説明

軽量シャフト・ロッドを有するヘルド枠

【課題】軽量シャフト・ロッドのためのコーナ継ぎ手を提供する。
【解決手段】ヘルド枠は、軽量材料からなる少なくとも一つのシャフト・ロッド14と少なくとも一つの側面の支柱とを含む。それらは、特別に構成された差込口25によるコーナ接続を介して、互いと接続している。この差込口25は、少なくとも1つ、好ましくは2つの、平面体を備える。この平面体の少なくとも1つは、2つの当接部材30、31と接続している。これらのうちの1方は固定されるかまたは静止的に取り付けられ、他方は少なくとも最小限可動であるように、保持されるかまたは取り付けられる。2つの当接部材30、31は、異なる距離で平面体の表側のふち33を越えて突き出す。緊張手段が2つの当接部材30、31の間で作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維強化プラスチック材料でできたシャフト・ロッドを有するヘルド枠に関する。本発明は特にヘルド枠の側面の支柱とシャフト・ロッドとの間の接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
普通、ヘルド枠は長方形の枠の形をした構造物で、長い、水平に配置されたシャフト・ロッドと、それらのシャフト・ロッドを互いにそれぞれの端部に沿って接続する垂直な側面の支柱とからなる。シャフト・ロッドは、ヘルドを収容するためのヘルド支持レールを支える。このようなヘルドの基本構成は、例えば、特許文献1または特許文献2、特許文献3、特許文献4からも参照され得る。ヘルド支持レールにヘルドを取り付けるためには、ヘルドが取外し可能であることが必要である。このために、適当なコーナ(角)継手が側面の支柱をシャフト・ロッドに接続するために用いられる。ほとんどの場合、コーナ継手は、締め付けまたは緊張装置として設計される。それらは、シャフト・ロッドに側面の支柱の縦方向力を、シャフト・ロッドが損傷しないように伝えるために設けられる。
【0003】
これと関連して、特許文献5は、2つのシートメタル板がシャフト・ロッドの終端に取り付けられることを示唆し、そこにブロックがそのシートメタル板の間に堅く取り付けられる。シートメタル板およびブロックは中空の空間を有し、その中に側面の支柱の突出部が装着される。ブロックのうちの1つには、締付けねじがねじ込まれる、ねじ付き穴が設けられている。この締付けネジは、側面の支柱の突出部を相対するブロックに押し付けて、それによりコーナ継手に張力をかけて所定の位置に収める。
【0004】
特許文献5には、アルミニウムの成形材または複合材料のシャフト・ロッドからなるヘルド枠が開示されている。U型の横断面を備えたスリーブ要素がその端部にあてがわれ、そのレッグはシャフト・ロッドの平坦な側に亘って延びる。このスリーブ要素は、側面の支柱の延長部分を接続するための取付けネジを受ける。
【0005】
特許文献6には、ヘルド枠の弾力を利用するコーナ接続を有するヘルドが開示されている。後者は、シャフト・ロッドの長さ方向に亘ってある程度の距離を延びる(ヘルド枠の端部のくぼみから始まる)長手方向のスリットを備えている。加えて、シャフト・ロッドは、シャフト・ロッドの中空空間に挿入され側壁と堅く接続した、案内部材と呼ばれる2つの引張ブロックを収容している。型締ネジは、2つの引張ブロックを互いの方向に引っ張ることができる。それらは、それらの間で側面の支柱の延長部分を締めつける。所定の位置に側面の支持の延長部分を締めつけ、またはそれを解放するため、引張ブロックは、シャフト・ロッドに設けられた長手方向のスリットにより、極めて小さな移動ができ得る。
【0006】
特許文献7のコーナ接続は、類似した原理に従って働く。この場合においても、シャフト・ロッドの端部に作用する長手方向のスリットが、スリットの上下に配置されるシャフト・ロッドのレッグの締め付け動作を許容するために用いられている。
【0007】
上述した原理は、合成樹脂シャフト・ロッド、特に、繊維強化ロッドに応用する場合に問題を生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第10116813号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0531886号明細書
【特許文献3】欧州特許第0659178号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1985733号明細書
【特許文献5】欧州特許第0513281号明細書
【特許文献6】独国特許第10116813号明細書
