説明

通信システム

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、データの発生源またはデータ受信装置が直線状またはループ状に配置された場合の、当該データ発生源およびデータ受信装置とこれら各装置の集中管理制御を司るデータ処理センタとを結ぶ通信網により構成される通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明は、データの発生源が直線状またはループ状に配置される場合の、データ処理センタとデータ発生源を結ぶ通信系で用いられる通信装置に関するもので、このようなデータの発生源が直線状またはループ状に配置された通信系の代表的な例としては、鉄道管理システム、道路管理システム、下水道管理システム、飛行場管理システム、河川管理システム、地下鉄管理システムなどが知られている。 鉄道管理システムでは、管理センタが管理区間内に存在し、管理区間には監視カメラや列車感知センサなどが鉄道に沿って配置され、これらカメラあるいはセンサからの情報が管理センタに集められている。また、信号機等の列車制御情報報知手段もやはり鉄道に沿って配置されている。管理センタには隣接管理区間からの事故等の情報も集められ、それらの情報と当該管理区間の情報を使用して各種の判断がなされ、その判断結果に基づき、信号機等を用いて列車の運行制御等の鉄道の管理が行われる。
【0003】この鉄道管理システムの例からも分かるように、この種の通信システムでは、情報発生源と管理センタを1対1の通信線で接続して情報を集め、また管理センタからも1対1の通信線で信号機の表示等に係る制御を実施してきた。ところが、昨今、ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)交換方式の実用化に向けた開発が急速に進んできており、このATM技術を上述したような通信システムに応用することで、ATMのメリットを活かした柔軟性のあるシステムの構築が可能になってきている。
【0004】図13は、上記種々の管理システムをATM技術を適用して実現した場合のシステム構成の概要を示すものであり、特に、障害発生時の様子を示している。このシステムは、スイッチ構成部分92を複数個分散配置し、それらとセンタースイッチ構成部分91とを伝送路93により接続する構成をとる。今、このシステムの伝送路93において、同図に×印で示す如くの障害箇所95が発生した場合、該システムではその障害箇所95に隣接するスイッチ構成部分92-2と92-3とがそれぞれループバックを実行し、自律的に、同図に破線で示されるルートで通信機能の回復を行うことが可能となっている。
【0005】このように、上記構成のシステムは、障害発生時にループバックにより通信維持を図ることが可能であるが、この通信システムを実際の鉄道管理システムにあてはめた場合、以下のような問題が発生した。鉄道管理システムの構成としては、図14に示すように、スイッチ構成部分92-1,〜,92-5を鉄道(レール100)の両側に分散させて配置する一方、各スイッチ構成部分92-1,〜,92-5を制御管理するセンタースイッチ構成部分91を管理センタ−等が存在する場所に配置し、これらセンタースイッチ構成部分91と各スイッチ構成部分92-1,〜,92-5を伝送路93によりループ状に接続する構成が考えられる。ここで、各スイッチ構成部分92-1,〜,92-5にはそれぞれ入出力ポート94が備わり、該入出力ポート94を介して上述した監視カメラ、列車感知センサあるいは信号機等に相当するローカル通信端末が収容されている。
【0006】ところで、かかる構成にあっては、地震等の災害が発生して鉄道が寸断される場合に、障害箇所は図13に示した障害箇所95のように1箇所のみに留まらず、図14に示す障害箇所101のように上記ループにおける対向する位置を2箇所同時に分断するような障害となる場合が普通である。かかる事態が発生した場合、センタースイッチ構成部分91側に接続されているスイッチ構成部分92-1,92-2,92-3は、伝送路93を介して上述したループバックを実施することで自律的に通信機能を回復できるが、反対側のスイッチ構成部分92-4,92-5ではセンタースイッチ構成部分91との間の伝送路93が完全に分断される結果、通信機能の回復が不可能となる。
【0007】こうした不都合を克服するシステム構成としては、スイッチ構成部分92をレール100の上り路線と下り路線の両側に臨ませてループ状に配置するのではなく、地震等によっても障害となる部分が1箇所に留まるように、鉄道の路線単位でループ状のネットワークを構築する方法が考えれる。しかしながら、鉄道でループ状のネットワークを構築する場合は、地域によっては、そのループが数百kmに及ぶ場合もあり、センタースイッチ構成部分91を1つしか持たない従来システムでは対応能力に限界があり、鉄道等の管理体制を考慮すると柔軟性の低いネットワークであると言わざるを得なかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来システムでは、障害発生箇所に隣接するスイッチ構成部分からセンタースイッチ構成部分へのループバックにより自律的に通信機能を回復せしめるようにしていたが、分散配置された複数のスイッチ構成部分をあくまでも1つのセンタースイッチ構成部分で制御管理する構成を基本としていたため、障害発生パターンによっては、上記1つのセンタースイッチ構成部分との間のループバック伝送路も失われるケースが少なくなく、自律的に通信機能を回復せしめるにあたって致命的な打撃を受け易いという問題点があった。
