説明

送風ユニット

【課題】天井に設置されていてもフィルタの掃除を簡単に行なうことが可能な送風ユニットを提供する。
【解決手段】天井に設置される送風ユニット101であって、空気を内部に導入するための吸込口121が形成されたケーシング121aと、掃除機のノズルを挿入可能な挿入口が形成されたパネルと、空気に含まれる塵埃を捕集するためのフィルタ124と、吸引ボックス123と、連結シャフトと、シャフトと、ギアと、ラックと、レバーと、バネとを備える。吸引ボックス123は、挿入口から挿入された掃除機のノズルの内部空間と連通し且つフィルタ124に接触或いは近接する少なくとも1つの開口を有する。連結シャフト、シャフト、ギア、ラック、レバー、及び、バネは、掃除機のノズルの挿入の動きに応じて吸引ボックス123が当該ノズルの挿入方向に沿って動くように吸引ボックス123を可動支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
人の手が届かない天井に設置されている設備機器のメンテナンスは、大変困難な作業である。例えば、空気調和機の室内機等の送風ユニットは、空気中の塵埃を捕集するフィルタの掃除というメンテナンス作業が要求される。天井に設置されたフィルタを直接手で取り外してメンテナンスを行なうには、脚立の上に立っての作業が要求されるが、これは面倒であり、また、脚立からの転落等の危険を伴う。長い柄のついた道具を用いてのメンテナンス作業も、道具を操るのが難しいという難点がある。そこで、例えば、特許文献1(特開平11−226331号公報)に記載されているように、室内機の吸込口を覆うパネルに清掃手段を構成するフィルタブラシと、一対の支持レールとを設け、フィルタブラシが備える吸引口に掃除機のノズルを挿入し、掃除機で吸引しながらノズルを水平方向に動かすことによりフィルタを掃除することができる機構が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のような機構では、ノズルを垂直に立てた状態で水平方向に動かす動作が要求されるが、このような動作は手に負担がかかり大変である。したがって、依然として天井に設置された送風ユニットのフィルタの掃除を簡単に行なうことが可能な送風ユニットの開発が求められている。
【0004】
そこで、本発明の課題は、天井に設置されていてもフィルタの掃除を簡単に行なうことが可能な送風ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る送風ユニットは、天井に設置される送風ユニットであって、空気を内部に導入するための吸込口が形成された吸込口形成部材と、掃除機のノズルを挿入可能な挿入口が形成された挿入口形成部材と、空気に含まれる塵埃を捕集するためのフィルタと、吸引ボックスと、吸引ボックスを可動支持する支持部材とを備える。吸引ボックスは、挿入口から挿入された掃除機のノズルの内部空間と連通し且つフィルタに接触或いは近接する少なくとも1つの開口を有する。支持部材は、掃除機のノズルの挿入の動きに応じて吸引ボックスが当該ノズルの挿入方向に沿って動くように吸引ボックスを可動支持する。
【0006】
本発明の第1観点に係る送風ユニットでは、掃除機のノズルを挿入口から挿入できる。そして、挿入された掃除機のノズルは、吸引ボックスの内部空間と連通し、吸引ボックスが有するフィルタに接触或いは近接する少なくとも1つの開口によりフィルタに付着している塵埃を吸い取ることができる。吸引ボックスは、支持部材により掃除機のノズルの挿入の動きに応じて吸引ボックスが当該ノズルの挿入方向に沿って動くように可動支持されているので、作業者は掃除機のノズルを挿入方向に沿って動かすだけでフィルタを掃除することができる。したがって、本発明の第1観点に係る送風ユニットでは、天井に設置されている送風ユニットであっても、簡単にフィルタの掃除ができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る送風ユニットは、第1観点に係る送風ユニットであって、フィルタは、略鉛直に配置されている。
【0008】
本発明の第2観点に係る送風ユニットでは、フィルタが略鉛直に配置されている。したがって、掃除機のノズルを略鉛直方向に動かすだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る送風ユニットは、第1観点または第2観点に係る送風ユニットであって、支持部材は、吸引ボックスをバネ機構により可動支持する。
【0010】
