説明

近距離通信が可能な多機能デバイス及びその動作方法

【課題】本発明は,複数データ形式を用いる近距離通信が可能なデバイス間で,各動作の調整のために対話が望まれる環境における近距離通信多機能デバイスの動作方法に関する。
【解決手段】前記各動作は,ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行する動作と,ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行する動作と,遅延を実行する動作と,反復処理においてこれらの動作を繰り返す動作とである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,近距離通信(Near Field Communication)(NFC)システムに関する。また本発明は,移動体デバイス間のデジタルデータ交換にも関する。より特定すれば本発明は,RFタグ通信システムの改善に関し,多機能デバイスの動作強化のために多機能デバイスのRFモジュールに関して格納されているRFモジュール情報を,間接的かつ内部的に利用するための移動体多機能デバイス内の手段を提供する。また本発明は,ユーザインタフェースを簡素化し,対話の自動解決によってユーザを補助する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以降「多機能デバイス」という表現は,RFIDとして動作することができ,更にRFIDタグを模擬することができ,かつ更にRFIDタグとRFIDリーダとの間のデータ送信に類似して,もう1つのRFID「多機能デバイス」とデータを交換するために用いることができるRFIDデバイスを指すものとする。
【0003】
さまざまな多機能デバイス間でのデータ交換は,必然的に実際に用いられるデバイス機能を判定できないことになる。以降,近距離通信を開始するための信号を送信するデバイスを,「イニシエータ」という表現で呼ぶこととする。通常のRFID体系においては,イニシエータは常にデータを要求するRFIDリーダである。多機能デバイスの場合,イニシエータはデータを受信したり,データ送信を要求したりすることができる。
【0004】
以降,イニシエータが開始信号を送信する先のデバイスを,「ターゲット」と呼ぶこととする。実際には2つの異なる種類のターゲット,すなわち能動型ターゲット及び受動型ターゲットがあってもよい。通常のRFIDリーダ/RFIDタグ体系においては,受動型ターゲット,すなわち常に初期データ送信を行うRFIDタグ,だけがある。
【0005】
多機能デバイス体系においては,多機能デバイスは能動型ターゲットの役割であってもよいし,受動型ターゲットの役割であってもよい。受動型ターゲットの役割をする場合は,多機能デバイスは通常のRFIDタグを模擬する。能動型ターゲットの役割をする場合は,多機能デバイスは自身の内部電力を用いて能動的にデータ交換を行うことができる。通信が多機能デバイス同士,若しくは多機能デバイスとほかのNFCデバイス又は基盤設備との間で行われるとき,タグサイズによっては制限されない。能動型ターゲットの役割においては,多機能デバイスはまた,情報又はデータを要求することができる。
【0006】
例えばRFID技術のような現在のRFタグ技術は,電磁波スペクトラムの無線周波(RF)部分における誘導結合又は容量結合を利用している。RFIDリーダは,少なくともアンテナと,受信器と,送信器とを含み,RFIDリーダがRF信号を送受信することができる。RFIDリーダが接触するか,タグの所定の局所範囲内に入ったとき,RF信号がトランスポンダ,すなわち「タグ」を活性化する。タグが活性化されると,情報をRFIDリーダに返送する。より特定すれば,受動型タグの場合(すなわち内部電源を持たない場合),タグはRFIDリーダが発生する時間で変動する電磁RF波によってエネルギーを与えられる。RF場がタグのアンテナコイルを通過すると,コイルに電圧が発生する。この電圧が結局タグに電力を与えるために用いられ,タグがリーダに情報を返送できるようにする。これはときどき,「結合」と呼ばれる。
【0007】
実際市場で,例えばISO14443−4と,Mifare(登録商標)と,FeliCa(登録商標)と,NFCと,ECMA352とのような,さまざまな近距離通信標準が利用可能である。
【0008】
RFIDタグの技術背景に関連する文書は,米国特許出願第2004−0077383−A1であり,強化RFIDタグの技術を開示している。
【0009】
RFID技術の標準的アプリケーションにおいては,1種類のRFIDタグだけがある環境に,独自のRFIDリーダが置かれている。標準的なアプリケーションでは,デバイスが1つの環境においてさまざまな種類のRFIDタグを扱う必要はない。例えば倉庫やスーパマーケットにおいては,さまざまな製造事業者のさまざまなリーダによってだけ読むことができるさまざまな種類のRFIDタグを用いる理由はない。さまざまなタグを用いるとさまざまな種類のリーダを提供する出費が増え,更に互換性の問題が生じるかもしれない。
【0010】
過去いくつかのポーリング方式が用いられたが,どれも移動体デバイス間でのRFID対話に用いるのには十分適したものではなかった。
【0011】
今やRFID技術は移動体多機能デバイスにおけるNFC(近距離通信)実装に拡張することができ,タグと,リーダと,それら相互との間の対話を可能にしている。相互間の対話は,RFIDタグを読み出す能力,すなわちRF信号を送信する能力と,返送されたRF信号を処理できる可能性とに起因する。RFIDリーダにRFIDタグを模擬する能力を実装するために必要な出費は,信号処理能力と,送信器と,受信器とが既に提供されているので極めてわずかである。通常の開始プロセスにおいて「カードウォーミング(cardwarming)」信号は,普通はトランスポンダデバイスを起動させたり,組み込み電源を持たないRFIDタグに電力を供給したりするために用いられる。この能力を1つの移動体タグリーダ(タグを模擬している)から標準のリーダに,別のデータを転送するために用いることができる。
【0012】
さまざまなRFタグ技術への興味及び利用が最近大きく増大し,通常の製造ライン及び電子的物品監視アプリケーション以外のさまざまなRFタグアプリケーションの開発につながっている。RFタグ技術は,特に移動体通信環境において近い将来に近距離対話アプリケーションを提供する先導的技術の1つになると考えられる。
【0013】
上述の通常のRFIDタグ検出方法はすべて,携帯電話機や携帯型計算機のような移動体多機能デバイスに用いるには適していない点で共通している。これは,一方ではRFIDタグがいまだに1つの種類のRFIDしか用いない独自アプリケーションであり,他方では移動体デバイス間のデータ交換のためのRFID技術の可能性がまだ十分に認識されていないことに起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−200840号公報
【特許文献2】特開2003−022422号公報
【特許文献3】国際公開第01/050407号
【特許文献4】特開2001−283162号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
2つの多機能デバイスが正しくアイテム,すなわちデジタルデータを選択し,それによって2つのデバイス間で同時送信のためにデータを共有又は交換し,データ交換の衝突を解決できるポーリング方式が望まれる。したがって双方の多機能デバイスは,データ送信を意図してイニシエータモード又はターゲットモードにあり,それらがこのモードに留まると,ほかのデバイスから起動信号を受信するために互いに待機している2つのRFIDタグのようにデータ交換は不可能である。
【0016】
また移動体NFC多機能デバイスが,タグ又は共に動作するほかの多機能デバイスと異なる製造事業者が提供したRFIDモジュール,若しくは異なるプロトコルを利用するRFIDモジュールを用いる場合に生じる可能性がある問題を避けることが望ましい。すなわち,互換性の問題を解決することが望ましい。
【0017】
避けることが望ましいもう1つの状況は,ユーザが多機能デバイスのモードを交換モードに設定した後に,イニシエータモード若しくは(能動又は受動の)ターゲットモードからほかのモードに変えずに,気が変わったときである。したがってまた,デバイスがほとんど同時に例えばもう1つのタグ,タグリーダ又はもう1つの多機能デバイスとインターリーブ形式でデータ交換を行う一方で,もう1つの多機能デバイス,新しいRFIDタグ又は新しいRFIDリーダを認識することが望ましい。
【0018】