【0009】また、センタースイッチ構成部分との間のループバック伝送路も失われるという点については、鉄道でループ状のネットワークを構築する等、スイッチ構成部分の配置に工夫を凝らすことである程度の対処が可能であるが、センタースイッチ構成部分を1つしか持たない現状にあっては、数百kmにも及ぶループ状のネットワーク構築に対して能力的な限界があり、鉄道等の管理体制を考慮した場合に、ネットワーク変更の柔軟性に欠けるという問題点があった。
【0010】本発明は上記問題点を除去し、障害時における自律的な通信機能の回復動作を確実に行うことができ、しかも種々の管理制御の要望に対して柔軟性の高いネットワーク構築が可能な通信システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の箇所に分散配置される複数のノード装置と、前記ノード装置のそれぞれに接続される1または複数のローカル通信端末と、前記ノード装置および前記ローカル通信端末を制御管理する複数のセンタ装置と、前記ノード装置と前記センタ装置を直列に接続する対向する通信路手段と、前記センタ装置間に設けられるローカル通信手段とを具備し、前記センタ装置は、管理対象の前記ローカル通信端末に対するセル化データを前記通信路手段に送信する手段と、前記通信路手段または前記ローカル通信手段を通じてシステム構成等の管理情報を他のセンタ装置との間で互いに送受して、前記ノード装置および前記ローカル通信端末の管理範囲を変更する手段とを備え、前記ノード装置は、前記通信路手段から前記セル化データを受信し、該受信データの中から自ノード装置に接続されたローカル通信端末宛のセル化データを抽出して当該ローカル通信端末に出力するとともに、自ノード装置に接続された前記ローカル通信端末から前記センタ装置に対するセル化データを前記通信路手段を通じて送信する手段を備えることを特徴とする。
【0012】望ましくは、本発明において、通信路手段は、前記ノード装置と前記センタ装置を直線状に接続し、前記複数のセンタ装置のうちの少なくとも2つは、当該直線状の通信路手段の両端に配置されることを特徴とする。
【0013】また、通信路手段は、前記ノード装置と前記センタ装置をループ状に接続することを特徴とする。
【0014】
【0015】また、センタ装置は、ローカル通信手段を介して相互に接続され、前記通信路手段の一部に障害が発生した時、前記ローカル通信手段を通じて障害箇所情報およびシステム構成等の管理情報を送受して、前記障害によりあるセンタ装置と通信不能に陥ったノード装置を他のセンタ装置の管理対象に変更する手段を具備することを特徴とする。
【0016】また、通信路手段の一部に障害が発生したことを検出して、センタ装置をローカル通信手段を介して相互に接続させ、前記ローカル通信手段を通じて障害箇所情報およびシステム構成等の管理情報を送受して、前記障害によりあるセンタ装置と通信不能に陥ったノード装置を他のセンタ装置の管理対象に変更する手段を具備することを特徴とする。
【0017】また、センタ装置は、ローカル通信手段を介して相互に接続され、前記通信路手段の一部に障害が発生した時、障害のない迂回した前記通信路手段または前記ローカル通信手段を通じて障害箇所情報およびシステム構成等の管理情報を送受して、前記障害によりあるセンタ装置と通信不能に陥ったノード装置を他のセンタ装置の管理対象に変更する手段を具備することを特徴とする。
【0018】また、通信路手段の一部に障害が発生したことを検出して、センタ装置をローカル通信手段を介して相互に接続させ、障害のない迂回した前記通信路手段または前記ローカル通信手段を通じて障害箇所情報およびシステム構成等の管理情報を送受して、前記障害によりあるセンタ装置と通信不能に陥ったノード装置を他のセンタ装置の管理対象に変更する手段を具備することを特徴とする。
【0019】また、センタ装置は、前記ノード装置から送られてくる当該ノード装置の情報が搭載された障害セルに基づき前記障害箇所を特定することを特徴とする。
【0020】また、ノード装置は、センタ装置または上流のノード装置からのセルの伝送が停止されたことにより障害を検出する手段を具備し、障害検出時、自己特有の情報を搭載した障害セルを特定の仮想通信路でセンタ装置または下流のノード装置に転送することを特徴とする。
【0021】また、ノード装置は、自己特有の情報を搭載した障害監視セルを一定時間間隔で常に下流のノード装置に送信し、上流のノード装置からの前記障害監視セルの伝送が停止されたことにより障害を検出する手段を具備し、障害検出時、自己特有の情報を搭載した障害セルを特定の仮想通信路でセンタ装置または下流のノード装置に転送することを特徴とする。
【0022】また、ノード装置は、自己特有の情報を搭載した障害監視セルを一定時間間隔で常にセンタ装置に送信し、前記センタ装置は、前記ノード装置からの前記障害監視セルの伝送が停止されたことにより障害箇所を特定することを特徴とする。また、ノード装置およびセンタ装置および通信路手段は、ATM交換機能により実現されることを特徴とする。
