説明

送受信装置および送受信方法

【課題】必要なサブラムダ分の帯域を選択することで、使用する電気クロスコネクト装置のスイッチング容量を抑制する送受信機およびその方法を提供する。
【解決手段】送受信装置は、クライアント信号を収容するデータコンテナとしてOTN信号を利用する。送受信装置は、ネットワーク運用管理システムから受信するODU情報を取得し、該受信するODU情報に基づいて、受信するODUの選択を指示する制御手段と、受信したOTN信号のOTUk(k=1,2,3,4)オーバーヘッドを処理し、ODUkに変換するOTUk処理手段と、ODUkを複数のODUに分割し、前記指示に基づいて、受信するODUを選択し、選択したODUを電気クロスコネクト装置に送信するODUk処理手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置で使用する電気クロスコネクトの無駄な帯域を低減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信装置において、クライアント信号(イーサネット信号やSONET/SDH信号(非特許文献1))を収容するデータコンテナとしてOptical Transport Network(OTN)信号が利用されている(非特許文献2)。OTN信号を用いたネットワークでは、OTN階梯に従って、OTU(Optical Channel Transport Unit)に収容されているOptical Channel Data Unit k (ODUk:k=0,1,2,3,4)単位の電気クロスコネクトが可能である。また、ODUに収容されているOPU(Optical Channel Payload Unit)には、低レートのODUが収容されている場合がある。これら低レートのODUも電気クロスコネクトが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector (ITU-T) G.707 “Network Node Interface for the Synchronous Digital Hierarchy (SDH)”
【非特許文献2】ITU-T Recommendation G.709, "Interfaces for the Optical Transport Network (OTN)," 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光通信ネットワークにおいて、ある2点間に信号光パスが設定されている状況を考える。ここで、信号光に含まれる一部の帯域(サブラムダ:時分割多重される複数のデジタル信号の各々を示す。具体的な例では、“従来技術”で述べたODUがあげられる。)を途中のノードにおいて受信する必要が生じた場合、信号光に含まれる一部の帯域しか受信する必要がないにもかかわらず、現状の光通信装置においては波長単位で信号光が分岐され、その信号光を受信しなければならない。
【0005】
ここで、分岐、および受信された信号光に含まれるサブラムダを受信する際に、信号光を電気信号に変換し、電気クロスコネクト装置を用いてその電気信号から必要なサブラムダを取り出すという方式がとられている。この時、実際に必要な帯域はサブラムダ分だけであるため、それ以外の帯域を電気クロスコネクト装置で処理することは、スイッチング容量を浪費してしまうことになる。
【0006】
したがって、本発明は、必要なサブラムダ分の帯域を選択することで、使用する電気クロスコネクト装置のスイッチング容量を抑制する送受信機およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するため本発明による送受信装置は、クライアント信号を収容するデータコンテナとしてOTN信号が利用されている送受信装置において、ネットワーク運用管理システムから、受信するODU情報を取得し、該受信するODU情報に基づいて、受信するODUの選択を指示する制御手段と、受信したOTN信号のOTUk(k=1,2,3,4)オーバーヘッドを処理し、ODUkに変換するOTUk処理手段と、前記ODUkを複数のODUに分割し、前記指示に基づいて、受信するODUを選択し、選択したODUを電気クロスコネクト装置に送信するODUk処理手段とを備える。
【0008】
また、前記ODUk処理手段は、受信するODUを収容しているTS(Tributary Slot)を選択し、選択したTSに収容されるODUを送信することも好ましい。
【0009】
また、前記制御手段は、受信するOTU信号に収容されているOPUのTS情報をネットワーク運用管理システムから取得し、該TSのビットレート情報が2.5Gb/sである場合、前記ODUk処理手段のODU0出力をオフにすることも好ましい。
【0010】
また、前記ODUk処理手段は、前記選択したODUの送信に使用しないODU出力ポートをオフにすることも好ましい。
【0011】
