説明

逆起電力値を使用する乱数発生

【課題】セキュリティプロトコル内で使用してデータ処理システムへのアクセスを制御するような乱数の発生方法および装置を得る。
【解決手段】プロセッサが逆起電力(BEMF)値に関連する乱数を発生する。BEMF値は回路への電流印加に応答して得られる。回路はコイルを含み、電流印加によりコイルの比較的小さい動きを誘起する。乱数は多ビットデジタル値であり、乱数の各ビットは対応するBEMF値が偶数か奇数かに関連して決定される。コイルはトランスデューサを回転可能な記憶媒体に隣接位置決めするのに使用されるボイスコイルモータ(VCM)のコイルを含み、乱数は媒体が非回転状態である間に発生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にデジタルデータ処理システムの分野に関し、限定はしないが、特に逆起電力(BEMF)電圧に関連して乱数を発生する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータ処理装置の領域において、継続的な傾向はより高いレートの機能性および相互接続性を有する装置を提供することである。それにより、一般的に、より大量の機密または個人情報がこれらの装置により格納されアクセスされるようになってきている。
【0003】
個人的便宜および生産性は高まるが、この傾向により不正アクセスおよびこのような情報が流布される機会も増す。このような民生用電子装置が可搬型携帯型装置であり、容易に置き忘れたり盗まれたりするということから、その様な機会は悪化する。
【0004】
ある装置開発者は第三者がこのような装置内の情報にアクセスする能力を低減させるべくセキュリティシステムを実施している。このようなセキュリティシステムは、しばしば、真の乱数を発生する能力を頼りとするセキュリティプロトコルを実施する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術において多様なシステムが提案されているが、装置が電力を著しく消費することなく真の乱数を容易に効率的に発生できるような改善が継続的に必要とされている。本発明の好ましい実施例は一般的にこれらおよびその他の改善に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施例は一般的に、データ処理装置へのアクセスを制御するセキュリティプロトコルで使用されるような、乱数発生方法および装置に向けられている。
【0007】
好ましい実施例では、プロセッサは逆起電力(BEMF)値に関連して乱数を発生する。プロセッサは、好ましくは、プログラマブルプロセッサであるが、ハードウェアプロセッサとして実現することもできる。
【0008】
BEMF値は、好ましくは、回路への電流印加に応答して得られる。回路は、好ましくは、コイルを含み電流の印加は、好ましくは、コイルの比較的小さい動きを含む。
【0009】
乱数は、好ましくは、多ビットデジタル値であり、乱数の各ビットは対応するBEMF値が偶数か奇数かに関連して決定される。コイルは、好ましくは、トランスデューサを回転可能記憶媒体に隣接位置決めするのに使用されるボイスコイルモータ(VCM)のコイルを含み、乱数は、好ましくは、媒体が非回転状態にある間に発生される。
【0010】
本発明を特徴づけるこれらおよびさまざまな他の利点は下記の詳細な説明を読み添付図を見れば明らかである。
【実施例】
【0011】
次に、図面を参照して、図1はディスクドライブ・ブロックデータ記憶装置100装置の平面図である。ドライブ100は本発明の好ましい実施例を有利に実施できる典型的な環境を示すために提供される。しかしながら、本発明はそのように限定されることはない。
【0012】
装置100はベースデッキ104およびトップカバー106から形成された実質的に封止されたハウジング102を含んでいる。内部に配置されたスピンドルモータ108はいくつかの記憶媒体110を回転させるように構成される。媒体110はデータトランスデューサ112の対応するアレイによりアクセスされる。好ましくは、トランスデューサ(「ヘッド」)は媒体110の高速回転により確立された流体流により媒体に隣接して流体力学的に支持される。
【0013】
図1は2枚の磁気記録ディスクと4つの対応するヘッドの使用を示しているが、所望により他の数のヘッドおよびディスク(1枚のディスク等)および他のタイプの媒体(光媒体等)を利用することもできる。もちろん、他の実施環境は媒体もヘッドも全然必要としない。
【0014】
トランスデューサ112はヘッドスタックアセンブリ(「HSA」または「アクチュエータ」)114の一部を形成する。より詳細には、各トランスデューサ112は、好ましくは、対応するフレクシブルサスペンション(「フレクシュア」)116により支持され、それは、次に、剛性アクチュエータアーム118により支持される。アクチュエータ114は、好ましくは、ボイスコイルモータ(VCM)122に電流を印加することによりカートリッジベアリングアセンブリ120周りに旋回する。このようにして、VCM122の制御された動作によりトランスデューサ122は媒体表面上に規定されたトラック(図示せず)と一線上に揃えられてそこにデータを格納したりそこからデータを検索したりする。