【0023】このように、本発明では、データ発生源を収容する複数のノード装置と複数のセンタ装置間をATM技術を用いた通信路で結び、あたかも分散配置型のATMスイッチの機能を実現し得る構成としている。かかる構成によって、例えばあるセンタ装置とその制御管理下のノード装置との通信路が切断された場合も、このノード装置を上記本来のセンタ装置以外のセンタ装置の管理下に移すことによって、障害発生時の自律的な通信機能の回復動作を確実なものにできる。
【0024】また、分散配置された複数のノード装置を複数のセンタ装置で制御管理する上記構成において、各センタ装置間で管理対象のノード装置等を規定した構成管理情報を上記障害発生とは別に適宜変更し得る機能を付加したため、複数のセンタ装置間にまたがる制御が不可欠なシステムに適用してその制御範囲の変更に容易に対処でき、例えば鉄道等の管理体制を考慮に入れた場合にも、極めて柔軟性に富むネットワーク構築が可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例を添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの概略構成図である。この通信システムは、3つのセンタ装置11-1,11-2,11-3と6つのノード装置12-1,12-2,12-3,12-4,12-5,12-6とを対向する通信路13で直線状に接続して構成される。また、3つのセンタ装置11-1,11-2,11-3広域網16を介して相互に接続されている。
【0026】上記ノード装置12は、通信路13を経て上流から送られてくる信号を下流に流すと同時に、入出力ポート14を経由してローカル通信端末15との間で信号のやりとりを行う。センタ装置11は、各ノード装置12に接続されるローカル通信端末15からの種々の情報を上記通信路13を通じて収集する一方、該収集結果に基づき、上記複数のノード装置12を順次経由して必要な制御情報を上記通信路13を通じて対象となる各ローカル通信端末15に送信することにより所要の動作制御を行う。
【0027】特に、本システムでは、センタ装置11,ノード装置12,ローカル通信端末15間の各信号はセル化されたデータとして通信路13上を伝送され、該通信路13上に分散配置されたノード装置12では、該ノード装置12に接続されるローカル通信端末15とセンタ装置11との間で、上記セル化されたデータの中継交換を行うATM交換システムが前提となっている。
【0028】ここで、本システムの個々の装置構成について説明する。図2は、本システムにおけるノード装置12の構成を示すものである。本発明における通信路13は通信系とループバック系との2系統で2重化されており、ノード装置12は、上記2つの系を収容する受信部21及び送信部24を有し、これら受信部21と送信部24との間には分離部22及び多重化部23が設けられる。
【0029】受信部21においては、STS−3CあるいはSTM−1などの多重化モジュールが終端され、モジュールのペイロードで運ばれてきたセルが取り出される。分離部22の入力側と多重化部23の出力側には、通信系とループバック系の各信号を区別し、ループバック系をバイパスする切替スイッチ210,240がそれぞれ設けられている。これにより、ループバック系信号は分離部22及び多重化部23を通らずに直接送信部24へ接続される。
【0030】入出力ポート14に接続されるローカル通信端末15へのセンタ装置11からのセルは上記通信系を通じて送られ、そのセルの中の当該ノード装置12宛のセルは、分離部22により、該ノード装置12の入出力ポート14を経てローカル通信端末15へと渡される。
【0031】一方、多重化部23に送られたセルはローカル通信端末15から出力されるセルと重なることなく混在させられた後、送信部24経由でSTS−3CあるいはSTM−1などの多重化モジュールのペイロードで運ばれて、次段のノード装置12へと送られる。すなわち、多重化部23においてローカル通信端末15からセンタ装置11へ送られるセルを通信系に加算する際、該セルがループバック系には加算されないように制御が行われる。
【0032】例えば、図1のセンタ装置11-2がノード装置12-4,12-5を制御管理しているとする。センタ装置11-2からの制御情報は、ノード装置12-4の方向の通信路13へ送り出される。この方向の通信路13が上述した通信系に相当し、逆方向の通信路13が上述のループバック系に当たる。ノード装置12-4に接続されるローカル通信端末15からセンタ装置11-2への情報は、通信系の通信路13を通じてノード装置12-5へ送られる。
【0033】センタ装置11-2が更にノード装置12-6までも制御管理しているのであれば、その情報はノード装置12-5を経由してノード装置12-6へ送られるのであるが、実際は、ノード装置12-5までしか制御管理していないので、上記情報をセンタ装置11-2まで送るために、ノード装置12-5は切替スイッチ240を切り替えるループバックを行い、ループバック系の通信路13を通じて上記情報をセンタ装置11-2まで中継する。更に、センタ装置11-2が左側のノード装置12-2,12-3も制御管理している場合、左方向の通信路13が通信系、右方向の通信路13がループバック系に相当し、同様の動作を行う。
【0034】ここで、ノード装置12-2,12-3間の通信路13が障害により切断された時、ノード装置12-3は、自ノード装置12-3に接続されたローカル通信端末15からの情報をセンタ装置11-2へ送るために、上述の切替スイッチ240を切り替えるループバックを行い、通信機能を回復する。また、センタ装置11-1は、ノード装置12-2の制御管理を代行するために、今まで上述した切替スイッチ240を切り替えるループバックを行っているノード装置12-1を通常の通信系のみを用いている状態に戻し、ノード装置12-2の切替スイッチ210,240を切り替える。
