説明

農作業機

【課題】農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体4とを備える。農作業機1は、耕耘体の上方部を覆う耕耘カバー体5を備える。耕耘カバー体5の左右方向両端側には、土落し用隙間41をそれぞれ形成する。土落し用隙間41は、耕耘カバー体5のカバー本体板部36の左右方向端部に切欠き形成した切欠部42で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が土落し作業を容易に行うことができる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体(作業ロータ)と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体(エプロン)と、耕耘体の上方部を覆う耕耘カバー体(シールドカバー)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−116703号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば耕耘整地作業時に耕耘体からの土が耕耘カバー体等に付着するため、耕耘整地作業の終了後等において、作業者は、その耕耘カバー体等に付着した土を落す土落し作業を行うが、このとき、例えば耕耘カバー体の左右方向中央側の土は落しやすいが、耕耘カバー体の左右方向両端側の土は圧縮されて固く締まっているために落しにくく、土落し作業に手間取るような場合がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業者が土落し作業を容易に行うことができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記耕耘体の上方部を覆う耕耘カバー体と、この耕耘カバー体および前記整地体の少なくともいずれか一方における左右方向両端側にそれぞれ形成された隙間とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、隙間を開閉可能に覆う隙間カバー体を備えるものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項2記載の農作業機において、隙間カバー体は、弾性変形可能な弾性部材にて構成されているものである。
【0010】
請求項4記載の農作業機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機において、隙間は、前後方向長手状に形成されているものである。
【0011】
請求項5記載の農作業機は、請求項4記載の農作業機において、耕耘カバー体は、カバー側板部を有し、隙間が前記カバー側板部の内面に臨んで位置するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば棒等の挿入部材を隙間に挿入した場合にはその挿入部材で土を落すことができるため、作業者が土落し作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の平面図である。
【図2】同上農作業機の側面図である。
【図3】(a)は同上農作業機の部分平面図であり、(b)は耕耘カバー体の側面図である。
【図4】同上農作業機の作用説明図である。
【図5】カバー側板部が大きい場合の作用説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の部分平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の部分平面図である。
【図8】(a)は本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の部分平面図であり、(b)は弾性板の平面図である。
【図9】(a)は同上農作業機の耕耘カバー体の分解側面図であり、(b)は耕耘カバー体の側面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の部分平面図である。
【図11】同上農作業機の部分側面図である。
【図12】(a)は本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の部分平面図であり、(b)は部分背面図である。
【図13】同上農作業機の部分側面図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【図15】同上農作業機の部分平面図である。
【図16】同上農作業機の部分断面図である。
【図17】同上農作業機の部分断面図である。
【図18】同上農作業機の部分断面図である。
