説明

送受信方法

【課題】本発明は、省電力効果の大きい送受信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ONUにおいて上りデータを受信した後、あるいはOLTにおいて下りデータを受信した後、OLTの下りデータ、あるいはONUの上りデータの送信タイミングに合わせて上りデータあるいは下りデータを送信することとした。ONUの送受信器の稼働時間を短くし、つまりスリープ時間を延ばし、より効率的に省電力化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PONシステムにおけるONUの省電力化を実現できる送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1において、Ethernet(登録商標) Passive Optical Network (EPON)方式の省電力化に関する記述がある。この文献においては、局内光終端装置(Optical Line Terminal:OLT)と宅内光終端装置(Optical Network Unit:ONU)間の制御用プロトコル(Multi−Point Control Protocol:MPCP)について記載があり、ONUのトランシーバ機能を極力休ませるスリープモードにすることによって、省電力を図る方式の説明がなされている。ONUは全ユーザの宅内に敷設されているものであり、台数が多いため、ONUの省電力化はNW全体の総電力削減に大きな効果があると期待されている。
【0003】
ONUのスリープモードに関する検討は様々行われており、例えば非特許文献2、非特許文献3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4612065号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IEEE P1904.1TM, Service Interoperability in Ethernet(登録商標) Passive Optical Networks (SIEPON), D1.4, 2011.07.08, 10 Power Saving.
【非特許文献2】信学技報CS2010−38「PONシステムの省電力化に関する検討」、2010年11月
【非特許文献3】信学技報CS2011−12「PONシステムにおけるサービスを考慮したONU省電力モード選択方式に関する検討」、2011年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来方式においては、ONUがスリープモード動作中に、ONUが下位装置、例えばホームゲートウェイから上りデータを受信した場合、OLTからのGATE(上りデータ信号があるかないかの確認をする信号)に対してすぐにREPORT(上りデータ信号があるため、データ送信を予約する信号)を送信し、OLTがGATE(送信許可、grant)を返信後すぐに上りデータを送信するため、スリープする時間が短く省電力効果が小さいという課題があった。
【0007】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明は、省電力効果の大きい送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、ONUにおいて上りデータを受信した後、OLTの下りデータの送信タイミングに合わせて上りデータを送信する、あるいはOLTにおいて下りデータを受信した後、ONUの上りデータの送信タイミングに合わせて下りデータを送信することとした。ONUの送受信器の稼働時間を短く、つまりスリープ時間を延ばし、より効率的に省電力化を図ることができる。
【0009】
具体的には、本発明に係る送受信方法は、宅内光終端装置(ONU:Optical Network Unit)と局内光終端装置(OLT:Optical Line Terminal)との間でデータ信号の送受信処理を行う送受信方法であって、前記OLT及び前記ONUの双方に送受信処理を行うデータ信号が存在する場合に前記ONUのスリープ状態を解除して互いにデータ信号の送受信処理を行うことを特徴とする。
【0010】
本送受信方法は、ONUとOLTの双方にデータがあるときに送受信する。すなわち、一方のみにデータが存在する場合は、データの送受信を待たせることでスリープ時間を延ばすことができる。従って、本発明は、省電力効果の大きい送受信方法を提供することができる。
【0011】
本発明に係る送受信方法は、前記ONUから前記OLTへ上りデータ信号があることを通知した後、前記OLTから前記ONUへの下りデータ信号の有無を確認し、前記下りデータ信号が有る場合に前記ONUのスリープ状態を解除し、前記下りデータ信号が無い場合に前記ONUのスリープ状態を維持することを特徴とする。本送受信方法は、OLTに下りデータが発生したタイミングでスリープを解除する。本送受信方法は、OLTの指示に基づいてONUがスリープを解除する方法である。具体的な信号のやりとりは以下の2種類がある。
【0012】
1の送受信方法は、前記通知を前記ONUからの許可願(REPORT)で行い、前記下りデータ信号が有る場合、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、前記下りデータ信号が無い場合、前記OLTからのGATEを0とする。
【0013】