本発明の第3観点に係る送風ユニットでは、吸引ボックスがバネ機構により可動に支持されているので、当該バネ機構のバネ付勢力が働く方向に吸引ボックスを動かすには人の力を必要としない。つまり、フィルタを掃除するために吸引ボックスを掃除機のノズルで押しても、吸引ボックスはバネにより元の位置に戻る。したがって、掃除機のノズルを押すだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る送風ユニットは、第3観点に係る送風ユニットであって、バネ機構のバネ付勢力は、吸引ボックスを下方に押し下げるように働く。
【0012】
本発明の第4観点に係る送風ユニットでは、掃除機のノズルにより略鉛直方向に吸引ボックスを押した場合、当該吸引ボックスは、当該バネ付勢力により下方に押し戻される。したがって、掃除機のノズルを略鉛直方向に押すだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【0013】
本発明の第5観点に係る送風ユニットは、第1観点または第2観点に係る送風ユニットであって、支持部材は、吸引ボックスをベルトにより可動支持する。
【0014】
本発明の第5観点に係る送風ユニットでは、掃除機のノズルを挿入方向に押すと吸引ボックスを動かすことができる。したがって、掃除機のノズルを挿入方向に沿って動かすだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【0015】
本発明の第6観点に係る送風ユニットは、第1観点から第5観点のいずれかに係る送風ユニットであって、挿入口は、吸引ボックスの平面視における重心の真下に配置されている。
【0016】
本発明の第6観点に係る送風ユニットでは、挿入口から挿入した掃除機のノズルにより吸引ボックスの重心を押すことができる。したがって、掃除機のノズルを挿入方向に沿って動かすだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1観点に係る送風ユニットでは、天井に設置されている送風ユニットであっても、簡単にフィルタの掃除ができる。
【0018】
本発明の第2観点に係る送風ユニットでは、掃除機のノズルを略鉛直方向に動かすだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【0019】
本発明の第3観点に係る送風ユニットでは、掃除機のノズルを押すだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【0020】
本発明の第4観点に係る送風ユニットでは、掃除機のノズルを略鉛直方向に押すだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【0021】
本発明の第5観点及び第6観点に係る送風ユニットでは、掃除機のノズルを挿入方向に沿って動かすだけで簡単にフィルタの掃除ができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる送風ユニットの一実施形態にかかる空気調和機の冷媒回路。
【図2】本発明にかかる送風ユニットの一実施形態の全体図。
【図3】本発明にかかる送風ユニットの一実施形態にかかる吸込口。
【図4】本発明にかかる送風ユニットの一実施形態にかかる吸引ボックスおよび支持部材。
【図5】本発明にかかる送風ユニットの一実施形態にかかる吸引ボックスおよび支持部材。
【図6】本発明にかかる送風ユニットの一実施形態にかかる吸引ボックスおよび支持部材の動作例1。
【図7】本発明にかかる送風ユニットの一実施形態にかかる吸引ボックスおよび支持部材の動作例2。
【図8】本発明にかかる送風ユニットの一実施形態にかかる吸引ボックスおよび支持部材の変形例。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を以下に図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。
【0024】
(1)送風ユニットの概略構成
以下では、本発明にかかる送風ユニットの1例として空気調和機100の室内機101を取り上げて、本発明の実施形態を説明する。
【0025】
図1は、空気調和機100の冷媒回路を示している。空気調和機100は、室内機101と、室外機110とから構成されており、冷房運転および暖房運転等を含む空気調和運転を行うことができる。室内機101内には、室内熱交換器102および室内ファン103等が収容されている。室外機110には、室外膨張弁111、室外熱交換器112、室外ファン113、四路切換弁114、および、圧縮機115、等が収容されている。室内熱交換器102、室外熱交換器112、圧縮機115、四路切換弁114および室外膨張弁111は、冷媒配管を介して接続され、冷媒回路を構成する。室内熱交換器102は、接触する空気との間で熱交換を行い、調和空気を生成する。また、室内熱交換器102は、冷房運転時には、冷媒の蒸発器として機能してケーシング内に取り込まれた空気を冷却し、暖房運転時には、冷媒の凝縮器として機能してケーシング内に取り込まれた空気を加熱する。室内ファン103は、空調対象空間内の空気を吸い込んで室内熱交換器102に通し、熱交換が行われた後の調和空気を空調対象空間内に排出する。なお、室内機101は、オフィスビル等の建物1内の天井に設置され、室外機110は、建物1の外に設置される。