【図19】同上農作業機の部分断面図である。
【図20】(a)は本発明の第8の実施の形態に係る農作業機の概略正面図であり、(b)は耕耘カバー体の部分平面図である。
【図21】(a)は本発明の第9の実施の形態に係る農作業機の整地体の平面図であり、(b)は整地体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1および図2において、1は農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、トラクタの走行により圃場を前方(図2上、左方向)に移動しながら耕耘整地作業等をするロータリー耕耘機である。
【0016】
農作業機1は、図1および図2に示されるように、トラクタの後部の3点リンクヒッチ部(作業機昇降支持部)に脱着可能に連結される作業機本体2と、この作業機本体2に回転可能に設けられ回転しながら耕耘作業をする耕耘体3と、この耕耘体3の後方部を覆うとともにこの耕耘体3の後方で整地作業をする板状の整地体4と、作業機本体2に固定的に設けられ耕耘体3の上方部を覆う板状の耕耘カバー体5とを備えている。
【0017】
作業機本体2は、左右方向長手状のフレームパイプ部11を有している。フレームパイプ部11には、このフレームパイプ部11より前方に位置する左右方向長手状のヒッチパイプ部12が連結板部13,14を介して連結されている。ヒッチパイプ部12にはゲージ輪ホルダー部15が設けられ、このゲージ輪ホルダー部15にはゲージ輪(図示せず)が取り付けられている。
【0018】
フレームパイプ部11の左右方向中央部には、トラクタのPTO軸側からの動力を入力する入力軸16が回転可能に設けられている。入力軸16には、この入力軸16からの動力を耕耘体3まで伝達する動力伝達手段(図示せず)が接続されている。動力伝達手段は、例えばギア、シャフト、スプロケットおよびチェーン等にて構成されている。なお、フレームパイプ部11の左右方向中央部には、マスト17が立設されている。
【0019】
フレームパイプ部11の左右方向一端部である左端部には、耕耘体支持部であるチェーンケース部(伝動ケース部)21の上部が固着されている。チェーンケース部21は、フレームパイプ部11の左端部に固着された鉛直板状の板状部材22と、この板状部材22に固着されたカバー部材23とにて構成されている。そして、板状部材22とカバー部材23との間には、図示しない動力伝達手段のチェーンおよびスプロケットが回転可能に収納されている。
【0020】
フレームパイプ部11の左右方向他端部である右端部には、耕耘体支持部であるブラケット部26の上部が固着されている。ブラケット部26は、フレームパイプ部11の右端部に固着された鉛直板状の板状部材27のみで構成されている。
【0021】
なお、図2に示されるように、チェーンケース部21およびブラケット部26の各々の後端部には、耕耘体3の側方部を覆う後ろ側板30が固着されている。
【0022】
耕耘体3は、図2に示されるように、左側のチェーンケース部21の下部と右側のブラケット部26の下部とに回転可能に架設され動力伝達手段からの動力で所定方向(例えば図2に示す矢印方向)に回転する左右方向長手状の耕耘軸31を有している。そして、耕耘軸31の互いに間隔をおいて左右方向に並ぶ複数箇所には、この耕耘軸31とともに回転しながら耕耘作業をする耕耘爪32が取り付けられている。
【0023】
耕耘カバー体5は、図1および図2に示されるように、左側のチェーンケース部21の上下方向中間部である上下方向略中央部と右側のブラケット部26の上下方向中間部である上下方向略中央部とに固定的に架設されている。つまり、耕耘カバー体5は、チェーンケース部21の板状部材22とブラケット部26の板状部材27との間に固設されている。
【0024】
ここで、耕耘カバー体5は、図3(a)および(b)にも示されるように、耕耘体3の上方部を覆う上方に凸の略湾曲板状で左右方向長手状の金属製のカバー本体板部36と、このカバー本体板部36の左右方向両端部にこのカバー本体板部36と直交するように鉛直状にそれぞれ固設された前後方向長手状の金属製のカバー側板部37とを有している。
【0025】
なお、左右のカバー側板部37は互いに同じ形状のもので、両カバー側板部37のうち左側のカバー側板部37がチェーンケース部21の板状部材22の内面(耕耘体支持部内面)にこの内面と一部が重なり合うように取付ボルト38にて固着され、両カバー側板部37のうち右側のカバー側板部37がブラケット部26の板状部材27の内面(耕耘体支持部内面)にこの内面と一部が重なり合うように取付ボルト38にて固着されている。
【0026】