他の送受信方法は、前記通知を前記ONUからの許可願(REPORT)で行い、前記下りデータ信号が有る場合、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、前記下りデータ信号が無い場合、前記OLTからのGATEを前記SLEEP_ALLOWを送信するまで遅延させる。
【0014】
本発明に係る送受信方法は、前記ONUから前記OLTへ上りデータ信号がある場合、前記OLTから前記ONUへの下りデータ信号の有無、MPCP(Multi−Point Control Protocol)のタイムアウトであるか否か、又は前記ONUのバッファを確認し、前記下りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合に前記ONUのスリープ状態を解除し、前記下りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合に前記ONUのスリープ状態を維持することを特徴とする。本送受信方法も、OLTに下りデータが発生したタイミングでスリープを解除する。本送受信方法は、ONUが主体となってスリープを解除する方法である。具体的な信号のやりとりは以下の2種類がある。
【0015】
1の送受信方法は、前記下りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、前記下りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合、前記OLTからのGATEに対し前記ONUがREPORTを0で返信する。
【0016】
他の送受信方法は、前記下りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、前記下りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合、前記OLTからのGATEに対し前記ONUがREPORTの返信を停止する。
【0017】
本発明に係る送受信方法は、前記OLTから前記ONUへ下りデータ信号があるとき、前記ONUから前記OLTへの上りデータ信号の有無を確認し、前記上りデータ信号が有る場合に前記ONUのスリープ状態を解除し、前記上りデータ信号が無い場合に前記ONUのスリープ状態を維持することを特徴とする。本送受信方法は、ONUに上りデータが発生したタイミングでスリープを解除する。本送受信方法は、OLTに下りデータが発生したときにONUのスリープを解除する方法である。具体的な信号のやりとりは以下の2種類がある。
【0018】
1の送受信方法は、前記上りデータ信号の有無を前記OLTからのGATEに対する前記ONUからのREPORTで判断し、前記上りデータ信号が有る場合、前記ONUからSLEEP_INDICATIONを前記OLTへ送信し、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、前記上りデータ信号が無い場合、前記ONUからSLEEP_INDICATIONを受信するまで、前記OLTからのGATEを0とする。
【0019】
他の送受信方法は、前記上りデータ信号の有無を前記OLTからのGATEに対する前記ONUからのREPORTで判断し、前記上りデータ信号が有る場合、前記ONUからSLEEP_INDICATIONを前記OLTへ送信し、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、前記上りデータ信号が無い場合、前記ONUからSLEEP_INDICATIONを受信するまで、前記OLTからのGATEの返信を停止する。
【0020】
本発明に係る送受信方法は、前記OLTから前記ONUへ下りデータ信号がある場合、前記ONUから前記OLTへの上りデータ信号の有無、MPCP(Multi−Point Control Protocol)のタイムアウトであるか否か、又は前記ONUのバッファを確認し、前記上りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合に前記ONUのスリープ状態を解除し、前記上りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合に前記ONUのスリープ状態を維持することを特徴とする。本送受信方法は、ONUに上りデータが発生したタイミングでスリープを解除する。本送受信方法は、OLTからの上りデータの有無の確認に対して、上りデータが無いことを通知し、ONUに上りデータが発生したときにONUのスリープを解除する方法である。具体的な信号のやりとりは以下の2種類がある。
【0021】
1の送受信方法は、前記上りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合に、前記OLTからのGATEに対し前記ONUからSLEEP_INDICATIONを前記OLTへ送信した後に、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、前記上りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合に、前記OLTからのGATEに対し前記ONUがREPORTを0で返信する。
【0022】
