説明

転造盤

【課題】ワークがロールダイスに挟まれて転造加工されている場合に、ワーク保持台を「歩き」に合わせて、ロールダイスの回転軸に平行に摺動させることにより、「歩き」の影響を受けない転造盤を提供する。
【解決手段】一対のロールダイス32,42と、ワークWを保持するワーク保持台5を備える転造盤1において、ワーク保持台5は、少なくともワークWが一対のロールダイス32,42に挟まれて転造加工されている場合に、ロールダイス32,42の回転軸に平行に自在に摺動するように、摺動支持されている。また、ワーク保持台5をロールダイス32,42に対して進退させる送り装置6と、ワーク保持台5と送り装置6を任意に連結する連結装置7を備えるようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のロールダイスでワークを挟んで、転造加工を行う転造盤に関する。
【背景技術】
【0002】
転造盤は、一対のロールダイスでワークを挟んで、転造加工、例えば歯車やねじを転造する工作機械である(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
転造盤には、次のような構成が知られている。一対の主軸と、該主軸のそれぞれに取り付けられて、該主軸回りに回転する一対のロールダイスと、加工対象であるワークをクランプするワーク保持台を備える。また、ワーク保持台は、ベースに摺動自在に支持されて、主軸に平行な方向に進退する。さらに詳しく言えば、ワーク保持台は、ワークの着脱を行う準備位置と一対のロールダイスでワークを挟んで転造加工する加工位置の間で進退させる送り装置を備える。
【0004】
一般に送り装置には、回転電動機と送りねじの組み合わせ、リニアモータ、あるいは油圧シリンダなどが選ばれるが、送り装置は常にワーク保持台と連結されている。言い替えれば、ワーク保持台の主軸方向の移動は、送り装置によって拘束されている。これは、転造加工中も同様である。つまり、ワーク保持台の主軸方向の移動は、転造加工中も、送り装置によって拘束されている。
【0005】
さて、一対のロールダイスでワークを挟んでねじを転造する際には、ロールダイスとワークが接触し、転造が始まると、ロールダイスのリード角とワークのリード角の間にズレが生じ、このズレを補正しようとワークが軸方向に動く。この現象を「歩き」と呼んでいる。
【0006】
言うまでもない事だが、「歩き」を機械的に抑えると、ロールダイスとワークの間にスラスト力が発生し、そのため、ワークの曲がり、加工不良、ロールダイスの寿命低下、ロールダイスやワークの破損等の悪影響が生じる。
【0007】
そこで、ロールダイスとワークの間に発生したスラスト力を逃がして、「歩き」の悪影響を抑制するようにした転造盤の発明が特許文献3に開示されている。特許文献3に開示された発明は3件あって、第1の発明は、芯受けセンタと芯押しセンタとを同軸上に有し、両者間に円柱状の工作物を挟持した状態でリード角を有する転造工具を該工作物の側面に押圧してねじを転造する装置において、前記芯押しセンタをねじ転造時のリード進み方向と反対側に位置させ、前記芯押しセンタをねじ転造時に発生するスラスト力より小さい一定のトルクで工作物に芯押しさせるトルク制御手段と、前記芯受けセンタを軸線方向に追従可能に支持する芯受けセンタ支持手段とを有することを特徴としている(請求項1,図1)。
【0008】
また、特許文献3の第2の発明は、前記構成において、さらに、前記芯受けセンタ支持手段は、前記芯押しセンタの軸線方向の相対変位を検出する相対変位検出手段と、該相対変位検出手段により検出された相対変位の分だけ前記芯受けセンタを移動させる位置制御手段とを有することを特徴としている(請求項2,図2)。
【0009】
また、特許文献3の第3の発明は、前記芯受けセンタ支持手段に、前記芯受けセンタを所定位置に保持する芯受けセンタ支持部と、該芯受けセンタ支持部と前記芯受けセンタとの間に設けられた弾性手段とを有し、該弾性手段が変形限界まで変形したときの弾性力が前記一定のトルクよりも小さくすることを特徴としている(請求項3,図3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−254074号公報
【特許文献2】特開平10−296374号公報
【特許文献3】特公平6−102234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3に開示された3件の発明は、要するに、ロールダイスとワークの間にスラスト力が発生した場合に、そのスラスト力が加わった方向にワークを移動させて、スラスト力を逃がすように構成されていて、「歩き」の悪影響を抑制する効果がある。しかしながら、これらの発明には次のような問題があった。