上記目的を実現するため本発明による送受信方法は、クライアント信号を収容するデータコンテナとしてOTN信号が利用されている送受信方法において、ネットワーク運用管理システムから、受信するODU情報を取得し、該受信するODU情報に基づいて、受信するODUの選択を指示する制御ステップと、受信したOTN信号のOTUk(k=1,2,3,4)オーバーヘッドを処理し、ODUkに変換するOTUk処理ステップと、前記ODUkを複数のODUに分割し、前記指示に基づいて、受信するODUを選択し、選択したODUを電気クロスコネクト装置に送信するODUk処理ステップとを有する。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明により、送受信機において必要なサブラムダ分の帯域を選択することで、サブラムダを取り出す際に使用する電気クロスコネクト装置のスイッチング帯域を抑制する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】OTU1の場合での本発明の装置構成を示す。
【図1B】OTU2の場合での本発明の装置構成を示す。
【図1C】OTU3の場合での本発明の装置構成を示す。
【図1D】OTU4の場合での本発明の装置構成を示す。
【図2】本発明装置の制御フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の装置構成を示す。図中の点線の内側が本発明の装置である。図1Aは送受信信号がOTU1の場合、図1Bは送受信信号がOTU2の場合、図1Cは送受信信号がOTU3の場合、図1Dは送受信信号がOTU4の場合を示す。本装置は、光信号電気信号変換機能1、OTUk(k=1,2,3,4)処理機能2、ODUk(k=1,2,3,4)処理機能3、制御機能4、および通信機能5から構成される。
【0015】
光信号電気信号変換機能1(1)は、受信した信号光を電気信号に変換する機能を有する。光信号電気信号変換機能1(2)は、電気信号を送信する光信号に変換する機能を有する。OTUk処理機能2(1)は、受信した電気信号のOTUkオーバーヘッドを処理し、ODUkに変換する機能を有する。OTUk処理機能2(2)は、受信したODUkをOTUkに構成する機能を有する。
【0016】
ODUk処理機能3は、ODUkを複数のODUに分割する機能を有する。ここでは、ODUkに収容されているOPUk(Optical Payload Unit k:k=1,2,3,4)のTributary Slot(TS)を選択することでODUkをODUに分割する。
・ODU1の場合:入力されたODU1をそのまま出力すること、およびODU1に収容されたひとつのODU0を出力することが可能である。
・ODU2の場合:入力されたODU2をそのまま出力すること、およびODU2に収容されたODU1を最大3本出力すること、およびODU2に収容されたODU0を最大7本出力することが可能である。
・ODU3の場合:入力されたODU3をそのまま出力すること、およびODU3に収容されたODU2を最大3本出力すること、およびODU3に収容されたODU1を最大15本出力すること、およびODU3に収容されたODU0を最大31本出力することが可能である。
・ODU4の場合:入力されたODU4をそのまま出力すること、およびODU4に収容されたODU3を最大2本出力すること、およびODU4に収容されたODU2を最大9本出力すること、およびODU4に収容されたODU1を最大39本出力すること、およびODU4に収容されたODU0を最大79本出力することが可能である。
【0017】
制御機能4は、ODUk処理機能3において、必要なODUを選択し、使用する出力を制御する機能を有する。通信機能5は、ネットワーク運用管理システムと通信する機能を有する。
【0018】
図2は、本発明装置の制御フローを示す。以下に、制御手順を示す。
(S1)開始:
(S2)TS(Tributary Slot)情報取得:受信するOTU信号に収容されているOPUのTS情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。受信する信号のTSのビットレート情報として、1.25Gb/s、もしくは2.5Gb/sのどちらが使用されているかを取得する。TS=1.25Gb/sの場合、S4へ進む。TS=2.5Gb/sの場合、S3へ進む。
(S3)ODUk処理機能のODU0出力をオフする:TS=2.5Gb/sの場合、ODU0は使用不可能なため、ODUk処理機能のODU0出力をオフする。
(S4)受信ODU情報取得:受信するサブラムダであるODUの情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。各OTUk(k=1,2,3,4)に収容されるOPUk(k=1,2,3,4)は、表1のようなTS数を有する。TSのうち、受信するODUを収容しているTS番号を取得する。
【表1】

