説明

迅速測定方法

【課題】高価な装置を必要とせず、試料中の微量成分を迅速に、かつ簡便に測定する方法を提供する。
【解決手段】測定対象物質を含有する試料と、水不溶の粒子または水不溶の粒子に固定化された結合物質、さらには酵素標識結合物質を混合し、複合体を形成させた後、水不溶の粒子が保持される孔径のメンブレンフィルターに置き、メンブレンフィルター上で直ちに遊離の標識結合物質を検出することにより試料中の測定対象物質を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中の物質を簡易測定するための測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗原抗体反応に代表される物質間相互作用による複合体形成は、試料中の微量成分の分析を行うために広く用いられている。このような相互作用を用いた試料中の微量成分の分析方法としては、例えば測定対象物質と、測定対象物質に結合する物質との相互作用を、標識物質を利用して測定する方法の代表的なものとして、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)等が挙げられる。
【0003】
このような方法を更に詳細に分類すれば、相互作用の結果生じる複合体を遊離の標識結合物質から分離することなく測定する均一法と、相互作用の結果生じる複合体を遊離の標識結合物質から分離した後に測定する不均一法とに分けることが出来る。
【0004】
均一法は分離の工程を経ないため、操作が簡便であるが、使用できる標識物質の種類や測定対象物質が限られるため、広く用いられるには至っていない。その中でも比較的多く用いられている測定方法にラテックス凝集比濁法があるが、大型汎用分析器では、セルを汚すなどの理由で酵素法に置き換えられる傾向にある。また、ヘモグロビンA1cなどの特定の検査項目については小型の測定機器が販売されており、6〜15分で測定できるなど迅速化が図られているものの、一般の診療所で導入するには装置・試薬とも高価であり、診療時間(3〜5分)内に結果を得られるものでもなく、更なる低価格化・迅速化が求められている。
【0005】
一方、不均一法は、多くの標識物質を使用することができ、測定対象も広いことから測定方法の主流となっている。不均一法では、測定対象物質を含む複合体から、遊離の標識結合物質を分離すること(いわゆるB/F分離)が不可欠であり、例えば抗原抗体反応のB/F分離には、従来から、抗体または測定物質を不溶性担体に結合させ、続いて免疫複合体を形成せしめた後、遊離の標識結合物質を分離する固相法が多く用いられている。そのため、不均一法は操作が煩雑であり、測定までに長時間を要する問題点があり、更には自動化のために高価な装置が必要であるため、改善が望まれていた。これらの問題点は、特に医療現場の中でもとりわけ規模の小さい診療所での検体検査において、実施の大きな障害になっている。
【0006】
不均一法に関する上記の問題点を解決すべく、測定対象物質または測定対象物質に結合する物質を固相化した磁性微粒子を用いる方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法では煩雑さは解消されず、自動化のための高価な装置が不可欠であるため、大病院の検査室や検査センターで利用されるに留まっている。
【0007】
高価な装置を必要としない方法として、B/F分離を、毛管現象を用いて行う方法、いわゆるイムノクロマトの手法が提案されている(特許文献2)。これは、毛管流を有する固相に免疫複合体を保持し、有色標識結合物質により可視化する方法であり、測定対象物質の有無を測定する方法として一般的に利用されている。しかしながら、定量性に欠け、測定対象物質の量を知るには十分満足し得る方法ではない。
【0008】
また、B/F分離にメンブレンフィルターを用いる方法も提案されている(特許文献3)。この方法は、メンブレンフィルターを有した容器内部で不溶性担体と試料を反応させた後、加圧してメンブレンフィルターを通過させた溶液中の遊離の標識結合物質を測定する方法で、不溶性担体の洗浄が不要であり、操作が簡便になっている。しかしながら、加圧のための機械的装置および通過させた溶液を採取し測定する装置が必要であり、診療所での検体検査においては必ずしも十分満足し得る方法ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特願平9−541975号公報
【特許文献2】特願昭63−68000号公報
