説明

通信ケーブル

【課題】径を増加させずに、材料の使用量を抑えて、UTPケーブル同士間のクロストークを低減する通信ケーブルを提供する。
【解決手段】導体遮蔽テープ7がUTPケーブル4a,4b間から、UTPケーブル4b内側、UTPケーブル4b,4c間、UTPケーブル4c外側、UTPケーブル4c,4d間、UTPケーブル4d内側、UTPケーブル4d,4e間、UTPケーブル4e外側、UTPケーブル4e,4f間、UTPケーブル4f内側、UTPケーブル4f,4a間を経て、UTPケーブル4a外側まで巻かれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、径を増加させずに、材料の使用量を抑えて、UTPケーブル同士間のクロストークを低減する通信ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスにLAN(Local Area Network)を導入することは標準的になった。LANにおいては情報を伝送する通信ケーブルの多くは比較的簡素な対撚り線である。
【0003】
図4に示したLANの配線システムは、対撚り線を使用してデータ系と電話系を統括した配線システムである。ビル全体の配線システムの中心にMDF(Main Distribution Frame)41を設置し、階ごとにIDP(Intermediate Distribution Panel)42を設置し、IDP42にはその階に必要な個数のコンセントボックス43、下段のコンセントボックス44を介して個々の端末45まで配線をする。
【0004】
図5にIDPの一例としてモジュラコネクタ型パッチパネルを示す。また。図6にコンセントボックスを示す。
【0005】
LANの配線システムには、4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブル複数本が円形の一括シース内に収容された多対ケーブルが通信ケーブルとして使用される。
【0006】
図7に示されるように、通信ケーブル71に組み込まれるUTPケーブル4は、4対の非シールド対撚り線2を十字形の中心介在72と共に1つのシース3に収容したものである。UTPケーブル4内にある各対の非シールド対撚り線2には、配線作業の便宜のため、異なる着色が施されている。例えば、中心介在72の左上の非シールド対撚り線は青、右上の非シールド対撚り線は緑、右下の非シールド対撚り線は橙、左下の非シールド対撚り線は茶とする。通信ケーブル71は、UTPケーブル4を6本用いて構成された24対ケーブルである。
【0007】
通信ケーブル71内にある複数のUTPケーブル4をX,Y,…というようにUTPケーブル個別名称を付けて識別したとすると、全ての非シールド対撚り線2は、X青、X橙、X緑、X茶、Y青、Y橙、Y緑、Y茶というようにUTPケーブル個別名称と色の組み合わせで識別することができる。
【0008】
従来の通信ケーブル71では、これらX青、X橙、X緑、X茶、Y青、Y橙、Y緑、Y茶等の非シールド対撚り線2は、ケーブル間電力和近端漏話(クロストーク)を防止するために、同じ撚りピッチが存在しないように設計されている。例えば、X青とX橙、X青とY青、X青とY橙、X橙とY橙などは、それぞれ互いに撚りピッチが異なる。しかし、この手法では、従来のCategory6の多対に要求されている特性(10Gbps伝送はできない)、すなわち、図8に示したCAT6要求値であるケーブル間電力和近端漏話が100MHzにおいて−41.1dB以下、250MHzにおいて−35.1dB以下を満足する程度であった。しかし、伝送速度が10GbpsのLANにおける要求値は、ケーブル間電力和近端漏話が100MHzにおいて−62.5dB以下、500MHzにおいて−52dB以下である。
【0009】
図8に示されるように、横軸に周波数、縦軸にケーブル間電力和近端漏話を取ると、伝送速度が10GbpsのLANにおける要求値は、50MHz以下において−67dB以下、50MHz以上において−62.5+15log(周波数/100)dB以下である。図示例では、X緑、X茶、X橙、X橙は、いずれも要求値を満たしている。
【0010】
【特許文献1】特開2003−123554号公報
【特許文献2】特開平11−53958号公報
【特許文献3】特開平11−185541号公報
【特許文献4】特表平9−511359号公報
