説明

迷路遊具並びに迷路遊具器

【課題】 迷路の作製作業が簡単で、転動体の移動もスムーズに行え、しかも、迷路を構成する各ブロックの配置を自由に行うことのできる迷路遊具並び迷路遊具器を提供する。
【解決手段】 転動体1が自重で滑り落ちる角度を有する上記の被着面Wを使用し、そこに取り付けることのできる、三叉路以上の複数の通路を有する分岐通路ブロック16,17、及び、直線単通路ブロック2、長直線単通路ブロック12、直角単通路ブロック12、鈍角単通路ブロック14、湾曲単通路ブロック15等の各種単通路ブロック、並びに転動体受部材22からなる迷路遊具とした。なお、この迷路遊具は、ケース部材を使用しその中で楽しむことのできる迷路遊具器としても良い。また、被着面Wと迷路遊具の部材の取り付けは、磁気吸着力、その他適宜の手段で実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に幼児の知育教育用に用いられ、併せて、同伴者等も一緒に楽しむことができる、ボール等の転動体を使用する迷路遊具並びに迷路遊具器に関するものである。
なお、発明の名称における遊具の表現については、発明の内容を勘案して定めたものであるが、実質的には、先行技術で開示する迷路玩具の分野と共通する内容も含むものである。
【背景技術】
【0002】
ボール等の転動体を複雑な迷路内に移動させて楽しむ迷路玩具については、従来から各種の技術のものが公知となっており、その迷路の形成は、多くの場合において、同一の大きさの透明な立方体で、各種形態の通路を有する複数タイプのブロックを、通路が連続するように隙間無く横並び状態に接触させるか、或いはそれらを複数段に重ね合わせて使用する構成となっている。
そして、これらのブロックは、一面の中央に注入口が形成されていて、直線的に反対面に貫通する通路並びに排出口を有するタイプ、ブロックの中央で直角方向に屈曲する通路並びに排出口を有するタイプ、或いはこれらを複合した略T字型の通路・排出口や、略+状の通路・排出口を有する等の複数の通路・排出口を有する各種タイプ、のものがあり、それらの注入口或いは排出口が一致するように横並び状態に接触させるか、重ね合わせることにより迷路が形成されることになる。
【0003】
なお、これらの迷路のうち、立体的な迷路を形成するものとしては、特許文献1に表わされる構成が公知となっている。
この構成においては、上述した複数タイプのブロックを多数段に亘って重ねて迷路を形成し、その外面を透明なケースで覆って立体迷路玩具を完成させている。
ちなみに、特許文献1には、他の構成として、上述した透明なケースによる固定に換えて、各ブロック間の通路の入り口に通路継手を介在させて、ブロック同士が直接重なって見えるように連結する構成も開示されており、この場合においては、上述したような各ブロック全体を整然と重ね合わせる形態とする必要は無いので、任意の変則形状の立体迷路玩具として完成させることもできる。
【0004】
また、上記した複数タイプのブロックを一段に並べて迷路を形成し、上方開放箱状のベース内に配置したボード型迷路玩具も特許文献2にて公知となっている。
【0005】
一方、上述した先行技術のように各種ブロックが重なり合って連結される構成とは異なり、各種ブロック間に間隙が開くように連結部材を介在させて迷路を形成する構成も、特許文献3にて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−61279号公報
【特許文献2】実用新案登録第3088381号公報
【特許文献3】特開2006−619号公報(図17〜図20参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの各先行技術は、迷路を形成するために、特許文献1においては多段に積層したブロックの全体を覆う透明なケース或いは各ブロックを連結する多数の通路継手部材が、特許文献2においては一段のブロック周囲を覆う上方開放箱状のベースが、特許文献3においては各ブロック間を繋ぐ複数の連結部材が、というように何らかの連結手段が必要であると共に、各ブロックは、同一の形態でありながら注入口と排出口の配置の異なる複数のタイプのものを使う構成となっているため配置を間違いやすく、迷路作製の作業には、大変時間を要するという不都合があった。
【0008】
また、各ブロックは、連結し易いように、注入口並びに排出口は必ずブロックの中央に設けられており、またそこからの通路は、ブロックの中心に向かって形成されている、即ち、横方向に形成される通路においては、載置面に対して平行な水平状態に形成されることになるため、転動体は横方向には移動しにくく、転動体をスムーズに移動させるには、迷路玩具全体を揺する等の作業の必要性が生じる不都合があった。
【0009】
さらに、これらの先行技術は、先に述べたように、通路を連結しなければならないという前提があるため、基本的には、最も実施し易い同一の形状のブロックを隙間無く横並び状態に接触させて一段の迷路を形成するか、或いは複数段重ね合わせて使用する構成とするものが基本となっており、そこから変化を求めて違う形態に仕上げようとしても、連結には自ずと限界があるため、結局、これらの先行技術においては、迷路自体が単調にならざるを得ないものであった。
また、転動体の動きも、単に決められた迷路内を転がるだけであるため、その動き自体には特に面白さは感じられないのものとなっていた。
従って、これらの従来技術による迷路玩具は、玩具としての興味を早期に失い易いという不都合が生じやすいものであったものと思料される。
【0010】
