説明

逐次的に停止させたポリマーを含む改良されたヒステリシスを有するエラストマー組成物

アニオン重合したリビングポリマーを、特定の試薬X’及びY’を用いて逐次的に官能化する。該ポリマーと官能化剤X’とを反応させる工程と、さらに該ポリマーと官能化剤Y’とを反応させる工程とを有する官能化ポリマーを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年6月9日に出願された米国仮出願第60/477,013号の利益を得るものである。
【0002】
本発明は、カーボンブラック反応性官能基及びシリカ反応性官能基を含有する官能性ポリマー、及び該官能性ポリマーを製造する方法に関する。前記官能ポリマーはタイヤ製造に有用である。
【背景技術】
【0003】
タイヤ製造の技術においては、ヒステリシスロスが低い、すなわち、力学的エネルギーの熱としての損失が少ない加硫ゴムを使用するのが望ましい。ヒステリシスロスは、多くの場合、架橋結合したゴムのネットワーク内のポリマーの自由鎖末端に加えて、充填剤の凝集体の解離に起因する。また、加硫ゴム内のバウンドラバーの比率も、バウンドラバーの増加によってより優れた耐摩耗性が得られるため重要である。
【0004】
官能化ポリマーは、ヒステリシスロスを減少させ、バウンドラバーを増加させるために使用されている。官能化ポリマーの官能基が、充填剤粒子と相互作用し、それによってポリマーの自由鎖末端の数を減らすと考えられている。また、官能基と充填剤粒子との相互作用によって、充填剤の凝集が抑えられ、それによって、充填剤の凝集体の解離に起因するヒステリシスロス(すなわち、ペイン(Payne)効果)が減少する。
【0005】
共役ジエンモノマーは、多くの場合、アルキルリチウム化合物を開始剤として用いることによって、アニオン重合している。特定のアルキルリチウム化合物を選択することによって、ポリマー鎖の先端に官能基を有するポリマー生成物を得ることができる。また、官能化化合物でリビング・ポリマーを停止させることによって、アニオン重合したポリマーの末端に官能基を付与することもできる。
【0006】
例えば、塩化トリブチルスズなどの塩化トリアルキルスズが、共役ジエンの重合のみならず、共役ジエンと芳香族ビニルモノマーとの共重合を停止させるために使用されており、その結果、ポリマーの末端にトリアルキルスズの官能性を有するポリマーが生成される。これらのポリマーは、向上した牽引力(traction)、低い転がり抵抗、向上した磨耗の特性を示すタイヤのトレッドの製造に技術的に有用であることが判明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
官能化ポリマーは、特にタイヤ構成部材の製造に好都合であるので、更なる官能化ポリマーが必要とされている。また、沈降シリカを、補強粒子充填剤としてタイヤに使用することが増加しているので、シリカに対し親和性を有する官能化エラストマーが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概して、本発明は、逐次的に官能化したポリマーを製造する方法を提供し、該方法は、アニオン重合したリビングポリマーと官能化剤X’とを反応させて、カーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用し、かつ反応性の求電子部位又は求核部位を含む末端官能化ポリマーを製造することと、反応性部位と官能化剤Y’とを反応させて、カーボンブラック及びシリカと反応するか、又は相互作用する逐次的に官能化したポリマーを製造することとを有する。
【0009】
本発明は、また、少なくとも1種の加硫可能なゴムと充填剤とを含むゴム処方物を加硫することによって製造された加硫ゴムも含み、少なくとも1種の加硫可能なゴムは、アニオン重合したリビングポリマーと官能化剤X’とを反応させて、カーボンブラック、シリカ又はその両方と反応するか、又は相互作用し、かつ反応性の求電子部位又は求核部位を含む末端官能化ポリマーを製造し、反応性部位と官能化剤Y’とを反応させて、カーボンブラック及びシリカと反応するか、又は相互作用する逐次的に官能化したポリマーを製造することによって製造される逐次的に官能化したポリマーである。
【0010】
本発明は、さらに下記式:
【化1】






はアニオン重合したポリマー部分であり、Xはカーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用する第1の官能基を含み、Yはカーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用する第2の官能基を含み、Zは結合又は鎖を伸張する基であり、m及びnはそれぞれ1〜約50の整数であり、但しXがシリカとではなくカーボンブラックと反応するか、又は相互作用する場合、Yがシリカと反応するか、又は相互作用し、Xがカーボンブラックとではなくシリカと反応するか、又は相互作用する場合、Yがカーボンブラックと反応するか、又は相互作用する)によって定義される官能化ポリマーを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、下記式:
【化2】






はアニオン重合したポリマーであり、Xはカーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用する官能基を含み、Yはカーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用する官能基を含み、Zは結合又は鎖を伸張する基であり、m及びnはそれぞれ1〜約50の整数である)によって定義される官能化ポリマーを含む。前記鎖を伸張する基は、好ましくはヒドロカルビレン基である。適したヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、置換アルキレン基、置換シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、置換アルケニレン基、置換シクロアルケニレン基、アリーレン基、置換アリーレン基が挙げられる。鎖を伸張する基は、好ましくは1個の炭素原子、又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子から最大約100個までの炭素原子、より好ましくは最大約75個までの炭素原子、さらにより好ましくは最大約50個までの炭素原子、さらにより好ましくは最大約25個までの炭素原子を含む。ヒドロカルビレン基は、特に制限するものではないが、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子などのヘテロ原子を含んでもよい。
【0012】
X又はYと充填剤との相互作用は、化学反応によって生じてもよく、その結果、官能基と充填剤粒子との間にイオン結合又は共有結合が生じる。別の方法として、X又はYと充填剤との相互作用は、空間を介した相互作用(例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用など)によって生じてもよい。相互作用は、ポリマーのゴムマトリックス内にドメインを生じる引力であってもよい。相互作用は、加硫ゴム処方物の加工後、例えば硬化の間に活性化される充填剤粒子への親和性であってもよい。
【0013】
カーボンブラックと反応するか、又は相互作用する官能基としては、極性基、塩基性基、及び高芳香族基などが挙げられる。
【0014】
シリカと反応するか、又は相互作用する官能基としては、塩基性基、及びヒドロキシル基、ポリアルキレングリコール基、エポキシ基、アルコキシシラン基及びカルボン酸の基などの水素結合を形成することが可能な基が挙げられる。いくつかの官能基は、カーボンブラック及びシリカの両方と反応するか、又は相互作用する。
【0015】
好ましくは、X及びYが共に存在するため、官能化ポリマーがカーボンブラック及びシリカの両方と反応するか、又は相互作用する。一実施態様において、Xが、カーボンブラックと反応するか、又は相互作用するが、シリカと有利には反応しないか、又は相互作用しない官能基を含む場合、Yが、シリカと反応するか、又は相互作用する官能基を含む。別の実施態様において、Xが、シリカと反応するか、又は相互作用するが、カーボンブラックと有利には反応しないか、又は相互作用しない官能基を含む場合、Yが、カーボンブラックと反応するか、又は相互作用する官能基を含む。
【0016】
一実施態様において、本発明の官能化ポリマーは、逐次的なプロセスを用いることによって製造される。アニオン重合したリビングポリマーを官能化剤X’と反応させて、下記式:
【化3】


