説明

軽量省エネ耐震乾式本葺平瓦

【課題】軽量省エネ耐震乾式本葺平瓦を提供する。
【構成】平瓦とその平瓦の両端を抑え込む丸瓦からなる本葺に用いる平瓦であって、該平瓦が、平瓦を階段状に複数枚を縦に重ねた段差を有する外形をなしていること、階段状段差部と瓦重なり部分を有すること、階段状段差部分には溝加工がなされて、重なり結合部隠しくぼみ、および重なり結合部スリットが形成されていること、瓦重なり部分には、溝段差加工により吹き込み防止重なりすき隠しくぼみ水切りが形成されていることよりなる軽量本葺平瓦。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量省エネ耐震乾式本葺平瓦に関するものであり、さらに詳しくは、平瓦とその両端を抑え込む丸瓦からなる本葺に用いる平瓦であって、該平瓦が、例えば、平瓦を階段状に三枚縦に重ねた段差を有する外形をなし、常圧で吸水しない気孔を分散させた素地を用いることで、従来の平瓦を三枚重ねた構造の本葺瓦と比較して50%以上軽量化されたものであり、瓦製造プロセスでのエネルギー消費量の低減、建造物への瓦重量により負荷を軽減することができるとともに、従来の本葺瓦の外観を維持することができる本葺瓦を提供するものであり、段差上接合部分と瓦重なり部分双方に工夫を凝らすことで、通常の本葺瓦と比較して、遜色のない景観を維持することが可能としたものである。
【背景技術】
【0002】
日本国内には、数多くの社寺建築が点在し、その一部は重要文化財および世界遺産登録されているものもあることはよく知られている。一般に、社寺建築においては本葺瓦が採用されていたが、近年、耐震性および価格の観点から板金屋根材に変更される例が多く見受けられる。現在の本葺瓦は、図1に示すように、平瓦を三枚重ねて、平瓦の上に丸瓦を漆喰で固めて施工している。平瓦の枚数が多く、丸瓦や平瓦の内側に、漆喰や葺土を多量に入れて固定している。一方、軽量本葺として一体瓦タイプが一部販売されているが、これらは丸瓦と平瓦を左右で連結されたものであり、瓦の軒先等端部での使用に限定されており、デザイン性に劣るものである。屋根全体の軽量化への寄与率も低い。
【0003】
こうした一体瓦の例としては、尻棧隅部から差込み頭隅部に亘って設けた水返し突条を有する平板瓦部と、玉口部を有する丸瓦部とで構成される瓦であって、水返し突条と相似形の他の水返し突条を、水返し突条の内方の平板瓦部に設け、また平板瓦部の尻側内方に係止突条を形成し、係止突条の端面が玉口部の段付端面と略々同じ線上に位置する耐震、耐風雨用の瓦(特許文献1)や、平板瓦部の表面に設けた表側水返し突条と、表側水返し突条の差込み側に併設した差込み表側内部水返し突条部と、また一段の尻表側内部水返し突条部、及び内部表側水返し突条を設け、また平板瓦部の裏面に設けた頭裏側水返し突条の裏側嵌合溝と、内部裏側嵌合溝とを設け、また平板瓦部に併設した玉口部を有する丸瓦部と、丸瓦部の頭側に設けた第1係止部と、丸瓦部の尻側に設けた第2係止部とで構成した耐震、耐風雨用の瓦が提案されている(特許文献2)。
【0004】
また、従来の二枚の平瓦と丸瓦を組合せて本葺き瓦を一枚の瓦とする構成の擬似本葺き瓦であって、平板瓦部、丸瓦部、及び丸瓦部に連設した段落し玉口部からなり、この瓦の尻側棧隅より差込み側頭隅に亘って水返し突条、この水返し突条に当該瓦に葺設される他の瓦の平板瓦部の差込み側頭隅が衝止する段付部をそれぞれ設ける、勾配方向に隣接して葺設した瓦のズレ防止と、葺設した屋根の雨仕舞の向上を向上させた瓦が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−13250号公報
【特許文献2】特開2004−238834号公報
【特許文献3】特開平11-303319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
数多くの社寺建築の文化遺産保護および景観性の維持は重要な課題である。近年、多く見受けられる板金屋根材への変更により、本来の本葺瓦の美しい景観が損なわれつつある。阪神淡路大震災以降、屋根材料には軽量かつ安心安全な材料が望まれており、耐震性を考慮した材料設計および施工方法の改良が不可欠である。すなわち、重厚な瓦の美観を維持しつつ、軽量化により参拝者などの安全面を確保することが大切である。図1、2で表される現在の本葺瓦は、屋根重量が極めて重くなり、地震により瓦が崩れ落ちる可能性が高いという問題が常に存在する。