説明

輪転印刷機の給紙装置及びその制御方法

【課題】 輪転印刷機の給紙装置に関し、ロール紙を1回の指令入力で自動的に取り外せるようにして作業効率を向上できるようにする。
【解決手段】 入力装置13により指令が入力されると、第1制御部12aが、アーム用駆動装置10を制御してロール紙1がテーブルリフタ2の上方の位置にくるようにアーム6を回転させ、第2制御部12bが、テーブルリフタ用駆動装置11を制御してテーブルリフタ2をロール紙1の下面の位置まで上昇させ、第3制御部12cが、アーム用駆動装置10を制御して突起部6aがロール紙1の両軸端部に対して脱状態となるようにアーム6を駆動し、第4制御部12dが、テーブルリフタ用駆動装置11を制御してテーブルリフタ2を所定の位置まで下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪転印刷機の給紙部に設けられ、ロール紙から後工程の印刷部に紙を供給する給紙装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業用オフセット輪転印刷機の給紙部には、後工程の印刷部に紙を供給する給紙装置が設けられている。給紙装置は、円筒形状の芯部材に紙がロール状に巻かれたロール紙を着脱(交換)可能に構成されており、印刷ジョブに応じて所望のロール紙を装着できるようになっている。
一般に、ロール紙を装着する際には、テーブルリフタと呼ばれる台上にロール紙を搭載した後、例えば給紙装置の制御盤に設けられた装着ボタンを押すと、給紙装置は、ロール紙の両軸端部に係合する突起部を有する2本の(即ち、左右一対の)アームを回転し、突起部がテーブルリフタの上方の所定位置にきたらアームの回転を停止する。次に、給紙装置は、テーブルリフタを上昇させていき、ロール紙の両軸端部がアームの突起部の位置にきたらテーブルリフタを停止させる。そして、アームの突起部をロール紙の両軸端部に係合させた後、テーブルリフタを下降させる。これにより、ロール紙の装着が完了する。
【0003】
一方、ロール紙を取り外す際には、まず、ターニング操作ボタンを押して、ロール紙がテーブルリフタの上方の所定位置にくるようにアームを回転させる。次に、テーブルリフタ上昇操作ボタンを押してテーブルリフタを上昇させていき、テーブルリフタがロール紙の下面に接触するのを目視で確認したら、テーブルリフタ停止操作ボタンを押してテーブルリフタを停止させる。その後、チャッキング脱操作ボタンを押してアームの突起部をロール紙の両軸端部から外した後、テーブルリフタ下降操作ボタンを押してテーブルリフタを下降させる。そして、テーブルリフタが所望の位置まで下降したら、テーブルリフタ停止操作ボタンを押してテーブルリフタを停止させる。これにより、ロール紙の取り外しが完了する。
【0004】
なお、特許文献1には、自走台車を用いて輪転印刷機の給紙装置にロール紙を自動供給及び自動回収する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−328753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように従来の給紙装置ではロール紙を装着する際は1回のボタン操作で容易にロール紙を装着することが可能であるが、ロール紙を取り外す際には複数回のボタン操作が必要であり、容易にロール紙を取り外すことができない。このため、給紙部での操作に時間を要するとともに、給紙部にオペレータを常時配する必要があり、効率的でない。
【0006】
なお、特許文献1にはロール紙を自動回収する技術が開示されているが、自走台車を用いるものであり、本技術とは異なる。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたものであり、ロール紙を1回の指令入力で自動的に取り外せるようにして作業効率を向上できるようにした、輪転印刷機の給紙装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置は、ロール紙が載せられるテーブルリフタと、前記テーブルリフタを上昇又は下降させるテーブルリフタ用駆動装置と、前記ロール紙の両軸端部にそれぞれ係合する突起部により該ロール紙を保持する回転可能な2本のアームと、前記2本のアームを回転駆動するとともに、前記突起部が前記ロール紙の両軸端部に対して着状態又は脱状態となるように前記2本のアームを駆動するアーム用駆動装置とを備えた、輪転印刷機の給紙装置であって、前記ロール紙を取り外すための指令を入力するための入力装置と、前記入力装置からの該指令に基づいて前記テーブルリフタ用駆動装置及び前記アーム用駆動装