(式中、



はアニオン重合したポリマーであり、X及び*はポリマーとX’との間の反応の残基であり、*は反応性の求電子部位又は求核部位であり、mは1〜約50の整数である)で表すことができる末端官能化ポリマーを製造してもよい。反応性部位*を官能化剤Y’と反応させて、下記式:
【化4】


(式中、




X及びmは上記の通りであり、Zは結合であり、Yは*とY’との間の反応の残基であり、nは1〜約50の整数である)で表すことができる逐次的に官能化したポリマーを製造してもよい。
【0017】
官能化剤X’として有用な化合物としては、リビングポリマーとの付加反応によって、カーボンブラック及び/又はシリカ充填剤と反応性相互作用をもつ第1のサイトと、求電子性又は求核性の第2の反応サイト*を持った官能化ポリマーを与えるような化合物が挙げられる。
【0018】
適したX’官能化剤の例としては、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミド類、ベンゾニトリル又は他の置換ニトリル類、置換アジリジン類、チアゾリン類、ジアルキルアミノベンズアルデヒド類、ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類、置換エポキシ化合物類、N−メチルカプロラクタム、置換シッフ塩基類、置換スチリルメチル誘導体類、ビニルピリジン、ポリビニルピリジンの短ブロック類、ポリスルホキシド類、ポリ(カルボジイミド)類、ポリ(メタ)アクリルアミド類、ポリ(アミノアルキル(メタ)アクリレート)類、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン・オキシド(PEO)、ブチルグリシジルエーテル、ジフェニルエチレン、官能化スチレン、モノグリシジルシロキサン類、及びエポキシド末端基を有するポリシロキサン類が挙げられる。モノグリシジルシロキサンの例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPMOS)が挙げられる。エポキシド末端基を有するポリシロキサン類の例としては、モノグリシジルエーテルで停止させたポリ(ジメチルシロキサン)などのモノグリシジルエーテルで停止させたポリシロキサン類が挙げられる。これらの化合物の多くはAldrich Chemical Companyより市販されている。
【0019】
一実施態様において、反応性部位*は、1種又は複数の更なるX’官能化剤と反応してもよい。本実施態様において、少なくとも末端のX残基は、反応性部位*を含む。このポリマーの末端は、下記式:
【化5】