【0015】
好ましくは、装置が使用されない時、トランスデューサ112は媒体の最外周辺近くに配置されたランプ(ramp)構造124へ移動される(アンロードされる)。ランプ構造124は媒体110が非回転状態にある間トランスデューサ112を安全に配置できる各表面を提供するように働く。装置I/O操作が望まれる時は、スピンドルモータ108がトランスデューサ112を支持するのに十分な速度まで媒体110を加速し、トランスデューサ112はランプ構造124から媒体110に隣接する支持位置まで移動される(ロードされる)。
【0016】
好ましい実施例を例示する目的でランプ構造が提供されているが、必ずしも必要ではない。たとえば、図1に示すような回転可能媒体および可動トランスデューサを利用する実施例は、替わりに、コンタクトスタートストップ(CSS)方法等の他の支持構造を利用することができ、トランスデューサは媒体110の最内周辺近くのかさ高ランディングゾーン上に静止するようにされる。
【0017】
図1は、さらに、アクチュエータ114と外部配置された装置印刷回路板(PCB)128上の装置制御エレクトロニクス間の電気通信を容易にするフレックス回路アセンブリ126を示している。
【0018】
図2は図1の装置100の機能的ブロック図である。プログラマブルコントローラ130は装置に対する最高級通信および制御を提供する。インターフェイス(I/F)ブロック132は装置100が関連するホスト装置(図示せず)とのI/O通信および転送を容易にする。リード/ライト(R/W)チャネル134はライト動作中にホストから媒体110に書き込まれるデータを調整し、媒体110から検索された前に格納されたデータをリード動作中にホストへ転送するために再構成する。
【0019】
前置増幅器/ドライバ回路(プリアンプ)136は書込み中に必要なライト電流を選択されたトランスデューサに加え、読出し中に必要なリードバイアス電流および信号予増幅を加える。図1に示すように、プリアンプ136は、好ましくは、アクチュエータ114側に搭載される。
【0020】
サーボ回路138は装置製作中に媒体110に書き込まれたサーボデータを使用してトランスデューサ112に対する閉ループ位置制御を行う。サーボ回路138は、好ましくは、選択されたトランスデューサ112が媒体上の対応するトラックに追従するトラック追従動作、選択されたトランスデューサ112が初期トラックから行き先トラックへ移動されるシーク動作、およびトランスデューサがランプ構造124に対して接近または離隔されるヘッドロード/アンロード動作を含むいくつかの制御機能を実施するように構成される。
【0021】
サーボ回路138は必要な電流をVCM122のコイル140に加えてこれらのさまざまな動作を実施する。好ましくは、サーボ回路138は、さらに、スピンドルモータ108を制御可能に作動させるスピンドルモータドライバ回路(別個には図示せず)を含んでいる。これらおよびその他のサーボ機能を実施するための処理要求条件は、好ましくは、DSP141または、ARM等の、サーボ回路138の他の処理装置により満たされる。あるいは、サーボ処理は単一プロセッサ環境内のトップレベルコントローラ130により提供される。
【0022】
図3は図2のサーボ回路138の関連部分の一般化された回路表現である。VCM制御回路142は、好ましくは、h-ブリッジドライバ回路144を利用してVCMコイル140に双方向電流を供給する。スイッチング装置S1-S4は番号146,148,150および152で示されており、好ましくは、適切な電界効果型トランジスタ(FET)を含んでいる。スイッチング装置S1-S4はV電圧源154および規準線路(接地)間に配置されている。
【0023】
このようにして、スイッチS1およびS4の選択励起(誘起ソース-ドレイン動通)によりコイル140中に電流を第1の方向に通すことができ、スイッチS2およびS3の選択励起によりコイル140中に電流を第2の方向に通すことができる。
【0024】
図示するように、電流センス抵抗158は、好ましくは、コイル140と直列に配置される。コイル140(R)およびセンス抵抗158(R)の各定常状態抵抗は共に、好ましくは、数オーム程度である。信号線路160,162および164により帰還タップが提供されてVCM制御回路142に、それぞれ、信号VCM+,I+およびI-を与える。線路160および164間の差はコイル140およびセンス抵抗158両端間の全体電圧降下を表し、線路160および162間の差はコイル140両端間の電圧降下を表し、線路162および164間の差はセンス抵抗158両端間の電圧降下を表す。
【0025】
装置のI/O動作中に、サーボ回路138はトランスデューサ112を回転媒体110に隣接位置決めするように動作する。VCM制御回路142はコイル140に規定電流(大きさおよび方向)を供給するよう指令される。少なくともある動作モードにおいて、この電流は関係I=V/Rを使用してモニタすることができ、Iはコイル140およびセンス抵抗158の両方を流れる実際の電流であり、Vはパス162および164から得られる電圧であり、Rはセンス抵抗158の既知の(または測定された)抵抗である。