本発明は、重厚な質感と耐震性を有する社寺向け安心安全瓦として、価格的に競争力のある「軽量省エネ耐震本葺平瓦」を製品化・普及するとともに、重要文化財等社寺建築の文化遺産保護と、省エネルギー製造プロセス構築による地球環境保全への貢献を同時に具現化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)平瓦とその平瓦の両端を抑え込む丸瓦からなる本葺に用いる平瓦であって、該平瓦が、平瓦を階段状に複数枚を縦に重ねた段差を有する外形をなしていること、階段状段差部と瓦重なり部分を有すること、階段状段差部分には溝加工がなされて、重なり結合部隠しくぼみ、および重なり結合部スリットが形成されていること、瓦重なり部分には、溝段差加工により吹き込み防止重なりすき隠しくぼみ水切りが形成されていること、を特徴とする軽量本葺平瓦。
(2)該平瓦が、平瓦を階段状に三枚縦に重ねた段差を有する外形をなし、前水垂れ、中水垂れ、後水垂れおよび瓦尻水切りと、それらの水垂れおよび水切り間の瓦平面からなる上記(1)に記載の軽量本葺平瓦。
(3)中水垂れおよび後水垂れと瓦平面とが接する部分の両端部には結合部隠しくぼみが形成され、中央部には重なり接合部スリットが形成されている上記(2)に記載の軽量本葺平瓦。
(4)瓦重なり部分の瓦尻水切りと瓦平面とが接する部分には、溝段差により、吹き込み防止重なりすき結合部隠しくぼみ水切りが形成されている上記(2)または(3)に記載の軽量本葺平瓦。
(5)瓦表面の階段状段差部に対応する瓦裏面のエッジ部の半径を5〜20mmの曲線形状とすることにより応力の集中を回避した上記(1)から(4)のいずれかに記載の軽量本葺平瓦。
(6)軽量本葺平瓦が、気孔率が20%以上であって、全気孔の中で、常圧で吸水しない気孔を20%以上含有し、平均気孔径が1〜10μmであり、曲げ強さが15MPa以上である気孔分散型瓦素地からなる上記(1)から(5)のいずれかに記載の軽量本葺平瓦。
【0008】
(7)アルカリ金属、アルカリ土金属、および鉄からなる焼成中に液相を形成する成分が酸化物換算で10重量%以上含まれ、平均粒子径が20〜50μm、最大粒子径が500μm以下である原料粘土を成形し、焼成することにより製造された上記(1)から(6)のいずれかに記載の軽量本葺平瓦。
(8)原料粘土が、酸化ケイ素55〜75重量%、酸化アルミニウム15〜25重量%、アルカリ金属、アルカリ土類金属と鉄を酸化物換算で10〜20重量%含有する上記(7)に記載の軽量本葺平瓦。
(9)原料料粘土が、石英、粘土鉱物、長石を主成分として、ノルム計算による組成が石英25〜35重量%、粘土鉱物25〜35重量%、長石と褐鉄鉱の合計が35〜45重量%、を含有する上記(7)または(8)に記載の軽量本葺平瓦。
(10)軽量本葺平瓦素地が、石英、長石、粘土鉱物および褐鉄鉱を含有する原料粘土を用いて、焼成温度1100℃以下で焼成し、気孔率が20%以上であって、全気孔中常圧で吸水しない気孔を20%以上含有し、平均気孔径が1〜10μm、曲げ強さが15MPa以上である上記(1)から(9)のいずれかに記載の軽量本葺平瓦。
【発明の効果】
【0009】
本発明により以下の効果が奏される。すなわち、本発明の軽量本葺平瓦は従来の本葺瓦の重厚な質感と耐震性を有するとともにその外観においても遜色のないものである。本発明の軽量本葺平瓦を製造するにあたり、その形状、構造と素地を同時に制御することにより軽量化を達成するとともに、優れた耐震性を実現することができる。本発明の軽量本葺平瓦を製造・施工することで製造プロセスにおける大幅な省エネルギー化、建造物の構造の簡略化を同時に達成できる。例えば、平瓦を三枚縦に連結させた独自の一体型瓦とすることにより45〜50%の重量減が達成され、気孔分散型素地を採用することにより3〜10%の重量減が達成される。したがって、両者で50%以上の軽量化を達成させた平瓦一体型瓦を提供することができる。
本発明は、上記のような軽量化に伴い、製造プロセス、施工プロセスなどにおいて大幅な省エネに貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来の本葺瓦を葺いた屋根の外観。
【図2】従来の本葺瓦を葺いた屋根の断面図。
【図3】本発明の三枚連結軽量本葺平瓦の断面図。
【図4】本発明の三枚連結軽量本葺平瓦の表面および裏面の写真。
【図5】本発明の軽量本葺平瓦。
【図6】本発明の軽量本葺平瓦の施工例。
【図7】瓦平面と前水だれまたは中水だれとの接合部の構造。
【図8】前水だれの構造。