【特許文献5】実開昭48−037376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
高い周波数では、近接する非シールド対撚り線間のクロストークが大きい。このため、通信帯域が500MHzに広がったLANにおいては、撚りピッチを異ならせた程度ではクロストークを充分に抑圧できない。
【0012】
UTPケーブルのシース内部にシールドを入れてTPケーブルとすると、対撚り線とシールドが接して対撚り線周囲の実効誘電率が上がり、インピーダンスが規定の100Ωより上昇するので、これをキャンセルして100Ωに戻すために、対撚り線を構成する各心線の絶縁体を厚くする必要が生じる。しかし、通信ケーブル用のモジュラーコネクタには、各心線の絶縁体の径が1.02mmという制限があり、従来の絶縁体径が1mmであるから、絶縁体厚をたった0.1mm厚くしただけで制限を超えてしまい、モジュラーコネクタを取り付けることが不可能になる。このように、絶縁体を厚くすることはできないので、UTPケーブルのシースの内側にシールドを入れることはできない。
【0013】
一方、高い周波数では、非シールド対撚り線間の距離を広げることでクロストークを抑えることができる。この原理を用い、UTPケーブルの直径を従来の6.5mmから8mm以上にする方法もある。しかし、この方法では、通信ケーブルの直径が従来の24mmから30mmへ過剰に太くなり、広い敷設スペースを消費するようになる。また、径が太くなることにより、曲げ半径が大きくなり、曲げづらい、曲げスペースが大きいなどのデメリットが生じる。また、径を太くするために材料を多く使用するので、コストが上昇する。
【0014】
同じ通信ケーブル内にあるUTPケーブル同士間のクロストーク(XのいずれかとYのいずれか間のクロストーク)についても、非シールド対撚り線の撚りピッチを異ならせたり、UTPケーブルのシースの内側にシールドを入れたり、UTPケーブルの直径を太くする方法には、上記と同様の問題がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、径を増加させずに、材料の使用量を抑えて、UTPケーブル同士間のクロストークを低減する通信ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTPケーブルの3本以上が円形の一括シース内にその中心を囲む配置で収容された通信ケーブルにおいて、これらUTPケーブルのうち2本以上が導体遮蔽テープで囲まれた閉空間の内部に含まれ、残りの1本以上が閉空間の外部に出るように、かつ 互いに接しているUTPケーブル同士の間には上記導体遮蔽テープが必ず存在するように上記導体遮蔽テープが設けられたものである。
【0017】
また、本発明は、4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTPケーブル6本が円形の一括シース内に中心介在の周囲を囲む配置で収容された通信ケーブルにおいて、導体遮蔽テープが第1UTPケーブルとこれに隣接する第2UTPケーブルとの間から、第2UTPケーブルの内側、第2UTPケーブルとこれに隣接する第3UTPケーブルとの間、第3UTPケーブルの外側、第3UTPケーブルとこれに隣接する第4UTPケーブルとの間、第4UTPケーブルの内側、第4UTPケーブルとこれに隣接する第5UTPケーブルとの間、第5UTPケーブルの外側、第5UTPケーブルとこれに隣接する第6UTPケーブルとの間、第6UTPケーブルの内側、第6UTPケーブルと第1UTPケーブルとの間を経て、第1UTPケーブルの外側まで巻かれているものである。
【0018】
また、本発明は、4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTPケーブル4本が円形の一括シース内に四角をなす配置で収容された通信ケーブルにおいて、導体遮蔽テープが第1UTPケーブルとこれに隣接する第4UTPケーブルとの間から、第4UTPケーブルの内側、第4UTPケーブルとこれに隣接し第1UTPケーブルの対角に位置する第3UTPケーブルとの間、第3UTPケーブルの外側、第3UTPケーブルとこれに隣接する第2UTPケーブルとの間、4本のUTPケーブルの中央空間、第1UTPケーブルと第4UTPケーブルとの間、第1UTPケーブルの外側、第1UTPケーブルと第2UTPケーブルとの間、第2UTPケーブルの内側を経て、第2UTPケーブルと第3UTPケーブルとの間まで巻かれているものである。
