性の高い磁気インク文字認識(MICR)インクを製造する際に、磁気材料系の顔料も適している。磁性顔料としては、磁性ナノ粒子、例えば、強磁性ナノ粒子が挙げられる。
【0027】
また、米国特許第6,472,523号、米国特許第6,726,755号、米国特許第6,476,219号、米国特許第6,576,747号、米国特許第6,713,614号、米国特許第6,663,703号、米国特許第6,755,902号、米国特許第6,590,082号、米国特許第6,696,552号、米国特許第6,576,748号、米国特許第6,646,111号、米国特許第6,673,139号、米国特許第6,958,406号、米国特許第6,821,327号、米国特許第7,053,227号、米国特許第7,381,831号、米国特許第7,427,323号(それぞれの開示内容全体が本明細書に参考として組み込まれる)に開示されている着色剤も適している。
【0028】
着色剤は、転相インク中に、望ましい色または色相を与えるのに有効な任意の量で、例えば、インクの約0.1〜約50重量%、約0.2〜約20重量%、または約0.5〜約10重量%の量で存在していてもよい。
【0029】
本開示のインクは、場合により、そのほかに酸化防止剤を含んでいてもよい。インク組成物の任意要素の酸化防止剤は、画像が酸化するのを防ぎ、また、インク調製プロセスの加熱部分の間にインク要素が酸化するのを防ぐ。適切な酸化防止剤の特定的な例としては、NAUGUARD(登録商標)524、NAUGUARD(登録商標)76、NAUGUARD(登録商標)445、NAUGUARD(登録商標)512(Uniroyal Chemical Company、オックスフォード、CTから市販されている)、IRGANOX(登録商標)1010(Ciba Geigy)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)(IRGANOX(登録商標)1098、BASF)、2,2−ビス(4−(2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)エトキシフェニル)プロパン(TOPANOL−205(登録商標)、Vertellusから入手可能)、トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル ベンジル)イソシアヌレート(Aldrich)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスホナイト(ETHANOX−398(登録商標)、Albermarle Corporation)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト(ALDRICH 46)、ペンタエリスリトールテトラステアレート(TCI America)、トリブチルアンモニウム次亜リン酸塩(Aldrich)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(Aldrich)、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(4−メトキシベンジル)フェノール(Aldrich)、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール(Aldrich)、4−ブロモ−3,5−ジジメチルフェノール(Aldrich)、4−ブロモ−2−ニトロフェノール(Aldrich)、4−(ジエチルアミノメチル)−2,5−ジメチルフェノール(Aldrich)、3−ジメチルアミノフェノール(Aldrich)、2−アミノ−4−tert−アミルフェノール(Aldrich)、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール(Aldrich)、2,2’−メチレンジフェノール(Aldrich)、5−(ジエチルアミノ)−2−ニトロソフェノール(Aldrich)、2,6−ジクロロ−4−フルオロフェノール(Aldrich)、2,6−ジブロモフルオロフェノール(Aldrich)、α−トリフルオロ−o−クレゾール(Aldrich)、2−ブロモ−4−フルオロフェノール(Aldrich)、4−フルオロフェノール(Aldrich)、4−クロロフェニル−2−クロロ−1,1,2−トリ−フルオロエチルスルホン(Aldrich)、3,4−ジフルオロフェニル酢酸(Adrich)、3−フルオロフェニル酢酸(Aldrich)、3,5−ジフルオロフェニル酢酸(Aldrich)、2−フルオロフェニル酢酸(Aldrich)、2,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸(Aldrich)、エチル−2−(4−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェノキシ)プロピオネート(Aldrich)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト(Aldrich)、4−tert−アミルフェノール(Aldrich)、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルアルコール(Aldrich)など、およびこれらの混合物が挙げられる。酸化防止剤が存在する場合、任意要素の酸化防止剤は、インク中に任意の望ましい量または有効な量で存在し、例えば、インクの約0.01重量%〜約20重量%の量で存在する。
【0030】
本開示のインクは、場合により、そのほかに粘度調整剤を含んでいてもよい。適切な粘度調整剤の例としては、ステアロンなどのような脂肪族ケトンなどが挙げられる。粘度調整剤が存在する場合、任意要素の粘度調整剤は、インク中に任意の望ましい量または有効な量で存在し、例えば、インクの約0.1〜約99重量%の量で存在する。
【0031】
インクに対する他の任意要素の添加剤としては、任意の適切な量または望ましい量、例えば、インクの約0.1〜約50重量%の消泡剤、すべり剤およびレベリング剤、清澄剤、粘着剤、接着剤、可塑剤などが挙げられる。
【0032】
本明細書のインク組成物は、一般的に、吐出温度(いくつかの実施形態では、約95℃〜約150℃、約100℃〜約145℃、約100℃〜約140℃、または約150℃以下の吐出温度、吐出温度は、これらの範囲からはずれていてもよい)で、溶融粘度が1センチポイズ〜約14センチポイズ、または約2センチポイズ〜約13センチポイズ、または約3センチポイズ〜約12センチポイズであるが、溶融粘度は、これらの範囲からはずれていてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書の転相インクは、吐出温度での粘度が約1センチポイズ〜約13センチポイズ未満であり、吐出温度は、約95℃〜約140℃である。特定の実施形態では、転相インクは、吐出温度での粘度が約13センチポイズ未満であり、吐出温度は、約95℃〜約140℃である。別の特定の実施形態では、本明細書の転相インクは、約140℃の吐出温度での粘度が約0.5〜約10センチポイズである。
【0033】
本明細書のプロセスは、最終的な画像を受け入れる基材の上に、少なくとも1種類の転相インクを画像になる様式で配置し、インク画像を作成し、この配置することが、少なくとも1種類の転相インクが溶融し、分離していない状態である第1の温度で行われ、少なくとも1種類の転相インクが、本明細書に記載されるような以下の式
【化8】