本発明の第1態様によれば,複数標準の複数プロトコルによる複数データ形式を用いるRFID又はNFC対応のデバイス間で対話が望まれる環境において,多機能NFCデバイス又はRFIDデバイスを動作させる方法が提供される。基本実施例における方法は,所定標準の所定プロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,所定標準の所定プロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,遅延を実行するステップと,巡回又は反復処理においてこれらの動作を繰り返すステップとを有する。本願明細書全体において,「近距離通信(NFC)」という表現は,「RFID」を包含することに留意されたい。NFCはRFID技術の特徴を完全に含む。
【0019】
通常のRFID技術の表現によれば,1つの態様による本発明の方法は,第1の種類のRFIDタグに対するタグ通信手続を実行するステップと,第2の種類のRFIDタグに対するタグ通信手続を実行するステップとを有し,少なくとも1待機期間がそれらに続く。
【0020】
RFIDタグの場合,第1開始手続は第1の種類のRFIDタグに対する通信手続であって,第1出力電力で,第1所定期間,第1無線周波信号シーケンスを送信することによって第1カードウォーミング手続を実行するステップと,前述の多機能デバイスの受信器モードを活性化するステップと,第1データ形式に従って受信したデータ信号を評価するステップと,何の応答も検出されないときは,第2所定期間,第1カードクーリング(cardcooling)手続を実行するステップと,を有してもよい。すなわち多機能デバイス環境においては,方法は第1のデータ形式,プロトコル又は標準によるNFCコネクションのためのポーリング手続又は開始手続から始める。
【0021】
またRFIDタグの場合,第2開始手続は第2の種類のRFIDタグに対する通信手続であって,第2出力電力で,第3所定期間,第2無線周波信号シーケンスを送信することによって第2カードウォーミング手続を実行するステップと,前述の多機能デバイスの受信器モードを活性化するステップと,第2データ形式に従って受信したデータ信号を評価するステップと,何の応答も検出されないときは,第4所定期間,第2カードクーリング手続を実行するステップと,を有してもよい。すなわち方法は,第2の種類のRFIDタグに対するポーリング手続に続く。
【0022】
すなわち多機能デバイス環境においては,方法は第2のデータ形式,プロトコル及び/又は標準によるもう1つのNFCコネクションのためのポーリング手続に続く。
【0023】
このポーリング手続の組合せは,「2重ポーリング」又は「2重開始」と呼ぶことができる。
【0024】
RFIDタグの場合,第1カードウォーミング手続の送信期間と,周波数と,送信電力とは,第2カードウォーミング手続の対応する値と異なってもよい。第1受信器モードの活性化及び評価の受信器モード活性化期間と,周波数と,評価論理とは,第2受信器モードの活性化及び受信信号評価の対応する値と異なることが期待される。また第1カードクーリング手続のカードクーリング期間は,第2カードクーリング手続の期間と異なってもよい。
【0025】
すなわち本発明の実施例による方法は,さまざまな種類のRFIDタグ又は多機能NFCデバイスとの通信又は読出しをポーリング又は試行することによって始める。
【0026】
この「2重ポーリング」は,3種の異なる遅延期間のうち1つに続く。遅延期間中多機能デバイスは,バッテリ電力を節約するために受信器,送信器又は送受信機を非活性化する遅延状態にある。遅延期間は,所定長の遅延期間,第1時間枠内の第1ランダム時間の第1ランダム遅延期間,又は第2時間枠内の第1ランダム時間の第2ランダム遅延期間であってよい。
【0027】
この特徴は,上記の課題のほとんどを処理するのに有利である。その後にNFC多機能デバイスは,さまざまな種類のRFIDタグ又はNFC多機能デバイスと通信することができる。例えばこれは,第1の種類のNFC多機能デバイスのための開始手続に続いて,第2の種類のNFC多機能デバイスのための開始手続を行うことによって達成される。
【0028】
すなわち,例えば第1RFIDタグ(又はNFC多機能デバイス)からデジタル情報を読み取ろうとしたとき,実際は多機能デバイスが通信中だった場合,別の種類のRFIDデバイス(又はNFC多機能デバイス)とのコネクションは2番目の通信手続中に開始してもよい。
【0029】
例えばユーザが,友人のNFC多機能デバイスにデータを送信するように設定したが,思ったより早く例えばRFID改札口に到着してチケットを提示しなければならないとき,多機能デバイスは改札口にあるRFIDリーダを,必要な信号送信の指示として認識することができる。ユーザは,別の操作を実行する前に多機能デバイスの端末NFC探索モードを変える必要はない。この基本方法によって多機能デバイスは,NFC通信によって第2の多機能デバイスとデジタルデータを交換するように設定すると,さまざまな種類のタグ,リーダ又は多機能デバイスにほとんど同時にデータを送信することができる。
【0030】
3つの異なる遅延期間は,異なる技術課題を処理するために用いられる。所定長の遅延期間は,限られたバッテリ能力のために,移動体デバイスの全体電力消費を減少させるために用いることができる。2つの異なるランダム長遅延期間は,例えば2つの多機能デバイスがお互いに同時に開始手続を実行しようとした場合に起こるかもしれないもう1つの課題を処理するために用いられる。
【0031】
2つの異なるデバイスが同時に開始信号を送信すると,これらのデバイスはどの開始信号も受信又は認識することができない。開始手続が同期していると,デバイスが同期状態にある限り将来もお互いに認識することができない。ランダム遅延期間を利用することによって,本発明のステップが繰り返される間に起きるかもしれない同期状態を解くことができる。
【0032】
この基本ポーリング方式は,異なるデータ形式,プロトコル及び/又は標準を交替させ,移動体デバイス内のプロセッサ負荷が過大にならないように十分な遅延時間を提供する。
【0033】
方法が再開すると,ランダム長遅延期間が過ぎた後,第1開始手続の第1ステップが繰り返される。
【0034】
この繰り返しは,1つのNFC「2重ポーリング」イベントから,移動体多機能デバイスがその環境で利用可能なRFIDタグ,RFIDリーダ又はNFC多機能デバイスを周期的に探索するモードへ遷移することを表している。明らかにこの実施例は,同一のRFIDタグ,ほかの多機能デバイス,又は相互にポーリングしている2つの異なるNFC多機能デバイス間の同期状態を解く,ランダム長遅延期間の利点を示している。
【0035】
この「2重ポーリング」は,前述の3つの異なる遅延期間のうち1つに続く。基本的にこの実施例は,閉じた巡回手続であって,各「2重ポーリング」の後に固定長遅延期間又は2つのランダム長遅延期間のうち1つが用いられ,固定値遅延期間に(直接又は間接に)続くランダム長遅延期間は交互に起きる。ランダム長遅延期間は,厳密に交互に用いられることが把握されるであろう。例えば50msである第1時間値と,例えば125msである第2時間値との間の時間枠を持つ第1ランダム値長遅延期間とを用いることができる。例えば0msである第1時間値と,例えば100msである第2時間値との間の時間枠を持つ第2ランダム値長遅延期間とを用いることができる。
【0036】
もう1つの例示実施例において前述の方法は,少なくとも1つの更なるデータ形式,プロトコル又は標準のための,少なくとも1つの更なる開始手続を実行するステップを更に有する。この実施例は,3重,4重,又は多重のポーリング方式への遷移を表している。
【0037】
通常のRFIDタグ環境の場合この実施例は,追加出力電力で,追加の所定期間,追加の無線周波信号シーケンスを送信し,前述の受信器を活性化し,データ信号が受信されたとき,追加データ形式によって受信データ信号を評価することによって,少なくとも1つの追加カードウォーミング手続を実行し,そしてもう1つの追加の所定期間,追加カードクーリング手続を実行することによって実装される。
【0038】
この実施例において「2重ポーリング」の原理は,プロトコル検出時間に追加開始手続を加えることによって,「3重ポーリング」,「4重ポーリング」又はそれ以上に拡張される。本発明のこの実施例において,追加標準の追加プロトコルによる追加データ形式は,実際の2重ポーリング方式にほかのデータ形式,プロトコル又は標準における任意の追加ポーリング方式を拡張することによって利用可能にできる。この実施例は,「2重ポーリング」から「多重ポーリング」NFC通信開始方式への遷移を表している。