【図9】吹き込み防止重なり隙間隠しくぼみ水切りの構造。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、平瓦とその平瓦の両端を抑え込む丸瓦からなる本葺に用いる平瓦であって、該平瓦が、平瓦を階段状に複数枚を縦に重ねた段差を有する外形をなしていること、階段状段差部と瓦重なり部分を有すること、階段状段差部分には溝加工がなされて重なり結合部隠しくぼみ、および重なり結合部スリットが形成されていること、瓦重なり部分には、溝段差加工により吹き込み防止重なりすき隠しくぼみ水切りが形成されていることを構成とする平瓦を連結させた新規の一体成形本葺瓦であり、本葺瓦本来の重厚な質感を維持しつつ、従来の本葺瓦と比較して屋根重量を約40%以上軽量化するものである。これにより、耐震性の向上、焼成燃料の削減による二酸化炭素排出量の低減、製品のコストダウンを同時に達成することを可能にした環境にやさしい安心、安全瓦である。
【0012】
社寺建築の屋根形状は、独特な景観を維持するため多数の複雑な曲線部があり、それに対応して瓦を伸縮させて施工する必要がある。これまでに市販されている軽量本葺一体瓦は、丸瓦と平瓦を左右で連結されているためデザイン性に劣る問題があった。この問題を解決するため、平瓦を三枚縦に連結した瓦を開発し、その形状にあった平瓦を押さえ込むような形状の丸瓦を使用することとした。
【0013】
本発明の軽量本葺平瓦は平瓦一体瓦であり、例えば、従来の平瓦を三枚重ねて施工する場合の重なり部分を除いて一体化したもので階段状に三枚縦に連結させているような形状となる。こうした平瓦一体瓦は、連結している階段状段差部分が、通常の平瓦を三枚重ねた本葺瓦と比較して遜色のないような仕上がりとなるようにする必要がある。そのために、階段状部分にスリットやくぼみによる表面加工(重なり接合部スリット、および重なり接合部隠しくぼみ)を行うとともに、瓦重なり部分に溝段差(吹き込み防止重なりスキマ隠しくぼみ水きり)を導入するものである。このようにすることにより段差上接合部分と瓦重なり部分双方に工夫を凝らすことで、通常の本葺瓦と比較して、遜色のない景観を維持することが可能となる。
【0014】
また、応力が集中しないような裏形状として連結部分(瓦表面の段差部に対応する瓦裏面のエッジ部)を肉盛りし、エッジのRを5〜20mm、望ましくは10〜15mmとした曲線形状とする。一体瓦の階段状段差部分にはスリットや溝等を施すことが好ましい。階段状段差部分にスリットや溝を施さないと、階段状に瓦が接合されていることが目視上識別しやすくなり、従来の本葺瓦屋根とは異なる外観となる。また、瓦重なり部分に溝段差を導入しないと、瓦重なり部分と一体瓦の階段状段差部分との差が目視上明白となる。したがって、瓦重なり部分に溝段差を導入しないと、施工後に屋根全体を見た場合、三枚ごとに横にラインが入った如く見えるため景観上高級感のないものとなる。
一方、このように一体瓦の階段段差部分にスリット等の加工等を施すと、瓦に荷重がかかる場合には、その部分に応力が集中して容易に破損しやすくなる。そこで、裏形状は、連結部分(エッジ)を肉盛りしエッジのRを5〜20mm望ましくは10〜15mm とした曲線形状とする必要があるRを5mm以下とすると破壊されやすくなり、Rを20mm以上にすると肉盛りが多くなり瓦重量が重くなる。
【0015】
また、本発明は、アルカリ金属、アルカリ土金属、および鉄からなる焼成中に液相を形成する成分が酸化物換算で10重量%以上含まれた原料粘土組成とすること、および、平均粒子径を20〜50μm、最大粒子径を500μm以下である原料粘土を使用することにより常圧で吸水しない気孔を分散させることができ瓦素地の軽量化を達成ことがはじめてできたものである。
更に具体的には、原料粘土が、酸化ケイ素55〜75重量%、酸化アルミニウム15〜25重量%、アルカリ金属、アルカリ土類金属と鉄を酸化物換算で10〜20重量%含有するか、原料料粘土を、石英、粘土鉱物、長石を主成分として、ノルム計算による組成が石英25〜35重量%、粘土鉱物25〜35重量%、長石と褐鉄鉱の合計が35〜45重量%を含有するように設計することが好ましい。
本発明は、上記のように瓦の形状構造を特定すること、および、原料粘土の組成と粒子径を特定することを同時に満足させることにより、一層の軽量化を達成するとともに、瓦の強度を向上させながら本葺き瓦屋根の外観を維持することを実現するものである。
【0016】
[瓦の形状構造]
本発明の軽量本葺平瓦は、平瓦の複数枚を縦に連結した形状のものであり、平瓦の連結枚数には特に限定されないが、以下の説明では平瓦を三枚縦に連結した構造のものについて具体的に説明する。
