説明

農用車輪

【課題】スポークが変形しにくい農用車輪を提供する。
【解決手段】円環状のリム4と、一端がリムに接続され他端がリムの内側に向けて延びた複数本のスポーク5と、リムの内側においてスポークの他端を接続するボス8と、を有し、スポークは、ボスの中心軸に直交する面に対して傾斜するオフセット部12と、オフセット部に鈍角を形成して連続する延長部13と、を有し、スポークにおけるリムに接続された一端とボスに接続された他端とがボスの軸方向においてずれた位置となるように構成され、オフセット部および延長部における鈍角が形成された側の鈍角形成部分にリブ状の補強板7が固着されている農用車輪。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理機、田植機等の農用機械に装着される農用車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
管理機、田植機等の農用機械では、本機取り回し上、農用車輪がオフセットして(リムの中心と車軸への取り付け部分とが車軸方向について異なって)取り付けられる構造となっている場合が多い。
このような農用機械に取り付けられるように形成されたスポークタイプの農用車輪は、スポークが、オフセットの距離の大きさに対応可能なように、ボスとリムとの間で略S字状に曲げられている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−159902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
略S字状に曲げられた農用車輪におけるスポークは、農用機械に装着されたときに農用機械の荷重によってスポークの曲げ部分に応力が集中して変形しやすく、農用車輪としての機能を損なうおそれがある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、スポークが変形しにくい農用車輪を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る農用車輪は、円環状のリムと、一端が前記リムに接続され他端が前記リムの内側に向けて延びた複数本のスポークと、前記リムの内側において前記スポークの前記他端を接続するボスと、を有し、前記スポークは、前記ボスの中心軸に直交する面に対して傾斜するオフセット部と、前記オフセット部に鈍角を形成して連続する延長部と、を有し、前記スポークにおける前記リムに接続された前記一端と前記ボスに接続された前記他端とが前記ボスの軸方向においてずれた位置となるように構成され、前記オフセット部および前記延長部における前記鈍角が形成された側の前記鈍角形成部分にリブ状の補強板が固着されている。
【0005】
前記スポークは、前記オフセット部および前記延長部のいずれかまたはいずれも複数有して前記補強板を2つ以上備えており、径方向に隣り合う前記補強板が、径方向外方からみたときに、軸方向において一部が重複するように形成されていてもよい。
前記農用車輪は、前記ボスおよび前記スポークが接続された部分における前記スポークの前記一端が位置する側に、リブ状の第2の補強板が固着されていてもよい。
前記農用車輪は、前記補強板におけるいずれにも固着されない開放された端縁が外方に凸状の形状であるであるのが好ましい。
【0006】
本発明に係る他の農用車輪は、記リムに接続され他端が前記リムの内側に向けて延びた複数本のスポークと、前記リムの内側において前記スポークの前記他端を接続するボスと、を有し、前記スポークは、前記ボスの周面に対して鋭角を形成して前記ボスに接続されたオフセット部を有し、前記スポークにおける前記リムに接続された前記一端と前記ボスに接続された前記オフセット部の端とが前記ボスの軸方向においてずれた位置となるように構成され、前記ボスおよび前記オフセット部における前記鋭角が形成された側の当該鋭角形成部分にリブ状の第2の補強板が固着されている。
【0007】
なお、「前記オフセット部の端」とは「前記スポークの前記他端」のことである。
前記農用車輪は、前記第2の補強板におけるいずれにも固着されない開放された端縁が外方に凸状の形状であるのが好ましい。
