説明

迅速着脱装置

【課題】 安全性が高く、迅速な着脱操作ができる、迅速着脱装置を提供する。
【解決手段】 支持体に被支持体を取り付けるための迅速着脱装置であって、被支持体に取り付けられる着脱部1と、支持体に取り付けられる本体3とを有する。着脱部1は略台形状をなし、一対の側辺には傾斜面を有する被固定部2が形成されている。本体1には、着脱部1を収容する収容部4を設け、収容部4には被固定部2と相補的な傾斜面を有する固定部5が形成される。収容部4にはカムフォロア22と付勢手段25とが設けられ、着脱部1には凹部13が形成される。凹部13には上底側から下底側に向けて順に、進入カム15、固定カム16、および後退カム17が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の各種機器、器具、工具類、家具の脚などの被支持体を、三脚、雲台、スタンド、家具などの支持体に着脱可能に固定するための迅速着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
迅速着脱装置の一種として、カメラ等を三脚などの支持体に迅速に着脱固定するためのクイックシューを例にあげて説明する。
【0003】
クイックシューは一般に、カメラ等の被支持体に予め取り付けられる板状の着脱部と、三脚等の支持体に予め取り付けられる本体とを有し、前記本体に設けられた固定手段により着脱部を本体に固定することによって、支持体に被支持体を固定する。
【0004】
例えば、下記の特許文献1に記載されたクイックシューは、平面視略台形状の着脱部を有し、その一対の側辺に下方に向けて外側へ張り出す傾斜面を有する被固定部が形成されている。一方、本体には、前記被固定部の一対の側辺と相補的なオーバーハングした傾斜面を有する固定部が形成され、いわゆるくさび効果を利用して大きな耐荷重を確保している。前記着脱部を前記本体に固定させるときは、前記着脱部を前記本体の概中間位置に積載し、前方へ移動させる。固定手段としては、前記着脱部の前記傾斜面に係止孔を設け、前記本体のオーバーハングした傾斜面から係止爪を突出させて前記係止孔に係合させて支持させる構造が採られている。
【先行技術文献】
【0005】
【特許文献1】 特開平7−131682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記のような迅速着脱装置では、操作者が誤って解放操作をしてしまった場合に、カメラなどの被支持体が前方に回転し転落する可能性が高いという欠点がある。
【0007】
この点をさらに詳しく説明する。操作者から見て、着脱部は平面視略台形状であり通常前方に上底が後方に下底がくるように設置される。被支持体がカメラであるときは、上底側にレンズを設置する。着脱部は通常カメラボディの底面のネジ穴にねじ止めされる。レンズは、カメラボディに対して相対的に質量が大きいことが多いし、レンズは前方に向けて突出している。したがってカメラ全体の重心は、着脱部よりも前方にある。
【0008】
本体の操作レバーを操作して、まず係止爪を後退させ、さらに着脱部を後退させて本体との固着を解消すると、着脱部は本体に対して何らの固定作用を受けない。なお、この状態で操作レバーから例えば手を離すと、操作レバーは元の位置に復帰するが、着脱部が後退しているから、係止爪は係止孔に侵入することができない。
【0009】
カメラの重心は着脱部よりも前方にあるから、カメラは自律的に前方が、つまりレンズが下がる方向に回転を始める。着脱部は平面視略台形状であり前方に上底が後方に下底がくるように設置されるし、着脱部の断面形状は前記下方に向けて外側へ張り出す傾斜面によって略台形状であり、上方に上底が下方に下底がある。
【0010】
このとき着脱部にねじ止めされたカメラが前方が下がる回転を始めると、着脱部の前端下部が回転の支点となる。すると着脱部は本体に対して自律的に回転しつつ後退を始める。これは、着脱部の形状を原因とする必然的な運動である。そして着脱部が本体に対して所定量後退すると、着脱部は本体から離脱してしまうのである。これにより、被支持体は転落して破損したり、操作者の身体上に落下するおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る迅速着脱装置は、支持体に被支持体を取り付けるための迅速着脱装置であって、前記被支持体に取り付けられる着脱部(1)と、前記支持体に取り付けられる本体(3)とを有し、前記着脱部(1)は、平面視した場合に上底の長さが下底の長さより小さい略台形状であり、前記着脱部(1)の一対の側辺には下方に向けて外側へ張り出す傾斜面を有する被固定部(2)が形成されており、前記本体(3)には、前記着脱部(1)を収容するための前記着脱部(1)と相補的な略台形状をなす収容部(4)が設けられ、前記収容部(4)には、前記着脱部(1)の前記被固定部(2)の前記傾斜面と相補的な傾斜面を有する固定部(5)が形成され、前記着脱部(1)を前記本体(3)に固定する固定手段を有し、前記固定手段は、前記本体(3)に設けられ、前記収容部(4)の内側へ突出するとともに、前記収容部(4)に対する着脱部(1)の挿入方向と直交する方向に移動可能とされたカムフォロア(22)と、前記カムフォロア(22)を前記直交方向に沿って付勢する付勢手段(25)と、前記カムフォロア(22)を移動させるための操作部(21)