本発明の軽量本葺平瓦(以下、単に平瓦とも言う。)を葺いた屋根の断面構造を図3に示す。本発明の平瓦3は3段の階段状の外観を有し、同種の平瓦と重ねられて丸瓦1により両端を抑えられて屋根を形成している。平瓦の表面および裏面の写真を図4に示す。表面には瓦の重なり部分に段差(溝)4が形成され、段差部分にはスリット・溝加工5がなされている。瓦の裏面で、表面の段差部に対応するエッジ部6は半径が5〜20mmの曲線形状となされている。
【0017】
本発明の軽量本葺平瓦のさらに詳細な構造について図5に基づいて説明する。本発明の軽量本葺平瓦は、前水垂れ71,中水垂れ72、後水垂れ73と瓦尻水切り9およびこれらの水垂れおよび瓦尻水切りを結ぶ瓦平面81,82,83を有し、さらに側面水切り10を両端部に有する。中水垂れ72と瓦平面81とが接する箇所および後水垂73と瓦平面82とが接する箇所にはくぼみまたはスリットが形成され、側面水切り10に隣接した両部分には重なり接合部隠しくぼみ11が形成され、中央部には重なり接合部スリット12が形成されている。重なり接合部隠しくぼみ11は、例えば、三角錐状の形状であり、段差接合部端部に近いほど深く、その深さは1〜4mmの構造を有する。さらに、重なり接合部スリット12の両端部は上方から見て、例えば、三角形状などの平面形状を有する窪みである重なり接合部隠しくぼみ11となっている。重なり接合部隠しくぼみ11の平面形状は、三角形に限定されるものではなく、従来の本瓦葺では端部が葺き合わせ線よりもくぼんでいるため瓦の段の接合面が見えない状態と同様の外観を構築するために設けてある。重なり接合部隠しくぼみ11は、段差接合部端部を立体的に表現できるとともに、プレス成形工程におけるエア抜きの起点となり、成形欠陥を防止する機能も有する。また、重なり接合部スリット12は、幅0.2〜1mm、深さ0.5〜2mmからなるスリット形状であり、縦方向および横方向あるいはそのいずれかにスリットを入れる。これにより一体段差接合部が、あたかも別々の瓦が重なっているような見映えを表現する機能を有する。
【0018】
本発明の軽量本葺平瓦の上端には瓦尻水切り9からなる瓦重なり部分が設けられ、下端には前垂れ71が設けられ、瓦重なり部分と前垂れ71を重ね合わせることにより二枚の瓦が結合される。瓦尻水切り9と瓦平面83とが接する箇所には、溝部よりなる吹き込み防止重なり隙間隠しくぼみ水切り13が形成されている。この吹き込み防止重なり隙間隠しくぼみ水切り13は、深さ0から5mm、幅10〜40mmからなり、端部には窪みを形成し、中央部での10〜100mm、好ましくは20〜50mmの範囲はくぼみをなくするか、できるだけ浅いくぼみとすることにより水切り13に溜まった水を下流に流すことができるようにすることが好ましい。また、水切り13の長さは平瓦部83の横幅より5〜50mm大きい構造を有する。また、使用する原料粘土の焼成収縮などによる瓦尻水切り9と前垂れ71とのRの違いにより重ね合わせ時に隙間が発生しないように、深さ方向は中央部から端部にかけて、深さ0〜5mm範囲で場所により自由に変化させる。通常、水切り13は中央部を浅く、端部に近くなるにしたがって深くした吹き込み防止重なり隙間隠しくぼみ水きり構造とする。また、前垂れ71は中垂れ72および73と比較して、端部に近くなるにしたがって、厚みをつけ、その増加させた厚みは0.1〜5mmとした。これらにより、瓦尻水切り9と前垂れ71が、通常の平瓦を重ねた構造より密着した重なりとなり、中水垂れ72、後水垂れ73がそれぞれ瓦平面81,82に接合した段差接合部との目視上の違いを極めて少なくすることが可能となる。また、使用する原料粘土の焼成収縮等による瓦尻水切り9と前垂れ71とのRの違いにより重ね合わせ時に隙間が発生することがなく、原料によるRのずれによる重なり不良を大きく低減することが可能となる。さらに、この構造により優れた水きり機能を有するとともに、瓦の重なりが安定化し、地震による瓦のずれを抑制する機能も有する。
以上のように、段差上接合部分と瓦重なり部分双方に工夫を凝らすことで、通常の本葺瓦と比較して、遜色のない景観を維持することが可能となる。
図6には本発明の軽量本葺平瓦が接合されている状態を示した。本発明の瓦A,Bが瓦重なり部分Cを介して接合されている。
【0019】
[瓦素地]
本形状の瓦においては、形状による応力緩和のみならず、素地自体を強化する必要があり、使用する原料の粒子径分布および石英などの鉱物類の最大粒子径を制御することで、粗大欠陥の混入を防止した素地とする必要がある。また、常圧で吸水しない開気孔を分散させた気孔分散型瓦素地とし、素地による軽量化も同時に達成させることで、形状との相乗効果で、従来の平瓦を三枚重ねたタイプの本葺瓦と比較して50%以上の軽量化を達成することが可能となる。これを実現するためには、原料を十分精査調製して、複雑形状の一体瓦を形状付与する必要がある。
