説明

軽合金ホイールリムの製造方法及びそれにより作られたホイールリム

【課題】 極めて軽量化されたホイールリムを得ることを可能にする軽合金ホイールリムの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明による軽合金ホイールリム(1)の製造方法(20)は、ホイールディスク(2)と環状部(3)とを有し、前記環状部(3)が、第一の輪郭を有するドロップウエル(C)を区画している第一のビード(4i)と第二のビード(4e)とを含んでいる未加工軽合金ホイールリムを調製する工程と、前記ドロップウエルの少なくとも中間部分(C1)において、前記第一の輪郭よりも薄い厚みを有する第二の輪郭を確保するために、前記第一の輪郭を修正することにより前記未加工ホイールリムを処理する工程(23)と、薄い厚みを実質的にそのままにした状態で、前記第二の輪郭の前記中間部分の表面を圧縮作用によって表面仕上げする工程(25)を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の技術分野に関するもので、より詳述すると、軽合金ホイールリムの製造方法及びそれにより作られたホイールリムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホイールリムの重量が、ホイールリムが取り付けられる車輌の性能及び燃料消費率にかなり影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
この問題による欠点を解消又は低減させるために、様々な軽合金(例えば、アルミニウムから作られた)ホイールリムを用いることができる。軽合金リム又は合金リムは、他の種類のリムよりは、低重量である。
【0004】
一般に、合金ホイールリムは、略環状に形成された部分と、その環状部に接続されたホイールディスクとを有している。環状部は、タイヤと接続させるのに相応しい、ドロップウエル(drop well)と称されている領域を有している。
【0005】
例えば、ホイールディスクと環状部は、鋳造によって一体に成形され、または、鋳造によって別体に形成されて、次いで、例えば、溶接によって互いに一体にされる。
【0006】
ホイールディスクは、スポークを介して互いに接続されたハブとフランジとを有し、車輌の外側に露出しているため、かなりの格調の高い審美的効果を得ることを可能にする。
【0007】
合金リムの重量を低減させるために、近年、様々な解決策が提案されている。
【0008】
例えば、合金リムの構造体に設けられた軽量化凹部,穴又はポケットを備えた合金リムを調製するという軽量化技術が開発されている。この種のリムは、例えば、特許文献1及び2に記載されている。そのような軽量化技術を介して得られるホイールリムはかなり低量化されているが、それに伴ってホイールリムの構造の複雑性が増し、それに対応して製造工程も複雑化するという問題を伴う。
【0009】
合金ホイールリムを軽量化させるための別の可能性としては、ホイールリムの他の部分よりも薄いドロップウエルを有する合金リムを作製するということが考えられる。
【0010】
然しながら、ドロップウエルが薄すぎると、製造工程でドロップウエルに随意に作られてしまう多孔又はマイクロキャビティのために、ドロップウエルが通気性を呈する領域を有するようになることが判っている。そのような領域が存在することにより、ホイールリムに取り付けられたタイヤが好ましくなく収縮してしまうという事態が起こる。
【0011】
従来、ドロップウエル部分を介したエアーロスを可能な限り低減させるべく、ドロップウエル部分におけるマイクロ開口又は通路を密封するために、高密度の材料をドロップウエルの上に熱蒸着させるという製造方法が提案されている。そのような方法の一例が、特許文献3に開示されている。
【特許文献1】米国特許6,135,367
【特許文献2】国際公開WO98/47722
【特許文献3】米国特許5,569,496
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
然しながら、それらの方法は、効率性が悪く、更に、熱蒸着された材料が均一で正確に接着することを確実にするためには、熱蒸着処理の前にホイールリムの表面を極めて完璧に洗浄する必要があるという欠点がある。
【0013】
そこで、本発明は、上述した最新技術の欠点を解消することの可能な、軽合金ホイールリムの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、請求項1に記載した、軽合金ホイールリムの製造方法によって達成される。本発明の好ましい実施例に係る製造方法は、請求項2〜19に記載されている。