そこで、本発明は、迷路の作製作業が簡単で、転動体の移動もスムーズに行え、しかも、迷路を構成する各ブロックの配置を自由にして転動体の移動に意外性をもたせることにより、遊具としての興味を失いにくい構成にまとめ、幼児の知育教育用として、また、二次的な効果として同伴者も楽しむことのできる、好適な迷路遊具並びに迷路遊具器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決させるために、本発明は、各ブロックに形成された通路を直接的に連結しなくても迷路を形成することができないかいう観点で鋭意検討した結果から想到されたものであって、具体的には、転動体と、その転動体が通過するための注入口及び通路並びに排出口を備えていて背面に壁面等の被着面への貼着手段を有する複数個の通路ブロックと、この通路ブロックの出口の下方に配置し背面に壁面等の被着面への貼着手段を有する転動体受部材とから構成され、それらの複数個の通路ブロックは、少なくとも三叉路以上の複数の通路を有する分岐通路ブロックと、通路が一つの単通路ブロックとで構成されていて、転動体が自重で滑り落ちる角度を有する被着面に対して、分岐通路ブロックを貼着させることによって分岐路を形成し、この分岐路に対し、他の通路ブロックをその通路が直接的或いは間隙を介して間接的に形成されるように貼着させ、以下同様に、他の通路ブロックを貼着していくことにより複数の迷路を形成することが可能な構成の迷路遊具とした。
【0012】
この構成によれば、各種通路ブロックは、転動体が自重で滑り落ちる角度を有する壁面等の被着体に取り付けられる、即ち、迷路は各種ブロック同士を直接連結しなくても形成することができるので、連結部材が不要で、取り付け作業が行いやすい。
また、転動体は自重で滑り落ちていくため、スムーズに移動することができる。
さらに、各種通路ブロックの配置は、通路が直接的に連続するようにブロック同士を接触させることはもとより、その状態からブロック間に間隙を空けて、転動体が飛び込むような間接的な通路を形成したり、取り付け角度をずらしたり、適宜の通路ブロックを自由に選択して連続させていくことができるため、多数の迷路を形成できると共に、それに伴って転動体も変化に富んだ移動をさせることができる利点がある。
【0013】
なお、単通路ブロックは、注入口と排出口との間の通路が直線に形成される直通路ブロック、及び、または、通路が屈曲或いは湾曲した非直通路ブロックで構成し、直線的に排出されるものだけのものでなく、他の方向からも排出できるようにして変化をもたせたほうが遊具として好ましい態様となる。
【0014】
また、本発明においては、各通路ブロックの大きさを統一する必要が無いため、各通路ブロックは、適宜の形状、適宜の大きさの形態で実施することができる。
このようにして実施すると、使う楽しみが増加するため、遊具として商品性を高めることができる。
【0015】
さらに、各通路ブロックは、転動部材の移動が目視できるものと目視できないものとを備え、適宜に選択して使用することができるようにするのが好ましい。
このようにすると、予期しない位置から転動体が突然現れることがあるので、遊具としての楽しさを増加させることができる。
【0016】
これらの通路ブロック及び転動体受部材は、被着体への貼着手段として、背面に磁力が付与されており、強磁性体製の被着面に対して磁気吸着にて取り付ける構成で実施することができる。
この構成によれば、室内に多く存在する強磁性体製でなる部材であるところの、内壁面、ボード、キャビネット等に対して本迷路遊具を磁気吸着力にて簡単に取り付けることができる利点がある。
【0017】
なお、被着体を板状の基板となし、その基板の周囲を各種通路ブロックの厚さより高い側板にて囲繞した本体、並びに、この本体の上面を開閉自在に覆う透明製のカバー部材で構成されたケース部材と、上述した迷路遊具のいずれかとからなり、ケース部材内で、迷路遊具を取り付けて使用する迷路遊具器とすることもできる。
このような構成とすれば、迷路遊具器の置けるスペースさえあれば楽しむことができ、転動体が遠方に飛んでいくことがなくいので、転動体を拾いに行く行動を好まない使用者には好適であると共に、転動体が迷路遊具器内でから出ていけないことは逆に迷路遊具器内で安定するまで動きまくることに繋がり、楽しさが増加する利点も生ずる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、既存の壁面等の被着面に対して、分岐通路ブロックを含む各種の通路ブロックと転動体受部材を取り付けるだけで迷路を簡単に作製することができる。
また、上記の各通路ブロックは自由な位置に、自由な角度で取り付けることができ、通路形成も密着と非密着を自由に選択して取り付けることができ、さらに、他の通路ブロックを適宜に選択して取り付けることができるので、複雑な迷路を形成することができる。
さらに、転動体は自重で落下していくように構成されているため、移動はスムーズで、且つ、上述のような自由で複雑な迷路内を移動して、変化に富んだ動きをするため、幼児の知育教育用として好適で、しかも、同伴者も楽しむことのできる、迷路遊具とすることができる。
また、迷路遊具を楽しめる迷路遊具器の構成とすれば、迷路遊具器が設置できる小スペースさえあれば、適宜の場所で楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例に使用する転動体1を表わし、(a)は斜視図、(b)は断面図を示す。
【図2】本発明に使用する直線単通路ブロック2を表わしたものであり、(a)は斜視図、(b)は横中央断面図、(c)は縦中央断面図、(d)は背面から見た斜視図、(e)は変形例の背面から見た斜視図を示す。
【図3】本発明に使用する他の通路ブロックを表わしたものであり、(a)は長直線単通路ブロックの斜視図、(b)は長直線単通路ブロックの縦中央断面図、(c)は直角単通路ブロックの斜視図、(d)は直角単通路ブロックの縦中央断面図、(e)は鈍角単通路ブロックの斜視図、(f)は鈍角単通路ブロックの縦中央断面図、(g)は湾曲単通路ブロックの斜視図、(h)は湾曲単通路ブロックの縦中央断面図を示す。
【図4】本発明に使用する分岐通路ブロックを表わしたものであり、(a)は三方向分岐通路ブロックの斜視図、(b)は三方向分岐通路ブロックの縦中央断面図、(c)は四方向分岐通路ブロックの斜視図、(d)は四方向分岐通路ブロックの縦中央断面図、(e)は変則四方向分岐通路ブロックの斜視図、(f)は変則四方向分岐通路ブロックの縦中央断面図を示す。
【図5】本発明に使用するフレキシブル型通路ブロックを表わしたものであり、(a)は正面から見た斜視図、(b)は背面から見た斜視図、(c)は縦中央断面図、(d)はS字状にしたときの断面図、(e)は上方向に立体的に湾曲させた時の斜視図を示す。
【図6】本発明に使用するジャバラ式通路ブロックを表わしたものであり、(a)は斜視図、(b)は縦中央断面図、(c)は部分拡大断面図を示す。