【0020】
本発明の瓦素地は、石英、粘土鉱物、長石を主成分とし、それに褐鉄鉱からなる原料粘土を1100℃以下で焼成したものであり、原料粘土に使用している粘土鉱物としては、例えば、カオリン系粘土鉱物、緑泥石系粘土鉱物、パイロフィライト系粘土鉱物、モンモリモナイト系粘土鉱物、雲母系粘土鉱物などを挙げることができる。本発明の原料粘土において、石英は骨材として瓦素地の強度を維持する作用を有し、粘土鉱物は可塑剤として原料粘土に適度な成形性を付与する作用を有し、長石および褐鉄鉱と一部の緑泥石系粘土鉱物や雲母系粘土鉱物は融剤として原料粘土を成形し焼成する際に適度な溶融状態を形成し多孔質構造を生成する役割を果たす。
具体的には、使用する原料の平均粒子径を20〜50μmかつ最大粒子径を500μm以下とし、化学成分として酸化物換算で、酸化ケイ素が55重量%以上75重量%以下、酸化アルミニウムが15重量%以上25重量%以下、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属および酸化鉄等焼成中に液相を形成する成分が10重量%以上20重量%以下、好ましくは、12重量%以上15重量%以下であり、鉱物組成が、石英、粘土鉱物、長石を主成分としノルム計算によるそれぞれの組成比が、石英25〜35重量%、粘土鉱物25〜35重量%、融剤(長石+褐鉄鉱)35〜45重量%である原料粘土を用いて、半湿式成形を行った後、液相が適量生成し、かつ気孔率が20%以上望ましくは30%以上となる温度で焼成することで素地を作製する。原料粘土中の褐鉄鉱の量は鉄の分析値より求めることができる。
【0021】
これにより、焼結初期段階で比較的大きな開気孔ができ、焼成中に液相が生成することで、気孔の一端が詰まるなどして、平均気孔径が1〜10μm、望ましくは1.5〜5μmの比較的大きな気孔径の片側開気孔が多く形成されやすくなり、素地中の全気孔に対して常圧で吸水しない気孔の割合が20%以上望ましくは30%以上含有する多孔質体となる。
【0022】
気孔率が20%以上望ましくは30%以上であり、全気孔に対して常圧で吸水しない気孔の割合が20%以下の場合は、降雨時に吸水することで、屋根の重量が重くなり好ましくない。また、原料中に含まれる最大粒子径を500μm以下、望ましくは300μm以下に制御することで、石英粗大粒子近傍に生成する粗大環状亀裂等の粗大欠陥を防ぐことができ、多孔質でありながら容易に破損することのない曲げ強さが15MPa以上の強固な素地となる。原料中に500μm以上の石英粗粒子が含まれていると、その粒子近傍に100μm以上の環状亀裂が生成し、脆性材料である瓦の強度を著しく低下させる。
【0023】
このように原料の粉末特性を制御して作製された高強度気孔分散型素地と図4の写真のごとく三枚連結一体瓦の形状を組み合わせることで、従来の平瓦を重ね合わせた瓦と比較して、重量を50%以上軽量化するとともに、強固かつ重厚な質感を有する軽量省本葺瓦を作製することが可能となり、この極めて高い軽量化により、躯体にかかる重量的な負担を大幅に低減し、耐震性に大きく貢献した安心安全瓦とすることができる。
製造面においても、瓦施工面積当たりの瓦重量が半減するため、燃料費を大幅に削減することができ、現在の本葺瓦と比較して極めて高い省エネルギー化を達成することができる。また、本発明の瓦は三枚一体型であり、漆喰や葺土を使用せず、桟木に直接ビス止めする工法を採用することから、従来の平瓦を三枚重ねた瓦よりも施工時間を大幅に短縮することが可能であり、施工面においても省力・省エネルギーである。
【0024】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【実施例1】
【0025】
本発明の軽量本葺平瓦の構造の概要は図4の写真に示すとおりであるが、詳細な構造について具体例を挙げて説明する。瓦平面81,82と前水垂れ72または中水垂れ73との接合部の構造については図7に示す。この部分には、重なり接合隠しくぼみ11が両端に、中央部にはスリット12が形成され両者が連続した形状となり本葺瓦と同等の外観を呈している。重なり接合隠しくぼみ11は両端部が深さ3mmの窪みからなり、中央に行くに従って浅くなり、15mm中央に寄った部分では浅くなりスリット12に続いている(図7(3))。スリット12は、中水垂れ72または後水垂れ73に設けられた横スリット121および瓦平面81,82に設けられた縦スリット122からなり、横スリットは幅0.5mm、深さ1mmの断面を有し、縦スリットは幅0.5mm、深さ1mmの断面からなる(図7(2))。