【0035】ノード装置12の構成要素としては、以上に述べた受信部21、分離部22、多重化部23、送信部24の他に、該ノード装置12の各部の制御を行うCPU部26、クロック部27、電源部28及び障害/警報通知部25がある。CPU部26は、障害が発生し、上流からの信号が途絶したことを検出すると、クロック部27を自走させて、障害/警報通知部25からの障害警報をセルとして多重化部23を経由して下流に向かって送信させる。この場合、このノード装置12の識別情報を載せるとか、使用するVPI/VCIにこのノード装置12特有のコードを用いることによって、これを受信したセンタ装置11が障害箇所を推定できるようになっている。
【0036】図3は、ノード装置12における受信部21と分離部22の構成を示すものである。受信部21の光電気変換部(O/E)211と直列並列変換部(S/P)212とは通信系とループバック系と設けられて2重化され、ループバック系信号をバイパスする切替スイッチ210に接続されている。
【0037】通信路13の具体的実現手段である光ファイバー上の光信号は、受信部21の光電気変換部211に入り、電気信号に変換された後、直列並列変換部212で並列信号になる。切替スイッチ210では、その並列信号のうちの通信系の信号をRX部213に送出する一方、ループバック系の信号は、分離部22のセルフィルタリング部221には入力させずに、直接、送信部24の切替スイッチ(図4の240)に転送する。
【0038】RX部213では、STS−3CあるいはSTM−1信号が終端され、ペイロードで送られてきたセルが取り出される。RX部213で取り出されたセルは分離部22に送られる。セルは先ずセルフィルタリング部221に入り、該当するノード装置12宛のセルが取り出された後、セルバッファ222,TX部223を経てローカル通信端末15へと送られる。上記処理に際し、受信部21のRX部213で取り出されたセルは分離部22と並列に多重化部23にも送られる。この他、分離部22には、この分離部22のTX部223と受信部21のRX部213との間の信号の調停処理を行う調停部224が設けられる。
【0039】図4は、ノード装置12における多重化部23と送信部24の構成を示したものである。送信部24の並列直列変換部(P/S)242と電気光変換部(E/O)243とは通信系とループバック系とそれぞれ設けられて2重化され、これら各系の信号の切り替えを行う切替スイッチ240に接続されている。この他、送信部24には、切替スイッチ240の切り替え対象の一方の信号発生源として、ローカル通信端末15からの情報を送信するためのTX部241が設けられる。 多重化部23は、スイッチ要素部231及びRX部232を具備して構成される。スイッチ要素部231は、受信部21のRX部213,ローカル通信端末15,障害/警報通知部25から入力されるセルに対し、バス入り口で調停回路2311によりこれらセルの交通整理を行い、どの入力からのセルをバスに出力してよいかどうかの指示を行い、バス上でセルが衝突することを防止している。なお、ここではスイッチ要素部231をバス型のスイッチ構造とした例を示したが、この他、共通バッファ型あるいはセルフルーティング型等の種々の方式を採用することができる。障害/警報通知部25は、上流からの信号が途絶された場合に異常を検出し、クロックを自走させ、障害警報信号を出力し、異常発生の事実と異常発生箇所をセンタ装置11に通知する。
【0040】上記スイッチ要素部231の出力は送信部24に送られる。送信部24では、先ずTX部241でSTS−3CあるいはSTM−1フレームのペイロードにセルを載せ、並列直列変換部242で直列信号に変換した後、電気光変換部243で光信号に変換して光ファイバーに送出する。
【0041】次に、図5は本システムにおけるセンタ装置11の概略構成図であり、ATMスイッチ(SW)111とネットワーク管理装置112を具備している。この例において、センタ装置11のATMスイッチ111には、ITVモニタ50と計算機60が接続されているが、これらは必須のものではない。ローカル通信端末15からノード装置12を経て送られたセルはATMスイッチを経由してITVモニタ50や計算機60に送られる。ノード装置12の障害/警報通知部25から送られてくる信号はネットワーク管理装置112へ送られて障害箇所の検出等の処理が行われる。
【0042】上記各構成から成るセンタ装置11,ノード装置12及び通信路13によって構築された本システムは、鉄道等の管理システムに適用できる。これにより、例えば、鉄道管理システムに適用した場合、ローカル通信端末15として踏切毎に監視カメラあるいは信号機等を設置し、上記監視カメラより必要な画像情報を入手してセンタ装置11に設けたITVモニタ50により監視するとともに、必要に応じて、センタ装置11に設けた計算機60から上記監視カメラの方向指示信号やズーム信号を与えて上記監視カメラをより望ましい監視体勢を維持するようにしたり、あるいは上記ITVモニタ50の表示画面から踏切事故を掌握し、適宜な制御信号を与えて上記信号機を制御することにより列車を事故発生位置前方で停止させる等の運行管理が可能となる。