他の送受信方法は、前記上りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合に、前記OLTからのGATEに対し前記ONUからSLEEP_INDICATIONを前記OLTへ送信した後に、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、前記上りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合に、前記OLTからのGATEに対し前記ONUがREPORTの返信を停止する。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、省電力効果の大きい送受信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る送受信方法を説明するタイムチャートである。
【図2】本発明に係る送受信方法を説明するタイムチャートである。
【図3】本発明に係る送受信方法を説明するタイムチャートである。
【図4】本発明に係る送受信方法を説明するタイムチャートである。
【図5】本発明に係る送受信方法を説明するタイムチャートである。
【図6】本発明に係る送受信方法を説明するタイムチャートである。
【図7】OLTとONU間のMPCPにおけるフレーム種類を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0026】
以下の実施形態で説明する送受信方法は、いずれも宅内光終端装置(ONU:Optical Network Unit)と局内光終端装置(OLT:Optical Line Terminal)との間でデータ信号の送受信処理を行う送受信方法であって、前記OLT及び前記ONUの双方に送受信処理を行うデータ信号が存在する場合に前記ONUのスリープ状態を解除して互いにデータ信号の送受信処理を行うことを特徴とする。
【0027】
(実施形態1)
図1はOLTとONU間におけるMPCPとデータ信号の処理系列を示したものである。ONUは通常稼働しているNormal modeとAware及びSleep動作を繰り返し送受信器の一部を休止することにより省電力になる、いわゆるSleep mode時間を有することとする。なお、このSleep mode時間が長くなれば長くなるほど省電力効果が高いことが知られている。OLTとONU間のMPCPにおけるフレーム種類は図7の通りとなっている。
【0028】
図1は、OLTからの下りデータ信号に送受信タイミングを合わせる方法である。すなわち、OLTが上位装置からの下りデータの受信に伴い、OLTあるいはONUどちらかが主体となってスリープする時間を可能な限り長くし、Normal modeに切り替える方法である。このとき、必ずOLTがSLEEP_ALLOW(Wakeup)の制御フレームをONUに送信し、ONUがスリープを解除(起床)する。
【0029】
OLTが主体となって送受信タイミングを合わせる方法は、ONUからOLTへ上りデータ信号があることを通知した後、OLTからONUへの下りデータ信号の有無を確認し、下りデータ信号が有る場合にONUのスリープ状態を解除し、下りデータ信号が無い場合にONUのスリープ状態を維持することを特徴とする。
【0030】
ONUが主体となって送受信タイミングを合わせる方法は、ONUからOLTへ上りデータ信号がある場合、OLTからONUへの下りデータ信号の有無、MPCP(Multi−Point Control Protocol)のタイムアウトであるか否か、又はONUのバッファを確認し、下りデータ信号が有る場合、MPCPのタイムアウトである場合、又はONUがバッファあふれの場合にONUのスリープ状態を解除し、下りデータ信号が無い場合、MPCPのタイムアウトでない場合、又はONUがバッファに余裕がある場合にONUのスリープ状態を維持することを特徴とする。
【0031】
図1のタイムチャートに示すように、通常OLTとONU間ではGATEとREPORTのフレーム送受信が行われる。GATEはOLTからONUへの制御フレームであり、ONUに対して上り信号の有無の確認を行い、上り信号がある場合には、送信タイミングやデータ量など帯域の割当を行う。一方、REPORTはONUからOLTへの制御フレームであり、上り信号の有無の返信や帯域の申請などの要求を行う。更に、SLEEP_ALLOW(Tx/TRx)やSLEEP_ALLOW(Wakeup)はスリープモードの設定や解除を指示するフレームであり、SLEEP_ACK(Tx/TRx)やSLEEP_ACK(Wakeup)はスリープモードになったことや解除したことを報告するフレームである。
【0032】
スリープモードに関する本発明のアルゴリズムについて説明する。Normal modeにおいてOLTからONUへGATEにより上りDATAの有無を確認し、ない場合にはSLEEP_ALLOW(Tx/TRx)フレームが送信される。TxとTRxは送信器、送受信器を示している。SLEEP_ALLOW(Tx/TRx)フレームを受信したONUはSLEEP_ACK(Tx/TRx)を送信し、Sleep modeに切り替わる。Sleep mode期間中、ONUは送信器だけ待機する状態と、送信器受信器共に待機する状態が存在するが、本実施形態ではいずれの状態であるかは区別しない。
【0033】
