説明

透明ゲル状組成物

【課題】透明性に優れ、かつ高温環境下においても十分に粘性を保持して優れた使い勝手を発揮することができる透明ゲル状組成物を提供すること。特に、自動車用の芳香剤や脱臭剤や消臭剤等のように、車内温度が70℃以上と高温になるような環境下でも十分に粘性を保持することができる透明ゲル状組成物を提供すること。
【解決手段】ゲル化剤としてカチオン化セルロースを、3〜20重量%の範囲で含有するものとした。なお、脱臭剤、消臭剤、防虫剤、忌避剤、香料、界面活性剤、色素、防腐剤等の1種または2種以上を含有させることもできる。また、厳冬時のゲル凍結防止のために、必要に応じ多価アルコール類、グリコールエーテル類を適宜添加することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤、脱臭剤、消臭剤などに用いられる透明ゲル状組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、芳香剤や脱臭剤や消臭剤として、ファッション性に優れたに透明なゲル状組成物を用いたものがより好まれるようになってきた。このような透明ゲル状組成物においては、ゲル化剤としてジュランガム、カラギーナン、寒天等の天然高分子化合物や、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等の非イオン性の水溶性セルロース等が使用されていた(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、前記した天然高分子化合物の場合は、水に対する溶解性が低いため、ゲル状組成物の製造工程中で水を加熱処理しなければならず生産性に劣るという問題点や、香料等を添加した場合に香料分の一部が揮発してしまうという問題点があった。
一方、非イオン性の水溶性セルロースの場合は、水に対する溶解性が高く水の加熱処理は不要であるが、含有量が増加すると透明度が低下するという現象が生じるため、含有量を抑える必要があり十分に粘性を持った芳香剤や脱臭剤等に適したゲル状物を得ることができないという問題点があった。
特に、自動車用の芳香剤や脱臭剤や消臭剤等においては、車内温度が70℃以上と高温になる場合もあり、そのような環境下でも十分に粘性を保持することができる透明ゲル状組成物の開発が要望されていた。
【特許文献1】特許第2562913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような問題点を解決して、透明性に優れ、かつ高温環境下においても十分に粘性を保持して優れた使い勝手を発揮することができる透明ゲル状組成物を提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明の透明ゲル状組成物は、ゲル化剤としてカチオン化セルロースを、3〜20重量%の範囲で含有することを特徴とするものである。
なお、脱臭剤、消臭剤、防虫剤、忌避剤、香料、界面活性剤、色素、防腐剤等の1種または2種以上を含有させることもでき、これを請求項2の発明とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、ゲル化剤としてカチオン化セルロースを、3〜20重量%の範囲で含有することにより、製造工程中に水を加熱処理する必要がなく生産性に優れ、また高温環境下においても十分に粘性を保持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を示す。
本発明は、ゲル化剤としてカチオン化セルロースを、3〜20重量%の範囲で含有するものである。
前記カチオン化セルロースとは、セルロース(パルプ)を原料にした、溶媒法によるセルロース系水溶性高分子であり、分子構造は下記の[化1]に示されるとおりである。
【0008】
【化1】

【0009】
本発明では、このカチオン化セルロースを使用することにより、製造工程中に水を加熱処理することなくゲル状組成物を生産することができるようになった。また、含有量を増加しても透明度が低下することがなく、高温環境下においても十分に粘性を保持することができるようになった。
【0010】
ゲル状組成物へのカチオン化セルロースの含有量は、3〜20重量%の範囲である。3重量%未満では高温環境下における十分な粘性の保持が難しくなり、一方、20重量%を超えると透明度が低下するおそれがあるからである。より好ましくは、5〜10重量%の範囲である。
【0011】
本発明のゲル状組成物には、前記カチオン化セルロースの他、脱臭剤、消臭剤、防虫剤、忌避剤、香料、界面活性剤、色素、防腐剤等の1種または2種以上を含有させることもできる。また、厳冬時のゲル凍結防止のために、必要に応じ多価アルコール類、グリコールエーテル類を適宜添加することもできる。
【0012】
なお、ゲル状組成物へのカチオン化セルロースの添加量と、ゲルの粘度、および温度との関係を調べた結果は、下記の[表1]に示すとおりであった。
ゲルとして形態が崩れないように十分な粘性を有するためには、20000mPa・s以上の粘度が必要であり、表1からも明らかなように、20℃の環境下でも70℃の環境下でもは5%以上必要であることが確認できた。
【0013】
【表1】

【実施例】
【0014】
下記に示す配合量(重量%)に従い、水に湿潤剤、香料、界面活性剤、防腐剤、カチオン化セルロースを順次投入し、透明に溶解するまで撹拌する。その後、容器に充填し、ゲル中に含有している気泡が抜けるまで静置した。
[配合量]
カチオン化セルロース 7.0
湿潤剤 10.0
香料 4.0
界面活性剤 3.0
防腐剤 0.5
水 残部
得られた車用芳香剤は、透明性に優れ、またー10℃〜70℃の環境下においてもゲル状態が崩れず安定した状態を保っていることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化剤としてカチオン化セルロースを、3〜20重量%の範囲で含有することを特徴とする透明ゲル状組成物。
【請求項2】
脱臭剤、消臭剤、防虫剤、忌避剤、香料、界面活性剤、色素、防腐剤等の1種または2種以上を含有している請求項1に記載の透明ゲル状組成物。

【公開番号】特開2007−302839(P2007−302839A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134859(P2006−134859)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000251277)スズカファイン株式会社 (7)
【Fターム(参考)】