前水垂れ71は、その両端と中央部の高さb,aの寸法は、両端での高さbが中央部aよりも1mm厚くなっている(図8)。前垂れ71の両端部は吹き込み防止重なり隙間隠しくぼみ水切り13(図の4と同じ)に当接する。
瓦尻水切り9は瓦平面83から立ち上がり面を有し、両面の接する箇所の瓦平面83の部分には、30mmの幅を有し、両端で深さ5mmのくぼみが形成され、中央部では長さ30mmに亘ってくぼみの形成がない構造からなる水切り13が形成され、中央部からはくぼみに溜まった水が自然に流出するようになされている(図9)。
【実施例2】
【0026】
実施例1で製造した本発明の軽量本瓦葺平瓦2枚を葺いた外観を図6に示す。二枚の平瓦A、Bは重なり部分Cにおいて瓦尻水切り9と前水垂れ71が係合して一体となる。このとき、重なり部分Cは45mm、平瓦A、Bの露出面の長さはそれぞれ305mmとなる。吹き込み防止重なり隙間隠しくぼみ水切り13の中央部30mmにはくぼみは形成されていない。中央部からはこの水切り13に溜まった水が自然に流出する。重なり接合部隠しくぼみ11の両端部は上から見ると略三角形状の平面くぼみとなり縦スリット121に連通している。三角形状のくぼみの断面は図7(3)の形状をして、最大深さ3mm、長さ15mmである。
【実施例3】
【0027】
実施例1の形状構造を有する軽量本葺平瓦を作製した。使用する原料の成分が表1に示すように、酸化物換算で、酸化ケイ素64.48%、酸化アルミニウム18.75%、酸化物換算で、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄等液相形成成分の合計が12.50%、ノルム計算により算出した鉱物組成が、表2に示すように、石英(骨材)27.28%、粘土鉱物(可塑材)32.03%、融材成分である長石と褐鉄鉱がそれぞれ36.46%と4.80%でその合計が41.27%であり、粒子径分布が0.5〜500μm、平均粒子径が30μmである瓦用原料粘土を用いて、押出成形後、半湿式プレスにより所定の形状に成形し、焼成温度 1000℃にて2時間焼成して三枚連結一体瓦Aを作製した。
この際、裏地のエッジ部6をR10mmの形状とし、表面には重なり接合部隠しくぼみ11および重なり接合部スリット12の加工を行うとともに、瓦重なり部分に、吹き込み防止重なりスキマ隠しくぼみ水きり13を施した。
【0028】
【表1】

【0029】
本発明の軽量本葺平瓦は、図6に示すように、瓦の重なり部分と、階段状に三枚連結した部分とに目視上差異はなく、一般的な平瓦を重ねた従来の本葺瓦と比較して遜色のない重厚な質感を維持した。また、施工時等に職人が瓦の上に乗ることで、応力が集中して、容易に破損することもなく、従来の平瓦を三枚重ねた工法の瓦と比較して、約55%の軽量化を達成した。また、同面積の施工に必要な瓦を製造する際に使用する燃料のブタンガス量も概ね半減し、極めて高い省エネルギー化を達成した。
【実施例4】
【0030】
実施例1の形状構造を有する軽量本葺平瓦を作製した。使用する原料の成分が表1に示すように、酸化物換算で、酸化ケイ素64.57%、酸化アルミニウム18.18%、酸化物換算で、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄等液相形成成分の合計が12.98%、ノルム計算により算出した鉱物組成が、表2に示すように、石英(骨材)27.58%、粘土鉱物(可塑材)30.06%、長石+褐鉄鉱(融材)が42.63%であり、粒子径分布が0.5〜500μm、平均粒子径が29μmである瓦用原料粘土を用いて、半湿式成形にて成形し、焼成温度1040℃で焼成して、三枚連結一体瓦を作製した。なお、本実施例に使用した原料は緑泥石系粘土鉱物を含有しており、緑泥石系粘土鉱物は可塑材であるとともに、融点が比較的低い融材の効果を併せもつ粘土鉱物であることから、ノルム計算による組成計算は可塑材と融材両方の効果を半分ずつとして算出した。
この際、裏地のエッジ部6をR10mmの肉盛りした曲線形状とし、表面にはスリット・溝加工5および瓦重なり部分に段差の溝加工4を施した。なお、瓦素地は吸水率11%、気孔率28%、平均気孔径2.3μm、かさ密度1.87g/cm、曲げ強さ 15.7MPa、常圧で吸水しない開気孔割合は全気孔中21%の気孔分散型素地とした。
【0031】
【表2】

【0032】
瓦の重なり部分と、階段状に三枚連結した部分とに目視上差異はなく、一般的な平瓦を重ねた従来の本葺瓦と比較して遜色のない重厚な質感を維持した。また、施工時等に職人が瓦の上に乗ることで、応力が集中して、容易に破損することもなく、従来の平瓦を三枚重ねた工法の瓦と比較して、気孔分散素地および形状双方の効果により、約56%の軽量化を達成した。また、同面積の施工に必要な瓦を製造する際に使用する燃料のブタンガス量も半減し、極めて高い省エネルギー化を達成した。