【0039】
例示実施例において本発明の方法は,ある標準のプロトコルによる少なくとも1つの第3の種類のデータ形式に対する第1受動検出手続を実行するステップを有する。
【0040】
この実施例は,能動型ターゲットの役割をするデバイスを備えるか又は表している。遅延期間中のデバイスとは対照的に,多機能デバイスの受信器は活性化され,(少なくとも1つの種類の)開始信号を受信して応答することができる。「第3の種類のデータ形式」という表現は,開始手続において多機能デバイスが用いるデータ形式が,受動検出手続において用いられるデータ形式と異なってもよいことを強調するために選ばれた。
【0041】
受動検出手続において多機能デバイスは,本明細書の導入部で述べたように,受動型ターゲットとして動作してもよいし,又は能動型ターゲットとして動作してもよい。すなわち,前述の受動検出手続の実行時に,単に1つの標準の1つのプロトコルだけではなくより多くによる1つ以上のデータ形式の検出が考慮される。
【0042】
もう1つの例示実施例において方法は,ある標準のプロトコルによる少なくとも1つの第4の種類のプロトコルのための少なくとも1つの第2受動検出手続を更に有する。
【0043】
第1受動検出手続と第2受動検出手続とは,「2重受動検出手続」の形態で直接引き続いて実行することができる。
【0044】
第1及び第2のデータ形式(プロトコル及び/又は標準)は,第3及び第4のデータ形式と同一(すなわち,第1データ形式=第3データ形式,第2データ形式=第4データ形式,又は第1データ形式=第4データ形式,第2データ形式=第3データ形式)であってよいことに注意されたい。また,開始手続及び前述の受動検出手続のために,全く別のデータ形式(プロトコル及び/又は標準)を用いることも考慮される。
【0045】
受動検出手続を用いることによってデバイスは,選択した形式で提示するためにアイテムすなわちデータを共有するように能動的に試みる。この実施例は,多機能デバイスのRFIDリーダモードとRFIDタグ模擬モードとを交替させることによって実装することができる。この実施例は,多機能デバイスが能動共有モード又は能動交換モードにあるとき,シーケンスの中に挿入されたデータ提示フィールドによって修正されたポーリング方式を表している。
【0046】
本発明のもう1つの例示実施例において前述の方法は,前述のほかのデータ形式とは異なる少なくとも1つの更なるデータ形式のための,少なくとも1つの更なる受動検出手続を実行するステップを更に有する。この実施例は,3重,4重又は多重の受動検出手続方式への遷移を表す。
【0047】
この実施例においては,プロトコル検出時間に追加の受動検出手続を加えることによって,「2重受動検出手続」の原理が「多重受動検出手続」に拡張されている。本発明のこの実施例においては,実際の2重受動検出手続方式にほかのデータ形式の任意の追加受動検出手続シーケンスを拡張することによって,追加データ形式が利用可能になる。
【0048】
1つの例示実施例においては,前述の遅延のうち1つが固定長の遅延として実行される。遅延期間は,方法の各反復に対して異なってもよいことに注意されたい。例えば2つの異なる固定長期間を交替させることが,想起される。さまざまな固定長期間の所定の(又は無作為な)シーケンスを用いることもできる。遅延期間中多機能デバイスの送信器及び受信器は,電力を節約し,動作時間を延長するために非活性化される。
【0049】
もう1つの例示実施例においては,2回目ごとに実行される前述の遅延はランダム長期間の遅延である。
【0050】
追加の例示実施例においては,2回目ごとの前述のランダム長遅延は,ゼロを含まない所定の時間範囲から選択されたランダム長遅延として実行され,ほかのランダム長期間はそれぞれ,ゼロを含む所定の時間範囲から選択される。これは,固定長遅延と,第1ランダム長遅延と,固定長遅延と,第2ランダム長遅延とからなるシーケンスになる。
【0051】
本発明のもう1つの追加例示実施例において前述の方法は,ある標準のプロトコルによる(以降,「ある標準のプロトコルによる」を「APS」と略す)第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,APS第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,固定長遅延を実行するステップと,APS第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,APS第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,第1時間範囲から無作為に選択したランダム長遅延を実行するステップと,APS第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,APS第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,固定長遅延を実行するステップと,APS第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,APS第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,第2時間範囲から無作為に選択したランダム長遅延を実行するステップと,反復処理においてこれらの動作を繰り返すステップとからなるシーケンスを有する。RFID環境の場合これは,多重ポーリングと,固定長遅延期間と,多重ポーリングと,第1時間枠ランダム長遅延期間と,多重ポーリングと,固定長遅延期間と,多重ポーリングと,第2時間枠ランダム長遅延期間とからなる各ステップのシーケンスとして実装することができる。
【0052】
またもう1つの例示実施例において方法は,APS第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,APS第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,固定長遅延を実行するステップと,APS第3データ形式のための第1受動検出手続を実行するステップと,APS第4データ形式のための第2受動検出手続を実行するステップと,第1時間範囲から無作為に選択したランダム長遅延を実行するステップと,APS第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,APS第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,固定長遅延を実行するステップと,APS第3データ形式のための第1受動検出手続を実行するステップと,APS第4データ形式のための第2受動検出手続を実行するステップと,第2時間範囲から無作為に選択したランダム長遅延を実行するステップと,反復処理においてこれらの動作を繰り返すステップとからなるシーケンスを有する。
【0053】
前述の4つの「多重ポーリング」シーケンスとは対照的に,本発明のこの実施例は2つの受動検出シーケンスを有する。
【0054】
図4に修正されたポーリング方式が示されており,選択された形式,プロトコル及び/又は標準で提示されるアイテム及びデータを,デバイスが能動的に共有しようとしている。この提示は,1つおきのポーリング時間スロットだけを置き換える。これらは,図4に示す第2,第4スロットである。この実施例は,RFIDリーダ(イニシエータ)モードとRFIDタグ模擬(ターゲット)モードを交互に用いるNFC多機能デバイスとして説明することができる。追加のステップを用いて,基本的に異なる動作を実行させることができることに注意されたい。この実施例は,多機能デバイスが能動共有モード又は能動交換モードにあるとき,シーケンスの中に挿入されたデータ提示フィールドによって修正されたポーリング方式を表している。
【0055】
決定したデータ形式で,前述の送信器を介して送信されるデータは,ある標準のプロトコルによる前述の第1データ形式,前述の第2データ形式,又はもう1つの,第3のデータ形式ですら送信することができる。
【0056】
またもう1つの例示実施例において前述の方法は,前述の受信器モードの前述の活性化のための前述の第1及び第2データ形式の連続を変更するステップと,2回目ごとに起きる前述のランダム長遅延期間に少なくとも1回,受信信号を評価するステップとを更に有する。
【0057】