【0043】特に、本システムは、ネットワーク内に複数のセンタ装置11を配置した構成を採用したものであり、図1における3つのセンタ装置11-1,11-2,11-3は、6つのノード装置12-1,12-2,12-3,12-4,12-5,12-6およびこれら各ノード装置12のそれぞれの入出力ポート14に接続される1または複数のローカル通信端末15の制御管理を行う。
【0044】この制御管理においては、各センタ装置11の負荷を考慮に入れた場合、例えば、ノード装置12-1はセンタ装置11-1で制御管理し、ノード装置12-2,12-3,12-4,12-5はセンタ装置11-2で制御管理し、ノード装置12-6はセンタ装置11-3で制御管理するというように、システムの構成すなわちセンタ装置11およびノード装置12の配置および通信路13の接続状況に応じて簡易的に制御管理することが望ましい。
【0045】他方、管理の対象によっては、1つのノード装置12を複数のセンタ装置11で管理する方が良い場合もある。例えば、上述した鉄道管理システムでは、安全性が最優先されるため、ある箇所で事故が発生した場合、その進行方向の十分手前で列車を停止させる等の措置をとる必要があり、このような場合には、むしろ1つのノード装置12を複数のセンタ装置11で制御管理するのが望ましい。
【0046】今、図1のシステムを鉄道管理システムに適用したものとし、同図の右側方向を鉄道の進行方向として列車の運行管理を考えてみる。ここで、ノード装置12-5に接続されるローカル通信端末15を踏切に設置された監視カメラとすると、当該踏切で事故があった場合、これを管轄するセンタ装置11-2では上記監視カメラの制御を行うことにより必要な画像情報を入手する。
【0047】この場合、ノード装置12-1に接続されるローカル通信端末15を信号機とすると、この信号機を制御するセンタ装置11-1においても、進行方向前方の事故を状況を迅速に把握するため、上記監視カメラの画像情報をモニタできることが望ましい。
【0048】かかる要望に対し、本システムでは、信号機を管轄するセンタ装置11-1と監視カメラを管轄するセンタ装置11-2とで後述する排他的な制御を行うことにより、当該センタ装置11-1における監視カメラの遠隔制御を可能としている。これにより、センタ装置11-1も遠隔地すなわち列車の進行方向前方の事故状況等の情報を迅速に入手でき、その後、上述の如く入手した事故状況等の情報および列車のダイヤ等を考慮に入れて、ノード装置12-1に接続された信号機を制御することにより、列車の運行をスムーズかつ安全に遂行することが可能となる。ここで、上記制御情報及び画像情報等のデータは、セル化されたデータとして通信路13上を伝送され、ノード装置12は、自装置に接続されるローカル通信端末15とセンタ装置11との間で、上記セル化されたデータを中継交換することにより、上記制御を実現する。
【0049】なお、上記センタ装置11-1,11-2間で上述のような排他的制御を実現するためには、これらセンタ装置11間での調停が必要であり、その調停は通信路13を介して行われる。また、障害等により、通信路13による通信が不可能になった場合には、該当するセンタ装置11間で上述した広域網16あるいは専用線等の通信路13以外の通信手段であるローカル通信手段を介して通信を維持する。その場合には、上述した監視カメラの制御および画像情報の入手も上記ローカル通信手段を通して行われる。
【0050】また、本システムでは、ノード装置12に接続されるローカル通信端末15の増設、更にはセンタ装置11で制御管理されるノード装置12の増設にも対応可能である。この増設に際しては、センタ装置11の処理能力が問題になることがあるが、この点に対しては、センタ装置11間で通信路13あるいは広域網16等のローカル通信手段を介してシステム構成等の管理情報をやり取りし、各センタ装置11毎に制御管理するノード装置12の構成管理情報を変更することにより対処している。
【0051】このように、本発明では、制御管理するノード装置12を各センタ装置11間で任意に変更する機能を有し、その変更は、障害が発生した場合の強制的な変更以外にも、例えばセンタ装置11の負荷の分散や管理上の都合等も考慮に入れて、各センタ装置11が管轄するノード装置12の数を柔軟に変更可能な構成を実現している。
【0052】ここで、図1におけるシステム構成において、複数のセンタ装置11のうちの2つのセンタ装置11-1,11-3を直線状の両端に配置する理由を説明する。今、地震等の自然災害により、例えばノード装置12-2,12-3間の対向する通信路13が障害を受けたものとする。この場合、それまでセンタ装置11-2の管理対象であったノード装置12-2がセンタ装置11-2と物理的に分断される。
【0053】本システム構成の場合、上記障害により、具体的には、ノード装置12-2のセンタ装置11-2側の通信路13が分断されることになるが、この分断位置に対するセンタ装置11-1側の通信路13は障害を受けていないので、同図の左側方向にあるノード装置12-1およびセンタ装置11-1との通信は可能である。ここでもし、センタ装置11-1が直線状の左端に配置されていない場合には、ノード装置12-1,12-2が完全に孤立してしまうことになるが、左端にセンタ装置11-1を配置した本システム構成によれば、上記の障害に対しても、該センタ装置11-1がノード装置12-2の制御管理を代行することにより通信を維持できる。