と、前記着脱部(1)に形成され、前記着脱部(1)が前記収容部(4)に収容された際に前記カムフォロア(22)を収容する凹部(13)とを有し、前記凹部(13)には、前記着脱部(1)の前記上底側から前記下底側に向けて順に、進入カム(15)、固定カム(16)、および後退カム(17)が設けられ、前記進入カム(15)は、前記着脱部(1)を前記収容部(4)に対して挿入していく際に前記カムフォロア(22)と係合し、前記付勢手段(25)の付勢力に抗して前記カムフォロア(22)を移動させる形状を有し、前記固定カム(16)は、前記着脱部(1)を前記収容部(4)に対してさらに挿入していき、前記カムフォロア(22)と前記進入カム(15)との係合が外れ、前記カムフォロア(22)が前記付勢手段(25)によって初期位置に復帰される際に、前記カムフォロア(22)と係合して、前記着脱部(1)を前記収容部(4)に対し挿入方向へ移動させる形状を有し、前記後退カム(17)は、前記着脱部(1)を前記収容部(4)に装着した状態で、前記操作部(21)を操作して前記カムフォロア(22)を前記付勢方向とは逆方向に移動させた際に、前記カムフォロア(22)と係合して、前記着脱部(1)を前記収容部(4)から引き抜く方向に移動させる形状を有することを特徴とする。
【0012】
なお、前記被支持体はカメラ等の各種機器、器具、工具類、または家具の脚などであってもよい。前期支持体は、三脚等のスタンドまたは家具本体などであってもよい。前記操作部は揺動するレバーであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る迅速着脱装置では、着脱部の凹部には着脱部の上底から下底方向に向けて、つまり前方から順に、進入カム、固定カム、後退カムがカムフォロアと係合するように設けられている。着脱部は平面視略台形状とされ、その一対の側辺に下方に向けて外側へ張り出す傾斜面を有する被固定部が形成されていて、収容部には着脱部と相補的な略台形状の一対の側辺の位置に、前記被固定部と相補的な傾斜面を有する固定部が形成されている。したがって、固定手段が機能して着脱部が収容部に対して前進すると、いわゆるくさび効果で着脱部は収容部に対して強固に固定されるとともに、固着状態になる。したがって、着脱部を収容部から離脱させるには、固着状態を解除しなければならない。
【0014】
さて、固着状態を解除する後退カムは固定カムより後方に位置しているから、操作部を大きく操作しなければ、固着状態は解除されない。したがって、誤って操作部を操作しても、操作の幅が小さければ固着状態は解除されないから、着脱部が収容部から離脱することはない。
【0015】
またほとんどの場合、誤って操作部を操作するのは、手やストラップ、ケーブル類がたまたま操作部に当たったときであって、その作用時間は短い。カムフォロアは常に付勢手段によって固定カムと係合する方向に付勢されている。したがって誤って操作部を操作しても、例えば操作の幅が小さければ、固着状態が維持されたままでカムフォロアは固定カムと係合する位置に復帰できるから、被支持体は固定状態を維持し続けるので安全である。また、例えば被支持体がカメラであれば、その撮影作業にまったく影響しない。
【0016】
もし、誤った操作部の操作の幅が大きく、カムフォロアが後退カムに係合し、固着状態が解除されたとする。この場合、例えば被支持体がカメラであれば前方のレンズが下方に回転を始めるのであるが、カメラの慣性質量は相対的に大きく、回転の初めではその角速度は小さい。対してカムフォロアの慣性質量は相対的に十分小さく、かつ付勢手段によって固定動作する方向に付勢されているから、極短時間でカムフォロアは固定カムと係合する位置に復帰できる。したがって、誤った操作部の操作の幅が大きくても、被支持体が離脱してしまう前に、固定状態に復帰できる。
【0017】
しかも、固定カムの前方には進入カムが設けられている。被支持体の固定作業をするときには、着脱部の上底を収容部の上底と下底の中間付近の位置に上方から落とし込むように載せてから前方に向けて移動させれば、進入カムがカムフォロアを付勢手段に抗して移動させることができる。つまり、カムフォロアを例えば手で移動しなくてもよいので、迅速に固定作業を行なうことができる。
【0018】
さらに、本発明の迅速着脱装置では、例えば操作部にストッパーなどの安全装置を設けずに安全性を確保しているから、製作が容易であり、製作コストも低減できる。さらに、ストッパーを設定したり解除したりする必要が無く、操作性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明に係る迅速着脱装置の一実施形態において、本体と着脱部を離脱した状態を示す斜視図である。
【図2】 同実施形態において、本体と着脱部を離脱した状態を示す平面図である。
【図3】 同実施形態において、本体に着脱部を固定した状態を示す平面図である。
【図4】 同実施形態において、本体に着脱部を固定した状態を示す図3中A−A線視断面図である。
【図5】 同実施形態の迅速着脱装置において、本体に着脱部を固定した状態を示す正面図である。
【図6】 同実施形態の迅速着脱装置において、本体の規制部に着脱部の被規制部が係合した状態を示す斜視図である。
【図7】 同実施形態の迅速着脱装置において、本体の規制部に着脱部の被規制部が係合しないで離脱した状態を示す斜視図である。