好ましくは、農用車輪は、隣り合う前記スポークに固着されて隣り合う前記スポークを連結する連結板を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、スポークが変形しにくい農用車輪を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は農用車輪1の正面図、図2は図1におけるA−A矢視断面図である。
以下の説明において、農用車輪1の半径方向を半径方向または径方向、農用車輪1が回転する方向を周方向、および農用車輪1の回転中心が延びる方向を軸方向または幅方向という。
農用車輪1は、軟弱地盤を走行する田植機等の農用機械に装着されるオフセットされたスポークタイプの農用車輪であり、鉄車2および弾性輪体3からなる。
鉄車2は、リム4、3本のスポーク5,5,5、連結板6および補強板7,7,7等からなる。
【0010】
リム4は、金属製の管が円環状に曲げられ、両端が溶接等により接続されたものである。リム4は、金属製の板が所定の形状にプレスされて円環状に曲げられ、両端が溶接等により接続されたものであってもよい。
スポーク5は、金属製の管で形成される。スポーク5,5,5は、農用車輪1の回転中心から放射状にそれぞれ120度間隔で、いずれも一端がリム4の内周側に溶接等で接続され、他端がボス8に溶接等により固定されている。各スポーク5は、リム4に接続された一端側でリム4の中心に向けて伸びる外端部11、その後軸方向に傾斜して伸びるオフセット部12、およびオフセット部12に連続し傾斜が解消されて外端部11に平行にボス8にまで伸びる内端部13からなる。つまり、スポーク5は、外端部11とオフセット部12とが、およびオフセット部12と内端部13とがそれぞれ同じ大きさの鈍角を形成して連続し、外端部11と内端部13とが平行となるように形成されて、全体として略S字状となっている。
【0011】
連結板6は、正三角形の各頂角を取り除いたような各3つの長い辺および短い辺を有する金属製の六角形の厚板で形成される。連結板6は、各短い辺を通って連結板6の中心に伸びた、断面が半円形のスポーク嵌入溝14,14,14を備えている。スポーク嵌入溝14の内面の曲率半径は、スポーク5の外周の曲率半径(半径)に略等しい。また、連結板6には、六角形の中心にボス8を貫通させるための孔が設けられている。連結板6は、それぞれのスポーク嵌入溝14,14,14に嵌め入れられたスポーク5,5,5および孔を貫通するボス8に、溶接により一体化されている。
【0012】
補強板7は、金属製の厚板で形成され、図2に示されるように、全体として鈍角三角形の斜辺(最長の辺)に該当する端縁が外方に凸状に湾曲した形状を有する。補強板7は、農用車輪1の回転中心(ボス8の中心軸でもある)およびスポーク5の軸心をともに含む平面上であって、スポーク5のオフセット部12の径方向中央近傍から内端部13の径方向中央近傍までの、農用車輪1におけるオフセットされた側の外周に、溶接により固定されている。
ここで「オフセット」とは、例えば、環状に形成されたリム4の円中心と農用機械の車軸への取り付け部分とが軸方向について異なることをいい、スポーク5,5,5におけるリム4に接続された一端とボス8に接続された他端とが軸方向について異なる位置になることをいう。
【0013】
ここで、「オフセットされた側」とは、農用車輪1がプラスオフセットされている場合イン側をいい、マイナスオフセットされている場合アウト側をいう。
農用車輪1は、オフセット部12により、オフセットさせて農用機械に装着可能となっている。
弾性輪体3は、リム4にゴム等の弾性材料を被覆して焼き付け(加硫接着)することにより形成され、略円環状の形状を有する。弾性輪体3は、周方向に等間隔に複数のラグ15,…,15を備える。
【0014】
農用車輪1は、スポーク5が隣り合うスポーク5,5と内端部13で連結板6により連結されているために、農用機械の荷重によってスポーク5に加わる周方向の曲げモーメントによる変形(曲がり)が防止される。また、連結板6は、スポーク5の径方向の曲がりに対しても一定の予防効果を得ることができる。
オフセットして装着されるスポークタイプの農用車輪は、農用機械の荷重によって半径方向に加わる圧縮力または軸方向に加わる曲げモーメントにより、スポークに座屈による変形または曲げによる変形が生じ易い。しかし、農用車輪1ではオフセット部12と内端部13とが連続する部分のオフセット側に補強板7が一体化されていることにより、オフセット部12および内端部13における座屈による変形および曲げモーメントによる変形が防止される。