【特許文献7】スイス国特許第427688号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、軽量シャフト・ロッドのためのコーナ継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のヘルド枠は、例えば炭素繊維で補強された、繊維強化プラスチック材料の軽量シャフト・ロッドを備える。これは、ムク材かまたは中空の成形材でもよい。補強のための繊維は、長線維でも短繊維でもよい。それらの繊維は、整列しているか、または無秩序に、プラスチック材中に配置されてもよい。それらは、織物、編み物、整列体、個々のフィラメント、綱等として配置されてもよい。例えば、それらは、大部分シャフトの長さ方向において、及び/又は他の方向に延びていてもよい。それらは、有機であるか無機繊維、炭素繊維等でもよい。繊維は、母材、好ましくはプラスチック材料の母材に、または金属母材、例えば、マグネシウム―アルミニウム金属母材にも埋め込まれる。
【0011】
差し込み口がシャフト・ロッドに設けられ、その差し込み口は2つの平面体からなる。これらは、2つの側面の領域、好ましくは端部領域、に接着されるか、または平面的にそこに接合される。この平面体は、例えば、シートメタル板、合成樹脂板等でもよい。それらは、同一の厚みまたは交互に変化する厚みを有してもよい。例えば、平面体は、シャフト・ロッドの端部から中心に向かってテーパーがついていてもよい。これは、コーナ継手にかかる力を、広域にそして局所的サージなしに、シャフト・ロッドに伝達する助けとなる。代替の態様としては、1つのみの平面体を必要とするものがある。この平面体は、シャフト・ロッドの平坦な側に対してあらかじめ平行に設けたスリット中に、その両側が接着される。
【0012】
第1の堅固な当接部材、およびこの第1の当接部材に対して張力をかけられ得る第2のさらなる当接部材が、2つの平面体の間に配置される。緊張手段が第1の当接部材に対して第2の当接部材に張力をかけ得る。シャフト・ロッドの適当なへこみは、2つの当接部材の間にポケットを形成する。側面の支柱から突き出して2つの当接部材の間に収容された部材は、このポケットにおいて、所定の位置に締めつけられ、そして、したがってシャフト・ロッドと側面の支柱との間に堅固な接続を確立できる。第1の当接部材が堅固で、そして第2の当接部材が弾性をもち、弾力的で回動可能に支持され、または少なくとも最小限可動であるので、一方では、側面の支柱の延長部分の確実な締付けを確かなものにし、したがって取付けを確実にすることが可能である。そして、他方、この接続がきつく締め付けられたときには、側面の支柱とシャフト・ロッドとの間の堅固な結合が提供される。第1の当接部材および第2の当接部材は、平面体に互いに独立して配置される部材であるのが好ましい。あるいは、第1の当接部材および第2の当接部材は平面体の間に配置される一体形のインサートの機能的な部分でもよい。
【0013】
さらにまた、第2の当接部材を完全に不要とすることが可能である。側面の支柱の延長部分には、第1の当接部材を通って延びるボルトが嵌入される、ねじ穴が設けられていてもよい。第1の当接部材は、延長部分の、側面の支柱から離れる側に位置するのが好ましい。
【0014】
本発明はいくつかの利点を組み合わせたものである。本発明は、局所的に加わる力に対し間違いなく鋭敏な軽量材によるシャフト・ロッドに、側面の支柱を確実に接続するための技術を提供する。このような軽量シャフト・ロッドは、例えば、ムク材または中空体の繊維強化プラスチック材料から作成し得る。それらは、軽金属、特にアルミニウムおよび/またはマグネシウム合金、により作成されてもよく、その間にフォーム体、ハニカム体等が補強のために保持された、薄い金属シートとして構成される。しかしながら、それらはムク材または中空体として構成される軽金属のシャフト・ロッドでもよい。本発明のコーナ継手は、上述したそして類似した種類の、いずれのシャフト・ロッドにも使われ得る。
【0015】
2つの当接部材が異なる構成又は/及び配置を持つため、課題は分割されて達成される。当接部材のうちの1つは、側面の支柱と平坦な部分との間に堅固な力伝達経路を確立するために設けられ、他の当接部材は緊張手段として作用するために設けられる。
【0016】
ヘルド枠は、少なくともある領域で、平坦な側面を備えている。平面体は側面の平坦な領域に配置されるのが好ましい。しかしながら、シャフト・ロッドが少なくとも1つの平坦でない側面を備えている場合は、その平面体が対応する補完的な形状をもつようにして、平面体を対応する平坦でない側面に適合させることも可能である。
【0017】
シャフト・ロッドの2つの側面は、互いに平行であるように配向しているのが好ましい。シャフト・ロッドは長方形の横断面を備えるのが好ましい。別の形の横断面も可能である。
【0018】
述べたように、平面体は金属板でよい。特に、鋼板、アルミニウム板、シートメタル部材等でもよい。それらは、シャフト・ロッドの1方の狭い側から他方の側にまで延びるのが好ましい。このようにすると広い領域での力の導入が達成される。金属板またはシートは、平面的にシャフト・ロッドに取り付け、好ましくは接着され得る。平面体は、シャフト・ロッドに面する接着側に、1つ、好ましくはいくつかの、突出部、例えば、うねや突起等が設けられているのが好ましく、これらの高さは形成される接着接続の厚みを定める。これらの高さは接着接続の製造における品質保証のためのスペーシング手段として機能する。