【0054】図6は、本発明の第2の実施の形態に係る通信システムの概略構成を示したものである。図1におけるシステムと構成上異なる点は、センタ装置11とノード装置12とを通信路13でループ状に接続している点のみである。
【0055】このループ状の接続構成によって、本システムは、直線状の接続構成を有する図1におけるシステムには無い以下のようなメリットを有する。すなわち、図1におけるシステムでは、例えば、ノード装置12-1,12-2,12-3を接続するセンタ装置11-1,11-2間の通信は通信路13を介して行うわけであるが、直線状の接続構成であることによって、これらセンタ装置11-1,11-2間の通信路13は当然1つしかない。従って、もし障害等により上記通信路13を介しての通信が不可能になった場合には、センタ装置11-1,11-2間では、広域網16等のローカル通信手段を介して通信をせざるを得ないことになる。
【0056】これに対して、図6に示すシステムの如くループ状の接続構成とした場合、センタ装置11-1,11-2間の通信路13としては、ノード装置12-1,12-2,12-3を経由するルートの他、ノード装置12-4,12-5,12-6,センタ装置11-3,ノード装置12-7,12-8,12-9,12-10 を経由するルートも存在する。従って、もしノード装置12-1,12-2,12-3を経由する通信路13に障害が発生した場合でも、必ずしも広域網16等のローカル通信手段を介さなくても、障害のない迂回したルートすなわちセンタ装置11-3を経由する通信路13を介してセンタ装置11-1,11-2間の通信を維持できる。
【0057】上述の如く、本発明において、センタ装置11はノード装置12の制御管理を行うわけであるが、この制御管理は、センタ装置11内に予めシステム構成等の管理情報を管理する管理テーブルを持つことによって実現される。この管理テーブルは、センタ装置11の例えばネットワーク管理装置112(図5参照)内に設けられる。この管理テーブルの一例を図7に示す。同図における管理テーブルは、図1に示すシステム構成におけるセンタ装置11内の管理テーブルの例であり、具体的には、図7(a)がセンタ装置11-1、同図(b)がセンタ装置11-2、同図(c)がセンタ装置11-3の管理テーブルに相当する。
【0058】この管理テーブルにあっては、ノード装置12の配置および通信路13の接続を考慮に入れて、“テーブルNo. (ナンバー)”に対応して“ノード装置名”が記述され、更に、この“ノード装置名”の右側には、該ノード装置名によって示されるノード装置12を制御管理する“管理センタ装置”が記述される。各センタ装置11-1,11-2,11-3は、これらの情報を基に各ノード装置12-1,〜,12-6を制御管理する。
【0059】上述した、図1のシステムでのノード装置12-2,12-3間における障害発生時の制御管理の代行において、センタ装置11-1,11-2は、後述するように、ノード装置12-2,12-3間の通信路13に障害が発生したことを検出し、それぞれの管理テーブルを上記代行制御に見合う内容に自律的に変更する。その変更によって、更新された管理テーブルの例をそれぞれ同図(d),(e)に示している。これらの図からも分かるように、この更新においては、センタ装置11-1,11-2とも、“ノード装置12-2”に対応する“管理センタ装置”の欄がセンタ装置11-2からセンタ装置11-1に書き換えられており、ノード装置12-2の被制御管理がセンタ装置11-2からセンタ装置11-1へ移行していることを裏付ける内容となっている。
【0060】上述した、センタ装置11-1,11-2における障害箇所の検出方法としては、センタ装置11-1若しくはセンタ装置11-2からノード装置12-1,12-2,12-3毎にそれぞれ折り返してくるような宛先のセルを送出し、各ノード装置12-1,12-2,12-3毎に一定時間を定め、センタ装置11-1若しくはセンタ装置11-2で当該セルが上記一定時間後に送り返されてきたかどうかを検出する方法により実現できる。
【0061】なお、図7に示した管理テーブルは、特に、各センタ装置11-1,11-2,11-3毎に、それぞれ対向するセンタ装置11までの“ノード装置名”と“管理センタ装置”が記述されている場合の例である。この例の場合は、センタ装置11は障害時に、他のセンタ装置11と管理テーブルの情報のやり取りを行うことなく、例えば図1のシステム構成で言えば、広域網16等のローカル通信手段を介して通信することなく、管理テーブルの更新が行える。
【0062】これに対して、上述したノード装置12の増設等に伴うセンタ装置11の負荷増大の軽減を目的として、あるノード装置12を他のセンタ装置11の管理対象に変更する場合には、障害のない通信路13あるいは広域網16等のローカル通信手段を介してセンタ装置11間で管理テーブルの情報のやり取りを行うことにより管理テーブルの更新を行う必要がある。
【0063】また、先に図1を参照して説明したように、鉄道等の管理システムにおける監視カメラの制御に関して、センタ装置11-2にまたがる制御の必要性がある場合には、図7におけるセンタ装置11-1の管理テーブル〔同図(a)参照〕においても、当該制御が及ぶノード装置12-5までの情報が必要である。更に、この場合、同図(a)及び(b)の管理テーブルのそれぞれの“ノード装置名”12-5に対応する“管理センタ装置”欄には、11-1,11-2という複数の“管理センタ装置”が記述される。このように、管理テーブルの“管理センタ装置”欄に、複数の“管理センタ装置”が記述されている場合は、これら複数の“管理センタ装置”間で調停を行い、該ノード装置12を制御する必要がある。
