説明

近接照射療法用プレロード針の調製方法及びシステム

近接照射療法で迅速かつ効率的なプレロード針サービスのために使用されるシステム及び方法が、滅菌シード、スペーサ、針、及び自動滅菌部品充填デバイスを無菌環境下で使用して、第三者ベンダーを経由する必要なしに提供される。システム及び方法は、例えば、前立腺癌などの治療に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に放射線療法に関する。具体的には、本発明は近接照射療法用のプレロード針を迅速かつ無菌的に準備するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近接照射療法は病変組織の近傍に放射線源を配置する医療の総称であり、患者の体内に放射線源を一時的に刺入(又は挿入)する場合と、永久的に刺入する場合がある。したがって、治療すべき患部の近傍に放射線源が位置する。そのため、周囲又は介在する健常組織の放射線被曝を比較的低くとどめて、患部に高い線量の放射線を投与できるという利点がある。
【0003】
関節炎、並びに乳癌、脳腫瘍、肝臓癌、卵巣癌などの癌を始めとする様々な疾患、特に男性の前立腺癌の治療に近接照射療法を用いることが提案されている(例えば、J.C.Blasko et al., The Urological Clinics of North America, 23, 633−650(1996)並びにH.Ragde et al., Cancer, 80, 442−453(1997)参照)。前立腺癌は米国で男性の悪性腫瘍のうち罹患率が最も高い病気であり、その死者数は1995年だけでも44000人を超える。治療には、放射線源を一時的に刺入し、予定期間経過後に摘出するものがある。別法として、放射線源を患者の体内に永久に刺入し、予定期間で崩壊させて不活性な状態とする場合もある。一時刺入法を用いるか永久刺入法を用いるかは、選択する同位体及び治療に要する期間と強度によって決まる。
【0004】
前立腺治療のための永久刺入は、一時線源に比べて半減期が比較的短く、エネルギーの低い放射性同位体を含んでいる。永久刺入し得る線源の例として、ヨウ素−125又はパラジウム−103を放射性同位体として含むものがある。放射性同位体は一般にチタンのようなケースに封入されて「シード」を形成しており、これを刺入する。前立腺癌の治療のための一時刺入には、イリジウム−192を放射性同位体として含むものがある。
【0005】
近接照射療法に用いられる従来の放射線源には、いわゆるシードがあるが、これは、例えばチタン製の密封容器で、容器/チャンバ壁を放射線が透過できる密封チャンバ内に放射性同位体が収容されている(米国特許第4323055号及び同第3351049号)。かかるシードは、チャンバ/容器壁部を透過し得る放射線を放出する放射性同位体での使用にしか適していない。したがって、シードは、β線を放出する放射性同位体ではなく、γ線又は低エネルギーX線を放出する放射性同位体と共に用いられる。
【0006】
一般に使用されるシードの具体例が幾つか存在する。OncoSeed(登録商標)(Amersham Health社製)シードは、ヨウ素−125を銀線に吸着させたものを収容した溶接チタン製カプセルからなる。0.191〜1.01ミリキュリーの見掛け放射能を有するOncoSeedシードが、低乃至中等度の放射線感受性である選択された局限性腫瘍の永久組織内刺入に適応される。これらは(前立腺癌又は切除不能腫瘍などの)1次治療として、又は1次腫瘍の切除後の残存病変の治療のために使用することができる。この見掛け放射能範囲のシードを使用して、表在性、腹腔内、及び胸腔内腫瘍を治療することができる。一般に、頭、頸、肺、膵臓、及び前立腺(初期)の腫瘍を治療する。
【0007】
1.01ミリキュリーを超える見掛け全放射能のOncoSeedシードが、切除不能、局限性、及び中程度の放射線感受性という特性を有する腫瘍の組織内治療に適応される。これらのシードは、一時刺入として選択的な照射の適用に使用することができる。
【0008】
OncoSeedシードはまた、外部照射療法や化学療法など、他の治療方式と併用して、又はその完了後に、残存腫瘍の治療に適応される。さらに、再発腫瘍にOncoSeedシードを移植することができる。
【0009】
一般に使用される別のタイプのシードは、EchoSeed(登録商標)(Amersham Health社製)である。EchoSeedシードは、ヨウ素−125を銀線に吸着させたものを収容した溶接チタン製カプセルからなる。カプセルの外面に明確に設計された溝によって、超音波下で可視化を強化することが可能になる。
【0010】
0.297〜0.673ミリキュリーの見掛け全放射能を備えたEchoSeedシードが、低乃至中等度の放射線感受性である選択された局限性腫瘍の永久組織内刺入に適応される。これらは前立腺癌又は切除不能腫瘍の1次治療として使用することができる。
【0011】
EchoSeedシードはまた、1次腫瘍の切除後の残存病変の治療のために使用することができる。EchoSeedシードはさらに、外部照射療法や化学療法など、他の治療方式と併用して、又はその完了後に、残存腫瘍の治療に適応される。さらに、再発腫瘍をEchoSeedシードで治療することができる。
【0012】
シードの第3の例はRAPID Strand(登録商標)(Amersham Health社製)である。RAPID Strandは、ポリグラクチン吸収性編組吸収性材料の内で一定距離で離間している、多数の(通常は10個の)OncoSeedシード(ヨウ素−125を銀線に吸着させたものを収容した溶接チタン製カプセル)からなる。OncoSeedを含む編組材料は補強され、次いでエチレンオキシドによって滅菌される。シードは、ヨウ素−125光子の99%超を減衰するステンレス鋼遮蔽チューブ内でプラスチックのスペーシングジグに収容されている。
【0013】
RAPID Strandは、低乃至中等度の放射線感受性である選択された局限性腫瘍の永久組織内刺入に適応される。これらは(前立腺癌又は切除不能腫瘍などの)1次治療として、或いは1次腫瘍の切除後の残存病変の治療のために使用することができる。
【0014】
RAPID Strandは、外部照射療法や化学療法など、他の治療方式と併用して、又はその完了後に適応することができる。
【0015】
一般に、放射性シードを針内部に充填し、次いで挿入プロセスを導くために超音波画像を使用して、針を前立腺などの治療部位に挿入する。放射性シードを、針内部に個別に配置し、針から取り出した後で治療部位に個別に留置する、或いは、中空の吸収性縫合糸部材内部に充填することによって、ストリング構成で連結する。
【0016】
米国特許第5460592号は、放射性デバイスを搬送するための方法及び装置を開示している。デバイスは、離間した放射性シードが中に配設された、可撓性の細長い網目状又は編組生体吸収性キャリア材料を含む。加熱すると、シードを保持するキャリア材料は半剛性になる。次いで、放射性シードが中に配設された半剛性のキャリア材料の長さを、例えば腫瘍などの治療部位の内部に又はその近傍に放射性シードを刺入するために使用する、従来の中空金属の投与針又はアプリケータカートリッジ内に充填することができる。