【0026】
(2)送風ユニットの詳細構成
本発明にかかる送風ユニットの1例である室内機101の構成について以下に図2〜8を参照しながらより詳細に説明することにする。
【0027】
(2−1)各構成要素
図2は、建物内の天井に設置された状態の室内機101を示している。図2中の3は、天井板である。室内機101は、室内の空気を室内機101のケーシング内に吸い込むための吸込口121を天井に形成する吸込口形成部材を備える。具体的には、図3に示すような吸込口121が形成されたケーシング121aが天井に設置される。また、室内機101は、吸い込んだ空気を室内に吹出すための吹出口122を天井に形成する吹出口形成部材を備える。具体的には、吹出口122が形成された図2に示すケーシング122aが天井に設置される。吸込口121を形成するケーシング121aは、室内ファン103及び室内熱交換器102を収容するケーシング126の内部空間と連通するようにダクト125により連結されている。吹出口122を有するケーシング122aもまた当該ケーシング126の内部空間と連通するようにダクト127により連結されている。
【0028】
図3は、吸込口121を形成するケーシング121aの外観を示している。吸込口121は、格子状になった複数のスリットを有するパネル128aにより覆われている。当該パネル128aには、掃除機のノズルを吸込口121内、即ち室内機101内、に挿入することが可能な開口である挿入口128が形成されている。挿入口128には、2枚の扉からなる蓋が取り付けられている。当該蓋は、挿入口128に挿入されようとするノズルにより押されると2枚の扉が両開きに内側に開き、ノズルを挿入口128内に受け入れ、ノズルが挿入口128から引き出されると、ヒンジに取り付けられたバネの付勢力により閉じるように構成されている。
【0029】
ケーシング121aの内部を示す図2に戻ると、吸込口121の下流には、フィルタ124が設置されている。フィルタ124は、吸込口121から吸い込まれた空気に含まれる塵埃を捕集する。フィルタ124は、後述する理由により、略鉛直に配置されていると好適である。本実施形態では、フィルタ124は、吸込口形成部材であるケーシング121aと室内ファン103や室内熱交換器102が格納されているケーシング126内部空間とを連通するダクト125への開口129を覆うように略鉛直に設置されている。フィルタ124に接触或いは近接するように設置されているのは、吸引ボックス123である。吸引ボックス123については、後で説明する。
【0030】
なお、吸込口121が形成されたケーシング121aのような吸込口形成部材と挿入口128が形成されたパネル128aのような挿入口形成部材とは、1体のケーシングであってもよい。また、吹出口122が形成されたケーシング122aのような吹出口形成部材と吸込口形成部材とは、1体のケーシングであってもよい。吸込口形成部材、吹出口形成部材及び挿入口形成部材が1体のケーシングを構成していてもよい。
【0031】
また、フィルタ124は、プリーツ・タイプのフィルタであると好適である。プリーツ・タイプのフィルタは、通常のタイプのフィルタと比べて空気と接する面積がより大きく、空気中に含まれるより多くの塵埃を捕集することができる。しかし、その他のタイプのフィルタでも構わない。
【0032】
(2−2)吸引ボックス
次に吸引ボックス123について図4〜7を参照しながら説明する。吸引ボックス123は、図4に示すように中が空洞の箱型の吸引ボックス123本体に、当該本体より小さく、空洞の、一面が解放された箱123a(以下、ノズルガイド123aとする)を合体させたような形をしている。吸引ボックス123本体には、フィルタ124に接触或いは近接する位置に開口が設けられていると好適である。当該開口は、1つでもよいが、複数設けられていると好適である。具体的には、例えば、図4に示されている吸引ボックス123本体は、プリーツ・タイプのフィルタ124の形状に合わせて山型の凹凸状になったフィルタ124に面した面を有しており、当該面には、複数のスリット状の開口である吸引スリット123bが設けられている。なお、吸引ボックス123は、常にフィルタ124に近接した位置にある必要はなく、フィルタ124を清掃する際に後述するように掃除機のノズルにより押されてフィルタ124に近接した位置に移動できればよい。したがって、吸引スリット123bは、フィルタ124の清掃時にフィルタ124に接触あるいは近接するようになっていればよい。