【0064】また、ノード装置12に複数のローカル通信端末15が接続される場合は、管理テーブル上に“ローカル通信端末名”の項目を追加した図8に示すような構成の管理テーブルを利用する。図8の例では、ノード装置12-4には15-8,15-9という2つのローカル通信端末15が接続され、更に、それぞれのローカル通信端末15-8,15-9はセンタ装置11-2,11-3で別々に管理されていることが分かる。
【0065】また、各センタ装置11が自らが管理するノード装置12のみの管理テーブルしか持たない場合は、これらセンタ装置11間での管理範囲の変更に際して、当該センタ装置11間では、障害のない通信路13あるいは広域網16等のローカル通信手段を介して通信を行う必要がある。すなわち、この通信において、管理テーブルの情報のやり取りを行い、管理テーブルの追加、削除といった更新処理を実行することにより、上記管理範囲の変更が可能となる。
【0066】次に、本発明の別の実施の形態について述べる。図9は、本発明の第3の実施の形態として、図1における直線状のシステム構成と図6におけるループ状のシステム構成とを混在させて成る通信システムの概略構成図である。同図では、簡単のため、各センタ装置11-1,11-2,11-3,11-4のそれぞれの管理対象下のノード装置12毎に、図に破線で示す領域A,B,C,Dにより分割している。各領域A,B,C,D内のセンタ装置11-1,11-2,11-3,11-4は、それぞれ、当該各領域内に属するノード装置12およびそれらに接続されるローカル通信端末15を制御管理する。
【0067】次に、このシステムの動作について説明する。例えば、領域A内でのデータ伝送に関して、センタ装置11-1の制御管理下のローカル通信端末15で得られた情報は、このローカル通信端末15を収容しているノード装置12へ、セル化されたデータとして送信される。この送信データは、上記ノード装置12を経由して、更にこのノード装置12の管理局であるセンタ装置11-1へと通信路13を介して送信される。
【0068】他方、センタ装置11-1では、管理対象の各ローカル通信端末15からそれぞれのノード装置12を経て送られてきた上記データを処理し、更には、通信路13またはセンタ装置11相互間を結ぶ広域網16等のローカル通信手段を介して入手した他領域の各センタ装置11からのデータを加えた処理を行った後、各ローカル通信端末15毎に適切なデータを送るべく、データをセル化して通信路13へと送り出す。
【0069】センタ装置11-1から送出されたセル化データは、管轄下の各ノード装置12で受信される。各ノード装置12は、受信されたセル化データの中から当該ノード装置12に接続されたローカル通信端末15宛のセル化されたデータのみを抽出し、このデータを宛先のローカル通信端末15に送出する。これにより、ローカル通信端末15はそれらの情報を受信して表示させる等の対応動作が可能となる。
【0070】更に、領域外のノード装置12に接続されたローカル通信端末15にデータを送る時は、まず、通信路13を介してあるいはセンタ装置11相互間を結ぶ広域網16等のローカル通信手段を介してその他領域のセンタ装置11へデータを送信し、該センタ装置11の制御管理の下に、宛先のローカル通信端末15へと上記データを送信する。なお、この領域外のローカル通信端末15へのデータ伝送においては、他領域のセンタ装置11の制御管理下で実施する以外にも、例えば、両センタ装置11間で調停の後、直接領域外の該ローカル通信端末15へデータを送出することも可能である。
【0071】また、図9におけるシステム構成においては、図1における鉄道管理システムの監視カメラ制御に代表されるような、領域にまたがった制御管理にも対応できる。しかしながら、本システムの場合は、図9に示すように通信路13がループ状の構成を成していることから、上記領域にまたがる制御を行う場合、通信路13中にどのローカル通信端末15宛でもないデータが発生し、ループ上を周り続ける危険性がある。そのため、本システム構成において、各センタ装置11は、ループ状に構成されたネットワーク全体の管理情報を確保し、その都度、上記のような不要データを廃棄する機能を有する必要がある。
【0072】次に、本システムにおける障害時の動作について説明する。図10は、図9に示す通信システムにおいて、ループ状に構成された通信路13に障害が発生した場合の、当該システムの自律的な通信機能の回復動作を説明する図である。同図に示すように、ノード装置12-1,12-2間の通信路13が分断され、障害箇所61が発生した場合、本来は領域A(図9参照)内にあったノード装置12-2は、この障害により、領域A内のセンタ装置11-1との正常な通信路13を切断され、孤立した状態になる。この時、センタ装置11-1では、上記障害箇所61を後述の方法により検出することにより、上記ノード装置12-2が孤立したことを判断し、本来の領域B(図9参照)内のセンタ装置11-2と領域C内のセンタ装置11-3を経由した通信路13あるいは領域A内のセンタ装置11-1と領域B内のセンタ装置11-2とを結ぶ広域網16等のローカル通信手段を介して、障害箇所情報および管理情報等をやり取りし、孤立した上記ノード装置12-2を領域B内のセンタ装置11-2の管理対象に変更することにより、自律的に通信機能の回復を行う。