ONUはSleep mode期間中、OLTからのGATEタイミングに合わせ、部分的にフレームを確認するAware状態に切り替わり通常REPORTフレームを返信するが、本実施形態についてはその限りではない。ONUはOLTが下りデータ信号を得るまで可能な限りスリープモード時間を長くとるようにする。例えば、ONUはSleep mode期間中にDATAを受信した場合でも、すぐにNormal modeに切り替わりDATAを送信することなく、Sleep modeがOLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)フレームを受信するまで続くようにする。なおOLTは、上位装置からの下り信号DATAを受信した後に、SLEEP_ALLOW(Wakeup)フレームを送信することとする。
【0034】
上記のようなアルゴリズムを適用してスリープモードを動作させると従来方法よりSleep mode期間が延び、省電力効果が高くなる。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態は、実施形態1をより具体的に説明したものである。本実施形態では、通知をONUからの許可願(REPORT)で行い、下りデータ信号が有る場合、OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)をONUへ送信し、下りデータ信号が無い場合、OLTからのGATEを0とする。
【0036】
図2は、本実施形態の送受信方法を説明するタイムチャートである。図2において、OLT制御によるSleep modeからNormal modeへ切り替える方法を説明する。ONUは実施形態1で示した通りにSleep modeへ切り替わり、Sleep mode中に上りDATA信号を受信したとする。ONUはOLTからGATEフレームを受信し、通常通りにREPORTフレームを返信する。OLTは通常であればSLEEP_ALLOW(Wakeup)フレームを返信するが、本実施形態では、すぐには返さない。OLTは上位装置から下りDATA信号を受信するまでGATEを0、つまりONUが引き続きSleep mode状態を保つようにする。時期にOLTに上位装置から下りDATA信号が送信されるとONUからのREPORTフレームに基づいて、SLEEP_ALLOW(Wakeup)を送信し、ONUをSleep modeからNormal modeへ切り替える。OLTはONUから上りDATA信号の送信要求としてREPORTを何回か受信するが、このとき、OLTがGATEを0で返信したことを記憶する場合もあるし、記憶しない場合もある。
【0037】
このように、OLTが主体となりGATEを0で返すことで、ONUがSleep mode期間を延ばすようにし、省電力効果を高めることができる。
【0038】
(実施形態3)
本実施形態は、実施形態1をより具体的に説明したものである。本実施形態では、通知をONUからの許可願(REPORT)で行い、下りデータ信号が有る場合、OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)をONUへ送信し、下りデータ信号が無い場合、OLTからのGATEをSLEEP_ALLOWを送信するまで遅延させる。
【0039】
図3は、本実施形態の送受信方法を説明するタイムチャートである。図3において、OLT制御によるSleep modeからNormal modeへの切り替える方法を、実施形態2との違いを中心に説明する。実施形態2では、OLTはONUから上り信号DATAの送信要求のREPORTを受信した後、GATEを0として返信した。本実施形態では、OLTはONUから上り信号DATAの送信要求のREPORTを受信した後、GATEを返信しない。すなわち、この送信要求に対する許可(Grant)を返信しない。ONUにDATA送信を認めるGATEをONUに返信しないため、省電力化を図れる。なお、OLTは、DATA信号送信要求のためのGATEではなく、REPORTのみをONUから送信させるGATEであればONUに送信してもよい。以上をまとめると下記の2種の方法となる。
(方法1)
OLTは、下りDATA信号を受信するまで、一切GATEを送信しない。
(方法2)
OLTは、下りDATA信号を受信するまで、REPORTのみをONUから送信させるGATE以外は送信しない。
【0040】
上記の通り、OLTが主体となりGATEを返さない、あるいはREPORTのみをONUから送信させるGATE以外は返さないことで、ONUがSleep mode期間を延ばすようにし、省電力効果を高めることができる。
【0041】
(実施形態4)
本実施形態は、実施形態1をより具体的に説明したものである。本実施形態では、下りデータ信号が有る場合、MPCPのタイムアウトである場合、又はONUがバッファあふれの場合、OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)をONUへ送信し、下りデータ信号が無い場合、MPCPのタイムアウトでない場合、又はONUがバッファに余裕がある場合、OLTからのGATEに対しONUがREPORTを0で返信する。
【0042】
図4は、本実施形態の送受信方法を説明するタイムチャートである。図4において、ONU主体によるSleep modeからNormal modeへの切り替える方法を説明する。ONUは実施形態1で示した通りにSleep modeへ切り替わり、Sleep mode中に上りDATA信号を受信したとする。ONUはOLTからGATEフレームを受信した場合、通常であれば帯域要求としてREPORTを返信するが、ここではREPORTを0で返信する。ONUはOLTが下りDATA信号を受取り、下りDATA信号のために送信するSLEEP_ALLOW(Wakeup)を受信するまでREPORTを0で返し続ける。SLEEP_ALLOW(Wakeup)を受信したら、ONUはSleep modeからNormal modeに切り替わる。
