説明

通信システム、情報処理装置、携帯端末、及び入力方法

【課題】ユーザが使用しやすい入力手段を用いて携帯端末上のアプリケーションを実行できる通信システム、情報処理装置、携帯端末、及び入力方法を提供すること
【解決手段】携帯端末10内のデバイス制御ミドルウェア130は、携帯端末10の各種入力デバイスの能力情報及び入力情報(例えばキーの押下等)をPC20に解析できる形に変換して送信する。PC20内の仮想デバイスミドルウェア230は、デバイス制御ミドルウェア130から受信した情報を解析し、解析により抽出した情報をJAVAアプリケーション250の入力情報として供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システム、情報処理装置、携帯端末、及び入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話をはじめとする携帯端末上においてJAVA(登録商標)アプリケーションをはじめとするアプリケーションを利用する機会が増えてきている。携帯電話上でのアプリケーションの実行は、経路探索や、いわゆる時間つぶしのための短時間の利用にとどまらず、長時間の利用も一般的となってきている。
【0003】
携帯端末は、一般的に液晶ディスプレイをはじめとする表示部が小さい。そのため、ユーザが長時間のアプリケーションの操作をする場合、操作性が十分ではない場合が多い。特に、他のユーザとの対戦型のアプリケーションを実行する場合やウェルネスアプリケーションを実行する場合、ユーザは小さな画面を見ながら細かい操作を行う必要があるため、操作性が十分ではない。
【0004】
また、ユーザによっては携帯端末を主に使い、パーソナルコンピュータ等をほとんど使用しないユーザも少なくない。このようなユーザにとっては、携帯端末の操作感を確保しつつ、大きな画面を参照したい場合も多い。
【0005】
特許文献1には、ユビキタス環境を簡単に実現できる携帯電話機を利用したパソコン制御システムについての技術が開示されている。このパソコン制御システムでは、携帯電話機の持つ機能(たとえばメール機能)を、パソコンに転送することにより、パソコンの大型ディスプレイと入力デバイスを用いて操作することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−202770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術によっては依然としてユーザの操作性が十分ではないという問題がある。当該問題の詳細について以下に述べる。
【0008】
特許文献1では、表示情報をパソコンの大型ディスプレイに表示するとともに、入力デバイスについてもパソコンに設置されたキーボード、マウス等を使用することを想定している。しかし、前述のようにパーソナルコンピュータ等をほとんど使用せず、携帯端末を主に使用してアプリケーションを実行するユーザも少なくない。そのため、このようなユーザにとっては使い慣れた入力手段を用いてアプリケーションを実行することができず、使い勝手が悪いという問題があった。さらに、携帯端末にしか備えられていない入力手段を使用することができないという問題もあった。
【0009】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、ユーザが使用しやすい入力手段を用いて携帯端末上のアプリケーションを実行できる通信システム、情報処理装置、携帯端末、及び入力方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる通信システムの一態様は、
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備えた携帯端末と、
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置と、を備える通信システムであって、
前記携帯端末は、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記情報処理装置に送信するデバイス制御ミドルウェア部を備え、
前記情報処理装置は、前記デバイス制御ミドルウェア部から受信した情報を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする仮想デバイス制御ミドルウェア部を備える、ものである。
【0011】
本発明にかかる情報処理装置の一態様は、
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置であって、
携帯端末と接続または一体化された第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記アプリケーションの操作命令として受信し、
当該受信にかかる情報を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする、ものである。
【0012】
本発明にかかる携帯端末の一態様は、
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備え、
任意のアプリケーションを実行するとともに前記アプリケーションの実行状態を表示装置に表示する情報処理装置に対して、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記アプリケーションの操作命令として送信する、ものである。
【0013】
本発明にかかる入力方法の一態様は、
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備えた携帯端末と、