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記入力装置により該指令が入力されると、前記アーム用駆動装置を制御して前記ロール紙が前記テーブルリフタの上方の位置にくるように前記2本のアームを回転させる第1制御部と、前記第1制御部による制御と同時又はその後に、前記テーブルリフタ用駆動装置を制御して前記テーブルリフタを前記ロール紙の下面の位置まで上昇させる第2制御部と、前記第1制御部及び前記第2制御部による制御の後に、前記アーム用駆動装置を制御して前記突起部が前記ロール紙の両軸端部に対して脱状態となるように前記2本のアームを駆動する第3制御部と、前記第3制御部による制御の後に、前記テーブルリフタ用駆動装置を制御して前記テーブルリフタを所定の位置まで下降させる第4制御部とを有していることを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置は、請求項1記載の装置において、前記テーブルリフタに設けられ、前記ロール紙の下面を検知する検知手段を備え、前記第2制御部は、前記検知手段からの検知情報に基づいて前記テーブルリフタを前記ロール紙の下面の位置まで上昇させることを特徴としている。
請求項3記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置は、請求項1記載の装置において、前記ロール紙が前記テーブルリフタの上方の位置にきたときの前記ロール紙の径を算出する算出手段を備え、前記第2制御部は、前記算出手段により算出された前記ロール紙の径に基づいて前記ロール紙の下面の位置を推定し、該推定した位置まで前記テーブルリフタを上昇させることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置は、請求項3記載の装置において、前記第2制御部は、前記算出手段により算出された前記ロール紙の径が所定値以下の場合、前記推定した前記ロール紙の下面の位置よりも所定量だけ高い位置まで前記テーブルリフタを上昇させることを特徴としている。
なお、この操作は、両アームの突起部を脱状態にする際にロール紙の両軸端部を突起部から確実に外すことができるようにするためである。つまり、ロール紙の両軸端部は両アームの突起部と着状態になっているときには、ロール紙の両軸端部は両アームの突起部と強く摩擦係合しており、ロール紙の自重が大きい(ロール紙の径が所定値よりも大の)場合には生じないが、ロール紙の自重が小さい(ロール紙の径が所定値以下の)場合には、両アームの突起部を脱状態にした際に、摩擦係合力の強い方の突起部からロール紙が離脱せずにアーム側に残ってしまうおそれがある。そこで、ロール紙の自重が小さい場合、テーブルリフタを上昇させ上記摩擦係合力に抗するだけの鉛直上方の力を加えることにより、ロール紙を突起部から確実に離脱させるようにしているのである。
【0010】
テーブルリフタを僅かに上昇させるだけでも、上記摩擦係合力に抗するだけの鉛直上方の力をロール紙に加えることができるので、上記の所定量は、比較的小さな値でよい。
請求項5記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載の装置において、前記入力装置により前記指令が入力されると、前記ロール紙の取り外し動作が行なわれる旨を報知する報知装置を備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置の制御方法は、ロール紙が載せられるテーブルリフタと、前記テーブルリフタを上昇又は下降させるテーブルリフタ用駆動装置と、前記ロール紙の両軸端部にそれぞれ係合する突起部により該ロール紙を保持する回転可能な2本のアームと、前記2本のアームを回転駆動するとともに、前記突起部が前記ロール紙の両軸端部に対して着状態又は脱状態となるように前記2本のアームを駆動するアーム用駆動装置と、前記ロール紙を取り外すための指令を入力するための入力装置と、前記入力装置からの前記指令に基づいて前記テーブルリフタ用駆動装置及び前記アーム用駆動装置を制御する制御装置とを備え、該制御装置を通じて行なわれる輪転印刷機の給紙装置の制御方法であって、前記入力装置により前記指令が入力されると、前記アーム用駆動装置を制御して前記ロール紙が該テーブルリフタの上方の位置にくるように前記2本のアームを回転させるアーム回転ステップと、前記アーム回転ステップと同時又はその後に、前記テーブルリフタ用駆動装置を制御して前記テーブルリフタを前記ロール紙の下面の位置まで上昇させるテーブルリフタ上昇ステップと、前記アーム回転ステップ及び前記テーブルリフタ上昇ステップの後に、前記アーム用駆動装置を制御して前記突起部が前記ロール紙の両軸端部に対して脱状態となるように前記2本のアームを駆動するアーム駆動ステップと、前記アーム駆動ステップの後に、前記テーブルリフタ用駆動装置を制御して前記テーブルリフタを所定の位置まで下降させるテーブルリフタ下降ステップとを有していることを特徴としている。