を有し、融点が約65℃〜約150℃である少なくとも1種類の結晶性要素と;少なくとも1種類のアモルファス要素と;任意要素の着色剤とを含むことと;このインク画像を、少なくとも1種類の結晶性要素の結晶化を開始させるのに十分な第2の温度まで冷却することと;場合により、最終的な画像を受け入れる基材の上でインク画像に圧力をかけることと;インクを完全に結晶化させることとを含む。いくつかの実施形態では、第1の温度で転相インクを配置することは、約95℃〜約150℃の温度で配置することを含む。
【0034】
さらなる実施形態では、本明細書のプロセスは、(1)インクジェット印刷装置に、少なくとも1種類の転相インクを組み込み、ここで、少なくとも1種類の転相インクが、本明細書に記載されるような以下の式
【化9】

を有し、融点が約65℃〜約150℃である少なくとも1種類の結晶性要素と;少なくとも1種類のアモルファス要素と;任意要素の着色剤とを含むことと;(2)少なくとも1種類の転相インクを、少なくとも1種類の転相インクが溶融し、分離していない状態である第1の温度まで加熱することと;(3)少なくとも1種類の転相インクの液滴を、最終的な画像を受け入れる基材の上に画像の模様になるように放出することと;(4)インク画像を、少なくとも1種類の結晶性要素の結晶化を開始させるのに十分な第2の温度まで冷却し、少なくとも1種類の転相インクが、結晶相とアモルファス相とを含むことと;(5)場合により、最終的な画像を受け入れる基材の上でインク画像に圧力をかけることと;(6)インクを完全に結晶化させることとを含む。
【0035】
本明細書の転相インクを、直接的に印刷するインクジェットプロセスのための装置、および間接的な(オフセット)印刷インクジェット用途で使用してもよい。本開示の一実施形態は、相分離インクをインクジェット印刷装置に組み込むことと、このインクを溶融させることと、溶融したインクの液滴を、記録基板の上に画像になるようなパターンで放出することとを含むプロセスに関する。直接的に印刷するプロセスは、例えば、米国特許第5,195,430号に開示されており、この開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる。いくつかの実施形態では、基材は、最終的な記録シートであり、溶融インクの液滴を、最終的な記録シートに直接、画像になるようなパターンで放出する。
【0036】
本開示のさらに別の実施形態は、相分離インクをインクジェット印刷装置に組み込むことと、このインクを溶融することと、溶融したインクの液滴を、中間転写体の上に画像のパターンになるように放出することと、この画像のパターンになったインクを中間転写体から最終的な記録基材に転写することとを含むプロセスに関する。特定の実施形態では、中間転写体を、最終的な記録シートの温度よりも高く、印刷装置内の溶融インクよりも低い温度に加熱する。別の特定的な実施形態では、中間転写体および最終的な記録シートの両方を加熱し、この実施形態では、中間転写体と最終的な記録シートの両方を、印刷装置内の溶融インクよりも低い温度まで加熱し、この実施形態では、中間転写体および最終的な記録シートの相対温度は、(1)中間転写体を最終的な記録基板の温度より高く、印刷装置内の溶融したインクよりも低い温度まで加熱するか、(2)最終的な記録基板を、中間転写体の温度より高く、印刷装置内の溶融したインクよりも低い温度まで加熱するか;または(3)中間転写体および最終的な記録シートをほぼ同じ温度まで加熱してもよい。オフセット印刷プロセスまたは間接的な印刷プロセスは、例えば、米国特許第5,389,958号にも開示されており、この開示内容は、本明細書に全体的に参考として組み込まれる。ある特定の実施形態では、印刷装置は、インクの液滴が圧電振動要素の振幅によって画像のパターンになるように放出される圧電式印刷プロセスを利用する。いくつかの実施形態では、中間転写体を、最終的な記録シートの温度よりも高く、印刷装置内の溶融インクよりも低い温度に加熱する。