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置と、を備える通信システムにおける前記アプリケーションへの操作命令の入力方法であって、
前記携帯端末は、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記携帯端末から受信した前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力、を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする、ものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが使用しやすい入力手段を用いて携帯端末上のアプリケーションを実行できる通信システム、携帯端末、及び入力方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1にかかる通信システムの概略図である。
【図2】実施の形態1にかかる通信システムの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる携帯端末デバイス情報の図である。
【図4】実施の形態1にかかる携帯端末10内において実行可能なアプリケーションをPC20にて実行する際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図5】実施の形態1にかかるPC20上でのアプリケーション実行中における、携帯端末10の入力デバイスを用いた入力制御の処理を示すシーケンス図である。
【図6】実施の形態1にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる通信システムの基本構成を示す概略図である。通信システムは、携帯端末10、及びPC(Personal Computer)20を含む。
【0017】
携帯端末10は、インターネットその他の通信媒体を介して、PC20及びその他の通信端末と通信できる構成である。携帯端末10は、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを備える。さらに、携帯端末10はUSB(Universal Serial Bus)接続されたマウス等から任意の入力を受け付ける構成であってもよい。さらにまた、携帯端末10は、加速度センサ等のセンシングデバイスを内蔵し、携帯端末10本体の動き、振動を検知できる構成であってもよい。
【0018】
携帯端末10の例としては、たとえば携帯電話、スマートフォン(Smartphone)、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Data Assistance)が挙げられる。以下の説明では、携帯端末10は携帯電話であるものとする。
【0019】
PC20は、液晶ディスプレイ等の表示装置と接続または一体化されたコンピュータであり、ラップトップ型であってもデスクトップ型であってもよい。PC20は、インターネットその他の通信媒体を介して携帯端末10及びその他の通信端末と通信できる構成である。
【0020】
PC20は、一体化されたまたはUSB等を用いて外部接続された各入力デバイス、たとえばキーボード、マウス等を備える。
【0021】
携帯端末10は、アプリケーションの実行ファイル及び入力デバイスからの入力をPC20に転送できる構成である。詳細については、後述する。以下の説明では、携帯端末10、PC20は、JAVA(登録商標)のアプリケーションの実行が可能な計算機であるものとして説明する。
【0022】
図2は、本実施の形態にかかる通信システムの詳細構成を示すブロック図である。なお、図示していないが携帯端末10及びPC20は、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)を備える計算機であり、内部にメインメモリ、ハードディスク等を備える構成である。
【0023】
携帯端末10は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)110と、通信ミドルウェア120と、デバイス制御ミドルウェア130と、Javaアプリケーション制御部140と、を備える。
【0024】
オペレーティングシステム110は、いわゆる基本ソフトウェアであり、携帯端末10全体を統括するソフトウェアである。
【0025】
通信ミドルウェア120は、PC20及び他の通信端末との通信を行うためのソフトウェアである。通信ミドルウェア120は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)といったプロトコルを介してデータの送受信制御を行う。
【0026】
デバイス制御ミドルウェア130は、携帯端末10に備えられた各入力デバイス、例えばテンキーをはじめとする操作キー、タッチパネル、各種センシングデバイス(加速度センサ、音波センサ)等からの入力を解析する。そして、デバイス制御ミドルウェア130は、各入力デバイスからの入力情報(たとえばキー"3"が5秒押下された等)、及び携帯端末10に備えられた入力デバイスの能力情報(例えばどのような入力デバイスを保持しているか、操作キーにはどのような種類が有るか等)を、PC20内部において扱えるように適宜情報の変換等を行ったうえで送信する。なお、各入力デバイスからの入力情報、及び携帯端末10に備えられた入力デバイスの能力情報を以降の説明では、携帯端末デバイス情報と呼称する。
【0027】