【0026】
この点において、装置のこのようなI/O動作中に乱数を発生するいくつかの方法があることに注目されたい。たとえば、媒体をスピンアップし、トランスデューサをロードし、次に、データ読出動作を実施することが従来技術において一般的に提案されている。読出結果のさまざまな特性を使用して、公称乱数の母集団分布を得ることができる。
【0027】
この方法の限界は媒体の加速およびそれと相互作用するトランスデューサのローディングを開始する必要があることである。それはかなりの電力量を消費することがあり、バッテリベースまたは他の電力制限システムにおいて特に有害となることがある。また、媒体110を動作速度まで加速し、トランスデューサ112をロードし、次に、必要なアクセスを実施するのにかなりの時間を要することがある。それによりアクセス要求を迅速に解明して装置へのアクセスを許すか防止するかを決定するセキュリティシステムの能力が遅延される。
【0028】
したがって、VCM制御回路142は、好ましくは、媒体110の加速を開始したり媒体110上にトランスデューサ112をロードする必要なしに、装置100による真の乱数の発生を容易にするように構成される。乱数は、好ましくは、コイル140により低レベルの逆起電力(BEMF)電圧発生を誘起して得られる。後述するように、BEMFは、好ましくは、図4に一般的に示すように、対応するランプ構造上に少量の「揺動」、すなわち、トランスデューサ112の振動運動を誘起して発生される。
【0029】
この動作中に、BEMF値がVCM制御回路142によりサンプリングされる。図5に示すように、BEMF値は乱数発生器ブロック166へ供給され、それは選択されたアルゴリズムを使用してそこから乱数(RN)値を発生する。乱数発生器ブロック166は、好ましくは、乱数発生器操作を実施する関連するプログラミングを有するサーボDSP141(図2)の一部として実現されるが、ハードウェアプロセッサとしてハードウェアで実現することもできる。
【0030】
乱数発生器ブロック166はRN値をセキュリティプロトコル168へ転送する。セキュリティプロトコル168は、その後、RN値を使用してアクセスを許可または拒絶する。一度乱数が発生されたらセキュリティプロトコルを実際に実施するための従来の方法はいくらでも知られているので、実際のセキュリティプロトコルの検討は不要として省く。
【0031】
BEMFは回路内の正規の電流に抵抗する電圧(EMF)であることがお判りであろう。BEMFは、特に、コイル140およびVCM122の周囲の磁気回路等による磁界中のコイルの動きに抵抗して誘起することができる。この場合、BEMFは、いくつかの他のパラメータだけでなく、コイル速度と共に一般的に増加する。特に低い速度では、BEMF値は信号ノイズおよび電気的オフセット等のさまざまな予測不能パラメータにより支配されることが判っている。後述するように、このようなパラメータは、好ましくは、有利に利用される。
【0032】
図6は乱数発生ルーチン200に対するフロー図であり、図5のシステムを実現するために実施される好ましいステップを例示している。ステップ202において、校正操作が最初に実施される。この校正は、好ましくは、適切な範囲内でBEMF値を測定できるようにするのに十分な係数値を引き出すために実施される。
【0033】
好ましくは、ステップ202は図3の回路により比較的少量の初期電流をコイル140に選択された方向に印加することを含んでいる。それにより、図4に示すように、共通回転方向にコイル140(したがって、トランスデューサ112)の少量の移動が誘起される。この移動中に、好ましくは、パス160,162および164上の電圧が測定される。これらの測定値は、好ましくは、次式で利用される。
【数1】


ここに、Vはコイル140およびセンス抵抗158の両端間で測定できる電圧であり、Iは注入電流の大きさであり、Rはコイル140の抵抗であり、Rはセンス抵抗158のの抵抗であり、BEMFはコイルの動きにより誘起される逆起電力電圧であり、αは係数である。係数αが下記の値に設定されると、
【数2】


よって、
【数3】


となる。
このようにして、VCM制御回路142はパス160および164両端間で感知された実際の電圧を決定しかつ方程式2で求められたα係数を適用することにより、任意の定められた時間におけるBEMF値を決定することができる。前記したように、このようにして得られたBEMF値は、好ましくは、ノイズ、オフセットおよび他のランダム効果により支配される。
【0034】
一度校正ステップが完了すると、図6のフローはステップ204へ進み、そこで新しい電流値がシステムに注入される。これは、好ましくは、決定されたBEMFに関連して前に印加された電流を、下記の関係等に従って修正することにより実施される。
【数4】