【0017】
一般に、OncoSeedシードやEchoSeedシードなどのシードは、出荷時には滅菌されておらず、使用前に滅菌する必要がある。針を充填した後に、蒸気滅菌、ガンマ線、パルスライト滅菌などの滅菌法を使用することができる。
【0018】
RAPID Strandは、出荷時に滅菌される。RAPID Strandは、ステンレス鋼遮蔽チューブ内部のプラスチックのスペーシングジグ内に保持されている。組み立てられたRAPID Strand、プラスチックスペーシングジグ、及びプラスチックトレイ内の鋼製遮蔽チューブは、バッグ内に密封された白い滅菌ポーチ内部に密封される。RAPID Strandは無菌的に準備(開封、切断、及び滅菌針内へ充填)されるとき、その後再滅菌する必要がない。
【0019】
エンドユーザが針を充填することには多くの煩雑性を伴う。米国特許第5242373号に開示された一般的方法では、交互に皿から拾い上げるばらのシード及び生分解性スペーサ(例えばカットグート製)から、シードプラグを手用で組み立てる。スペーサは、どのような所望の長さにもすることができ、シード間に必要な間隔をとるようシード間に配置することができる。次いで、組み立てられたプラグを、針を介して患者の体内に刺入する。この方法に伴う問題は、プラグを作製する人間が皿内のばらのシードからの照射に被曝し、またシードを刺入針内に充填するときにも照射に被曝することである。さらなる不利益は、かなりの数のシード及びスペーサを個別に扱わなくてはならず、端部同士が接する所望の「プラグ」を実現するためにそれぞれを正しい向きに構成しなくてはならないことである。シード/スペーサは、例えば長さが一般に4〜6mmで非常に小さく、手用による時間のかかる取り扱いが行われることになり、関連する放射線量が危険である。次いで、充填針を臨床で使用する前に滅菌する必要がある。しかし、この方法は、事前に作製したプラグによって幾つかのシードを患者の体内に一度に刺入することができ、手術室で費やす時間を短縮し、シードの空間的な間隔を刺入前に確認できるという利点を有しているために、使用されている。
【0020】
針充填プロセスには煩雑性と時間を要する性質が伴うため、プレロード針を提供するためのサービスがますます望ましくなっている。というのは、医療用途ですぐに使用するための、滅菌的に挿入される、処方を充填した針を提供することができるためである。
【0021】
現在、プレロード針を提供するサービスには、エンドユーザが処方された治療計画(例えば、シードの数と種類など)に従って、シード製造業者に注文を発注することが含まれる。シード製造業者は、在庫から注文に応じ、必要な数のシード及びスペーサを、例えば薬局などの第三者ベンダーに発送する。一方法では、第三者ベンダーが上述の方法を使用して針にシード及び/又はスペーサを充填する。シードを充填すると、これらのプレロード針を蒸気滅菌、ガンマ線、又はパルスライト滅菌を使用して滅菌する。次いで、滅菌プレロード針を、滅菌(生物学的インジケータ)試験のために別の滅菌施設に出荷する。滅菌性試験の後、滅菌プレロード針は、ラベル表示及び包装のために第三者ベンダーに返却される。或いは、シードを薬局で充填し、その後充填済みユニットとして滅菌場所に出荷することもできる。充填針は薬局に返却されるが、滅菌性はBIを読み取るまでは確認されない。最後に、ラベル表示及び包装されたプレロード針をエンドユーザに発送する。全プロセスには、約7〜10営業日を要する。
【0022】
現在、このようなプレロード針サービスを、金銭的価格及び受注から納入までの時間の両方においてかなりのコストで提供する、幾つかの第三者企業がある。したがって、受注から出荷までの時間を大幅に短縮でき、シード内で失われる放射能を最小限に抑えることができるように、プレロード針サービスを迅速で効率的な方法で提供することが大変望ましい。
【特許文献1】米国特許第4323055号明細書
【特許文献2】米国特許第3351049号明細書
【特許文献3】米国特許第5460592号明細書
【特許文献4】米国特許第5242373号明細書
【非特許文献1】J.C.Blasko et al,The Urological Clinics of North America,23,633−650(1996)
【非特許文献2】H.Ragde et al.,Cancer,80,442−453.(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、既知の線源のすべての不利益を被らずに、好ましくはプロセスを自動化し、並びに自動製造プロセスを使用しているかどうかに関わらず、シード及びスペーサを無菌的に充填することのできるプレロード針サービスのための方法の改良が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、第三者ベンダーを必要とせず、例えば滅菌部品及び自動滅菌部品充填デバイスを含む、迅速かつ効率的なプレロード針サービスのためのシステムを提供する。好ましくは、注文及び出荷工程は自動的に実行される。
【0025】
本発明はまた、第三者ベンダーを必要とせずに、滅菌部品及び自動滅菌部品充填デバイスを使用して、プレロード針サービスを迅速かつ費用効果的に実行する方法を提供する。すべてのステップは無菌的に行われ、そのため追加の滅菌ステップを行う必要がない。
【0026】
本発明の一態様では、第三者ベンダーを必要とせずに、シード製造業者によってプレロード針サービスを提供する方法が提供され、
a)エンドユーザからのデバイスの注文をシードの種類と数を指定した針充填パターンと共に受注するステップと、
b)滅菌シード、スペーサ及び滅菌プラグ付き針を供給するステップと、
c)処方された針充填パターンに従ってプラグ付き針に滅菌シードを無菌環境下で充填するステップと、
d)プレロード針を遮蔽スチール箱に封入するステップと、
e)箱をエンドユーザに出荷するステップとを含む。
【0027】
本発明の別の態様では、第三者ベンダーを必要とせずに、シード製造業者によってプレロード針サービスを提供する方法が提供され、上記方法のステップc)が自動シード充填デバイスを使用して実行される。
【0028】
本発明の他の態様では、第三者ベンダーを必要とせずに、シード製造業者によってプレロード針サービスを提供する方法が提供され、
f)プレロード針を滅菌包装から取り出して針を刺入に使用するステップと、
g)遮蔽箱を再利用のためにシード製造業者に返却するステップとをさらに含む。
【0029】
本発明のさらに別の態様では、第三者ベンダーを必要とせずに、シード製造業者によってプレロード針サービスを提供するためのシステムが提供され、