【0019】
また、本発明は、4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTPケーブル3本が円形の一括シース内に三角をなす配置で収容された通信ケーブルにおいて、導体遮蔽テープが第1UTPケーブルと第3UTPケーブルとの間から、第3UTPケーブルの内側、第3UTPケーブルと第2UTPケーブルとの間、第2UTPケーブルの外側、第2UTPケーブルと第1UTPケーブルとの間、第1UTPケーブルの内側、第1UTPケーブルと第3UTPケーブルとの間、第1UTPケーブルの外側を経て、第2UTPケーブルの外側まで巻かれているものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0021】
(1)径を増加させずに、材料の使用量を抑えて、UTPケーブル同士間のクロストークを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0023】
図1に示されるように、本発明に係る通信ケーブル1は、4対の非シールド対撚り線2をシース3に収容したUTPケーブル4a,4b,4c,4d,4e,4fの6本が円形の一括シース5内に中心介在6の周囲を囲む配置で収容された通信ケーブル1であり、UTPケーブルを6本用いて構成された24対ケーブルである。
【0024】
この通信ケーブル1において、導体遮蔽テープ7が第1UTPケーブル4aとこれに隣接する第2UTPケーブル4bとの間から、第2UTPケーブル4bの内側、第2UTPケーブル4bとこれに隣接する第3UTPケーブル4cとの間、第3UTPケーブル4cの外側、第3UTPケーブル4cとこれに隣接する第4UTPケーブル4dとの間、第4UTPケーブル4dの内側、第4UTPケーブル4dとこれに隣接する第5UTPケーブル4eとの間、第5UTPケーブル4eの外側、第5UTPケーブル4eとこれに隣接する第6UTPケーブル4fとの間、第6UTPケーブル4fの内側、第6UTPケーブル4fと第1UTPケーブル4aとの間を経て、第1UTPケーブル4aの外側まで巻かれているものである。
【0025】
なお、第1UTPケーブル、第2UTPケーブル等の名称は便宜的に図示時計回りに昇順として付けたもので、X,Y,…というようにUTPケーブル個別名称を付けて識別してもよい。
【0026】
導体遮蔽テープ7は、UTPケーブルの内側と外側に交互に沿う経路で一筆書きのように巻かれて出発点に戻る。このため導体遮蔽テープ7の断面には1つの閉曲線が現れている。つまり、導体遮蔽テープ7が閉空間を形成する。6本のUTPケーブル4a〜4fのうち、1本置きの3本(奇数番号のUTPケーブル4a,4c,4e)が導体遮蔽テープ7による閉空間の内部に含まれ、残りの1本置きの3本(偶数番号のUTPケーブル4b,4d,4f)が閉空間の外部に出ている。
【0027】
隣接するUTPケーブルは、図示上で分かり易くするために少し離して描いた。実際には隣接するUTPケーブル同士が導体遮蔽テープ7を挟んで密着するとは限らず、多少のクリアランスがあってよい。
【0028】
上記のように導体遮蔽テープ7が巻かれているため、互いに接しているUTPケーブル同士の間には導体遮蔽テープ7が必ず配置されている。しかし、互いに離間しているUTPケーブル同士の間には必ずしも導体遮蔽テープは配置されていない。例えば、第1UTPケーブル4aと第2UTPケーブル4bとの間には導体遮蔽テープ7が存在し、この導体遮蔽テープ7を左右どちらへ辿っても第1UTPケーブル4aから第2UTPケーブル4bに抜けることはできない。しかし、第1UTPケーブル4aと第3UTPケーブル4cとの間は導体遮蔽テープ7に遮られていない。
【0029】
導体遮蔽テープ7には、例えば、アルミマイラーテープを用いるが、導体遮蔽テープ7の材質、構造(網組、テープ)、厚さ、巻き方は特に限定しない。
【0030】
図1の通信ケーブルによれば、互いに接しているUTPケーブル同士の間には必ず配置されているので、これらUTPケーブル同士のクロストークを低減することができる。一方、互いに離間しているUTPケーブル同士の間には必ずしも導体遮蔽テープは配置されていないが、この場合、UTPケーブル同士の距離が充分大きくとれているので、高い周波数ではクロストークを抑えることができる。
【0031】