【図7】本発明に使用する転動体受部材を表わしたものであり、(a)は正面から見た斜視図、(b)は背面から見た斜視図、(c)は縦中央断面図を示す。
【図8】本発明の実施例1を表わしたものであり、(a)は斜視図、(b)は縦中央断面図、(c)は変形例の断面図を示す。
【図9】本発明の実施例2を表わしたものであり、(a)は斜視図、(b)は縦中央断面図を示す。
【図10】本発明の実施例3を表わしたものであり、(a)は斜視図、(b)は縦中央断面図を示す。
【図11】本発明における実施例4の縦中央断面図を示す。
【図12】本発明における実施例5の使用前の斜視図を示す。
【図13】本発明の実施例5を表わしたものであり、(a)は使用中の縦中央断面図、(b)はY−Y断面図を示す。
【図14】本発明の変形例1を表わしたものであり、(a)は斜視図、(b)は中央横断面図を示す。
【図15】本発明の変形例2を表わしたものであり、(a)は斜視図、(b)は中央横断面図を示す。
【図16】本発明の変形例3を表わしたものであり、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図、(c)は中央横断面図を示す。
【図17】本発明の変形例4を表わしたものであり、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図、(c)は中央縦断面図を示す。
【図18】本発明の変形例5を表わしたものであり、(a)は斜視図、(b)は中央横断面図を示す。
【図19】本発明の変形例6、7を表わしたものであり、(a)は変形例6の斜視図、(b)は変形例7の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、転動体と、その転動体が自重で滑り落ちる角度を有する壁面等の被着体に、転動体が移動することのできる各種の通路ブロックを自由な位置に配置して、複雑な迷路を形成できると共に、転動体の変化に富んだ移動を楽しめる迷路遊具並びに迷路遊具器であって、以下、使用する部材の説明から、順に詳細に説明していく。
【0021】
図1は、本発明に使用する転動体1を表わし、図1(a)は斜視図、図1(b)は断面図を示したものである。
転動体1は、下述する各種の通路ブロック内を通過させる物品であり、ピンポン玉に代表されるような直径約40mm程度の球体の形状で、軽量で薄肉のセルロイドや高密度ポリエチレン等の樹脂製のものを使用する。
この形態であると、通過させる通路ブロックに対する衝撃力が少ないので、その通路ブロックの位置ズレが起こりにくい利点があると共に、軽量といえども移動スピードは速く、しかも弾性作用があるので通路ブロック内での接触した場所により、意外な方向に弾んでいくという面白い動きをする特徴がある。
【0022】
なお、本発明においては、球体のものを使用しているが、遊具としての楽しさを増加させるため、移動に支障を起こさない範囲で、図示しない各種動物や各種キャラクター形状等、形状を適宜に変形させて実施させてもよく、材料についても同様に、エラストマー製等、適宜に選択して実施してよい。
【0023】
図2〜図6は、本発明に使用する各種の通路ブロックを表わしたものである。
これらの各種の通路ブロックは、基本的には、上述した転動体1の移動状態が判るように、透明或いは半透明なアクリルやスチロール等の樹脂材料を使用する。
但し、遊具としての面白さを演出するため、あえて不透明な材料を使用したり、透明な部材に塗装等を施して一部或いは全面が不透明な状況になるような仕様の部品も別途作製して、使用する場合もある。
なお、本明細書で説明する各種の通路ブロックの図面は、透明な状態で表現すると、多数の線が表れて外観形状が把握しにくくなるためしにくくなるため、図面上は不透明な物品として表わすこととする。
【0024】
通路ブロックは、大別して、単通路ブロックと分岐通路ブロックとがあるが、先ず、使用頻度の高い直線単通路ブロックについて説明する。
図2は、直線単通路ブロック2を表わしたものであり、図2(a)は斜視図、図2(b)は横中央断面図、図2(c)は縦中央断面図、図2(d)は背面から見た斜視図、図2(e)は変形例の背面から見た斜視図、を示している。
これらの図に示されるように、直線単通路ブロック2は本体3と板状磁石4とで構成されている。
【0025】
そして、本体3は、上部の注入口5の形状、下部の排出口6の形状、並びに通路7の断面形状が同一形状となっており、正面8が半円形で、背面9が半円形の直径と同寸法の平坦面となっていてその間を直線的な側面とした、略かまぼこ型に形成されている。
なお、寸法は、内寸で幅及び奥行きが約50mm、半円形の半径が約25mm、肉厚が約2mm、高さが54mm程度で形成されているが、図1(a)の想像線で示すように転動体1がスムーズに通過できればこれにこだわることはない。
また、本体3の背面9には、後述する板状磁石4が嵌合するための、幅約46mm、深さ1.5mm程度の溝部10が通路7の方向と平行に形成されている。
なお、溝部10が背面9における通路7の方向と平行に全面に形成されているのは、本体3が、同一断面で成形される押出し成形品を、所定寸法で切断して作製することを想定したものであり、別の方法で作製する場合は、図2(e)に示すところの変形例の背面から見た斜視図のように、周囲を縁取りした形態で溝部を形成し、ここに板状磁石4aを嵌め込むようにしてもよい。
【0026】
板状磁石4,4aは、幅約45.5mm、長さ54mm、厚さ2mm程度の大きさで、フェライト系、マンガン・アルミニウム系、サマリウム・コバルト系、ネオジウム・鉄・ホウ素系、サマリウム・鉄・窒素系等の硬質磁性材料からなる磁石材料微粉末を有機高分子エラストマーに練り込み着磁された樹脂製マグネット等、適宜の材料のマグネットが用いられる。
そして、上述した背面9の溝部10に嵌合させた状態で適宜の接着剤を用いて貼着される。
【0027】
なお、単通路ブロックは、上述した直線単通路ブロック2の形態に限らず、各種の形態のものを揃えると、遊具としての楽しさが増大するので好ましいため、図3を用いて、他の単通路ブロックの一例を開示する。