JAVAアプリケーション制御部140は、ユーザからのアプリケーション起動命令に応じてPC20に対して当該アプリケーションの起動情報、クラスパス情報を送信する。さらに、JAVAアプリケーション制御部140は、PC20から要求された実行ファイルをPC20に送信する。
【0028】
ここで、起動情報とは、アプリケーションの実行ファイルを特定する情報(すなわち実行クラス)や、アプリケーションの起動時に必要となる各種パラメータの情報である。起動情報が以前のアプリケーションの実行履歴を含む構成とすれば、以前のアプリケーションの実行状態からアプリケーションの再開を行うことも可能となる。例えば、ロールプレイング型のゲームにかかるアプリケーションを以前の実行状態から再開することも可能である。
【0029】
続いて、PC20の構成について説明する。PC20は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)210と、通信ミドルウェア220と、仮想デバイス制御ミドルウェア230と、Java VM240と、Javaアプリケーション250と、Javaアプリケーション制御部260と、を備える。
【0030】
オペレーティングシステム210は、PC20を制御する基本ソフトウェアである。
【0031】
通信ミドルウェア220は、PC20及び他の通信端末との通信を行うためのソフトウェアである。通信ミドルウェア220は、TCP/IP、UDPといったプロトコルを介してデータの送受信制御を行う。
【0032】
仮想デバイスミドルウェア230は、携帯端末10のデバイス制御ミドルウェア130から送信された携帯端末デバイス情報を受信し、その情報をJAVAアプリケーション250に入力できるようにエミュレート(すなわち、情報を解析し、アプリケーションに入力できる方式に変換)する。仮想デバイスミドルウェア230は、エミュレートした情報をJAVAアプリケーション250の入力情報(イベント情報)として供給する。さらに、仮想デバイスミドルウェア230は、PC20の各入力デバイスからの入力を仲介し、JAVAアプリケーション250に供給する。
【0033】
なお、PC20に接続された各入力デバイス(例えばキーボード)からの入力は、初期状態では適宜JAVAアプリケーション250に供給される。すなわち、携帯端末10の入力デバイス及びPC20の入力デバイスの双方をアプリケーションの操作に用いることができる。
【0034】
ここで、デバイス制御ミドルウェア130と、仮想デバイス制御ミドルウェア230と、の情報のやり取りの一例を説明する。デバイス制御ミドルウェア130は、予め定められたデータフォーマットに従って携帯端末デバイス情報を生成する。
【0035】
図3は、デバイス制御ミドルウェア130が仮想デバイス制御ミドルウェア230に送信する携帯端末デバイス情報の一例を示している。図3では、携帯端末デバイス情報には、携帯端末10の型番(modular type)、識別情報(MAC(Media Access Control address)address)、使用可能な入力デバイス(available input device)、アプリケーションの操作に用いる入力デバイス(using device)、入力デバイスの詳細情報(device information)、入力デバイスからの入力情報(input information)が記述されている。仮想デバイス制御ミドルウェア230は、当該情報を解析し、アプリケーションに入力できる方式に変換する。デバイス制御ミドルウェア130は、携帯端末10の入力デバイスから何らかの入力があった場合に、その都度、携帯端末デバイス情報を送信する。
【0036】
なお、図3に示す携帯端末デバイス情報は一例にすぎず、その他のデータフォーマットや、その他の項目を記述してもよいことは勿論である。例えば、PC20のある入力デバイスを無効化することを指示する情報が含まれてもよい。詳細には、携帯端末10及びPC20にキーボードが入力デバイスとして存在する場合に、PC20のキーボードを無効化することを指示する情報が含まれていてもよい。この場合、仮想デバイス制御ミドルウェア230は、PC20のキーボードからの入力をそのままJAVAアプリケーション250に入力するのではなく、PC20のキーボードからの入力を全て無効化するように制御する。
【0037】
さらに、デバイス制御ミドルウェア130は、識別情報(MAC(Media Access Control address)address)、及び入力デバイスからの入力情報(input information)のみを送信してもよい。この場合、以前の通信時とその他の情報が変化していない場合に、通信量を削減することができる。
【0038】
Java VM(Virtual Machine)240は、JAVAバイトコードとして定義された命令セットを実行するスタック型の仮想マシン(コンピュータのCPUや記憶装置などのリソースを仮想化した上で、その仮想化したコンピュータを実行するためのソフトウェア)である。Java VM240は、携帯端末10上において動作するJAVAのVM(図示せず)と同等の機能(すなわち標準実行ファイル)を保持する。
【0039】
JAVAアプリケーション250は、ユーザが実行を望むアプリケーションである。JAVAアプリケーション250は、携帯端末10から取得した実行ファイル(クラスファイル)及びPC20が予め保持していた実行ファイル(クラスファイル)により実行されるソフトウェアである。アプリケーションの実行状態は、PC20に備えられた液晶ディスプレイに逐次表示される。
【0040】