ここに、IM2は新しい電流値であり、IM1は前に印加された電流値であり、BEMF1は最も最近決定されたBEMF値であり、βはスケーリングファクタである。方程式(4)におけるIM2にはIM1とは反対方向の極性が与えられることに注目願いたい。このようにして、IM2を印加するとIM1により前に誘起された方向(たとえば、図4参照)とは反対方向にコイル140およびトランスデューサ112の動きが誘起される。これは好ましいことではあるが、必ずしも必要なことではない。
【0035】
BEMF値を使用して新しい電流値を校正するのは好ましいことではあるが、必要なことではないことに注目願いたい。たとえば、ある別の実施例では、各方向に同じ大きさの電流が印加され、あるいは予め選択されたプロファイルに従って電流の大きさが変えられる。
【0036】
ステップ204により新しい電流が注入されると、ステップ206において新しいBEMF値が決定される。この値は、好ましくは、そこからステップ208(図6)において乱数を発生するためにVCM制御回路142により乱数発生器166(図5)へ供給される。
【0037】
説明を判り易くするために図示されていないが、VCM制御回路142は一連のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を利用してパス160,162および164において感知された電圧の多ビットデジタル表現を提供するものと思われる。BEMF値を決定するために実施される計算も、好ましくは、デジタルに実施され、乱数発生器166に提供されるBEMF値は定められたサイズ(たとえば、8ビット,16ビット,等)の多ビットデジタル値となるようにされる。
【0038】
好ましい実施例では、乱数発生器166はBEMF値が偶数か奇数かを決定する。他の技術も利用できるが、これは、好ましくは、BEMF値の最上位ビット(LSB)を評価して決定される。好ましくは、BEMF値が偶数と決定されたら、「0」ビットが発生され、BEMF値が奇数であれば、「1」ビットが発生される。
【0039】
ステップ208の操作の結果、好ましくは、最終発生乱数に対して必要な総ビット数の中の1ビットが発生される。すなわち、セキュリティプロトコル168(図5)は選択された長さ(たとえば、16ビット,32ビット,128ビット,等)の乱数を必要とするものと考えられる。このような場合、図6のフローは、好ましくは、乱数を完全に母集団化(populate)するのに十分な回数だけルーチン中を通過し戻る。
【0040】
したがって、判断ステップ210は追加乱数ビットが必要かどうかを確認し、必要ならば、プロセスはステップ204-208へ戻りそこで追加電流値が注入され、BEMF値が決定され、そこからRNビットが得られる。好ましくは、ステップ208の各操作により乱数のその時決定されたビットがバッファ170(図5)の選択されたビット位置へロードされる。このようにして、乱数を個別ビットから逐次組み立てることができる。
【0041】
乱数が完全に母集団化されると、最後の数がステップ212においてセキュリティプロトコル168へ、ステップ214においてプロセスエンドへ転送される。
【0042】
実験的解析により真の乱数を発生する前記した好ましい実施例の効能が示されている。特定の6.35cm(2.5インチ)形状因子装置(実質的に図1の装置100と同様)が図6のルーチンを実施して576,000バイトBEMF値を集めるように構成された。これらのデータは72,000バイト乱数に変換された。
【0043】
図7は8ビット乱数(0から255までのベース10値を提供する)へ分類されたこれらのデータに対する関連結果のヒストグラムを示す。図7からお判りのように、これらの値の全体分布は実質的に均一である。
【0044】
データの真のランダムさをさらに評価するために、白色雑音が基準として使用された。白色雑音は下記の2つの条件を理論的に満たす信号応答であることがお判りであろう。
【0045】
条件1 自己相関シーケンス(異なる時間におけるランダムプロセスの値間の従属の測度)はゼロにおけるピーク(任意の2つの異なる時点における値が相関されないことを暗示する)を除いてゼロに等しくなければならない。
【0046】
条件2 電力スペクトル密度は一定でなければならない(全ての周波数において等しい電力を暗示する)。
【0047】
自己相関解析の結果は図8に示されている。合計20の遅延がデフォルトにより計算された。図8に示すように、サンプル0にピークがあり、残りのサンプルは実質的にゼロに等しい。したがって、自己相関シーケンスは前記条件1に実質的に従う。
【0048】
計算された電力スペクトル密度曲線が図9に示されている。スペクトルを横切る大きさは実質的に一定であり、それは電力スペクトル密度が前記条件2に実質的に従うことを意味する。
【0049】
前記したことから、前記好ましい実施例に従って得られたデータは実質的に白色雑音と見なすことができ、そこから発生された数は真の乱数を構成するものと見なされることが判る。
【0050】