a)エンドユーザからデバイスの注文及びシードの数と種類を含む針充填パターンを受け取り、受注処理情報を追跡するコンピュータシステムと、
b)コンピュータで受注した注文通りの複数の滅菌シード、スペーサ及び滅菌プラグ付き針と、
c)コンピュータで受注した注文に従って、滅菌シード及び/又はスペーサを滅菌プラグ付き針に充填する自動シード充填デバイスと、
d)プレロード針をエンドユーザに出荷するための遮蔽箱とを含む。
【0030】
本発明のシステム及び方法は、近接照射療法に使用するための、迅速、簡便、かつ費用効果的なプレロード針サービスを提供する。これは特に緊急性の注文に有益である。さらに、プレロード針注文を処理し出荷するのに必要な時間が大幅に減少される(7〜10営業日から1〜2営業日に)ことにより、シードの放射能は長く持続される。現在のプレロードシードサービスとは異なり、本発明の方法は滅菌部品を使用し滅菌環境下で充填を実施する。したがって、プレロード針アセンブリを滅菌する必要がなく、プレロード針を滅菌性試験のために別の施設へ送る必要がない。したがって多くの時間と費用が節約される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図を参照すると、図1は本発明の方法を示すフローチャートである。第1のステップ10は、エンドユーザからデバイス及びデバイスの針充填パターンの注文が送られることを含む。注文は好ましくは、自動化された、又はウェブベースのシステムでコンピュータソースから受信されるが、注文を受信し転送するための他の既知の方法を本発明によって包含することもできることもまた企図されている。
【0032】
次のステップ20では、注文は次いで、処理のためにシード製造業者の受注処理部門に送られる。それに続いて、滅菌シードの選択30、スペーサの選択40、較正シードの選択50、ばらのシードの選択60、撚糸状シードの選択70、及び/又はプラグ付き針の選択(好ましくは再閉鎖可能なポーチを備える)80から選択される、ステップの組合せがある。
【0033】
次いでステップ90では、製造業者が在庫品又は特別注文のどちらかを選択し、必要なシード、スペーサ及び必要に応じてプラグ付き針を受け取る。次いでステップ100では、注文及び医師の指示に従って策定される充填計画を使用して、製造業者が、ステップ110の自動シード充填デバイス、ステップ120の手動シード充填デバイス、ステップ130の半自動シード充填デバイス、ステップ140の出荷コンテナから選択し、ステップ150で充填計画に従って針の無菌的充填を行う。
【0034】
ステップ160で計画に従って充填した針にラベル付けをし、それを無菌的に滅菌包装に入れることにより、出荷準備及び出荷が行われ、出荷される。ステップ170で医師が注文を受け取り、刺入が行われると、ステップ180で出荷箱が製造業者に返却される。
【0035】
ここで本発明を具体的に説明する。上述したように、エンドユーザが、必要なシードの数と種類を含む、デバイスの注文及び針充填パターンをシード製造業者に送る。
【0036】
任意の従来の放射性シードを放射線源として使用することができる。例として、米国特許第5404309号、同第4784116号、同第4702228号、同第4323055号及び同第3351049号に開示された放射性シードが挙げられ、これらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。「シード」とは、放射性同位体が含有又は封入された、例えば金属容器など任意の密封容器を意味する。適切な生体適合性容器材料は、チタン、金、プラチナ、及びステンレス鋼などの金属又は金属合金;ポリエステル及びビニルポリマー、並びにポリウレタン、ポリエチレン、及びポリ(ビニルアセテート)のポリマーなどのプラスチック;グラファイトなどの複合材料;酸化ケイ素を含むマトリクスなどのガラス、及び任意の他の生体適合性材料を含む。チタン及びステンレス鋼が容器に好ましい材料である。
【0037】
放射性シードはまた、ポリマー又はセラミックマトリクス内に封入された適切な放射性同位体を含む。
【0038】
一般的な放射性シードは、ほぼ円筒形である。一般的なシードの寸法は、長さ約4.5mm、直径約0.8mmとすることができる。
【0039】
近接照射療法での使用に適切な任意の放射性同位体を、放射性シード内で使用することができる。非限定的に例を挙げると、パラジウム−103、ヨウ素−125、ストロンチウム−89、イオウ−35、セシウム−131、金−198、ツリウム−170、クロム−56、ヒ素−73、イットリウム−90、リン−32及びこれらの混合物がある。特に好ましいのは、パラジウム−103及びヨウ素−125である。本発明で使用する放射性シードには1種以上の放射性同位体を使用することができる。シードの一般的な種類には、OncoSeed、EchoSeed、及びRΑPID Strandがある。
【0040】
注文は担当者が電話で受けることができ、又はさらに好ましくは、コンピュータシステムで受け、それを処理し注文追跡情報を維持することもできる。
【0041】
次いで、注文は処理のためにシード製造業者の受注処理部門に送られる。滅菌シード、スペーサ及びプラグ付き針が、注文に従ってシード製造業者の在庫から提供される。例えば、滅菌EchoSeed及び滅菌OncoSeedが、Amersham Health社から販売されている。Sterile RAPID strandが、Amersham Health社から販売されている。カートリッジの滅菌スペーサもまた、Amersham Health社で製造されている。さらに、較正シード、及びばらのシードも必要であれば滅菌することができる。プラグ付き針はCP Medical社から販売されている。
【0042】
スペーサは、任意の非毒性、生体適合性、生体吸収性材料、又はそのような材料の混合物から作製することができる。本明細書で使用する生体吸収性材料とは、大部分が患者の体内で代謝され、最終的には体内から排除される任意の材料である。適切な生体吸収性材料には、ポリ(グリコール酸)(PGA)及びポリ(乳酸)(PLA)、グリコール酸塩及び乳酸塩のポリマー及びコポリマーなどのグリコール酸又は乳酸のポリエステルアミド、ポリジオキサノンなどがある。かかる材料は、米国特許第5460592号に具体的に記載されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。適切な市販ポリマーには、ポリグリカプロン25(MONCRYL)(登録商標)、ポリグラクチン910(VICRVL)(登録商標)及びポリジオキサノン(polydioanone)(PDS II)があり、すべてEthicon社(米国ニュージャージー州)から販売されている。
【0043】