そして、耕耘カバー体5のカバー本体板部36における左右方向両端側には、作業者(図示せず)が土落し作業を行う際に棒等の挿入部材(図4および図5参照)40を挿入する平面視で前後方向長手状の隙間である土落し用隙間(土落し用空間部)41がそのカバー本体板部36の上下面に貫通してそれぞれ形成されている。なお、左右のスリット状の土落し用隙間41は互いに同じ形状に形成されている。土落し用隙間41の幅寸法(左右方向長さ寸法)Hは、例えば1cm〜10cmで、好ましくは例えば3cmである。
【0027】
各土落し用隙間41は、例えばカバー本体板部36の左右方向端部にその端縁から切欠き形成された前後方向長手状の1つの切欠部42にて構成されている。このため、土落し用隙間41が、カバー側板部37の内面に臨んで位置している。また、切欠部42の前端部はカバー本体板部36の前端近傍に位置し、切欠部42の後端部はカバー本体板部36の後端近傍に位置しており、土落し用隙間41はカバー本体板部36の前後方向略全長にわたって形成されている。なお、図1および図3等において、斜線を施した部分が土落し用隙間41である。
【0028】
また、カバー本体板部36は、後端側に整地体取付部分44を有し、この整地体取付部分44には複数の取付用孔45が形成されている。そして、取付用孔45に取り付けられた取付具である蝶番46を介して、整地体4が耕耘カバー体5のカバー本体板部36の後端部に左右方向の軸47を中心として上下方向に回動可能に取り付けられている。つまり、整地体4は、耕耘カバー体5に対して軸47を中心として上下方向に回動可能となっている。
【0029】
整地体4は、図1および図2に示されるように、耕耘カバー体5のカバー本体板部36の後端部に左右方向の軸47を中心として上下方向に回動可能に取り付けられ耕耘体3の後方で整地作業をする整地板(均平板)51と、この整地板51の左右方向両端部にそれぞれ折り畳み可能に設けられた延長整地板(延長均平板)52とを有している。
【0030】
整地板51は、耕耘体3の後方部を覆うとともにこの耕耘体3の後方で整地作業をする略湾曲板状で左右方向長手状の整地本体板部56と、この整地本体板部56の左右方向両端部にこの整地本体板部56と直交するように鉛直状にそれぞれ固設された上下方向長手状の整地側板部57とを有している。
【0031】
なお、作業機本体2の連結部58と整地体4の吊り板部59とが接地圧調整機構54にて連結され、この接地圧調整機構54にて圃場面に対する整地体4の接地圧が調整可能となっている。
【0032】
次に、農作業機1の作用等を説明する。
【0033】
農作業機1を後部に連結したトラクタの前進走行により、農作業機1が前方に移動すると、耕耘体3が回転しながら耕耘作業をし、その後方で、整地体4が整地作業をする。
【0034】
そして、この耕耘整地作業時に、回転する耕耘体3の耕耘爪32にて耕耘されて跳ね上げられた土が、耕耘体3とそれぞれ対向する整地体4、耕耘カバー体5、チェーンケース部21およびブラケット部26等に付着する。
【0035】
このため、例えば耕耘整地作業の終了後等において、作業者は、その付着した土を落す土落し作業を行う。
【0036】
この土落し作業の際、作業者は、図4に示すように、細長い棒等の挿入部材40を耕耘カバー体5の上方から土落し用隙間41に挿入し、この挿入部材40の先端部にてその付着した土を落して除去する。
【0037】
ここで図4に示されるように、耕耘体3にて跳ね上げられた土は、土落し用隙間41を閉じるように、水平状のカバー本体板部36と鉛直状のカバー側板部37および板状部材22,27との間に付着する。つまり、耕耘カバー体5の左右方向両端側のそれぞれの角部分では、土が圧縮されて固く締まった状態となって付着し、この固く付着した土によって土落し用隙間41が閉鎖される。なお、付着する土の量は、土落し用隙間41がない場合とほとんど変わらない。
【0038】
そして、作業者は、挿入部材40を土落し用隙間41に挿入することにより、耕耘カバー体5の左右方向両端側に固く付着した土であっても、その付着土を突き崩して落すことが可能である。なお、圃場の土質によっては、土落し用隙間41の存在により付着土が固くなりにくく、この場合には、耕耘カバー体5の下方側からでも付着土を落しやすい。
【0039】
なお、図5は、耕耘カバー体5のカバー側板部37が図4のものに比べて大きい場合の作用説明図であるが、この場合でも、作業者は、挿入部材40を土落し用隙間41に挿入することにより、水平状のカバー本体板部36と鉛直状のカバー側板部37との間に固く付着した付着土を突き崩して落すことが可能である。
【0040】
そして、農作業機1によれば、耕耘カバー体5の左右方向両端側にそれぞれ形成された土落し用隙間41を備えていることから、例えば棒等の挿入部材40を土落し用隙間41に上方から挿入して土を落すことができるため、作業者が土落し作業を容易に行うことができる。
【0041】
