説明

軽量容器の空気搬送装置

【課題】搬送時の容器のふらつきや首振り現象を抑制し、且つ、案内レールの摩耗を低減し、必要搬送動力を減少させ、容器を円滑に搬送できる軽量容器の空気搬送装置を提供する。
【解決手段】首部18にフランジ部16が形成された容器Wのフランジ部下面を案内レール12にて支持すると共に、前記容器Wに空気流を作用させて、前記案内レール12の上面に前記容器Wのフランジ部16を摺動させながら搬送する軽量容器の空気搬送装置において、前記案内レール12の直下に空気噴射口8aを設け、当該空気噴射口8aより噴射される空気流により前記容器Wが搬送方向の推力を受けつつ、降下方向、すなわち、水平方向搬送最適力点への推力を受けるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトル等の軽量容器の首部を支持して空気流による推進力で搬送する軽量容器の空気搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットボトル等の軽量容器を起立姿勢で搬送する搬送コンベアとして、容器の首部に形成されているフランジ部の下面を案内レールで支持すると共に、容器の後方から空気を吹き付けて、その推進力により案内レール上を滑らせて搬送するようにした空気搬送コンベア装置が知られており、例えば、特許文献1が開示されている。
【0003】
特許文献1の空気搬送コンベア装置は、案内レールの直下に空気噴射口が斜め上向きに設けられ、空気噴射口から容器の鍔部に向けて噴射される空気流により容器が進行方向の推力と共に、容器のフランジ部が浮上方向の推力を受けるように構成されており、搬送時に容器を浮上させることにより、フランジ部と案内レールとの摺動抵抗を軽減して容器の搬送エネルギー効率を向上するようにしている。
【0004】
ところが、上記構成の空気搬送コンベア装置では、フランジ部を浮上させることによって容器の搬送負荷を軽減できるが、一方では、フランジ部が案内レールより浮上することで搬送容器のふらつきや首振り現象が発生し易くなっており、よって、容器搬送の安定性に欠けるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−137825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、搬送時の容器のふらつきや首振り現象を抑制し、容器を円滑に搬送できる軽量容器の空気搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、首部にフランジ部が形成された容器のフランジ部下面を案内レールにて支持すると共に、前記容器に空気流を作用させて、前記案内レールの上面に前記容器のフランジ部を摺動させながら搬送する軽量容器の空気搬送装置において、前記案内レールの直下に空気噴射口を設け、当該空気噴射口より噴射される空気流により前記容器が搬送方向の推力を受けつつ、降下方向の推力を受けるように構成したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の軽量容器の空気搬送装置において、前記空気噴射口が前記搬送方向に向けて、且つ、斜め下方に向けて設けられ、当該空気噴射口より噴射される空気の動圧が、水平方向搬送最適力点、すなわち、前記容器の肩部に作用するように成されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2の何れかに記載の軽量容器の空気搬送装置において、前記容器の搬送路の上部および両側部がカバー部材にて覆われていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜3に記載の発明によれば、空気噴射口より噴射される空気流により容器が搬送方向の推力を受けつつ、降下方向の推力を受けるように構成したので、降下方向に発生する推力により、容器搬送時のフランジ部の浮上が防止され、容器の浮上により生じる容器のふらつきや首振り現象を抑制して容器の搬送姿勢を安定化させることができる。これにより、容器を円滑に搬送することができる。
【0010】
ところで、このような噴射空気により搬送される容器においては、支承点となるフランジ部と重心との間であって重心側近傍にあたる肩部は、噴射空気による推進力が最も有効に作用し、且つ、容器を搬送方向にふらつかせることなく安定的に搬送できる部位となる。
このため、請求項2に記載の発明のように、空気噴射口より噴射される空気の動圧が容器の肩部に作用するように構成すれば、上記のように、推進力が最も有効に作用する容器の肩部に推進動圧を集中することができ、且つ、空気噴射口が肩部に近接するように設けられているため、容器搬送エネルギーを有効に利用した効率的な搬送が可能となる。