【特許文献3】特開平5−2021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のごとき状況に鑑み、高価な装置を必要とせず、試料中の微量成分を迅速に、かつ簡便に測定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、測定対象物質を含有する試料と、水不溶の粒子または水不溶の粒子に固定化された結合物質、さらには標識結合物質を混合し、複合体を形成させた後、水不溶の粒子が保持される孔径のメンブレンフィルターに置き、メンブレンフィルター上で直ちに遊離の標識結合物質を検出することにより試料中の測定対象物質を測定することを特徴とする測定方法の発明である。
【0012】
本発明者らは、測定対象物質と結合物質の相互作用を利用して試料中の微量成分を極めて迅速に測定する方法について鋭意研究の過程で、浸透に十分な孔径のメンブレンフィルターに酵素の基質を塗布することで、複合体を結合した固相と遊離の酵素標識結合物質を分離後ただちに酵素反応が検出できることを見出し、更には、メンブレンフィルターに堆積した水不溶の粒子が反射面を形成して反応シグナルを増強することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、溶液中に分散する水不溶の粒子に結合した複合体と遊離の標識結合物質とを、メンブレンフィルター上に置くことで、加圧装置などを用いることなく、自然な液体の浸透だけで分離・検出することを特徴とする測定方法である。
【0014】
本発明を実施するには、例えば以下のようにして行えばよい。
【0015】
すなわち、浸透に十分な孔径のメンブレンフィルターに酵素の基質を浸み込ませて乾燥させておき、水不溶の粒子上に抗原を固相化し、さらに酵素標識抗体との複合体を形成させ、酵素の基質を保持したメンブレンフィルターに一定量滴下して遊離の酵素標識抗体による反応を測定すればよい。水不溶の粒子上に抗原を固相化するために、予め抗体を水不溶の粒子状に固相化しておいてもよい。
【0016】
また、メンブレンフィルターと吸収材を接触させてメンブレンフィルター側から反応液を滴下することにより、吸収材上での反応を測定しても良い。この場合、酵素の基質はメンブレンフィルターか吸収材の一方または両方に塗布される。
【0017】
さらには、メンブレンフィルターと吸収材を直に接触させるのではなく、液体を通過させるのに十分な性質を持つ粘着剤によって張り合わせてもよい。これにより、裁断・組立が容易になり、安価に製造することが出来る。
【0018】
複合体形成に用いる容器は、どのような形状のものでも良いが、少なくともその一部から反応液を取り出せる、もしくは滴下することが可能になっているか、または容器とメンブレンフィルターが一体となっている場合は複合体形成の終了まで試料を含む溶液がメンブレンフィルターと接触しないような可動式の隔壁等を有していることが望ましい。
【0019】
反応液の組成は、複合体形成反応に必要なものであればどのようなものでも良いが、例えば標識が酵素であった場合、酵素反応を阻害するようなものを含まないことが望ましい。
【0020】
水不溶の粒子は、メンブレンフィルターに保持されるものであればどのようなものでも良いが、反応を迅速に進めるためには単位体積あたりの表面積が大きいことが望ましい。水不溶の粒子の材料としては、アガロース、セルロース、架橋デキストラン、ポリアクリルアミド、セルロース、微結晶セルロース、架橋アガロース、架橋ポリアクリルアミド、ガラス、シリカゲル、ケイ藻土、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、ケイ砂、ポリスチレン等の各種の合成樹脂のほか、多孔質な素材、さらには磁性微粒子が利用できる。好ましくはアガロース、架橋アガロース、架橋デキストラン、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ガラス、シリカゲル、ポリスチレン、セルロース、微結晶セルロース等であり、更に好ましくはポリスチレン等である。これらの水不溶の粒子は数種を混合して用いても良い。粒子の色は検出の妨げにならないことが望まれるが、より好ましくは無色または白色である。粒子の大きさは、小さいほど表面積が増加し、複合体形成反応が早く進むが、0.05〜5μmの粒子径が利用でき、0.1〜3μmであることが望ましく、より好ましくは0.1〜3μmのラテックス粒子である。
【0021】
メンブレンフィルターの素材としては、例えばセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフロロエチレン、ナイロン、ポリビニリデンジフロライド等の素材で親水性を有するものが挙げられ、より好ましくはニトロセルロース、セルロースアセテートである。そしてこのような素材のメンブレンフィルターの孔径は、5μm以下、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは、0.1〜0.45μmである。
