説明

迂回流測定のためのバイパスフローエレメント

本発明の人工呼吸器は、第一のガスを供給するように構成される第一の通路と、第二のガスを供給するように構成される第二の通路と、前記第一のガスの一部と前記第二のガスの一部を提供するバイパスエレメントを含み、前記バイパスエレメントが、バイパス導管に隣接するリブを含み、流体フローが前記導管に隣接して実質的に層流である。さらにバイパスエレメントについて開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工呼吸器に関する。
【背景技術】
【0002】
人工呼吸器は、空気及び/又は空気と他の(補助)酸素などの混合物の加圧ガスを患者の気道に供給して患者の呼吸の補助又は呼吸の代わりを行っている。人工呼吸器は通常、周期的(循環的)に操作される。例えば吸気相(吸入に対応する)の間にガスが提供され、それに続く呼気相(排出に対応する)の間にガスが患者から受け取られる。空気及び酸素の混合物を提供するために、例えば、人工呼吸器は空気通路から空気を受け入れ、別の酸素通路から純酸素を受け入れ、その後それぞれのガスのレベルを制御して望ましい混合物を生成して吸気相で患者に提供する。
【0003】
一般的に、患者は、ガス流を処理する導管(conduits)又は「リム」を通じて人工呼吸器と作用する。シングルリム人工呼吸器は吸気相及び呼気相に対して単一の導管を提供する。つまり、患者は吸気の際に前記人工呼吸器から(加圧)ガスを受け取り、呼気の際には同じ導管を通じて前記人工呼吸器へガスを排気する。通常排出されたガスは前記人工呼吸器の空気通路へ方向付けられる。吸気ガス流が空気及び酸素の混合物を含む場合、例えば排気ガス流は少なくとも一部の過剰の酸素を含んでいなければならず、これにより空気通路にいわゆる「酸素汚染」が生じることとなる。従って、吸気ガス流に続くサイクルの間は空気通路からのガスは純粋な空気よりも高い濃度の酸素を含むこととなる。空気通路からのガスがさらに酸素通路から追加の酸素が金剛される場合、患者に供給される混合ガスは望ましい酸素濃度よりも高い濃度となっている。
【0004】
空気及び酸素の正しい混合物が提供されていることを保証するために、混合ガスのサンプルが取り出される。前記混合物を決定するために使用する知られた流量計は制限があり前記サンプルの流速又はフロー容量は、一般的に前記人工呼吸器のそれらの値よりもずっと小さい。このことはサンプルの示す値には問題があるということであり、特にフローセンサ及び容量センサが限定されるという観点から特に問題となる。さらに、呼気及び吸気中での酸素及び空気を検出することは、それらの流れを邪魔又は汚染する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、人工呼吸器における迂回流測定のためのバイパスエレメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ひとつの側面において、人工呼吸器は、第一のガスを供給するように構成された第一の通路と;第二のガスを供給するように構成された第二の通路と;前記第一のガスの一部と前記第二のガスの一部を提供するように構成されたバイパスエレメントを含み、前記バイパスエレメントが、バイパス導管に隣接するリブを含み、流体フローが実質的に前記管路に隣接する層流である。
【0007】
他の側面において、バイパスエレメントが、人工呼吸器からの第一のガスと第二のガスを方向付けるように構成され、前記バイパスエレメントが:バイパス導管に隣接するリブ(rib)を含み、流体フローが前記導管に実質的に層流である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、代表的実施態様による、人工呼吸器の一部の概念図である。
【図2】図2は、代表的実施態様による、バイパスエレメントを含む人工呼吸器の透視図である。
【図3】図3は、代表的実施態様による、バイパスエレメントの断面図である。
【図4】図4は、代表的実施態様による、バイパスエレメントの一部の断面図である。
【図5】図5は、代表的実施態様による、フロー較正曲線を示すグラフである。