(S5)TS選択:上述のステップで取得したODU情報を基にして、ODUk処理装置において、OPUからTSを選択する。
(S6)選択ODU出力:ここでは、S5で特定されたTSに収容されるODUを所定のポートに出力する。使用しないODU出力ポートをオフする。
(S7)終了:
【0019】
実施例1として、通信装置においてOTU3信号を受信し、必要なサブラムダが、ODU2である場合について以下に説明する。ここでは、図1Cの装置を用いる。ここで、OTU3信号には、4つのODU2が収容されているとし、それぞれのODU2を、ODU2(1),ODU2(2),ODU2(3),ODU2(4)とする。ここでは、それらのうち、ODU2(1)を受信する必要があるサブラムダとする。また、OTU3に収容されているOPU3のTSは1.25Gb/sとし、TS(1),TS(2)…TS(32)とする。各ODU2は、表2のようなTSに収容されているものとする。
【表2】

【0020】
以下に動作を説明する。
(S1)開始:
(S2)TS情報取得:受信する信号のTS情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。ここでは、受信する信号のTSは1.25Gb/sである。
(S4)受信ODU情報取得:受信するサブラムダであるODU情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。ここでは、受信するODUは、ODU2(1)であり、収容しているTSは、TS(1),TS(5),TS(9),TS(13),TS(17),TS(21),TS(25),TS(29)である。
(S5)TS選択:ODU3処理装置において、受信するODU2(1)を収容しているTSを、上述の情報に従って選択する。
(S6)選択ODU出力:ここで、上述のステップで選択したTS(1),TS(5),TS(9),TS(13),TS(17),TS(21),TS(25),TS(29)に収容されるODU2(1)をポートODU2−(1)に出力する。使用しないODU出力ポートをオフする。
(S7)終了:
【0021】
実施例2として、通信装置においてOTU2信号を受信し、必要なサブラムダが、ODU1である場合について以下に説明する。ここでは、図1Bの装置を用いる。ここで、OTU2信号には、4つのODU1が収容されているとし、それぞれのODU1を、ODU1(1),ODU1(2),ODU1(3),ODU1(4)とする。ここでは、それらのうち、ODU1(1)を必要なサブラムダとする。また、OTU2におけるOPU2のTSは2.5Gb/sとし、TS(1),TS(2),TS(3),TS(4)を有するものとする。各ODU1は、表3のようなTSに収容されているものとする。
【表3】

【0022】
以下に動作を説明する。
(S1)開始:
(S2)TS情報取得:受信する信号のTS情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。ここでは、受信する信号のTSは2.5Gb/sである。
(S3)ODU2処理機能のODU0出力は使用しないためオフする。
(S4)受信ODU情報取得:受信するサブラムダであるODU情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。ここでは、受信するODUは、ODU1(1)である。
(S5)TS選択:受信するサブラムダがODU1(1)であることから、信号から選択するTSは、TS(1)となる。
(S6)選択ODU出力:ここで、TS(1)に収容されるODU1(1)をポートODU1−(1)に出力する。使用しないODU出力ポートをオフする。
(S7)終了:
【0023】
実施例3として、通信装置においてOTU4信号を受信し、必要なサブラムダはODU3である場合について以下に説明する。ここでは、図1Dの装置を用いる。ここで、OTU4信号には、2つのODU3と2つのODU2が収容されているとし、それぞれを、ODU3(1),ODU3(2),ODU2(1),ODU2(2)とする。ここでは、ODU3(1)を必要なサブラムダとする。また、OTU4におけるOPU4のTSは1.25Gb/sとし、TS(1),TS(2)…TS(80)を有するものとする。各ODUは、表4のようなTSに収容されているものとする。
【表4】