(式中、




X及び*は上記の通りであり、pは1〜約49の整数である)で例示することができる。
【0020】
一実施態様において、X’がジフェニルエチレン又は官能化スチレンである場合、官能化ポリマーはさらに共役ジエン又は芳香族ビニルモノマーを反応性部位*において重合させて、それによってポリマー鎖を伸張し、XとYの官能基間にポリマーのスペーサーを提供することができる。
【0021】
別の実施態様において、ポリマーのX部分の求電子部位又は求核部位*は選択的に反応性である。すなわち、更なるX’官能化剤又はY’官能化剤を含めた特定の試薬と反応するが、好ましくは、共役ジエン又は芳香族ビニルモノマーとは実質的にポリマーに成長する程度には反応しない。
【0022】
好ましくは、末端官能化ポリマーを、X’官能化剤とアニオン重合したリビングポリマーとを反応させることによって形成する。適したアニオン重合したリビングポリマーは、アニオン開始剤と特定の不飽和モノマーとを反応させて、リビング末端又は反応性末端を有するポリマー部分を成長させることによって形成することができる。アニオン重合については、George Odian,Principles of Polymerization,ch.5(3rd Ed.1991)、又はPanek,94 J.Am.Chem.Soc., 8768(1972)にさらに記載されており、その内容を本願明細書に引用して援用する。
【0023】
アニオン重合したリビング・ポリマーを製造するのに使用できるモノマーとしては、アニオン重合技術に従って重合可能ないずれのモノマーも挙げられる。これらのモノマーとしては、エラストマーのホモポリマー又はエラストマーの共重合体の形成をもたらすモノマーが挙げられる。適したモノマーとしては、特に制限されないが、C−C12の共役ジエン、C−C18の芳香族モノビニルモノマー、及びC−C20のトリエンが挙げられる。共役ジエンモノマーの例としては、特に制限されないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及び1,3−ヘキサジエンが挙げられる。トリエンの例としてはミルセンが挙げられるがこれに限定されない。芳香族ビニルモノマーとしては、特に制限されないが、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びビニルナフタレンが挙げられる。共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーを含むエラストマーの共重合体などのエラストマーの共重合体を製造する場合、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーは、通常は、95:5から50:50までの比率で、好ましくは95:5から63:35までの比率で使用される。
【0024】
リビングポリマーの1つの好ましい種類はスチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体(SBR)である。好ましくは、SBR共重合体のスチレン含量は全ポリマーの約10〜約50質量%、より好ましくは全ポリマーの約18〜約40質量%である。1,3−ブタジエン由来のユニットの約8〜約99%が1,2−ビニルミクロ構造のものであることが好ましく、より好ましくは1,3−ブタジエン由来のユニットの約10〜約60%が1,2−ビニルミクロ構造のものである。好ましくは、1,3−ブタジエンに由来する残りのユニットが、シスのユニット:トランスのユニットが約3:5の相対比で1,4−シス−又は1,4−トランス−ミクロ構造の状態である。
【0025】
いずれのアニオン開始剤もリビングポリマーの形成及び成長を開始するのに使用することができる。好ましくは、アニオン開始剤は、Hawley's Condensed Chemical Dictionary, (13th Ed. 1997)に報告されている、IUPACの新しい表記に従う、周期表の第1族〜第2族の少なくとも1種の元素を含む。第1族及び第2族の元素は、通常、それぞれアルカリ金属及びアルカリ土類金属と呼ばれている。より好ましくは、アニオン開始剤はリチウムを含む。
【0026】
アニオン開始剤の例としては、特に制限されないが、n−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム開始剤、アレーニルリチウム開始剤、アレーニルナトリウム開始剤、N−リチウムジヒドロ−カーボンアミド、アミノアルキルリチウム、及びアルキルスズリチウムが挙げられる。他の有用な開始剤としては、N−リチオヘキサメチレンイミド、N−リチオピロリジニド、及びN−リチオドデカメチレンイミドに加えて、置換アルジミン及び置換ケチミンのトリアルキルリチウム付加物、置換第2級アミンのN−リチオ塩などの有機リチウム化合物、並びに硫黄含有ヘテロ環などの有機硫黄化合物が挙げられる。また、開始剤の例は、米国特許第5,332,810号、米国特許第5,329,005号、米国特許第5,578,542号、米国特許第5,393,721号、米国特許第5,698,646号、米国特許第5,491,230号、米国特許第5,521,309号、米国特許第5,496,940号、米国特許第5,574,109号、及び米国特許第5,786,441号にも記載されており、その内容を本願明細書に引用して援用する。好ましくは、アニオン重合を配位触媒に使用するものなどのランタニド化合物の不存在下で行う。
【0027】
アニオン重合を行うのに使用される開始剤の量は、望ましいポリマーの性質により大きく変動する。一実施態様において、100gのモノマー当たり約0.1〜約100mmolの開始剤を使用することが好ましく、100gのモノマー当たり約0.33〜約10mmolの開始剤を使用することがより好ましい。
【0028】
アニオン重合は、典型的には、テトラヒドロフラン(THF)などの極性溶媒内、又は種々の環状及び非環式のヘキサン、ヘプタン、オクタン、ペンタン、それらのアルキル化誘導体、及びそれらの混合物、並びにベンゼンなどの非極性炭化水素内で行われる。
【0029】
共重合においてランダム化を促進し、ビニル含量を調整するためには、極性コーディネーター(polar coordinator)を重合成分に添加してもよい。量は、リチウムの当量当たり0当量から90当量以上までの間である。その量は、望ましいビニルの量、使用されるスチレンのレベル及び重合温度に加えて、使用される具体的な極性コーディネーター(調整剤)の性質に左右される。適した重合調整剤として、例えば、望ましいミクロ構造とコモノマー単位のランダム化をもたらす、エーテル又はアミンが挙げられる。
【0030】
極性コーディネーターとして有用である化合物としては、酸素または窒素のヘテロ原子を有するもの、及び非結合電子対を有するものが挙げられる。例として、モノ及びオリゴアルキレングリコールのジアルキルエーテル;“クラウン”エーテル;テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などの第3級アミン;直線状のTHFオリゴマーなどが挙げられる。極性コーディネーターとして有用である化合物の具体例としては、テトラヒドロフラン(THF)、2,2−ビス(2'−テトラヒドロフリル)プロパンなどの直線状及び環状のオリゴマーのオキソラニルアルカン類、ジピペリジルエタン、ジピペリジルメタン、ヘキサメチルホスホルアミド、N−N'−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、トリブチルアミンなどが挙げられる。直線状及び環状のオリゴマーのオキソラニルアルカン調整剤は、米国特許第4,429,091号に記載されており、その内容を本願明細書に引用して援用する。
【0031】
アニオン重合したリビング・ポリマーを、バッチ法又は連続法のいずれかによって製造することができる。バッチ重合は、モノマーと通常のアルカン溶媒との混合物を適した反応容器に装入し、次いで、極性コーディネーター(使用する場合)と開始剤化合物を添加することによって開始される。反応物を、約20℃〜約200℃の温度に加熱し、約0.1〜約24時間重合を進行させる。この反応によって、反応性末端又はリビング末端を有する反応性ポリマーが得られる。好ましくは、少なくとも約30%のポリマー分子がリビング末端を含有する。より好ましくは、少なくとも約50%のポリマー分子がリビング末端を含有する。
【0032】
連続重合は、モノマー、開始剤及び溶媒を適した反応容器に同時に装入することによって開始される。その後、適切な滞留時間経過後に生成物を移し、反応物を補充する連続手順を行う。
【0033】
一実施態様において、末端官能化ポリマーを生成する反応は、X’官能化剤とリビングポリマーとを単に混合することによって達成することができる。好ましい実施態様において、官能化剤をほぼ完全なモノマーの転換を示すピーク重合温度が見られた時点で、官能化剤を加える。リビング末端は自己停止することができるので、ピーク重合温度の約25〜35分の間内に官能化剤を添加することが特に好ましい。
【0034】
リビングポリマーを通常は溶媒又は希釈液内でX’と接触させる。溶媒は、好ましくはポリマー及びX’の両方が可溶であるものである。一実施態様において、反応は重合を生じさせる同様の媒体内で発生することができる。
【0035】
X’官能化剤の量は特に制限されないが、官能化剤及び望ましい官能化の量に応じて広く変動する。一実施態様において、開始剤の当量当たり約0.3〜約1.1当量の官能化剤を使用するのが好ましく、開始剤の当量当たり約0.4〜約1.0当量の官能化剤を使用するのがより好ましく、開始剤の当量当たり約0.5〜約0.9当量の官能化剤を使用するのがさらにより好ましい。これらの数はシステムに添加される開始剤の量を基準にしており、ポリマーと結び付いた開始剤の量を反映してもよいし、反映しなくてもよいことが理解されるだろう。
【0036】
好ましくは、少なくとも約40%のポリマー分子がX’官能化剤で官能化されている。さらにより好ましくは、少なくとも約50%のポリマー分子がX’官能化剤で官能化されている。
【0037】
任意選択的には、逐次的に官能化したポリマーは、鎖を伸張する基を含んでもよい。一実施態様において、鎖が伸張されたX官能化ポリマーは、X官能化ポリマーの反応性部位*と鎖伸張剤とを反応させて、下記式:
【化6】


(式中、




X、mは上記の通りであり、Zはヒドロカルビレン基である)で例示することができる鎖が伸張されたポリマーの末端を形成することによって製造される。
【0038】
一実施態様において、鎖が伸張された官能化ポリマーは、X官能化ポリマーの反応性部位*とアクリレートモノマー、アクリロニトリルモノマー、又はアクリルアミドモノマー、又は反応性部位*との反応により重合するその他のモノマーと反応させて、鎖が伸張したポリマーの末端を形成することによって製造される。
【0039】
反応性部位*を好ましくは官能化剤Y’と反応させて逐次的に官能化したポリマーを製造する。Y’官能化剤として有用な化合物としては、反応性部位による求核的付加又は置換を受けて、下記式:
【化7】