パターン発生器158によりBEMF値を処理するより精巧な方式を前記した好ましい方法の代りに利用できると考えられる。このような方式は、たとえば、受信したBEMF値への組合せ論理演算の適用を含むことができる。しかしながら、実質的に白色雑音を提供する好ましい方法が見つかっているため、このような追加処理は開示された実施例では不要と見なされた。しかしながら、他の応用では、このような追加処理は得られるビット分布のランダムさを向上させるのに望ましいものと思われる。
【0051】
好ましい実施例では乱数を発生するのにVCMコイルが利用されたが、それは必ずしも必要ではなく、BEMF値はここに提示されたさまざまな実施例に従って乱数を発生する任意数の異なるタイプの装置および回路内で得られることがお判りであろう。したがって、BEMF値は磁界内に浸されたコイルに電流を印加して発生されるものとして例示されているが、それは特許請求される発明を限定するものではない。
【0052】
さらに、好ましい実施例は得られる乱数をセキュリティプロトコル内で使用して装置へのアクセスを制御することに向けられているが、特許請求される発明はそのように限定されるものではない。むしろ、乱数の発生に有用と思われる任意数および種類の処理システム、応用および/または環境を含む任意所望の方法で乱数を使用することができる。
【0053】
添付特許請求の範囲の目的で、引用した「第1の手段」は、ハードウェアまたはソフトウェアプロセッサとして実現された、開示された乱数発生器166に少なくとも対応する前記検討と矛盾しないものと理解される。
【0054】
本発明のさまざまな実施例の構造および機能の詳細と共に、本発明のさまざまな実施例の非常に多くの特性および利点について説明してきたが、この詳細な説明は単なる説明用であって詳細は変更することができ、特に、本発明の原理内の部品の構造および構成に関しては添付特許請求の範囲が表現される用語の広範な一般的意味により示される全範囲まで変更することができる。たとえば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく特定の要素は特定の応用に応じて変わることがある。
【0055】
さらに、ここに記載された実施例はディスクドライブデータ記憶装置内での乱数発生に向けられているが、当業者ならばこのプロセスは特許請求された本発明の精神および範囲を逸脱することなく任意数の他のタイプの装置および環境内で使用できることがお判りであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の好ましい実施例に従って作られ動作するディスクドライブブロックデータ記憶装置の平面図である。
【図2】図1の装置の単純化された機能図である。
【図3】図1の装置のボイスコイルモータ(VCM)の動作を制御するのに使用される制御回路の回路図である。
【図4】本発明の好ましい実施例に従って図3の回路により誘起される比較的小さい「揺動」動作を例示する、装置の関連するランプロード/アンロード表面上の選択されたトランスデューサを示す図である。
【図5】セキュリティプロトコルにより使用される真の乱数を発生するために、図3および4により得られる逆起電力(BEMF)電圧の好ましい使用の機能的ブロック表現を示す図である。
【図6】本発明の好ましい実施例に従って実施されるステップを例示する、乱数発生ルーチンに対するフロー図である。
【図7】図6のルーチンにより発生された乱数のヒストグラム分布を示す図である。
【図8】図7のデータの自己相関解析結果を示す図である。
【図9】図7のデータに対する電力スペクトル密度を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
100 ディスクドライブブロックデータ記憶装置
102 ハウジング
104 ベースデッキ
106 トップカバー
108 スピンドルモータ
110 記憶媒体
112 データトランスデューサ
114 ヘッドスタックアセンブリ
116 フレクシブルサスペンション
118 アクチュエータアーム
120 カートリッジベアリングアセンブリ
122 ボイスコイルモータ
124 ランプ構造
126 フレックス回路アセンブリ
128 印刷回路板
130 プログラマブルコントローラ
132 インターフェイスブロック
134 リード/ライトチャネル
136 前置増幅器/ドライバ回路
138 サーボ回路
140 コイル
142 VCM制御回路
144 h-ブリッジドライバ回路
146,148,150,152 スイッチング装置
154 V電圧源
156 基準線路
158 電流センス抵抗
160,162,164 信号線路
166 乱数発生器ブロック
