説明

農作業機

【課題】ナンバープレート用の照明灯を設けた場合に適切な電線配置系統を有するコンバイン等の農作業機を提供すること。
【解決手段】排藁カッター室21の壁面プレート23の補強用の上下3段の角パイプフレーム25が排藁カッター室21の横幅方向一杯に掛け渡されている。排藁カッター室21の壁面プレート23の後壁の左端には車両のナンバープレート26と該ナンバープレート26のすぐ上にはナンバープレート用の照明灯27が配置され、該照明灯27への電気配線用のハーネス29が角パイプフレーム25と壁面プレート23との間に配索されているので、ハーネス29や取付ネジ27aがカッターによる切藁等に接触することを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀稈を刈り取り、脱穀するコンバイン等の農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは穀稈の刈取装置と、脱穀装置と、脱穀後一時的に穀粒を貯留するグレンタンクと、グレンタンクに貯留されている穀粒を排出するオーガなどから構成される。
上記コンバインには警報ランプを機体後方上方部位に取り付けた例がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−254707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の構成では警報ランプが機体後部に取り付けられているので他の作業者などは当該コンバインを確認しやすい。
しかし、ナンバープレートを照らす照明灯を設けた構成は知られていなく、またそのためのハーネスなどの構成については考えられていない。
そこで、本発明の課題は、ナンバープレート用の照明灯を設けた場合に適切な電線配置系統を有するコンバイン等の農作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は次の解決手段により解決できる。
請求項1記載の発明は、機体に取り付けた枠体(25)と該枠体(25)に支持され機体の外形を構成する壁面プレート(23)に取り付けたナンバープレート(26)と、該ナンバープレート(26)の近傍に取り付けたナンバープレート用の照明灯(27)とを備え、該照明灯(27)のハーネス(29)を壁面プレート(23)と枠体(25)との間に形成される空間に配置したことを特徴とする農作業機である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、機体に取り付けた枠体(25)に支持され機体の外形を構成する壁面プレート(23)にナンバープレート(26)を取り付け、該ナンバープレート(26)の近傍に取り付けたナンバープレート用の照明灯(27)のハーネス(29)を壁面プレート(23)と枠体(25)の間に形成される空間に配置したので、枠体(25)と壁面プレート(23)の間隙を通してハーネス(29)を配索することによって、ハーネス(29)が切藁等に接触することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示す。
【図2】図1のコンバインの右側面図を示す。
【図3】図1のコンバインの平面図を示す。
【図4】図1のコンバインの背面図を示す。
【図5】図1のコンバインの排藁カッター室の背面図(図5(a))と図5(a)のS1−S1線断面図(図5(b))である。
【図6】図5(a)の矢印A方向から見た図である。
【図7】図5(a)の矢印B方向から見た図である。
【図8】図1のコンバインのナンバープレート用の照明灯設置部の排藁カッター室の壁面プレートの水平切断面図(図8(a))と図5(a)のS2−S2線断面図(図8(b))と図5(a)のS3−S3線断面図(図8(c))である。
【図9】図5(a)のS4−S4線断面図である。
【図10】図1のコンバインの操縦席の取付構造の一実施例の側面図(図10(a))と側面図(図10(b))である。
【図11】図1のコンバインの操縦席の取付構造の一実施例の側面図(図11(a))と側面図(図11(b))と操縦席支持板の斜視図(図11(c))である。
【図12】図1のコンバインの操縦席のハンドル部分の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
コンバインを例に本発明の農作業機を図面と共に説明する。図1には本発明の一実施例の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示し、図2には図1のコンバインの右側面図を示し、図3には図1のコンバインの平面図を示し、図4には図1のコンバインの背面図を示す。なお、本明細書ではコンバインの前進方向を前、後進方向を後、前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右という。
【0009】
コンバイン1の走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部にはエンジン(図示せず)、脱穀装置15、操縦席20およびホッパ30を搭載する。
【0010】
刈取装置6は、刈取昇降シリンダ10の伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具7を、その背後に傾斜状にした穀稈引き起こし装置8を、その後方底部には刈刃11を配置している。刈刃11と脱穀装置15のフィードチェン14の始端部との間に、図示しない前部搬送装置、扱深さ調節装置、供給搬送装置などを順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
【0011】