(式中、




X及びmは上記の通りであり、Zは結合又は鎖を伸張する基であり、Yは*とY’との間の反応の残基であり、nは1〜約50の整数である)
で表すことができる逐次的に停止させたポリマーを形成する求電子性化合物が挙げられる。Yは好ましくはカーボンブラック及び/又はシリカ充填剤と加硫したゴム処方物内で反応するか、又は相互作用する少なくとも1つの部位を含む。一実施態様において、Yは、さらに、選択的に反応性である、すなわち更なるY’官能化剤又はモノマーと反応するが、好ましくは共役ジエンもしくは芳香族ビニルモノマーと反応しないか、又は少なくとも実質的に反応しない少なくとも1つの求電子部位又は求核部位を含む。好ましくは部位と反応する有用なモノマーとしては、アクリレート類、メタクリレート類、アクリルアミド類、及びスチレン類が挙げられる。
【0040】
適したY’官能化化合物の例としては、シラン類、アルコキシシラン類、アルコキシアルキルシラン類、アルコキシハロアルキルシラン類、イソシアナト・アルコキシシラン類、エポキシ生成試薬、置換酸塩化物類、置換イソシアネート類、置換ベンジル型ハロゲン化物類、置換アリル型ハロゲン化物類、置換α,β−不飽和ケトン類、α,β−不飽和エステル類、α,β−不飽和アミド類、及びビス(ジアルキルアミノ)ホスホリルクロライド類が挙げられる。他の有用なY’化合物としては、官能化アクリレート類、メタクリレート類、及びスチレン類並びにアクリルアミド類が挙げられる。
【0041】
本発明の停止剤として有用なイソシアナト・アルコキシシラン化合物としては、下記一般式:
【化8】


(式中、Aは酸素又は硫黄であり、Rは二価の有機基であり、R及びRはそれぞれ一価の有機基であり、yは0〜2の整数である)で表される化合物が挙げられる。Aが硫黄である場合、上記式は、イソチオシアナト・アルコキシシラン化合物を表す。したがって、「イソシアナト・アルコキシシラン」とは、イソチオシアナト・アルコキシシラン化合物も意味する。イソシアナト・アルコキシシラン化合物は、例えば米国特許第4,146,585号に記載されており、その内容を本願明細書に引用して援用する。
【0042】
二価の有機基は、好ましくは、特に制限されないが、アルキレン基、シクロアルキレン基、置換アルキレン基、置換シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、置換アルケニレン基、置換シクロアルケニレン基、アリーレン基、置換アリーレン基などのヒドロカルビレン基であり、各基は好ましくは1個の炭素原子、又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子から最大約20個までの炭素原子を含有する。これらのヒドロカルビレン基は、特に制限されないが、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子及びリン原子などのヘテロ原子を含んでもよい。
【0043】
一価の有機基は、好ましくは、特に制限されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリール基、及びアルキニル基などのヒドロカルビル基であり、各基は好ましくは1個の炭素原子、又は基を形成するのに適切な最小数の炭素原子から最大20個までの炭素原子を含有する。これらのヒドロカルビル基は、特に制限されないが、窒素原子、酸素原子、珪素原子、硫黄原子及びリン原子などのヘテロ原子を含んでもよい。好ましい一価の有機基は、好ましくはリビングポリマーと反応しない1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0044】
特に好ましいイソシアナト・アルコキシシラン化合物としては、ガンマ−イソシアナトプロピル−トリエトキシシラン、ガンマ−イソチオシアナトプロピル−トリエトキシシラン、ガンマ−イソシアナトプロピル−トリメトキシシラン、及びガンマ−イソチオシアナトプロピル−トリメトキシシランが挙げられる。市販のイソシアナト・アルコキシシラン化合物としては、例えば、商標名Silquest A-Link 35の下市販されている(General Electric OSi Corp.)ガンマ−イソシアナトプロピル−トリメトキシシランがある。
【0045】
好ましいエポキシ生成試薬としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、並びに多エポキシ化、高ビニルのポリもしくはオリゴブタジエン及びポリもしくはオリゴイソプレンが挙げられる。
【0046】
他の好ましいY’官能化剤としては、トリエトキシシリルプロピルクロライド、ジエトキシメチルシリルプロピルクロライド、及びN,N−ジエチルアミノカルボニルクロライドが挙げられる。
【0047】
また、適したY’官能化剤としては、リビング末端を鎖の一端に有し、鎖の他端に官能基を含む短鎖リビングポリマーも挙げられる。官能基はカーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用する。本実施態様において、逐次的官能化の第2段階は、Y’のリビングポリマーの末端と反応性の求電子部位*とを反応させて、一般式:
【化9】


(式中、




X、Z及びmは上記の通りであり、Qは短鎖リビングポリマーのバックボーンからもたらされるスペーサーであり、Tはカーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用する官能基である)で表すことができる逐次的に停止させたポリマーを形成することを有する。短鎖とは、約5,000Mn以下、好ましくは約3,000Mn以下のポリマー鎖を指す。
【0048】
概して、Y’官能化剤を、充分な反応期間を経た後、X官能化ポリマーの反応混合物に添加する。好ましくは、Y’官能化剤を、通常は前の反応物、すなわちX’官能化剤又は鎖伸張剤をポリマーに添加する時から約1時間以内に添加する。任意選択的には、必要に応じてこのことを遅らせることができる。より好ましくは、Y’官能化剤を、前の反応物を添加する時から約30分以内に添加する。
【0049】
リビングポリマーを通常はY’と溶媒又は希釈液内で接触させる。好ましくは、溶媒はポリマー及びY’の両方が可溶であるものである。一実施態様において、重合を生じさせる同様の媒体内で反応を生じさせることができる。
【0050】
Y’官能化剤の量は特に制限されないが、官能化剤及び望ましい官能化の量に応じて広く変動する。一実施態様において、開始剤の当量当たり約0.3〜約1当量のY’官能化剤を使用するのが好ましく、開始剤の当量当たり約0.4〜約0.9当量の官能化剤を使用するのがより好ましく、開始剤の当量当たり約0.5〜約0.8当量の官能化剤を使用するのがさらにより好ましい。これらの数はシステムに添加される開始剤の量を基準としており、ポリマーと結び付いた開始剤の量を反映してもよいし、反映しなくてもよいことが理解されるだろう。
【0051】
好ましくは、少なくとも約25%のX官能化ポリマー分子がY’官能化剤で官能化される。より好ましくは、少なくとも約40%のX官能化ポリマー分子がY’官能化剤で官能化される。さらにより好ましくは、少なくとも約50%のX官能化ポリマー分子がY’官能化剤で官能化される。
【0052】
本発明の官能化方法によって、X官能化ポリマー分子、X−Y−官能化ポリマー分子、及びX又はYで官能化されていないポリマー分子を含むポリマー分子の混合物がもたらされることが理解される。これらの種類のポリマー分子のそれぞれの相対量を、例えばポリマーに対し使用する官能化剤の量及び反応条件を調整することによって望ましいレベルとなるように調整することができる。
【0053】
一実施態様において、官能化開始剤をアニオン重合したリビングポリマーを製造するのに使用し、逐次的に官能化したポリマーは、下記一般式:
【化10】