【図6】図6は、代表的実施態様による、人工呼吸器の一部の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下詳細な説明において、本発明の教示による実施態様の完全な理解を提供するために、限定する目的ではなくて説明の目的で具体的に開示された例示的実施態様を記載される。しかし当業者にとって明らかなことは、ここで開示される具体的な詳細とは離れた本発明の教示による他の実施態様もまた本発明の特許請求の範囲の範囲に入るものであるということである。さらに、よく知られた装置及び方法についての説明は、例示実施態様の説明曖昧にすることを避けるために省略される場合がある。かかる装置及び方法も明らかに、本発明の教示の範囲に入る。
【0010】
図1は、本発明の例示的実施態様による人工呼吸器の部分の概念図である。示される人工呼吸器の部分は、前記人工呼吸器の前記導管内の複数のリブ回りの空気又は酸素フロー101を含む。示されるように、空気(又は酸素)はバイパス導管103を介してフローメータ又は容量メータ(示されていない)に迂回され、前記人工呼吸器が閉システムであることから、該空気(又は酸素)はバイパスリターン104により戻される。留意すべきは、かつ以下より明らかとなるが、バイパス導管及びリターンは、人工呼吸器の空気及び酸素の両方に設けられており、従って該流速及び流容量が測定可能となるということである。
【0011】
人工呼吸器は、空気フローを、約−240から約+240SLPM(標準リットル/分)の範囲で測定し、Oフローを約0SLPMから約240SLPMの範囲で測定する。例示的実施態様において、前記フロー測定は前記ガス供給アセンブリの一部である。リブ102を持つ前記バイパスエレメントは、射出成型部材の充填の問題を解決する。有利には、該形状は前記充填を改善して、射出成型工程で要求される圧力を低減する。側壁及びフロー迂回に近い領域は、この領域のフローが層流レイノルズ数に近くなるように乱流を低減するサイズに維持される。すなわち前記レイノルズ数は、層流の範囲にある数ということである。
【0012】
通常、リブ102は実質的に真っ直ぐなリブであり、射出成型出口からのプラスチックの流れの方向へ角度がつけられている。留意すべきは、該角度は、前記リブ102が前記バイパスホール(前記バイパスエレメント100及び前記バイパス導管103及び前記バイパスリターン104との境界面)の通路を横切らないことを保証ということである。というのはこの場合フローにノイズを生じる恐れがあるからである。前記フローが迂回する点にはなんら段差はなく、これにより実質的な再循環の可能性を低減させる。というのは、再循環はマスフローセンサからのシグナルにフローノイズを起こす恐れがあるからである。
【0013】
留意すべきは、リブ102は低圧力低下を与えるということである。従って、空気又は酸素フロー101が比較的高圧である場合に、前記リブの後の前記バイパス導管103内の空気又は酸素フローは比較的低い(例えば2.5cmHO未満)。上で説明したように、前記バイパスエレメント100はマスフローセンサ(図示されていない)と共に使用され迂回されたガスの流量範囲を測定する。前記マスフローセンサの測定範囲は、約0LPMから約+1LPMである。従って前記バイパスエレメント100は前記マスフローセンサを横切る主流部分を迂回する。前記バイパス導管102は、主流が+240SLPMである場合に、迂回フローが前記マスフローセンサのプラスマイナス1リッタ/分を超えないようにサイズが決められている。前記マスフローセンサは図5及び6に関連して以下記載されるように前記バイパスを用いて較正される。
【0014】
図2は、例示的実施態様による、バイパスエレメント100を含む人工呼吸器200の透視図(一部拡大図を含む)である。人工呼吸器の多くの側面は知られており、従って、本発明の例示的実施態様のバイパスエレメント100の構成を曖昧にさせないように記載が省略されている。
【0015】
バイパスエレメント100は、人工呼吸器の空気及び酸素フローの領域に沿って設けられ、酸素及び空気をフローセンサ206の方にバイパスするための導管と、前記フローセンサ206から前記バイパスされた酸素及び空気を戻す導管を含む。バイパスエレメント100は、酸素バイパス導管202及び空気バイパス導管203を含む。前記バイパスエレメントはさらに、酸素バイパスリターン204及び空気バイパスリターン205を含む。バイパスエレメントはさらに、リブ(図2には示されていない)を含み、これは実質的に層流を維持する(即ち、レイノルズ数を比較的低く維持する)。空気及び酸素はそれぞれの循環路を導管202、203の出口から出て、それぞれのフローセンサ206を通り、前記エレメント100に戻る。酸素は酸素バイパスリターン204の入り口へ提供され、空気は空気バイパスリターン205の入り口へ提供され、従って人工呼吸器200へ戻される。