【0015】
本発明の更なる目的は、請求項20に記載されたような軽合金ホイールリムを提供することにある。
【0016】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面に図示の限定的でない好ましい実施例についての後述する説明を参照することにより、更に明確になるであろう。
【0017】
図中において、均等又は類似の部品は、同じ参照符号を用いて示されている。
【0018】
用語「ホイールリムの回転軸」とは、ホイールリムが使用中に回転する中心の軸を意味する。
【0019】
用語「放射方向」とは、ホイールリムの回転軸に対し略垂直な方向を意味する。
【0020】
用語「軸線方向」とは、ホイールリムの回転軸に対して略平行な方向を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
特に図1を参照すると、軽合金(例えば、アルミニウム)ホイールリム1、例えば、自動車の車輪において用いることができるタイプのホイールリムが図示されている。
【0022】
ホイールリムは、ホイールディスク2と環状、即ちリング状部3とを有している。リング状部3は、第一のビード、即ち、内側ビード4iと、第二のビード、即ち、外側ビード4eとを有し、それらビードは、リング状部3の周縁に沿って略放射方向へ延びている。ビード4i,4eは、リング状部3の軸線方向の両側に設けられていて、ホイールリム1が車輌に装着された時に、夫々、内側と外側に位置するように配置されている。リング状部3の内側ビード4iと外側ビード4eは、図1に示されていない、例えば、チューブレスタイプのタイヤに対してホイールリム1を接続させるために、接続ドロップウエルCを区画している。
【0023】
ホイールリム1の外側ビード4eの近傍のホイールディスク2は、リング状部3の内部に延びたフランジ9を有し、そのフランジ9は、ホイールリムを車輌に組み付けた時に外側を向いて、ホイールリム1の美的外観を決定するのに役立つ。
【0024】
ハブ10は、ホイールリム1を車輌の軸(図示せず)に接続させるために用いられる。
【0025】
ホイールディスク2は、リング状部3をフランジ9の近傍でハブ10に接続させるのに相応しい複数のスポーク11を更に有している。より詳述すると、各スポーク11は、リング状部3とハブ10との間で略放射方向に延びている。
【0026】
図2は、図1に示したホイールリムの拡大部分側面図である。内側ビード4iと外側ビード4eの近傍において、ドロップウエルCの表面から、夫々、第一のこぶ部、即ち、内側こぶ部5iと、第二のこぶ部、即ち、外側こぶ部5eが突出している。内側こぶ部5iと外側こぶ部5eは、夫々参照符号6i,6eで示されたドロップウエルCの作動面を含んでいる。
【0027】
タイヤ2は、タイヤ2をホイールリム1に固定するのに、作動面6i,6e及びビード4i,4eと協働してシールするのに相応しいビード7i,7eを端部に備えていて、それ故、(仮令、チューブを用いていない場合であっても)タイヤ2の適切な膨張圧力を維持させることができる。
【0028】
図1を参照してホイールリム1の特別な例について説明したが、別のタイプのリムに後述するような工夫を適用することもでき、その工夫は、ホイールリムが、別のタイプの車輌(例えば、オートバイ)に用いられるもので、別の材料(例えば、マグネシウム,チタン又はリムを作製するのに好適なより一般的な何らかの軽合金)から作られ、例えば、異なった形態を持ったこぶ部(例えば、延びたこぶ部)を含んだ異なった形態を有している場合には、特に有効である。
【0029】
再び図2を参照すると、第一の作動面6iと第二の作動面eとの間のドロップウエルCの部分が、タイヤ2の内側面と一体になって、タイヤ自体を支持するように加圧ガスを含むのに好適な内側チューブ12が区画されていることを認識すべきである。茲で、用語「内側チューブ12」とは、加圧ガスを含むのに好適な略トロイド状のチャンバーを意味するものであることを強く銘記すべきである。
【0030】
ホイールリム1は、ドロップウエルCの少なくとも中間部分に薄い肉厚部(例えば、略4ミリメートル未満)を有し、何らかの多孔及び(又は)微小の傷及び(又は)微小の空隙が生じているが、そのようなドロップウエル部分を介した通気を防止するために、それら多孔及び(又は)微小の傷及び(又は)微小の空隙を、ドロップウエル部分を機械的に表面処理することによりシールすることが有益である。そのドロップウエル部分の厚さは、3.5ミリメートル未満であることが好ましい。より好ましくは、この厚さは、2.5ミリメートル〜3ミリメートルの間の範囲である。
【0031】