168 セキュリティプロトコル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆起電力(BEMF)値に関連して乱数を発生するステップを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、回路に電流を印加するステップを含み、発生ステップのBEMF値は前記電流の印加から得られる方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、印加ステップの回路はトランスデューサを回転可能媒体に隣接位置決めするように構成されたコイルを含み、印加ステップの電流は媒体が非回転状態である間にコイルに印加される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、さらに、コイル両端間の電圧を測定し前記電圧に関連してBEMF値を決定するステップを含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、発生ステップはBEMF値が偶数か奇数かに関連して前記乱数の1ビットを発生するステップを含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、発生ステップの乱数はnビットを含み、前記乱数の各ビットは回路に電流パルスを印加するステップ、関連するBEMF値を測定するステップ、およびBEMF値を評価して前記各ビットを設定するステップにより別々に発生される方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
第1の大きさの電流をコイルに印加するステップと、
続いて、第1の大きさの電流およびBEMF値に関連して決定される第2の大きさの電流をコイルに印加するステップと、を含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、さらに、装置へのアクセス制御を行うセキュリティプロトコルに乱数を提供するステップを含む方法。
【請求項9】
逆起電力(BEMF)値に関連して乱数を発生するように構成されたプロセッサを含む装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、さらに、回路に電流を印加するように構成された制御回路を含み、BEMF値は前記電流の印加に応答して得られる装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、プロセッサは、さらに、コイル両端間の電圧を識別し前記電圧に関連してBEMF値を決定するように構成される装置。
【請求項12】
請求項9に記載の装置であって、プロセッサはBEMF値が偶数か奇数かに関連して前記乱数の1ビットを発生するように構成される装置。
【請求項13】
請求項9に記載の装置であって、乱数はnビットを含み、前記乱数の各ビットは回路への電流パルスの印加および得られるBEMF値の測定、および得られるBEMF値を評価して各ビットを設定するプロセッサの操作により別々に発生される装置。
【請求項14】
請求項9に記載の装置であって、さらに、第1の大きさの電流をコイルに印加し、関連するBEMF値を測定し、続いて、第1の大きさの電流およびBEMF値に関連して第2の大きさの電流をコイルに印加するように構成された制御回路を含む装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、コイルはボイスコイルモータ(VCM)のコイルを含む装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、コイルはトランスデューサを回転可能媒体に隣接位置決めするように構成され、電流は媒体が非回転状態である間に制御回路によりコイルに印加される装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置であって、さらに、コイルに直列接続された電流センス抵抗を含み、制御回路はコイルおよびセンス抵抗両端間の合成電圧降下を感知する装置。
【請求項18】
請求項14に記載の装置であって、さらに、制御回路に応答して前記電流をコイルに供給するように構成されたh−ブリッジドライバ回路を含む装置。
【請求項19】
請求項14に記載の装置であって、さらに、コイルに接続されたトランスデューサおよびトランスデューサを接触支持するように構成されたランプ構造を含み、制御回路によりコイルに印加される電流はランプ構造上でトランスデューサの双方向スライド動作を誘起する装置。
【請求項20】
請求項9に記載の装置であって、プロセッサは乱数を発生する関連するプログラミングを有するプログラマブルプロセッサを含む装置。
【請求項21】
コイルと、
前記コイルにより発生される逆起電力(BEMF)に関連して乱数を発生する第1の手段と、
を含む装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、第1の手段はプロセッサを含む装置。
【請求項23】
請求項21に記載の装置であって、データ記憶装置として特徴づけられる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−286784(P2007−286784A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111554(P2006−111554)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】