【0043】
このように、ONUが主体となりREPORTを0で返すことで、ONUがSleep mode期間を延ばすようにし、省電力効果を高めることができる。
【0044】
(実施形態5)
本実施形態は、実施形態1をより具体的に説明したものである。本実施形態では、下りデータ信号が有る場合、MPCPのタイムアウトである場合、又はONUがバッファあふれの場合、OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)をONUへ送信し、下りデータ信号が無い場合、MPCPのタイムアウトでない場合、又はONUがバッファに余裕がある場合、OLTからのGATEに対しONUがREPORTの返信を停止する。
【0045】
図5は、本実施形態の送受信方法を説明するタイムチャートである。図5において、ONU制御によるSleep modeからNormal modeへ切り替える方法を、実施形態4との違いを中心に説明する。実施形態4では、ONUはOLTからGATEフレームを受信した後、REPORTを0で返信した。本実施形態では、ONUはOLTからGATEフレームを受信した後、REPORTを返信しない。具体的には、ONUはOLTから下りDATA信号のために送信するSLEEP_ALLOW(Wakeup)を受信するまでREPORTを返さず、SLEEP_ALLOW(Wakeup)を受信したら、ONUはSleep modeからNormal modeに切り替わり、GATEに対するREPORTを返信する。このように、REPORTをOLTに送信しないため、ONUはOLTから帯域許可のためのGATEを受信せず、ONUはスリープモードを継続でき、省電力化を図れる。
【0046】
上記の通り、ONUが主体となりREPORTを返さないことで、ONUがSleep mode期間を延ばすようにし、省電力効果を高めることができる。
【0047】
なお、実施形態4、5では、OLTの下りデータ信号の有無でONUのスリープ状態を維持又は解除する場合で説明したが、ONUとOLTの一般的なプロトコル上のタイムアウト時間(例えば、ONUからの応答がない時間が所定時間を超えた場合に登録解除するMPCPタイムアウト)やOLTが持つONUへのバッファ状態でONUのスリープ状態を維持又は解除しても良い。
【0048】
(実施形態6)
実施形態1〜5の送受信方法は、送信タイミングをOLTの下り信号に合わせているが、送信タイミングをONUの上り信号に合わせてもよい。すなわち、ONUが上り信号を受信することに伴い、ONUが起床し、そのタイミングでOLTが蓄積していた下りデータを信号ONUへ送信する。
【0049】
OLTが主体となって送受信タイミングを合わせる方法は、OLTからONUへ下りデータ信号があるとき、ONUからOLTへの上りデータ信号の有無を確認し、上りデータ信号が有る場合にONUのスリープ状態を解除し、上りデータ信号が無い場合にONUのスリープ状態を維持することを特徴とする。
【0050】
ONUが主体となって送受信タイミングを合わせる方法は、OLTからONUへ下りデータ信号がある場合、ONUからOLTへの上りデータ信号の有無、MPCP(Multi−Point Control Protocol)のタイムアウトであるか否か、又はONUのバッファを確認し、上りデータ信号が有る場合、MPCPのタイムアウトである場合、又はONUがバッファあふれの場合にONUのスリープ状態を解除し、上りデータ信号が無い場合、MPCPのタイムアウトでない場合、又はONUがバッファに余裕がある場合にONUのスリープ状態を維持することを特徴とする。
【0051】
図6に本実施形態におけるタイムチャートを示す。Sleep mode期間中、OLTが上位装置からDATAを受信した場合でも、すぐにONUをNormal modeに切り替えOLTがONUへDATAを送信することなく、Sleep modeがなるべく長く続くようにする。ONUが下位装置から上りデータ信号DATAを受信した場合に、OLTからのGATEタイミングに合わせ、通常のREPORTフレームではなく、SLEEP_INDICATIONフレームをOLTに送信する。OLTはSLEEP_INDICATIONフレームを受信し、SLEEP_ALLOW(Wakeup)フレームをONUに送信することでONUを起床させ、DATAの送受信を可能にする。このように、ONUをSleep modeからNormal modeへ切り替えるときのタイミングとして、OLTからの下りデータ信号ではなく、ONUからの上りデータ信号に合わせるのが本実施形態であり、具体的にはONUからOLTへSLEEP_INDICATIONフレームを送信することをきっかけとしている。
【0052】
上記のようなアルゴリズムを適用してスリープモードを動作させると従来方法よりSleep mode期間が延び、省電力効果が高くなる。
【0053】
本実施形態において、OLTが主体となりONUのスリープモードを制御する方法は、(1)GATEを0とする、(2)GATEGATEを返さない、あるいはREPORTのみをONUから送信させるGATE以外は返さないの2つがある。
【0054】