もう1つの例示実施例においては,前述の第1,第2及び/又は更なる開始手続の間,2つ以上の形式の検出が可能である。この特徴は,さまざまなデータ形式による受信信号を別々に評価することによって可能になる。これは,受信データ信号の記憶及びいくつかの引き続いて実行される別の評価処理によって達成することができる。すなわち2つ以上のデータ形式の検出は,信号検出スロットにおいて何らかの信号が受信されたときに考慮される。
【0058】
1つの例示実施例において前述の開始手続は,第1出力電力で,第1所定時間,第1無線周波の信号シーケンスを送信するステップと,データ信号を受信するための受信器を活性化するステップと,データ信号が何も受信されなかったときは,第2出力電力で,第2所定時間,第2無線周波の信号シーケンスを送信するステップと,を有する。
【0059】
多機能デバイスが,RFIDタグ又は受動型ターゲットモードにあるもう1つの多機能デバイスのような受動型ターゲットと通信しようとしているとき,第1出力電力の,第1所定時間の信号シーケンスは,受動型ターゲットを起動する連続波信号であってもよい。多機能デバイスが,NFC能動ターゲット,すなわち能動型ターゲットモードにあるもう1つの多機能デバイスと通信しようとしているとき,第1出力電力の,第1所定時間の信号シーケンスは,応答を受信できるようにするための間げきを有する中断のある信号シーケンスであってもよい。また能動型ターゲットの信号シーケンスは,多機能デバイス識別データを有してもよい。
【0060】
もう1つの例示実施例において方法は,データ信号が受信されたとき,ある標準のプロトコルによる少なくとも1つのデータ形式によって,受信したデータ信号を評価するステップを更に有する。
【0061】
本発明の更にもう1つの例示実施例においては,前述の受信器を活性化する前述のステップと,データ信号が受信されたとき,追加のデータ形式のタイミングによって,受信したデータ信号を評価する前述のステップとを別個に実行する。すなわち受信信号検出は,ポーリング処理を高速化するために後に行うデータ形式の評価と分離されている。
【0062】
遅延期間中に(例えば活性化された受信器による)RF電界の検出が可能であることは,秘密にすべきではない。すなわち遅延モードにあるデバイスは,ほかのリーダ又は多機能デバイスからの起動信号を検出できる「タグ模擬」モードで動作することができる。
【0063】
本発明の更にもう1つの例示実施例においては,前述の方法は多機能RFIDリーダである近距離通信多機能デバイスによって実行される。この実施例において方法は,例えば少なくともある標準のプロトコルによるデータ形式の第1開始手続,及びある標準のプロトコルによるデータ形式の第2開始手続である任意の種類の開始手続に限定される。更にリーダは,いくつかの別の遅延手続のうち1以上を行うことができる。RFIDリーダは,上述の実施例のうちいくつかの受動検出ステップだけを行わないこの方法の実施例を実行する。すなわち,多機能RFIDリーダはさまざまなRFIDタグを読み取ることができ,さまざまなNFC多機能デバイスと通信できることが好ましいが,RFIDタグを模擬することはできないと想定される。
【0064】
本発明のもう1つの態様によれば,前述の強化されたNFCポーリングを実行するように近距離通信多機能デバイスを動作させる方法を実行するための,サーバからダウンロードすることができる計算機プログラム製品が提供され,それは前述のプログラムが計算機又はネットワークデバイス上で実行されたとき前述の方法のすべてのステップを実行するプログラムコードを含む。
【0065】
本発明の更にもう1つの態様によれば,近距離通信多機能デバイスを動作させる方法を実行するための計算機可読媒体上に格納されたプログラムコードを含む計算機プログラム製品であって,前述のプログラムが計算機又はネットワークデバイス上で実行されたとき,本明細書の前段に記載の強化されたNFCポーリング方法を実行する計算機プログラム製品が提供される。
【0066】
本発明の更にもう1つの態様によれば,さまざまな標準のさまざまなプロトコルによるさまざまなデータ形式を用いる環境のために,近距離通信デバイスのための電子近距離通信モジュールが提供される。そのデバイスは,少なくとも1つのアンテナと,その少なくとも1つのアンテナに接続された受信器と,前述の少なくとも1つのアンテナに接続された送信器と,前述の受信器及び送信器に接続された処理ユニットと,前述の処理ユニットに接続されたメモリユニットとを備える。前述のメモリユニットは,それぞれある標準のプロトコルによる少なくとも第1データ形式及び第2データ形式を格納するようになっている。前述の処理ユニットは,前述の送信器と,前述の受信器と,前述のアンテナとを介して,第1データ形式のための第1開始手続と,第2データ形式のための第2開始手続と,遅延とを実行し,かつ反復処理においてこれらの動作を繰り返すように構成される。
【0067】
またほかの例示実施例においては,デバイスは追加開始手続及び受動検出手続を実行するように構成される。
【0068】
既知のコンポーネントを用いて標準のRFIDリーダ機能を提供することができ,一方基本デバイスによってRFIDタグ模擬モード及びデータ送信モードを実行することも可能である。
【0069】
もう1つの例示実施例においては,前述の電子近距離通信モジュールは,どちらも前述の処理ユニットに接続された乱数発生器及びタイマを更に備える。前述の処理ユニットは,前述のタイマによってさまざまな期間の時間長を決定するように構成され,更に前述の乱数発生器から得た乱数によってランダム長遅延の時間を決定するように構成される。
【0070】
多機能デバイスの実装において処理ユニットは,開始手続及び受動検出手続の時間を決めるために,また決められた時間長の遅延期間及びランダム長遅延期間を実行できるために,前述のタイマ及び前述の乱数発生器に接続される。また前述のタイマ及び/又は前述の乱数発生器を前述の処理ユニットに組み込むこともできる。乱数発生器は,本発明の方法の前述の説明において開示されたとおり,前述の遅延期間がランダム長を有するように提供される。
【0071】
前述のメモリユニットは,第1データ形式と,第2データ形式(それぞれ第1及び所定の標準の第1及び所定のプロトコルによる)と,所定長遅延期間の時間長と,2つの異なるランダム長遅延期間の時間枠とを格納するようにしてもよい。またメモリデバイスが,さまざまな所定長の,さまざまな期間の,さまざまな時間長の値を格納することも可能である。
【0072】
また本発明においては,(0を含まない所定の時間枠内の)ランダム長期間が,固定長期間と,それに続く0を含む所定時間枠内のランダム長期間とからなってもよいことに注意されたい。
【0073】
受動型ターゲット環境におけるNFC多機能デバイスに向けられた基本実施例においては,前述の処理ユニットは前述の送信器及び前述のアンテナを介して第1及び第2開始手続を実行し,前述の受信器モードを活性化するステップを含んで,APS第1及び第2データ形式によって受信データ信号を評価し,そして3つの異なる待機手続のうち少なくとも1つを実行するように構成される。3つの異なる待機手続は,少なくとも1つの所定長遅延期間と,第1時間枠内の第1ランダム長遅延期間と,第2時間枠内の第2ランダム長遅延期間とを含む。
【0074】
またNFCモジュールは,同一又は別の変調方式を用いてもよい別の周波数範囲にそれぞれ同調させた2つ以上の異なるアンテナと,2つの異なる送信器と,2つの異なる受信器を備えてもよい。
【0075】
これらのコンポーネントによって本発明のモジュールは,さまざま種類のRFIDタグ又はRFIDリーダ及びNFC多機能デバイスと通信することができ,またNFCデータ通信のためにRFID技術を用いることができる。
【0076】
また本発明のモジュールには,例えば移動体多機能デバイスに接続され,又は組み込まれるモジュールインタフェースが提供されることに注意されたい。そのようなインタフェースは,移動体多機能デバイスに提供されるどんな種類のデータ交換に対しても,互換であるように実装できることは明白であろう。
【0077】
本発明は近距離通信モジュールに関し,多機能デバイスの引き続く動作を強化し,指示するために,多機能デバイスのRFタグに関連して記憶されているRFタグ情報を,間接的かつ内部的に利用する移動体多機能デバイス内のモジュールを提供する。
【0078】
もう1つの例示実施例においては,前述の近距離通信モジュールに,方法のステップの所定のシーケンスを格納する組み込みメモリデバイスが提供される。これは,デバイスが開始手続と,受動検出手続と,遅延との任意の所定のシーケンスを用いることができるようにする。
【0079】