【0033】
また、吸引ボックス123本体には、ノズルガイド123aとの接合面の中心に半球状の隆起部を有し、当該隆起部の中心に開口123cを有する。ノズルガイド123aは、空洞の立方体又は直方体のような形状をしているが、吸引ボックス123本体との接合面に対向する側には面を有しておらず、ノズルガイド123aの内部空間が外部に解放されている。ノズルガイド123aは、当該開放されている部分から掃除機のノズル2をノズルガイド123aの内部空間に受け入れ、そして、掃除機のノズル2の口と開口123cとが接合するようにガイドする。このように掃除機のノズル2の内部空間と吸引ボックス123本体の内部空間とを連通させた状態で掃除機の吸引機能を発揮させると、吸引ボックス123本体が有するフィルタ124に接触或いは近接した吸引スリット123bからフィルタ124に付着している塵埃を吸引して取り除くことが出来る。
【0034】
吸引ボックス123は、支持部材により掃除機のノズル2の挿入方向に沿って動くことが可能なように支持部材により支持されていると好適である。さらには、図2に示すようにフィルタ124が略鉛直に設置されている場合は、吸引ボックス123は、フィルタ124の表面に沿って略鉛直方向に動くことが可能なように支持部材により支持されていると好適である。なお、フィルタ124は略鉛直に設置されていると好適である。建物内の床上に立っている作業員は、掃除機のノズル2を吸込口121内に略鉛直方向に挿入するだけで当該ノズル2を用いて吸引ボックス123を押してフィルタ124の掃除ができる。床上からは、略鉛直方向のほうが掃除機のノズル2を挿入口128に挿入しやすい。
【0035】
掃除機のノズル2を挿入する挿入口128は、吸引ボックス123の平面視における重心の真下に配置されていると好適である。これにより、掃除機のノズル2により吸引ボックス123の重心を押せるので、吸引ボックス123をより動かしやすくなる。
【0036】
具体的には、例えば、吸引ボックス123は、図4〜6に示されているような支持部材により可動に支持されているのが好ましい。図4に示されているように、吸引ボックス123本体のフィルタ124に面している面を正面、ノズルガイド123aが接合されている面を底面とした場合に側面にあたる2つの面を有するが、当該2つの側面は、正面よりもさらに上方に伸びている。当該2つの側面には、各4つのギア132が取り付けられている。当該ギア132は、各側面において2つずつ計4つが上段と下段との2段に分けて配置されている。上段の2つのギア132は、正面よりも上方に伸びた側面の部分に配置されており、下段の2つのギア132は、正面の上辺よりも下方に位置した側面の部分に配置されている。正面よりも上方に伸びている側面の部分には、1本の連結シャフト131aが吸引ボックス123本体の上面の上方を横切り、両側面を貫通するように取り付けられている。各側面の上段の2つのギア132のうち正面に近い側に位置するギア132は、それぞれ当該連結シャフト131aに通され、当該連結シャフト131a両端付近に固定された状態で取り付けられている。連結シャフト131aは、吸引ボックス123本体に回転自在に取り付けられており、当該連結シャフト131aが回転すると当該連結シャフト131aに取り付けられている2つのギア132が回転するようになっている。他のギア132は、各側面から突き出た状態で回転しないように固定されて取り付けられている3つのシャフト131bに通され、回転自在に取り付けられている。各側面から突き出たこれらのギア132は、図4及び図5に示されているようにラック133の中にはめられている。
【0037】
ラック133は、図5及び図6に示されているように、ケーシング121aの内壁のうちフィルタ124が設置されているダクト125への開口129が形成された面の鉛直辺2つそれぞれに隣接する内壁面2つに1つずつ、フィルタ124の表面に並行な状態で取り付けられている。ラック133の長手方向に直交する断面は、コの字型(あるいは、コの字を逆にした形)をしている。2つのラック133は、当該コの字の開口している部分が互いに向き合うように設置されている。ラック133は、当該コの字の上辺と底辺にあたる部分の内側にギアと噛み合う歯を備えている。ラック133の当該歯は、吸引ボックス123の側面に取り付けられているギア132と接触し、噛み合っている。吸引ボックス123に略鉛直方向の力を加えるとギア132の歯がラック133の歯と噛み合ってギア132が回転するとともに吸引ボックス123は、ラック133に沿って移動する。
【0038】