【0037】
また、本開示のインクを、例えば、ホットメルト音響インクジェット印刷、ホットメルトサーマルインクジェット印刷、ホットメルト連続流インクジェット印刷または偏向インクジェット印刷などのような他のホットメルト印刷プロセスで使用してもよい。また、本開示の転相インクを、ホットメルトインクジェット印刷プロセス以外の印刷プロセスで使用してもよい。
【0038】
普通紙、例えば、XEROX(登録商標)4200紙、XEROX(登録商標)Image Series紙、Courtland 4024 DP紙、罫線付きノート紙、ボンド紙、コーティングされた紙、シリカでコーティングされた紙、例えば、Sharp Companyシリカコーティング紙、JuJo紙、Hammermill(登録商標)LASERPRINT紙など、光沢コーティングされた紙、例えば、XEROX(登録商標)Digital Color Elite Gloss、Sappi Warren Papers LUSTROGLOSS(登録商標)、特殊紙、例えば、Xerox(登録商標)DURAPAPER(登録商標)など、炭酸カルシウムでコーティングされた紙、クレイでコーティングされた紙、カオリンクレイでコーティングされた紙など、透明材料、布地、繊維製品、プラスチック、ポリマー膜、無機基板(例えば、金属および木材)などを含む、任意の適切な基板または記録シートを使用してもよい。特定の実施形態では、最終的な画像を受け入れる基材は、コーティングされた紙である。別の特定的な実施形態では、最終的な画像を受け入れる基材は、クレイでコーティングされた紙である。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書のプロセスは、最終的な画像を受け入れる基材が、基材層と、基材層の第1の表面の上に配置されているトップコート層と、場合により、基板層の反対側の第2の表面の上に配置されている底部コート層とを備え、インク画像は、トップコート層の上に配置されており、少なくとも1種類の転相インクのアモルファス相は、最終的な画像を受け入れる基材のトップコート層にかなりの部分が浸透し、少なくとも1種類の転相インクの結晶相は、最終的な画像を受け入れる基材のトップコート層表面にかなりの部分がとどまっているプロセスを含む。
【実施例】
【0040】
以下の実施例は、本開示のさまざまな種類をさらに定義するために提案されている。これらの実施例は、単に説明を目的としたものであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。また、部および百分率は、他の意味であると示されていない限り、重量基準である。
【0041】
(実施例1)
内容全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許出願第13/095,795号(代理人整理番号20100868−US−NP)に記載されているように調製した、以下の式
【化10】