本発明の例示実施例において前述の処理デバイスは,受動検出手続に引き続き所定のデータ形式でデータを送信するように更に構成される。前述のデータ形式は前述の第1又は第2データ形式であってもよいし,またデータ送信のためのもう1つの(第3の)データ形式を用いてもよい。この実施例は,ほかのNFC多機能デバイスにデータを提示するために,タグを模擬するために必要なデータを送信するモジュールの能力を明示的に表している。
【0080】
本発明のもう1つの態様によれば,電子NFC多機能デバイスが提供される。電子NFC多機能デバイスは基本的に,NFCモジュールと同一のコンポーネント,すなわちアンテナと,送信器と,受信器と,処理ユニットと,乱数発生器と,タイマと,メモリユニットと,を備える。またモジュールの解決策とは対照的に,処理ユニットは例えばデータ通信,データ処理又は音楽及び/又はビデオ再生のようなほかのアプリケーションにも用いることができる。
【0081】
本発明の電子NFC多機能デバイスは,移動体多機能デバイスであってもよいことが考慮される。
【0082】
NFCモジュールと比べてNFC多機能デバイスは,受信データ及び評価済みデータを記憶するための,前述の処理ユニットに接続された記憶デバイスを更に備える。
【0083】
例示実施例において前述の電子NFC多機能デバイスには,更にユーザインタフェースが提供される。
【0084】
また多機能デバイスには,前述の受信器を介して受信した任意の種類のデータを表示するユーザインタフェースが提供される。またデバイスには,計算機デバイスによってNFCデータ後処理を可能にする計算機インタフェースが提供される。また前述の多機能デバイス内に記憶されたデータを利用できる計算機インタフェースも,間接ユーザインタフェースとして認識される。
【0085】
本発明のもう1つの例示実施例において電子NFC多機能デバイスは,通信ネットワークへのインタフェースを更に備える。そのインタフェースは,例えば有線構内ネットワーク(LAN),無線(構内)ネットワーク,又は広域ネットワークへのインタフェースであってもよい。
【0086】
本発明の更にもう1つの例示実施例において,前述の通信ネットワークインタフェースは携帯電話ネットワークへのインタフェースである。すなわち電子NFC多機能デバイスは,携帯電話機を構成するか,又は携帯電話機に組み込まれる。本発明のこの実施例は,携帯電話機内のRFIDリーダを表す。本発明は少なくとも2つの異なるデータ形式のRFIDタグを読み取り,RFIDタグを模擬し,そしてほかのNFC多機能デバイスと近距離通信を実行することができる携帯電話機内のNFC多機能デバイスを提供する。携帯電話機は,携帯電話機の処理段を用いてRFIDタグ又はNFC多機能デバイスからデータを読み取ることができる。携帯電話機は,(恐らく携帯電話機機能を有する)ほかのNFC多機能デバイスが動作範囲内にあるとき,RFIDデータ転送技術を用いてそれとデータを交換することができる。本発明の携帯電話機は,デジタルデータを送受信するために本発明の方法を用い,それによってさまざまな種類のRFIDタグを検出し,ポーリングし,RFIDタグを模擬し,もう1つのNFC多機能デバイスにコネクションを設定することができる。
【0087】
本発明のもう1つの例示実施例においては,前述の近距離通信多機能デバイスは多機能RFIDリーダである。NFCデバイスは,特別な組み込みRFIDデバイスを含む。したがって多機能NFCデバイスは,多機能RFIDリーダとして組み込むことができる。多機能RFIDリーダは,さまざまな種類のRFIDタグ及び(少なくともRFIDタグ模擬モードにある)NFC多機能デバイスから情報を読み取ることができる。多機能RFIDリーダデバイスは,少なくともある標準のプロトコルによるデータ形式の第1開始手続と,ある標準のプロトコルによるデータ形式の第2開始手続と,いくつかのさまざまな遅延手続のうち1つと,を実行することができる。
【0088】
本発明の更にもう1つの例示実施例においては,電子NFCシステムが提供される。電子NFCシステムは本明細書の前段で開示したとおり,少なくとも2つの異なる電子NFC多機能デバイスを含む。電子NFCシステムは,本発明の通信方法を用いる少なくとも1つのNFC通信デバイスを用いる。また双方のNFC多機能デバイスが,異なるデータ形式を用いている環境における近距離通信デバイスのための動作方法を用いることも可能である。この場合さまざまなランダム長遅延期間によって,相互に同期した開始手続が起きない連結した通信状態として,双方のデバイスが通信できることが保証される。
【0089】
本発明の方法を用いることによって,少なくとも1つの電子NFC多機能デバイスが,環境内にあるほかのRFIDタグ,RFIDリーダ又はNFC多機能デバイスをポーリングし,検出することができる。また本発明の方法は,1つのNFC多機能デバイスからもう1つへ能動的なデータ転送ができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】RFIDタグから情報を取得できる1つのRFIDリーダによって,現状のRFID技術を示す図である。
【図2】さまざまなRFIDタグ及びさまざまなNFC多機能デバイスと通信することができる,改善されたNFC多機能デバイス体系の例を示す図である。
【図3】本発明の1つの実施例によるRFID/NFCポーリング方式のフローチャートである。
【図4】本発明のもう1つの実施例による修正したRFID/NFCポーリング方式のフローチャートである。
【図5】NFC基盤設備内の本発明によるNFC多機能デバイスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
次に添付の図面を参照しつつ,本発明を詳細に説明する。
【0092】
図1は技術の現状を表す図であり,同一データ形式のさまざまなRFIDタグ102,104,106から情報を取得できる1つのRFIDリーダ100によって,現状のRFID技術を可視化している。今日RFIDは,人々が持ち運ぶか若しくは商品又はチケット上に置かれ,若しくは例えばチケット又はテレホンカードなどに内蔵されたある固有の値を有するタグ102,104,106に問い合わせをするリーダ100として実装されている。リーダ100は,ドア,チケット改札口,生産ライン,入室管理(access
control)システム,又はスーパマーケット内の非接触現金支払い(cashing)システムにさえも組み込むことができる。情報転送は,一種の準半2重通信で行われる。リーダは起動信号を送信してタグを誘導し,前述のタグに格納されている情報をタグが送信する。それらはしばしば独自の閉鎖システムであって,タグ102,104,106はただ1種類のRFIDリーダシステム100によって理解できる必要がある。
【0093】
図2は,さまざまなRFID/NFCデバイスと通信することができる改善されたRFID/NFC体系の例である。将来,本発明の助けによってNFC環境はより世界的かつ開放型のものとなり,そのとき電話機又はNFC多機能デバイス140は,APSさまざまなデータ形式を持つさまざまなタグ130,131,132,133,134,135と,ほかの(移動体)多機能デバイス142と,基盤設備デバイス144と,ほかの近距離通信デバイス146と,を理解し,対話できる必要が生じる。この開放型の,さまざまな環境においては,いくつかのロックアウト状態が生じる可能性がある点が課題である。多機能デバイス140が受信する複雑な多形式と多モードとの組合せを解決するために,検出方式の検討が必要である。
【0094】
検出方式は,RFIDタグ又はNFC多機能デバイスの存在を判定する第1ステップと,どれが検出されたかを解決する第2ステップとを解決することを意図している。データ処理及び通信は二次的ステップであり,検出問題が解決されるまで実行されない。
【0095】
後出の図は,多機能デバイス140が,対話が必要かどうか判定するためにほとんどの時間は低電力モードにあることを示している。これは,NFC多機能デバイス又はRFIDタグが動作範囲内にあるかどうかを確かめるために,形式を変え,短く,時間を変えた問い掛けを散在させたものである。可変長で間隔を変えた1以上の遅延要素をシーケンスに追加することによって,NFC多機能デバイスが同期状態でロックアウトされる問題を解決することができる。
【0096】
本実施例において,次に掲げる場合,多機能デバイス140のロックアウト状態が生じる。
・多機能デバイス140がタグ又はほかの多機能デバイスと対話しようとして,間違ったデータ形式,プロトコル及び/又は標準を用いたとき。
・多機能デバイス140が第2のデバイスに開始手続又はデータを提示し,双方が能動的共有モード又はデジタルアイテム提示モードにあるとき。
・RFIDタグ又はRFIDタグを模擬する多機能デバイスを期待している基盤設備リーダに対向し,多機能デバイス140が「RFIDリーダ」モードにあるとき。