【0012】
第1の発明は、追従性が良くないという問題があった。つまり、スラスト力の発生後に芯押しセンタが移動するので、スラスト力の発生と消滅の間にタイムラグがあって、この間に生じる「歩き」の悪影響を解消できないという問題があった。また、装置が複雑で高価になるという問題もあった。
【0013】
第2の発明も、相対変位が検出された後で芯受けセンタを移動させるので、やはり追従性が良くないという問題があった。
【0014】
第3の発明は、該弾性手段の変形によってワークが予期しない方向に移動して、その結果、加工不良や精度低下を招くという問題があった。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、転造加工中にワーク保持台を「歩き」に合わせて、ロールダイスの回転軸に平行に摺動させることにより、「歩き」の影響を受けない転造盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の転造盤は、一対のロールダイスと、ワークを保持するワーク保持台を備える転造盤において、前記ワーク保持台は、少なくとも前記ワークが前記一対のロールダイスに挟まれて転造加工されている場合に、前記ロールダイスの回転軸に平行に自在に摺動するように、摺動支持されていることを特徴とする。
【0017】
上記構成に加えて、前記ワーク保持台を前記ロールダイスに対して進退させる送り装置と、前記ワーク保持台と前記送り装置を任意に連結する連結装置を備えるようにしてもよい。
【0018】
あるいは、前記送り装置を制御する数値制御装置を備え、前記送り装置は前記数値制御装置の指令に従って、前記ワーク保持台を前記ロールダイスに対して進退させるようにしてもよい。
【0019】
前記構成にさらに加えて、前記ワーク保持台は、前記ワークの着脱を行う準備位置と前記ワークを前記一対のロールダイスで挟んで転造加工する加工位置を移動して、前記数値制御装置は、前記ワーク保持台が前記加工位置にある場合に、前記連結装置に所定の信号を与えて、前記連結装置は、前記所定の信号を受けた場合に、前記ワーク保持台と前記送り装置の連結を解除するようにしてもよい。
【0020】
あるいは、前記ワーク保持台と前記送り装置をそれぞれ、前記ロールダイスの回転軸に平行に摺動する摺動支持機構を備えて、前記ワーク保持台を摺動支持する前記摺動支持機構と前記送り装置を摺動支持する前記摺動支持機構は、それらの構成要素の少なくとも一部を共有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワークがロールダイスに挟まれて転造加工されている場合に、ワーク保持台が「歩き」に合わせて、ロールダイスの回転軸に平行に摺動するので、「歩き」の影響を受けない。そのため、ワークの曲がり、加工不良、ロールダイスの寿命低下、ロールダイスやワークの破損等の悪影響がない。
【0022】
また、送り装置と、該送り装置とワーク保持台を任意に連結する連結装置を備えれば、ワーク保持台を必要に応じて送り装置に連結して、ワーク保持台を送り装置の力で進退させる事ができ、その結果、ワークの着脱を行う準備位置や加工位置への移動が速く、かつ容易になる。また、転造加工中には連結を解除して、ワーク保持台の拘束を解き、ワーク保持台を「歩き」に合わせて摺動させるので、「歩き」の影響を受けない。
【0023】
数値制御装置を備えて、該数値制御装置の指令に従って送り装置がワーク保持台を前記ロールダイスに対して進退されば、転造盤の自動運転がさらに容易になる。また、転造位置に正確に移動させることができる。これにより、ワークの軸方向の位置がロールダイスに対して正確に位置決めされる。このため、転造した時のワークの軸方向の加工精度が良くなる。また、転造位置を合わせるための調整が容易である。また、ワークの2箇所以上に同様な転造をする場合でも、任意の転造位置へ移動可能なので、容易にできる。さらに、異なるワークを転造する時、ワークの長さが変更になっても、転造位置に移動させることが容易である。
【0024】
ワーク保持台を、ロールダイスの回転軸に平行に摺動支持する機構を、ワーク保持台をロールダイスに対して進退させる送り装置を摺動支持する機構の一部と兼用すれば、転造盤の機構を簡易にし、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す転造盤の概念的な構成図である。
【図2】連結装置を自動制御する装置の概念図である。