なお、これらは、基本的には上述した直線単通路ブロック2の通路の形態のみを変更したものとなるため、共通する内容については、その説明を割愛する。
【0028】
具体的には、図3(a)の斜視図、図3(b)の縦中央断面図に表わすように、上述した直線単通路ブロック2の通路7を12aのように延長した形態の、本体12bと磁石12cとからなる長直線単通路ブロック12を追加することができる。
【0029】
また、直線的な通路以外のものとして、図3(c)の斜視図、図3(d)の縦中央断面図に表わされるように、通路13aを直角状に屈曲させた直角単通路ブロック13を追加することもできる。
なお、この場合においては、磁石13cは、図3(d)の縦中央断面図に破線で示すように本体13bにおける両辺にそれぞれ1箇所設けると良い。
【0030】
また、図3(e)の斜視図、図3(f)の縦中央断面図に表わされるように、通路14aをくの字状とした鈍角単通路ブロック14を追加することもできる。
なお、この場合における、磁石14cについても、図3(f)の縦中央断面図に破線で示すように本体14bにおける両辺にそれぞれ1箇所設けると良い。
さらに、図3(g)の斜視図、図3(h)の縦中央断面図に表わされるように、通路15aを湾曲させた湾曲単通路ブロック15を追加することもできる。
なお、この場合の磁石15cは、図3(h)の縦中央断面図に破線で示すように本体15bに1箇所設けると良い。
【0031】
次に、分岐通路ブロックについて説明する。
分岐通路ブロックは、注入口に対して複数の排出口を有するものであって、迷路を形成するには不可欠の部材であり、その形態について図4を用いて説明する。
なお、これらの分岐通路ブロックにおいても、基本的には上述した直線単通路ブロック2の通路の形態を変更したものとなるため、共通する内容については、その説明を割愛する。
【0032】
先ず、代表的な形態の、図4(a)の斜視図、図4(b)の縦中央断面図に表わされる三方向分岐通路ブロック16について説明する。
この三方向分岐通路ブロック16は、本体16bに、三方向の通路16a,16a,16aが等角度で配置されたものであり、その先端は、それぞれが注入口及び排出口を兼ねた注排出口16d,16d,16dとなっている。
なお、図4(b)の縦中央断面図に破線で示すのは、板状磁石16c,16c,16cとなっている。
【0033】
また、図4(c)の斜視図、図4(d)の縦中央断面図は、四方向分岐通路ブロック17を表わしたものである。
この四方向分岐通路ブロック17は、本体17bに、四方向の通路17a,17a,17a,17aが等角度で配置されたものであり、その先端は、それぞれが注入口及び排出口を兼ねた注排出口17d,17d,17d,17dとなっている。
なお、図4(d)の縦中央断面図に破線で示すのは、板状磁石17c,17c,17c,17cである。
【0034】
なお、分岐通路ブロックは、通路を等角度で配置したり、注入口と排出口とを兼ねた形状としなくてもよいのは言うまでもないことであり、図4(e)の斜視図、図4(f)の縦中央断面図は、変則四方向分岐通路ブロック18を表わしたものである。
即ち、この変則四方向分岐通路ブロック18においては、本体18bの上部に幅広の注入口18eが設けられ、下方には3箇所の通路18aa,18ab,18ac並びに排出口18fa,18fb,18fcが設けられている。
このような形態とすると、色々な角度から移動してくる転動体1を受け入れて分岐させることができるため、転動体1の移動に、より多くの変化をもたらすことができる利点を生じさせることができる。
なお、図4(f)の縦中央断面図に破線で示すように、この場合の板状磁石18cは、大面積とすることができるため1個としてもよい。
【0035】
これまで説明した各通路ブロックは、通路が固定されたものとなっているが、本発明においては、通路自体を自由に変化させる通路ブロックを追加させることもできる。
【0036】
具体的には図5(a)の正面から見た斜視図、図5(b)の背面から見た斜視図、図5(c)の縦中央断面図に示すように、フレキシブル型通路ブロック20とすればよい。
この、フレキシブル型通路ブロック20は、通路20aに透明なフレキシブルチューブ20gを使用し、その上端及び下端に、背面側に板状磁石20cが設けられていて注排出口20dを有する本体20b,20bが取り付けられる構成となっている。
この構成においては、通路を例えば図5(d)に示すS字形状20h等の自由な形状にすることができ、さらには、平面的に湾曲させるだけではなく、図5(e)に示すように上方向の立体的な湾曲形状20iにさせる等の、変化に富んだ通路を形成することができる。
【0037】
また、同様な観点で、図6(a)の斜視図、図6(b)の縦中央断面図、図6(c)の部分拡大断面図に示すように、ジャバラ式通路ブロック21を追加してもよい。
この構成は、上述したフレキシブル型通路ブロック20におけるフレキシブルチューブ20gに換えて、透明なジャバラ部材21gを搭載したものであり他の構成や作用については同様なものとなる。
但し、ジャバラ部材21gは内径と外形との差が大きいため、転動体1をスムーズに移動させるための工夫は行ったほうがよく、具体的には、本体21b,21bにおける注排出口21d,21dの下部に複数のガイドリブ21h,21h,...を設けるのが好ましい対応となる。
【0038】
なお、各通路ブロックを通過してきた転動体1は、図7(a)の正面から見た斜視図、図7(b)の背面から見た斜視図、図7(c)の縦中央断面図に示すような、上部が開放していて転動体1が余裕をもって入り込む大きさに形成された転動体受部材22に収容されることになる。
この転動体受部材22は、本体22bと、その背面に貼着した板状磁石22cとで構成されており、本体22bは透明部材が好ましいが、必ずしもそれにこだわることはない。
【0039】
以上のように、本発明における迷路遊具23は、転動体1と、直線単通路ブロック2、長直線単通路ブロック12、直角単通路ブロック13、鈍角単通路ブロック14、湾曲単通路ブロック15、フレキシブル型通路ブロック20、ジャバラ式通路ブロック21等からなる各種の単通路ブロック、及び、三方向分岐通路ブロック16、四方向分岐通路ブロック17、変則四方向分岐通路ブロック18等からなる各種の分岐通路ブロック、並びに、転動体受部材22で構成されていて、以下に示すように、被着体に取り付けて使用することになる。