JAVAアプリケーション制御部260は、携帯端末10からのアプリケーション起動命令に応じて、必要となる実行ファイル群を検索し、取得する。また、JAVAアプリケーション制御部260は、アプリケーション実行時に必要となる起動情報、クラスパス情報を携帯端末10から受信する。JAVAアプリケーション制御部260は、アプリケーション実行に必要な実行ファイル、及び起動情報を取得した後にアプリケーションの実行開始処理を行う。
【0041】
続いて、本実施の形態にかかる通信システムによるアプリケーションの起動処理について説明する。図4は、携帯端末10内において実行可能なアプリケーションをPC20にて実行する際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0042】
携帯端末10は、PC20との接続を行うための接続情報(たとえばPC20のIPアドレス等)を設定し、いつでもPC20との接続をできる状態としておく(S11)。続いて、JAVAアプリケーション制御部140は、ユーザの入力に応じて起動するアプリケーションの設定を行う(S12)。一方、PC20は、携帯端末10との通信処理が行える状態に設定しておく(S13)。
【0043】
通信ミドルウェア120は、ユーザのアプリケーション起動要求の入力に応じて、PC20と、TPC/IPなどの通信プロトコルを介して接続を確立する。接続が確立された後に、JAVAアプリケーション制御部140は、起動するアプリケーションにかかるクラスパス、起動情報を送信する。
【0044】
JAVAアプリケーション制御部260は、受信したクラスパスを設定する(S14)。ここでクラスパスは、アプリケーションの実行時に実行ファイル(クラスファイル)の検索位置を指定するための情報である。さらに、クラスパスは、携帯端末10から実行ファイル(クラスファイル)を取得する際にも使用される情報である。
【0045】
JAVAアプリケーション制御部260は、受信した起動情報を参照してアプリケーションの実行を試行する(S15)。ここで、アプリケーションの実行に際して必要な実行ファイル(クラスファイル)が不足していると判断された場合(S16:No)、JAVAアプリケーション制御部260は携帯端末10から必要な実行ファイル(クラスファイル)を取得する。
【0046】
PC20上でのアプリケーションの実行を行い(S17)、ユーザの終了通知を受け付けた場合、JAVAアプリケーション制御部260は、アプリケーションの終了処理を行う(S18)。そして、JAVAアプリケーション制御部260は、携帯端末10から取得した全ての情報、すなわち起動情報、実行ファイル情報、携帯端末デバイス情報等を消去する。消去することにより、機密性の高い情報がPC20内に保持され続けることを防止できる。
【0047】
なお、携帯端末10と、PC20と、が同一ユーザの所有物である場合等では、実行ファイル等の消去を行わなくてもよい。これにより、実行ファイルの送信回数が減り、起動時間の短縮を図ることができる。
【0048】
最後に、PC20は、携帯端末10との接続を遮断する。
【0049】
次に、PC20上でのアプリケーション実行中における、携帯端末10の入力デバイスを用いた入力制御について説明する。図5は、PC20上でのアプリケーション実行中における、携帯端末10の入力デバイスを用いた入力制御の処理を示すシーケンス図である。
【0050】
PC20は、携帯端末10に対して定期的に、どのような入力デバイスを保持しているか、どのような入力デバイスをアプリケーション実行時に使用するか等を問い合わせる。携帯端末10は、アプリケーションの実行時に使用したい入力デバイスを通知する。当該通知は、例えば前述の携帯端末デバイス情報により通知する。
【0051】
仮想デバイス制御ミドルウェア230は、指定された携帯端末10の入力デバイスからの入力を受け付けるための各種設定を行う(S22)。
【0052】
携帯端末10のキー入力が有効化され、当該キーの操作が行われた場合、デバイス制御ミドルウェア130は、当該キー操作をPC20に通知する。仮想デバイス制御ミドルウェア230は、受信した情報をエミュレートしてアプリケーションの入力情報とする(S23)。
【0053】
携帯端末10の加速度センサの入力が有効化され、当該加速度センサが動作を検知した場合、デバイス制御ミドルウェア130は、加速度情報をPC20に通知する。仮想デバイス制御ミドルウェア230は、受信した情報をエミュレートしてアプリケーションの入力情報とする(S24)。なお、通信デバイスが仮想化されていない場合には、PC20に内蔵された無線/有線LAN等の通信回線を用いて適宜データ通信を行う(S25)。上述のS21〜S25は、順不同の処理であり、ある処理が繰り返し行われてもよい。図示していないが、仮想デバイス制御ミドルウェアは、PC20上の入力デバイスからの入力についても適宜アプリケーションへの入力として制御する。
【0054】
続いて、本実施の形態にかかる通信システムの効果について説明する。上述の通信システムでは、携帯端末10が実行するアプリケーションとともに携帯端末10に接続または一体化された入力デバイスからの入力をPC20に送信する。PC20は、携帯端末10からの入力をアプリケーションのイベント情報に変換し、アプリケーションの入力とする。これにより、ユーザは、アプリケーションの操作を携帯端末10の入力デバイスを用いて行うことが出来るとともに、PC20の表示装置(液晶ディスプレイ)を用いてアプリケーションの画面表示を行うことができる。これにより、携帯端末10の入力デバイスの操作に慣れたユーザが効率的にアプリケーションを操作することができる。さらに、PC20の表示装置を見つつ、携帯端末10にしか備えられていない入力デバイスをアプリケーションの操作に用いることができる。