次に、図6には、本発明の第2の実施の形態が示されている。
【0042】
図6に示されるように、各土落し用隙間41は、カバー本体板部36の左右方向端部にその端縁から切欠き形成され前後方向に間隔をおいて並ぶ複数、すなわち例えば2つの前後方向長手状の切欠部61,62にて構成されたものでもよい。なお、例えば3つ或いは4つ以上の切欠部にて構成してもよい。
【0043】
次に、図7には、本発明の第3の実施の形態が示されている。
【0044】
図7に示されるように、各土落し用隙間41は、カバー本体板部36の左右方向端縁近傍に形成された前後方向長手状の1つの孔部63にて構成されたものでもよい。この場合、土落し用隙間41がカバー側板部37から内方へ若干離れて位置し、スリット状の孔部63とカバー側板部37との間にカバー本体板部36の一部である前後方向に細長い板部36aが存在する。なお、例えば前後方向に間隔をおいて並ぶ複数の孔部にて構成してもよい。孔部の形状は、例えば矩形状のほか、楕円状や円形状等でもよい。
【0045】
次に、図8および図9には、本発明の第4の実施の形態が示されている。
【0046】
この第4の実施の形態の耕耘カバー体5は、前記実施の形態と同様、カバー本体板部36および左右のカバー側板部37を有するが、図8および図9に示すカバー本体板部36は、前記各実施の形態と異なり、弾性変形可能な弾性板70を有したものである。
【0047】
図8および図9に示されるように、このカバー本体板部36は、両カバー側板部37の前端部同士を連結する左右方向長手状の金属製の前フレーム71と、両カバー側板部37の後端部同士を連結する左右方向長手状の金属製の後フレーム72と、これら前後フレーム71,72に取り付けられ耕耘体3の上方部を覆うゴム製の弾性板(ゴムカバー)70と、この弾性板70の下面を下方から部分的に支持する複数本の前後方向長手状の金属製の支持板73とを有している。
【0048】
なお、弾性板70の前端部は前フレーム71に対して前後方向に移動可能となっており、弾性板70の後端部は後フレーム72に対して前後方向に移動可能となっている。
【0049】
前フレーム71は、左右方向長手状で断面略矩形状の筒状部75を有し、この筒状部75の互いに間隔をおいて左右方向に並ぶ複数箇所には、略円筒状の被取付部分である雌ねじ部74が固設されている。
【0050】
後フレーム72は、複数箇所で折り曲げられた左右方向長手状の整地体取付部分44を有し、この整地体取付部分44の互いに間隔をおいて左右方向に並ぶ複数箇所に取付用孔45が形成されている。そして、取付用孔45に取り付けられた蝶番46を介して、整地体4がカバー本体板部36の後端部に上下方向に回動可能に取り付けられる。また、後フレーム72には、取付孔部69が形成されている。
【0051】
弾性板70は、平面視で左右方向長手状の略矩形板状をなすものであり、この弾性板70の前端部の互いに間隔をおいて左右方向に並ぶ複数箇所には、前後方向長手状の前長孔部76が形成されている。弾性板70の後端部の互いに間隔をおいて左右方向に並ぶ複数箇所には、前長孔部76に対応するように前後方向長手状の後長孔部77が形成されている。
【0052】
支持板73の前後端部には、略正方形状の前取付孔部78および後取付孔部79が形成されている。そして、支持板73の前端部は、前フレーム71の雌ねじ部74にボルト80にて取り付けられている。つまり、前フレーム71の雌ねじ部74の下端部が弾性板70の前長孔部76にこの前長孔部76に沿って移動可能に遊挿され、この遊挿された雌ねじ部74にボルト80が螺合されている。
【0053】
また、支持板73の後端部は、後取付孔部79、カラー66、後長孔部77および取付孔部69に挿通したボルト81とこのボルト81に螺合されたナット82とによって後フレーム72に弾性板70の後端部を介して取り付けられ、その結果、弾性板70の後端部が後フレーム72に対して前後方向に移動可能となっている。なお、弾性板70の下面は複数の支持板73にて部分的に覆われており、弾性板70の上面は前端部が前フレーム71にて覆われかつ後端部が後フレーム72にて覆われ、弾性板70の上面のうち前後端部を除く部分が、上方に向って露出した露出部分70aとなっている。
【0054】
そして、耕耘カバー体5の左右方向両端側にそれぞれ形成された前後方向長手状の各土落し用隙間41は、弾性板70の側端部とカバー側板部37と前フレーム71の左右方向端部と後フレーム72の左右方向端部とにて囲まれた1つの空間部83にて構成されている。つまり、弾性板70の左右方向長さ寸法は、互いに離間対向する左右のカバー側板部37間の距離よりも小さく、その結果、弾性板70の左右方向端縁とカバー側板部37の内面との間にスリット状の土落し用隙間41が形成されている。このため、土落し用隙間41がカバー側板部37の内面に臨んで位置している。