図6及び図7に示されているように、吸引ボックス123本体の上面には、レバー134が常に接触している。レバー134の一端は、ケーシング121aの内壁面に取り付けられている。当該内壁面は、フィルタ124が覆っているダクト125への開口129に対向する面である。レバー134の当該面への取り付けは、当該面に取り付けられた端を軸に円弧を描いて上下に可動なようにボルトとナットにより施されている。また、レバー134は、片方の側面にバネ135の一端をかけるためのフックを有する。当該フックは、レバー134のケーシング121aの内壁に取り付けられている端とレバー134を長手方向に二等分する中心点との間に位置する。当該フックに取り付けられたバネ135の他端は、当該レバー134が取り付けられているのと同じケーシング121a内壁面に取り付けられたフックに取り付けられている。当該内壁面に取り付けられたフックは、当該内壁面の当該レバー134が取り付けられている位置よりも下方に位置する。当該バネ135の付勢力は、レバー134を介して吸引ボックス123の上面を下方に押さえるように働く。これにより、掃除機のノズル2により挿入口128から離れるように押された吸引ボックス123は、掃除機のノズル2を挿入方向に押す力が弱まると、上面を押すレバーにより挿入口128に向かって押し戻される。したがって、フィルタ124を掃除する作業員は、挿入口128から挿入した掃除機のノズル2を挿入方向に押すときにのみ力を加えればよい。
【0039】
(3)特徴
(3−1)特徴1
上記実施形態にかかる送風ユニットは、天井設置型の空気調和機100の室内機101であり、吸込口121が形成されたケーシング121aと、挿入口128が形成されたパネル128aと、フィルタ124と、吸引ボックス123と、当該吸引ボックス123を可動支持する連結シャフト131a、シャフト131b、ギア132、ラック133、レバー134及びバネ135、等の支持部材を備えている。吸込口121は、建物内の空気を室内機101内部に吸込む。挿入口128には、掃除機のノズル2が挿入される。フィルタ124は、吸込口121の下流に設置されており、吸い込んだ空気に含まれている塵埃を捕集する。吸引ボックス123は、フィルタ124に接触或いは近接する少なくとも1つ以上のスリット状の開口である吸引スリット123bを有する。挿入口128より挿入された掃除機のノズル2の口は、吸引ボックス123本体のノズルガイド123aとの接合面に設けられた開口123cと接合することにより、吸引ボックス123の内部空間と連通する。この状態で、掃除機の吸引機能を発揮させると、フィルタ124に接触或いは近接する吸引スリット123bからフィルタ124に付着している塵埃が吸引され取り除かれる。吸引ボックス123は、連結シャフト131a、シャフト131b、ギア132、ラック133、レバー134及びバネ135、等の支持部材により掃除機のノズル2の挿入方向に沿って移動可能な状態で支持されている。これにより、掃除機のノズル2を挿入口128から吸込口121内に挿入して、ノズル2を当該ノズル2の挿入方向に沿って動かすだけで、フィルタ124を取り外すこと無く、フィルタ124を掃除することが可能となっている。したがって、天井に設置されている送風ユニットであっても、簡単にフィルタ124の掃除ができるようになっている。
【0040】
(3−2)特徴2
上記実施形態にかかる送風ユニットは、天井設置型の空気調和機100の室内機101であって、フィルタ124は、略鉛直に設置されている。具体的には、吸込口121が形成されたケーシング121aと室内ファン103及び室内熱交換器102、等を収容しているケーシング126とを連結するダクト125への開口129を覆うように略鉛直に設置されている。これにより、掃除機のノズル2を略鉛直方向に挿入し、押せば、吸引ボックス123をフィルタ124の表面に沿って移動させることができ、当該吸引ボックス123を介してフィルタ124に付着した塵埃を吸引除去することが可能となっている。したがって、掃除機のノズル2を略鉛直方向に動かすだけで簡単にフィルタ124の掃除ができるようになっている。
【0041】
(3−3)特徴3
上記実施形態にかかる送風ユニットは、天井設置型の空気調和機100の室内機101であって、吸引ボックス123を可動支持する支持部材は、レバー134及びバネ135からなるバネ機構を備えている。レバー134は、バネ付勢力により吸引ボックス123を挿入口128の方に押し戻すように構成されている。これにより、掃除機のノズル2により吸引ボックス123が挿入口128から遠ざかる方向に押されても、レバー134により挿入口128の方に押し戻されるようになっている。したがって、掃除機のノズル2を押すだけで簡単にフィルタ124の掃除ができるようになっている。また、手動で容易に吸引ボックス123を動かすことができるので、電源を吸込口121まで配線しなくてもよい。
【0042】
(3−4)特徴4