【0040】
次に、迷路遊具23の具体的な使い方、並びに転動体1の移動する作用について説明する。
【0041】
なお、本発明における、各種の通路ブロック並びに転動体受部材は、転動体が自重で移動できる角度に形成された壁面に取り付けて使用するものである。
そして、本発明における各種の通路ブロックの背面、並びに転動体受部材の背面には板状磁石が貼着されているので、それらの部材を簡単に取り付けることができ、且つ、転動体が自重で移動できる被着体としては、立設したスチール製のキャビネット等の器材や、強磁性体部材からなる内壁、さらには、強磁性体粉を練り込んだ塗料を塗布した壁面等の、適宜の強磁性体部材の壁面を好ましく使用することができる。
【実施例1】
【0042】
図8は、各種の通路ブロックの通路を連続的に繋げて迷路を形成する実施例1を表わしたものである。
基本的な配置は、図8(a)の斜視図、図8(b)の縦中央断面図に表わすように、強磁性体製の被着面Wの上部に、三方向分岐通路ブロック16を、一つの注排出口16daが上端の迷路投入口Tとなるように磁気吸着にて取り付ける。
次に、三方向分岐通路ブロック16左側に位置する注排出口16db、並びに、三方向分岐通路ブロック16の右側に位置する注排出口16dcに対して、鈍角単通路ブロック14,14の上端を隙間無く一致するように被着面Wに磁気吸着で取り付けて、下向きの二方向の通路が完成する。
なお、この鈍角単通路ブロック14,14は、図面上では夫々別の形態に見えるが、同一部材を回転して使用することで夫々の状態に形成することが可能となっている。
【0043】
次いで、鈍角単通路ブロック14,14の下端に対して、三方向分岐通路ブロック16,16を取り付け、左側の三方向分岐通路ブロック16の外側(左側)の注排出口16db並びに右側の三方向分岐通路ブロック16の外側(右側)の注排出口16dcには夫々、鈍角単通路ブロック14,14を取り付ける。
そして、左側の三方向分岐通路ブロック16の内側(右側)の注排出口16dc並びに右側の三方向分岐通路ブロック16の内側(左側)の注排出口16dbに対しては、別の三方向分岐通路ブロック16を上下が逆となるように回転させて取り付けると、図8(a)の斜視図、図8(b)の縦中央断面図に表わすように、下向きの四つの迷路M1,M2,M3、M4が出来きる。
【0044】
この状態で、転動体1を、最上段の三方向分岐通路ブロック16の注排出口16da内に落とすと、転動体1は矢印の方向に落下して、四つの迷路M1,M2,M3,M4の何れかの迷路内を通過し、最終的に三つの迷路出口U1,U2,U3の何れかから出てくることになる。
【0045】
以下、同様な手順で通路を増やしていくことができ、例えば、図8(c)の変形例に示すように、多数の迷路並びに迷路出口U1,U2,U3,U4,U5を形成することができ、それ以上形成することも、当然に可能となる。
なお、本実施例においては、三方向分岐通路ブロック16並びに鈍角単通路ブロック14を複数使用して、連続的な通路を完成させているが、図示はしないが、それ以外の通路ブロックを使用して、連続的な通路を完成させることもできることは云うまでもない。
このように、本実施例においては、複数の通路を形成するのに、各種通路ブロックを注排出口が合うようにして、被着体Wに取り付けるだけでよいので、幼児が、簡単に、確実な通路形成作業を学習することができる。
【実施例2】
【0046】
本発明における迷路遊具は、転動体が、自重で移動することを利用しているので、単に自重で移動するだけの箇所には、直接的な通路は特に形成する必要がない。
従って、直接的な通路が無い空間も、間接的な通路として利用することが出来るという特徴を有している。
そのような使い方の基本を、実施例2として説明する。
【0047】
図9は実施例2を表わしたものであり、図9(a)は斜視図、図9(b)は縦中央断面図を示している。
この実施例に用いる部材は、前述した実施例1であるところの図8(a)の斜視図、図8(b)の縦中央断面図と同様であるが、そこで用いられていた複数の三方向分岐通路ブロック16,16...並びに鈍角単通路ブロック14,14...の通路は連続しておらず、その間に間隙S,S...が介在している。
このように、各通路ブロックを配置しても、迷路投入口Tに投入された転動体1には移動時の加速度が生じているため、転動体1は、空間部Sを通過して、次の通路ブロックの注排出口に飛び込んでいくことになる。
従って、前述した実施例1と同一の部材構成であっても、転動体1が迷路投入口Tに投入されて、最終的に迷路出口U1,U2,U3から出てくるまでの移動状態には変化があるので、玩具としての楽しさは、大きく向上する。
【0048】
また、一方で、各通路ブロック間の間隙Sの距離の限界や、それと関連する上下方向の配置関係は、転動体1の移動状況をしっかり観察しないと定められないため思考力が必要とされることとなり、知育玩具としての価値も向上することになる。
【実施例3】
【0049】
図10は、実際の迷路遊具として楽しむための構成を示した実施例3を表わしたものであり、図10(a)は斜視図、図10(b)は縦中央断面図を示している。
この実施例に使用する迷路遊具23は、転動体1と、三方向分岐通路ブロック16、四方向分岐通路ブロック17、鈍角単通路ブロック14,14、直角単通路ブロック13、
湾曲単通路ブロック15、直線単通路ブロック2,2、長直線単通路ブロック12,12
、及び、転動体受部材22,22,22,22,22とで構成されていて、迷路投入口T1箇所に対して、迷路がM1、M2、M3、M4の4つが形成され、各迷路出口U1,U2,U3,U4の下方には、夫々、転動体受部材が配置された構成となっている。
【0050】
具体的には、強磁性体製の被着体Wの上方に、三方向分岐通路ブロック16を、その一つの注排出口16daが迷路投入口Tとなるように磁気吸着で取り付け、左側の分岐路の先に形成される注排出口16db側には、直線単通路ブロック2、鈍角単通路ブロック14、長直線単通路ブロック12、長直線単通路ブロック12の順に間隙を空けて取り付けて迷路M1を形成している。