つまり、第1UTPケーブル4aと第2UTPケーブル4bとは、導体遮蔽テープ7によって遮蔽が図られ、第1UTPケーブル4aと第3UTPケーブル4cとは距離が充分大きいことで遮蔽が図られる。この距離は、中心介在6が存在することにより、極端に縮まることがないので、隣接しないUTPケーブル間には導体遮蔽テープ7は不要である。
【0032】
以上のように、図1の通信ケーブル1は、特に隣接するUTPケーブル同士のクロストークを低減することができる。よって、ケーブル間電力和近端漏話を大幅に低減することができ、4対を超える対数の多対UTPケーブルにおいて10Gbitイーサネット(登録商標)に要求されるケーブル間電力和近端漏話を満足させることができる。
【0033】
また、通信ケーブル1は、導体遮蔽テープ7がUTPケーブルのシース3の外部に設けてあるので、従来のようにUTPケーブルのシース3の内部にシールドを入れる場合に比べて、そのシース厚だけ対撚り線2と導体遮蔽テープ7との距離が確保され、実効誘電率の上昇が抑えられるので、対撚り線2の心線の絶縁体厚を厚くする必要がない。これにより、絶縁体などの材料の増加が避けられると共に、モジュラーコネクタの取付に関する問題も生じない。
【0034】
また、図1の通信ケーブル1は、一体の導体遮蔽テープ7がUTPケーブル間を縫うようにして閉曲線を描いているので、接地(アース)が必要になったとき、1箇所の接地で導体遮蔽テープ7全体が接地される。UTPケーブルごとにシールドを有する場合、シールド同士が分断されているため、6箇所の接地をしなければならない。つまり、本発明は接地の作業工数が1/6となる。
【0035】
また、特許文献5と比較すると、図1の通信ケーブル1は、導体遮蔽テープ7が各UTPケーブルを完全に包被するのではなく、UTPケーブル同士が接していない箇所(距離が充分な箇所)には導体遮蔽テープ7がなくともよい。よって、導体遮蔽テープ7の使用量が低減される。
【0036】
以下、本発明の第2の実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0037】
図2に示されるように、本発明に係る通信ケーブル21は、4対の非シールド対撚り線2をシース3に収容したUTPケーブル4g,4h,4i,4jの4本が円形の一括シース22内に四角をなす配置で収容された通信ケーブル21であり、UTPケーブルを4本用いて構成された16対ケーブルである。
【0038】
この通信ケーブル21において、導体遮蔽テープ23が第1UTPケーブル4gとこれに隣接する第4UTPケーブル4jとの間から、第4UTPケーブル4jの内側、第4UTPケーブル4jとこれに隣接し第1UTPケーブル4gの対角に位置する第3UTPケーブル4iとの間、第3UTPケーブル4iの外側、第3UTPケーブル4iとこれに隣接する第2UTPケーブル4hとの間、4本のUTPケーブル4g,4h,4i,4jの中央空間、第1UTPケーブル4gと第4UTPケーブル4jとの間、第1UTPケーブル4gの外側、第1UTPケーブル4gと第2UTPケーブル4hとの間、第2UTPケーブル4hの内側を経て、第2UTPケーブル4hと第3UTPケーブル4iとの間まで巻かれているものである。
【0039】
第3UTPケーブル4iと第2UTPケーブル4hとの間から、4本のUTPケーブル4g,4h,4i,4jの中央空間を経て、第1UTPケーブル4gと第4UTPケーブル4jとの間に向かう代わりに、第3UTPケーブル4iと第2UTPケーブル4hとの間から、第2UTPケーブル4hの内側を経て、第1UTPケーブル4gと第2UTPケーブル4hとの間を通り、第1UTPケーブル4gの外側、第1UTPケーブル4gと第4UTPケーブル4jとの間、4本のUTPケーブル4g,4h,4i,4jの中央空間を経るようにしてもよい。
【0040】
なお、第1UTPケーブル、第2UTPケーブル等の名称は便宜的に図示時計回りに昇順として付けたもので、X,Y,…というようにUTPケーブル個別名称を付けて識別してもよい。
【0041】
導体遮蔽テープ23は、互いに対角に位置するUTPケーブル4g,4iを8の字状に囲む経路で一筆書きのように巻かれる。このため導体遮蔽テープ23の断面には2つの閉曲線が現れている。つまり、導体遮蔽テープ23が2つの閉空間を形成する。4本のUTPケーブル4g〜4jのうち、互いに対角に位置するUTPケーブル4g,4iがそれぞれ導体遮蔽テープ23による閉空間の内部に含まれ、もう一方の対角に位置するUTPケーブル4h,4jが閉空間の外部に出ている。