【図8】 同実施形態において、本体と着脱部を離脱した状態を示す斜め下方から見た斜視図である。
【図9】 同実施形態において、本体の収容部に着脱部を載せた状態を示す平面図である。
【図10】 同実施形態において、本体の収容部に着脱部を載せて前進させた状態を示す平面図である。
【図11】 同実施形態において、本体の収容部に着脱部を載せてさらに前進させた状態を示す平面図である。
【図12】 同実施形態において、本体の収容部に着脱部が固定された状態を示す平面図である。
【図13】 同実施形態において、本体の収容部から着脱部が後退した状態を示す平面図である。
【図14】 同実施形態において、本体の収容部に着脱部がさらに後退した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、周知の構成を以下の実施形態に適用してもよい。
【0021】
図1ないし図14は本発明の一実施形態を示している。本実施形態は主にカメラを三脚(またはその雲台、以下同様)へ固定するために用いられる迅速着脱装置を例示しているが、本発明は、カメラと三脚間の迅速着脱装置に限られるものではなく、いかなる被支持体といかなる支持体の着脱にもすべて適用可能である。被支持体と支持体の区別は便宜上であって、相互に固定されるものの一方を支持体とし、他方を被支持体と定義し、これらを逆にすることも可能である。
【0022】
着脱部1は、全体として平面視略台形状板状をなし、四隅の角は丸く面取りされている。本発明において着脱部1の平面形状は、機器によって適当なものが選択されるべきである。本実施形態では略台形状の前方である上底と後方である下底の辺は直線であるが、例えば全体に丸みをおびるなどしていてもよい。つまり、本発明において「略台形状」は便宜上用いている表現であって、上底と下底が平行でなくてもよい。また、平面視して前後の幅のほうが左右の幅よりも大きいが、前後の幅を大きくして細長い形状としてもよい。また、この着脱部1は被支持体に対して着脱可能とされているが、必要に応じては着脱部1を被支持体と分離不可能な一体構造としてもよい。
【0023】
さらに着脱部1は、略台形状の上底に相当する長さが下底に相当する長さよりも短ければ、つまり前方がすぼまった形状であれば、一対の側辺と、後述する着脱部1の本体3の収容部4への挿入方向とのなす角度は、左右の辺で違っていてもよい。例えば片方の辺と、着脱部1の本体3の収容部4への挿入方向とのなす角度を0°として、もう片方の辺のみ0°よりも大きく内側に傾斜されていてもよい。この角度は限定されないが、一辺が内側に3°から30°の角度を持っていることが好ましく、より好ましくは5°から10°であり、一対の左右の辺の当該角度の絶対値を合計して10°から20°がさらに好ましい。
【0024】
図1および図2に示すように、着脱部1の、平面視略台形状の一対の側辺には、下方へ向かうほど外側へ張り出す傾斜面を有する被固定部2がそれぞれ形成されている。これら被固定部2は、後述する本体3の固定部5によって着脱部1をいわゆるくさび効果で固定するために使用される。本実施形態では被固定部2は着脱部1の厚みの全域に亘って設けられているが、例えば被固定部2が着脱部1の底面から厚みの2分の1程度まで形成され、残りの上部は垂直面とされていてもよい。
【0025】
被固定部2の着脱部1の底面からの角度は、30°から80°が好ましく、より好ましくは45°から75°であるが、この範囲に限定されない。また、左右の被固定部の着脱部1の底面からの角度は、本実施形態のように同一にされていてもよいし、左右の被固定部の着脱部1の底面からの角度が異なっていてもよい。
【0026】
また、本実施形態では、被固定部2は着脱部1の略台形状の一対の側辺の全長に亘って形成されているが、必ずしも全長に亘って形成されていなくてもよい。被固定部2は、後述する本体3の固定部5によって着脱部1をいわゆるくさび効果で固定することができる範囲において省略が可能である。例えば、着脱部1の前後方向の中間位置の被固定部2を省略してもよい。また一対の側辺の片側だけ被固定部2の一部を省略することも可能である。
【0027】
着脱部1のほぼ中央部には、着脱部1の前後方向に向けて延びる長穴6が形成され、この長穴6を貫通してカメラ取り付けネジ7が上向きに装着されている。このカメラ取り付けネジ7の上端を、図示しないカメラの底面に形成されているねじ穴に締め込むことにより、カメラに着脱部1が固定される。カメラ取り付けネジ7は、長穴6に沿って着脱部1の前後方向に平行移動できる。
【0028】
取り付けるべき機器によっては、着脱部1の左右方向に延びる長穴6が形成されていてもよいし、前後方向および左右方向の両方へ延びる十字型の長穴6が形成されていてもよいし、長穴6の代わりにカメラ取り付けネジ7が着脱部1の適当な一ケ所に回転可能に貫通されていてもよい。着脱部1とカメラ取り付けネジ7が一体的に形成され、着脱部1の全体を回してカメラ取り付けネジ7をカメラにねじ込む構成であってもよい。カメラ取り付けネジ7の個数も1個に限定されず、2個以上あってもよい。
【0029】
カメラ取り付けネジ7の下端には図8に示すようにフランジ状の頭部が形成され、マイナス溝が形成されている。着脱部1の下面中央には、長円形のネジ収容凹部8が形成されており、カメラ取り付けネジ7の頭部はこのネジ収容凹部8に収められ、カメラ取り付けネジ7の頭部は着脱部1の底面から突出しないようになっている。カメラ取り付けネジ7は硬貨などで回すことができる。