(1)の場合、上りデータ信号の有無をOLTからのGATEに対するONUからのREPORTで判断し、上りデータ信号が有る場合、ONUからSLEEP_INDICATIONをOLTへ送信し、OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)をONUへ送信し、上りデータ信号が無い場合、ONUからSLEEP_INDICATIONを受信するまで、OLTからのGATEを0とする。
【0055】
(2)の場合、上りデータ信号の有無をOLTからのGATEに対するONUからのREPORTで判断し、上りデータ信号が有る場合、ONUからSLEEP_INDICATIONをOLTへ送信し、OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)をONUへ送信し、上りデータ信号が無い場合、ONUからSLEEP_INDICATIONを受信するまで、OLTからのGATEの返信を停止する。
【0056】
一方、本実施形態において、ONUが主体となりONUのスリープモードを制御する方法は、(1)REPORTを0とする、(2)REPORTを返さないの2つがある。
【0057】
(1)の場合、上りデータ信号が有る場合、MPCPのタイムアウトである場合、又はONUがバッファあふれの場合に、OLTからのGATEに対しONUからSLEEP_INDICATIONをOLTへ送信した後に、OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)をONUへ送信し、上りデータ信号が無い場合、MPCPのタイムアウトでない場合、又はONUがバッファに余裕がある場合に、OLTからのGATEに対しONUがREPORTを0で返信する。
【0058】
(2)の場合、上りデータ信号が有る場合、MPCPのタイムアウトである場合、又はONUがバッファあふれの場合に、OLTからのGATEに対しONUからSLEEP_INDICATIONをOLTへ送信した後に、OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)をONUへ送信し、上りデータ信号が無い場合、MPCPのタイムアウトでない場合、又はONUがバッファに余裕がある場合に、OLTからのGATEに対しONUがREPORTの返信を停止する。
【0059】
なお、実施形態6のONUが主体となって制御する場合では、OLTの下りデータ信号の有無でONUのスリープ状態を維持又は解除する場合で説明したが、MPCPタイムアウトやOLTが持つONUへのバッファ状態でONUのスリープ状態を維持又は解除しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
実施形態1〜6は、EPON(Ethernet(登録商標) PON)および10G−EPON、さらには他のPON、例えばITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)勧告準拠のB−PON(Broadband PON)およびG−PON(Gigabit−capable PON)、さらにはWDM−PON(Wavelength Division Multiplexing PON)やOFDM−PON(Orthogonal Frequency Division Multiplexing PON)、CDM−PON(Code Division Multiplexing PON)等の光アクセスネットワーク用装置のみならず、2つの互いに接続された通信装置に対して適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅内光終端装置(ONU:Optical Network Unit)と局内光終端装置(OLT:Optical Line Terminal)との間でデータ信号の送受信処理を行う送受信方法であって、
前記OLT及び前記ONUの双方に送受信処理を行うデータ信号が存在する場合に前記ONUのスリープ状態を解除して互いにデータ信号の送受信処理を行うことを特徴とする送受信方法。
【請求項2】
前記ONUから前記OLTへ上りデータ信号があることを通知した後、前記OLTから前記ONUへの下りデータ信号の有無を確認し、前記下りデータ信号が有る場合に前記ONUのスリープ状態を解除し、前記下りデータ信号が無い場合に前記ONUのスリープ状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の送受信方法。
【請求項3】
前記通知を前記ONUからの許可願(REPORT)で行い、
前記下りデータ信号が有る場合、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、
前記下りデータ信号が無い場合、前記OLTからのGATEを0とすることを特徴とする請求項2に記載の送受信方法。
【請求項4】
前記通知を前記ONUからの許可願(REPORT)で行い、
前記下りデータ信号が有る場合、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、
前記下りデータ信号が無い場合、前記OLTからのGATEを前記SLEEP_ALLOWを送信するまで遅延させることを特徴とする請求項2に記載の送受信方法。
【請求項5】
前記ONUから前記OLTへ上りデータ信号がある場合、前記OLTから前記ONUへの下りデータ信号の有無、MPCP(Multi−Point Control Protocol)のタイムアウトであるか否か、又は前記ONUのバッファを確認し、