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジン(図示せず)を始動して変速用、操向用などの操作レバー16(図2,図3)をコンバイン1が前進するように操作し、刈取クラッチレバー17a・脱穀クラッチレバー17bを入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引き起こし装置8の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃11に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0012】
次いで、穀稈は供給搬送装置からフィードチェン14の始端部に受け継がれ、脱穀装置15に供給され、脱穀され、被処理物(穀粒や藁くず)は風力選別され、比重の重い穀粒は搬送螺旋(図示せず)を内蔵している一番揚穀筒19(図4)を経てホッパ30へ搬送され、このホッパ30に一時貯留される。脱穀装置15内の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、排藁チェーン(図示せず)に挟持されて搬送され、脱穀装置15の後部の排藁カッター室21の藁用カッターに投入された後、切断され、圃場に放出される。
【0013】
図5(a)に排藁カッター室21の壁面プレート23の背面図を示し、図5(b)には図5(a)のS1−S1線断面図を示す。また、図6には図5(a)の矢印A方向から見た図、図7には図5(a)の矢印B方向から見た図を示す。なお、図6と図7に示すように排藁カッター室21には2つのカッター用回転軸22、22の支持部が配置されている。また排藁カッター室21の左右両側壁と背面壁を一体的に構成する壁面プレート23は開閉自在であり、右側面側の2つの開閉支点23aを中心に開閉自在であり、壁面プレート23は閉じるときには左側面側のロック装置24により脱穀装置15の背面の構造部材に係止される。
【0014】
また、図5(a)に示すように排藁カッター室21の壁面プレート23の補強用の上下3段の角パイプフレーム25が排藁カッター室21の横幅方向一杯に掛け渡されている。排藁カッター室21の壁面プレート23背面部の左端には車両のナンバープレート26と該ナンバープレート26のすぐ上にはナンバープレートを照らす照明灯27が配置され、該照明灯27への電気配線用のハーネス29が補強角パイプフレーム25と排藁カッター室21の壁面プレート23との間に配索されている。図7に示すようにハーネス29は排藁カッター室21の右壁面プレート23から導入される構成である。また図5(b)に示すように排藁カッター室21の壁面プレート23の上端部は機体内側の下方に向けて折れ曲がっているため、該壁面プレート23が折り曲げられた部分と角パイプフレーム25の間に形成される三角形の空間内にあるハーネス29にカッター32(図8(a))で切断された排藁が接触してハーネス29が破損されるおそれがない。前記照明灯27のハーネス29を角パイプフレーム25と排藁カッター室21の壁面プレート23の間隙を通して角パイプフレーム25の上方へ配索することによって、ハーネス29や取付ネジ27aがカッター32による切藁等に接触することを防ぐことができる。
【0015】
また、ナンバープレート用の照明灯27の取付ネジ27a及びハーネス29を角パイプフレーム25にできる限り近づけて配置しているので、上部から落下する藁くず等により取付ネジ27a及びハーネス29が影響を受けにくい。
【0016】
また、図5(b)に示すように藁をカッター32で切断しない場合はカッタノッタ切替板31で排藁カッタ室21の天井を閉じる。このとき切断されてない長い藁は傾斜したカッタノッタ切替板31の上を滑り落ちるが、その機体側面視でみる落下軌跡(K)がナンバープレート用の照明灯27を避けるような位置に該照明灯27を配置して藁に接触して照明灯27が破損されないようにする。
【0017】
また、図8(a)にナンバープレート用の照明灯27設置部の排藁カッター室21の壁面プレート23の水平切断面図を示すように、排藁カッター室21の壁面プレート23の外側に取り付けられるナンバープレート用の照明灯27に対応する壁面プレート23の内側で照明灯27の取付ネジ27aと照明灯27のハーネス29の間にカッター32の刃先が向くように配置しているので、照明灯27の取付ネジ27a及び照明灯27のハーネス29とカッター32との干渉を防止することができる。
【0018】
図5(a)に示すように角パイプフレーム25の両端部にはそれぞれステー35が取り付けられている。ステー35の取付部の断面図(図5(a)のS2−S2線断面図)を図8(b)に示す。一方、ハーネス29は排藁カッター室21の壁面プレート23から排藁カッター室21内に入り壁面プレート23に沿ってナンバープレート用の照明灯27に達するように配索される。そこでハーネス29は、前記2つのステーの35、35の内側で角パイプフレーム25に沿って配策することによって、ハーネス29を問題なく配策することができた。
【0019】
また、図5(a)のS3−S3線断面図を図8(c)に示すが、ナンバープレート用の照明灯27のハーネス29を排藁カッター室21の壁面プレート23と角パイプフレーム25の間に形成される三角形の空間内に配策したときに壁面プレート23の内側にハーネスクランパ39を取り付ける、このハーネスクランパ39によりハーネス29を保持することでハーネス29が前記三角形の空間から脱出することがない。
【0020】
