説明

迅速な試験用器具

本明細書において提供されるものは、大便、血液、尿、唾液、または首、尿道、鼻孔、または咽喉のスワブ標本などの固体、半固体、または液体の標本を迅速に試験し、環境試験する方法およびデバイスである。標本を試験するデバイスは、試料レシービングチャンバおよび試験チャンバと、少なくとも1つの試薬部材と、ハンドル、ねじ切りを有する挿入部およびプラグを備えているベースとを備えている。該ベースは、プラグを取り囲むoリングをさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、大便、血液、尿、唾液、もしくは首、尿道、鼻孔、および咽喉のスワブ標本などの固体、半固体、または液体の標本の迅速な試験、ならびに環境の試料の迅速な試験の方法およびデバイスに関する。
【0002】
(優先権)
2006年1月23日出願の名称「Rapid Test Apparatus」のGreg LiangおよびYahong Liangによる米国仮特許出願第60/761,580号に対する優先権が主張され、該仮特許出願が参照され、その全体が本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0003】
(背景)
大便、血液、尿、唾液、または、首、尿道、鼻孔、もしくは咽喉のスワブ標本などの固体、半固体、または液体の標本、ならびに食品、土壌および塵などの環境の標本の試験はしばしば、試験緩衝液による標本の前処理を必要とする。標本を前処理することは、標本を希釈すること、標本から検出されるべき物質を抽出すること、または標本もしくは物質を変化させることを助ける。この前処理は、検出されるべき試験物質に対してより適切である新しい試料溶液を生じる。典型的には、収集された標本は、特定の試験物質の存在を検出するために用いられる試験デバイスとは別の容器内の試験緩衝液に事前混合される。ほとんどの試験プロトコルにおいて、結果として生じる試料溶液の一部は、試薬との反応のための第2の試験場所に移動させられ、標本内の試験物質の存在または量を示す試験結果を得る。例えば、便潜血試験において、プラスチック管は試験緩衝液内で大便の標本を懸濁させるために用いられ、該試験緩衝液は標本の血液成分を溶解させる。プラスチック管の破壊可能部分は次いで切り離され、試料溶液の一部は、管から第2のデバイスに放され、免疫ヘモグロビン試験を行なうために用いられる。試験結果は、試験デバイスの試験領域において読み取られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
標本処理管を切り離し、標本処理管から試験デバイスに試料溶液を移動させることは、複数のステップを必要とすることによって試験方法を複雑にする。試料が移動させられることを必要とすることによって、作業領域は試料の漏れのために汚染され得る。また、試料溶液を移動させることは、不正確な試験量の移動が起こり得るために不正確な結果となり得る。これらの方法は、実験室の訓練を受けていないユーザによる現場での試験に対して便利ではない。必要とされることは、固体、半固体、または液体の標本を試験する、より簡単で安全で正確な方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本発明は、使用するのにより簡単でより安全で、かつより正確な、標本を処理および試験するデバイスおよび方法を提供する。本発明の特定の実施形態において、固体、半固体、または液体の標本を迅速に試験するために用いられ得る試験アセンブリが提供される。1つの限定しない実施形態において、便潜血の存在を試験する迅速な試験デバイスが提供される。本発明のこの実施形態において、排泄物試料の収集、処理および試験はすべて1つのデバイスにおいて実行される。例えば、試験緩衝液は試料レシービングチャンバにおけるデバイスに事前に貯蔵され、ヘモグロビンを検出する少なくとも1つの迅速なラテラルフロー試験ストリップは別の試験チャンバ(本発明の試験チャンバ)に貯蔵される。サンプリングスティックは大便試料収集用のデバイスの上部キャップに取りつけられ、排泄物標本はサンプリングスティックを用いて試験緩衝液チャンバに移動される。デバイスは次いで、大便試料を緩衝液の中に分散させるために振られ、試験は、デバイスの底にあるキャップをねじり、試料溶液がラテラルフロー試験ストリップに接触することを可能にすることによって開始される。視覚上の試験結果は次いで、約5分以内にラテラルフロー試験ストリップから読み取られ得る。
【0006】