本発明で使用することのできる他の適切な生体吸収性ポリマー及びポリマー成分は、以下の特許に記載されている。p−ジオキサノン及び1,4−ジオキサパン−2−オンのポリマーの押出及び配向フィラメントを含む成分を開示する米国特許第4052988号;吸収性縫合糸として適切なポリ[L(−)ラクチド−コ−グリコリド]を含む成分を開示する米国特許第3839297号;吸収性縫合糸としてポリグリコリドホモポリマーを含む成分の使用を開示する米国特許第3297033号;グリコリド及びラクチドの高分子重量のポリマーを含む成分を開示する米国特許第2668162号;ラクチドのポリマー及びラクチド及びグリコリドのコポリマーを含む成分を開示する米国特許第2703316号;L(−)ラクチドの光学活性ホモポリマー、すなわちポリL−ラクチドを含む成分を開示する米国特許第2758987号;吸収性縫合糸としての機能を有するL(−)ラクチド及びグリコリドのコポリマーを含む成分を開示する米国特許第3636956号;環状及び直鎖ジオールの混合物から生成されたコポリオキサレートポリマーに同型な合成吸収性結晶を含む成分を開示する米国特許第4141087号;p−ジオキサノン及び2,5−モルフォリンジオンのコポリマーを含む成分を開示する米国特許第4441496号;ポリ(グリコール酸)/ポリ(オキシアルキレン)ABA トリブロックコポリマーを開示する米国特許第4452973号;置換安息香酸、二価アルコール、及びグリコリド及び/又はラクチドのポリエステルを開示する米国特許第4510295号;吸収性ガラス充填剤を含む合成吸収性ポリマーから作製された外科用デバイスを開示する米国特許第4612923号;ラクチド、グリコリド、及びポリ(p−ジオキサノン)のコポリマーのブレンドを含む外科用締結具を開示する米国特許第4646741号;グリコリド富化ブレンドのポリマーから作製した外科用締結具を開示する米国特許第4741337号;生体吸収性の半結晶デプシペプチドポリマーを開示する米国特許第4916209号;生体吸収性の芳香族ポリアンヒドリドポリマーを開示する米国特許第5264540号;及び二価アルコールの放射能滅菌可能な吸収性ポリマーを開示する米国特許第4689424号。これらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす
生体吸収性ポリマー及びポリマー成分は、生体吸収性ポリマー及びポリ(スクシンイミド)を含む充填剤の成分を開示する米国特許第4473670号(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)、及び生体吸収性ポリマー及び細分割された塩化ナトリウム又は塩化カリウムの充填剤を開示する米国特許第5521280号(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に記載されているような生体吸収性充填剤を含むとき、特に有用である。このような充填剤は生体吸収性ポリマー及びポリマー成分の剛性を向上させることができる。
【0044】
必要な部品、すなわち滅菌シード、滅菌スペーサ、滅菌プラグ付き針、及び/又はRAPID Strandなどの滅菌撚糸状シードを在庫から取り出すと、針は、処方された針充填計画に従って、例えば自社の薬局など、シード製造業者の施設で無菌環境下で充填する準備が整っている。
【0045】
針の充填を無菌的に行うために、滅菌部品、すなわちシード、スペーサ、針及び針包装を層流フード内に入れる。針を外側包装から取り出し、刺入計画通りに充填し、最後に内側包装内に再包装する。針の包装は、滅菌針が2重に包装され、充填後に追加の包装を行わずに無菌的に再包装できるようになっている点において独自的である。好ましくは、針は自動針充填デバイスを使用して充填される。自動針充填デバイス及び針包装の詳細については後述する。
【0046】
図2及び3はそれぞれ、自動針充填デバイスの実施形態の正面図及び側面図である。これらの図面は実物大ではなく、図示の明確化を助けるために内部の特徴が非比例的な大きさで示されている。充填装置はシード刺入針の準備をしやすくするためのものであり、直接患者にシードを投与するために使用されるものではない。充填装置1は前方幅広面5′及び後方幅広面5″、第1の短面7′及び第2の短面7″、並びに上端面9′及び下端面9″を有する細長い本体3を有する。本体3は、上端面9′の開口6から下端面9″の投与開口8へと延び、段差径D1、D2、D3を有する長手方向貫通孔11を備えている。貫通孔11の直径D1は、上端面9′から、貫通孔11を下方へ約3分の1の距離から始まる中間部15へと延びる、上部13で最大である。中間部15は中間径D2を有し、上部13の下面から、貫通孔11を下方へ約2分の1の距離へと延びる。貫通孔11の直径D3は、中間部15の下面から下端面9″へと延びる下部17で最狭である。下部17は、シードを投与開口8へと導くシード搬送経路として作用するものである。本説明における方向についてのあらゆる記述は、充填装置1が、上端面9′が最上部であり充填装置がほぼ垂直に保持される、充填装置の所望の操作の向きにあるときの参照の枠組みを基準にしていることを理解されたい。
【0047】
本体3は、そこに含まれる放射性シードによって放射される放射能からオペレータを遮蔽するのに適切な厚さの放射能遮蔽材料から製造される。本体3は第1の短面7′にある側面開口19を備える。この開口19は標準シードマガジン(図示せず)を受けるように適合された陥凹部23へと通じる。陥凹部23は、シードマガジン本体を受けるように適合された直径D4を有する第1の円筒部25、及びシードマガジンの矩形の配置アームを受け、維持するように適合された矩形部27を含む。矩形部27は下端面9″から約3分の1の距離で貫通孔11と交差する。円筒部25及び矩形部27の長さ及び向きは、シードマガジンが陥凹部23内に完全に挿入されるとシードマガジンのシード投与孔(後述)が貫通孔11と整列するように適合されている。
【0048】
前方幅広面5′は、内部シュート33によって貫通孔11の出口8に連結されているスペーサ収容陥凹部31に到るスペーサ入口開口29の形態をしたスペーサ搬送経路を備える。開口29はスペーサ(図示せず)が陥凹部31内に容易に充填できるように十分な大きさである。スペーサ収容陥凹部31の下部35は、スペーサをシュート33内に入りやすくするために好ましくは漏斗形である。シュート33の直径はスペーサの直径よりも大きく、スペーサがシュート33を通り出口8へと搬送できるようになっている。
【0049】