【0030】
着脱部1の上面は、カメラを取り付けるカメラ台9とされている。カメラ台9の上面には、カメラの滑り止めをするための図示しない弾性的な摩擦体(弾性支持層)が、貼付又は一体形成されていてもよい。摩擦体の材質としては、ゴム、コルク、プラスチック、スポンジ、なめし皮、エラストマー、コルクラバーなどが例示できるが、これらに限定されない。
【0031】
カメラ台9の形状は、例えばカメラ台9の両端部を張り出すことによって、被支持体に合わせて任意に変更してもよい。カメラ台9の上面は平面でなくてもよく、カメラが取り付けネジ7を軸として回転しないように、カメラ台9の上面の一部に、カメラの側面に係合する背当て突起などを形成してもよいし、機器の底面形状に合わせた凹凸を有する形状とすることもできる。
【0032】
本体3は着脱部1よりも平面視して横幅が大きい矩形状をなし、その左右の側面は外側に向かって若干膨出している。本体3の平面形状は矩形に限定されない。また、本実施形態では本体3の前後方向の長さは、着脱部の前後方向の長さと同一とされているが、同一でなくてもよい。支持体と被支持体に合わせて、適切な大きさにすればよい。
【0033】
本体3の上面には、図1ないし図4に示すように、着脱部1を収容するための略台形状の収容部4が形成されている。収容部4の左右には、略台形状の一対の側辺の位置に、着脱部1の被固定部2と相補的な傾斜面を有する固定部5が形成されている。着脱部1を収容部4に固定するには、着脱部1を収容部4に対して後述する固定手段によって前進させればよい。着脱部1は平面視略台形状であるから、着脱部1が収容部4に対して前進すると、被固定部2は収容部4の固定部5に左右から挟圧され、横方向の移動が阻止され、また前後方向の移動も阻止される。さらに、被固定部2は下方へ向かうほど外側へ張り出す傾斜面を有するし、固定部5は被固定部2と相補的ないわゆるオーバーハングした傾斜面を有する。したがって、着脱部1が収容部4に対して前進すると、被固定部2は収容部4の固定部5と係合して下方に押圧され、収容部4に着脱部1の底面が押し付けられるから、上下方向の移動も阻止される。これで、着脱部1の収容部4に対する自由度はすべて奪われ、着脱部1は本体3に対して強固に固定される。この固定の効果は、いわゆるくさび効果と呼ばれるものである。
【0034】
なお、本実施形態では、固定部5は収容部4の略台形状の一対の側辺の全長に亘って形成されているが、必ずしも全長に亘って形成されていなくてもよい。固定部5は、前述した本体3の固定部5によって着脱部1をいわゆるくさび効果で固定することができる範囲において省略が可能である。例えば、収容部4の前後方向の中間位置の固定部5を省略してもよい。また一対の側辺の片側だけ固定部5の一部を省略することも可能である。
【0035】
本体3の中央部には、図1および図2に示すように、本体3を垂直に貫通する雌ネジ穴10が形成され、この雌ネジ穴10に、図示しない三脚や雲台等(支持体)のカメラネジが締め込まれることにより、本体3が三脚等へ固定される。雌ネジ穴10は2個以上有ってもよいし、位置も任意である。本体3は、三脚等(支持体)と一体に、または三脚の雲台(支持体の着脱可能な一部)と一体に形成されていてもよい。本体3の適当な位置に図示しない水準器を設け、カメラの水平出しを容易にしてもよい。
【0036】
本体3の固定部5の上側には、図1ないし図3および図5ないし図7に示すように、略台形状の下底寄りに位置して、一対の規制部11が内側に突出させて設けられており、また、着脱部1の被固定部2の下側に、略台形状の下底寄りに位置して、一対の被規制部12が外側に突出させて設けられている。規制部11と被規制部12は、着脱部1が収容部4に収容された時に、若干の距離を隔てて互いに対向する位置にある。
【0037】
着脱部1が収容部4から離脱する際に、固定部5の規制部11は着脱部1の被規制部12に当接して、着脱部1の下底付近つまり着脱部1の後方を上方から押さえつける。すると着脱部1は収容部4に対し前後方向の直線運動のみが可能になる。したがって固定手段の解放操作をしても、規制部11と被規制部12が、互いに対向する位置にあるときには、後退移動のみが許されることになる。
【0038】
この点をさらに詳しく説明する。従来のくさび効果を利用した迅速着脱装置では、固定部と被固定部がその全域に亘って傾斜面で形成されていた。また、くさび効果を利用するためには、着脱部と収容部の形状は平面視略台形状でなければならない。被支持体の重心が着脱部よりも前方、つまり略台形状の上底より前方にあるときに、固定手段の解放操作をすると、着脱部の上底が下がり下底が上がるような自律的な回転を始める。着脱部の下底側が上がると、被固定部が固定部との係合は保ちつつも、その傾斜面にそって上方に離脱してゆく。しかも、着脱部はくさび効果を得るために、平面視略台形状をしていて、下底よりも上底のほうがよりすぼまった形状をしている。したがって、着脱部の下底側が上方に離脱してゆくと、着脱部が収容部に対して自律的に後退移動する。その結果、着脱部は収容部から完全に離脱し、被支持体は転落してしまうのである。
【0039】