【図3】転造盤の変形例を示す概念的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、適宜、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態の一例を示す転造盤の概念的な構成図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。図1に示すように、転造盤1は、ベース2と、一対の主軸台3,4と、ワーク保持台5と、送り装置6を備える。
【0028】
主軸台3,4は、図示しない横行手段を備えて、ベース2上を横行して、つまり、X軸(図1(a)参照)方向に移動して、互いに接近・離反させることができる。また、主軸台3,4はそれぞれ主軸31,41を備え、主軸31,41にはロールダイス32,42が取り付けられている。主軸31,41及びロールダイス32,42は図示しない主軸モータで回転駆動されている。なお、ロールダイス32,42の外周面には、ワークWにねじ形、ギヤの歯形、ウォーム形等を転造するための凹凸が形成されている。
【0029】
ワーク保持台5は、ベース2に固定されたレール51に摺動自在に支持されて、準備位置Pと加工位置Fの間をY軸(図1(a)参照)方向に進退する。
【0030】
また、ワーク保持台5は、操作センタ台52と後部センタ台53を、連結板54を介して連結して構成される。つまり、操作センタ台52と後部センタ台53は相対的な位置を常に一定に保って(つまり、一体になって)、ベース2上をY軸方向に移動する。また、操作センタ台52には操作センタ55が取付けられて、操作センタ55は操作センタシリンダ56で駆動されて操作センタ台52に対して進退する。つまり、操作センタ55は操作センタ台52に対してY軸方向に移動する。なお、操作センタシリンダ56は油圧で動作する。後部センタ台53には後部センタ57がY軸方向に進退自在に取付けられている。また、後部センタ57はスプリング58で操作センタ台52に向かう方向(+Y方向)に押し出される。
【0031】
なお、ワークWはワーク保持台5において、操作センタ55と後部センタ57の間に挟持される。なお、ワークWの装着は、ワーク保持台5が準備位置Pにあるときに、次のような手順で行う。まず、操作センタシリンダ56に加えていた油圧を除去して、操作センタ55を後退させて、操作センタ55と後部センタ57の間隔を開き、その間にワークWを置く。そして、操作センタシリンダ56に油圧を加えれば、操作センタ55が−Y方向に進んで、ワークWは操作センタ55と後部センタ57の間に挟持される。なお、この時、スプリング58は操作センタシリンダ56の力で圧縮され、後部センタ57も−Y方向に後退する。
【0032】
送り装置6は、ワーク保持台5を駆動して、準備位置Pと加工位置Fの間を移動させる駆動装置である。言い替えれば、送り装置6は、ワーク保持台5をロールダイス32,42に対して進退させる駆動装置である。また、本実施形態では、送り装置6は、ベース2にY軸に平行に軸支された送りねじ61、ベルト・プーリ機構62を介して送りねじ61を回転駆動するサーボモータ63、送りねじ61と螺合するナット64、及びナット64に連結されたブロック65を備える。また、ブロック65は、ワーク保持台5と同様に、レール51に摺動自在に支持されて、ベース2に対してY軸方向に移動する。つまり、送り装置6とワーク保持台5は、共通のレール51に支持されて、共にロールダイス32,42の回転軸方向に自在に摺動する。言い替えれば、送り装置6とワーク保持台5は、摺動支持機構の少なくとも一部を共有している。
【0033】
送り装置6は、例えば、図示しない数値制御装置(コンピュータ)の指令に従って、サーボモータ63が回転して、送りねじ61を回転させると、ナット64の回転はブロック65を介してレール51によって拘束されているから、ナット64及びブロック65は、ベース2に対してY軸方向に移動する。
【0034】
さて、前述したように、送り装置6はワーク保持台5を駆動する送り装置であるが、送り装置6でワーク保持台5を駆動するためには、両者を必要に応じて連結する必要がある。そこで、転造盤1は、そのための連結装置7を送り装置6のブロック65上に備えている。
【0035】
連結装置7は、ブロック65の上に固定された油圧シリンダ71と、油圧シリンダ71で操作されてY軸方向に進退する一対の爪72,73を備える。また、連結装置7にはジョイントプレート74を備えていて、ジョイントプレート74の一端は、ワーク保持台5に固定されて、他端は爪72,73に挟持される。つまり、油圧シリンダ71が操作されて爪72,73の間隔が閉じれば、送り装置6とワーク保持台5が連結される。爪72,73の間隔が開けば、送り装置6とワーク保持台5の連結が解除される。なお、図の煩瑣を避けるために、図1(b)においては、ジョイントプレート74を省略して図示している。