また、三方向分岐通路ブロック16の右側の分岐路の先に形成される注排出口16dcには、鈍角単通路ブロック14の一端が直接繋がるように取り付けられ、その下端に対して、四方向分岐通路ブロック17をその1つの注排出口17daが対峙するように間隙を設けて取り付ける。
そして、左側の注排出口17dbに対して間隙を空けて湾曲単通路ブロック15を取り付けて、迷路M2を形成する。
また、下方の注排出口17dcは直接迷路M3を形成する。
さらに、右側の注排出口17ddに対して直角単通路ブロック13の一端が直接繋がるように取り付けられ、その下方に直線単通路ブロック2が間隙を空けて取り付けられて迷路4を形成している。
そして最後に、各迷路の各迷路出口U1,U2,U3,U4の先には転動体受部材22,22,22,22を配置する。
【0051】
なお、各通路ブロック及び転動体受部材の設置位置については、転動体の移動状態に合うように微調整する必要が生じてくるが、本実施例のように、強磁性体製の被着体に対して磁気吸着で取り付ける構成となっている場合には、一旦設置した位置から外さなくても、軽い衝撃を与えることにより移動させることができる利点がある。
【0052】
このような状態から、転動体1を迷路投入口Tに投入すると、転動体1は三方向分岐通路ブロック16及び四方向分岐通路ブロック17内へ投入される状況により不規則に弾んで、迷路M1、M2、M3、M4の何れかに入り込み、その迷路出口U1,U2,U3,U4から飛び出て、その先に取り付けられた転動体受部材22に収納されることになる。
【実施例4】
【0053】
本発明は、通路が完全に繋がっていなくても迷路を形成できるが、各通路ブロック間の間隙自体にも変化をもたせることができるので、それを利用すると、迷路は自由な曲線形状に仕上げることができる。
また、各通路は、基本的には、磁気吸着させる被着体Wに添った平面的なものとなるが、通路ブロック自体を長くてフレキシブルな素材とすれば、立体的な通路を形成することも可能となる。
実施例4は、これらの変形要素を反映した一例を示すものである。
【0054】
具体的には、図11に示すように、強磁性体製の被着体Wの上方に、三方向分岐通路ブロック16pを磁気吸着で取り付け、左側の分岐通路には、鈍角単通路ブロック14、四方向分岐通路ブロック17を取り付け、この四方向分岐通路ブロック17の左側の分岐路側に、湾曲単通路ブロック15,15、直角単通路ブロック13を配置して迷路M1が形成される。
そして、上記の四方向分岐通路ブロック17の下方の分岐路の下方に三方向分岐通路ブロック16qを配置し、その左側の分岐路に直線単通路ブロック2,2を円弧状に取り付けて迷路M2を形成し、三方向分岐通路ブロック16qの右側の分岐路には、直線単通路ブロック2、三方向分岐通路ブロック16rを取り付けて、この三方向分岐通路ブロック16rの左側の分岐路を使って迷路M3、右側の分岐路を使って迷路M4を形成している。
【0055】
また、強磁性体製の被着体Wの上方に磁気吸着で取り付けた三方向分岐通路ブロック16pの右側の分岐通路には、直角単通路ブロック13が間隙を設けて取り付けられ、その下方に変則四方向分岐通路ブロック18を取り付ける。
そして、変則四方向分岐通路ブロック18の左側の排出口18faからは直線単通路ブロック2を介して、前記の四方向分岐通路ブロック17に至る迷路M5が形成され、下方の通路排出口18fbからは、下方に直線単通路ブロック2及び長直線単通路ブロック12を間隙を有して取り付けた迷路M6が形成される。
【0056】
また、変則四方向分岐通路ブロック18の右側の排出口18fcには間隙を設けてフレキシブル型通路ブロック20が取り付けられて迷路M7が形成されるが、フレキシブルチューブ20gは柔軟且つ元の形状への復元性が良いため、色々な形態に変化させて使用することができ、例えば、想像線で示すように、フレキシブルチューブ20gの中間が平面状態から突出するように膨らめて他の迷路の上方を跨ぐような、立体的な迷路M7aを形成させることもできる。
【0057】
なお、各迷路の出口の下方には転動体受部材を取り付けるが、この使用方法も、単に各通路毎に垂直に設けるだけでなく、工夫すると迷路遊具としての面白さが増加する。
本実施例においては、迷路M7に対しては転動体受部材22cを平凡に配置するが、迷路M1に対しては迷路U1の下方に大きな距離を置いて転動体受部材22a配置し、迷路U2と迷路U3に対しては転動体受部材22bを傾けて配置することにより共用するようにし、迷路U4と迷路U6に対しても転動体受部材22cを共用するようにしている。
【0058】
以上のような状態で、転動体1を強磁性体製の被着体Wの上方に磁気吸着で取り付けた三方向分岐通路ブロック16pの上端に設けられた迷路投入口T内に落下すると、転動体1は、投入スピードや通路内での接触の仕方等各種の要因で予測できない方向に弾むこととなって、迷路M1,M2,M3,M4,M5,M6,M7の何れかの迷路に入り込んで変化に富んだ移動をし、何れかの迷路出口U1,U2,U3,U4,U6,M7,U7aから飛び出して、最終的には、何れかの転動体受部材22a、22b、22c、22d、22da内に収納されることになる。
【0059】
なお、各種の通路ブロックや分岐通路ブロックは透明部材を基本としているが、例えば、四方向分岐通路ブロック17や変則四方向分岐通路ブロック18等の一部の部材を不透明にしてもよい。そうすることにより、予期しないところから転動体1が見えることがあるので、迷路遊具としての面白さが増加する。
【0060】
その他、転動体1の動きを利用して、楽しさを増加させる構成を付加してもよい。
例えば、音を発生させるとして、図11の迷路出口U1の下方に想像線で示すような鈴Rを配置して、転動体1の落下移動時に側面を接触させて音を出させたり、転動体受部材22aの底部の内面に適宜の音発生装置Lを配置してもよく、図示しない、風車、吹流し等の動きを伴う装飾的な部材を配置する等の構成を、転動体1の動きを阻害しない範囲で適宜に採用することができる。
【0061】
また、転動体受部材の数は、迷路の数だけ必要というわけではなく、本実施例でも示されるように、減らしていくような使用方法も可能である。
従って、図示はしないが、複数の分岐通路を有する迷路であっても、最終的には一箇所の出口に収束させ、一つの転動体受部材で転動体を受けるようにして楽しむことも可能である。