【0024】
以下に動作を説明する。
(S1)開始:
(S2)TS情報取得:受信する信号のTS情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。ここでは、受信する信号のTSは1.25Gb/sである。
(S4)受信ODU情報取得:受信するサブラムダであるODU情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。ここでは、受信するODUは、ODU3(1)である。
(S5)TS選択:受信するサブラムダがODU3(1)であることから、信号から選択するTSは、TS(1),TS(2),TS(3),…TS(32)となる。
(S6)選択ODU出力:ここで、TS(1),TS(2),TS(3),…TS(32)に収容されるODU3(1)をポートODU3−(1)に出力する。使用しないODU出力ポートをオフする。
(S7)終了:
【0025】
実施例4として、通信装置においてOTU1信号を受信し、必要なサブラムダがODU0である場合について以下に説明する。ここでは、図1Aの装置を用いる。ここで、OTU1信号には、2つのODU0が収容されているとし、それぞれのODU0を、ODU0(1),ODU0(2)とする。ここでは、それらのうち、ODU0(1)を必要なサブラムダとする。また、OTU1におけるOPU1のTSは1.25Gb/sとし、TS(1),TS(2)とする。各ODU0は、表5のようなTSに収容されているものとする。
【表5】

【0026】
以下に動作を説明する。
(S1)開始:
(S2)TS情報取得:受信する信号のTS情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。ここでは、受信する信号のTSは1.25Gb/sである。
(S4)受信ODU情報取得:受信するサブラムダであるODU情報を、ネットワーク運用管理システムから取得する。ここでは、受信するODUは、ODU0(1)である。
(S5)TS選択:受信するサブラムダがODU0(1)であることから、信号から選択するTSは、TS(1)となる。
(S6)選択ODU出力:ここで、TS(1)に収容されるODU0(1)をポートODU0−(1)に出力する。使用しないODU出力ポートをオフする。
(S7)終了:
【0027】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様および変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲およびその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 光信号電気信号変換機能
2 OTUk処理機能
3 ODUk処理機能
4 制御機能
5 通信機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント信号を収容するデータコンテナとしてOTN信号が利用されている送受信装置において、
ネットワーク運用管理システムから、受信するODU情報を取得し、該受信するODU情報に基づいて、受信するODUの選択を指示する制御手段と、
受信したOTN信号のOTUk(k=1,2,3,4)オーバーヘッドを処理し、ODUkに変換するOTUk処理手段と、
前記ODUkを複数のODUに分割し、前記指示に基づいて、受信するODUを選択し、選択したODUを電気クロスコネクト装置に送信するODUk処理手段と、
を備えることを特徴とする送受信装置。
【請求項2】
前記ODUk処理手段は、受信するODUを収容しているTS(Tributary Slot)を選択し、選択したTSに収容されるODUを送信することを特徴とする請求項1に記載の送受信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、受信するOTU信号に収容されているOPUのTS情報をネットワーク運用管理システムから取得し、該TSのビットレート情報が2.5Gb/sである場合、前記ODUk処理手段のODU0出力をオフにすることを特徴とする請求項1または2に記載の送受信装置。
【請求項4】
前記ODUk処理手段は、前記選択したODUの送信に使用しないODU出力ポートをオフにすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の送受信装置。
【請求項5】
クライアント信号を収容するデータコンテナとしてOTN信号が利用されている送受信方法において、
ネットワーク運用管理システムから、受信するODU情報を取得し、該受信するODU情報に基づいて、受信するODUの選択を指示する制御ステップと、
受信したOTN信号のOTUk(k=1,2,3,4)オーバーヘッドを処理し、ODUkに変換するOTUk処理ステップと、
前記ODUkを複数のODUに分割し、前記指示に基づいて、受信するODUを選択し、選択したODUを電気クロスコネクト装置に送信するODUk処理ステップと、
を有することを特徴とする送受信方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−195736(P2012−195736A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57737(P2011−57737)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】