・多機能デバイス140がデータ提示(すなわち,「タグ模擬」又は「ターゲット」)モードにあり,RFIDタグ模擬モードにある多機能デバイス又はRFIDタグに対向しているとき。
・多機能デバイス140が,同期して同一のシーケンスを踏んでいる類似のデバイスに提示され,お互いに気付かないとき。
【0097】
本発明は例えば図3及び4のポーリング方式を提供することができ,それによって上記のロックアウト状態を防ぐ解決策を提供することができる。
【0098】
明りょうにするために言えば,図3及び4はカードウォーミング手続及びカードクーリング手続を用いるRFIDタグ環境における例である。任意の環境における一般的実装に対しては,カードウォーミング手続及びカードクーリング手続それぞれは,NFC多機能デバイス間の所望の開始手続の対応するステップで置き換える必要がある。
【0099】
図3は,本発明の1つの実施例によるRFIDポーリング方式のフローチャートである。この方式においては,さまざまな形式のデータに対する,10ms〜30msの短い探索期間が,変化する間隔で反復される。カードクーリングは,カードが形式を変える前に最後の読み出しから切り替わるための期間を与えるためにある。またこのカードクーリングは,タイマ期間の内1つが短いかもしれないので,走査処理の終わりにもある。多機能デバイスが双方とも,データ共有のような同一又は類似の処理を選択したとき,それらのうち1つが検出の可能性を最大化するように,間隔タイマはそれぞれ別の値を持つ。更にカードウォーミング時間もまた必要である。
【0100】
基本ポーリングは図3に示したシーケンスで実行される。「CW」はカードウォーミング2であり,受動型カードをリーダが問い合わせたときにすぐに応答できる状態にするために実行する必要がある。カードウォーミング期間は,約5msの期間に設定される。「CC」はカードクーリング6であり,形式を変更するときに受動型カードが別の動作を行う前に休む時間があるようにするため必要である。カードクーリング期間は,約1msの期間に設定される。このシーケンスは,3つの遅延種別D1と,D2と,D3とを有する。遅延シーケンスの変容は,任意の2つの移動体デバイスが双方とも同一の共有又は交換状態に入ったとき,一方のデバイスが短時間内に他方を検出できることを保証するように,移動体デバイス間に十分なオフセットを与えるために必要である。D1は長い時間枠内の乱数である。D2は固定値であり,一度はD1の後,二度目はD3の後に2回用いられる。D3は短い時間枠内の乱数である。これは0であってもよいので,カードクーリングはD3に先立って行わなければならない。この周期は,双方の多機能デバイスがイニシエータとして動作しているときに,それらの間のコネクション確立を促進するために提供される2つの変化するランダム間げきのために変化する。
【0101】
この方法は,ポーリング方式の閉ループが符号16で記された遅延期間D3に続くカードウォーミング手続(CW)2で始まるとき最も分かりやすく説明することができる。
【0102】
このように開始点を選択することによって,方法が遅延期間で始まることを防ぐことができる。図3においてポーリング方式は,さまざまな遅延期間で分離された4つの「2重ポーリング」イベントを含む。これら「2重ポーリングイベント」は,2つのポーリングイベントを含み,カードウォーミング手続2のそれぞれに,活性化された受信器が送信信号すなわちもう1つのデバイス又はRFIDタグから信号を受信する準備ができている受信待機期間4,8が続く。活性化受信器モードの期間に受信された信号があると,信号は特定のデータ形式,プロトコル及び/又は標準に従って分析され,評価される。受信待機期間は,カードクーリング手続6に続き,近傍のどのNFC多機能デバイスも完全に定義された状態を再開できる。例えばRFIDタグの場合,このクーリング時間はスリープモードの再開,又は半充電されたコンデンサを放電させるために用いられる。
【0103】
第1ポーリングイベント4は,”FeliCa(登録商標)”と記された第1受信待機期間4を構成し,期待される第1データ形式(ここではFeliCa(登録商標))でのデータ送信を表している。”FeliCa(登録商標)”のための受信待機期間は,約7msの期間に設定される。活性化受信器モードのこの期間に受信された信号があると,信号はFeliCa(登録商標)標準に従って分析され,評価される。
【0104】
この第1ポーリング手続は,第2ポーリングイベントに続き,第2ポーリングイベントは”Mifare(登録商標)”と記された第2受信待機期間8を構成し,そこでは”Mifare(登録商標)”標準に従った送信信号の受信が期待される。”Mifare(登録商標)”のための受信待機期間は約5msの期間に設定される。更に第2の監視フェーズでは割り込みが可能であり,それによって後にチケット販売のようなアプリケーションをRF電界検出によって活性化できる。
【0105】
近距離通信デバイスへの接続及びデータのアップロードに続いて,コンテンツ形式を検証しなければならず,必要な操作又は処理が選択される。活性デバイスのRF電界を検出した後,ISRは同一のコンテンツ形式検証処理にハンドオーバしなければならない。これによって検出問題は解決され,2つの多機能デバイス間で交換が継続できるかどうか,及びどの交換を継続できるかを判定するために,デバイス間のネゴシエーションが必要になる。
【0106】
すなわち本発明の方法はさまざまな近距離通信コネクションを探索する第1の2重ポーリング手続で始まる。各図においてさまざまなデータ形式(ソニー(登録商標)の”FeliCa(登録商標)”及びフィリップス(登録商標)の”Mifare(登録商標)”)でデータが探索されることが分かる。
【0107】
これは信号検出処理なので,NFCのようなほかの符号化形式も同一のポーリング機能で検出できる。自己電源を有するいくつかのNFCデバイス(「能動型ターゲット」)に対しては,これは能動型NFCデバイスであり,カードウォーミング時間は厳密には必要ない。しかしそれは,能動型及び受動型ターゲット双方と通信する検出処理の能力を促進するために取っておくことが望ましい。
【0108】
本発明は,例えばNFC,ISO14443−4又はECMA352を含むほかの近距離通信標準にも直ちに拡張できることに注意されたい。本方法のこの拡張によって,関係するカードウォーミングと,受信と,カードクーリングとのステップを加えることによって,「3重ポーリング手続」又は「4重ポーリング手続」になる。したがってECMA352と,ISO/IEC18092と,ほかのさまざまな形式とを,すべてこの検出概念に含むことができる。
【0109】
各「2重ポーリング」又は「多重ポーリング」の後,デバイスは遅延期間に入る。図中の第1遅延,すなわち「第1の2重ポーリング」D2と記された遅延期間10は,固定長である。例えばD2 10の長さを,100msと200msの間とすることができる。D2は例えば,150msの固定長であってもよい。遅延期間によって,デバイスの電力消費は送信器(及び受信器)のデューティサイクルが減少すると減少させることができる。
【0110】
第1遅延期間の後2重ポーリング手続は「第2の2重ポーリング」手続として反復され,D1と記された第1ランダム長遅延期間12に続く。ポーリング連鎖内のフィールドD1は,ランダム長の時間スロットである。これによって2つのデバイスが同時に共有状態にあるときロックアウト状態を避けることができ,また少なくともほかのデバイスはデータを受信することができる。第1ランダム長遅延期間12は最小値10msから200msまでのどんな長さであってもよく,50msと125msとの間のいずれかの長さであることが好ましい。すなわち第1ランダム長遅延期間は,例えば最小長50msかつ150ms未満である。
【0111】
第1ランダム長遅延期間の後2重ポーリング手続は,「第3の2重ポーリング」として反復される。この2重ポーリング手続は,(D2と記された)第2固定長遅延期間14に続く。また図中の第1遅延期間14も固定長である。第1固定長遅延期間の長さは,第2固定長遅延期間とは異なる。第1固定長遅延期間14の長さは,例えば100msと200msとの間であってよい。またD2は,例えば150msの固定長であってもよい。同一の長さの固定長遅延期間を用いることによって,ポーリング方式を簡略化できる。
【0112】
第2ランダム長遅延期間の後,「第4の2重ポーリング」手続が実行される。次にこの第4の2重ポーリング手続は,フィールドD3と記された第2ランダム長遅延期間16に続く。この第2ランダム長遅延期間16は,最小値0msから150msまでのどんな長さであってもよく,0msと100msとの間であることが好ましい。