【0033】
[比較例1]
三枚連結一体の本瓦葺平瓦を作製した。使用する原料の成分が表1に示すように、酸化物換算で、酸化ケイ素68.98%、酸化アルミニウム18.05%、酸化物換算で、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄等液相形成成分の合計が7.92%、ノルム計算により算出した鉱物組成が、表2に示すように、石英(骨材)38.06%、粘土鉱物(可塑材)35.60%、長石+褐鉄鉱(融材)が26.41%であり、粒子径分布が0.3〜1400μm、平均粒子径が15μmである瓦用原料粘土を用いて、半湿式成形にて成形し、焼成温度1020℃で焼成して、三枚連結一体瓦を作製した。
この際、裏地の曲線形状、および表面スリット加工、溝加工は施さなかった。すなわち、エッジ部6の曲線形状、重なり接合部隠しくぼみ11、重なり接合部スリット12、吹き込み防止重なり隙間隠しくぼみ水切り13は施工していない。なお、瓦素地は吸水率11%、気孔率23%、平均気孔径 0.3μm、かさ密度1.95g/cm、曲げ強さ11.6MPa、常圧で吸水しない開気孔割合は全気孔中8.5%であった。
形状の効果により、従来の平瓦を三枚重ねた工法の瓦と比較して、重量が概ね半減し、同面積の施工に必要な瓦を製造する際に使用するブタンガス燃料量も減少したが、瓦の重なり部分と、階段状に三枚連結した部分とに目視上差異が生じ、一体瓦であることが容易に識別できるものであり、景観的に劣るものであった。また、素地中にも1000μm以上の粗粒子が混入しているため、応力が集中して、容易に瓦が破損しやすいものとなった。
【実施例5】
【0034】
実施例1の形状構造を有する軽量本葺平瓦を作製した。使用する原料の成分が表1に示すように、酸化物換算で、酸化ケイ素64.57%、酸化アルミニウム18.18%、酸化物換算で、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄等液相形成成分の合計が12.98%、ノルム計算により算出した鉱物組成が、表2に示すように、石英(骨材)27.58%、粘土鉱物(可塑材)30.06%、長石+褐鉄鉱(融材)が42.63%であり、粒子径分布が0.5〜500μm、平均粒子径が29μmである瓦用原料粘土を用いて、押出成形にて成形し、焼成温度1080℃で焼成して耐寒向け瓦素地を作製した。
【0035】
[比較例2]
使用する原料の成分が表1に示すように、酸化物換算で、酸化ケイ素62.86%、酸化アルミニウム18.80%、酸化物換算で、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄等液相形成成分の合計が12.45%、ノルム計算により算出した鉱物組成が、表2に示すように、石英(骨材)28.88%、粘土鉱物(可塑材)35.68%、長石+褐鉄鉱(融材)が34.88%であり、粒子径分布が0.2〜1000μm、平均粒子径が6.2μmである瓦用原料粘土を用いて、押出成形にて成形し、焼成温度1040℃で焼成して耐寒向け瓦素地を作製した。
【0036】
実施例5と比較例2の両素地ともに吸水率6%で同一であったが、実施例5のかさ密度は1.999g/cm、比較例2のかさ密度は2.129g/cmであり、実施例5が比較例2より約6.1%軽量化することができた。両者の真比重は同程度であり、むしろ比較例2の方が若干低かったにも関わらず、かさ密度にこれだけの差が認められたのは、実施例5の素地には常圧では吸水しない片側開気孔が素地中に多数分散しているからである。実施例5の気孔率は22.8%、その内、常圧では吸水しない気孔割合は41.7%と極めて高いものであった。一方、比較例2は気孔率13.0%、その内、常圧では吸水しない気孔割合は3.8%であった。実施例5に使用した原料は、平均粒子径が20μm以上と比較的大きく、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化鉄の合計が10重量%以上であり、焼成中に液相を形成する成分が適量含まれている。このため、焼結初期段階で比較的大きな開気孔が形成され、焼成中に液相が生成することで、気孔の一端が詰まるなど比較的大きな気孔径の常圧で吸水しない片側開気孔等が形成されたものと推察される。実施例5の素地を使用することで、耐寒性を向上させた一体型の軽量本葺瓦を作製することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、重厚な質感と耐震性を有する社寺向け安全瓦として、軽量省エネ耐震本葺瓦を提供するものであり、重要文化財等社寺建築の文化遺産保護と、省エネルギー製造プロセス構築による地球環境保全への貢献を同時に具現化することを目的とする。近年、多く見受けられる板金屋根材への変更により、本来の本葺瓦の美しい景観が損なわれつつあり、また、本発明の軽量本葺瓦は、軽量かつ安全であって耐震性を考慮した材料設計および施工方法の改良がなされたものであり、重厚な瓦の美観を維持しつつ、軽量化により参拝者や建造物の安全面を確保することができる。