【0019】
必要に応じて、平面体はシャフト・ロッドの狭い側をやや越えて延びてもよいが、これは絶対的に必要ではない。それらはシャフト・ロッドの少なくとも1つの狭い側で解放されているのが好ましい。
【0020】
2つの当接部材は異なる長さを有するのが好ましい。特に、堅固に設けられた当接部材は、締め付けのために用いられる別の当接部材より、シャフト・ロッドの表側からよりさらに突き出しているのが好ましい。しかしながら、両方の当接部材は、平面体を越えて延びているのが好ましい。技術的には、この堅固な当接は、特に、側面の支柱からシャフト・ロッドへ伝達される押力の伝達のために設けられている。より長い、堅固な当接部材が、側面の支柱の横断面の少なくとも部分を越えて延びるのが好ましい。
【0021】
第1の当接部材は、例えば、接着かまたは溶接によって平面体と堅固に接続しているのが好ましい。そのためには、個々の溶接スポットまたはシーム、例えばレーザ溶接シームが設けられ得る。1以上の鋲、1以上のネジまたは別の固定留め具手段によって、平面体と当接部材との間に機械的な接続を設けることも可能である。
【0022】
第2の当接の少なくとも一端はわずかに可動である。この可動性は、その当接部材が平面体に可動に接続するようにして、達成されることができる。これは、ネジ、鋲等によって達成できる。それは、一方または両方の平面体に当接部材の内側の端部を溶接することでも可能である。このために、1以上の溶接箇所または溶接シームが使われてもよい。当接部材の溶接箇所から離れて延びた部分は、本質的に自然に、やや弾力をもって撓むので、そのことを所望の最小の可動性を達成するために利用できる。加えて、当接部材には、より良い弾性をもたせるために、1以上の箇所にへこみを有してもよい。
【0023】
ヘルド枠の枠は、1つのシャフト・ロッドおよび1、2つの側面の支柱に減らしてもよい。このような構成は、例えば、織機と堅固に関連した下部と織機から取り出しできる上部から成るヘルド枠において使われ得る。上記の変形の各々そしていずれをも、このようなヘルド枠の枠を減らすのに適用される。ヘルド枠は、しかしながら、2つのシャフト・ロッドおよび2つの側面の支柱を有する、完全な長方形の枠であるのが好ましい。
【0024】
本発明の有利な態様のさらなる詳細は、以下の記載、特許請求の範囲および図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ヘルド枠の概略図である。
【図2】図1に示されたヘルド枠の側面の支柱とシャフト・ロッドとの間のコーナ接続を示す図である。
【図3】図2の側面の支柱の概略斜視図である。
【図4】図2のシャフト・ロッドの、一部が破断図である、別の図である。
【図5】図4のシャフト・ロッドの詳細平面図である。
【図6】シャフト・ロッドの変更された実施例の、一部を破断図で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1はヘルド枠10を示し、これは特に図示しない織機の一部分である。このヘルド枠は、個々のヘルド11が配置される長方形の枠である。これは、織物工程中、特に図示しないたて糸を導くために配置されている。ヘルド11は、垂直に距離をもって水平に配置されるヘルド支持レール12、13に配置される。上部ヘルド支持レール12は上部シャフト・ロッド14に取り付けられている。下部ヘルド支持レール13は下部ヘルド・ロッド15に取り付けられている。上部およびより下部のシャフト・ロッド14、15の各々は、適当な軽量材料、例えば、繊維強化プラスチック材料、ハニカムで補強された薄いシートメタル、薄壁のアルミニウム押出成形品等、から成る。側面の支柱16、17は、シャフト・ロッド14、15の端部に接続していて、それらにより長方形の枠を形成する。織機の動作中、この枠は上下動する。適当な駆動リンクが接続する、少なくとも2つの接続部18、19がヘルド枠10を駆動する。接続部18、19は、示すように、シャフト・ロッドに設けられるか、または側面の支柱に設けられてもよい。
【0027】
側面の支柱16、17とシャフト・ロッド14、15とを接続するために、コーナ継手が設けられている。そして、上部左のこれらの1つが図1の一点鎖線の円により強調されている。ここで強調されるコーナ接続20の以下の説明は、従って、3つの残りの別のコーナ接続に当てはまる。例えば、1つのみのシャフト・ロッドおよび1、2つの支柱だけからなるヘル枠ドのコーナ接続に関しても同様である。
【0028】