貫通孔11は、図2及び3に上方位置で示されている段付円筒プランジャ37などのシード投与手段を受けることができる。プランジャ37は、D1より小さくD2より大きい直径D5、及び貫通孔上部13の長さと同じ又はそれより長い長さを備えた上部39を含む。上部39は、D2より小さくD3より大きい直径D6、及び貫通孔中間部15の長さとほぼ同じ又はそれより長い長さを備えた同心の中間部41と連結している。中間部41は、D3より小さくシードマガジンのシード投与孔より小さい直径D7を備えた同心の下部43と連結している。下部43は、貫通孔中間部15の底面から矩形部27の底面までの長さとほぼ同じ又はそれより長い長さを有する。プランジャ部分39、41、43、及び貫通孔部分13、15、17は所望に応じて変えることができ、唯一の要件は、プランジャ37を、図2及び3に示すようにプランジャ下部43が陥凹部23に配置されたシードマガジンのシード投与孔の上方にある、シード充填上方位置へと引き戻すことが可能であり、またプランジャ37を、図4に示すようにプランジャ下部43が陥凹部23に配置されたシードマガジンのシード投与孔を通って延びる、投与下方位置へと押し下げることも可能であることである。このことにより、シード投与孔に配置されたあらゆるシードを貫通孔11内の下方へ押し、それを出口8に落下させ通過させることが可能になる。プランジャ37は好ましくはOリングなどの封止手段45を備え、望んでいない材料が貫通孔11の下部に入らないようにする。プランジャ37の上端面は、プランジャ上部39よりも広い表面積を有し、プランジャ37を持ち上げ、押し下げるために使用することのできる作動面47を備えることができる。所望であれば、プランジャ37は、プランジャ37を上方充填位置に付勢するばね49などの弾性手段を備えることができる。
【0050】
貫通孔の下端面は、刺入針又はカプセル、又は他の容器を取り付けることのできる、ねじ付きボス51又はルアー針固定具などのアダプタ手段を備える。ユニバーサルアダプタを備えることも考えられる。
【0051】
図6及び7はそれぞれ、充填装置内に嵌合することのできるシードマガジン53又はスペーサマガジン53Aの側面図及び端面図である。マガジン53/53Aは、断面が六角形の細長い中空の本体55を有する。円形、正方形、楕円形など、他の形状の断面もまた可能である。放射性シードを含有するために使用するとき、本体55は好ましくは、含鉛プラスチック、ステンレス鋼、鉛ガラス、鉛、タングステンなど、放射能遮蔽特性を有する材料から製造される。本体の充填端部が脱着可能な端部プレート57によって閉じられ、他端が長手方向に突出した2つの配置アーム61の間に配列された、シード又はスペーサ投与出口59を備える。出口59は、配置アーム61を通過して穿孔された垂直のシード投与孔63を含む。シード65又はスペーサ65Aはマガジン53/53A内部で一列に並んでおり、マガジン53/53A内部のばね67などの弾性手段によって孔63に向かって押圧される。ばね67によって加えられる力は、孔63の壁と孔63内の末端シード65又はスペーサ65Aの間の摩擦によってシード65又はスペーサ65Aが重力の影響で孔63から落下するのを防ぐのに十分な大きさである。
【0052】
好ましくは、スペーサに使用するマガジン53Aはスペーサ65Aで満たされ、好ましくは合成の生体吸収性材料から作製される。従来技術のスペーサはカットグートから作製されていたが、規制面及び顧客の利用可能性の観点から好ましくない、動物由来の材料であった。このような合成の生体吸収性材料の例には、約90%のポリグリコール酸及び10%のポリ乳酸からなるVicryl(登録商標)がある。スペーサ材料もまた好ましくは、高圧蒸気滅菌又は乾熱滅菌による加熱滅菌に使用される温度に耐性がある。スペーサ65AはTyvek(登録商標)などの滅菌統合包装材料で滅菌マガジン53A内に滅菌的に供給することができる。滅菌は、使用されるスペーサの成分によって、例えば加熱又は酸化エチレンガス曝露(マガジン包装後に滅菌を行いガス浸透可能包装材料が必要な場合)など、適切な方法で行うことができる。予め包装した滅菌スペーサを使用することによって、オペレータが各自のマガジン53Aをスペーサ65Aに充填する必要がなく、使用前にスペーサを滅菌する時間を費やす必要もないので、有利である。これにより滅菌スペーサが確実に使用されるようになる。
【0053】
同様に、シード65も滅菌的に供給することができ、シード53のマガジンにプレロードすることができる。このマガジン53はTyvek(登録商標)などの滅菌統合包装材料で滅菌的に供給することができる。シード及びマガジンは、例えば上述の方法など、スペーサマガジンのスペーサ65Aに関して適切な方法で滅菌することができる。好ましくは、例えば5個のシードを充填したマガジン53を含む包装65、又は10個のシード、又は15個のシードなど、様々な包装サイズを使用することができる。
【0054】
ここで刺入針を充填するための充填装置の使用を図示する。オペレータが充填装置1を直立位置で保持する、又は直立位置でスタンドに置く。シード65を含むシードマガジン53を開口21を通して、マガジンのシード投与孔63が貫通孔11と整列するまで挿入する。図示されていないが、充填装置1は好ましくはマガジン53を定位置に維持するために戻止めなどのロック手段を有する。次いで刺入針をアダプタ手段51に取り付ける。シード及びスペーサが針の底面から脱落しないようにするために、針底面はプラグ又は端部キャップなど脱着可能な閉鎖手段を備えることができる。次いでオペレータがプランジャ37を下方のシード投与位置へと押し下げる。プランジャ37を押し下げるにつれて、プランジャ下部43はマガジン53のシード投与孔63を通過し、シード65をマガジン53から押し出し貫通孔下部17内へ入れる。貫通孔下部17の直径はシードの直径より大きいので、シードは貫通孔11内を自由に通過し、その下端面から出てアダプタ51を通り針内部へ入る。次いでプランジャ37を上方の充填位置へと持ち上げる。プランジャ下部43が再びマガジン53のシード投与孔63を通過するにつれて、新しいシード65がマガジン53の弾性手段67によって、シード投与孔内に充填される。次いでオペレータは所望の寸法のスペーサ65Aをスペーサ収容陥凹部31内に置き、スペーサ65Aを解除する。スペーサ65Aはスペーサの直径よりも大きい直径を有する内部シュート33を落下し、アダプタ51を経由して針に入る。この手順を、所望の数のシード及びスペーサが針内に充填されるまで繰り返す。針をアダプタ51から取り外し、使用する又は後ほど使用するために保管することができる。手順は治療に必要な全ての針に対して繰り返すことができる。
【0055】
ここでシードプラグを形成するための本発明の充填装置の使用を図示する。オペレータが充填装置1を直立位置で保持する、又は直立位置でスタンドに置く。シードを含むシードマガジン53を開口21を通して、マガジンのシード投与孔が貫通孔11と整列するまで挿入する。次いでシードプラグ容器をアダプタ手段51に取り付ける。この容器は、オペレータが充填が問題なく進行していることを確認でき、シードの数及びその間隔を確認できるようにするために、好ましくは透明である。オペレータを放射線から遮蔽するために、透明容器及び本発明のデバイスの他のどの透明部品も、後述するように、好ましくは含鉛アクリルなどの放射線減衰透明材料で作製される。シードの数及びその間隔を確認し易くするようにするために、容器は好ましくは目盛り記号を備える。シードが容器底面から脱落しないようにするために、容器底面は脱着可能なプラグを備え、又は他の方法で密封される。次いで上述の例と同様に、オペレータがプランジャ37を下方のシード投与位置へと押し下げ、シードを容器内へ送り込む。次いでオペレータは所望の長さのスペーサ65Aをスペーサ収容陥凹部31内に置き、スペーサ65Aを解除する。スペースはスペーサ65Aの直径よりも大きい直径を有する内部シュート33を落下し、アダプタ51を経由して針に入る。この手順を、所望の数のシード65及びスペーサ65Aが容器内に充填されるまで繰り返し、次いで容器をアダプタ51から取り外し、使用する又は後ほど使用するために保管することができる。