【符号の説明】
【0038】
1:従来の丸瓦
2:従来の平瓦
3:本発明の平瓦
4:瓦重なり部分の段差(溝)
5:スリット・溝加工
6:エッジ部
71:前水垂れ
72:中水垂れ
73:後水垂れ
81、82,83:瓦平面
9:瓦尻水切り
10:側面水切り
11:重なり接合部隠しくぼみ
12:重なり接合部スリット
121:縦スリット
122:横スリット
13(4と同じ):吹き込み防止重なり隙間隠しくぼみ水切り
14:くぼみ水切り
15:釘穴
A,B:本発明の平瓦
C:重なり部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平瓦とその平瓦の両端を抑え込む丸瓦からなる本葺に用いる平瓦であって、該平瓦が、平瓦を階段状に複数枚を縦に重ねた段差を有する外形をなしていること、階段状段差部と瓦重なり部分を有すること、階段状段差部分には溝加工がなされて、重なり結合部隠しくぼみ、および重なり結合部スリットが形成されていること、瓦重なり部分には、溝段差加工により吹き込み防止重なりすき隠しくぼみ水切りが形成されていること、を特徴とする軽量本葺平瓦。
【請求項2】
該平瓦が、平瓦を階段状に三枚縦に重ねた段差を有する外形をなし、前水垂れ、中水垂れ、後水垂れおよび瓦尻水切りと、それらの水垂れおよび水切り間の瓦平面からなる請求項1に記載の軽量本葺平瓦。
【請求項3】
中水垂れおよび後水垂れと瓦平面とが接する部分の両端部には結合部隠しくぼみが形成され、中央部には重なり接合部スリットが形成されている請求項2に記載の軽量本葺平瓦。
【請求項4】
瓦重なり部分の瓦尻水切りと瓦平面とが接する部分には、溝段差により、吹き込み防止重なりすき結合部隠しくぼみ水切りが形成されている請求項2または3に記載の軽量本葺平瓦。
【請求項5】
瓦表面の階段状段差部に対応する瓦裏面のエッジ部の半径を5〜20mmの曲線形状とすることにより応力の集中を回避した請求項1から4のいずれかに記載の軽量本葺平瓦。
【請求項6】
軽量本葺平瓦が、気孔率が20%以上であって、全気孔の中で、常圧で吸水しない気孔を20%以上含有し、平均気孔径が1〜10μmであり、曲げ強さが15MPa以上である気孔分散型瓦素地からなる請求項1から5のいずれかに記載の軽量本葺平瓦。
【請求項7】
アルカリ金属、アルカリ土金属、および鉄からなる焼成中に液相を形成する成分が酸化物換算で10重量%以上含まれ、平均粒子径が20〜50μm、最大粒子径が500μm以下である原料粘土を成形し、焼成することにより製造された請求項1から6のいずれかに記載の軽量本葺平瓦。
【請求項8】
原料粘土が、酸化ケイ素55〜75重量%、酸化アルミニウム15〜25重量%、アルカリ金属、アルカリ土類金属と鉄を酸化物換算で10〜20重量%含有する請求項7に記載の軽量本葺平瓦。
【請求項9】
原料料粘土が、石英、粘土鉱物、長石を主成分として、ノルム計算による組成が石英25〜35重量%、粘土鉱物25〜35重量%、長石と褐鉄鉱の合計が35〜45重量%、を含有する請求項7または8に記載の軽量本葺平瓦。
【請求項10】
軽量本葺平瓦素地が、石英、長石、粘土鉱物および褐鉄鉱を含有する原料粘土を用いて成形し、焼成温度1100℃以下で焼成し、気孔率が20%以上であって、全気孔中常圧で吸水しない気孔を20%以上含有し、平均気孔径が1〜10μm、曲げ強さが15MPa以上である請求項1から9のいずれかに記載の軽量本葺平瓦。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−202153(P2012−202153A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69269(P2011−69269)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(394022738)株式会社請川窯業 (1)
【出願人】(592167411)香川県 (40)