一実施形態において、試験アセンブリを備えている試験デバイスが提供され、試験アセンブリは、例えば、縦型であり、上端部と、下端部と、試験アセンブリの上端部に開口部を有する試料レシービングチャンバと、試験アセンブリの下端部に開口部を有し、開口部から試薬部材を受け取ることが可能な試験チャンバと、試験チャンバの開口部に結合され、試験チャンバ内の試薬部材によって試験アセンブリの下端部をふさぐことが可能なベースと、試料レシービングチャンバから試験チャンバに流体連絡する手段であって、該流体伝達は、ベースが試験チャンバ内の試薬部材を含む試験アセンブリに取り付けられるとき存在する、手段とを有し得る。試験アセンブリは、標本収集および試験のための様々な適切な寸法を有する任意の形状であり得、例えば、カップ、または例えば、管の形状であり得る。本発明の試験デバイス、例えば、試験アセンブリは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニル、およびアクリロニトリルブタジエンスチレンからなる群から選択されるプラスチックなどの、プラスチックを含む任意の適切な材料であり得る。
【0007】
また、開示されるものは、診断試験デバイスであって、該診断試験デバイスは、上端部を有する縦型の試験アセンブリと、下端部と、試験アセンブリの上端部に開口部を有する試料レシービングチャンバと、試験アセンブリの下端部に開口部を有し、開口部から試薬部材を受け取ることが可能な試験チャンバと、試験チャンバ内の試薬部材と、試験チャンバの開口部に結合されたベースであって、試験チャンバ内の試薬部材によって試験アセンブリの下端部をふさぐ、ベースと、試料レシービングチャンバから試験チャンバへ液体連絡する手段とを備えている。
【0008】
診断試験デバイスを作製するために試験アセンブリを用いる方法は、分析試料と反応し分析試料の検体の存在または量を示す信号を生成することが可能な試薬部材を試験アセンブリの下端から試験チャンバの中に導入することと、ベースを試験チャンバの下端部に取り付けることとを包含する。
【0009】
本発明の試験デバイスを用いる方法は、試料溶液を試料レシービングチャンバの中に導入することと、試料レシービングチャンバから試験チャンバへの試料連絡手段を作動させることと、試薬部材の試験結果を読み取ることとを包含する。
【0010】
本発明の試験デバイスは、例えば、不正使用の薬物、ホルモン、腫瘍マーカー、心臓マーカー、伝染性病原菌、および環境汚染物質からなるが、これらに限定されない検体の群から選択される検体を試験するために用いられ得る。試験試料溶液は、あるレベルの検体を含んでいることが疑われる溶液である。そのような試料溶液は、尿、唾液、血漿または血清、血液、および脊髄液を含む体液を含む溶液の群から選択される。試料溶液はまた、水、pHまたは蛋白質の緩衝液などの処理溶液を含み得る。例えば、薬物、爆発物、伝染性を含んでいることが疑われる塵または粉末。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(説明)
図2〜図4と共に、図1は本発明のデバイスを描く。試料収集および試験するデバイスは、試験アセンブリ110とベース120とを備えている。試験アセンブリ110は、縦型であり、壁111と、上端部112と、下端部113と、試験アセンブリの内部を2つのチャンバ、すなわち試料レシービングチャンバ115と試験チャンバ116とに分ける隔壁114とを有する。隔壁は、外壁111から離れて曲がっている底部117と外壁111に接続する上部118とを有する。隔壁の底部117は、孔119、すなわち試料レシービングチャンバの底部開口部を備えている。外壁は、底端部において内側にねじ切り109を有する。ベース120は、ハンドル部121と、ねじ切り123および試料レシービングチャンバの底部開口部を密閉するプラグ125を有する挿入部122とを備えている。挿入部122の周りのゴムoリング124は、密閉材として働く。
【0012】
この実施形態において、試薬部材140は、芯部141と、分析試薬143を備えている試験領域142とを備えている。試料溶液が試薬部材の芯部に接触するとき、試料溶液は、芯部まで吸い上げられ(wick)試験領域に達し、試薬と反応する。その結果、試料溶液内の試験物質の存在または量が検出される。
【0013】
ゴムoリング126が、孔119を閉じる密封材として備えられる。
【0014】
オプションのキャップ130は、ハンドル131と、サンプラピン132とを備えている。
【0015】
分析試薬部材140が試験チャンバ116に挿入されている状態で、ベースは、試料レシービングチャンバの底部開口部を密閉することが可能なプラグ125とoリング126とによって、試験アセンブリの底端部にぴったりと適合し、試験アセンブリの底端部を密閉することが可能である。
【0016】