図2は、例示的に、シャフト・ロッド14と側面の支柱16との間のコーナ接続20を示す。この場合、シャフト・ロッド14は、例えば、細い、長方形の横断面を有する、ムク材の繊維強化プラスチック材料から成る。従って、このシャフト・ロッドは、上部の狭い側21、下部の狭い側22を備え、そして2つの平面平坦な側23、24(図5)を有するのが好ましいが、必ずしもそうでなくともよい。狭い側21、22が動作中水平方向に延びているのに対し、平坦な側23、24は動作中垂直方向に延びている。シャフト・ロッド14の横断面は均質なものでもよい。しかしながら、このシャフト・ロッドは、上部及び/又は下部の狭い側21または22に隣接して、補強のための形状、例えば中空金属形状、プラスチック材料または別の部材のロッド状の形状のものが設けられていてもよい。
【0029】
コーナ接続20には、シャフト・ロッド14としっかりと接続する差し込み口25が備えられる。本実施例において、差し込み口25は、後部の平面体26および前部の平面体27から成り、その各々は平坦な側23、24としっかりと接続している。最も簡単な場合では、平面体26、27はシートメタル板または別の板状の部材、例えばプラスチック材料からなる部材、からなり得る。しかしながら平面体26、27は、シャフト・ロッド14とは別の材料、または別の材料組成からなるのが好ましい。例えば、平面体26、27は、アルミニウムまたは鋼からなってもよい。平面接続を製作するために、平面体26、27はシャフト・ロッド14に接着される。図5は対応する接着された継手28、29を示す。それらは各々、平面体26、27の全面に亘って、延びるのが好ましい。平面体26、27は小さな(特に図示しない)突出部、例えば突起、を有してもよい。それらは平坦な側23、24に当接して、定められた厚みの接着剤のための隙間を規定する。
【0030】
特に図4に図示するように、差し込み口25は、第1の当接部材30および第2の当接部材31からもなる。2つの当接部材30、31は平面体26、27と、例えば、溶接されるかまたは互いに接着される形で、接続している。例えば当接部材30は長方形の横断面を備えた細長い金属棒である。しかしながら、中空の金属成形品、U字状成形品等を使用することも可能である。図4は、ハッチングにより特定される接続領域31を示す。この接続領域において、当接部材30は平面体27に接続し、そして隠れている対応する側には平面体26に接続している。例えば、接続のために溶接シーム、例えばレーザ溶接が使用できる。別の溶接法、例えばスポット溶接、抵抗溶接、摩擦圧接、電子ビーム溶接も、はんだ付け法と同様に、可能であり、使用され得る。当接部材30は、堅固で、平面体26または27の表側のふち33を越えて突き出す。図2に示されるように、当接部材30は側面の支柱16から間隔をおいて差し込み口25側に配置される。この際、それは側面の支柱16の内側のふちに亘って延び、そのためその側面の支柱の横断面を少なくとも部分的に越えて延び得る。このようにして、押力が当接部材30により吸収され、差し込み口25に伝達されることで、側面の支柱の押力が減らされる。
【0031】
第2の当接部材31はより短いほうが好ましい。それはふち33を越えてより少なく突き出す。加えて、当接部材30の方へおよびその当接から離れて、少なくとも最小限に可動である。これを達成するために、図4に示されるように、それを平面体26、27に、小さな領域34だけにしっかりと取り付けることができる。ふたたび、この領域34は適切な接続手段、例えば溶接スポット、溶接シーム、はんだ付けスポット、はんだ面付け等からなってよい。第1の当接部材30および第2の当接部材31は、別に一体で構成される挿入部の機能的な部分であってもよい。
【0032】
2つの当接部材30、31は緊張手段35を伴い、その手段は、当接部材31に、当接部材30の方へ向かって張力をかけるのに適する。この緊張手段35は、例えば、クランプ・ボルト36でもよい。上部の当接部材に設けられた垂直な穴37を通って延び、第2の当接部材31の位置合わせされたねじ穴38にねじ込まれ得る。
【0033】
当接部材30、31の領域において、シャフト・ロッド14には、へこみ39、40と、その間にくぼみ41を形成するためのさらなるへこみとが設けられている。このポケットは、側面の支柱16の延長部分42を受け入れるために設けられている。この延長部分は図3に示されている。この延長部分42は、当接部材30、31間の距離に対応する高さを備える。この延長部分は平坦な部分26、27の間の距離におおよそ対応する厚みを備える。この延長部分42はその自由端が丸められるか面取りされているのが好ましい。この延長部分は長方形の横断面を備えるのが好ましい。側面の支柱16は、この延長部分42の近傍で、ふち33のための止めまたは当接面として作用する段差43、44または肩部を、その両側に備える。図2に示すように、ふち33は、シャフト・ロッド14の表側端部を僅かに超えて、突き出していてもよい。段差43、44の近くで、貫通穴45が側面の支柱16に設けられており、クランプ・ボルト36が、その通路としてこの穴を通る。あるいは、側面の支柱16の延長部分42のためのさらなる当接部材が、ポケット41内に設けられていてもよく、そのような当接部材は、当接部材30、31のように、平面体26、27により保持される。