本明細書全体を通して、中間部分とは、第一のビード4iと第二のビード4eとの間の部分で、ドロップウエルCの略中央部分を含み、その略中央部分に対して必ずしも対称になっていない部分を意味する。
【0032】
再び図2を参照すると、特に好ましい実施例においては、ドロップウエルCの薄肉厚な中間部分は、ドロップウエルCの第一の作動面6iと第二の作動面6eとの間に含められ、好ましくは、ドロップウエルCの内側こぶ部5iと外側こぶ部5eとの間に含められている。
【0033】
特に好ましい実施例においては、薄肉厚な中間部分は、二つのこぶ部の間のドロップウエルの略全ストレッチに沿って延びており、例えば、図2に参照符号C1で示した破線に沿って延びている。
【0034】
図3に示したブロック図を参照して、本発明に係る軽合金ホイールリムの製造方法の特に好ましい実施例20について後述する。
【0035】
この製造方法20は、例えば、一体になった未加工ホイールリム、即ち、単一品であるホイールリムを調製する第一の工程21(CAST RIM)を含んでいる。茲で、「未加工ホイールリム」とは、最終のホイールリムの形状と寸法と略等しい形状と寸法を有しているが、一般的に、未加工ホイールリムからそれの材料を除去し(即ち、荒加工)、ホイールリムの周囲の輪郭を綺麗にすることを実質的に目的とする機械的加工処理を更に必要とするホイールリムを意味する。
【0036】
未加工ホイールリムの調製工程21は、第一のこぶ部と第二のこぶ部との間のストレッチに、一定でない厚さ、例えば、略10ミリメートルと略20ミリメートルとの間の厚さを持った輪郭(profile)を有するドロップウエルを含んだホイールリムを作製するような工程であることが好ましい。
【0037】
好ましいけれども、限定的ではない、未加工ホイールリムの調製工程21は、鋳造材料がアルミニウム又はそれの合金であるインダイ鋳造処理(in−die casting operation)を含んでいる。
【0038】
インダイ鋳造処理は、現在最新の技術であるので、その詳細については詳しく説明しない。例えば、インダイ鋳造処理は、比重式又は低圧式のものである。
【0039】
インダイ鋳造処理は、適当な時間の経過後、即ち、ダイに注入された材料が実質的に凝固した後に、成形された未加工ホイールリムをダイから取り出す工程を含み、好ましくは、例えばそのホイールリムを水に瞬時に浸すが如きホイールリムを冷却する連続した工程を含んでいる。
【0040】
未加工ホイールリムの調製工程21は、インダイ鋳造処理に代えて、又は、インダイ鋳造処理に付け加えて、別の鋳造処理を含んでいてもよい。この処理は、(限定されるものではないが、例えば、インダイ鋳造によって得られる)ホイールリムのプリフォーム(preform)を温かいうちに塑性変形させるために実施される処理を意味する。
【0041】
製造方法20は、図3に示したように、未加工ホイールリムの調製工程21の後に続いて熱処理を施す任意の工程22(H TREAT)を含んでいるのが好ましく、この熱処理工程においては、未加工ホイールリムの機械的及び構造的特性を向上させるために、未加工ホイールに高熱が加えられる。兎に角、この処理は、用いられる合金の種類によって、必要とされ或いは必要とされない任意の処理である。必要とされる場合には、この熱処理工程22は、詳しく説明しないけれども、例えば、溶体化熱処理,焼入れ及び時効等の如き公知の熱処理を含んでいる。
【0042】
製造方法20は、未加工ホイールリムから金属を除去するために、続いて実施される機械的処理工程23(MACH RIM)を更に含んでいる。好ましくは、この処理は旋盤加工を含んでいる。
【0043】
例えば、この処理の最中に、未加工ホイールリムを、旋盤の回転プレート上に固定し、それの回転軸に実質的に一致した回転軸を中心に回転させる。合金ホイールリムの最終的な形態に近い形態を有するホイールリムを確保するために、ホイールリムが回転している間に、ホイールリムに対して略放射方向に沿って配向された公知の切削工具が、未加工ホイールリムの材料を除去するためにホイールリム1の外側面及び(又は)内側面に当てがわれる。
【0044】
より詳しく説明すると、ホイールリムの環状部の各領域を際立たせるために、旋盤での機械的処理工程23の最中に、一つ又はそれ以上の切削工具で、回転しているホイールリムを際立たせて、その切削工具をホイールリムに対する軸線方向へ移動させる。切削工具は当業者によく知られているので、更に詳しく説明しない。
【0045】
機械的処理工程23は、例えば、図4に横方向に断面で示されているような、中間部分の肉厚が他の部分と比較してかなり薄くなっているドロップウエルCを持ったホイールリムを作り出すような処理であることが有益である。
【0046】