【0042】
隣接するUTPケーブルは、図示上で分かり易くするために少し離して描いた。実際にも隣接するUTPケーブル同士が導体遮蔽テープ7を挟んで密着するとは限らず、多少のクリアランスがあってよい。
【0043】
上記のように導体遮蔽テープ23が巻かれているため、互いに接しているUTPケーブル同士の間には導体遮蔽テープ23が必ず配置されている。そして、互いに対角に位置している一方のUTPケーブル4g,4iは各々導体遮蔽テープ23によって完全に覆われている。もう一方の対角に位置するUTPケーブル4h,4jは、各々は導体遮蔽テープ23によってほとんど覆われないが、UTPケーブル4h,4j同士の最短経路は導体遮蔽テープ23によって隔離される。
【0044】
図2の通信ケーブル21によれば、互いに接しているUTPケーブル同士の間には必ず配置されているので、これらUTPケーブル同士のクロストークを低減することができる。また、互いに対角に位置する一方のUTPケーブル4g,4iは各々導体遮蔽テープ23によって完全に覆われているので、他のUTPケーブルとのクロストークを低減することができる。もう一方の対角に位置するUTPケーブル4h,4jは、それ自体はほとんど導体遮蔽テープ23に覆われないが、UTPケーブル4h,4j同士の最短経路が導体遮蔽テープ23によって隔離されるので、クロストークを低減することができる。
【0045】
接地が容易である点、特許文献5と比較して導体遮蔽テープ23が節約できる点も図1の実施形態と同じである。
【0046】
以下、本発明の第3の実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0047】
図3に示されるように、本発明に係る通信ケーブル31は、4対の非シールド対撚り線2をシース3に収容したUTPケーブル4k,4l,4mの3本が円形の一括シース32内に三角をなす配置で収容された通信ケーブル31であり、UTPケーブルを3本用いて構成された12対ケーブルである。
【0048】
この通信ケーブル31において、導体遮蔽テープ33が第1UTPケーブル4kと第3UTPケーブル4mとの間から、第3UTPケーブル4mの内側、第3UTPケーブル4mと第2UTPケーブル4lとの間、第2UTPケーブル4lの外側、第2UTPケーブル4lと第1UTPケーブル4kとの間、第1UTPケーブル4kの内側、第1UTPケーブル4kと第3UTPケーブル4mとの間、第1UTPケーブル4kの外側を経て、第2UTPケーブル4lの外側まで巻かれているものである。
【0049】
なお、第1UTPケーブル、第2UTPケーブル等の名称は便宜的に図示時計回りに昇順として付けたもので、X,Y,…というようにUTPケーブル個別名称を付けて識別してもよい。
【0050】
導体遮蔽テープ33は、2つのUTPケーブル4k,4lを8の字状に囲む経路で一筆書きのように巻かれる。このため導体遮蔽テープ33の断面には2つの閉曲線が現れている。つまり、導体遮蔽テープ33が2つの閉空間を形成する。3本のUTPケーブル4k〜4mのうち、2つのUTPケーブル4k,4lがそれぞれ導体遮蔽テープ23による閉空間の内部に含まれ、残りのUTPケーブル4mが閉空間の外部に出ている。図2の通信ケーブル21と比較すると、2本のUTPケーブル4g,4iを導体遮蔽テープ23で巻く巻き方と、図3の通信ケーブル31において2本のUTPケーブル4k,4lを導体遮蔽テープ33で巻く巻き方は同じである。
【0051】
隣接するUTPケーブルは、図示上で分かり易くするために少し離して描いた。実際にも隣接するUTPケーブル同士が導体遮蔽テープ7を挟んで密着するとは限らず、多少のクリアランスがあってよい。
【0052】
上記のように導体遮蔽テープ33が巻かれているため、互いに接しているUTPケーブル同士の間には導体遮蔽テープ33が必ず配置されている。そして、2つのUTPケーブル4k,4lは各々導体遮蔽テープ23によって完全に覆われている。残りのUTPケーブル4mは導体遮蔽テープ33によってほとんど覆われないが、他のUTPケーブル4k,4lとは導体遮蔽テープ33によって隔離される。
【0053】