試料溶液が試料レシービングチャンバの中に導入されているとき、ベース120を緩めると、孔119からプラグ125およびoリング126が開かれ、試料溶液が孔119を通って流れ、試験チャンバ116の試薬部材140に接触することが可能になる。分析試薬部材140における試薬溶液の分析結果は、試験チャンバ部における壁111を介して読み取られ得る。
【0017】
特定のニーズに適合させるためにこのデバイス用のいくつかのオプションがある。第1に、試薬部材が試験チャンバ内に挿入され、ベースが試料レシービングチャンバの底開口部を密閉するプラグ125によって試験アセンブリの底部に適合している状態で、試料溶液は、内部に保たれ得るか、または今後の試験のために試料レシービングチャンバ内に貯蔵され得る。従って、試料溶液は調合され得、後に試験が実施され得る。例えば、患者は試料を入手し得、デバイスは次いで、実験室技術者、または試験を実施しその結果を解釈する他の訓練された職員に渡され得る。あるいは、試験試料を処理または希釈するための緩衝溶液は、試料が試料レシービングチャンバの中に導入される前に、試料レシービングチャンバ内に保持され得る。第2に、ベース120のプラグ125またはoリングはデバイスから省かれ得、またはベースは、試料レシービングチャンバと試験チャンバとの間の通路が開放されたままであるように、緩んだままであり得る。試料溶液が試料レシービングチャンバの中に導入されると、ある量の試料溶液が、試験アセンブリの底部にある試料通路すなわち孔を通って試験チャンバの中に自動的に流れる。
【0018】
オプションのキャップ130は、試料レシービングチャンバの上部開口部を密閉する。キャップ130のオプションのサンプラピンは、液体または非液体の試料を収集し、試料を試料レシービングチャンバの中に導入することが可能である。液体試料は、例えば、血液、尿、唾液、水、粘液、またはその他の流体試料を含むが、これらに限定されない。非液体試料は、例えば、粉末、大便、土、塵、およびその他の乾燥または半乾燥の試料を含む。
【0019】
試料レシービングチャンバから試験チャンバへの液体の連絡を可能にする他の手段がデバイスに用いられ得る。例えば、図1のデバイスに対する簡単な修正は、一実施形態において、孔119がふさがれるかまたは栓をされる本発明の試験アセンブリであって、該アセンブリは、ピンまたはベースが回されるかまたは試験アセンブリに対して押されると、シールを破るかまたはプラグを外すことが可能である、ベースの上部表面に接続される鋭利な刃または突起を備えている。この実施形態において、一旦シールが破られるかまたはプラグが外されると、試料溶液は、孔を通って流れ、あるいは別の実施形態において、シールが破られるかまたはプラグが外された後に、溶液は孔を通って流れる。この実施形態において、一実施例において、キャップが緩く適合されていると、孔はふさがれ、キャップが締められたとき開けられ、ピンによってシールを破る。
【0020】
図6および図7と共に、図5は、本発明の別の実施形態を描く。デバイス200は、上端部202と下端部203とを備えている試験アセンブリ201と、試験緩衝液205を備えている試料レシービングチャンバ204と、試薬部材207を備えている試験チャンバ206とを備えている。底部208は、試験アセンブリ201の下端部を閉じ、キャップ209は、試験アセンブリの上端部を閉じ、ピンキャップ210などの手段は、試料レシービングチャンバ204から試験チャンバ206に液体が流れることを可能にするために備えられる。試験アセンブリ201は、ネック領域227において結合する管状の内壁211および外壁212を備えているプラスチック管構造を備えている。二重層側壁は、内部の試料レシービングチャンバ204と試験チャンバ206とを形成する。破壊可能シール213は、内壁211の下端開口部を密閉する。試験アセンブリの下端部に適合するような寸法に作られる底部208は、下端部から試験アセンブリ206を密閉する。底部208は、上端部214および下端部215と、試験アンブリの下端部の内側に適合するような側壁216と、上端部214において破壊可能シール218によって密閉されるスルーホール217とを備えている。ピンキャップ210は、底部のスルーホール217に適合するような寸法に作られ、スルーホールの下端部からスルーホールの中に押し込まれたとき破壊可能シール218および213を破ることが可能であるロッド219を備えている。キャップ209は、ハンドル部220と試験アセンブリの上部開口部202に適合するような寸法に作られる挿入部221とを備え、アセンブリの上端部を閉じる。
【0021】
試薬部材207は、上端部222および下端部223と、上端部222に近位の試験領域224と、下端部223に近位の芯部225とを備えている。試験領域は少なくとも1つの試薬226を備えている。芯部225に接触する液体は、芯部を通って試験領域224に吸い上げられ(wick)、試薬226に接触することが可能である。試薬部材は、試験アセンブリの上端部の方向に向けられた上端部および試験アセンブリの下端部に向けられた試薬部材の下端部を有する試験チャンバ内に配置される。