【0015】
なお、補強板7は、その鈍角三角形の斜辺に該当する端縁を外方に凸状に湾曲した形状とすることにより、スポーク5の対座屈強度を高めることができる。
図3は他の農用車輪1Bにおける回転中心およびスポーク5の軸心を含む断面の図である。
農用車輪1Bは、農用車輪1と異なり、補強板7Bがスポーク5におけるオフセット部12の径方向の略全長および内端部13の径方向の略全長の、オフセットされた側の外周に、溶接により固定されている。また、補強板7Bは、オフセットされた側のボス8の外周まで達してボス8にも溶接により固定されている。
【0016】
農用車輪1Bは、補強板7Bの構成を除き農用車輪1と同一の構成を有する。図3において農用車輪1と同一の部分については農用車輪1と同一の符合を付し、その説明を省略する。
農用車輪1Bは、補強板7Bがスポーク5の径方向における広い範囲に設けられ、かつ補強板7Bがボス8にも固着されていることから、農用車輪1に比べて、径方向の圧縮力による座屈による変形および曲げモーメントによるスポーク5,5,5の変形が一層生じ難い。
【0017】
図4は他の農用車輪1Cにおける回転中心およびスポーク5の軸心を含む断面の図である。
農用車輪1Cは、スポーク5の外端部11とオフセット部12とが第2補強板16Cにより補強されている点で農用車輪1と異なる。
第2補強板16Cは、金属製の厚板で形成され、補強板7と同様に、全体として鈍角三角形の形状を有し、その斜辺(最長の辺)に該当する端縁が外方に凸状に湾曲している。第2補強板16Cは、補強板7と同一平面上であって、スポーク5の外端部11の径方向中央近傍からオフセット部12の径方向中央近傍までの、オフセットされた側と反対側の外周に、溶接により固定されている。また、第2補強板16Cと補強板7とは、径方向外方からみたときに、軸方向において一部が重複する。
【0018】
農用車輪1Cは、第2補強板16Cが設けられている点を除き農用車輪1と同一の構成を有する。図4において農用車輪1と同一の部分については農用車輪1と同一の符合を付し、その説明を省略する。
農用車輪1Cは、補強板7によるオフセット部12および内端部13における座屈による変形および曲げモーメントによる変形の防止に加え、第2補強板16Cを備えることにより、外端部11およびオフセット部12における座屈による変形および曲げモーメントによる変形が防止される。
【0019】
農用車輪1Cにおける補強板7を、農用車輪1Bにおける補強板7Bのように、内端部13径方向の略全長の外周を補強し、ボス8にまで拡げてボス8に固着されるように構成してもよい。また、第2補強板16Cを、オフセット部12径方向の略全長の外周を補強するように構成してもよい。
図5は他の農用車輪1Dにおける回転中心およびスポーク5Dの軸心を含む断面の図である。
農用車輪1Dにおける鉄車2は、リム4、3本のスポーク5D、および補強板7D等からなる。
【0020】
鉄車2およびリム4は、農用車輪1における鉄車2およびリム4と同一である。
スポーク5Dは、スポーク5と同様に金属製の管で形成される。また、スポーク5Dは、農用車輪1Dの回転中心から放射状にそれぞれ120度間隔で、いずれも一端がリム4の内周側に溶接等で接続され、他端がボス8に溶接等により固定されている。
各スポーク5Dは、リム4に接続され径方向に対して傾斜して回転中心に向けて伸びる第1オフセット部21D、第1オフセット部21Dに連続し軸方向に直交して回転中心に向けて伸びる中央部22D、および中央部22Dに連続し第1オフセット部21Dと略同一角度で径方向に対して傾斜してボス8に接続される第2オフセット部23Dからなる。スポーク5Dは、第1オフセット部21Dと中央部22Dとが、および中央部22Dと第2オフセット部23Dとが鈍角を形成して連続し、第2オフセット部23Dは径方向に対して傾斜してオフセットされた側でボス8の母線と鋭角を形成してボス8に溶接により固定されている。スポーク5Dは、スポーク5とは異なった態様で、全体として略S字状となっている。
【0021】
農用車輪1Dは、第1オフセット部21Dおよび第2オフセット部23Dにより、オフセットさせて農用機械に装着可能となっている。