図3の通信ケーブル31において、UTPケーブル同士のクロストークを低減することができるのはいうまでもない。また、接地が容易である点、特許文献5と比較して導体遮蔽テープ23が節約できる点も図1、図2の実施形態と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す通信ケーブルの断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す通信ケーブルの断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す通信ケーブルの断面図である。
【図4】LANの配線システムの配線図である。
【図5】モジュラコネクタ型パッチパネルの外観図である。
【図6】コンセントボックスの外観図である。
【図7】従来の通信ケーブルの断面図である。
【図8】通信ケーブルにおける周波数対クロストーク特性図である。
【符号の説明】
【0055】
1,21,31 通信ケーブル
2 非シールド対撚り線(対撚り線)
3 シース
4a〜4m UTPケーブル
5,22,32 一括シース
6 中心介在
7,23,33 導体遮蔽テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTPケーブルの3本以上が円形の一括シース内にその中心を囲む配置で収容された通信ケーブルにおいて、これらUTPケーブルのうち2本以上が導体遮蔽テープで囲まれた閉空間の内部に含まれ、残りの1本以上が閉空間の外部に出るように、かつ 互いに接しているUTPケーブル同士の間には上記導体遮蔽テープが必ず存在するように上記導体遮蔽テープが設けられたことを特徴とする通信ケーブル。
【請求項2】
4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTPケーブル6本が円形の一括シース内に中心介在の周囲を囲む配置で収容された通信ケーブルにおいて、導体遮蔽テープが第1UTPケーブルとこれに隣接する第2UTPケーブルとの間から、第2UTPケーブルの内側、第2UTPケーブルとこれに隣接する第3UTPケーブルとの間、第3UTPケーブルの外側、第3UTPケーブルとこれに隣接する第4UTPケーブルとの間、第4UTPケーブルの内側、第4UTPケーブルとこれに隣接する第5UTPケーブルとの間、第5UTPケーブルの外側、第5UTPケーブルとこれに隣接する第6UTPケーブルとの間、第6UTPケーブルの内側、第6UTPケーブルと第1UTPケーブルとの間を経て、第1UTPケーブルの外側まで巻かれていることを特徴とする通信ケーブル。
【請求項3】
4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTPケーブル4本が円形の一括シース内に四角をなす配置で収容された通信ケーブルにおいて、導体遮蔽テープが第1UTPケーブルとこれに隣接する第4UTPケーブルとの間から、第4UTPケーブルの内側、第4UTPケーブルとこれに隣接し第1UTPケーブルの対角に位置する第3UTPケーブルとの間、第3UTPケーブルの外側、第3UTPケーブルとこれに隣接する第2UTPケーブルとの間、4本のUTPケーブルの中央空間、第1UTPケーブルと第4UTPケーブルとの間、第1UTPケーブルの外側、第1UTPケーブルと第2UTPケーブルとの間、第2UTPケーブルの内側を経て、第2UTPケーブルと第3UTPケーブルとの間まで巻かれていることを特徴とする通信ケーブル。
【請求項4】
4対の非シールド対撚り線をシースに収容したUTPケーブル3本が円形の一括シース内に三角をなす配置で収容された通信ケーブルにおいて、導体遮蔽テープが第1UTPケーブルと第3UTPケーブルとの間から、第3UTPケーブルの内側、第3UTPケーブルと第2UTPケーブルとの間、第2UTPケーブルの外側、第2UTPケーブルと第1UTPケーブルとの間、第1UTPケーブルの内側、第1UTPケーブルと第3UTPケーブルとの間、第1UTPケーブルの外側を経て、第2UTPケーブルの外側まで巻かれていることを特徴とする通信ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−159523(P2008−159523A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349673(P2006−349673)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【出願人】(597126332)東日京三電線株式会社 (6)
【Fターム(参考)】