説明

送出バンクシステムにおける帯域の共有方法

【課題】 複数の入出力系統が帯域を共有することにより帯域の未使用時間の減少を実現することのできる送出バンクシステムの実現。
【解決手段】 複数の素材の収録、送出を行う送出バンクシステムにおいて、複数の入出力系統に帯域使用の優先順位を設け、優先順位の高い入出力系統が帯域を使用する場合、優先順位の低い入出力系統に対し帯域を開放するよう制御することにより帯域を共有する送出バンクシステムにおける帯域共有方法であり、これにより複数の入出力系統が帯域を共有し帯域の未使用時間を減少することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収録された放送素材を送出する送出バンクシステムにおいて、複数の入出力系統間で帯域を共有する際の共有方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3を用いて、従来の送出バンクシステムについて簡単に説明する。 まず、素材再生装置101から出力された映像・音声信号は、放送素材として記録装置(送出バンク)102に記録(収録)される。 記録装置102は、出力チャネルから記録した素材が映像表示装置103へ出力され、映像表示装置103で再生される。 ここで、記憶装置102を使用した放送システムにおいては、出力チャネルは複数個用意されるが、同時再生では、どの出力チャネルを使用しても映像表示装置103が接続されて、映像を再生することができる。ただし、出力チャネルが自動送出装置203からの指示による送出動作に使用されるような場合、または同時再生を行う操作者とは別の操作者が他の同時再生、素材内容確認、素材の編集などの操作を行うような場合は、各操作および動作毎に空いている出力チャネルを見つけてその操作や動作に振り分けることが必要になる。
【0003】
そのため、この様な送出バンクシステムでは、1台の制御装置201でもって記憶装置のすべての入出力チャネルと、収録に使用する機器、例えば、素材再生装置101や映像表示装置103とを纏めて制御することにより、入出力チャネルの競合が起こらないように管理しながら収録及び送出制御などを行う。 図3では、自動送出装置203と操作卓202からの操作内容による出力チャネルの使用について制御装置201が管理し、記憶装置102の制御を行っている。
この様に、一般に送出バンクシステムでは、全ての入出力系統が同時に動作する場合においても帯域が不足することのないように各入出力系統を設計し、それぞれの入出力系統の帯域を共有することは行っていなかった。
【特許文献1】特開2001−218083公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では全ての入出力系統に帯域を割り当てているため、入出力系統の使用状況によっては使用頻度の低い帯域が存在し、帯域の有効利用ができていない。
本発明はこれらの欠点を除去し、複数の入出力系統が帯域を共有することにより帯域の未使用時間の減少を実現することのできる送出バンクシステムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するため、複数の素材の収録、送出を行う送出バンクシステムにおいて、複数の入出力系統に帯域使用の優先順位を設け、優先順位の高い入出力系統が帯域を使用する場合、優先順位の低い入出力系統に対し帯域を開放するよう制御することにより帯域を共有する送出バンクシステムにおける帯域共有方法である。
また、帯域割当ての優先順位の高い入出力系統が、優先順位の低い入出力系統の帯域を使用する場合、上記優先順位の高い入出力系統を制御する制御装置は、上記優先順位の低い入出力系統を制御する制御装置に対し、当該優先順位の低い入出力系統の帯域を使用する旨を通知し、該帯域使用の通知を受信した制御装置は、当該優先順位の低い入出力系統が帯域を使用していれば使用中の帯域を開放するよう制御し、帯域を使用していなければ上記優先順位の高い入出力系統が帯域を使用中の状態を保持するよう制御し、上記優先順位の低い入出力系統に対し帯域を割り当てないように制御することで帯域を共有するものである。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本発明によれば、帯域使用の優先順位の高い入出力系統の制御装置が優先順位の低い入出力系統の制御装置に帯域使用を通知することにより、少なくとも2つの入出力系統の間で帯域を共有し帯域の未使用時間を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の送出バンクシステムにおける複数の入出力系統の帯域管理の一実施例について、図面を用いて説明する。 図1において、1は複数の放送素材を収録及び送出する送出バンクであり、2,3は送出バンク1にそれぞれの放送素材である映像・音声信号を入出力する入出力系統であり、4,5は入出力系統2,3を制御するそれぞれの制御装置である。
この実施例では、入出力系統2は制御装置4から、入出力系統3は制御装置5からそれぞれ制御信号を受け、送出バンク1に素材の収録および送出を行っており、例えば、入出力系統2の帯域割当ての優先順位が高く、入出力系統3の帯域割当ての優先順位が低く設定されているものとする。
【0008】
ここで、図2に示すように、帯域割当ての優先順位の高い入出力系統2が、優先順位の低い入出力系統3の帯域を使用する場合、帯域割当ての優先順位の高い入出力系統2を制御する制御装置4は、帯域割当ての優先順位の低い入出力系統3を制御する制御装置5に対し、入出力系統3の帯域を使用する旨を伝える信号を送信する。
そして、帯域を使用する旨の信号を受信した制御装置5は、入出力系統3が帯域を使用しているか否かを調べ、使用していれば使用中の帯域を開放するよう入出力系統3を制御し、帯域を使用していなければ入出力系統2が帯域を使用中の状態を保持し、入出力系統3に対し帯域を割り当てないように制御する。
このように、帯域使用の優先順位の高い入出力系統の制御装置が優先順位の低い入出力系統の制御装置に帯域使用を通知することにより、少なくとも2つの入出力系統の間で、帯域を共有し、帯域の未使用時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のブロック構成例を示す図
【図2】本発明の複数の入出力系統の帯域管理の一実施例を説明する模式図
【図3】従来の送出バンクシステムのブロック構成例を示す図
【符号の説明】
【0010】
1:送出バンク、2,3:入出力系統、4,5:制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素材の収録、送出を行う送出バンクシステムにおいて、複数の入出力系統に帯域使用の優先順位を設け、優先順位の高い入出力系統が帯域を使用する場合、優先順位の低い入出力系統に対し帯域を開放するよう制御することにより帯域を共有することを特徴とする送出バンクシステムにおける帯域の共有方法。
【請求項2】
複数の素材の収録、送出を行う送出バンクシステムにおいて、帯域割当ての優先順位の高い入出力系統が、優先順位の低い入出力系統の帯域を使用する場合、上記優先順位の高い入出力系統を制御する制御装置は、上記優先順位の低い入出力系統を制御する制御装置に対し、当該優先順位の低い入出力系統の帯域を使用する旨を通知し、該帯域使用の通知を受信した制御装置は、当該優先順位の低い入出力系統が帯域を使用していれば使用中の帯域を開放するよう制御し、帯域を使用していなければ上記優先順位の高い入出力系統が帯域を使用中の状態を保持するよう制御し、上記優先順位の低い入出力系統に対し帯域を割り当てないように制御することで帯域を共有することを特徴とする送出バンクシステムにおける帯域の共有方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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