【0022】
メンブレンフィルターの孔径と水不溶の粒子の大きさの関係は複雑である。例えば0.12μmのラテックス粒子は、圧力をかけなければ0.45μmのメンブレンフィルターに保持される。従って、メンブレンフィルターの孔径はかならずしも粒子の大きさより小さくなければならないとは限らない。
【0023】
本発明の測定方法に用いられる測定対象物質を含む試料としてはあらゆる形態の溶液、コロイド溶液などが使用しうるが、好ましくは生物由来の試料、例えば血液、血漿、血清、脳脊髄液、唾液、尿等が挙げられる。
【0024】
結合物質は、その由来を特に限定されるものではなく、例えば抗体であれば、哺乳動物等に抗原を投与、免疫して得られる抗血清、腹水液をそのままか、あるいは従来公知の方法で精製して用いることができる。あるいは、モノクローナル抗体を作成し、これを特定成分と特異的に結合しうる物質として使用すると特異性が向上し、好ましい。又、これらの抗体はIgG、IgM、IgA、IgD、IgE各分画を用いることができ、或いはこれらの抗体を酵素処理してFab、Fab’又はF(ab’)2 といった活性抗体フラグメントにして使用しても良い。さらに、これらの抗体は単一で使用しても、複数の抗体を組み合わせて使用しても良い。
【0025】
標識結合物質に用いる標識物質としては、例えば酵素、酵素基質、酵素前駆体、蛍光物質などが挙げられるが、例えばβ−D−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスフォターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等の酵素が好ましく、これらの酵素を標識物質とする場合、酵素反応系、発色系は公知のものを用いることが出来る。酵素の基質はメンブレンフィルターに塗布したのち乾燥させてもさせなくてもよいが、保存条件を考慮すれば乾燥させることが望ましい。ただし、ペルオキシダーゼを用いた場合、酵素の基質に過酸化水素を必要とするため、乾燥させる場合には、検出が終了するまでに必要な過酸化水素が補われる工夫を施すことが重要となる。好ましくはアルカリフォスファターゼであり、さらには発光基質を用いることで、より迅速に反応を検出することが出来る。発光の検出は、光電子増倍管や冷却CCD、フォトダイオードなどを用いることが出来る。
【0026】
標識結合物質にポリクローナル抗体を用いる場合、本発明の測定方法は遊離の標識結合物質を測定するものであるから、抗原と凝集してメンブレンフィルターを通過できなくならないよう、重鎖のヒンジ部のS−S結合を還元して解離する、またはFabを用いるのが望ましいが、必ずしも必要ではない。
【発明の効果】
【0027】
本発明に依れば、従来のEIA、FIAなどで行われていた固相法に比較して、容易にかつ短時間に測定を行うことが出来る。
【0028】
また、反応・分離・検出の工程に高価な装置を必要とせず、測定試薬を安価に製造できるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の測定用具Aの概略図である。
【図2】本発明の測定用具Aの概略図である。
【図3】発光検出にて測定用具AでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。固相に用いるラテックス粒子濃度の違いによる検量線の変化を示している。
【図4】発光検出にて測定用具AでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。抗体液の抗体濃度の違いによる検量線の変化を示している。
【図5】発光検出にて測定用具AでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。固相に用いるラテックス粒子の粒径の違いによる検量線の変化を示している。
【図6】発光検出にて測定用具AでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。粒径0.121μmのラテックス粒子を固相として用いた場合のメンブレンフィルターの孔径による検量線の変化を示している。
【図7】発光検出にて測定用具AでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。粒径0.220μmのラテックス粒子を固相として用いた場合のメンブレンフィルターの孔径による検量線の変化を示している。
【図8】発光検出にて測定用具AでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。粒径0.50μmのラテックス粒子を固相として用いた場合のメンブレンフィルターの孔径による検量線の変化を示している。