旋盤での処理23により、ドロップウエルCの中間部分が4ミリメータ未満、より好ましくは、2.5ミリメータと3.5ミリメータの間の厚さを有する部分を持ったホイールリム1を作り出すのが好ましい。例えば、この中間部分は、内側こぶ部5iと外側こぶ部5eの間のドロップウエルCのストレッチにおいて延在している。このストレッチは、図4中に破線C1で示されている。
【0047】
図3に示した実施例によれば、製造方法20は、機械加工処理23の後に、ドリル穿孔処理24(DRILL RIM)を含んでいることが好ましく、そのドリル穿孔処理においては、ホイールリムを車輌軸と連結することを可能にする穴がホイールリムのホイールディスクに穿孔される。
【0048】
製造方法20は、更に、少なくともホイールリム1のドロップウェルCの中間部分の表面仕上げ処理を続いて行う工程25(REF SURF)を含んでいることが有益である。この処理は、ホイールリム1の形態及び形状を肉眼で見えるように修正するというような処理ではなく、未加工ホイールリムを調製する工程21においてドロップウエルCに出来た何らかの通気孔及び(又は)穴を実質的にシールするために、ドロップウエルCの表面に塑性的に加えられる処理である。
【0049】
表面仕上げ処理工程25は、処理が施されるドロップウエル表面によって制限された領域に夫々作用を及ぼす多数回の局所的圧縮作用によって実現される表面処理を含んでいるのが有益である。
【0050】
特に、この表面処理工程25は、バニシ仕上げ(即ち、研磨)処理を含んでいる。そのバニシ仕上げ処理は、例えば、処理される表面よりも寸法が小さい局所的圧縮手段を有し、処理の最中に処理される表面を一回又はそれ以上の回数打ちつけるようにホイールリムに相対して移動させられる工具によって実現することができる。
【0051】
例えば、その圧縮手段は、ホイールリムと工具との相対運動の結果としてドロップウエルの表面上を回転するのに好適で且つホイールリム1が作られている材料の通常の硬さよりも更に硬い材料で作られている小さなボール(或いは、小さなシリンダー)である。
【0052】
局所的な圧縮は、そのような圧縮処理に晒される表面の均一且つ均質な処理を可能にするものであるので、有益である。
【0053】
こうして、ドロップウエルCの表面の局所的な変形によって何らかの孔はシールされる。本質的には、バニシ仕上げ処理は、ドロップウエルCの表面の粗さを減少させるような処理であり、その処理をほぼ表面レベルで実施しつつ、ドロップウエルCの厚さを実質的にそのままにするような処理である。
【0054】
特に有益な実施例においては、実施するという観点から簡単であるので、バニシ仕上げ処理は、旋盤における機械的処理工程23(MACH RIM)が実施されるのと同一の旋盤に設けられた一つ又はそれ以上の工具によってホイールリム1に施される。この場合には、バニシ仕上げ処理は、ホイールリムを回転軸を中心に回転させることにより実施され、バニシ仕上げ処理が施されるドロップウエルCの表面部分にバニシ仕上げ工具を一回又はそれ以上の回数通過させるような処理である。
【0055】
バニシ仕上げ処理は冷間で実施するのが有益であり、即ち、この処理はホイールリムに先に加えられた熱を必要としない。
【0056】
図5は、バニシ仕上げ処理中のホイールリム1の部分側断面図である。特に好ましい実施例である図5に示した例によれば、バニシ仕上げ処理は、ホイールリム1の外側に向いているドロップウエルCの表面全体、実質的には、内側こぶ5iと外側こぶ5eとの間に存在するドロップウエルCの表面全体を処理するようなものである。
【0057】
図5においては、バニシ仕上げ工具は、参照符号B Tで示されていて、硬いボール状のティップ(tip)のような硬い圧縮手段Bを有している。バニシ仕上げ処理が施されるドロップウエルCの表面部分は、破線C1にて示されている。そのような表面部分の形状は、略円筒状であることを銘記すべきである。
【0058】
図6に示した別の実施例においては、バニシ仕上げ処理が施されるドロップウエルCの表面部分は、ホイールリム1の内面で、外側こぶ5eと内側こぶ5iに夫々近接した二つの点P1,P2の間に略延在している部分である。図6においては、ホイールリム1の内面でバニシ仕上げ処理が施されるドロップウエルCの内面部分は、破線Ciで示されている。
【0059】
図7に示した更に別の実施例においては、バニシ仕上げ処理が施されるドロップウエルCの表面部分は、ホイールリム1の外側のドロップウエルCの外表面部分と、ホイールリム1の内側のドロップウエルCの内表面部分である。この場合には、ホイールリム1の外側の外表面部分と、ホイールリムの内側の内表面部分とを夫々処理するために二つのバニシ仕上げ工具B Tを用いることができる。好ましいが限定的ではない処理態様であるが、ホイールリムの内側及び外側のバニシ仕上げ処理は、例えば、内表面部分と外表面部分にずらして動作される、即ち、内表面部分と外表面部分との互いに位置的に対応していない部分に動作される工具を用いて、同時に実施することができる。