補強板7Dは、補強板7と同様に金属製の厚板で形成され、図5に示されるように、全体として略三角形の形状を有する。補強板7Dは、農用車輪1の回転中心およびスポーク5Dの軸心をともに含む平面上で、スポーク5Dの第2オフセット部23Dおよびボス8におけるオフセットされた側のそれぞれの外周に、溶接により固定されている。
補強板7Dは、農用機械の荷重等によりスポーク5Dに対して径方向に加えられる圧縮力により、第2オフセット部23Dの傾斜が増加してスポーク5Dに曲げ変形(座屈変形)が生ずるのを防止する。
【0022】
農用車輪1Dにおいて、補強板7Dのオフセットされた側の端縁は、図5に示されるように凹状に湾曲している。しかし、取り付け対象の農用機械の構造上の制約がなければ、補強板7Dのオフセットされた側の端縁を凸状に湾曲させることにより、一層曲げ変形(座屈変形)に対する抵抗力が増加する。
図6はオフセットされた側の端縁を凸状に湾曲させた補強板7Eを備えた農用車輪1Eにおける回転中心およびスポーク5Dの軸心を含む断面の図である。
農用車輪1Eにおける農用車輪1Dと同じ構成を有する部分については、図6において図5と同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0023】
農用車輪1Eは、第1オフセット部21Dと中央部22Dとの間、および中央部22Dと第2オフセット部23Dとの間を補強するための第3補強板24Eおよび第4補強板25Eを備えている。
第3補強板24Eおよび第4補強板25Eは、いずれも金属製の厚板で形成される。また、第3補強板24Eおよび第4補強板25Eは、いずれも全体として鈍角三角形の斜辺(最長の辺)に該当する端縁が外方に凸状に湾曲した形状を有する。第3補強板24Eおよび第4補強板25Eは、農用車輪1Eの回転中心およびスポーク5Dの軸心をともに含む平面上に設けられている。
【0024】
第3補強板24Eは、第1オフセット部21Dの径方向中央近傍から中央部22Dの径方向中央近傍までの、農用車輪1Eにおけるオフセットされた側の外周に、溶接により固定されている。第4補強板25Eは、中央部22Dの径方向中央近傍から第2オフセット部23Dの径方向中央近傍までの、オフセットされた側とは反対側の外周に、溶接により固定されている。
第3補強板24Eは、スポーク5Dに対して径方向に加えられる圧縮力により、第1オフセット部21Dおよび中央部22Dに曲げ変形(座屈変形)が生ずるのを防止する。また、第4補強板25Eは、スポーク5Dに対して径方向に加えられる圧縮力により、中央部22Dおよび第2オフセット部23Dに曲げ変形(座屈変形)が生ずるのを防止する。
【0025】
農用車輪1Eにおいて、補強板7Eを農用車輪1Dにおける補強板7Dのように形成しても良い。農用車輪を、農用車輪1Eにおける補強板7E、第3補強板24Eおよび第4補強板25Eのいずれか1つまたはいずれか2つを欠くものとしてもよい。その場合、補強板7E、第3補強板24Eおよび第4補強板25Eのうちの欠けたものが有する機能が欠落することになるが、そのような場合でも、これらのいずれも有しない農用車輪に比べて、スポーク5Dの曲げ変形(座屈変形)が生じにくい農用車輪を実現することができる。
【0026】
農用車輪1Dおよび農用車輪1Eに、農用車輪1に設けられたような連結板6を備えさせることができる。連結板6を備えた農用車輪1Dおよび農用車輪1Eは、いずれも農用機械の荷重によってスポーク5Dに加わる周方向の曲げモーメントによる変形(曲がり)が防止される。また、連結板6は、スポーク5Dの径方向の曲がりに対しても一定の予防効果が得られる。
図7は他の農用車輪1Fにおける回転中心およびスポーク5Fの軸心を含む断面の図である。
【0027】
農用車輪1Fにおける鉄車2Fは、リム4、3本のスポーク5F、連結板6F、補強板7F、および第2補強板16C等からなる。
農用車輪1Fにおけるスポーク5F、連結板6Fおよび補強板7Fを除くたの部分の構成は、農用車輪1Cにおけるものと同一であり、図7において農用車輪1Cにおけるものと同一の符合を付し、その説明を省略する。