【0034】
側面の支柱16は、さらなる構造物、例えば延長部分46、が設けられていてもよいこともここで指摘されなければならない。これは、ヘルド支持レールのうちの1本を軸方向の所定位置に固定するために、またはヘルド支持レールに着座するヘルドのための当接部として機能するためにある。そのほかに、接続18、19は、平面体26、27と、例えば溶接シームによって、または、平面体が、従って、関系するシャフト・ロッド14または15のそれぞれの狭い側を越えて延びる場合は、鋲着による接続等によって、直接または間接的に接続していてもよい。第1の当接部材30がシャフト・ロッド14の外側の角に対して面一に当接する場合、接続18、19は直接第1の当接部材30にねじ込まれるかまたは接続されていてもよい。
【0035】
これまでに説明したコーナ接続は、以下のように機能する。
【0036】
コーナ接続を形成するために、側面の支柱16の延長部分42が、段差43、44がそれぞれのふち33と当接するまで、ポケット41に挿入される。それから、クランプ・ボルト36が、穴37、45を貫通して、ねじ穴38にねじ込まれる。クランプ・ボルト36をきつく締めることによって、当接部材31は、突出部42に対してしっかりと押圧される。そして、次に、この突出部は当接部材30に対してしっかりと押圧される。その時、コーナ接続は操作上安全となる。ねじ穴38と領域34との間にある距離が、この時、当接部材31のある程度最小限の可動性を確実に具現化する。この可動性は、図4中の二重矢印により示されている。この可動性は、一方側が延長部分42をポケット41に容易に出し入れできるのに十分であって、そして、他方、所定位置に確実に延長部分42を締めつけることができる、1ミリメートルの10分の1のわずかな量に制限してもよい。
【0037】
この当接部材31が適当なバネ領域48を含む場合、可動性は強化され得る。このバネ領域は、好ましくは隣接するへこみ49の領域34により示され、そこは当接部材31の横断面が減少している。示すように、へこみ49は、ポケット41から離れた側に設けられるか、または当接部材31側のポケット41に面する側にも設けられ得る。部材の横断面を減少させて、したがって弾力を増すための別の手段、例えば穴、も可能である。
【0038】
図6は、差し込み口25の変更された実施例を示す。ふたたび、当接部材30と平面体26、27との間の接続は、材料どうしの接着の接続によって、例えば、溶接、はんだ付、接着、または示すように、ネジまたはリベット継ぎによって、製作されてもよい。当接部材31と平面体26、27との間の接続は関節式のヒンジ50により行い得る。この関節式のヒンジ50は、例えば、平面体26、27の間に延びるボルトまたはピンであってもよい。このボルトまたはピンは当接部材31の穴を通って延びる。この穴はふち33に対し横断方向に延びる。ピンはネジまたはボルトの一部分であってもよい。あるいは、ピンは平面体26、27の穴内に着座してもよく、それとともにプレス嵌め、鋲着またはその他の接続を形成する。ふたたび、当接部材31の弾力にかかわりなく、当接部材30に対し向かうあるいは離れる、ある程度の可動性が備わっている。その他について、その機能は図4に関連して説明される実施例と整合している。
【0039】
本発明のヘルド枠は、軽量材料からなる少なくとも一つのシャフト・ロッド14と少なくとも一つの側面の支柱16とを含む。それらは、特別に構成された差込口25によるコーナ接続20を介して、互いと接続している。この差込口25は、少なくとも1つ、好ましくは2つの、平面体26、27を備える。この平面体26の少なくとも1つは、2つの当接部材30、31と接続している。これらのうちの1方は固定されるかまたは静止的に取り付けられ、他方は少なくとも最小限可動であるように、保持されるかまたは取り付けられる。2つの当接部材30、31は、異なる距離で平面体26の表側のふち33を越えて突き出す。緊張手段35が2つの当接部材30、31の間で作用する。この緊張手段は、より短い当接部材31に対しより長い当接部材30の方向へ張力をかけるために設けられ、当接部材30、31の間の所定の位置に側面の支柱16の延長部分42を締めつける。平面体26は側面の支柱16とシャフト・ロッド14との間で力を伝達する。その力はシャフト・ロッドの広い面に亘って作用する。
【符号の説明】
【0040】
10 ヘルド枠
11 ヘルド
12、13 ヘルド支持レール
14 上部シャフト・ロッド
15 下部ヘルド・ロッド
16 左側支柱
17 右側支柱
18 左側の接続
19 右側の接続
20 コーナ(角)接続
21 上側の狭い側