【実施例5】
【0062】
これまでの実施例は、強磁性体製の壁やキャビネット等に磁気吸着で取り付けて楽しむことができる迷路遊具の構成を示してきたが、迷路遊具器として構成しても、無論支障のないものであり、その一例を、実施例5として説明する。
【0063】
図12及び図13は実施例5を表わしたものであり、図12は使用前の斜視図、図13(a)は使用中の縦中央断面図、図13(b)はY−Y断面図を示す。
具体的には、本実施例による迷路遊具器34は、これまで説明してきた迷路遊具23と、それら磁気吸着で取り付けて、外観から目視できるケース部材24とで構成される。
そして、ケース部材24は、図12の斜視図及び図13(b)の断面図に示すように、概ね、磁気吸着可能な強磁性体製の基板25に側板26を接着等で取り付けた本体27と、この本体を開閉自在に覆う透明製のカバー部材31とからなっている。
【0064】
なお、側板26は、高さが前述の迷路遊具のより高く形成され、上方には、転動体投入口28,28,28が設けられており、左側面には、上下に回転ピン受29a,29bが形成されており、右側面の上面には、プッシュラッチの差動片30aが取り付けられている。
また、カバー部材31の右側面には上下に回転支持部32a、32bが形成されていて、ここと上述した本体27の回転ピン受29a,29bとの中心位置を合わせた状態で波型ロールピン等の回転ピン33,33を取り付けることにより、カバー部材31は本体27に開閉自在の状態となる。
【0065】
そして、カバー部材31の左側には、上述したプッシュラッチの差動片30aと対向する位置にプッシュラッチの受金具30bが取り付けてあるため、カバー部材31を閉じると、このプッシュラッチの受金具30bは磁気吸着で係止され、この状態からプッシュラッチの受金具30bを押し込むと、磁気吸着が解除されてカバー31部材は自動的に開くことになるため、カバー部材31は、本体27に開閉自在に取り付けられることになる。
但し、このカバー部材31の開閉構造はプッシュラッチ構造に限らず、適宜のものを採用してよい。
【0066】
そして、この実施例においては、迷路遊具23として、転動体1を1個、変則四方向分岐通路ブロック18を1個、三方向分岐通路ブロック16を1個、四方向分岐通路ブロック17を1個、直線単通路ブロック2を14個、長直線単通路ブロック12を1個、直角単通路ブロック13を1個、鈍角単通路ブロック14を2個、湾曲単通路ブロック15を3個、転動体受部材22を5個、図13(a)及び図13(b)に示すように基板25上に磁気吸着で取り付けている。
この状態から、転動体1を、ケース部材24の上方に設けた転動体投入口28を落下させると、転動体1は、先ず、変則四方向分岐通路ブロック18内の通路18aa,18ab,18acの何れかに入り込み、以下作製された迷路に沿って自重で移動していき、最終的には、5個の転動体受部材22の何れかの収納されることになる。
この時、転動体1が、ケース部材24から飛び出さないことを活用して、転動体1にエラストマー等の弾性力の高い材料を使用すれば、一旦、転動体受部材22に落下した転動体1は、上方に弾んで、弾みが終わるまで動き続けるため、さらに面白い動きをさせることもできることになる。
【0067】
本発明は、上述した図2(e)や図8(c)に示した変形例以外にも、各種に変形して実施することができるので、以下に、各種通路ブロックや各種分岐通路ブロックを代表するものとして直線単通路ブロックの形態を用いて、通路ブロックとして説明する。
なお、下述する変形例1〜5については転動体受部材に応用することもできる。
【0068】
各種の通路ブロックを被着体に取り付ける手段については、被着体が強磁性体製の場合であれば、そこに用いる磁石は、これまで説明してきた樹脂製からなる板状磁石以外でも実施することが可能である。
例えば、図14は、変形例1を示したものであり、図14(a)の斜視図及び図14(b)の中央横断面図に示すように、通路ブロック35は、本体36に、ネオジ磁石37を用いており、その他、焼結磁石等適宜の材料の磁石を使用することができる。
【0069】
また、図15(a)の斜視図及び図15(b)の中央横断面図は、変形例2を示したものであり、通路ブロック38は、本体39自体を磁石製の樹脂成形品で構成したものである。
なお、この磁石製の樹脂成形品からなる本体39は、磁気回路を組み込んだ高耐摩耗性の金型に、ストロンチュームフェライト粉末などを練り混んだコンパウンドを射出成型する事によって、得ることができる。
このような形態とすれば、通路ブロック自体が小型化すると共に磁石を取り付ける工程も不要となる利点がある。
【0070】
また、磁石製の樹脂成形品を使用する場合においては、図16の変形例3のような構成で実施しても良い。
即ち、図16(a)の分解斜視図及び図16(b)の斜視図並びに図15(c)の中央横断面図に示すように、通路ブロック40は、磁石製の樹脂成形品からなる本体41とカバー部材42とで構成し、両部材を接着剤や、図示しない強制嵌め等の適宜な方法で取付ける構造とすることができる。
このような構成とすれば、カバー部材42を汎用の樹脂材料にすることができるので、透明材料を使用することができる等の利点が生じる。
【0071】
なお、本発明に使用する各通路ブロック等の部材と被着体は、磁石使用による磁気吸着構造以外の取り付け構造を使用しても実施することができる。
【0072】
図17は変形例4を示したものであり、図17(a)の分解斜視図及び図17(b)の斜視図並びに図17(c)の中央縦断面図に示すように、通路ブロック43は、被着体への取り付け用に、吸盤44を使用する。
なお、本体45には、空間部46を介して吸盤取付壁47が形成されており、この吸盤取付壁47には大小の二つの穴部を組み合わせた略瓢箪型の吸盤取付穴48が設けれているので、図中に矢印で示すように、この大の穴部48aに吸盤44の鍔部49aを挿入して上方に引き上げると吸盤44の軸部49bが、小の穴部48bに軽い強制嵌合で取り付けられる。
このような吸盤構造を採用すれば、被着体は、強磁性体製でなくても良く、平坦な面でさえあればよいという利点が生じる。
【0073】