【0113】
第2ランダム長遅延期間が終わった後,ポーリング方式は反復のために初め,すなわち第1「2重ポーリング手続」に戻る。
【0114】
RF検出割込みによる活性化と記された期間から分かるように,各デバイスはほとんどが遅延状態にあって,バッテリ電力を節約できる。遅延状態のデバイスは非活性の受信器を有するが,また例えば通常のRFIDタグのようにRF電界が受信されるか又は提示されたとき,それに応答することができる状態にもある。
【0115】
図4はNFC多機能デバイスの修正されたポーリングスキームを示している。この修正は,シーケンス内の各遅延期間の前の短い時間スロット内に,データ提示を加えることに関する。共有状態又は交換状態にある多機能デバイスは,これらの期間に入る。
【0116】
修正ポーリングにおいて2つの「2重ポーリング手続」は,データ提示手続18で置き換えられる。本例示においては,データは最小7ms提示される。データは,トランザクションがコネクション通知を得るか又はトランザクションが中断されるまで,RFID又はNFCサービスを用いたいと願うアプリケーションが決定した形式で提示され,その時点でシステムは,図3に示す基本ポーリングループに戻る。コネクションが確立されるか,又はRFC又はNFC割込みが検出されると,すべてのポーリング又は開始手続は活性化が完了するまで中断される。
【0117】
したがって共有又は交換が選択されたとき,修正(図4参照)した基本ポーリングループ(図3参照)を利用する方法は,必要なさまざまな形式のデータの検出及び提示に対応するために効率的である。このシーケンスには,多機能デバイスが大部分の時間低電力状態に留まるという追加の利点がある。
【0118】
図5は,本発明による近距離通信システムの例である。システムは,通信しているRFID又はNFCデバイスと,トランスポンダ又はRFIDタグ19と,NFC多機能モジュールと,NFC多機能デバイスと,からなる。
【0119】
システムは,RFIDタグ又はアンテナ40及びコイルすなわちアンテナインタフェースを備えるトランスポンダ19と,コントローラと,メモリと,を備える。
【0120】
さまざまなデータ形式が用いられる環境におけるNFC多機能デバイスのためのNFC多機能モジュールは,コイルとコンデンサとの組合せとして描かれているアンテナ44を備える。アンテナは送受信機62に接続されている。NFCモジュールは,前述の送受信機62に接続された処理ユニット64を更に備える。またモジュールは,処理ユニット64に双方とも接続された乱数発生器68及びタイマ66も備える。モジュールは,前述の処理ユニット64に接続されたメモリユニット70を更に備える。
【0121】
さまざまなデータ形式が用いられる環境のためのNFC多機能デバイスは,コイルとコンデンサとの組合せとして描かれているアンテナ74を備える。アンテナは送受信機82に接続されている。RFIDモジュールは,前述の送受信機82に接続された処理ユニット84を更に備える。またモジュールは,処理ユニット84に双方とも接続されたタイマ86及び乱数発生器88も備える。モジュールは,前述の処理ユニット84に接続されたメモリユニット90を更に備える。NFC多機能デバイスは,追加メモリユニット92及び携帯電話機(モジュール)94を更に備える。各図においては,説明を不明りょうにしないように,電源部及びユーザインタフェースは省かれている。
【0122】
図示したシステムにおいてNFC多機能モジュールは,第1データ形式を用いてトランスポンダ19と能動的に通信しているものと想定する。モジュールは,前述のメモリユニット70及び72が第1データ形式及び第2データ形式を記憶しているので,この通信を実行することができる。またメモリは,例えば固定長遅延期間の長さ及び少なくとも2つの異なるランダム長遅延期間の時間枠も記憶することができる。
【0123】
モジュールの処理ユニット64は,前述の送受信機62及びアンテナ44を介する第1及び第2カードウォーミング手続と,前述の受信器モードの活性化と,前述のデータが前述のトランスポンダ19から受信されたときの,第1データ形式に従う受信したデータ信号の評価と,前述のデータが前述の近距離通信データデバイスから受信されたときの,第2データ形式に従う受信したデータ信号の評価と,第1及び第2カードクーリング手続と,3つの異なる遅延,すなわち固定長遅延期間並びにそれぞれ第1及び第2時間枠を有する乱数値の2つのランダム長遅延期間を含む遅延手続と,を実行するように構成される。
【0124】
図3及び4の方法によれば,近距離通信モジュールは例えば第1データ形式を用いてトランスポンダ19と通信することができ,また第2データ形式を用いて近距離通信デバイスと通信することができる。図3によればモジュールは「FeliCa(登録商標)」形式を用いてトランスポンダ19と通信することができ,図3及び4によれば「Mifare(登録商標)」形式を用いてデバイスと通信することができる。
【0125】
本発明は,ユーザが現在運用している選択に関する情報を用いて,ソフトウェア処理機能によって最も簡単に実装することができる。
【0126】
本発明は,所望の,又は利用可能なすべてのRFID形式に対応できるという利点がある。更に本発明は,双方の多機能デバイスが共有モード又は交換モードでイニシエータとして動作しようとしたとき,ロックアウト状態が起こらないように衝突防止方式を提供する。本発明は活性化時間を最小にすることにより,移動体への実装を可能にする低電力消費を実現することができる。本発明は,合理的な時間内に可能なすべての対話を検出することができる。後段のデータ処理によって,十分なデータ分析が実行される。これらの利点はすべて,コードにほんの少しの追加バイト数の追加することによって,また本発明のポーリング方式によるわずかな遅延の増加だけで達成できる。
【0127】
上述した本発明の実施例は,複数のデータ形式,標準又はプロトコルを用いるタグと,カードと,リーダと,多機能デバイスとの間で各動作の調整のために対話が望まれる環境における多機能RFIDデバイス又は多機能近距離通信デバイスの動作によって要約される。前述の各動作とは,第1データ形式,標準又はプロトコルのための読み出し手続又は開始手続を実行する動作と,第2データ形式,標準又はプロトコルのための読み出し手続又は開始手続を実行する動作と,必要な更なるデータ形式,標準又はプロトコルのための更なる読み出し手続又は開始手続を実行する動作と,第1データ形式,標準又はプロトコルのための受動検出手続又は受動ターゲット手続を実行する動作と,第2データ形式,標準又はプロトコルのための受動検出手続又は受動ターゲット手続を実行する動作と,必要な更なるデータ形式,標準又はプロトコルのための更なる受動検出手続又は受動ターゲット手続を実行する動作と,固定長又はランダム長遅延を実行する動作と,巡回処理又は反復処理においてこれらの動作を反復する動作と,からなる。
【0128】
1つの実施例においては,1つの受動検出手続又は受動ターゲット手続が,複数のデータ形式,標準又はプロトコルを検出するために用いられる。固定長又はランダム長の遅延は用いなくてもよく,ほかの読み出しと,開始と,検出と,ターゲットとの動作のうち1つによって実装される。本明細書全体において,「データ形式,標準及び/又はプロトコル」又は「ある標準のプロトコルによるデータ形式」という表現は,「データ形式」という表現で略されている。
【0129】
本願は,例を用いて本発明の実装及び実施例を説明したものである。当業者であれば,本発明が上述の実施例の詳細に限定されるものではなく,本発明の特徴から離れることなく別の形式において実装することも可能であることに気付くであろう。上述の実施例は例示であって制限ではないと考えることが望ましい。このように本発明の実装及び利用の可能性は,本願の請求項によってのみ制限される。したがって均等物を含み,本願請求項によって決められる本発明のさまざまな実装の選択肢もまた,本発明の範囲に属するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数データ形式を用いる近距離通信が可能なデバイス間で,各動作を調整するために対話が望まれる環境における近距離通信多機能デバイスの動作方法であって,前記各動作は,
ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行する動作と,
ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行する動作と,
遅延を実行する動作と,