(式中、




X、Y、Z、m、及びnは上記の通りであり、initは官能化開始剤由来の官能基を有する残基である)で表すことができる。好ましくは、initは、ゴムもしくはゴム充填剤と反応するか、もしくは相互作用するか、又はそうでなければ充填剤を入れたゴム組成物もしくは加硫ゴムに望ましい影響を与える官能基である。ゴムもしくはゴム充填剤と反応するか、もしくは相互作用するか、又はそうでなければ充填剤を入れたゴム組成物もしくは加硫ゴムに望ましい影響を与えるそれらの基又は置換基は既知であり、該基又は置換基としては、トリアルキルスズ置換基、環状アミン基、又は硫黄含有複素環が挙げられる。トリアルキルスズ置換基の例は米国特許第5,268,439号に開示されており、その内容を本願明細書に引用して援用する。環状アミン基の例は、米国特許第6,080,853号、第5,786,448号、第6,025,450号及び第6,046,288号に開示されており、その内容を本願明細書引用して援用する。硫黄含有複素環の例は、国際公開第2004/020475号パンフレットに開示されており、その内容を本願明細書に引用して援用する。
【0054】
官能化ポリマーの形成後、加工助剤、及びオイルなどの他の任意の添加剤を任意選択的にポリマー・セメントに添加することができる。次に、官能化ポリマーと他の任意の成分を溶媒から分離し、好ましくは乾燥する。脱溶媒(desolventization)及び乾燥に関する従来の方法を使用してもよい。一実施態様において、官能化ポリマーを、蒸気脱溶媒(steam desolventization)又は溶媒の熱水凝固に続いて濾過することによって溶媒から分離してもよい。残留溶媒は、オーブン乾燥又はドラム乾燥などの従来の乾燥技術を用いて除去してもよい。別の方法として、セメントを直接ドラム乾燥しても良い。
【0055】
好ましい実施態様において、官能化剤X’はNMPであり、官能化剤Y’はガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランであり、Zは結合であり、mは1であり、nは1であり、逐次的に停止させたポリマーは、下記一般式:
【化11】


で表されると考えられる。
【0056】
別の好ましい実施態様において、X’はNMPであり、Y’はエピクロロヒドリンであり、Zは結合であり、mは1であり、nは1であり、逐次的に停止させたポリマーは、下記一般式:
【化12】


で表されると考えられる。
【0057】
さらに別の好ましい実施態様において、X’はDMIであり、Y’はガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランであり、Zは結合であり、mは1であり、nは1であり、逐次的に停止させたポリマーは、下記一般式:
【化13】


で表されると考えられる。
【0058】
さらに別の好ましい実施態様において、X’はDMIであり、Y’はエピクロロヒドリンであり、Zは結合であり、mは1であり、nは1であり、逐次的に停止させたポリマーは、下記一般式:
【化14】