【0055】
そして、図8および図9に示す第4の実施の形態に係る農作業機1でも、前記実施の形態と同様、例えば棒等の挿入部材40を土落し用隙間41に上方から挿入して土を落すことができるため、作業者が土落し作業を容易に行うことができる。なお、例えばカバー本体板部36の弾性板70の左右方向端部に切欠部や孔部を形成して土落し用隙間41を設けるようにしてもよい。
【0056】
次に、図10および図11には、本発明の第5の実施の形態が示されている。
【0057】
この第5の実施の形態の耕耘カバー体5は、第4の実施の形態とは異なり、左右のカバー側板部37を有していない。このため、カバー本体板部36の前フレーム71がヒッチパイプ部12に固着され、カバー本体板部36の後フレーム72が後ろ側板30に固着されている。
【0058】
また、耕耘カバー体5の左右方向両端側にそれぞれ形成された前後方向長手状の各土落し用隙間41は、弾性板70の側端部と板状部材22,27と後ろ側板30と後フレーム72の左右方向端部とにて囲まれた前方開口状の1つの空間部85にて構成されている。そして、この第5の実施の形態に係る農作業機1でも、同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
次に、図12および図13には、本発明の第6の実施の形態が示されている。
【0060】
この第6の実施の形態の耕耘カバー体5は、第5の実施の形態と同様、左右のカバー側板部37を有していない。また、この耕耘カバー体5のカバー本体板部36は、第5の実施の形態とは異なり、ほとんど弾性変形しない鉄等の金属板86のみからなるものである。
【0061】
金属板86は、例えば上方に凸の略湾曲板状で左右方向長手状に形成されたもので、フレームパイプ部11に固設された連結板部13に取付手段87を介して固定的に取り付けられている。取付手段87は、金属板86に上面に固着された当て板88と、この当て板88に立設された取付板89と、この取付板89を連結板部13に取り付ける取付具であるボルト90およびナット91とを有している。
【0062】
また、金属板86のみからなる耕耘カバー体5の左右方向両端側にそれぞれ形成された前後方向長手状の各土落し用隙間41は、金属板86の側端部と板状部材22,27と後ろ側板30とにて囲まれた前後方開口状の1つの空間部92にて構成されている。そして、この第6の実施の形態に係る農作業機1でも、同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
次に、図14ないし図19には、本発明の第7の実施の形態が示されている。
【0064】
この第7の実施の形態に係る農作業機1は、土落し用隙間41の全体を開閉可能に覆う補助カバー等の隙間カバー体101を備えている。
【0065】
隙間カバー体101は、例えば土落し用隙間41より一回り大きな前後方向長手状で矩形板状の弾性変形可能なゴム板等の弾性部材102にて構成されている。弾性部材102は、弾性変形する前の状態では、土落し用隙間41に沿って位置する平板状である。弾性部材102の幅方向内端部が取付具であるボルト103およびナット104にてカバー本体板部36の上面に固定的に取り付けられ、弾性部材102の幅方向外端部が自由端部105となっている。
【0066】
隙間カバー体101である弾性部材102の幅寸法(左右方向長さ寸法)は、例えば弾性部材102が弾性変形することなく、自由端部105がカバー側板部37の内面に当接する値に設定されている(図15および図16参照)。
【0067】
なお、弾性部材102の幅寸法は、例えば弾性部材102の曲げ弾性変形により上方へ湾曲した自由端部105がカバー側板部37の内面に面状に当接する値に設定してもよい(図19参照)。また例えば図示しないが、弾性部材102の曲げ弾性変形により下方へ湾曲した自由端部105がカバー側板部37の内面に面状に当接するようにしてもよい。
【0068】
そして、図16に示すように、耕耘体3からの土が耕耘カバー体5の左右方向両端側のそれぞれの角部分に付着した場合において、作業者は、隙間カバー体101である弾性部材102を弾性変形により捲り上げて土落し用隙間41を開口させた後、棒等の挿入部材40をその開口した土落し用隙間41に挿入してその付着土を突き崩して落すことが可能である(図17参照)。
【0069】
また、作業者は、挿入部材40にて弾性部材102を押し下げて土落し用隙間41内へ弾性変形させるように、その挿入部材40を弾性部材102とともに土落し用隙間41に挿入してその付着土を突き崩して落すことも可能である(図18参照)。
【0070】