【0012】
請求項7記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置の制御方法は、請求項6記載の方法装置において、前記ロール紙が前記テーブルリフタの上方の位置にきたときの前記ロール紙の径を算出する算出手段を備え、前記テーブルリフタ上昇ステップでは、前記算出手段により算出された前記ロール紙の径に基づいて前記ロール紙の下面の位置を推定し、該推定した位置まで前記テーブルリフタを上昇させることを特徴としている。
【0013】
請求項8記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置の制御方法は、請求項7記載の方法装置において、前記テーブルリフタ上昇ステップでは、前記算出手段により算出された該ロール紙の径が所定値以下の場合、該推定した該ロール紙の下面の位置よりも所定量だけ高い位置まで該テーブルリフタを上昇させることを特徴としている。
請求項9記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置の制御方法は、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法装置において、前記入力装置により該指令が入力されると、前記ロール紙の取り外し動作が行なわれる旨を報知する報知ステップを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置及び請求項6記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置の制御方法によれば、入力装置によりロール紙を取り外すための指令を入力すると制御装置によりロール紙の取り外し動作が自動的に行なわれるので、ロール紙を容易に取り外すことが可能になり、作業効率を向上できる。
請求項2記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置によれば、テーブルリフタをロール紙の下面の位置まで自動で上昇させることができる。
【0015】
請求項3記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置及び請求項7記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置の制御方法によれば、テーブルリフタをロール紙の下面の位置まで自動で上昇させることができる。
請求項4記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置及び請求項8記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置の制御方法によれば、ロール紙の径が所定値以下の場合、即ちロール紙の重さが所定値よりも小さい(軽い)場合、推定したロール紙の下面の位置よりも僅かな所定量だけ高い位置までテーブルリフタを上昇させるので、ロール紙がテーブルリフタにより僅かに上方へ押し上げられてアームの突起部がロール紙の両軸端部から抜け易くなる。これにより、ロール紙が軽くても、ロール紙の両軸端部からアームの突起部を確実に抜くことができる。
【0016】
請求項5記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置及び請求項9記載の本発明の輪転印刷機の給紙装置の制御方法によれば、報知装置がロール紙の取り外し動作が行なわれる旨を報知するので、オペレータに注意を喚起することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
〔A〕第1実施形態
図1〜図4は本発明の第1実施形態としての輪転印刷機の給紙装置を説明するための図であって、図1はその側面図(一部ブロック図で示す)、図2はその正面図、図3はロール紙の軸端部とアームの突起部との係合状態を拡大して示す図、図4はその給紙装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態にかかる給紙装置は商業用オフセット輪転印刷機の給紙部に設けられる。本給紙装置は、円筒形状の芯部材1aに紙1bがロール状に巻かれたロール紙1を着脱(交換)可能に構成されており、印刷ジョブに応じて所望のロール紙1を装着できるようになっている。
