説明

近接検出機能をもつ撮像装置

【課題】 近接検知センサーとセンサー保護部材の距離を安定させることで、センサー性能を向上させた撮像装置を提供すること。
【解決手段】 対象物に光を投光する投光素子と、前記対象物からの反射光を受光する受光素子と、前記投光素子と前記受光素子の前方に配置される保護部材と、前記保護部材を取り付ける外装カバーと、前記保護部材を固定する固定部材を有し、前記投光素子と前記受光素子は同一プリント基板上に実装され、前記固定部材は前記外装カバーに対して少なくとも1つの圧接部を有し、前記外装カバーは圧接部を有し、前記外装カバーの圧接部により、前記基板と前記保護部材と前記固定部材を前記受光素子の検知方向に対して圧接保持する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の近接を検出する近接検出装置および近接検出機能を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影者がファインダー近傍に存在することを検知する近接検知部を有するカメラが提案されている。例えば図8は特許文献1に開示されている、デジタルカメラの近接検知手段の構成である。このカメラの近接検知手段は、投光素子41や受光素子42、前記投光および受光素子を覆う光学部材40、保持するホルダー45で構成される。
【0003】
また特許文献2では、ファインダー枠と近接検出部とを一体構成にしたカメラが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−286191号公報
【特許文献2】特開平05−72599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載の近接検知機能付きカメラでは、一般に近接検知を行うための受光素子および投光素子を有する近接検知センサーを備え、センサーの前方には、センサーを覆い保護する光学部材の保護窓を設ける必要があった。クロストークの発生やセンサー性能の低下を防ぐためには、センサーと保護窓を近づける必要がある。しかしながら、近接検知センサーと保護窓の距離のばらつきに関しては考慮されておらず、別部材であるため、近接検知センサーと保護窓との距離が固定されず、センサー性能が低下する恐れがあった。また単一部品の公差ばらつきを考慮して近接検知センサーとセンサー保護窓との距離を設ける必要があり、近接検知センサーと保護部材との間における干渉光によるクロストークの発生が懸念された。
【0006】
また、特許文献2に記載の近接検知機能付カメラでは、ファインダー枠と近接検知部を一体とした構成であり、投光素子を実装したプリント基板はファインダー枠に対して熱加締めされている。しかしながら、外装であるファインダー枠とセンサー保護窓の検知方向のガタつきに関しては考慮されていない。このため、外装に対してセンサー保護窓の位置は決まらず、ばらつく恐れがあり、検知性能の低下や外圧に対して不利という懸念があった。また近接検知部とセンサー保護窓との距離は、組立および単一部品の公差ばらつきを考慮した組立が行えるように、十分に距離を設ける必要があった。このため、受光素子と保護窓との距離を短くすることが難しく、受光素子と保護部材との間における干渉光によるクロストークの発生が懸念された。
【0007】
そこで本発明の目的は、近接検知センサーとセンサー保護窓の距離を安定させることで、センサー性能を向上させた撮像装置を提供することである。さらに、近接検知センサーと保護窓の距離を近づけることにより、クロストークを生じにくい撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、対象物に光を投光する投光素子と、
前記対象物からの反射光を受光する受光素子と、
前記投光素子と前記受光素子の前方に配置される保護部材と、
前記保護部材を取り付ける外装カバーと、
前記保護部材を固定する固定部材を有し、
前記投光素子と前記受光素子は同一プリント基板上に実装され、
前記固定部材は前記外装カバーに対して少なくとも1つの圧接部を有し、
前記外装カバーは圧接部を有し、
前記外装カバーの圧接部により、
前記基板と前記保護部材と前記固定部材を前記受光素子の検知方向に対して圧接保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、近接検知センサーとセンサー保護部材の距離が安定するため、近接検知センサーの検知精度を向上させることができる。さらに、近接検知センサーとセンサー保護部材の距離を近づけることにより、クロストークを生じにくい撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るカメラの背面斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る検知手段の分解斜視図である。
【図3】検知手段固定部材の固定方向を説明するための分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に示す検知手段固定部材である。
【図5】本発明の実施の形態に係るカメラの部分背面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における図5のA−A線に沿う断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における図5のA−A線に沿う断面図である。
【図8】従来の近接検知手段の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る近接検知装置を設けた撮像装置を背面側から見た斜視図である。図1において、1はカメラ本体、2は電源スイッチ、3はファインダー、4は撮影者がファインダー近傍に接近したことを検知する近接検知手段である。5は撮影画像の表示および選択、メニュー機能の選択・設定のための表示を行う画像表示器である。近接検知手段4はカメラ背面のファインダー上方に配置されている。
【0012】
[実施例1]