【図9】発光検出にて測定用具AでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。測定用具Aのフィルター材質の違いによる検量線の変化を示している。
【図10】測定に要する時間を短くして発光検出にて測定用具AでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。
【図11】本発明の測定用具Bの概略図である。
【図12】本発明の測定用具Cの概略図である。
【図13】発光検出にて測定用具B及びCでHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。
【図14】発色検出にてHbA1c測定用常用参照標準物質を測定した場合の検量線を示すグラフである。
【図15】発光検出にてG−CSFを測定した場合の検量線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
ヘモグロビンA1cの発光検出による測定
(1) 測定用具の作製
【0032】
直径3mmの孔を穿ち、小片に裁断した片面黒色ブチルテープ(ニトムズ社製)に対し、7mm×7mmの大きさに裁断したメンブレンフィルターを、中央にテープの孔が位置するように貼り付けた。これを、下記の通り、メンブレンフィルターの種類を変えて作製した。
【0033】
用いたメンブレンフィルターの種類
セルロースアセテート製メンブレンフィルター 孔径:0.20μm、0.45μm、0.80μm、3.00μm (アドバンテック社製)
親水性PVDF製メンブレンフィルター 孔径:0.22μm (日本ミリポア社製)
セルロース混合エステル製メンブレンフィルター 孔径:0.45μm (日本ミリポア社製)
【0034】
次に、CDP−Star RTU with Emerald II(アプライドバイオシステムズ社製)と付属の10×Assay Buffer(アプライドバイオシステムズ社製)を等量混合して塗布液1とした。
【0035】
塗布液1を、ブチルテープに穿った孔からメンブレンフィルターに対して6μl塗布した。これを乾熱器にて37℃で乾燥させ、測定用具Aとした。測定用具Aの概略を図1、図2に示した。
【0036】
(2) アルカリフォスファターゼ標識抗ヘモグロビンA1c抗体の作製
抗ヘモグロビンA1c抗体(フィッツジェラルド社製)をAlkaline Phosphatase Labeling Kit − SH(同仁化学社製)にてアルカリフォスファターゼ標識し、Monolith Ab Spin Kit(京都モノテック社製)にて精製し、透析により、5 mM トリス緩衝液,pH 9.5 にBuffer置換することでアルカリフォスファターゼ標識抗ヘモグロビンA1c抗体を作製した。
【0037】
(3)ラテックス粒子によるメンブレン上の発光増強効果
粒径0.5μmのラテックス粒子(Polybead Microspheres ポリサイエンス社製)を5.2%(w/v)のラテックス粒子水溶液に調製した。
【0038】
(2)で作製したアルカリフォスファターゼ標識抗ヘモグロビンA1c抗体を、10mM トリス緩衝液〔pH 7.4、150mM 塩化ナトリウム、0.5% i−Block(アプライドバイオシステムズ社製)、0.05% プロクリン300(スペルコ社製)〕で12μg/mlに希釈し、抗体液1とした。
【0039】
粒径0.5μm、5.2%(w/v)のラテックス粒子水溶液を180μlとり、60μlの上記10mMトリス緩衝液と混合し、室温で30分静置した。これに80μlの抗体液1を加え、酵素液1とした。さらに酵素液2に対して20,400×g、5分間遠心を行い、その上清を回収することで酵素液1からラテックス粒子を除去したものを酵素液2とした。また、酵素液1と同様の手順でラテックス粒子水溶液の代わりに超純水を用いて酵素液3を作製した。
【0040】
酵素液1、酵素液2、酵素液3をそれぞれ12μlとり、0.20μmの孔径のセルロースアセテート製メンブレンフィルターにて作製した測定用具Aの測定液添加面(図1−I)のメンブレンフィルター中央にそれぞれ加え、直後に検出面からの発光強度を測定した。メンブレンフィルターの中央とは、ブチルテープに穿った孔の中央に対応する位置である。発光の検出には化学発光撮影装置(ライトキャプチャー、アトー社製)を用い、露光時間は10秒とした。得られた画像を画像解析ソフトウェア〔CS Analyzer、アトー社製〕で解析し、発光強度を求めた。測定結果を、表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