スポーク5Fは、金属製の管で形成される。また、スポーク5Fは、3本が、農用車輪1Fの回転中心から放射状にそれぞれ120度間隔で、いずれも一端がリム4の内周側に溶接等で接続され、他端がボス8に溶接等により固定されている。スポーク5Fは、リム4に接続された一端側でリム4の中心に向けて伸びる外端部11、外端部11に連続し軸方向に直交する平面に対して傾斜して回転中心に向けて伸びるオフセット部12、およびオフセット部12に連続しオフセット部12よりも軸方向に直交する平面に対して緩やかに傾斜してボス8にまで伸びる内端部13Fからなる。スポーク5Fは、外端部11とオフセット部12とが、およびオフセット部12と内端部13Fとが鈍角を形成して連続し、全体として略S字状となっている。
【0028】
農用車輪1Fは、オフセット部12および内端部13Fにより、オフセットさせて農用機械に装着可能となっている。
連結板6Fは、農用車輪1における連結板6と同じく正三角形の各頂角を取り除いたような各3つの長い辺および短い辺を有する金属製の六角形の厚板で形成される。連結板6Fは、各短い辺を通ってその中心に伸びた、断面が半円形のスポーク嵌入溝14Fを備えている。連結板6Fは、底辺が正三角形で頂角が大きな、3つのスポーク嵌入溝14Fを斜辺とする四面体の底辺を除いたような形状である。
【0029】
スポーク嵌入溝14Fの内面の曲率半径は、スポーク5Fにおける内端部13Fの外周の曲率半径(半径)に略等しい。連結板6Fには、六角形の中心にボス8を貫通させるための孔が設けられている。
連結板6Fは、3つのスポーク嵌入溝14Fに嵌め入れられたスポーク5Fおよび孔を貫通するボス8に、溶接により一体化されている。
補強板7Fは、補強板7と同様に金属製の厚板で形成され、全体として略三角形の形状を有する。補強板7Fは、農用車輪1Fの回転中心およびスポーク5Fの軸心をともに含む平面上で、スポーク5Fのオフセット部12および内端部13Fにおけるオフセットされた側のそれぞれの外周に、溶接により固定されている。
【0030】
連結板6Fは、農用機械の荷重によってスポーク5Fに加わる周方向の曲げモーメントによる変形(曲がり)を防止する働きをする。また、連結板6は、スポーク5Fの径方向の曲がりに対しても一定の予防効果を得ることができる。
補強板7Fは、農用機械の荷重等によりスポーク5Fに対して径方向に加えられる圧縮力により、オフセット部12の傾斜が増加してスポーク5Fに曲げ変形(座屈変形)が生ずるのを防止する。補強板7Fのオフセットされた側の端縁はオフセットされた側の端縁が凸状に湾曲されており、補強板7Fの曲げ変形(座屈変形)に対する抵抗力が増加されている。
【0031】
また、農用車輪7Fは、第2補強板16Cを備えることにより、外端部11およびオフセット部12における座屈による変形および曲げモーメントによる変形が防止される。
上述の実施形態において、連結板6,6Fの形状を、六角形以外の形状とすることができる。例えば円形、三角形または正六角形とすることができ、また、スポークの数に応じてその形状を変更することができる。さらに、連結板6,6Fを一体化されたものではなく、各スポーク5,5,5間で独立したリブで代用することができる。連結板6,6Fまたはリブは、ボス8近辺に設けるのが好ましいが、ボス8から径方向に離れた位置で各スポーク5,5,5を連結させてもよい。
【0032】
農用車輪は、スポークとして真っ直ぐな管を径方向に対して傾斜させてボス8およびリム4に一体化させて、農用機械にオフセットさせて装着可能なように形成してもよい。この場合、図5および図6に示される補強板7D,7Eのように、補強板は、農用車輪の回転中心およびスポークの軸心をともに含む平面上で、スポークおよびボス8におけるオフセットされた側のそれぞれの外周に、溶接により固定される。
農用機械にオフセットして装着可能な農用車輪とするためにスポークに曲がり部分を設ける場合には、少なくとも1箇所の曲がり部分を設ければ足りる。この場合、曲がり部分の内側(全体として180度未満の角度を形成する側)に補強板7または第2補強板16Cを固着し、スポークが径方向に対して傾斜してボス8に固着されているときは、補強板7Eをスポークおよびボス8に固着することにより、スポークの変形を防止することができる。
【0033】
その他、農用車輪1,1B〜1F、および農用車輪1,1B〜1Fの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、管理機、田植機等の農用機械に装着される農用車輪に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は農用車輪の正面図である。