前記下りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合に前記ONUのスリープ状態を解除し、
前記下りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合に前記ONUのスリープ状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の送受信方法。
【請求項6】
前記下りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、
前記下りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合、前記OLTからのGATEに対し前記ONUがREPORTを0で返信することを特徴とする請求項5に記載の送受信方法。
【請求項7】
前記下りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、
前記下りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合、前記OLTからのGATEに対し前記ONUがREPORTの返信を停止することを特徴とする請求項5に記載の送受信方法。
【請求項8】
前記OLTから前記ONUへ下りデータ信号があるとき、前記ONUから前記OLTへの上りデータ信号の有無を確認し、前記上りデータ信号が有る場合に前記ONUのスリープ状態を解除し、前記上りデータ信号が無い場合に前記ONUのスリープ状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の送受信方法。
【請求項9】
前記上りデータ信号の有無を前記OLTからのGATEに対する前記ONUからのREPORTで判断し、
前記上りデータ信号が有る場合、前記ONUからSLEEP_INDICATIONを前記OLTへ送信し、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、
前記上りデータ信号が無い場合、前記ONUからSLEEP_INDICATIONを受信するまで、前記OLTからのGATEを0とすることを特徴とする請求項8に記載の送受信方法。
【請求項10】
前記上りデータ信号の有無を前記OLTからのGATEに対する前記ONUからのREPORTで判断し、
前記上りデータ信号が有る場合、前記ONUからSLEEP_INDICATIONを前記OLTへ送信し、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、
前記上りデータ信号が無い場合、前記ONUからSLEEP_INDICATIONを受信するまで、前記OLTからのGATEの返信を停止することを特徴とする請求項8に記載の送受信方法。
【請求項11】
前記OLTから前記ONUへ下りデータ信号がある場合、前記ONUから前記OLTへの上りデータ信号の有無、MPCP(Multi−Point Control Protocol)のタイムアウトであるか否か、又は前記ONUのバッファを確認し、
前記上りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合に前記ONUのスリープ状態を解除し、
前記上りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合に前記ONUのスリープ状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の送受信方法。
【請求項12】
前記上りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合に、前記OLTからのGATEに対し前記ONUからSLEEP_INDICATIONを前記OLTへ送信した後に、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、
前記上りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合に、前記OLTからのGATEに対し前記ONUがREPORTを0で返信することを特徴とする請求項11に記載の送受信方法。
【請求項13】
前記上りデータ信号が有る場合、前記MPCPのタイムアウトである場合、又は前記ONUがバッファあふれの場合に、前記OLTからのGATEに対し前記ONUからSLEEP_INDICATIONを前記OLTへ送信した後に、前記OLTからSLEEP_ALLOW(Wakeup)を前記ONUへ送信し、
前記上りデータ信号が無い場合、前記MPCPのタイムアウトでない場合、又は前記ONUがバッファに余裕がある場合に、前記OLTからのGATEに対し前記ONUがREPORTの返信を停止することを特徴とする請求項11に記載の送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−106262(P2013−106262A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249865(P2011−249865)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】