反復処理においてこれらの動作を繰り返す動作と,
である方法。
【請求項2】
ある標準のプロトコルによる少なくとも1つの第3の種類のデータ形式のために,第1受動検出手続を実行するステップを更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ある標準のプロトコルによる少なくとも1つの第4の種類のデータ形式のために,第2受動検出手続を実行するステップを更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ある標準のプロトコルによる少なくとも1つの更なるデータ形式のために,少なくとも1つの更なる開始手続を実行するステップを更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ある標準のプロトコルによる少なくとも1つの更なるデータ形式のために,少なくとも1つの更なる受動検出手続を実行するステップを更に有する請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記遅延の1つは,固定長遅延として実行する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記遅延の1つは,ランダム長遅延として実行する請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
2回目ごとに実行する前記遅延は,ランダム長遅延である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
2回目ごとの前記ランダム長遅延は,ゼロを含まない所定の時間範囲から選択されたランダム長として実行され,ほかの各ランダム長は,ゼロを含む所定の時間範囲から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,
固定長遅延を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,
第1時間範囲から無作為に選択したランダム長遅延を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,
固定長遅延を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,
第2時間範囲から無作為に選択したランダム長遅延を実行するステップと,
反復処理においてこれらの動作を繰り返すステップと,
のシーケンスを有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,
固定長遅延を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第3データ形式のための第1受動検出手続を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第4データ形式のための第2受動検出手続を実行するステップと,
第1時間範囲から無作為に選択したランダム長遅延を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続を実行するステップと,
固定長遅延を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第3データ形式のための第1受動検出手続を実行するステップと,
ある標準のプロトコルによる第4データ形式のための第2受動検出手続を実行するステップと,
第2時間範囲から無作為に選択したランダム長遅延を実行するステップと,
反復処理においてこれらの動作を繰り返すステップと,
のシーケンスを有する請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記の開始手続を実行するステップが,
第1出力電力で,第1所定時間,第1無線周波の信号シーケンスを送信するステップと,
データ信号を受信するための受信器を活性化するステップと,
データ信号が何も受信されなかったときは,第2出力電力で,第2所定時間,第2無線周波の信号シーケンスを送信するステップと,
を有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
データ信号が受信されたとき,ある標準のプロトコルによる少なくとも1つのデータ形式に従って,受信したデータ信号を評価するステップを更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記受信器を活性化する前記ステップと,データ信号が受信されたとき,少なくとも1つのデータ形式のタイミングに従って,受信したデータ信号を評価する前記ステップとを別個に実行する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法を,多機能RFIDリーダである近距離通信多機能デバイスによって実行する請求項1に記載の方法。
【請求項16】
計算機プログラム製品であって,計算機又はネットワークデバイス上で動作させると請求項1〜15のいずれか一項の方法を実行する,計算機可読媒体上に格納されたプログラムコードを含む計算機プログラム製品。
【請求項17】
計算機プログラム製品であって,計算機又はネットワークデバイス上で動作させると請求項1〜15のいずれか一項の方法を実行する,サーバからダウンロード可能なプログラムコードを含む計算機プログラム製品。
【請求項18】
用いられるさまざまな標準の,さまざまなプロトコルによる,さまざまなデータ形式を有する環境における近距離通信デバイスのための電子近距離通信モジュールであって,
少なくとも1つのアンテナと,
少なくとも1つのアンテナに接続した受信器と,
少なくとも1つのアンテナに接続した送信器と,
前記受信器及び前記送信器に接続した処理ユニットと,
前記処理ユニットに接続したメモリユニットと,を備え,
前記メモリユニットは,ある標準のプロトコルによる第1データ形式,及びある標準のプロトコルによる第2データ形式を格納するようにし,
前記処理ユニットは,前記送信器と,前記受信器と,前記アンテナとを介して,
ある標準のプロトコルによる第1データ形式のための第1開始手続と,
ある標準のプロトコルによる第2データ形式のための第2開始手続と,
遅延と,
反復処理におけるこれらの動作の繰り返しと,
を実行するように構成するモジュール。
【請求項19】
前記処理ユニットに接続する乱数発生器及びタイマ双方を更に備え,
前記処理ユニットは,前記タイマによってさまざまな時間長を決定するように構成され,更に前記乱数発生器から得られる乱数によってランダム長遅延の時間長を決定するように構成する請求項18に記載の電子近距離通信モジュール。
【請求項20】
前記デバイスは,組み込みメモリデバイスにハードコードされた,請求項1〜15のいずれか一項に記載のシーケンスを含むことを特徴とする請求項18又は19のいずれか一項に記載の電子近距離通信モジュール。
【請求項21】
受信データ及び評価データを記憶するために,前記処理ユニットに接続した記憶デバイスを更に含み,請求項18〜20にいずれか一項に記載のモジュールによって特徴付けられる電子近距離通信多機能デバイス。
【請求項22】
ユーザインタフェースを更に備える請求項21に記載の電子近距離通信可能多機能デバイス。
【請求項23】
通信ネットワークインタフェースを更に備える請求項21に記載の電子近距離通信可能多機能デバイス。
【請求項24】
前記通信ネットワークインタフェースは,セルラ電話ネットワークインタフェースとする請求項23に記載の電子近距離通信可能多機能デバイス。
【請求項25】
前記近距離通信多機能デバイスは,多機能RFIDリーダとする請求項21に記載の近距離通信可能多機能デバイス。
【請求項26】
請求項20〜25のいずれか一項に記載の少なくとも2つの電子RFID通信可能多機能デバイスを備え,請求項1〜15のいずれか一項に記載のデータ交換方法を実行する電子近距離通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−130051(P2012−130051A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27103(P2012−27103)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【分割の表示】特願2010−15487(P2010−15487)の分割
【原出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】