を有する、複素粘度η(>100℃)が10cps未満であり、η(室温)が10cpsを超える、クエン酸トリメンチル0.6グラムと、以下の式
【化11】

を有する安息香酸 2−ナフチル(TCI Americaから市販されている)1.4グラムを、120℃で溶融させた状態で撹拌しつつ混合し、次いで、室温(約24℃)まで冷却し、インクサンプルを得た。このインクサンプルの結晶/アモルファス比率は、重量%で70/30であった。結晶性材料と、アモルファス材料は、この混合比で十分に混和性であった。
【0042】
示差走査熱量測定(DSC)を利用し、安息香酸 2−ナフチルの熱特性を測定した。図1は、安息香酸 2−ナフチルの1回目の加熱冷却サイクルのDSCデータを示す。
【0043】
示差走査熱量測定(DSC)を利用し、実施例1のインクサンプルの熱特性を測定した。図2は、実施例1のインクサンプルの1回目の加熱冷却サイクルのDSCデータを示す。DSCデータを、Q1000(登録商標)示差走査熱量計(TA Instruments)を用い、10℃/分の速度で、−50℃から150℃、次いで−50℃まで測定して得た。
【0044】
実施例1のインクサンプルのレオロジーデータは、TA Instruments製のひずみ制御型レオメーター(Rheometrics RFS−3)を用い、25ミリメートルの平行板を用いて試験することによって得た。周波数1Hzで140℃から60℃まで5℃ごとに測定を行う温度スイープ法を行い、それぞれの温度の間のソーク(平衡)時間は120秒であり、周波数は1Hzで一定であった。図3は、実施例1のインクについて、温度(x軸、℃)に対する複素粘度(y軸、センチポイズ(cps))を示す。
【0045】
(実施例2)
着色剤を含有するインクサンプルの印刷性能
磁気攪拌棒を用い、約130℃で約30分間混合しつつ、上の実施例1と同じ配合を含むインクサンプル3.88グラムに、3重量%(0.12グラム)のシアン染料(Orasol(登録商標)Blue GN、Ciba)をさらに加えると、この染料は、インクに良好に溶解した。このインクをK Printing Proofer(RK Print Coat Instrument Ltd.(Litlington,Royston,Heris,SG8 0OZ,U.K.)製)を用い、Xerox(登録商標)Digital Color Elite Gloss 120gsm(DCEG)に印刷した。垂直方向に角度約15°で湾曲した先端をもつ引っかき/ノミ用の爪を用い、528グラムの重量を加え、約13mm/秒の速度で画像を引っかいても、画像から目に見えるレベルでインクがはずれなかった。引っかき/ノミ用の爪は、曲率半径が約12mmの、先端を旋盤で丸めた切断片と似ている。
【0046】
種々の上に開示した特徴および機能または代替物、および他の特徴および機能または代替物は、多くの他の異なるシステムまたは用途に望ましく組み込まれてもよいことが理解されるだろう。さらに、種々の現時点でわかっていないか、または予想されていない代替物、改変、変形または改良は、当業者によって後でなされてもよく、これらも以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。請求項に特定的に引用されていない限り、その請求項の工程または要素は、任意の特定の順序、数、位置、大きさ、形状、角度、色または材料について、明細書または任意の他の請求項の内容を含有すべきではなく、明細書または任意の他の請求項の内容を持ち込むべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式
【化1】