また、本給紙装置は、ロール紙1が載せられるテーブルリフタ2と、テーブルリフタ2を上昇又は下降させる駆動装置(テーブルリフタ用駆動装置)11と、ロール紙1の両軸端部にそれぞれ係合する突起部6aによりロール紙1を保持する回転可能な2本の(即ち、左右一対の)アーム6と、アーム6を回転駆動するとともに、突起部6aがロール紙1の両軸端部に対して着状態又は脱状態となるようにアーム6を駆動する駆動装置(アーム用駆動装置)10とを備えている。なお、左右一対のアーム6は、複数組(例えば、2対又は3対)設けられ、一つのアーム6のロール紙1を使用している際に残りのアーム6に所要のロール紙1をセットして準備できるようになっている。
【0019】
テーブルリフタ2の上面には、ロール紙1の軸方向にわたってロール紙1の周面に沿うような曲面形状に形成された凹部2aが形成されている。また、凹部2aの近傍には、ロール紙1が凹部2aから転がり落ちないようにロール紙1の動きを規制するストッパ5が設けられている。これにより、ロール紙1をテーブルリフタ2上に安定して搭載することができる。なお、ここでは、図2に示すように、ストッパ5はロール紙1の軸方向に延びるように設けているが、設置数や形状はこれに限定されるものではない。
【0020】
テーブルリフタ2の下部にはテーブルリフタ2を上昇又は下降させるための昇降機構3が設けられており、駆動装置11により昇降機構3を駆動することでテーブルリフタ2を図1及び図2中の矢印A方向に昇降させることが可能となっている。通常、テーブルリフタ2は、床面7に形成された凹部7aに格納されており、オペレータはロール紙1を転がして床面7からテーブルリフタ2上に、或いはテーブルリフタ2上から床面に容易に移動させることができる。なお、昇降機構3は図1及び図2に示す構成に限定されるものではない。
【0021】
各アーム6は、駆動装置10により図1中の矢印A方向に回転可能になっている。これにより、ロール紙1を交換する際には、テーブルリフタ2の上方の位置(図1に示す位置)に配置させることができる。また、各アーム6は、駆動装置10によりロール紙1の両軸端部に対して接近又は離隔するように、即ち図2中の矢印A方向に動くようになっている。これにより、図3に示すように、各アーム6の突起部6aをロール紙1の芯部材1aの両端部にそれぞれ係合させてロール紙1を周方向に回転可能に保持できるようになっている。なお、図示しないが突起部6aの先端部には、ロール紙1の芯部材1aの両端部の穴への嵌入を容易にするために、先細りのテーパ部が形成されている。
【0022】
さらに、図1に示すように、本給紙装置は、コントローラ(制御装置)12,操作ボタン(入力装置)13及びスピーカ(報知装置)14を備えている。操作ボタン13は、ロール紙1を取り外すための指令(以下、これを脱指令という)を入力するためのボタンであり、オペレータが操作ボタン13を押すと、この指令に基づいてコントローラ12が駆動装置10及び駆動装置11を制御するようになっている。
【0023】
コントローラ12は、例えばコンピュータであり、第1制御部12a,第2制御部12b,第3制御部12c及び第4制御部12dに相当する機能を有している。
第1制御部12aは、操作ボタン13により脱指令が入力されると、駆動装置10を制御してロール紙1がテーブルリフタ2の上方(真上)の位置〔ロール紙1を着脱させる時の予め決められた位置であって、アーム6の軸線と床面7とのなす角度がθのときの位置)〕にくるようにアーム6を回転させるように機能している。これにより、アーム6はロール紙1の取り外しのための所定の位置に配置される。
【0024】
また、第2制御部12は、第1制御部12aによりアーム6が所定の位置に配置された後、駆動装置11を制御してテーブルリフタ2をロール紙1の下面の位置まで上昇させるように機能している。テーブルリフタ2の凹部2aの底面には、ロール紙1の下面を検知する接触式又は非接触式の感知センサ(検知手段)4が備えられており、第2制御部12bは、感知センサ4からの検知情報に基づいてテーブルリフタ2をロール紙1の下面の位置まで上昇させてその位置で停止させるように機能している。
【0025】
さらに、第3制御部12cは、第2制御部12bによりテーブルリフタ2が所定の位置に配置された後、駆動装置10を制御してアーム6の突起部6aがロール紙1の両軸端部に対して脱状態となるようにアーム6を駆動するように機能している。これにより、アーム6の突起部6aをロール紙1の両軸端部から抜いてロール紙1をテーブルリフタ2上の凹部2aに載せることができる。
【0026】