で表されると考えられる。
【0059】
本発明の官能化ポリマーは、特にタイヤ構成部材を製造するのに有用である。これらのタイヤ構成部材は、本発明の官能化ポリマーを単独で使用することによって、又は他のゴム状ポリマーと共に使用することによって製造することができる。好ましい実施態様において、X官能化ポリマー分子、X−Y−官能化ポリマー分子、及び任意選択的に他のゴム状ポリマーを含むポリマーの混合物が混合物中に存在する。存在するX−官能化ポリマー分子及びX−Y−官能化ポリマー分子の量は広く変動してもよいが、好ましくは、タイヤ処方中のX官能化ポリマー分子とX−Y−官能化ポリマー分子との比は約0.1:1〜約5:1であり、より好ましくは0.2:1〜約4:1であり、さらにより好ましくは約0.5:1〜約3:1であり、さらにより好ましくは約0.8:1〜約1.5:1である。
【0060】
使用可能な他のゴム状エラストマーとしては、天然エラストマー及び合成エラストマーが挙げられる。合成エラストマーは、典型的には、共役ジエンモノマーの重合により得られる。これらの共役ジエンモノマーを、芳香族ビニルモノマーなどの他のモノマーと共重合させてもよい。他のゴム状エラストマーは、エチレンと、1種又は複数のα−オレフィン、及び任意選択的に1種又は複数のジエンモノマーとを重合させることにより得ても良い。
【0061】
有用なゴム状エラストマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソブチレン−イソプレン共重合体、ネオプレン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、及びスチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体、イソプレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、及びそれらの混合物が挙げられる。これらのエラストマーは、直線状、分岐状、及び星型を含めた無数の高分子構造を有する。ゴムの配合に通常使用される他の成分も添加してもよい。
【0062】
ゴム組成物は、無機充填剤及び有機充填剤などの充填剤を含んでもよい。有機充填剤としては、カーボンブラック及びスターチが挙げられる。無機充填剤としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレイ(水和した珪酸アルミニウム)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0063】
多数のゴム加硫剤を使用することができ、硫黄又は過酸化物に基づく加硫システムが挙げられる。加硫剤は、20 Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,365-468(3rd Ed.1982)、特に、Vulcanization Agents and Auxiliary Materials,390-402、及びA.Y. Coran,Vulcanization in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,(2nd Ed. 1989)に記載されており、その内容を本願明細書に引用して援用する。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用してもよい。
【0064】
使用可能な他の成分として、加硫促進剤、オイル、ワックス、スコーチ抑制剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、補強樹脂、ステアリン酸などの脂肪酸、素練促進剤、及び1種又は複数の更なるゴムが挙げられる。
【0065】
これらのストックは、トレッド、サブトレッド(subtread)、ブラック・サイドウォール、ボディ・プライ・スキン(body ply skin)、ビードフィラーなどのタイヤ構成部材を形成するのに有用である。好ましくは、官能化ポリマーはトレッド処方物に使用され、このトレッド処方物は、処方物内のゴムの総量を基準にして約10〜約100質量%の官能化ポリマーを含む。より好ましくは、トレッド処方物は、処方物内のゴムの総量を基準にして約35〜約90質量%、さらにより好ましくは約50〜80質量%の官能化ポリマーを含む。加硫可能な組成物の製造、並びにタイヤの構築及び加硫は、本発明の実施の影響を受けない。
【0066】
好ましくは、加硫可能なゴム組成物は、ゴム成分と充填剤を含む初期のマスターバッチを形成することによって製造される。この初期のマスターバッチを、開始温度を約25℃〜約125℃とし、吐出し温度を約135℃〜約180℃として混合する。早期加硫(スコーチとも呼ばれる)を防ぐために、この初期のマスターバッチには概していずれの加硫剤も除外されている。初期のマスターバッチを加工した時点で、最終的な混合段階において低温で初期のマスターバッチに加硫剤を導入し、混合し、このことによって、加硫プロセスが開始されることはない。任意選択的に、再混練(remill)とも呼ばれる更なる混合段階を、マスターバッチの混合段階と最終的な混合段階の間に行うことができる。ゴム配合技術と、それに使用される添加剤は一般に既知であり、Stephens,The Compounding and Vulcanization of Rubber,in Rubber Technology(2nd Ed. 1973)に開示されている。シリカ充填タイヤ処方物に適用可能な混合条件及び手法も既知で、米国特許第5,227,425号、第5,719,207号、第5,717,022号、欧州特許第890,606号に記載されており、その内容を本願明細書に引用して援用する。
【0067】
加硫可能なゴム組成物をタイヤの製造に使用する場合、標準のゴムの型作り技術、標準の成型技術、及び標準の加硫技術を含めた通常のタイヤ製造技術に従って、これらの組成物をタイヤ構成部材に加工することができる。通常は、型内で加硫可能な組成物を加熱することによって加硫を行い、例えば、約140℃〜約180℃に加熱する。加硫又は架橋したゴム組成物は加硫ゴムと呼ばれ、一般に、熱硬化性である三次元の高分子ネットワークを含むものである。加工助剤及び充填剤などの他の成分は、一般に、加硫されたネットワークの全体に均一に分散している。空気タイヤを、米国特許第5,866,171号、第5,876,527号、第5,931,211号、及び第5,971,046号に記載されている通りに製造することができ、その内容を本願明細書に引用して援用する。
【0068】
特定の実施態様において、本発明の官能化ポリマーによって、有利な特性のバランスを有するカーボンブラック充填加硫ゴム、カーボンブラック/シリカ充填加硫ゴム、及びシリカ充填加硫ゴムが提供される。好ましい加硫ゴムでは、ヒステリシスロスが低減し、摩耗が減り、バウンドラバーが増加し、湿潤牽引力が向上している。本発明の官能化ポリマーを用いて製造した充填加硫ゴムでは、いくつかの実施態様においてペイン効果の低減も示す。ムーニー粘度で示されるように、ポリマーの優れた加工性も維持することができる。これらの官能化ポリマーは、リビングポリマーを停止させることによって容易に製造できる。
【0069】
本発明の実施を示すために、下記の実施例を製造し、試験したが、これらの実施例は本発明の範囲を制限するものではない。本発明は特許請求の範囲によって規定されるものである。
【実施例】
【0070】
(例1)
タービン攪拌器ブレードを備えた18.9Lの反応器に、4.8kgのヘキサン、1.22kg(33重量%)のスチレン・ヘキサン溶液、7.39kg(22.1重量%)の1,3−ブタジエン・ヘキサン溶液を加えた。反応器に、11mLの1.6Mブチルリチウム・ヘキサン溶液と、3.83mLの1.6M 2,2’−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン・ヘキサン溶液を装入し、バッチの温度を50〜約58℃に調整した。約45分後、バッチを32℃に冷却し、一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした800mL瓶に移した。次に、瓶の内容物を、1当量のイソプロパノールで停止し、凝固させ、ドラム乾燥した。このベース・ポリマーのNMR分析によって、スチレン含量が約20%、ブロックスチレン含量が約4%、1,2−立体配置のブタジエンが約54%であることが示された。
【0071】
(例2)
例1で製造した第2の一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これにブチルリチウムの当量当たり1当量の1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)を添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。次に、瓶の内容物を1当量のイソプロパノールと混合し、凝固させ、ドラム乾燥した。
【0072】
(例3)
例1で製造した第3の一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これにブチルリチウムの当量当たり1当量の1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)を添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。ブチルリチウムの当量当たり1当量のイソシアナトプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A-Link 35)を添加し、瓶の内容物を約50℃で約30分間さらに攪拌した。次に、瓶の内容物を約2当量のソルビタントリオレエート(STO)とを混合し、凝固させ、ドラム乾燥した。
【0073】
(例4)
例1で製造した第4の一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これにブチルリチウムの当量当たり1当量の1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)を添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。ブチルリチウムの当量当たり1当量のエピクロロヒドリンを添加し、瓶の内容物を約50℃で約30分間さらに攪拌した。次に、瓶の内容物を凝固させ、ドラム乾燥した。例1〜4のポリマーの特性は表1に記載されている通りである。
【0074】
【表1】

【0075】
(例5〜8)
例1〜4のゴムをカーボンブラックタイヤ処方物に使用し、それぞれ例5〜8と名付けた。処方を表2に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
各カーボンブラックゴム配合物を「初期」及び「最終」と名付けた2段階で製造した。初期部分では、例1、2、3又は4由来のポリマーと、カーボンブラック、オゾン劣化防止剤、ステアリン酸、ワックス、アロマチックオイル、酸化亜鉛とを、60rpm、133℃で操作する65gのバンバリーミキサー内で混合した。詳細には、ポリマーを最初にミキサー内に入れ、0.5分後に、ステアリン酸以外の残りの成分を加えた。次に、3分後にステアリン酸を添加した。前記初期混合物を5〜6分間混合した。混合の終わりの時点では、温度が約165℃であった。サンプルを、60℃の温度で操作するミルに移し、シート状に成型し、続いて室温に冷却した。
【0078】
初期混合物と加硫材料をミキサーに同時に添加することによって最終部分を混合した。初期のミキサーの温度は65℃であり、ミキサーを60rpmで作動させた。材料の温度が100〜105℃となった2.25分後に、最終の材料をミキサーから取り出した。
【0079】
各ゴム処方物の試験片を、未加硫のシート(約2.5mm〜3.81mmの厚さ)から必要な塊を切抜くことによって製造し、閉キャビティ・モールド(closed cavity mold)内で、171℃で15分間、圧力下で加硫した。次に、試験片について種々の物理試験を行い、これらの試験結果を表3に示す。ムーニー粘度の測定は、未加硫ゴムで、130℃で、大型のローターを用いて行った。ムーニー粘度を、ローターが4分間回転した際のトルクとして示す。サンプルをローターが動き始める前の1分間、130℃で予熱する。300%モデュラス、引張強度は、ASTM D 412(1998)Method Bに従って測定した。動力学的特性をRDA(Rheometrics Dynamic Analyzer)を用いて決定した。歪み掃引実験を10ヘルツ(Hz)の周波数で、0〜50℃の温度で、0%〜10%の歪み掃引で行った。ΔGは、14.75%のG'から0.25%のG'への変化である。ペイン効果(ΔG')のデータは、歪み掃引実験より得られた。温度掃引実験を、31.4rad/secの周波数で、-100℃〜-10℃の範囲内の温度では0.5%の歪みを、-10℃〜100℃の範囲内の温度では2%の歪みを用いて行った。
【0080】
いくつかの相互作用を介して充填剤に結合したゴムのパーセンテージの測定値であるバウンドラバーは、室温でトルエンを用いて溶媒抽出することによって決定した。より詳細には、各未加硫ゴム処方物の試験片を3日間トルエン中に静置した。溶媒を除去し、残留物を乾燥し、秤量した。次に、バウンドラバーのパーセンテージを、下記式:
%バウンドラバー=(100(W−F))/R
(式中、Wは、乾燥した残留物の重量であり、Fは、オリジナル・サンプルにおける充填剤及びその他の溶媒不溶物の重量であり、Rは、オリジナル・サンプルにおけるゴムの重量である。)に従って決定した。
【0081】
【表3】