上記実施形態にかかる送風ユニットは、天井設置型の空気調和機100の室内機101であって、レバー134は、バネ135のバネ付勢力により吸引ボックス123の上面に常に接触し、吸引ボックス123を下方に押し下げる力を働かせるように構成されている。即ち、レバー134及びバネ135からなるバネ機構のバネ付勢力は、吸引ボックス123を下方に押し下げるように働いている。これにより、掃除機のノズル2により吸引ボックス123が上向きに押されても、レバー134により下方に押し戻されるようになっている。したがって、掃除機のノズル2を略鉛直方向に押すだけで簡単にフィルタ124の掃除ができるようになっている。
【0043】
(3−5)特徴5
上記実施形態にかかる送風ユニットは、天井設置型の空気調和機100の室内機101であって、掃除機のノズル2を挿入するための挿入口128は、吸引ボックス123の平面視における重心の真下に配置されている。これにより、挿入口128から挿入した掃除機のノズル2により吸引ボックス123の重心を押せるので、吸引ボックス123を下方から押して動かしやすくなっている。したがって、掃除機のノズル2を挿入方向に沿って動かすだけで簡単にフィルタ124の掃除ができるようになっている。
【0044】
(4)変形例
(4−1)
上記実施形態では、吸引ボックス123は、レバー134及びバネ135からなるバネ機構を含む支持部材により可動支持されている。しかし、他の実施形態においては、他の構成を有する支持部材により吸引ボックス123を可動支持しても良い。例えば、図8に示されているようなベルト機構からなる支持部材により吸引ボックス123を可動支持してもよい。この場合、吸引ボックス123及びこれを可動支持する支持部材の構成は、具体的には次のように上記実施形態から変形される。
【0045】
図8に示されているように本変形例の吸引ボックス201は、吸引ボックス201本体の各側面にギア132の代わりに板状の突起201d(以下、ベルト固定部材201dとする)各2枚を備えている。ノズルガイド201a、吸引スリット201b及び開口201cは、上述のノズルガイド123a、吸引スリット123b及び開口123cと同じ構成である。したがって、本変形例の吸引ボックス201は、各側面にベルト固定部材201dを備えている以外は、上記実施形態にかかる吸引ボックス123と同じ構成を有しているので説明を省略する。
【0046】
吸引ボックス201は、上記各2枚のベルト固定部材201dによりタイミングベルト205を両側から挟み、ネジ等により締め付けることにより、2つのタイミングベルト205に取り付けられている。タイミングベルト205は、ケーシング121aのダクト125への開口129が形成された面の鉛直辺2つに隣接する2つの内壁面に取り付けられた連結シャフト202a及びシャフト202bに取り付けられたギア203及び204にかけられている。連結シャフト202aは、ケーシング121aの対向する当該内壁面2つに渡って当該開口129より上方に架けられている。当該連結シャフト202aの両端付近には前述のギア203が取り付けられている。また、当該各内壁面のダクト125への開口129よりも下方に位置する部分には、シャフト202bが各1つ当該内壁面より突き出るように取り付けられており、各内壁面より突き出たシャフト202bそれぞれの先端付近には、前述のギア204が取り付けられている。また、当該各内壁面には、タイミングベルト205と並行するようにガイド206が1つずつ取り付けられている。各ガイド206は、その長手方向に沿ってガイド溝206aを有する。2つのガイド206は、お互いのガイド溝206aが向き合うように設置されている。吸引ボックス201の各側面から突き出ているベルト固定部材201dそれぞれの先端は、当該ガイド溝206a内に挿入されている。吸引ボックス201は、挿入口128から挿入された掃除機のノズル2により押されることによりガイド溝206aに沿って上方に移動する。しかし、掃除機のノズル2による上方に押す力が弱まると、タイミングベルト205に取り付けられた吸引ボックス201自体の重みにより吸引ボックス201が取り付けられている側のタイミングベルト205が下に引っ張られる。このとき連結シャフト202aに取り付けられているギア203及びシャフト202bに取り付けられているギア204がタイミングベルト205の動きにつられて回転するとともに吸引ボックス201は2つのガイド206のガイド溝206aに沿って下方に下がる。これにより、掃除機のノズル2により挿入口128から離れるように押された吸引ボックス201は、掃除機のノズル2を挿入方向に押す力が弱まると、自重により挿入口128に向かって移動する。したがって、フィルタ124を掃除する作業員は、挿入口128から挿入した掃除機のノズル2を挿入方向に押すときにのみ力を加えればよい。また、手動で容易に吸引ボックス201を動かすことができるので、電源を吸込口121まで配線しなくてもよい。