【0060】
図8に示した更に別の有益な実施例においては、二つのバニシ仕上げ工具を、同時に動作させ、各圧縮手段Bが互いに整列するように対置させる。実際上、二つのバニシ仕上げ工具B Tは、バニシ仕上げ処理が施されるドロップウエルの外表面部分と内表面部分の互いに位置的に対応する領域に動作される。
【0061】
この最後の実施例は、非常に薄い厚み(例えば、2.7ミリメートル程度)を有するドロップウエルの輪郭の互いに位置的に対応する外表面部分と内表面部分とに工具を作動させてバニシ仕上げする場合に、それら外表面部分及び内表面部分にかなりの圧力を作用させてもドロップウエルの輪郭を変形させるという虞れもなくバニシ仕上げ工具を動作させることができるという極めて特異な利点を奏する。
【0062】
再び図3を参照すると、製造方法20は、更に、続いてホイールリムのバーニッシュ処理工程26(VARN RIM)を含んでいるのが好ましく、このバーニッシュ処理は、当業者によく知られているため、本明細書の記載から明らかであろう。
【0063】
本発明に係る製造方法によれば、表面仕上げ処理工程25でドロップウエル部分の通気を許容する何らかの孔をシールしながら、未加工ホイールリムを調整して旋盤で処理することにより得られる合金ホイールリムと比較して極めて肉厚の薄いドロップウエルを備えた合金ホイールを得ることを可能にするので、本発明による製造方法は極めて有益である。ドロップウエルの厚みを薄くすることは、ホイールリムの寸法に左右されるホイールリムの重量のパーセンテージをかなり低減させることを可能にし、場合によっては、約15%程度低減させることができる。
【0064】
更に、本発明に係る方法は、上述した従来の通常の方法を既に実施している製造者にとっては適度に安価な投資で実施できることを可能にする。
【0065】
実験的な耐応力性試験を実施したところ、本発明による方法で得られたホイールリムが、規則及び市場によって普通に要求されている性能仕様を満足させるものであることが実証された。
【0066】
要求されうる特別な条件を満足させるために、当業者が本発明に係る製造方法に修正及び変更を加えることができることは明らかであり、そのような修正及び変更の全てが本願の特許請求の範囲に記載された発明の範囲に含まれるものであることも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】車輌用軽合金ホイールリムの斜視図である。
【図2】図1に示したホイールリムの拡大部分側面図である。
【図3】本発明による製造方法に含まれる一連の処理工程を示した概略図である。
【図4】図3に示した一連の処理工程の内の一つの工程を通過した時の、図1に示した軽合金ホイールリムの部分断面図である。
【図5】図3に示した一連の処理工程の内の一つの工程に係る第一の実施例における図1に示したホイールリムの部分断面図である。
【図6】図3に示した一連の処理工程の内の上記一つの工程に係る第二の実施例における図1に示したホイールリムの部分断面図である。
【図7】図3に示した一連の処理工程の内の上記一つの工程に係る第三の実施例における図1に示したホイールリムの部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽合金ホイールリム(1)の製造方法(20)であって、
ホイールディスク(2)と環状部(3)とを有し、前記環状部(3)が、第一の輪郭を有するドロップウエル(C)を区画している第一のビード(4i)と第二のビード(4e)とを含んでいる未加工軽合金ホイールリムを調製する工程と、
前記ドロップウエルの少なくとも中間部分(C1)において、前記第一の輪郭よりも薄い肉厚を有する第二の輪郭を確保するために、前記第一の輪郭を修正することにより前記未加工ホイールリムを処理する工程(23)と、
薄い厚みを実質的にそのままにした状態で、前記第二の輪郭の前記中間部分の表面を圧縮作用によって表面仕上げする工程(25)を含んでいることを特徴とする、軽合金ホイールリムの製造方法。
【請求項2】