また、容器の肩部(水平方向搬送最適力点)に推進動圧を集中させることにより、従来の搬送装置で発生していた容器フランジ部の案内レールへの過剰な押し付け力による案内レールの摩耗や搬送動力の増大を最小限に抑制することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明によれば、容器の搬送路の上部および両側部をカバー部材で覆ったので、異物が混入し易い空気ダクト内雰囲気から搬送路を隔離することができ、これにより容器の開口部から容器内部に異物が浸入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の軽量容器の空気搬送装置の一実施形態を説明する。図1は空気搬送装置の内部構成を示し、図2は空気搬送装置の要部を示し、図3は上面視による搬送路を示し、図4は容器の搬送状態を示している。
尚、本実施形態では、上記軽量容器としてペットボトルが例示されている。
上記ペットボトルWは、上端に飲み口となる開口部15を有し、その下方にフランジ部16を設けた細径の首部18と、この首部18より下方に向けて徐々に拡径される肩部17と、この肩部17より底部21に至る大径の胴部19とを備えている。
【0013】
図1中、符号10は容器Wの搬送路5を覆う四角形状の空気ダクトで、この空気ダクト10内に、図示しない加圧空気供給源(例えば、送風機)から所定圧力の空気(加圧空気)がダクトを介して供給されるようになっている。
【0014】
この空気ダクト10内の左右の下部側壁には、容器Wの搬送路5に沿って固定フレーム1が設けられ、各々固定フレーム1の上面が空気ダクト10の幅方向に設けた取付部材4にネジ止めされていると共に、各々固定フレーム1の下面に、所定の間隔を持って相平行する一対の支持部材2、2が固定されている。そして、これらの支持部材2の内側端部、すなわち、空気ダクト10の幅方向の中央部に、容器Wの空気搬送機構20が配設されている。
【0015】
また、図1、図4に示すように、容器Wの胴部19下部の近傍には、容器Wを両側より支持して起立姿勢で搬送される容器Wの横ぶれを防止するガイドレール3が所定の間隔を持って、各容器サイズに合わせて上下複数箇所(本実施形態においては3カ所)に設けられている。
【0016】
上記空気搬送機構20は、図2に示すように、容器Wが搬送される搬送路5を備え、そして、この搬送部5を含む搬送空間7を密閉に近い状態に維持している。この搬送空間7は、上部が密閉板14(カバー部材)で覆われ、且つ、両側部が取付部材4にネジ止めされた左右一対の固定部材6、6(カバー部材)にて覆われることにより形成されている。
【0017】
そして、各固定部材6の下部フランジ6aと各支持部材2の間には、空気案内用の溝8(案内溝8)が多数形成された長尺板状のノズル板9がそれぞれ搬送路5に沿って設けられていると共に、このノズル板9の上面に容器Wのフランジ部16の下面を両側より支持する一対の案内レール12、12が設けられ、これらノズル板9と案内レール12が締結部材13によりフランジ6aと支持部材2に挟持された状態で固定されている。
案内溝8の上部開口部が上記したフランジ部6aと案内レール12の下面にて塞がれることにより、空気噴射ノズル11が形成される。この空気噴射ノズル11の上流側端部は空気ダクト10内に開放されており、下流側端部の空気噴射口8aは容器W側に開放されている。
【0018】
上記ノズル板9に設けた多数の案内溝8は、図3に示すように、平面視において、上流側端部から空気噴出口8a側に向けて漸次搬送方向側へと傾斜して設けられており、且つ、これらの案内溝8は、上記案内レール12の下面部分において、図2に示すように、斜め下方に傾斜させて形成され、これにより、空気噴射口8aから噴射される空気流による推力を容器Wの搬送方向に指向させると共に、容器搬送方向に対して斜め下方向、すなわち、水平方向搬送最適力点に指向させるようになっている。
【0019】
また、本実施形態では、搬送空間7を形成する左右一対の固定部材6の高さ方向中央に、嵌め込み式の密閉板14を取り付けできるようになっており、図示しないが、この密閉板14に搬送空間7内の過剰動圧を回収する吸引板や、搬送方向と同一方向に空気を噴射する噴射口板、或いは搬送方向と反対方向に空気を噴射する噴射口板等を必要に応じて取り付けできるようになっている。
【0020】