そして、この第7の実施の形態に係る農作業機1によれば、棒等の挿入部材40を土落し用隙間41に上方から挿入して土を落すことができるため、作業者が土落し作業を容易に行うことができるという効果に加え、次の効果を奏することができる。
【0071】
すなわち、土落し用隙間41を開閉可能に覆う隙間カバー体101を備えるため、耕耘整地作業時に、耕耘体3にて跳ね上げられた土が土落し用隙間41を通って上方へ飛散することを防止でき、よって例えばカバー本体板部36の上面が汚れにくく、土落し作業がより一層容易となる。
【0072】
また、隙間カバー体101は弾性変形可能な弾性部材102にて構成されているため、弾性部材102の弾性変形により土落し用隙間41を容易に開口させることができ、しかも、弾性部材102は、弾性復元力によりもとの平板状に復帰するため、その弾性部材102にて土落し用隙間41を容易に閉鎖することができる。
【0073】
さらに、土落し用隙間41を隙間カバー体101で覆うため、例えば土落し用隙間41を図示したものよりも大きく形成することもできる。
【0074】
なお、この第7の実施の形態は、第1の実施の形態において隙間カバー体101を設けた構成であるが、例えば図示しないが、前記他の実施の形態において隙間カバー体101を設けることも可能である。
【0075】
また、前記各実施の形態では、作業機本体2が左側にチェーンケース部21を有するサイドドライブ式の構成について説明したが、例えば図20(a)および(b)に示す第8の実施の形態のように、作業機本体2が左右方向中央部にチェーンケース部110を有するセンタードライブ式の構成でもよい。
【0076】
さらに、前記各実施の形態では、土落し用隙間41が耕耘カバー体5および整地体4のうち耕耘カバー体5のみにおける左右方向両端側にそれぞれ形成された構成について説明したが、例えば図21(a)および(b)に示す第9の実施の形態のように、前後方向長手状の隙間である土落し用隙間111を整地体4の左右方向両端側にそれぞれ形成するようにしてもよい。
【0077】
すなわち例えば耕耘カバー体5および整地体4のうち整地体4のみにおける左右方向両端側にそれぞれ形成された土落し用隙間111を備えた構成でもよく、また耕耘カバー体5および整地体4の両方における左右方向両端側にそれぞれ形成された土落し用隙間41,111を備えた構成でもよい。
【0078】
なお、整地体4の土落し用隙間111は、例えば整地本体板部56の左右方向端部にその端縁から切欠き形成された前後方向長手状の1つの切欠部112にて構成されている。このため、土落し用隙間111が、整地側板部57の内面に臨んで位置している。
【0079】
また、耕耘カバー体5の土落し用隙間41と同じように、整地体4の土落し用隙間111についても、ゴム板等の弾性部材102からなる隙間カバー体101によって、その土落し用隙間111の全体を開閉可能に覆うようにしてもよいが(図21参照)、必ずしも隙間カバー体101で覆う必要はない。
【0080】
なお、例えば隙間カバー体101を金属板で構成し、この金属板をカバー本体板部36上に左右方向にスライド可能に設けるようにしてもよい。
【0081】
また、上述した本発明の実施形態の構成に関して、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜置き換えたり組合せたりしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 農作業機
3 耕耘体
4 整地体
5 耕耘カバー体
41,111 隙間である土落し用隙間
101 隙間カバー体
102 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記耕耘体の上方部を覆う耕耘カバー体と、
この耕耘カバー体および前記整地体の少なくともいずれか一方における左右方向両端側にそれぞれ形成された隙間と
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
隙間を開閉可能に覆う隙間カバー体を備える
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
隙間カバー体は、弾性変形可能な弾性部材にて構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項4】
隙間は、前後方向長手状に形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
耕耘カバー体は、カバー側板部を有し、
隙間が前記カバー側板部の内面に臨んで位置する
ことを特徴とする請求項4記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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