22 下側の狭い側
23 後部の平坦な側
24 正面の平坦な側
25 差し込み口
26 後部の平面体
27 正面の平面体
28 平面体26の接着接続
29 平面体27の接着接続
30 第1の当接部材
31 第2の当接部材
32 接続領域
33 ふち
34 領域
35 緊張手段
36 クランプ・ボルト
37 穴
38 ねじ穴
39、40 へこみ
41 ポケット
42 延長部分
43、44 段差
45 貫通穴
46 延長部分
47
48 バネ領域
49 へこみ
50 関節式のヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量に構成された、2つの広い側面(23、24)と2つの狭い面(21、22)とを備えたシャフト・ロッド(14)と、
当該シャフト・ロッド(14)の一端に接続され、横に突出した延長部分(42)を備えた側面の支柱(16)と、
差し込み口(25)と当該2つの側面(23、24)の領域に平面的に接続される少なくとも一つの平面体(26)と
からなるヘルド枠(10)であって、
当該平面体(26)は、堅固な第1の当接部材(30)と、当該第1の当接部材から少し離れて配置され、当該堅固な当接部材(30)へ向って張力をかけられ得る、第2の当接部材とに接続しており、
当該当接部材の間には当該延長部分(42)を収容するためのポケット(41)が設けられ、
当該第1の当接部材(30)へ向かって当該第2の当接部材(31)に張力をかけるための緊張手段(35)を備える
ヘルド枠。
【請求項2】
上記ヘルド枠(14)は少なくとも部分的に上記平坦な側面(23、24)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のヘルド枠。
【請求項3】
上記側面(23、24)は互いに平行に配向される、ことを特徴とする請求項1乃至2に記載のヘルド枠。
【請求項4】
上記ヘルド枠(14)は長方形の横断面を備える、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項5】
上記平面体(26)は金属板である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項6】
上記平面体(26)は1つの狭い側(21)から別の狭い側(22)まで延びる、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項7】
上記平面体(26)は狭い側(21、22)の少なくとも1が解放されている、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項8】
上記平面体(26)は上記シャフト・ロッド(14)にその表面側で接続する、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項9】
上記2つの当接部材(30、31)は異なる長さを有する、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項10】
上記当接部材(30、31)の両方は上記シャフト・ロッド(14)に関して長手方向に配向される、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項11】
上記2つの当接部材(30、31)は上記平面体(26)を越えて延びる、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項12】
上記第1の当接部材(30)は上記平面体(26)と堅固に接続している、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項13】
上記第2の当接部材(31)は上記平面体(26)と一端だけで接続している、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項14】
上記第2の当接部材(31)は上記平面体(26)と可動に接続している、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1に記載のヘルド枠。
【請求項15】
上記当接部材(30、31)は上記平面体(26)に鋲着、ねじ込み、接着、はんだ付けされるか、または溶接される、ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1に記載のヘルド枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−83035(P2013−83035A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−217516(P2012−217516)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)