【0056】
例えば放射能を測定するために、オペレータがシード65をシードマガジン53から取り外すことを望む場合は、シードマガジン65を任意の適切な容器を充填装置1の下に置き、プランジャ37を押し下げることによってシード65を容器内に放出し、通常通り取り付けることができる。
【0057】
図8は本発明の充填装置101の第2の実施形態を示す。簡潔性のために、多くの特徴が本発明の第1の実施形態と同様の機能を有し、本実施形態では説明しない。本実施形態では、充填装置はプランジャ137など第1のシード投与手段、プランジャ197など第2のスペーサ投与手段、並びに第1のマガジン収容陥凹部123及び第2のマガジン収容陥凹部183を備える。第1のマガジン収容陥凹部123はシードマガジン53を受け維持するように適合され、第2のマガジン収容陥凹部183はスペーサマガジン53Aを受け維持するように適合されている。上述のように、スペーサマガジン53Aは、予め切断したスペーサ65Aを含み、シードマガジン53と同様に働く。好ましくはマガジンは滅菌され、マガジン含有物はマガジン内に挿入される前に滅菌される。さらに、充填された空のマガジン及び充填装置を、例えば高圧蒸気滅菌で加熱することにより、滅菌することが望ましい。混乱を避けるために、シードマガジン及びスペーサマガジンは異なる形状及びサイズとすることができる。これは、特にスペーサ65A及びシード65がしばしば異なる長さを有するので好ましい状況である。例えばスペーサ65Aの長さを5.5mmとし、シード65の長さを4.5mmとすることができる。或いは、経済性を考慮すると、シード及びスペーサに同一のマガジンを使用することが可能であり、その場合、混乱を避けるために異なる色又は他の目印を使用することが好ましい。いずれの場合においても、例えばスペーサは白いマガジンに供給し、シードは青いマガジンに供給するなど、異なるタイプのマガジンには異なる色を使用することが有用である。異なる形状又はサイズのマガジンを使用する場合は、間違ったタイプのマガジンが陥凹部に維持されないようにするために、第1のマガジン陥凹部の直径D4及び第2のマガジン陥凹部の直径D14及び/又はこれらの陥凹部の形状を、対応するように適合させるべきである。
【0058】
第1のプランジャ137は、アダプタ151を取り付けることのできる出口108に通じる第1の段付貫通孔111内に可動的に嵌合しており、第2のプランジャ197は、同様に出口108に通じる第2の段付貫通孔171内に可動的に嵌合している。充填装置101は充填装置1と同様に操作することができるが、充填装置101では、スペーサ出口開口を通して個々のスペーサを手用で充填する代わりに、プランジャ167を押し下げることによってスペーサを充填することができる。
【0059】
図9及び10は、本発明の充填装置201の第3の実施形態を示す。簡潔性のために、多くの特徴が本発明の第1及び第2の実施形態と同様の機能を有し、本実施形態では説明しない。図示の明確化のために、図9ではプランジャの隠れた部分を実線で示し、図10ではプランジャを完全に省略した。本実施形態では、充填装置は例えばプランジャ237など第1のシード投与手段、例えばプランジャ297など第2のスペーサ投与手段、並びに第1のマガジン収容陥凹部223及び第2のマガジン収容陥凹部283を備える。第1のマガジン収容陥凹部223はシードマガジン53を受け維持するように適合され、第2のマガジン収容陥凹部283はスペーサマガジン53Aを受け維持するように適合されている。上述したように、混乱を避けるために、シードマガジン53及びスペーサマガジン53Aは異なる形状又はサイズ又は色とすることができる。第1のプランジャ237は、Y字形溝277の第1のアーム275の最上部に通じる第1の段付貫通孔211内にあり、第2のプランジャ297は、Y字形溝277の第2のアーム279の最上部に通じる第2の段付貫通孔271内にある。Y字形溝の2つのアーム275、279は、Y字形溝277の垂直脚281の最上部で合流する。アーム275、279は、好ましくは最上部でより幅広であり脚281との交差部に向かって先細状である。アーム275はシード搬送経路として作用し、アーム279はスペーサ搬送経路として作用する。脚281は充填装置の底面285の開口208へと下方に延びる。シード65及びスペーサ65Aが脚281で詰まらないようにするために、脚281の寸法は好ましくは、シード及びスペーサが互いに通過する(又は互いに通過し始める)ことを防ぐよう十分な狭さであるように選択される。ピン287など、脱着可能な遮蔽デバイスが、充填装置の後面から充填装置の前面に向かって延び脚281と交差する孔289に挿入可能である。孔289に挿入すると、このピン287はシード及びスペーサが脚281を通過しないようにする。ピン287は、脚281を遮蔽するよう付勢されたばねである、バルブタイプ部材とすることもできることがさらに企図されている。ばねの付勢を解除すると、ピン287は、シード及びスペーサのプラグが通過できるように、脚281と流体連通する開口をもたらす。充填装置201の前面は、オペレータが脚281内のシードによって放射される放射能を遮蔽しながら、脚281の内容を見ることができるように、好ましくは含鉛アクリルなどの放射線遮蔽材料から作製された透明部分291を含む。この透明部分291は、通路を清浄化し、異物を除去し、又は詰まったシード又はスペーサを除去することを容易にするために、迅速かつ簡単に脱着可能とすることができる。シードを除去する必要がある場合は、この迅速な取外しはオペレータがシードからの放射能にごく短時間被曝し、したがってごくわずかな放射線量を受けることを意味する。シード及びスペーサのプラグが形成されると、ピン287が遮蔽位置に置かれ、シード及びスペーサがピン287の上に落下し、脚281が徐々に満たされるようになる。透明部分291は、デバイス内のシード及びスペーサの数を確認するのを助けるために、目盛り記号を備える。透明部分291によって、オペレータはプラグ構成の経過を確認することができ、オペレータがプラグ形成中に割り込まれた場合、オペレータは再開時に構成中のプラグの状態を確認することができる。例えばシードが様々な数のスペーサによって隔てられるなど、シード及びスペーサの非標準的配列も、針内に充填する前に透明部分291を通して視覚的に確認することができる。
【0060】
充填装置201は、充填装置101と同様の方法で操作することができる。
【0061】