【0022】
試験アセンブリの破壊可能シールは、プラスチック、ゴム、フォイルからなる群から選択され、試料レシービングチャンバの側壁に取り付けられる疎水性バリアである。破壊可能シールを破るためのシール破壊手段は、デバイスが試験位置にあるとき、破壊可能シールの一部を貫通、引き裂き、または除去することが可能な任意の手段を含む。本発明の一実施形態において、シール破壊手段は、試料レシービング手段の上端部から挿入され、シールを破ることが可能なスティックである。例示的な実施形態においてスティックは、清潔であるように、すなわち標本または試料溶液を汚染しないように設計される。本発明の別の実施形態において、シール破壊手段は、試料レシービングチャンバの下端部からシールを破ることが可能である、試験モジュール容器に取り付けられる構造である。
【0023】
図9と共に、図8は、本発明の別の実施形態のデバイスを描く。デバイス300は、外壁すなわち側壁312と、上部開口部313と、下部開口部314と、隔壁315とを有するカップ形状の透明部分311を備えているアセンブリ310を備えている。隔壁315は側壁312に接続され、スルーホール318を介して接続される上部316と下部317に分離する。隔壁は、側壁に対して傾いているセクション319と、上方に曲がり、側壁によって試薬部材容器であるポケット321を形成する別のセクション320とを備えている。試薬部材容器321は、試薬部材と、芯部331を備えている吸収性試験ストリップと、試薬333を備えている試験領域332を含む。底部340は、試薬部材容器内に試薬部材を有するカップ部の下部開口部に適合するような寸法に作られる。通気孔341は、底部340のスルーホールである。通気性であり試料溶液が不透過である多孔性プラグ342は、スルーホール341をふさぐ。オプションのキャップ350は、上部開口部313に適切に適合するような寸法に作られる。
【0024】
多孔性プラグは、所望の特性−通気性であって試料溶液不透過−の多孔性材料を備えている。当業者は、例えば、ポリエチレンおよびポリテトラフルオロエチレンなどであるが、それらに限定されない多孔性プラスチックプラグを形成するために用いられ得る材料に精通している。多孔性プラスチックプラグにおける平均的な孔サイズは、3ミクロンからプラグ材料の疎水性に依存する上限までの範囲に及び得る。多孔性プラグの通気性および液体通過性は、孔サイズおよび多孔性材料の表面特性に関係する。所望の特性を達成するために、プラグの孔サイズは一般的に30ミクロンより小さく、例えば、10〜20ミクロンである。多孔性材料の表面を、試料溶液と接触すると融解しゲルを形成する層でコーティングすることは、所望の特性を達成するための別の方法である。そのようなゲル形成材料は、ゴムと、ゼラチンと、長鎖(long change)多糖類と、蛋白質とからなる群から選択され得る。
【0025】
試薬部材は、試料溶液内の1つ以上の試験物質を検出するために1つ以上の試験試薬を備え得る。例えば、デバイス300は、不正使用の薬物などの異なる試験物質を検出するためにそれぞれ1つ以上の吸収性試験ストリップを含み得る。尿標本などの試料溶液が上部開口部からデバイスの中に導入されると、試料はデバイスの下部に流れ、試薬と反応する。従って、不正使用の薬物などの複数の試験物質は同時に検出され得る。デバイスの下部における液体の水準が多孔性プラグに達すると、プラグを介する通気は閉じる。上部セクションから下部セクションへの追加の液体の流れは停止する。そのような機構は、試験チャンバ内への液体の流入量の自動的制御を形成する。
【0026】
本発明のデバイスは、例えば、体液試料、環境の試料、大便、およびその他の試料を試験するために用いられ得る。本発明のデバイスを用いて試験され得る物質は、不正使用の薬物、治療薬、伝染性病原菌、抗体、血液成分、環境汚染物質(微生物、爆発物、および毒物など)を含む。本発明のデバイスは、例えば、大便と、血液と、尿と、唾液、微生物培養媒質、ならびに首、尿道、鼻孔および咽喉などの動物の表面のスワブ標本、ならびに食品、土壌および塵試料などの環境の標本からなる群から選択される試料を試験するのに適切である。動物とは、例えば人間などの哺乳動物を含む、例えば、任意の生きているまたは死んでいる動物を意味する。これらの標本内の試験されるべき物質は、便潜血成分、ハプトヘモグロビン複合体、抗体、バクテリア、ウィルス、酵素、タンパク質、薬剤、不正使用の物質、アレルゲン、殺虫剤、および汚染物質を含むが、これらに限定されない。
【0027】