【0055】
さらにまた、PC20の入力デバイス、及び携帯端末10の入力デバイスの双方をアプリケーションの操作に用いることができるため、ユーザの操作性が格段に高まる。
【0056】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。
【0057】
たとえば、上述の説明では、JAVAのアプリケーションの実行を前提とした説明を行ったが、必ずしもこれに限られない。本発明が任意のアプリケーションをPCの画面上から参照しつつ、携帯端末の入力デバイスを用いて操作することに応用可能であることは勿論である。
【0058】
なお、本実施の形態にかかる必須構成を明確化した図を図6に示す。携帯端末10内のデバイス制御ミドルウェア130は、携帯端末10の各種入力デバイスの能力情報及び入力情報(例えばキーの押下等)をPC20に解析できる形に変換して送信する。PC20内の仮想デバイスミドルウェア230は、デバイス制御ミドルウェア130から受信した情報を解析し、解析により抽出した情報をJAVAアプリケーション250の入力情報として供給する。これにより、ユーザは、携帯端末10の各種入力デバイスを用いてPC20上において動作するアプリケーションを操作できる。
【0059】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0060】
(付記1)
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備えた携帯端末と、
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置と、を備える通信システムであって、
前記携帯端末は、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記情報処理装置に送信するデバイス制御ミドルウェア部を備え、
前記情報処理装置は、前記デバイス制御ミドルウェア部から受信した情報を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする仮想デバイス制御ミドルウェア部を備える、通信システム。
【0061】
(付記2)
前記情報処理装置は、ユーザが任意の入力を行う第2入力デバイスを少なくとも1つ備え、
前記仮想デバイス制御ミドルウェア部は、前記第1入力デバイス、前記第2入力デバイスからの入力を選択的に前記アプリケーションへの入力とすることを特徴とする付記1に記載の通信システム。
【0062】
(付記3)
前記情報処理装置は、前記アプリケーションの実行終了の際に、前記携帯端末から受信した情報を全て消去することを特徴とする付記1または付記2に記載の通信システム。
【0063】
(付記4)
前記第1入力デバイス又は前記第2入力デバイスは、タッチパネル、キーボード、センシングデバイスのいずれかであることを特徴とする付記2または付記3に記載の通信システム。
【0064】
(付記5)
前記アプリケーションは、JAVA(登録商標)アプリケーションであることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか1項に記載の通信システム。
【0065】
(付記6)
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備え、
任意のアプリケーションを実行するとともに前記アプリケーションの実行状態を表示装置に表示する情報処理装置に対して、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記アプリケーションの操作命令として送信する、携帯端末。
【0066】
(付記7)
前記第1入力デバイスは、入力デバイスは、タッチパネル、キーボード、センシングデバイスのいずれかであることを特徴とする付記6に記載の携帯端末。
【0067】
(付記8)
前記アプリケーションは、JAVA(登録商標)アプリケーションであることを特徴とする付記6または付記7に記載の携帯端末。
【0068】
(付記9)
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置であって、
携帯端末と接続または一体化された第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記アプリケーションの操作命令として受信し、
当該受信にかかる情報を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする、情報処理装置。
【0069】
(付記10)
前記情報処理装置は、ユーザが任意の入力を行う第2入力デバイスを少なくとも1つ備え、
前記第1入力デバイス、前記第2入力デバイスからの入力を選択的に前記アプリケーションへの入力とすることを特徴とする付記9に記載の情報処理装置。
【0070】
(付記11)
前記アプリケーションの実行終了の際に、前記携帯端末から受信した情報を全て消去することを特徴とする付記9または付記10に記載の情報処理装置。
【0071】
(付記12)
前記第1入力デバイス又は前記第2入力デバイスは、タッチパネル、キーボード、センシングデバイスのいずれかであることを特徴とする付記10または付記11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0072】
(付記13)
前記アプリケーションは、JAVA(登録商標)アプリケーションであることを特徴とする付記9乃至付記12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0073】