〔式中、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、(i)直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和のアルキル基であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アルキル基に存在していてもよい、アルキル基、(ii)置換または非置換のアリールアルキル基であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アリールアルキル基、(iii)置換または非置換のアルキルアリール基であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリール基、または(iv)置換または非置換の芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、芳香族基に存在していてもよい、芳香族基であり、但し、RおよびRのうち、少なくとも1つが芳香族基である〕
を有し、融点が約65℃〜約150℃である、少なくとも1種類の結晶性要素と;
少なくとも1種類のアモルファス要素と;
任意要素の着色剤とを含む、転相インク。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の結晶性要素は、結晶化温度が、約65℃より高く、約140℃未満である、請求項1に記載の転相インク。
【請求項3】
前記転相インクは、約140℃の吐出温度で粘度が約0.5〜約10センチポイズである、請求項1に記載の転相インク。
【請求項4】
およびRのうち、少なくとも1つが以下の式
【化2】

を有し、式中、
【化3】

は、化合物に対するR基およびR基の接続点をあらわす、請求項1に記載の転相インク。
【請求項5】
およびRが、それぞれアリール基である、請求項1に記載の転相インク。
【請求項6】
前記少なくとも1種類の結晶性要素が、以下の式
【化4】

を有する化合物である、請求項1に記載の転相インク。
【請求項7】
前記アモルファス要素が、以下の式を有する化合物であり、
【化5】

式中、R、RおよびRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、(i)直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基;または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基である、請求項1に記載の転相インク。
【請求項8】
、RおよびRが同じである、請求項8に記載の転相インク。
【請求項9】
前記アモルファス要素が、以下の式を有する化合物である、請求項8に記載の転相インク。
【化6】

【請求項10】
最終的な画像を受け入れる基材の上に、少なくとも1種類の転相インクを画像になる様式で配置し、インク画像を作成し、この配置することが、少なくとも1種類の転相インクが溶融し、分離していない状態である第1の温度で行われ、少なくとも1種類の転相インクが、以下の式
【化7】

〔式中、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、(i)直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和のアルキル基であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アルキル基に存在していてもよい、アルキル基、(ii)置換または非置換のアリールアルキル基であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アリールアルキル基、(iii)置換または非置換のアルキルアリール基であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリール基、または(iv)置換または非置換の芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、芳香族基に存在していてもよい、芳香族基であり、但し、RおよびRのうち、少なくとも1つが芳香族基である〕を有し、融点が約65℃〜約150℃である、少なくとも1種類の結晶性要素と;少なくとも1種類のアモルファス要素と;任意要素の着色剤とを含むことと;
このインク画像を、少なくとも1種類の結晶性要素の結晶化を開始させるのに十分な第2の温度まで冷却することと;
場合により、最終的な画像を受け入れる基材の上でインク画像に圧力をかけることと;
インクを完全に結晶化させることとを含む、プロセス。
【請求項11】
(1)インクジェット印刷装置に、少なくとも1種類の転相インクを組み込み、ここで、少なくとも1種類の転相インクが、以下の式を有する少なくとも1種類の結晶性要素
【化8】

〔式中、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、(i)直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和のアルキル基であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アルキル基に存在していてもよい、アルキル基、(ii)置換または非置換のアリールアルキル基であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アリールアルキル基、(iii)置換または非置換のアルキルアリール基であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、環状または非環状、置換または非置換、飽和または不飽和であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよい、アルキルアリール基、または(iv)置換または非置換の芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が、場合により、芳香族基に存在していてもよい、芳香族基であり、但し、RおよびRのうち、少なくとも1つが芳香族基である〕
を有し、融点が約65℃〜約150℃である、少なくとも1種類の結晶性要素と;少なくとも1種類のアモルファス要素と;任意要素の着色剤とを含むことと;
(2)この少なくとも1種類の転相インクを、少なくとも1種類の転相インクが溶融し、分離していない状態である第1の温度まで加熱することと;
(3)少なくとも1種類の転相インクの液滴を、画像を受け入れる基材の上に画像の模様になるように放出することと;
(4)インク画像を、少なくとも1種類の結晶性要素の結晶化を開始させるのに十分な第2の温度まで冷却し、少なくとも1種類の転相インクが、結晶相とアモルファス相とを含むことと;
(5)場合により、画像を受け入れる基材の上でインク画像に圧力をかけることと;
(6)インクを完全に結晶化させることとを含む、プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−233173(P2012−233173A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89156(P2012−89156)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】