また、第4制御部12dは、第3制御部12cによりテーブルリフタ2上にロール紙1が載せられた後、駆動装置11を制御してテーブルリフタ2を所定の位置、ここでは床面7まで下降させてその位置で停止させるように機能している。これにより、テーブルリフタ2上のロール紙1を転がしてテーブルリフタ2から床面7に移動することができる。
スピーカ14は、操作ボタン13により脱指令が入力されると、ロール紙1の取り外し動作が行なわれる旨を報知するようになっている。例えばスピーカ14から警告音やアナウンスが流れるようになっている。これにより、ロール紙1の取り外し時にオペレータに注意を喚起してオペレータが給紙部に立ち入るのを防止できるようになっている。なお、ここでは、報知装置としてスピーカ14を設けているが、スピーカ14の代わりに警告ランプを設けるようにしてもよい。
【0027】
本発明の第1実施形態としての輪転印刷機の給紙装置は、上述のごとく構成されているので、ロール紙1の取り外す際、オペレータが操作ボタン13を1回押すだけでコントローラ12によりロール紙1の取り外しにかかる一連の動作が全て自動的に行なわれる。
すなわち、図4に示すように、操作ボタン13を押すことで脱指令が入力される(ステップS10)と、スピーカ14がロール紙1の取り外し動作が行なわれる旨を報知するとともに(ステップS20:報知ステップ)、ロール紙1がテーブルリフタ2の上方の所定位置にくるようにアーム6が回転移動してその位置で停止し(ステップS30:アーム回転ステップ)、次に、テーブルリフタ2が上昇してロール紙1の下面の位置で停止する(ステップS40:テーブルリフタ上昇ステップ)。なお、これらのアーム回転ステップとテーブルリフタ上昇ステップとは、同時進行で行なうこともできる。
【0028】
そして、駆動装置11により突起部6aがロール紙1の両軸端部に対して脱状態となるようにアーム6を駆動すること(ステップS50:アーム駆動ステップ)により、アーム5の突起部6aがロール紙1の両軸端部から外れて、ロール紙1がテーブルリフタ2上に搭載される。その後、テーブルリフタ2が下降し(ステップS60:テーブルリフタ下降ステップ)、床面7の位置で停止する。
【0029】
このように、1回のボタン操作でロール紙1の取り外しの一連の動作が自動的に行なわれるので、ロール紙1を容易に取り外すことが可能になる。これにより、オペレータの作業負担を軽減することができ、ロール紙1の取り外し最中に他の作業を行なうことができ、作業効率を向上できる。
〔B〕第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態としての輪転印刷機の給紙装置について図1を参照しながら説明する。本実施形態にかかるコントローラ12は、さらに、ロール紙1がテーブルリフタ2の上方の位置にきたときのロール紙1の径(巻き径)を算出する算出部(算出手段)15に相当する機能を有している。具体的には、算出部15には、外部から、アーム6の突起部6aの位置(ロール紙1の軸心の位置),装着時のロール紙1の径,ロール紙1の紙質,巻取り開始からの経過時間,印刷速度等の情報が入力され、算出部15はこれらの情報を用いて演算により、ロール紙1の現在の径を算出するようになっている。
【0030】
また、本実施形態にかかる第2制御部12bは、感知センサ4の代わりに、算出部15により算出されたロール紙1の径に基づいてロール紙1の下面の位置を推定し、この推定した位置までテーブルリフタ2を上昇させるように、駆動装置11を制御するように機能している。このように本実施形態では感知センサ4を設ける必要がないため、低コストである。
【0031】
さらに、本実施形態にかかる第2制御部12bは、算出部15により算出されたロール紙1の径が所定値以下の場合、推定したロール紙1の下面の位置よりも僅かな所定量だけ高い位置までテーブルリフタ2を上昇させるように、駆動装置11を制御するように機能している。ロール紙1の径が比較的大きい場合、即ちロール紙1の自重が比較的大きい場合には、ロール紙1の両軸端部からアーム6の突起部6aを外す際、ロール紙1の自重により容易に突起部6aが外れるが、ロール紙1の径が比較的小さい場合、即ちロール紙1の自重が比較的小さい場合には、突起部6aは容易に外れない。しかし、本実施形態のように、ロール紙1の径が所定値以下の場合、即ちロール紙1の重さが所定値よりも小さい(軽い)場合には、推定したロール紙1の下面の位置よりも僅かな所定量だけ高い位置までテーブルリフタ2を上昇させることで、ロール紙1がテーブルリフタ2により僅かに上方へ押し上げられて、アーム6の突起部6aとロール紙1の軸端部との摩擦による係合力に抗するだけの力がロール紙1に加えられることになり、アーム6の突起部6aがロール紙1の両軸端部から抜け易くなる。これにより、ロール紙1が軽くても、ロール紙1の両軸端部からアーム6の突起部6aを確実に抜くことができる。