表1の通り、溶液中にラテックス粒子が存在する酵素液1を、測定用具Aに添加した場合、溶液中にラテックス粒子が存在しない酵素液3の場合に比べ、発光強度が大きいことがわかる。また、酵素液1からラテックス粒子を除いた溶液である酵素液2を測定用具Aに添加した場合に比べても、酵素液1の結果は発光強度が大きい。このことは、ラテックス粒子がメンブレンフィルターの溶液添加面側に堆積して微粒子反射面を構成し、メンブレン中の酵素による発光の多くを検出面側に反射することにより、効率よく発光を検出できることを示している。
【0043】
感度の点で、酵素活性を発光により測定する際に、ラテックス粒子と酵素を含む溶液を測定用具Aの測定液添加面(図1−I)側からメンブレンフィルター中央に加え、検出面(図1−II)側から発光を測定する方法が優れていることが示された。
【0044】
(4)ラテックス粒子濃度の検討
粒径0.5μmのラテックス粒子(Polybead Microspheres ポリサイエンス社製)を1.3%(w/v)、2.6%(w/v)、5.2%(w/v)、7.8%(w/v)、10.4%(w/v)のラテックス粒子水溶液に調製した。
【0045】
HbA1c測定用常用参照標準物質〔ヘモグロビンA1c濃度5段階(国際標準値(%)にてレベル1:5.04±0.09 レベル2:5.66±0.09 レベル3:7.38±0.11 レベル4:9.66±0.12 レベル5:12.12±0.15)、検査医学標準物質機構製〕を、添付文書に従って解凍・準備した。
【0046】
HbA1c測定用常用参照標準物質各濃度段階の測定を5.2%(w/v)ラテックス粒子水溶液を用いて以下のように行った。HbA1c測定用常用参照標準物質各濃度段階を50mM トリス緩衝液(pH 7.4)で25倍に希釈した。希釈直後、この希釈液それぞれを10μlとり、30μlのラテックス粒子水溶液にそれぞれ混合し、1分間室温に置いた。この混合液から30μlを取り、抗体液1を10μlに加えて測定液とし、2分間室温に置いた。測定液をそれぞれ12μlとり、0.20μmの孔径のセルロースアセテート製メンブレンフィルターにて作製した測定用具Aの測定液添加面(図1−I)中央にそれぞれ加え、直後に検出面からの発光強度を測定した。発光の検出には化学発光撮影装置(アトー社製)を用い、露光時間は10秒とした。得られた画像を画像解析ソフトウェア〔CS Analyzer、アトー社製〕で解析し、発光強度を求めた。
【0047】
この測定を、1.3%(w/v)、2.6%(w/v)、7.8%(w/v)、10.4%(w/v)のラテックス粒子水溶液に対しても同様に行った。
【0048】
HbA1c測定用常用参照標準物質のHbA1c濃度(%、国際標準値)と本測定の発光強度の関係を表す検量線を図3に示す。図3の通り、特にラテックス粒子濃度5.2%(w/v)以上において良好な検量線が得られた。発光強度はラテックス粒子濃度が低い程高かったが、これは単純に、ラテックス粒子の表面積の違いによる。また、ラテックス凝集比濁法を用いた市販のヘモグロビンA1c測定専用機器(6〜15分を要する)よりも迅速な測定が可能であった。
【0049】
(5) 抗体濃度の検討
(2)で作製したアルカリフォスファターゼ標識抗ヘモグロビンA1c抗体を、(3)と同様に希釈して抗体濃度1.2μg/mlの抗体液2と抗体濃度120μg/mlの抗体液3を調製した。
【0050】
抗体液1の代わりに抗体液2を用いる以外は、(4)と同様にして、粒径0.5μmのラテックス粒子5.2%(w/v)水溶液を用いて、HbA1c測定用常用参照標準物質の測定を行った。さらに抗体液1の代わりに抗体液3を用いて同様に測定を行った。これらの測定結果を(4)における粒径0.5μmのラテックス粒子5.2%(w/v)水溶液と抗体液1を用いた結果と比較した。
【0051】
HbA1c測定用常用参照標準物質のHbA1c濃度(%、国際標準値)と本測定の発光強度の関係を表す検量線を図4に示す。図4の通り、抗体液1、抗体液3でもHbA1cの測定が可能であった。通常のイムノアッセイでは、抗原抗体反応時に抗体が抗原に対してより多く存在することが重要であるが、本測定方法ではその限りではないことがわかる。
【0052】
(6) ラテックス粒子粒径の検討
各粒径のラテックス粒子を、粒径が完全に均一かつ完全な球であった場合に粒径0.5μmの5.2%(w/v)ラテックス粒子水溶液と単位体積辺りの表面積がほぼ等しくなる濃度に調製し、各粒径のラテックス粒子水溶液とした。使用したラテックス粒子は以下の通りである。
【0053】
使用したラテックス粒子
粒径0.121μm〔ポリスチレン系 JSR社製〕
粒径0.220μm〔ポリスチレン系 JSR社製〕
粒径1.0μm〔Polybead Microspheres ポリサイエンス社製〕
粒径2.0μm〔Polybead Microspheres ポリサイエンス社製〕
粒径3.0μm〔Polybead Microspheres ポリサイエンス社製〕