これに対し、本実施形態では、図3および図5および図6に示すように、固定部5の規制部11と、被固定部2の被規制部12が、互いに対向する位置にあり、規制部11は着脱部1の被規制部12に当接して、着脱部1の下底付近つまり着脱部1の後方を上方から押さえつけることができる。したがって、被支持体の重心の影響で着脱部1の上底が下がり下底が上がるような自律的な回転を始めようとしても、回転することができない。だから、着脱部1の下底側が上方に離脱してゆくこともないし、着脱部1が収容部4に対して自律的に後退してしまうこともない。この効果は固定手段の解放操作をした直後はもとより、図6に示すように、着脱部1が収容部4に対して所定量後退しても持続される。したがって、従来のくさび効果を利用した迅速着脱装置に比べて、極めて安全なのである。
【0040】
本実施形態の迅速着脱装置の着脱部1を収容部4から離脱させるには、図6および図7で示すように、まず後述する固定手段の解放操作をして、着脱部1の固定を解除したのち、着脱部1を収容部4に対して直線的に後退移動させる。このとき規制部11と被規制部12は係合しているから、直線的な後退移動のみが許される。さらに着脱部1を後退させると、規制部11と被規制部12が、互いに対向する位置から外れるので、ここで着脱部1は上方に離脱させることができる。したがって、被支持体を支持体から離脱させるために、着脱部1を収容部4に対して、その全長に亘って直線的に引き抜かなくてもよい。また、着脱部1を収容部4に収容するときも、着脱部1の上底を収容部4の上底と下底の中間付近の位置に上方から落とし込むように載せてから前方に向けて直線的に移動させればよい。
【0041】
例えば、着脱部1の被固定部2の全域にわたって被規制部12を設けると、固定作業をするときに、規制部11と被規制部12とを、目視や手探りではめ合わせる手間が必要になる。着脱部1の離脱作業も、着脱部1を収容部4に対して所定量後退させるだけでは、着脱部1は収容部4から上方に離脱できずに、着脱部1のほぼ全域に亘って直進後退させなければならない。これでは、迅速性に欠ける欠点がある。
【0042】
本実施形態では、図1ないし図3および図6および図7に示すように、規制部11と被規制部12を、着脱部1の略台形状の上底が、収容部5の略台形状の下底に至る以前に着脱部1が収容部4から上方に離脱できる位置に設けている。このため、固定作業をするときに、着脱部1の上底を収容部4の上底と下底の中間付近の位置に上方から落とし込むように載せてから前方に向けて移動させればよい。また離脱作業をするときにも、着脱部1を収容部4に対して所定量後退させれば、着脱部1は収容部4から上方に離脱できる。したがって迅速性に優れる。
【0043】
なお、本実施形態では、規制部11と被規制部12の形状は直線的に張り出したような形状とされているが、この形状に限定されない。例えば規制部11がピンの形状でもよい。また、本実施形態では、着脱部1は平面視して略台形状であり、被規制部12も略台形状の中に収まった形状をしているが、被規制部12がさらに突出している形状をしていてもよい。
【0044】
着脱部1の裏面には、図1および図2および図8で示すように、凹部13、ネジ収容凹部8、空孔14が設けられている。空孔14は着脱部1の軽量化を図るためのものである。空孔14はなくてもよい。
【0045】
凹部13には、着脱部1の略台形状の上底から下底方向に向けて順に、進入カム15、固定カム16、後退カム17、が設けられている。本実施形態では凹部13は四方を閉鎖されているが、必ずしも閉鎖されていなくてもよい。例えば、凹部13の着脱部1の上底側、つまり前方を開放してあってもよい。この場合、後述する固定手段がその解放された部分を通過できるから、着脱部1の着脱がよりスムーズになる。
【0046】
また、本実施形態では凹部13は平面視左側に設けられているが、この位置に限定されない。例えば平面視中央に設けられていてもよい。また本実施形態では、凹部13は1箇所とされているが、1箇所に限定されない。例えば凹部13が2箇所あり、後述する本体3の固定手段が、例えば2箇所あって、2箇所の凹部13の進入カム15、固定カム16、後退カム17に連動するようにしてもよい。また例えば、凹部13が第1の凹部13と第2凹部13の2箇所であり、支持体や被支持体によって、本体3を複数使い分けて、例えば第1の本体3では第1の凹部13の進入カム15、固定カム16、後退カム17を使い、第2の本体3では第2の凹部13の進入カム15、固定カム16、後退カム17を使うようにしてもよい。
【0047】
本体3の収容部4には、図1および図2および図4および図9ないし図14で示すように、着脱部1を収容部4に収容した際、着脱部1の凹部13と対峙する位置に、カムフォロア収容凹部18が設けられている。カムフォロア収容凹部18内にカムフォロアユニット19があり、その中心穴19aが中心軸20で、カムフォロアユニット19が本体1に対し揺動可能に支持されている。中心軸20は、丸ナット20aと小ネジ20bで構成され、丸ナット20aの段付き部20cが中心穴19aの係合部19bに係合し、カムフォロアユニット19が上方に抜けないようにされている。この中心軸20の構成はカムフォロアユニット19を、厚さを増さないで本体3に支持できるから好ましいが、カムフォロアユニット19がカムフォロア収容凹部18に揺動可能に支持されていれば、この構成には限定されない。なお、本実施形態では小ネジ20bが本体3底面からねじ込んであるが、本体3に雌ねじを設けて、丸ナット20aの上方からねじ込んでもよい。