【0036】
次に転造盤1の機能を説明する。前述したように、転造盤1は必要に応じて、送り装置6とワーク保持台5を任意に連結、あるいは連結解除できる。そのため、ワーク保持台5が準備位置Pと加工位置Fの間を移動する間は、送り装置6とワーク保持台5に連結して、作業者の手を使わずに自動的に、ワーク保持台5を移動させることができる。
【0037】
一方、ワーク保持台5が加工位置Fにあって、転造加工の開始位置にロールダイス32,42が移動して、ワークWがロールダイス32,42による転造加工を受ける間は、送り装置6とワーク保持台5の連結を解除する。送り装置6とワーク保持台5の連結が解除されると、ワーク保持台5のベース2に対するY軸方向の移動が自由になる。そのため、転造加工が始まり、ワークの「歩き」が生じても、ワークの「歩き」に合わせて、ワーク保持台がロールダイスの回転軸に平行に摺動するので、「歩き」の影響を受けない。そして、転造加工が終了したら、送り装置6とワーク保持台5を再度連結する。
【0038】
例えば、図2に示すように、送り装置6を制御する数値制御装置9を備えて、送り装置6の位置を数値制御装置9でモニタして、送り装置6とワーク保持台5が加工位置Fに到着し、転造加工の開始位置にロールダイス32,42が移動して、ワークWがロールダイス32,42による転造加工を受ける間は、送り装置6とワーク保持台5の連結解除をさせる所定の信号が、数値制御装置9から連結装置7に出力されるように数値制御装置9をプログラムしてもよい。
【0039】
なお、転造盤1の機械的構成は図1に示したようなものには限定されない。例えば図3に
に示すように、スプリング58(図1参照)に代えて、後部センタシリンダ59を後部センタ台53に備えて、後部センタシリンダ59で後部センタ57を操作センタ台52方向に押し出すようにしてもよい。あるいは、送りねじ61、ベルト・プーリ機構62、サーボモータ63およびナット64(図1参照)に代えて、送り装置6を、送り油圧シリンダ67で駆動するようにしてもよい。
【0040】
なお、上記の実施形態は、本発明の具体的な実施態様の一例であって、本発明の技術的範囲は上記の実施形態によっては限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の限りにおいて、自由に応用、変形、あるいは改良して実施することができる。
【0041】
例えば、請求項1に記載の発明において、ワーク保持台は、ワークが転造加工されている場合に、自由に摺動すれば十分であり、転造加工されていない場合は、ワーク保持台の摺動が拘束されても、拘束されていなくてもよい。言い替えれば、上記の実施形態の送り装置6及び連結装置7は、請求項1に記載の発明においては、任意の構成要素であり、なくてもよい。
【0042】
また、上記実施形態で示したワーク保持台5の構成は例示であって、本発明は、これに限定されるものではない。ワーク保持台5は。ワークWの寸法や加工の態様に応じて、任意に設計できる。
【0043】
また、上記実施形態では、送り装置6として、送りねじとナットの組み合わせ、及び油圧シリンダを使用する例を示したが、本発明の技術的範囲がこのようなものに限定されないことは言うまでもない。各種の動力や機構を備える送り装置を選択することができる。あるいは、送り装置は手動によるものであってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、連結装置7を、油圧シリンダ71と爪72で構成する例を示したが、本発明の技術的範囲がこのようなものに限定されないことも言うまでもない。連結装置7は各種の形式を選択できる。例えば、空気圧あるいは電磁力で動作するメカニカルチャックであってもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、説明の便宜のために、数値制御装置9が送り装置6と連結装置7だけを制御する例を示したが、本発明の技術的範囲がこのようなものに限定されないことも言うまでもない。数値制御装置9は、主軸台3,4の横行手段、主軸31,41を含む転造盤1の全体を制御するコンピュータであってもよい。あるいは、転造盤1に各種のセンサ、例えば、ワーク保持台5のベース2の位置を検出するセンサ、ワーク保持台5におけるワークWの存否を検出するセンサ、ロールダイス32,42がワークWを挟んだことを検出するセンサ等を備えて、数値制御装置9は該各種センサの検出状態が、所定の条件を満足するときに、送り装置6や連結装置7などを動作させるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、主軸台3,4の横行手段や主軸31,32を駆動する動力、及びレール51とベース2の相互の関係については詳細な説明を省いたが、主軸台3,4の横行手段の構成あるいはレール51とベース2の相互の関係は、本発明の技術的範囲の解釈には関係しない。