試薬部材は、液体または乾燥形態であり得る。本発明の一実施形態において、試験デバイスの試薬部材は、試験されるべき試料溶液の検体に反応することが可能である試薬を備え、試薬溶液の少なくとも1つの検体の存在または量を示す分析信号を生成する液体溶液である。本発明の別の実施形態において、分析試薬は、試験されるべき試料溶液の検体に反応することが可能である試薬を備え、試薬溶液の少なくとも1つの検体の存在または量を示す分析信号を生成する乾燥試薬である。空気乾燥または凍結乾燥された乾燥試薬は、液体試薬より長い貯蔵期間を有する。分析試薬の好ましい乾燥形態は、例えば、乾燥試薬パッド、乾燥分析試薬を含む多孔性マトリックスを含むがこれらに限定されない。そのような乾燥試薬は、尿糖、pH、クレアチニンなどの様々な生成物の試験、およびアルコール試験のために用いられる。好ましい乾燥試薬部材の別の例は、ラテラルフロー試験ストリップである。試薬部材が、乾燥試薬、例えば試験ストリップである場合、試験アセンブリは、例えば、各試薬部材が異なる検体検出分析のための試薬を備えている1つ以上の試薬部材を備え得る。例えば、便潜血試験のデバイスは、ヘモグロビンを検出するための試薬部材およびハプトヘモグロビン複合体を検出するための別の試薬部材を含み得る。
【0028】
本発明はまた、固体、半固体、または液体の標本内の試験物質を検出するキットを提供する。例えば、本発明のデバイスを備えているキットが提供される。キットは、標本内の物質の存在を試験するための使用説明書をさらに備え得、標本試料を入手するための使用説明書をさらに備え得る。キットは、試験結果を標本試料と比較するために用いられ得る基準試料をさらに備え得る。
【実施例】
【0029】
(実施例1:便潜血試験用試験チャンバデバイス)
便潜血試験は、便標本の血液を検出する免疫アッセイに基づく試験方法である。排泄物におけるヘモグロビンの存在は、例えば、結腸直腸癌、結腸ポリープ、クローン病および潰瘍性大腸炎などの出血に関係する胃腸管状態を示し得る。本実施例は、ツーインワン(2−in−1)試料調合および試験デバイスを提供し、該ツーインワン試料調合および試験デバイスは、液体のピペット計量または試料もしくは試料溶液の移動を必要としない。便試料は、本発明の試験アセンブリのキャップに取り付けられた便収集プローブすなわち試料スティックを用いて、試験用に収集および作製される。収集プローブは、いくつかの異なる部位において便標本の中に挿入される。余分の試料は、吸収性のあるティッシュによって丁寧にふき取ることによってスティックから除去される。プローブは管の中に再挿入され、キャップはしっかりと締められる。管は激しく振られ、試料の液体懸濁を得る。管を直立に保持し、チャンバアセンブリの底部は約1回転(360°)緩められる。このことは、試料レシービングチャンバ内の試料溶液が試験チャンバに流入することを可能にする。デバイスは直立の位置で5分間保たれ、その時間後、結果が読み取られる。10分間を超えて待つと、読取りは不正確になり得る。1つのローズピンク色の帯が制御ゾーンに現れるとき、便試料が検出可能なレベルの人間ヘモグロビンを含まないことを意味し、陰性試験が示される。2つのローズピンク色の帯が、1つは試験(T)ゾーンおよび1つは制御(c)ゾーンに現れるとき、便試料が検出可能なレベルの人間ヘモグロビンを含まないことを意味し、陽性試験が示される。陽性結果は、試料が人間ヘモグロビンを含むことを示す。5分後に帯が現れないかまたは、制御帯が現れなく試験帯が現れるとき、無効の試験が示される。
【0030】
本明細書において参照される、各特許、特許出願、公開および文献の全体が、本明細書によって参考として援用される。上記の特許、特許出願、公開および文献の引用は、任意の上記のものが関連する先行技術であることの了承事項ではなく、該引用は、これらの公開または文献の内容または日付に関する了承事項を構成するものでもない。
【0031】
文脈が別に明確に指示しない限り、単数形の「a」、「an」および「the」は、複数の参照を含む。従って、例えば、「1つのサブセット(a subset)」の参照は複数のそのような部分集合を含み、「1つの核酸(a nucleic acid)」の参照は1つ以上の核酸および当業者に公知のその均等物を含む、などである。用語「または、もしくは、あるいは(or)」は、それが示す1つまたは複数の用語に排他的であることは意味されない。例えば、それが、「AまたはB」の構造のフレーズにおいて用いられるとき、それは、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBの両方を示し得る。
【0032】