(付記14)
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備えた携帯端末と、
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置と、を備える通信システムにおける前記アプリケーションへの操作命令の入力方法であって、
前記携帯端末は、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記携帯端末から受信した前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力、を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする入力方法。
【符号の説明】
【0074】
10 携帯端末
110 オペレーティングシステム
120 通信ミドルウェア
130 デバイス制御ミドルウェア
140 JAVAアプリケーション制御部
20 PC(パーソナルコンピュータ)
210 オペレーティングシステム
220 通信ミドルウェア
230 仮想デバイスミドルウェア
240 JAVA VM
250 JAVAアプリケーション
260 JAVAアプリケーション制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備えた携帯端末と、
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置と、を備える通信システムであって、
前記携帯端末は、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記情報処理装置に送信するデバイス制御ミドルウェア部を備え、
前記情報処理装置は、前記デバイス制御ミドルウェア部から受信した情報を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする仮想デバイス制御ミドルウェア部を備える、通信システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、ユーザが任意の入力を行う第2入力デバイスを少なくとも1つ備え、
前記仮想デバイス制御ミドルウェア部は、前記第1入力デバイス、前記第2入力デバイスからの入力を選択的に前記アプリケーションへの入力とすることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記アプリケーションの実行終了の際に、前記携帯端末から受信した情報を全て消去することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1入力デバイス又は前記第2入力デバイスは、タッチパネル、キーボード、センシングデバイスのいずれかであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備え、
任意のアプリケーションを実行するとともに前記アプリケーションの実行状態を表示装置に表示する情報処理装置に対して、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記アプリケーションの操作命令として送信する、携帯端末。
【請求項6】
前記第1入力デバイスは、入力デバイスは、タッチパネル、キーボード、センシングデバイスのいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置であって、
携帯端末と接続または一体化された第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記アプリケーションの操作命令として受信し、
当該受信にかかる情報を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする、情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、ユーザが任意の入力を行う第2入力デバイスを少なくとも1つ備え、
前記第1入力デバイス、前記第2入力デバイスからの入力を選択的に前記アプリケーションへの入力とすることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記アプリケーションの実行終了の際に、前記携帯端末から受信した情報を全て消去することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
ユーザが任意の入力を行う第1入力デバイスを少なくとも1つ備えた携帯端末と、
表示装置と接続または一体化され、任意のアプリケーションの実行、及び当該実行状態を前記表示装置に表示する情報処理装置と、を備える通信システムにおける前記アプリケーションへの操作命令の入力方法であって、
前記携帯端末は、前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記携帯端末から受信した前記第1入力デバイスの能力情報、及び前記第1入力デバイスからの入力、を前記アプリケーションへの入力としてエミュレートする入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−70328(P2012−70328A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215451(P2010−215451)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】