図11に概略的に示す、本発明の他の実施形態では、単一のプランジャ337がスペーサ65A及びシード65を交互に充填するために使用することが示されている。プランジャ337は、シード及びスペーサ搬送経路を形成する、Y字形溝377のアーム375、379と整列した2つの延長部353、355を有するピストン351に連結されている。延長部353は延長部355より短い。このことは、プランジャ337が押し下げられると、延長部353が第2のマガジン収容陥凹ポート357内のマガジン(図示せず)を通過する前に、延長部355が第1のマガジン収容陥凹ポート359内のマガジン(図示せず)を通過することを意味する。プランジャ337は、孔311内部で支持されているばね充填インデックスピン363と協働することのできる3つの陥凹部361′から361″′を備える。第1の陥凹部361′は、どちらの延長部もマガジン収容陥凹ポート357、359と一直線上にないとき、インデックスピン363と整列する。第2の陥凹部361″は、延長部355がマガジン収容陥凹ポート357、359のレベルを通過したとき、インデックスピン363と整列する。第3の陥凹部361″′は、延長部353がマガジン収容陥凹ポート357、359のレベルを通過したとき、インデックスピン363と整列する。オペレータは、第1の陥凹部361′がインデックスピン363と整列するまでプランジャ337を持ち上げた後で、マガジンを本充填装置上に充填することができる。第1のマガジンがシードを含み、第2のマガジンがスペーサを含むと仮定してみよう。オペレータは、第2の陥凹部361″がインデックスピン363と整列するまでプランジャ337を下げることによって、シード65を第1のマガジンから放出することができる。次いで第3の陥凹部361″′がインデックスピン363と整列するまでプランジャ337を押し下げることによって、スペーサ65′を放出することができる。さらにシードを放出する前に、さらにスペーサを放出することを望む場合は、第2の陥凹部361″がインデックスピン363と整列するまでプランジャを持ち上げ、その後再び押し下げる。シードを充填することを望む場合は、第1の陥凹部361′がインデックスピン363と整列するまでプランジャを持ち上げ、その後第2の陥凹部361″がインデックスピン363と整列するまで再び押し下げる。
【0062】
或いは、自動シード及びスペーサ充填デバイスを使用して、図1のステップ10での顧客からの注文に従って撚糸状製品を形成することができる。図15は、本願出願人に譲渡された米国特許第6730013号に記載された充填装置に基づいた、自動シード及びスペーサ充填デバイス500を示す。充填デバイス500は、所望の注文で線状に連なったシード及びスペーサを組み込む撚糸状の編組みを製造する。次いで、撚糸状の編組みを針アセンブリ内に挿入し、エンドユーザに提供することができる。この米国特許の開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす
充填デバイス500は、個別のシードをシードマガジンホルダー534から、脱進機構532によって、中空の編組み532の中央部を支持しその中を延びるハブ針530内へと押し出すためのシード押出しロッド510を含む。サーボモータが押出しロッド510の作動を制御する。テンショニングピストン512が、編組み材料をハブ針に機械的に教示し、編組み532材料をシード及びスペーサで充填することを持続する。振動ボールフィーダ514がバルクスペーサを振動フィードトラック516へと送り、振動フィードトラック516がシードを一列にして脱進機構532へと送る。脱進機構532は、シード及びスペーサを編組み532の中央部内へと挿入するように交互にハブ針内へ送る機構を操作するための空気圧脱進ピストン536を含む。
【0063】
充填デバイス500はさらに、脱進機構内に間違って送り込まれたスペーサを放出するためのスペーサ放出/リセットボタン518を含む。かかるスペーサは、スペーサ放出孔を覆っておりスペーサ放出/リセットボタン518によって作動するスペーサ放出プレート522を通過して放出される。充填が完了するとハブ針530の解除を作動するように、ハブ針解除ボタン520が設けられている。
【0064】
適切に充填されると、デバイス500は自動的に操作を行う。オペレータはデバイスにシードのマガジン、振動ボール内のバルクスペーサ及び編組み材料のハブ針を充填する。デバイス500に主要な3つの部品を充填した後、スタートボタンを押すと、デバイスは自動的にシード及びスペーサを編組み材料内に充填する。機械は編組み材料テンショニングピストンによって充填操作を行っている間、正確な張力と間隔も供給する。撚糸が完了すると、オペレータがリセットスイッチを押し下げることによって、デバイス500を開始位置にリセットする。この機械は一般に、撚糸あたりシード10個及びスペーサ11個を充填するように、プログラマブルロジック制御装置540によって設定されている。プログラム可能論理コントローラ540はシード及びスペーサの任意の組合せのローディングに備えるためにプログラム可能である。
【0065】
図12にプラグ付き針を示す。密封外側バッグ410が、例えば3つなど複数の内側バッグ412を含む。各内側バッグ412は、複数の針416を含む。外側バッグ410は部品にとって一次滅菌バリアであり、その内容物は本発明で使用するための材料として受けられるとき、滅菌される。外側バッグ410は中身が無菌障壁を損なうことから守るために適切なパッケージングと共に箱480で配送されることになる。
【0066】
針416は好ましくは標準18ゲージ近接照射療法の刺入型針である。針は一端が生体吸収性材料で塞がれている。このプラグにより、充填後に部品の維持が可能になる。針プラグ材料は、針の自由先端に配置される機械的バリアである。刺入プロセスの間、プラグ材料及び充填部品は患者の体内へと挿入される。
【0067】
各針416には、出荷時及び使用時の安全を確実にするための円筒形プラスチックシールド420がある。プラスチックシールド420は、針416に機械的に嵌合しており、シールド最上部420aが針ルアー固定具422の斜面上に隙間なく嵌合している。円筒形プラスチック針シールド420の底面424はプラグ425を含み、充填部品が針から脱落しないことを確実にしている。また、充填針を外部の砕片から保護する。このプラグは、針シールド内にひねり嵌合する軟性のゴム様材料である。
【0068】
各針416にはスタイレット426がある。スタイレット426は、図12に示すように、針416と共に内側包装内412に包装されている。シード及びスペーサ部品を針内に充填した後、ルアー固定具を通してスタイレットを針内へと挿入し、スタイレットの先端が針内の部品に到達するまで前進させる。エラストマー又は変形可能ガード430がスタイレット426上に置かれており、針上のルアー固定具内で嵌合し、スタイレットを出荷プロセス中に前進させないことを確実にしている。
【0069】