【0048】
カムフォロアユニット19には、カムフォロアユニット19を操作する操作部21が水平方向に延びるように一体的に形成されている。操作部21の先端は、本体3の平面視左側に突出している。ただし、カムフォロアユニット19の揺動操作さえ可能であれば、カムフォロアユニット19に操作部21を必ずしも一体形成しなくてもよく、例えば、カムフォロアユニット19に、本体3を貫通するシャフトを固定し、このシャフトの下端にレバー状やダイヤル状の操作部を形成してもよい。
【0049】
また、カムフォロアユニット19には、固定手段であるカムフォロア22と、後述する付勢手段からの付勢力を受けるアーム23が、中心軸20を挟んでほぼ対象の位置に、一体的に形成されている。カムフォロア22は、中心軸20よりも後方の位置で、着脱部1の凹部13に向けて突出している。カムフォロア22は、凹部13の進入カム15、固定カム16、後退カム17とそれぞれ係合できる。本実施形態ではカムフォロア22は円筒形をしているが、進入カム15、固定カム16、後退カム17と係合できるならば、円筒形に限定されない。また、本実施形態ではカムフォロア22とアーム23がカムフォロアユニット19に一体的に形成されているが、必ずしも一体的に形成される必要はなく、ねじ止めなどで組み立ててもよい。
【0050】
さらに、本実施形態では固定手段であるカムフォロア22は収容部4に対し揺動するようにされているが、必ずしも揺動しなくともよい。カムフォロア22は本体3の収容部4に対して、着脱部1の収容部4への挿入方向と直交する方向に、つまり横方向に移動可能とされていればよい。例えば、着脱部1の方向に突出したカムフォロア22が、横方向にのみスライド可能とされ、カムフォロアユニット19は収容部4を横断するスライダーの形状であってもよい。この場合、操作部21の操作方向は、横方向になっていてもよい。
【0051】
本体3には、図1および図2に示すように、ばね収容部24が形成され、その中に付勢手段であるばね25を収容している。ばね25の一端は、ばね収容部24の一端と当接し、他の一端は押しピン26を介してカムフォロアユニット19のアーム23を平面視左方向に付勢している。アーム23とカムフォロア22は、カムフォロアユニット19の中心軸20を挟んでほぼ対象の位置にあるから、固定手段であるカムフォロア22は、平面視右方向に付勢される。押しピン26はアーム23との接点が丸く面取りされ、ばねの方向にはロッド23aが一体的に形成されている。ばね25は、ばね収容部24とロッド26aによって案内されている。
【0052】
なお、本実施形態では付勢手段は圧縮コイルばねを使用しているが、カムフォロア22を付勢できれば、圧縮コイルばねに限定されない。例えば中心軸20より後方の位置に、引っ張りコイルばねを設けてもよい。また、中心軸20にねじりばねを設けて、カムフォロアユニット19が旋回するように付勢してもよい。また付勢手段は、ばねに限らず、ゴムやエラストマーなどの弾性体であってもよい。また、付勢手段の付勢方向も、固定手段が固定することができれば、着脱部1の凹部13の進入カム15、固定カム16、後退カム17の向きと合わせて、例えば本実施形態とは逆向きに変更してもよい。
【0053】
次に、図7および図9ないし図14に示すように、着脱部1が本体3の収容部4に収容され、固定手段であるカムフォロア22によって固定され、さらに、操作部21の操作により着脱部1の離脱動作が開始され、離脱が完了するまでの、各部の動作を説明する。
【0054】
着脱部1を本体3の収容部4に収容するときは、図9に示すように、着脱部1の略台形状の上底つまり前端を、収容部4の略台形状の上底と下底の中間付近の位置に上方から落とし込むように載せる。この時、カムフォロア22は付勢手段のばね25によって移動させられたままの位置で、着脱部1の凹部13に進入している。収容部4の固定部5と着脱部1の被固定部2は、未だ係合していない。また、カムフォロア22も進入カム15に係合していない。
【0055】
次に、図10に示すように、着脱部1を収容部4に対して前進させる。カムフォロア22は進入カム15と係合しつつ、付勢手段のばね25の付勢力に抗して平面視左方向に揺動させられる。収容部4の固定部5と着脱部1の被固定部2は、未だ係合していないが、収容部4の前方はすぼまっているから、着脱部1を収容部4から上方に離脱しようとすると、固定部5が被固定部2に係合して、上方への離脱を阻止する。また、規制部11と被規制部12は互いに対向する位置に至ったので、ここでも上方への離脱は阻止される。
【0056】
さらに着脱部1を前進させると、図11に示すように、カムフォロア22は進入カム15によって平面視左方向に、進入カム15の先端まで揺動する。このとき、付勢手段のばね25は大きく変位している。
【0057】
尚も着脱部1を前進させると、図12に示すように、カムフォロア22は、ばね25によって付勢されているから、平面視右方向に揺動し、固定カム16と自律的に係合する。固定カム16はカムフォロア22が係合しつつ平面視右方向に揺動すると、着脱部1を収容部4に対して前進させるような形状とされている。したがって、固定手段であるカムフォロア22は、付勢手段であるばね25によって自律的に、着脱部1を収容部4に対して前進させる。
【0058】