【0082】
(例9〜12)
例1〜4のゴムをカーボンブラック/シリカタイヤ処方物に使用し、それぞれ例9〜12と名付けた。処方を表4に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
各カーボンブラック/シリカゴム配合物を、「初期」、「再混練(Remill)」、「最終」と名づけた3段階で製造した。初期の部分では、例1、2、3又は4由来のポリマーと、カーボンブラック、シリカ、酸化防止剤、ステアリン酸、アロマチックオイルとを、60rpm、133℃で操作する65gのバンバリーミキサー内で混合した。詳細には、ポリマーを最初にミキサー内に入れ、0.5分後に、ステアリン酸以外の残りの成分を加えた。次に、3分後にステアリン酸を添加した。前記初期の部分を5〜6分間混合した。混合の終わりの時点では、温度が約165℃であった。サンプルを、約95℃以下になるように冷却し、再混練ミキサーに移した。
【0085】
再混練段階では、初期の処方物とシラン遮蔽剤(silane shielding agent)を同時に約60rpmで操作するミキサーに添加した。本例で使用した遮蔽剤(shielding agent)はEF(DiSS)-60であり、Rhein Chemie Corp.から入手可能である。ミキサーの開始温度は約94℃であった。約3分後、再混練材料をミキサーから取り出し、そのとき、材料の温度は135℃〜150℃であった。
【0086】
再混練の部分と、酸化亜鉛と、加硫材料をミキサーに同時に添加することによって最終の部分を混合した。最初のミキサーの温度は65℃であり、ミキサーは60rpmで操作した。2.25分後に、最終の材料をミキサーから取り出し、このときの材料の温度は100〜105℃であった。上記の例5〜8と同様に試験片を準備し、該試験片の種々の物理試験を行った。これらの試験の結果を表5に示す。
【0087】
【表5】

【0088】
(例13)
タービン攪拌器ブレードを備えた19Lの反応器に、5.2kgのヘキサン、1.2kg(34重量%)のスチレン・ヘキサン溶液、7.1kg(22.5重量%)の1,3−ブタジエン・ヘキサン溶液を加えた。反応器に、18.6mmolのブチルリチウムと、6.1mmolの極性調整剤を装入し、バッチの温度を65〜約70℃に調整した。約1時間30分後、バッチを32℃に冷却し、一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした800mL瓶に移した。次に、瓶の内容物を、ブチルリチウムの当量当たり1当量のイソプロパノールで停止し、凝固させ、ドラム乾燥した。
【0089】
(例14)
例13の通りにリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを製造し、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これにブチルリチウムの当量当たり1当量の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPMOS)を添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。次に、一定量のGPMOS停止ポリマーを1当量のイソプロパノールと混合し、凝固させ、ドラム乾燥した。
【0090】
(例15〜16)
タービン攪拌器ブレードを備えた19Lの反応器に、7.0kgのヘキサンと7.0kg(21重量%)の1,3−ブタジエン・ヘキサン溶液を加えた。反応器に、76mmolのトリブチルスズリチウムと、25mmolの極性調整剤を装入し、バッチの温度を55〜約60℃に調整した。約1時間30分後、バッチを32℃に冷却した。一定量のトリブチルスズブタジエンリチウムセメントを、例14で製造した一定量のGPMOS停止ポリマーを入れ、密閉し、かつ窒素パージした800mL瓶に移した。移したトリブチルスズブタジエンリチウムの量は、例15ではGPMOS停止ポリマー当たり1当量であり、例16では、GPMOS停止ポリマー当たり2当量であった。それぞれの瓶の内容物を、50℃で1時間攪拌し、分離し、ドラム乾燥した。
【0091】
例13〜16のポリマーの特性は表6に記載されている通りである。
【0092】
【表6】

【0093】
(例17〜20)
例13〜16のゴムを、例5〜8と同様のカーボンブラックタイヤ処方物に使用した。詳細には、例13のゴムを例17に使用し、例14のゴムを例18に使用し、例15のゴムを例19に使用し、例16のゴムを例20に使用した。
【0094】
上記の例5〜8と同様にして試験片を用意し、試験片の種々の物理試験を行った。これらの試験結果を表7に示す。
【0095】
【表7】

【0096】
(例21〜24)
例13〜16のゴムを、例21〜24のカーボンブラック/シリカタイヤ処方物にそれぞれ使用した。処方物を上記の例9〜12と同様に混合した。
【0097】
上記の例9〜12と同様にして試験片を用意し、試験片の種々の物理試験を行った。これらの試験結果を表8に示す。
【0098】
【表8】