前記表面仕上げ工程(25)が、孔及び(又は)穴を実質的にシールするために前記第二の輪郭の前記表面を塑性変形させる工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧縮作用が、前記第二の輪郭の前記表面の限定された領域に複数回局所的に及ぼされる圧縮作用を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表面仕上げ工程(25)が、前記第二の輪郭の前記表面をバニシ仕上げすることを含んでいる、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記バニシ仕上げが、前記第二の輪郭の前記表面よりも小さな寸法を有する局所的圧縮手段(B)を含んだ少なくとも一つの工具(B T)によって前記未加工ホイールリムに実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工具で前記第二の輪郭の前記表面を複数回打ちつける、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第二の輪郭の前記表面が前記未加工ホイールリムの外側に向いている面を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第二の輪郭の前記表面が前記未加工ホイールリムの内側に向いている面を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第二の輪郭の前記表面が、前記未加工ホイールリムの外側に向いた第一の面と、前記未加工ホイールリムの内側に向いた第二の面とを有し、前記表面仕上げが、前記第一及び第二の面の互いに位置的に対応する領域に同時に動作させられる少なくとも二つの工具(B T)を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第二の輪郭の前記表面が、前記未加工ホイールリムの外側に向いた第一の面と、前記未加工ホイールリムの内側に向いた第二の面とを有し、前記表面仕上げが、前記第一及び第二の面の互いに位置的にずれた領域に好ましくは同時に動作させられる少なくとも二つの工具(B T)を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記薄い肉厚が、4ミリメータ未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記薄い肉厚が、2.5ミリメータと4ミリメータの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記薄い肉厚が、2.5ミリメータと3.5ミリメータの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ドロップウエル(C)が、前記第一のビード(4i)の近傍に配置された第一のこぶ部(5i)と、前記第二のビード(4e)の近傍に配置された第二のこぶ部(5e)とを有し、前記中間部分が、前記第一のこぶ部(5i)と前記第二のこぶ部(5e)との略間に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記中間部分が、前記第一のこぶ部(5i)と前記第二のこぶ部(5e)との間の前記ドロップウエル(C)のストレッチ全体に略沿って延びている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記未加工ホイールリムを調製する前記工程(21)が、インダイ鋳造処理を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記未加工ホイールリムを調製する前記工程(21)が、鋳造処理を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記未加工ホイールリムを処理する前記工程(23)が、旋盤加工を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の輪郭が、10ミリメートルと20ミリメートルの間の厚みを有する中間部分を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか一項に記載の製造方法(20)によって得られた軽合金ホイールリム(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−533549(P2007−533549A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509064(P2007−509064)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000230
【国際公開番号】WO2005/102737
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506334067)ヘイズ レメルズ エス.アール.エル. (1)