【0047】
本変形例にかかる空気調和機100の室内機101(送風ユニット)では、掃除機のノズル2を挿入方向に沿って動かすだけで簡単にフィルタ124の掃除ができる。
【0048】
(4−2)
上記実施形態では、フィルタ124は、吸込口形成部材であるケーシング121aと室内ファン103や室内熱交換器102が格納されているケーシング126内部空間とを連通するダクト125への開口129を覆うように設置されている。吸引ボックス123或いは201は、ケーシング121a内に配置されている。吸込口121を覆うパネル128aには、掃除機のノズル2を挿入するための開口である挿入口128が形成されている。しかし、他の実施形態では、フィルタ124は、室内機101内部の吸込口121と室内ファン103との間であれば、他の位置に設置されてもよい。例えば、フィルタ124は、ダクト125内に、フィルタ124の全周がダクト125の内側の壁の全周に接するように鉛直に設置されてもよい。この場合、吸引ボックス123或いは201は、フィルタ124に近接して、ダクト125内のフィルタ124が設置されている位置よりも吸込口121側に設置される。挿入口128は、ダクト125の壁の吸引ボックス123或いは201の平面視における重心の真下に位置する部位に形成される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、天井設置型の空気調和機の室内機等の送風ユニットの清掃を簡単にできるようにするのに有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 建物
2 掃除機のノズル
3 天井板
101 空気調和機の室内機(送風ユニット)
121 吸込口
121a ケーシング(吸込口形成部材)
122 吹出口
123、201 吸引ボックス
123b、201b 吸引スリット(開口)
124 フィルタ
128 挿入口
128a パネル(挿入口形成部材)
131a 連結シャフト(支持部材)
131b シャフト(支持部材)
132 ギア(支持部材)
133 ラック(支持部材)
134 レバー(支持部材)
135 バネ(支持部材)
202a 連結シャフト(支持部材)
202b シャフト(支持部材)
203、204 ギア(支持部材)
205 タイミングベルト(支持部材)
206 ガイド(支持部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開平11−226331号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設置される送風ユニット(101)において、
空気を内部に導入するための吸込口(121)が形成された吸込口形成部材(121a)と、
掃除機のノズルを挿入可能な挿入口(128)が形成された挿入口形成部材(128a)と、
前記空気に含まれる塵埃を捕集するためのフィルタ(124)と、
前記挿入口(128)から挿入された前記ノズルの内部空間と連通し且つ前記フィルタ(124)に接触或いは近接する少なくとも1つの開口(123b、201b)を有する吸引ボックス(123、201)と、
前記ノズルの挿入の動きに応じて前記吸引ボックス(123、201)が前記ノズルの挿入方向に沿って動くように前記吸引ボックス(123、201)を可動支持する支持部材と、
を備えた、
送風ユニット(101)。
【請求項2】
前記フィルタ(124)は、略鉛直に配置された、
請求項1に記載の送風ユニット(101)。
【請求項3】
前記支持部材は、前記吸引ボックス(123)をバネ機構により可動支持する、
請求項1又は2に記載の送風ユニット(101)。
【請求項4】
前記バネ機構のバネ付勢力は、前記吸引ボックス(123)を下方に押し下げるように働く、
請求項3に記載の送風ユニット(101)。
【請求項5】
前記支持部材は、前記吸引ボックス(201)をベルト(205)により可動支持する、
請求項1又は2に記載の送風ユニット(101)。
【請求項6】
前記挿入口(128)は、前記吸引ボックス(123、201)の平面視における重心の真下に配置された、
請求項1〜5のいずれかに記載の送風ユニット(101)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−225613(P2012−225613A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95113(P2011−95113)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】