内側バッグ412はプラスチックでありバッグの最上部は粘着性の裏面密封層を備えたTyvek材料である。針426が内側バッグ412内に充填され、バッグは最初は密封されない。針充填が行われると、充填針416が再び内側バッグ内に置かれ、粘着性の裏面層415を使用して内側バッグを密封する。次いでこの密封内側バッグを、包装及びエンドユーザへの出荷のために無菌的組立領域から取り出す。
【0070】
外側バッグ410は滅菌包装である。これはプラスチック及びTyvekから作製され、多数の密封されていない内側バッグを含む。無菌組立領域へ持ち込まれた後、外側バッグは処分される。
【0071】
滅菌プラグ付き針包装を使用するとき、無菌的方法を使用しなければならない。バッグ410にイソプロピルアルコールを噴霧し、無菌組立領域へと搬送する。次いで、密封されていないバッグ412をバッグ410から取り出す。
【0072】
次いで、針及びスタイレットをバッグ412から取り出す。円筒形プラスチック針シールド420が各針416にある。次いで、針シールド420の自由端424上に置かれたシールドプラグ、及び針スタイレット上に配置されたラバーガード430を取り外す。次いで、各針416をシード充填デバイス上に置くことができる。
【0073】
各針416は処方に従って滅菌シード及びスペーサを充填し、次いで使用した充填デバイスから取り外すことができる。次いでスタイレット426を針416内に置き、中にある部品が針の下部内へと進み、針プラグ媒体を密封するまで前進させる。次いでスタイレット426を充填した針から約2分の1インチ引き抜く。次いでラバーガード430をスタイレット上で針上のルアー固定具のわずかに上方に配置する。
【0074】
スタイレット426を再び針内へ約2分の1インチ挿入する。このことにより、ラバーガードの角先端426が針上のルアー固定具の傾斜内へと挿入される。次いで、充填針をラベル表示し、再びバッグ412内へと挿入する。
【0075】
すべての針を充填した後、これらをバッグ412内に戻すと、バッグの粘着性裏面が露出し、粘着層415がバッグ412の前方にわたって配置され、新しい滅菌性バリアを確実にする。最後に、密封バッグ412を無菌組立領域から取り出し、出荷容器418内に置く。
【0076】
出荷容器は遮蔽材料から作製され、好ましくは遮蔽返却可能ステンレス鋼箱である。プレロード針を備えたこの遮蔽箱を、医療用途ですぐに使用するために、包装シード製造業者の包装施設から滅菌包装でエンドユーザへと出荷する。
【0077】
再ラベル表示及び再使用のために、医師は出荷箱418を製造業者に返却することができる。
【0078】
本明細書で説明し主張した発明は、開示された特定の実施形態は本発明の幾つかの態様の図示としてみなされるので、これらの実施形態による範囲に限定されるものではない。どのような同等の実施形態も本発明の範囲内であるとみなされる。実際、本明細書に示し説明したものに加えて、上述の説明から本発明の様々な修正が当業者には明らかである。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲内に該当するとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の方法の概略図である。
【図2】第1段階にある自動シード充填デバイスの一実施形態の正面図である。
【図3】図2のデバイスの側面図である。
【図4】第2段階にある図1の充填デバイスの正面図である。
【図5】図4のデバイスの側面図である。
【図6】充填デバイスで使用するのに適したマガジンの一実施形態の側面図である。
【図7】図6のマガジンの端面図である。
【図8】充填デバイスの第2の実施形態の正面図である。
【図9】充填デバイスの第3の実施形態の正面図である。
【図10】図9のデバイスの側面図である。
【図11】充填デバイスの第4の実施形態の正面図である。
【図12】空の針を充填装置に挿入するための、本発明の滅菌針包装の図である。
【図13】図12の滅菌針包装の個々の内包を示す図である。
【図14】充填針の個々の内包を示す図である。
【図15】シード及びスペーサの一続きのアレイを形成するための自動シード充填デバイスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第三者ベンダーを必要とせずに、シード製造業者によるプレロード針サービスを提供する方法であって、
a)エンドユーザからのデバイスの注文をシードの種類と数を指定した針充填パターンと共に受注するステップと、
b)滅菌シード、スペーサ及び滅菌プラグ付き針を供給するステップと、
c)処方された針充填パターンに従ってプラグ付き針に滅菌シードを無菌環境下で充填するステップと、
d)プレロード針を遮蔽スチール箱に封入するステップと、
e)箱をエンドユーザに出荷するステップと
を含む方法。
【請求項2】
第三者ベンダーを必要とせずに、シード製造業者によるプレロード針サービスを提供する方法であって、
a)エンドユーザからのデバイスの注文をシードの種類と数を指定した針充填パターンと共に受注するステップと、
b)滅菌シード、スペーサ及び滅菌プラグ付き針を供給するステップと、
c)自動シード充填デバイスを使用して、処方された針充填パターンに従ってプラグ付き針に滅菌シードを無菌環境下で充填するステップと、
d)プレロード針を遮蔽スチール箱に封入するステップと、
e)箱をエンドユーザに出荷するステップと
を含む方法。
【請求項3】
f)プレロード針を滅菌包装から取り出して針を刺入に使用するステップと、
g)遮蔽箱を再利用のためにシード製造業者に返却するステップと
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第三者ベンダーを必要とせずに、シード製造業者によるプレロード針サービスを提供するためのシステムであって、
a)エンドユーザからデバイスの注文及びシードの数と種類を含む針充填パターンを受け取り、受注処理情報を追跡するコンピュータシステムと、
b)コンピュータで受注した注文通りの複数の滅菌シード、スペーサ及び滅菌プラグ付き針と、
c)コンピュータで受注した注文に従って、滅菌シード及び/又はスペーサを滅菌プラグ付き針に充填する自動シード充填デバイスと、
d)プレロード針をエンドユーザに出荷するための遮蔽箱とを含むシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−524471(P2007−524471A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517840(P2006−517840)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/021309
【国際公開番号】WO2005/002670
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(500436053)メディ−フィジックス・インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】