別に定義されない限り、本明細書において用いられるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術の当業者によって普通に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書において記述される方法およびシステムに類似またはそれらと均等の任意の方法およびシステムが本発明の実施または試験において用いられ得るが、方法、デバイスおよび材料がここで記述される。本明細書において記述されるすべての刊行物は、本発明に関連して用いられ得る刊行物において報告されるプロセス、システムおよび方法論を記述および開示する目的のために、本明細書に参考として援用される。本明細書におけるいかなることも、本発明が先行発明によるそのような開示に先行する資格がないという了承事項として解釈されるべきではない。
【0033】
本発明の基本的な局面から逸脱することなく、上記のことに対して修正がなされ得る。本発明が1つ以上の特定の実施形態に関して実質的に詳細に記述されたが、当業者は、この出願において特に開示される実施形態に対して変更がなされ得、しかもこれらの修正および改良が本発明の範囲および精神内であることを認識する。本明細書に例示的に記述される本発明は、本明細書において特に開示されない任意の要素なしで適切に実施され得る。従って、例えば、本明細書の各実施例において、用語「備えている、包含する、含む(comprising)」、「本質的に〜からなる(consisting essentially of)、および「からなる(consisting of)」のいずれの用語も、他の2つの用語のいずれかによって置き換えられ得る。従って、用いられた用語および表現は、記述する用語として用いられ、限定するものではなく、示されかつ記述された特徴の均等物またはその部分は排除されないで、様々な修正が本発明の範囲内で可能であることが認識される。本発明の実施形態は以下の特許請求の範囲において述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明のデバイスの側面図である。
【図2】図2は、図1と同じデバイスの分解図である。
【図3】図3は、本発明の試験アセンブリの上面図である。
【図4】図4は、図3の同じ部分の底面図である。
【図5】図5は、本発明の別のデバイスの立面斜視図である。
【図6】図6は、図5と同じデバイスの分解図である。
【図7】図7は、試験位置における図5の試料デバイスの立面斜視図である。
【図8】図8は、本発明のデバイスの斜視図である。
【図9】図9は、図8と同じデバイスの分解図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.試料レシービングチャンバと試験チャンバとを備えている試験アセンブリであって、該試験チャンバは、上端部と、下端部と、外壁と、隔壁とを備え、該隔壁は、該外壁に接続する上部と該外壁から離れて曲がっている底部とを有し、該隔壁の内部に該試料レシービングチャンバを形成し、該隔壁の該底部は孔を備えている、試験アセンブリと、
b.少なくとも1つの試薬部材と、
c.ハンドルと、ねじ切りを有する挿入部と、プラグとを備えているベースと
を備え、該ベースが該試験アセンブリの中に挿入されるとき、該試料レシービングチャンバは該試験チャンバに対して密封され、該ベースが緩められるとき、該試料レシービングチャンバは該試験チャンバに対して開放される、標本を試験するデバイス。
【請求項2】
前記ベースは、前記プラグを取り囲むoリングをさらに備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記試験アセンブリは、該試験アセンブリの上端部を覆うキャップをさらに備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記キャップはサンプラピンをさらに備えている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記試料レシービングチャンバは、緩衝液をさらに備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記試薬部材は、芯部と分析試薬を備えている試験領域とを備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ベースは、前記挿入部を取り囲むoリングをさらに備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
少なくとも2つの試薬部材を備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
3〜5つの試薬部材を備えている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記標本は、固体、半固体、または液体である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