【図2】図2は図1におけるA−A矢視断面図である。
【図3】図3は他の農用車輪における回転中心およびスポークの軸心を含む断面の図である。
【図4】図4は他の農用車輪における回転中心およびスポークの軸心を含む断面の図である。
【図5】図5は他の農用車輪における回転中心およびスポークの軸心を含む断面の図である。
【図6】図6は他の農用車輪における回転中心およびスポークの軸心を含む断面の図である。
【図7】図7は他の農用車輪における回転中心およびスポークの軸心を含む断面の図である。
【符号の説明】
【0036】
1,1B〜1F 農用車輪
4 リム
5,5D,5F スポーク
6,6F 連結板
7,7B,7F 補強板
7D,7E 第2の補強板(補強板)
8 ボス
11 延長部(外端部)
12 オフセット部
13,13F 延長部(内端部)
16C 補強板(第2補強板)
21D オフセット部(第1オフセット部)
22D 延長部(中央部)
23D オフセット部(第2オフセット部)
24E 補強板(第3補強板)
25E 補強板(第4補強板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状のリムと、
一端が前記リムに接続され他端が前記リムの内側に向けて延びた複数本のスポークと、
前記リムの内側において前記スポークの前記他端を接続するボスと、を有し、
前記スポークは、
前記ボスの中心軸に直交する面に対して傾斜するオフセット部と、
前記オフセット部に鈍角を形成して連続する延長部と、を有し、
前記スポークにおける前記リムに接続された前記一端と前記ボスに接続された前記他端とが前記ボスの軸方向においてずれた位置となるように構成され、
前記オフセット部および前記延長部における前記鈍角が形成された側の前記鈍角形成部分にリブ状の補強板が固着されている
ことを特徴とする農用車輪。
【請求項2】
前記スポークは、
前記オフセット部および前記延長部のいずれかまたはいずれも複数有して前記補強板を2つ以上備えており、
径方向に隣り合う前記補強板が、径方向外方からみたときに、軸方向において一部が重複するように形成された
請求項1に記載の農用車輪。
【請求項3】
前記ボスおよび前記スポークが接続された部分における前記スポークの前記一端が位置する側に、リブ状の第2の補強板が固着されている
請求項1または請求項2に記載の農用車輪。
【請求項4】
前記補強板におけるいずれにも固着されない開放された端縁が外方に凸状の形状である
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の農用車輪。
【請求項5】
円環状のリムと、
一端が前記リムに接続され他端が前記リムの内側に向けて延びた複数本のスポークと、
前記リムの内側において前記スポークの前記他端を接続するボスと、を有し、
前記スポークは、前記ボスの周面に対して鋭角を形成して前記ボスに接続されたオフセット部を有し、
前記スポークにおける前記リムに接続された前記一端と前記ボスに接続された前記オフセット部の端とが前記ボスの軸方向においてずれた位置となるように構成され、
前記ボスおよび前記オフセット部における前記鋭角が形成された側の当該鋭角形成部分にリブ状の第2の補強板が固着されている
ことを特徴とする農用車輪。
【請求項6】
前記第2の補強板におけるいずれにも固着されない開放された端縁が外方に凸状の形状である
請求項5に記載の農用車輪。
【請求項7】
隣り合う前記スポークに固着されて隣り合う前記スポークを連結する連結板を有する
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の農用車輪。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−286265(P2009−286265A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140950(P2008−140950)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)