上記構成の軽量容器の空気搬送装置では、加圧空気供給源(例えば、図示しない送風機)から供給される加圧空気が空気ダクト10内に導入されると、空気ダクト10内の加圧空気は、図4に示すように、案内溝8(すなわち、空気噴射ノズル11)を通して空気噴射口8aより容器Wの肩部17に向かって噴射され、この空気の動圧よって容器Wが搬送方向の推力を受け、容器Wは案内レール12に沿って搬送される。
この際に、このような噴射空気により搬送される容器Wにおいては、案内レール12により支持され、搬送容器の支承点となるフランジ部16と重心Pとの間であって重心P側近傍にあたる肩部17は、噴射空気による推進力が最も有効に作用し、且つ、容器Wを搬送方向にふらつかせることなく安定的に搬送できる部位となる。
【0021】
そして、本実施形態では、空気噴射ノズル11の先端側を斜め下方に傾斜させているので、空気噴射口8aより噴射される空気が肩部17に当たると、その動圧力により、容器Wが搬送方向の推力を受けつつ、容器Wのフランジ部16が降下方向の推力を受けることになり、この下方向の推力により、容器Wのフランジ部16の浮上が防止され、フランジ部16が案内レール12上に支持された状態で摺動する。この結果、容器Wが浮上することにより生じる容器Wのふらつきや首振り現象が抑制され、容器Wの搬送姿勢を安定化させることができる。これにより、容器Wを円滑に搬送することができるようになる。
【0022】
また、搬送方向の両側に配置された空気噴射口8aより斜め下方向に噴射される空気は、最も有効な推進力の作用点にあたる容器Wの肩部17であって案内レール12間の中央部に集中し、且つ、空気噴射口8aが容器Wの肩部17に近接するように設けられているため、搬送に必要な動力(搬送エネルギー)を有効に利用した効率的で安定した搬送が可能となる。
また、容器の肩部に推進動圧を集中させることにより、従来の搬送装置で発生していた容器フランジ部の案内レールへの過剰な押し付け力による案内レールの摩耗や搬送動力の増大を最小限に抑制することができる。
【0023】
また、容器Wの搬送路5の上部と両側部を、カバー部材となる密閉板14と固定部材6で覆う構造としたので、異物が混入し易い空気ダクト10内雰囲気より搬送路5を隔離することができ、これにより、容器Wの開口部15から容器W内部に異物が浸入するのを防止することができる。
【0024】
また、図示しないが、搬送空間7を形成する左右一対の固定部材6を取付部材4よりフリーな構造とすると共に、密閉板14および支持部材2に伸縮自在なスライド部材を取り付けて、上記各固定部材6を幅方向に移動可能にすることにより、首部18の外径が異なる容器Wに対しても、自動または手動にて容易に型替えができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による軽量容器の空気搬送装置の一実施形態を示す縦断面図。
【図2】図1の要部拡大図。
【図3】図1の搬送路を示す平面図。
【図4】図1の空気搬送装置によって容器を搬送する状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0026】
5 搬送路
6 カバー部材(固定部材)
8a 空気噴射口
12 案内レール
14 カバー部材(密閉板)
17 肩部
18 首部
16 フランジ部
W 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
首部にフランジ部が形成された容器のフランジ部下面を案内レールにて支持すると共に、前記容器に空気流を作用させて、前記案内レールの上面に前記容器のフランジ部を摺動させながら搬送する軽量容器の空気搬送装置において、
前記案内レールの直下に空気噴射口を設け、当該空気噴射口より噴射される空気流により前記容器が搬送方向の推力を受けつつ、降下方向の推力を受けるように構成したことを特徴とする軽量容器の空気搬送装置。
【請求項2】
前記空気噴射口が前記搬送方向に向けて、且つ、斜め下方に向けて設けられ、当該空気噴射口より噴射される空気の動圧が前記容器の肩部に作用するように成されていることを特徴とする請求項1に記載の軽量容器の空気搬送装置。
【請求項3】
前記容器の搬送路の上部および両側部がカバー部材にて覆われていることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の軽量容器の空気搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−230713(P2008−230713A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68185(P2007−68185)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)