【0054】
粒径0.5μmのラテックス粒子5.2%(w/v)水溶液の代わりに各粒径のラテックス粒子水溶液を用いる以外は(4)と同様にしてHbA1c測定用常用参照標準物質の測定を行った。これらの測定結果を(4)における粒径0.5μmのラテックス粒子5.2%(w/v)水溶液を用いた結果と比較した。
【0055】
HbA1c測定用常用参照標準物質のヘモグロビンA1c濃度(%、国際標準値)と本測定の発光強度の関係を表す検量線を図5に示す。
いずれの粒径のラテックス粒子でも測定が可能であった。
【0056】
(7) 測定用具におけるメンブレンフィルター孔径の検討
粒径0.5μmの5.2%(w/v)ラテックス粒子水溶液及び1−(6)で調製した粒径0.121μmのラテックス粒子水溶液について、孔径0.20μm、0.45μm、0.80μm、3.00μmのセルロースアセテート製のメンブレンフィルターにて作製した測定用具Aを使い、HbA1c測定用常用参照標準物質を測定した。測定は、ラテックス粒子と測定用具Aが異なる以外1−(2)と同様にして行った。
【0057】
HbA1c測定用常用参照標準物質のヘモグロビンA1c濃度(%、国際標準値)と本測定の発光強度の関係を表す検量線を図6、図7、図8に示す。図6は粒径0.121μmのラテックス粒子水溶液〔濃度は(6)と同様〕についての、孔径0.20μm、0.45μm、0.80μm、3.00μmのセルロースアセテート製のメンブレンフィルターにて作製した測定用具Aを用いたHbA1c測定用常用参照標準物質の測定結果であり、図7は粒径0.220μmのラテックス粒子水溶液〔濃度は(6)と同様〕についてのそれ、図8は粒径0.50μmのラテックス粒子5.2%(w/v)水溶液についてのそれである。図6の通り、粒径0.121μmのラテックス粒子水溶液では、孔径0.45μmのセルロースアセテート製メンブレンフィルターまで、図7、図8の通り、粒径0.220μmのラテックス粒子水溶液及び粒径0.5μmのラテックス粒子5.2%(w/v)水溶液では、孔径0.80μmのセルロースアセテート製メンブレンフィルターまでHbA1c測定用常用参照標準物質の測定が可能であった。
【0058】
(8) 測定用具におけるメンブレンフィルター材質の検討
粒径0.5μmの5.2%(w/v)ラテックス粒子水溶液について、親水性PVDFまたはセルロース混合エステル製のメンブレンフィルターにて作製した測定用具Aを使い、HbA1c測定用常用参照標準物質を測定した。測定は、測定用具Aが異なる以外(4)と同様にして行った。ただし、セルロース混合エステル製メンブレンフィルターにて作製した測定用具Aでは、科学発光撮影装置での露光時間を300秒として測定を行った。孔径0.20μmのセルロースアセテート製メンブレンフィルターにて作製した測定用具Aと粒径0.5μmのラテックス粒子5.2%(w/v)水溶液を用いて測定した(4)における結果と本測定結果を比較した。
【0059】
HbA1c測定用常用参照標準物質のヘモグロビンA1c濃度(%、国際標準値)と本測定の発光強度の関係を表す検量線を図9に示す。図9に示した通り、親水性PVDF、セルロース混合エステルを用いた場合のいずれでも測定が可能であったが、検量線の形状、感度等からセルロースアセテートメンブレンフィルターがより適していると考えられた。
【0060】
(9) 短時間での測定
HbA1c測定用常用参照標準物質各濃度段階の測定を、粒径0.5μmの7.8%(w/v)ラテックス粒子水溶液を用いて以下のように行った。HbA1c測定用常用参照標準物質各濃度段階を50mM トリス緩衝液(pH 7.4)で25倍に希釈した。希釈直後、この希釈液それぞれを10μlとり、30μlのラテックス粒子水溶液にそれぞれ混合し、30秒間室温に置いた。この混合液から30μlを取り、抗体液1を10μlに加えて測定液とし、1分間室温に置いた。測定液をそれぞれ12μlとり、0.20μmの孔径のセルロースアセテート製メンブレンフィルターにて作製した測定用具Aの測定液添加面(図1−I)中央にそれぞれ加え、直後に検出面からの発光を測定した。発光検出は(4)と同様に行い、露光時間は10秒とした。発光検出終了までの測定に要する時間は2分以内であった。
【0061】
HbA1c測定用常用参照標準物質のヘモグロビンA1c濃度(%、国際標準値)と本測定の発光強度の関係を表す検量線を図10に示す。図10に示したとおり、良好な検量線が得られた。これにより、ラテックス凝集比濁法を用いた市販のヘモグロビンA1c測定専用機器(6〜15分を要する)及び(4)における測定よりもさらに迅速な測定が可能であることが示された。
【実施例2】
【0062】
メンブレンフィルターと吸収材を組み合わせた測定用具によるHbA1cの測定
(1) 測定用具の作製