図9に、図5(a)のS4−S4線断面図として示すように、排藁カッター室21の壁面プレート23は、その上端部がネジ40で排藁カッター室21の上壁の下面に溶接固定されたナット41(図7)に締結固定され、下端部は下側の角パイプフレーム25の上面に接するように折り曲げた折曲片23cとし、壁面プレート23のカッター室内裏側の補助プレート23dの上端部を溶接接続して、補助プレート23dの下端部を角パイプフレーム25の内側側面に接するように配置した。そして前記折曲片23cを補助プレート23dの下端部と角パイプフレーム25の内側側面との間に差し込むようにして取り付け可能にしている。
【0021】
そのため排藁カッター室21の壁面プレート23の下端部の折曲片23cを、補助プレート23dの下端部と角パイプフレーム25の内側側面との間に差し込み、壁面プレート23の上端部は2本のネジ40で排藁カッター室21の上壁に取り付けることができ、ナンバープレート用の照明灯27のハーネス29のメンテナンス及びカッター32の交換時に簡単に排藁カッター室21の壁面プレート23が脱着できる。
【0022】
操縦席20の取付構造の一実施例を図10(a)の側面図と図10(b)の背面図に示す。操縦席20と一体の前ステー42と後ステー43の各取付穴42a,43aを前後ともに前上がりの斜め向きに形成し、取付穴42a,43aに支柱45の頂部に取り付けた支持板46に固定されたピン48,49を差し込む構成とする。図10に示す例では後側の取付穴43aを下方が開放した切欠状にしているのでピン49の挿入が簡単に行え、支柱45の支持板46に対する操縦席20の着脱が容易に行える。上記構成によりオペレータが操縦席20に座って左右に動いた時でも操縦席20の後方のガタが防止でき、破損を防止することができる。
【0023】
操縦席20の取付構造の他の実施例を図11(a)の側面図と図11(b)の背面図と図11(c)に取付部材の斜視図を示す。操縦席20の前ステー42は操縦席20の下面に取り付けた支持板46にピン48で留めとし、操縦席20の後ステー43には折れ曲がり状の下方が開放した切欠43bを設けており、該切欠43bに支持板46に設けたピン49を挿入して操縦席20を支柱45に固定する。ピン49は支持板46の裏面に固定されたバネ52により支持板46の長穴46aの一方側の端部に引っ張られる構成になっているので、ピン49の位置をバネ52の付勢力に抗して変えることで、簡単に操縦席20を支柱45の支持板46に着脱することができる。
【0024】
コンバインの操縦席のハンドル55において、ハンドル55のパイプが通常位置(オペレータが操縦席20に着席して行う座り作業の位置)と回動位置(オペレータが立作業の位置)の2通りの位置に変更できる事を特徴とする。図3のコンバイン全体の平面図と図12のハンドル55部分の斜視図に示すように、回動位置は通常位置から機体後方にハンドル55を180度回動させることで容易に設定できる。
【0025】
ハンドル55が通常位置にある場合、座り作業で問題はないが、立ち作業を行った場合、オペレータは体の動きを止めるために手でハンドル55を握るか体を前のめりにしてハンドル55へ太ももを接触させて作業しているが、上記本実施例のハンドル55は、立作業の時にハンドル55を回して回動位置にすると、立作業の状態で太ももとハンドル55が接触するので、体の動きをハンドル55で支えられると共に、体を前のめりにせずに刈取作業等を実施できるので、体の疲れが少なくて済む。
【0026】
図12の斜視図に示すように通常位置と回動位置の2通りの位置にハンドル55のパイプを変更する構成において、ワンタッチでハンドル位置を変更ができる様にしたことを特徴とする。ハンドル55は両端を立プレート56、57にそれぞれ挿入可能な折れ曲がり状とし、腕置き部分にバネ59を装着し、一方の立プレート56へのハンドル挿入端部を立プレート56の穴から外し、180度回転させ、同じ立プレート56の別の穴に挿入することで、簡単に通常位置と回動位置にハンドル55の位置を変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の脱穀装置はコンバインなどの収穫した穀粒の処理装置に利用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 コンバイン 2 走行フレーム
3 走行装置 4 クローラ
6 刈取装置 7 分草具
8 穀稈引き起こし装置 10 刈取昇降シリンダ
11 刈刃 14 フィードチェン
15 脱穀装置 16 操作レバー
17a 刈取クラッチレバー
17b 脱穀クラッチレバー
19 一番揚穀筒 20 操縦席
21 排藁カッター室 22 カッター用回転軸
23 壁面プレート 23a 開閉支点
23c 折曲片 23d 補助プレート
24 ロック装置 25 角パイプフレーム
26 ナンバープレート 27 照明灯
29 ハーネス 30 ホッパ
31 カッタノッタ切替板 32 カッター
35 ステー 39 ハーネスクランパ
40 ネジ 41 ナット
42 前ステー 43 後ステー
45 支柱 46 支持板
48,49 ピン 52 バネ
55 ハンドル 56,57 立プレート
59 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に取り付けた枠体(25)と該枠体(25)に支持され機体の外形を構成する壁面プレート(23)に取り付けたナンバープレート(26)と、該ナンバープレート(26)の近傍に取り付けたナンバープレート用の照明灯(27)とを備え、該照明灯(27)のハーネス(29)を壁面プレート(23)と枠体(25)との間に形成される空間に配置したことを特徴とする農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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