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図2と図3は本実施形態に係る撮像装置の近接検知手段4の構成を説明するための分解斜視図である。402の投光素子は、電流を流した場合に主に赤外光を発光するLEDであり、電流量に応じて発光出力を変化させることができる。403は投光素子402から放射された光の反射光を検出する受光素子であり、受光した光の波長や強度によって電流を発生させる受光センサーである。投光素子402と受光素子403は一体パッケージでプリント基板404上に実装され、前面には投光部及び受光部を覆うための光学部材の保護部材(以下、保護窓)401がある。
【0013】
図4(a)(b)は、投光素子402と受光素子403が実装されたプリント基板404と保護窓401の距離を固定するための、検知手段固定部材410である。検知手段固定部材410は、凸の円弧形状である圧接部410a、410bを有し、図3に示すように、位置決め穴410cを外装カバー7の位置決めピン7cに対して挿入することで位置決めされて固定される。圧接部は凸の円弧状であるため、作業性が良い。圧接部410a、410bは、保護窓401の中心軸近傍に対して相対向する位置にあり、圧接方向は投光素子402と受光素子403の検知方向に平行である。このため、検知手段固定部材410は、圧接による回転モーメントを生じにくく、作業性が良い。検知手段固定部材410は、圧接部410a、410bの圧接方向に対して略直交方向で外装カバー7に固定し、固定のためのスペースは省スペースにできる。位置決め穴410cは圧接方向に平行な長穴であり、検知手段固定部材410は傾かずに固定できる。
【0014】
図5は本発明の実施の形態に係るカメラの部分背面図である。図6は、実施例1における図5のA−A線に沿う断面図である。検知手段固定部材の圧接部410a、410bは、外装カバーの圧接部7a、7bとそれぞれ圧接することで、プリント基板404と保護窓401、検知手段固定部材410を圧接保持する。圧接方向は、投光素子402の投光方向と受光素子403の検知方向に略平行である。
【0015】
本実施の形態は、外装カバーの圧接部7a、7により、プリント基板404と保護窓401、検知手段固定部材410を圧接保持する。これにより、保護窓401とプリント基板404に実装された投光素子402と受光素子403との距離のばらつきをなくし、検知精度を向上させることができる。さらに、投光素子402と受光素子403と保護窓401の距離を近づけることにより、クロストークを生じしにくくさせることができる。
【0016】
[実施例2]
次に図7を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、実施例1と同一の構成部品については同一の符号を付し、実施例1と異なる部分について説明する。
【0017】
図7は、実施例2における図5のA−A線に沿う断面図である。検知手段固定部材450は圧接部450aを有し、外装カバーの圧接部7dと圧接することで、プリント基板404と保護窓401、検知手段固定部材450を圧接保持する。圧接部450aは、保護窓401の中心軸近傍に凸の円弧形状である。このため、検知手段固定部材450の組立作業性は良い。
【0018】
本実施の形態は、外装カバーの圧接部7dで、プリント基板404と保護窓401、検知手段固定部材450を圧接保持する。これにより、保護部材401とプリント基板404に実装された投光素子402と受光素子403との距離のばらつきをなくし、検知精度を向上させることができる。さらに、投光素子402と受光素子403と保護窓401の距離を近づけることにより、クロストークを生じしにくくさせることができる。
【0019】
[その他の実施形態]
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 カメラ本体
3 ファインダー
4 近接検知手段
5 画面表示器
7 外装カバー
401 保護窓
402 受光素子
403 投光素子
410 検知手段固定部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に光を投光する投光素子(402)と、
前記対象物からの反射光を受光する受光素子(403)と、
前記投光素子と前記受光素子の前方に配置される保護部材(401)と、
前記保護部材を取り付ける外装カバー(7)と、
前記保護部材を固定する固定部材(410)を有し、
前記投光素子と前記受光素子は同一プリント基板(404)上に実装され、
前記固定部材は前記外装カバーに対して少なくとも1つの圧接部(410a、410b)を有し、
前記外装カバーは圧接部(7a、7b)を有し、
前記外装カバーの圧接部により、
前記基板と前記保護部材と前記固定部材を前記受光素子の検知方向に対して圧接保持することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記固定部材の圧接部(410a、410b)は凸形状であり、前記圧接部の凸形状先端が円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記固定部材(410)の固定方向は、圧接方向に対して直交することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記固定部材の圧接部(450a)は1つであり、前記保護部材の中心軸近傍にあることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記固定部材の圧接部(410a、410b)は2つ以上であり、少なくとも2つの前記圧接部は、前記保護部材の中心軸近傍に対して、相対向する位置にあることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記固定部材(410)は、前記外装カバーの所定位置に保持するための位置決め穴(410c)を有し、前記位置決め穴は圧接方向に平行な長穴であり、かつ1つ以上あることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83865(P2013−83865A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224785(P2011−224785)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】