【0099】
(例25)
リビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを例1と同様にして製造し、その一定量を1当量のイソプロパノールで停止し、凝固し、ドラム乾燥した。ポリマーのTは約-31.1℃であった。
【0100】
(例26)
例25で製造した第2の一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これにブチルリチウムの当量当たり0.9当量の1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)を添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。次に、瓶の内容物を1当量のイソプロパノールと混合し、凝固させ、ドラム乾燥した。
【0101】
(例27)
例25で製造した第3の一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これにブチルリチウムの当量当たり0.9当量の1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)を添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。ブチルリチウムの当量当たり約0.9当量のトリエトキシシリルプロピルクロライドを添加し、瓶の内容物を約50℃で約30分間さらに攪拌した。次に、瓶の内容物を約2当量のソルビタントリオレエート(STO)と混合し、凝固させ、ドラム乾燥した。
【0102】
(例28)
例25で製造した第4の一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これにブチルリチウムの当量当たり0.9当量の1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)を添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。ブチルリチウムの当量当たり約0.9当量のジエトキシメチルシリルプロピルクロライドを添加し、瓶の内容物を約50℃で約30分間さらに攪拌した。次に、瓶の内容物を凝固させ、ドラム乾燥した。
【0103】
(例29)
例25で製造した第5の一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これに0.9当量の約5000の平均分子量Mを有するモノグリシジルエーテルで停止したジメチルシロキサン重合体をを添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。ブチルリチウムの当量当たり約0.9当量のジエチルカルバミルクロライドを添加し、瓶の内容物を約50℃で約30分間さらに攪拌した。次に、瓶の内容物を凝固させ、ドラム乾燥した。
【0104】
(例30)
例25で製造した第6の一定量のリビングスチレン−ブタジエン共重合体セメントを、密閉し、窒素パージした瓶に移し、これに0.9当量の約5000の平均分子量Mを有するモノグリシジルエーテルで停止したジメチルシロキサン重合体をを添加した。瓶の内容物を約50℃で約30分間攪拌した。ブチルリチウムの当量当たり約0.9当量の1−(3−ブロモプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを添加し、瓶の内容物を約50℃で約30分間さらに攪拌した。次に、瓶の内容物を凝固させ、ドラム乾燥した。例25〜例30のポリマーの特性は表9に記載されている通りである。
【0105】
【表9】

【0106】
(例31〜36)
例25〜30のゴムを、例31〜36のカーボンブラックタイヤ処方物にそれぞれ使用した。処方物を上記の例5〜8と同様に混合した。上記の例5〜8と同様にして試験片を用意し、試験片の種々の物理試験を行った。これらの試験結果を表10に示す。
【0107】
【表10】

【0108】
(例37〜41)
例25〜29のゴムを、例37〜41のカーボンブラック/シリカタイヤ処方物にそれぞれ使用した。処方物を上記の例9〜12と同様に混合した。
【0109】
上記の例9〜12と同様にして試験片を用意し、試験片の種々の物理試験を行った。これらの試験結果を表11に示す。
【0110】
【表11】

【0111】
本発明の範囲及び精神に逸脱することなく、種々の変更及び修正を行うことは当業者に明らかである。本発明は、本願明細書に記載の実施態様に制限されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逐次的に官能化したポリマーを製造する方法であって、該方法は、アニオン重合したリビングポリマーと官能化剤X’とを反応させて、カーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用し、かつ反応性の求電子部位又は求核部位を含む末端官能化ポリマーを製造することと、
反応性部位と官能化剤Y’とを反応させて、カーボンブラック及びシリカと反応するか、又は相互作用する逐次的に官能化したポリマーを製造することとを有する逐次的に官能化したポリマーを製造する方法。
【請求項2】
少なくとも1種の加硫可能なゴムと充填剤とを含むゴム処方物を加硫することによって製造された加硫ゴムであって、少なくとも1種の加硫可能なゴムは、
アニオン重合したリビングポリマーと官能化剤X’とを反応させて、カーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用し、かつ反応性の求電子部位又は求核部位を含む末端官能化ポリマーを製造し、
反応性部位と官能化剤Y’とを反応させて、カーボンブラック及びシリカと反応するか、又は相互作用する逐次的に官能化したポリマーを製造することによって製造される逐次的に官能化したポリマーである加硫ゴム。
【請求項3】
下記式:
【化1】






はアニオン重合したポリマー部分であり、Xはカーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用する第1の官能基を含み、Yはカーボンブラック、シリカもしくはその両方と反応するか、又は相互作用する第2の官能基を含み、Zは結合又は鎖を伸張する基であり、m及びnはそれぞれ1〜約50の整数であり、但しXがシリカとではなくカーボンブラックと反応するか、又は相互作用する場合、Yがシリカと反応するか、又は相互作用し、Xがカーボンブラックとではなくシリカと反応するか、又は相互作用する場合、Yがカーボンブラックと反応するか、又は相互作用する)によって定義される官能化ポリマー。
【請求項4】
アニオン重合したリビングポリマーがスチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体である請求項1記載の方法、又は請求項2記載の加硫ゴム。
【請求項5】
X’が、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリジノン、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ベンゾニトリル、置換ニトリル、置換アジリジン、チアゾリン、ジアルキルアミノベンズアルデヒド、ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、置換エポキシ化合物、N−メチルカプロラクタム、置換シッフ塩基、置換スチリルメチル誘導体、ビニルピリジン、ポリビニルピリジンの短ブロック、ポリスルホキシド、ポリ(カルボジイミド)、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(アミノアルキル(メタ)アクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン・オキシド、ブチルグリシジルエーテル、モノグリシジルシロキサン、エポキシド末端基を有するポリシロキサン、ジフェニルエチレン、又は官能化スチレンを含む請求項1記載の方法、又は請求項2記載の加硫ゴム。
【請求項6】
X’が、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−メチルピロリジノン、又はモノグリシジルエーテルで停止させたポリ(ジメチルシロキサン)を含む請求項1記載の方法、又は請求項2記載の加硫ゴム。
【請求項7】
Y’が、シラン、アルコキシシラン、アルコキシアルキルシラン、アルコキシハロアルキルシラン、エポキシ生成試薬、置換酸塩化物、置換イソシアネート、置換ベンジル型ハロゲン化物、置換アリル型ハロゲン化物、置換α,β−不飽和ケトン、α,β−不飽和エステル、α,β−不飽和アミド、又はビス(ジアルキルアミノ)ホスホリルクロライドを含む請求項1記載の方法、又は請求項2記載の加硫ゴム。
【請求項8】
Y’が、ガンマ−イソシアナトプロピル−トリエトキシシラン、ガンマ−イソチオシアナトプロピル−トリエトキシシラン、ガンマ−イソシアナトプロピル−トリメトキシシラン、ガンマ−イソチオシアナトプロピル−トリメトキシシラン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、トリエトキシシリルプロピルクロライド、ジエトキシメチルシリルプロピルクロライド、及びジエチルカルバミルクロライド、1−(3−ブロモプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、あるいは多エポキシ化、高ビニルのポリもしくはオリゴブタジエン又はポリもしくはオリゴイソプレンを含む請求項1記載の方法、又は請求項2記載の加硫ゴム。
【請求項9】
Y’が短鎖ポリマーの基を含む請求項1記載の方法、又は請求項2記載の加硫ゴム。
【請求項10】
さらに、反応性部位と鎖を伸張する基Zとを反応させて、反応性の求電子部位又は求核部位を含む鎖が伸張した官能化ポリマーを形成する工程を有する請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2007−500281(P2007−500281A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533641(P2006−533641)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/018286
【国際公開番号】WO2004/111094
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】