定性ろ紙〔No.2、アドバンテック社製〕を5mm角の小片に裁断し、各小片に4μlずつ塗布液を添加し、乾熱器にて37℃で乾燥させ、これを吸収材1とした。
【0063】
7mm角の大きさに裁断したセルロースアセテート製メンブレンフィルター〔孔径0.20μm、アドバンテック社製〕の上に吸収材1を置いた。直径3mmの孔を穿ったマグネットシートの小片を2枚一組で用意し、これを用いてフィルターと吸収材を挟み込んだ。このとき、フィルター及び吸収材の中心がマグネットシートの孔の位置に来るようにした。これを測定用具Bとした。測定用具Bの概略を図11に示した。
【0064】
直径3mmの孔を穿ち、小片に裁断した片面黒色ブチルテープ(ニトムズ社製)の粘着面に対し、7mm角の大きさに裁断したセルロースアセテート製メンブレンフィルター〔孔径0.20μm、アドバンテック社製〕を、中央にテープの孔が位置するように貼り付けた。メンブレンフィルターの上から8.5mm角に裁断した親水性多孔質粘着剤(アドヘシブスリサーチ社製)を、メンブレンフィルターが覆われるように貼り付け、その上に吸収材1を貼り付けた。これを測定用具Cとした。測定用具Cの概略を図12に示した。
【0065】
(2) ヘモグロビンA1cの発光検出による測定
測定用具B及びCを用いて、HbA1c測定用常用参照標準物質の測定を行った。測定用具が異なる以外、1−(4)と同様にHbA1c測定用常用参照標準物質の測定を行った。いずれにおいても測定液は測定液添加面(図11−I、図12−I)にある直径3mmの孔より添加した。ラテックス粒子水溶液には粒径0.5μm、5.2%(w/v)を用いた。孔径0.20μmのセルロースアセテート製メンブレンフィルターにて作製した測定用具Aと粒径0.5μmのラテックス粒子5.2%(w/v)水溶液を用いて測定した(4)における結果と本測定結果を比較した。
【0066】
HbA1c測定用常用参照標準物質のヘモグロビンA1c濃度(%、国際標準値)と本測定の吸光度変化の関係を表す検量線を図13に示す。図13に示した通り、測定用具B、測定用具Cでも、測定が可能であった。検量線の形状や感度の点では、測定用具Aでの測定がより優れていた。また、作製に必要な材料の数量も測定用具Aの方が少ない。
【実施例3】
【0067】
ヘモグロビンA1cの発色検出による測定
(1) 測定用具の作製
異なる塗布液を用いる以外実施例1の(1)と同様に測定用具を作製した。メンブレンフィルターには孔径0.20μmセルロースアセテート製メンブレンフィルターを用いた。発色基質溶液〔BCIP/NBT溶液、ナカライテスク社製〕を緩衝液〔10×Assay Buffer、アプライドバイオシステムズ社製〕で25倍希釈して塗布液2を調製した。塗布液2を、ブチルテープに穿った孔からメンブレンフィルターに対して6μl塗布した。これを乾熱器にて37℃で乾燥させ、測定用具Dとした。
【0068】
(2) ヘモグロビンA1cの発色検出による測定
実施例1の(2)で作製したアルカリフォスファターゼ標識抗ヘモグロビンA1c抗体を、実施例1の(3)と同様に希釈して抗体濃度20μg/mlの抗体液4を調製した。
【0069】
検出方法、測定用具、抗体液が異なる以外、実施例1の(4)と同様にHbA1c測定用常用参照標準物質の測定を行った。ラテックス粒子水溶液には粒径0.5μm、5.2%(w/v)のものを用いた。
【0070】
発色検出には小型ファイバ分光器〔USB4000、LS−1、反射プローブ、オーシャンオプティクス社製〕を用いて測定を行った。標準反射板〔WS−1、オーシャンオプティクス社製〕をリファレンスとして反射分光法により、測定波長560nmにて、測定用具の検出面からメンブレンフィルターの吸光度を測定した。メンブレンフィルターへの測定液添加20秒後の吸光度と添加2分後の吸光度の差を、吸光度変化として記録した。測定用具には測定用具Dを用い、抗体液には抗体液4を用いた。
【0071】
HbA1c測定用常用参照標準物質のヘモグロビンA1c濃度(%、国際標準値)と本測定の吸光度変化の関係を表す検量線を図14に示す。図14に示した通り、発色によっても迅速にHbA1c測定用常用参照標準物質の測定が可能であった。
【実施例4】
【0072】
G−CSFの発光検出による測定
(1) アルカリフォスファターゼ標識抗G−CSF抗体の作製
抗G−CSF抗体〔ヤギポリクローナル抗体、アールアンドディー社製〕をアルカリフォスファターゼ標識キット〔Alkaline Phosphatase Labeling Kit − SH、同仁化学社製〕にてアルカリフォスファターゼ標識し、Monolith Ab Spin Kit〔プロテインG、京都モノテック社製〕にて精製し、透析により、5 mM トリス緩衝液(pH 9.5)にBuffer置換することでアルカリフォスファターゼ標識抗G−CSF抗体を作製した。