【0016】
図3は、本発明の実施態様による人工呼吸器の部分の断面図である。図3はフローセンサが付設される側からの、例示的実施態様による前記バイパスエレメント100のリブ102を示す。
【0017】
図4は、本発明の実施態様による人工呼吸器の部分の断面図である。図4は終端部側からの、例示的実施態様による前記バイパスエレメント100のリブ102を示す。従って、空気フローは、図表面から入り又は出ることとなる。
【0018】
図5及び図6は、酸素及び空気をそれぞれフローメータで測定する際に有用な較正曲線である。
【0019】
ここでは好ましい人工呼吸器について開示されたが、多くの変更・変法が可能であり、これらは本発明の概念及び範囲に含まれる。そのような変更・変法は、当業者には、本明細書、図面及び特許請求の範囲を参照することで明らかとなる。従って本発明は、添付の特許請求の範囲の本質及び範囲内を除いて、いかなる制限もされるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工呼吸器であり、前記人工呼吸器は:
第一のガスを供給するように構成される第一の通路;
第二のガスを供給するように構成される第微の通路;
前記第一のガスの一部、及び前記第二のガスの一部を提供するように構成されるバイパスエレメントを含み、前記バイパスエレメントが、バイパス導管に隣接するリブを含み、流体フローが、前記導管に隣接して実質的に層流である、人工呼吸器。
【請求項2】
請求項1に記載の人工呼吸器であり、前記第一のガスが空気を含み、前記第二のガスが酸素を含む、人工呼吸器。
【請求項3】
請求項1に記載の人工呼吸器であり、前記バイパスエレメントが、フローセンサ又は容量センサと流体交流する、人工呼吸器。
【請求項4】
請求項1に記載の人工呼吸器であり、前記第一のガスが空気を含み、前記第二のガスが酸素を含み、かつ前記導管が酸素を前記人工呼吸器から輸送し、また前記バイパスエレメントが他のバイパス導管に隣接する他のリブを含み、前記他の導管が前記人工呼吸器から空気を輸送するように構成される、人工呼吸器。
【請求項5】
請求項4に記載の人工呼吸器であり、さらに前記バイパス導管に隣接する複数のリブを含み、前記他のバイパス導管に隣接する他の複数のリブを含む、人工呼吸器。
【請求項6】
バイパスエレメントであり、バイパスエレメントは、第一のガスと第二のガスを人工呼吸器から方向付けるように構成され、前記バイパスエレメントがバイパス導管に隣接するリブを含み、流体フローが前記導管に隣接して実質的に層流である、バイパスエレメント。
【請求項7】
請求項6に記載のバイパスエレメントであり、前記第一のガスが空気を含み、前記第二のガスが酸素を含む、バイパスエレメント。
【請求項8】
請求項6に記載のバイパスエレメントであり、前記バイパスエレメントがフローセンサ又は容量センサと流体交信する、バイパスエレメント。
【請求項9】
請求項6に記載のバイパスエレメントであり、前記第一のガスが空気を含み、前記第二のガスが酸素を含み、前記導管が酸素を輸送するように構成され、前記バイパスエレメントが、他のバイパス導管に隣接する他のリブを含み、前記他の導管が空気を輸送するように構成される、バイパスエレメント。
【請求項10】
請求項9に記載のバイパスエレメントであり、さらに前記バイパス導管に隣接する複数のリブを含み、他のバイパス導管に隣接する他の複数のリブを含む、バイパスエレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−521250(P2012−521250A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501431(P2012−501431)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051040
【国際公開番号】WO2010/109362
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)