固定手段であるカムフォロア22によって着脱部1が収容部4に対して前進すると、被固定部2は収容部4の固定部5に左右から挟圧され、横方向の移動が阻止され、また前後方向の移動も阻止される。さらに、被固定部2は収容部4の固定部5と係合し、下方にも押圧されて、収容部4に着脱部1の底面が押し付けられるから、上下方向の移動も阻止される。これで、着脱部1の収容部4に対する自由度はすべて奪われ、着脱部1は収容部4に対して、いわゆるくさび効果によって強固に固定される。このときに、着脱部1は収容部4の固定部5に対して、くさび効果によって固着状態にもなる。なお、操作部21を手で操作し、さらに固定手段による固定力を高めてもよい。
【0059】
さて、着脱部1が収容部4に固定されているときに、誤って操作部21を操作してしまう場合を考える。固着状態を解除する後退カム17は固定カム16より後方に位置しているから、操作部21を大きく操作しなければ、固着状態は解除されない。したがって、誤って操作部21を操作しても、操作の幅が小さければ固着状態は解除されないから、着脱部1が収容部4から離脱することはない。
【0060】
またほとんどの場合、誤って操作部21を操作するのは、手やストラップ、ケーブル類がたまたま操作部21に当たったときであって、その作用時間は短い。カムフォロア22は常にばね25によって固定カム16と係合する方向に付勢されている。したがって誤って操作部21を操作しても、例えば操作の幅が小さければ、固着状態が維持されたままでカムフォロア22は固定カム16と係合する位置に復帰できるから、被支持体は固定状態を維持し続けるので安全である。また、例えば被支持体がカメラであれば、その撮影作業にまったく影響しない。
【0061】
もし、誤った操作部21の操作の幅が大きく、カムフォロア22が後退カム17に係合し、固着状態が解除されたとする。この場合、例えば被支持体がカメラであれば前方のレンズが下方に回転を始めるのであるが、カメラの慣性質量は相対的に大きく、回転の初めではその角速度は小さい。対して、カムフォロア22およびカムフォロアユニット19の慣性質量は相対的に十分小さく、かつばね25によって固定動作する方向、すなわち平面視右方向に揺動するように付勢されているから、極短時間でカムフォロア22は固定カム16と係合する位置に復帰できる。したがって、誤った操作部21の操作の幅が大きくても、被支持体が離脱してしまう前に、固定状態に復帰できる。
【0062】
さて、着脱部1を収容部4に対して離脱させるときは、図13に示すように、操作部21を付勢手段のばね25の付勢力に抗して、平面視前方に大きく揺動させる。操作部21と一体的に形成されたカムフォロアユニット19によって、カムフォロア22は平面視左方向に揺動する。すると、カムフォロア22は着脱部1の凹部13の後退カム17と係合する。カムフォロア22が後退カム17と係合して、さらに平面視左方向に揺動すると、着脱部1は収容部4に対して後退移動する。その結果、着脱部1は収容部4に対して、くさび効果によってなった固着状態を解消することができる。
【0063】
続いて、操作部21を平面視前方に大きく揺動させたまま手で保持しておき、着脱部1を収容部4から後退させる。カムフォロア22が固定カム16に係合しない程度に着脱部1を後退させれば、図14に示すように、操作部21から手を離してもよい。この時、収容部4の固定部5と着脱部1の被固定部2は、係合していないが、収容部4の前方はすぼまっているから、着脱部1を収容部4から上方に離脱しようとすると、固定部5が被固定部2に係合して、上方への離脱を阻止する。また、規制部11と被規制部12は、未だ互いに対向する位置にあるから、ここでも上方への離脱は阻止される。
【0064】
さらに着脱部1を後退させると、図7に示すように、固定部5と被固定部2は、もはや係合することはないし、規制部11と被規制部12が、互いに対向する位置から外れるので、ここで着脱部1は上方に離脱させることができる。
【0065】
なお、操作部21が誤って緩む方向に揺動させることのないように、操作部21に、手動でロックを解除しない限り固定状態からの操作部21の揺動を阻止するロック機構を追加してもよい。ロック機構としては、例えば、ピン、ダボ、鉤などで操作部21を係止させ、ロック解除時には、これらピン、ダボ、鉤などを変位させ、ロックを解除するようにしてもよい。
【0066】
以上実施形態を説明したが、本発明は本実施形態に限定されず、特許請求の範囲内でいかなる変形も可能である。例えば、他の周知な構成と置換したり加えたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る迅速着脱装置は、着脱部の凹部には着脱部の上底から下底方向に向けて、つまり前方から順に、進入カム、固定カム、後退カムがカムフォロアと係合するように設けられている。着脱部は平面視略台形状とされ、その一対の側辺に下方に向けて外側へ張り出す傾斜面を有する被固定部が形成されていて、収容部には着脱部と相補的な略台形状の一対の側辺の位置に、前記被固定部と相補的な傾斜面を有する固定部が形成されている。したがって、固定手段が機能して着脱部が収容部に対して前進すると、いわゆるくさび効果で着脱部は収容部に対して強固に固定されるとともに、固着状態になる。固着状態を解除する後退カムは固定カムより後方に位置しているから、操作部を大きく操作しなければ、固着状態は解除されない。したがって、誤って操作部を操作しても、操作の幅が小さければ固着状態は解除されないから、着脱部が収容部から離脱することはない。