【0073】
(2) 抗G−CSF吸着ラテックス粒子の作製
粒径0.5μmのラテックス粒子(Polybead Microspheres ポリサイエンス社製)1.25%および抗G−CSF抗体〔マウスモノクローナル抗体、アールアンドディー社製〕400μgを、1mlの0.1Mホウ酸バッファー,pH8.5中で室温一晩反応させた。15,000×g,5分間の遠心上清のタンパク量を測定したところ350μgであったので、抗G−CSF抗体は1.25%ラテックス粒子1mlに50μg物理吸着した。これを1%BSAを含む0.1Mホウ酸バッファー,pH8.5で3回洗浄し、1%BSA,5%グリセロールを含むPBS(−)1mlに懸濁し、抗G−CSF抗体固相化ラテックス粒子液とした。
【0074】
(3) G−CSFの測定
G−CSF(片倉工業製)を1%BSA,0.05%Tween20を含むPBS(−)に0,400,600,800,1000pg/mlとなるよう希釈した。これら各濃度のG−CSF溶液20μlに対し、アルカリフォスファターゼ標識抗G−CSF抗体1ng/mlを含む抗ヘモグロビンA1c抗体固相化ラテックス粒子液をそれぞれ40μl混合し、37℃で1時間静置した後、ピペッティングにより再懸濁して、測定液をそれぞれ12μlとり、0.20μmの孔径のセルロースアセテート製メンブレンフィルターにて作製した測定用具Aの測定液添加面(図1)中央にそれぞれ加え、直後に検出面からの発光を測定した。発光の検出には化学発光撮影装置(アトー社製)を用い、露光時間は1分とした。得られた画像を画像解析ソフトウェア〔CS Analyzer、アトー社製〕で解析し、発光強度を求めた。
【0075】
G−CSF濃度と本測定の吸光度変化の関係を表す検量線を図15に示す。図15に示した通り、G−CSFの測定が可能であった。本測定方法によって微量の測定対象の測定も可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、検体中の物質を簡易測定するため利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
I 測定液添加面
II 検出面
1 片面ブチルテープ
2 メンブレンフィルター
3 孔
4 吸収材
5 マグネットシート
6 親水性多孔質粘着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物質を含む試料を、水不溶の粒子および標識物質で標識された結合物質と接触させる工程と、得られた試料をメンブレンフィルター上に置く工程、メンブレンフィルターに浸透した上記結合物質を検出する工程を含む、測定方法。
【請求項2】
水不溶の粒子が、測定対象物質に結合する物質を保持する、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
標識物質が、酵素であり、メンブレンフィルターが、酵素の基質を含む、請求項1又は2に記載の測定方法。
【請求項4】
メンブレンフィルターが、吸収材と接触しているかまたは液体を通過させる粘着剤により貼り合わされており、メンブレンフィルターおよび/または吸収材が、酵素の基質を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項5】
測定対象物質が、生体分子であり、上記標識物質が、測定対象物質に対する抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項6】
水不溶の粒子が、ラテックス粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項7】
メンブレンフィルターの材質が、セルロースアセテートであり、かつ、孔径が0.8μm以下であり、ラテックス粒子の粒子径が、0.2μm以上である、請求項6に記載の測定方法。
【請求項8】
メンブレンフィルターの材質が、セルロースアセテートであり、かつ孔径が0.45μm以下であり、ラテックス粒子の粒子径が、0.1μm以上である、請求項6に記載の測定方法。
【請求項9】
酵素の基質が、発光物質または発色物質である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項10】
測定対象物質が、ヘモグロビンA1cである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−163468(P2012−163468A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24809(P2011−24809)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】