さらに、図18(a)の斜視図並びに図18(b)の中央横断面図に示す変形例5のように、通路ブロック50には、本体51の背面及び被着体Wの表面に、マジックテープ(登録商標)に代表される各種の面ファスナー52a,52bを貼着して使用しても良い。
この構造においても、被着体は、強磁性体製でなくても良く、平坦な面でさえあればよいという利点がある。
【0074】
その他、通路の形状も、図19(a)に示す変形例6のように、通路ブロック53の本体54の通路55のような完全な円形としたり、図19(b)に示す変形例7のように、通路ブロック56の本体57の通路58のような方形したりしてもよい、と云うように、発明の主旨を逸脱しない範囲で各種に変形して実施することができる。
なお、被着面は、室内の壁面、即ち垂直面でなくても、転動体が自重で滑り落ちていく角度さえあればよいので、適宜の板部材を適宜な角度に保持して、遊具を楽しむことができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、知育用を主体に創作されたものであるが、転動体の移動に意外性があるため、同伴者やそれ以外の人たちも楽しむことができる。
また、被着体は、転動体が自重で移動できればよい、即ち、水平面以外であれば実施可能であるので室内の壁等、身近なものを利用して楽しむことができる。
さらに、各種の通路ブロックは、間隙を空けて設置することができるので、少ない部材で壁面の全高を利用するといった大きな遊具として使用することができる一方、小型の迷路遊具器にも仕上げることができるので、各種用途に応じて、幅広く利用することが出来る。
【符号の説明】
【0076】
T 迷路投入口
M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M7a 迷路
U1、U2、U3、U4、U6、M7、U7a 迷路出口
W 被着面
S 間隙
1 転動体
2 直線単通路ブロック
3 本体
4 板状磁石
5 注入口
6 排出口
7 通路
8 正面
9 背面
10 溝部
12 長直線単通路ブロック
13 直角単通路ブロック
14 鈍角単通路ブロック
15 湾曲単通路ブロック
16、16p、16q、16r 三方向分岐通路ブロック
16d、16da、16db、16dc、17d、17da、17db、17dc、17dd、20d、21d 注排出口
17 四方向分岐通路ブロック
18 変則四方向分岐通路ブロック
18e 注入口
18fa、18fb、18fc 排出口
20 フレキシブル型通路ブロック
20g フレキシブルチューブ
20h S字形状
20i 立体的な湾曲形状
21 ジャバラ式通路ブロック
21g ジャバラ部材
21h ガイドリブ
22、22a、22b、22c、22d、22da 転動体受部材
23 迷路遊具
24 ケース部材
25 基板
26 側板
27 本体
28 転動体投入口
29a、29b 回転ピン受
30a (プッシュラッチの)差動片
30b (プッシュラッチ)受金具
31 カバー部材
32a、32b 回転支持部
33 回転ピン
34 迷路遊具器
35、38、40、43、50、53、56 通路ブロック
39、36、41、45、51、54、57 本体
37 ネオジ磁石
42 カバー部材
44 吸盤
46 空間部
47 吸盤取付壁
48 吸盤取付穴
48a 大の穴部
48b 小の穴部
49a 鍔部
49b 軸部
52a、52b 面ファスナー
55、58 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動体と、該転動体が通過するための注入口及び通路並びに排出口を備えていて背面に壁面等の被着面への貼着手段を有する複数個の通路ブロックと、この通路ブロックの出口の下方に配置し背面に上記壁面等の被着面への貼着手段を有する転動体受部材とから構成され、
上記複数個の通路ブロックは、少なくとも三叉路以上の複数の通路を有する分岐通路ブロックと、通路が一つの単通路ブロックとで構成されていて、
上記転動体が自重で滑り落ちる角度を有する上記の被着面に対して、上記分岐通路ブロックを貼着させることによって分岐路を形成し、この分岐路に対し、他の通路ブロックをその通路が直接的或いは間隙を介して間接的に形成されるように貼着させ、以下同様に、他の通路ブロックを貼着していくことにより複数の迷路を形成することを可能としたことを特徴とする迷路遊具
【請求項2】
単通路ブロックは、注入口と排出口との間の通路が直線に形成される直通路ブロック、及び、または、通路が屈曲或いは湾曲した非直通路ブロックで構成することを特徴とする請求項1に記載の迷路遊具
【請求項3】
各通路ブロックは、適宜の形状、適宜の大きさの形態で実施できることを特徴とする請求項1または2に記載の迷路遊具
【請求項4】
各通路ブロックは、転動部材の移動が目視できるものと目視できないものとを備え、適宜に選択して使用することができることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の迷路遊具
【請求項5】
通路ブロック及び転動体受部材は、被着体への貼着手段として、背面に磁力が付与されており、強磁性体性の被着面に対して磁気吸着にて取り付けることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の迷路遊具
【請求項6】
請求項1に記載された被着体を板状の基板となし、該基板の周囲を各種通路ブロックの厚さより高い側板にて囲繞した本体、並びに、該本体の上面を開閉自在に覆う透明製のカバー部材で構成されたケース部材と、請求項1〜6の何れか1項に記載された迷路遊具とからなり、上記ケース部材内で、上記迷路遊具を取り付けて使用することを可能としたことを特徴とする迷路遊具器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−279615(P2010−279615A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136482(P2009−136482)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000110893)ニチレイマグネット株式会社 (24)