転造盤1は、ロールダイス32,42の形状をワークWに転造する機能を備えていれば十分であり、主軸台3,4の横行手段の構成や主軸31,32を駆動する動力、及びレール51とベース2の相互の関係は任意に選択できる。また、主軸台3,4のいずれか一方をベース2に固定して、他方だけに横行手段を備えることもできる。この場合、レール51がベース2に対して、自在に横行(X軸方向に移動)するように、レール51はベース2に摺動支持されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、操作センタシリンダ56、後部センタシリンダ59、送り油圧シリンダ67など、油圧で作動する装置を例示したが、これらは例示であって、本発明の技術的範囲がこのような油圧で作動する装置を備えるものに限定されないことは言うまでもない。例えば、空気圧で作動する装置であってもよいし、回転電動機、リニアモータ、ソレノイドのような電磁力で作動する装置であってもよい。
【0048】
なお、ロールダイス32,42が正転と逆転を交互に繰り返すようにしてもよい。転造加工の際に、ロールダイス32,42を一方向にのみ回転させると、「歩き」も一方向にのみ生じるが、ロールダイス32,42が正転と逆転を交互に繰り返すと、「歩き」も正方向と逆方向に交互に生じるので、「歩き」の移動量を小さくできる。そのため段付のワークを転造する時に、ワークの段部とロールダイスの干渉が生じない等の効果がある。
【符号の説明】
【0049】
1 転造盤
2 ベース
3 主軸台
31 主軸
32 ロールダイス
4 主軸台
41 主軸
42 ロールダイス
5 ワーク保持台
51 レール
52 操作センタ台
53 後部センタ台
54 連結板
55 操作センタ
56 操作センタシリンダ
57 後部センタ
58 スプリング
59 後部センタシリンダ
6 送り装置
61 送りねじ
62 ベルト・プーリ機構
63 サーボモータ
64 ナット
65 ブロック
67 送り油圧シリンダ
7 連結装置
71 油圧シリンダ
72 爪
73 爪
74 ジョイントプレート
9 数値制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のロールダイスと、
ワークを保持するワーク保持台と
を備える転造盤において、
前記ワーク保持台は、少なくとも前記ワークが前記一対のロールダイスに挟まれて転造加工されている場合に、前記ロールダイスの回転軸に平行に自在に摺動するように、摺動支持されている
ことを特徴とする転造盤。
【請求項2】
前記ワーク保持台を前記ロールダイスに対して進退させる送り装置と、
前記ワーク保持台と前記送り装置を任意に連結する連結装置を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の転造盤。
【請求項3】
前記送り装置を制御する数値制御装置を備え、
前記送り装置は前記数値制御装置の指令に従って、前記ワーク保持台を前記ロールダイスに対して進退させる
ことを特徴とする請求項2に記載の転造盤。
【請求項4】
前記ワーク保持台は、前記ワークの着脱を行う準備位置と前記ワークを前記一対のロールダイスで挟んで転造加工する加工位置を移動して、
前記数値制御装置は、前記ワーク保持台が前記加工位置にある場合に、前記連結装置に所定の信号を与えて、
前記連結装置は、前記所定の信号を受けた場合に、前記ワーク保持台と前記送り装置の連結を解除する
ことを特徴とする請求項3に記載の転造盤。
【請求項5】
前記ワーク保持台と前記送り装置をそれぞれ、前記ロールダイスの回転軸に平行に摺動する摺動支持機構を備えて、
前記ワーク保持台を摺動支持する前記摺動支持機構と前記送り装置を摺動支持する前記摺動支持機構は、それらの構成要素の少なくとも一部を共有する
ことを特徴とする請求項2に記載の転造盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−255387(P2011−255387A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129470(P2010−129470)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000133593)株式会社ツガミ (28)