a.試料レシービングチャンバと試験チャンバとを備えている試験アセンブリであって、該試験チャンバは、外壁と、隔壁とを備え、該隔壁は、該外壁に接続する上部と該外壁から離れて曲がっている底部とを有し、該隔壁の内部に該試料レシービングチャンバを形成し、該隔壁の該底部は孔を備え、該孔は破壊可能シールによってふさがれる、試験アセンブリと、
b.試薬部材と、
c.上端部と、破壊可能シールによってふさがれる孔を備えている下端部と、該試験アセンブリの該下端部の内部と適合する側壁とを備えている、底部と、
d.該底部の該孔と適合するロッドを備えているピンキャップであって、該ピンキャップが該底部の中に挿入されるとき、該ロッドは、該破壊可能シールを破り、試料レシービングチャンバを該試験チャンバに向かって開かせる、ピンキャップと
を備えている、標本を試験するデバイス。
【請求項12】
a.上端部と、下端部と、外壁と、隔壁とを備えている試験アセンブリであって、該隔壁は、該外壁に接続する上部と該外壁から離れて曲がっている底部とを有し、該試験アセンブリを上部と下部とに分離し、該隔壁と該外壁との間に試薬部材容器を形成し、該下部に接続し、該隔壁の該底部は孔を備えている、試験アセンブリと、
b.該試薬部材容器にある少なくとも1つの試薬部材と、
c.該試験アセンブリの該下端部と適合する底部であって、通気孔と、該通気孔をふさぐ多孔性プラグとを備えている、底部と
を備えている、標本を試験するデバイス。
【請求項13】
a.請求項1に記載のデバイスの前記試料レシービングチャンバに試料緩衝液を追加することであって、該デバイスの前記試験チャンバは、検体の存在を試験するための少なくとも1つの試薬部材を備えている、ことと、
b.標本を入手することと、
c.該標本のすべてまたは一部を該試料緩衝液の中に導入することと、
d.前記ベースを緩めて、該緩衝液が該試験チャンバに流入することを可能にし、該少なくとも1つの試薬部材に関する結果を読み取ることによって該検体の存在を検出することと
を包含する、標本内の検体を検出する方法。
【請求項14】
a.請求項11に記載の前記デバイスの前記試料レシービングチャンバに試料緩衝液を追加することであって、該デバイスの前記試験チャンバは、前記検体の存在を試験するための少なくとも1つの試薬部材を備えている、ことと、
b.標本を入手することと、
c.該標本のすべてまたは一部を該試料緩衝液の中に導入することと、
d.前記ピンキャップを前記底部の中に挿入し、該シールを破って、該緩衝液が該試験チャンバの中に流入することを可能にし、該少なくとも1つの試薬部材に関する結果を読み取ることによって該検体の存在を検出することと
を包含する、標本内の検体を検出する方法。
【請求項15】
前記試薬部材は便潜血における検体を検出し、前記試料は便物質である、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
a.液体標本または固体もしくは半固体の試料を備えている緩衝液を請求項12に記載のデバイスの上部に追加することと、
b.該液体または緩衝液の一部を前記試薬部材容器に流入することを可能にし、前記少なくとも1つの試薬部材と接触させることと、
c.該少なくとも1つの試薬部材に関する結果を読み取ることによって、前記検体の存在を検出することと
を包含する、標本内の検体を検出する方法。
【請求項17】
前記液体標本は尿である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1、請求項11、または請求項12に記載のデバイスを備えているキット。
【請求項19】
使用説明書をさらに備えている、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
試料緩衝液をさらに備えている、請求項18に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−524063(P2009−524063A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551461(P2008−551461)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/001678
【国際公開番号】WO2007/087261
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(504195071)クイデル コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】