【0068】
またほとんどの場合、誤って操作部を操作するのは、手やストラップ、ケーブル類がたまたま操作部に当たったときであって、その作用時間は短い。したがって誤った操作部の操作の幅が大きく、カムフォロアが後退カムに係合し、固着状態が解除されたとしても、被支持体の慣性質量は相対的に大きく、回転の初めではその角速度は小さい。対してカムフォロアの慣性質量は相対的に十分小さく、かつ付勢手段によって固定動作する方向に付勢されているから、極短時間でカムフォロアは固定カムと係合する位置に復帰できる。したがって、誤った操作部の操作の幅が大きくても、被支持体が離脱してしまう前に、固定状態に復帰できる。
【0069】
しかも、固定カムの前方には進入カムが設けられている。被支持体の固定作業をするときには、着脱部の上底を収容部の上底と下底の中間付近の位置に上方から落とし込むように載せてから前方に向けて移動させれば、進入カムがカムフォロアを付勢手段に抗して移動させることができる。つまり、カムフォロアを例えば手で移動しなくてもよいので、迅速に固定作業を行なうことができる。
【0070】
さらに、本発明に係る迅速着脱装置では、安全性を例えば操作部にストッパーなどの安全装置を設けずに確保しているから、製作が容易であり、製作コストも低減できる。さらに、ストッパーを設定したり解除したりする必要が無く、操作性にも優れているから、産業上の利用可能性に優れる。
【符号の説明】
【0071】
1 着脱部
2 被固定部
3 本体
4 収容部
5 固定部
6 長穴
7 カメラ取り付けネジ
8 ネジ収容凹部
9 カメラ台
10 雌ネジ穴
11 規制部
12 被規制部
13 凹部
14 空孔
15 進入カム
16 固定カム
17 後退カム
18 カムフォロアユニット収容凹部
19 カムフォロアユニット
19a 中心穴
19b 係合部
20 中心軸
20a 丸ナット
20b 小ネジ
20c 段付き部
21 操作部
22 カムフォロア
23 アーム
24 ばね収容凹部
25 ばね
26 押しピン
26a ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に被支持体を取り付けるための迅速着脱装置であって、
前記被支持体に取り付けられる着脱部(1)と、
前記支持体に取り付けられる本体(3)とを有し、
前記着脱部(1)は、平面視した場合に上底の長さが下底の長さより小さい略台形状であり、
前記着脱部(1)の一対の側辺には下方に向けて外側へ張り出す傾斜面を有する被固定部(2)が形成されており、
前記本体(3)には、前記着脱部(1)を収容するための前記着脱部(1)と相補的な略台形状をなす収容部(4)が設けられ、
前記収容部(4)には、前記着脱部(1)の前記被固定部(2)の前記傾斜面と相補的な傾斜面を有する固定部(5)が形成され、
前記着脱部(1)を前記本体(3)に固定する固定手段を有し、
前記固定手段は、
前記本体(3)に設けられ、前記収容部(4)の内側へ突出するとともに、前記収容部(4)に対する着脱部(1)の挿入方向と直交する方向に移動可能とされたカムフォロア(22)と、
前記カムフォロア(22)を前記直交方向に沿って付勢する付勢手段(25)と、
前記カムフォロア(22)を移動させるための操作部(21)と、
前記着脱部(1)に形成され、前記着脱部(1)が前記収容部(4)に収容された際に前記カムフォロア(22)を収容する凹部(13)とを有し、
前記凹部(13)には、前記着脱部(1)の前記上底側から前記下底側に向けて順に、進入カム(15)、固定カム(16)、および後退カム(17)が設けられ、
前記進入カム(15)は、前記着脱部(1)を前記収容部(4)に対して挿入していく際に前記カムフォロア(22)と係合し、前記付勢手段(25)の付勢力に抗して前記カムフォロア(22)を移動させる形状を有し、
前記固定カム(16)は、前記着脱部(1)を前記収容部(4)に対してさらに挿入していき、前記カムフォロア(22)と前記進入カム(15)との係合が外れ、前記カムフォロア(22)が前記付勢手段(25)によって初期位置に復帰される際に、前記カムフォロア(22)と係合して、前記着脱部(1)を前記収容部(4)に対し挿入方向へ移動させる形状を有し、
前記後退カム(17)は、前記着脱部(1)を前記収容部(4)に装着した状態で、前記操作部(21)を操作して前記カムフォロア(22)を前記付勢方向とは逆方向に移動させた際に、前記カムフォロア(22)と係合して、前記着脱部(1)を前記収容部(4)から引き抜く方向に移動させる形状を有することを特徴とする迅速着脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−207794(P2012−207794A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129316(P2012−129316)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−341658(P2007−341658)の分割
【原出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(599132270)有限会社梅本製作所 (4)
【Fターム(参考)】