【0032】
〔C〕その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば図5(a)及び図5(b)に示すように、アーム6の突起部6aの外周に、ロール紙1の軸方向に移動可能なリジェクト棒16を設けて、ロール紙1の両軸端部からアーム6の突起部6aを外す際には、リジェクト棒16をロール紙1方向〔図5(b)中の矢印A方向〕に突出させてロール紙1の両軸端部を押圧するようにしてもよい。これにより、より確実にロール紙1の両軸端部からアーム6の突起部6aを外すことができる。
【0033】
また、上記の実施形態では、第1制御部12aが、ロール紙1がテーブルリフタ2の上方(真上)の位置に来るように、アーム6を回転させる際に、アーム6の軸線と床面7とのなす角度が所定角度θの位置に来るように、アーム6の回転角度に基づいて制御しているが、図6に示すように、例えばアーム6を支持するスタンド20に、ロール紙1がテーブルリフタ2の上方(真上)の位置に来たことを検知するセンサ21を設けて、位置センサ21が、アーム6がかかる位置に来たことを検知したら、アーム6の回転を停止するようにアーム6の角度を制御してもよい。なお、図6に示す例では、アーム6は回転中心6aの周りに180度位相をずらして2組装備されている。また、便宜上、ロール紙1については図示を省略している。
【0034】
この例では、センサ21は、例えばレーザ光等の光を発する発光器とこの発光器から発された光を受ける受光器とからなり、ロール紙1の軸心がこのセンサ21位置からずれると、アーム6又はロール紙1がセンサ21の発光器と受光器との間に介在し、センサ21は反応しないが、アーム6に装着されたロール紙1の軸心の中空部分がこのセンサ2の位置に来るとセンサ21が反応して、ロール紙1がテーブルリフタ2の上方(真上)の位置に来たことを検知できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態としての輪転印刷機の給紙装置を示す側面図(一部ブロック図で示す)である。
【図2】本発明の第1実施形態としての輪転印刷機の給紙装置を示す正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるロール紙の軸端部とアームの突起部との係合状態を拡大して示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる輪転印刷機の給紙装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1及び第2実施形態のアームの変形例を説明するための図であり、(a),(b)の順に着状態への動作が行なわれることを示す。
【図6】本発明の第1及び第2実施形態のアームの回転方向制御の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ロール紙
1a 芯部材
1b 紙
2 テーブルリフタ
2a テーブルリフタの凹部
3 昇降機構
4 感知センサ(検知手段)
5 ストッパ
6 アーム
6a 突起部
7 床面
7a 床面の凹部
10 駆動装置(テーブルリフタ用駆動装置)
11 駆動装置(アーム用駆動装置)
12 コントローラ(制御装置)
12a 第1制御部
12b 第2制御部
12c 第3制御部
12d 第4制御部
13 操作ボタン(入力装置)
14 スピーカ(報知装置)
15 算出部
16 リジェクト棒
20 スタンド
21 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙が載せられるテーブルリフタと、
前記テーブルリフタを上昇又は下降させるテーブルリフタ用駆動装置と、
前記ロール紙の両軸端部にそれぞれ係合する突起部により該ロール紙を保持する回転可能な2本のアームと、
前記2本のアームを回転駆動するとともに、前記突起部が前記ロール紙の両軸端部に対して着状態又は脱状態となるように前記2本のアームを駆動するアーム用駆動装置とを備えた、輪転印刷機の給紙装置であって、
前記ロール紙を取り外すための指令を入力するための入力装置と、
前記入力装置からの該指令に基づいて前記テーブルリフタ用駆動装置及び前記アーム用駆動装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記入力装置により該指令が入力されると、前記アーム用駆動装置を制御して前記ロール紙が前記テーブルリフタの上方の位置にくるように前記2本のアームを回転させる第1制御部と、
前記第1制御部による制御と同時又はその後に、前記テーブルリフタ用駆動装置を制御して前記テーブルリフタを前記ロール紙の下面の位置まで上昇させる第2制御部と、
前記第1制御部及び前記第2制御部による制御の後に、前記アーム用駆動装置を制御して前記突起部が前記ロール紙の両軸端部に対して脱状態となるように前記2本のアームを駆動する第3制御部と、
前記第3制御部による制御の後に、前記テーブルリフタ用駆動装置を制御して前記テーブルリフタを所定の位置まで下降させる第4制御部とを有している
ことを特徴とする、輪転印刷機の給紙装置。
【請求項2】
前記テーブルリフタに設けられ、前記ロール紙の下面を検知する検知手段を備え、
前記第2制御部は、前記検知手段からの検知情報に基づいて前記テーブルリフタを前記ロール紙の下面の位置まで上昇させる
ことを特徴とする、請求項1記載の輪転印刷機の給紙装置。
【請求項3】
前記ロール紙が前記テーブルリフタの上方の位置にきたときの前記ロール紙の径を算出する算出手段を備え、
前記第2制御部は、前記算出手段により算出された前記ロール紙の径に基づいて前記ロール紙の下面の位置を推定し、該推定した位置まで前記テーブルリフタを上昇させる
ことを特徴とする、請求項1記載の輪転印刷機の給紙装置。
【請求項4】
前記第2制御部は、前記算出手段により算出された前記ロール紙の径が所定値以下の場合、前記推定した前記ロール紙の下面の位置よりも所定量だけ高い位置まで前記テーブルリフタを上昇させる
ことを特徴とする、請求項3記載の輪転印刷機の給紙装置。
【請求項5】
前記入力装置により前記指令が入力されると、前記ロール紙の取り外し動作が行なわれる旨を報知する報知装置を備えている
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の輪転印刷機の給紙装置。
【請求項6】
ロール紙が載せられるテーブルリフタと、
前記テーブルリフタを上昇又は下降させるテーブルリフタ用駆動装置と、
前記ロール紙の両軸端部にそれぞれ係合する突起部により該ロール紙を保持する回転可能な2本のアームと、
前記2本のアームを回転駆動するとともに、前記突起部が前記ロール紙の両軸端部に対して着状態又は脱状態となるように前記2本のアームを駆動するアーム用駆動装置と、
前記ロール紙を取り外すための指令を入力するための入力装置と、
前記入力装置からの前記指令に基づいて前記テーブルリフタ用駆動装置及び前記アーム用駆動装置を制御する制御装置とを備え、該制御装置を通じて行なわれる輪転印刷機の給紙装置の制御方法であって、
前記入力装置により前記指令が入力されると、前記アーム用駆動装置を制御して前記ロール紙が該テーブルリフタの上方の位置にくるように前記2本のアームを回転させるアーム回転ステップと、
前記アーム回転ステップと同時又はその後に、前記テーブルリフタ用駆動装置を制御して前記テーブルリフタを前記ロール紙の下面の位置まで上昇させるテーブルリフタ上昇ステップと、
前記アーム回転ステップ及び前記テーブルリフタ上昇ステップの後に、前記アーム用駆動装置を制御して前記突起部が前記ロール紙の両軸端部に対して脱状態となるように前記2本のアームを駆動するアーム駆動ステップと、
前記アーム駆動ステップの後に、前記テーブルリフタ用駆動装置を制御して前記テーブルリフタを所定の位置まで下降させるテーブルリフタ下降ステップとを有している
ことを特徴とする、輪転印刷機の給紙装置の制御方法。
【請求項7】
前記ロール紙が前記テーブルリフタの上方の位置にきたときの前記ロール紙の径を算出する算出手段を備え、
前記テーブルリフタ上昇ステップでは、前記算出手段により算出された前記ロール紙の径に基づいて前記ロール紙の下面の位置を推定し、該推定した位置まで前記テーブルリフタを上昇させる
ことを特徴とする、請求項6記載の輪転印刷機の給紙装置の制御方法。
【請求項8】
前記テーブルリフタ上昇ステップでは、前記算出手段により算出された該ロール紙の径が所定値以下の場合、該推定した該ロール紙の下面の位置よりも所定量だけ高い位置まで該テーブルリフタを上昇させる
ことを特徴とする、請求項7記載の輪転印刷機の給紙装置の制御方法。
【請求項9】
前記入力装置により該指令が入力されると、前記ロール紙の取り外し動作が行なわれる旨を報知する報知ステップを備えている
ことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の輪転印刷機の給紙装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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