【0073】なお、その際に、領域B内のセンタ装置11-2が領域A内のセンタ装置11-1と直線状につながれた領域A内のノード装置12-1,12-2の被管理情報等までも保持している場合には、この領域B内のノード装置11-2は、上記障害箇所情報を受信するだけで、すなわち両センタ装置11-1,11-2間の通信なしに自律的な通信機能の回復が可能となる。通信機能の回復後は、図10に示す如く、新たな領域A′,B′内のノード装置12をそれぞれ各センタ装置11-1,11-2が管理することになる。
【0074】次に、図11は、図9に示す通信システムにおいて、直線状に構成された通信路13に障害が発生した場合の、当該システムの自律的な通信機能の回復動作を説明する図である。同図に示すように、ノード装置12-10 ,12-11 間の通信路13が分断され、障害箇所71が発生した場合、本来は領域C(図9参照)内にあったノード装置12-11 は、この障害により、領域C内のセンタ装置11-3との正常な通信路13を切断され、孤立した状態になる。この時、領域C内のセンタ装置11-3では、上記障害箇所71を後述の方法により検出し、上記ノード装置12-11 が孤立したことを判断する。その後、このセンタ装置11-3は、上記ノード装置12-11 を、領域D内のセンタ装置11-4の管理対象に変更することにより、自律的に通信機能の回復を行う。この場合は、センタ装置11-3は、上記障害箇所71により通信路13を介しては通信ができなくなるため、広域網16等のローカル通信手段を利用してセンタ装置11-4との通信を行う。
【0075】また、この場合において、領域D内のセンタ装置11-4が領域C内のセンタ装置11-3と直線状につながれた領域C内のノード装置12-10 ,12-11 の被管理情報等までも保持している場合には、この領域D内のノード装置11-4は、領域C内のセンタ装置11-3との上記ローカル通信手段による通信を行わないまま、管理情報等の構成情報すなわち管理テーブルを変更することにより自律的な通信機能の回復も可能であることは上述の通りである。通信機能の回復後は、図11に示す如く、新たな領域C′,D′内のノード装置12をそれぞれ各センタ装置11-3,11-4が管理することになる。
【0076】次に、障害検出および通信機能の回復動作に関して更に詳しく述べる。なお、簡単のため、ここでは、図12に示すように、センタ装置11-1,11-2間に存在するノード装置12-1,12-2,12-3,12-4,12-5をバス型の通信路13で接続した場合のシステム構成を念頭において説明する。この場合における障害検出の方法としては、まず、ノード装置12がセンタ装置11または上流のノード装置12からのセルの伝送が停止されたことで行う方法がある。つまり、通信路13が切断された場合にはセルの伝送はおろか信号自体が伝送されてこないため、その状態を検出することにより障害の発生を認識できる。また、通信路13は正常で、上流のノード装置12の交換機能が故障した場合、空きセルの伝送だけは維持されるため、この空きセル以外のセルが到着しないことにより障害発生として認識することも可能である。
【0077】具体的な例をあげれば、ノード装置12(図2に参照)において、CPU部26が上記セル若しくは空きセルの伝送状況を監視し、セルの伝送が停止したこと、あるいは空きセル以外のセルが到来しないことを認識して、このCPU部26からセンタ装置11(図5R>5参照)のネットワーク管理装置112へと障害検出を通知する。
【0078】更に、別の方法としては、ノード装置12が自己特有の情報を搭載した障害監視セルを一定時間間隔で常に下流のノード装置12に送信し、下流のノード装置12では、上流のノード装置12からの前記障害監視セルの伝送が停止されたことで障害を検出することもできる。そして、ノード装置12は、障害検出時に、自己特有の情報を搭載した障害セルを特定の仮想通信路でセンタ装置11または下流のノード装置12に転送する。
【0079】具体的な例をあげれば、ノード装置12(図2に参照)において、障害が発生し、上流からの前記障害監視セルが途絶したことを障害/警報通知部25で検出すると、CPU部26ではクロック部27を自走させ、障害/警報通知部25から多重化部23を経由して障害警報信号をセル(障害セル)として下流に向かって送信する。
【0080】このように、通信路13の寸断により上流からのクロックが途絶えた場合は、ノード装置12は内蔵クロックを自走させて、上記障害セルを転送する。障害が発生するとその箇所以降の下流の全てのノード装置12で信号が途絶えるため、ほぼ一斉に上述の障害セル送出の動作を開始し、混乱が発生する。そのため、過渡的にはセンタ装置11のネットワーク管理装置112(図5参照)には各種の障害セルが届く。しかしながら、一定の時間が経過すると、それ以降は安定した障害セルを受信するようになる。その理由は、例えばある途中のノード装置12を例にとった場合、一旦、上流からの信号が途絶えると該ノード装置12は障害セルの送出を開始するが、ある時間が経つと該ノード装置12よりも上流のノード装置12がやはり同様な動作を行っていて、そこからの障害セルが到着するようになる。そこで、当該ノード装置12は障害セルの送信をやめ、上流からの障害セルの中継のみを行うようになるからである。このようにして、定常状態に落ち着いた時には、障害箇所に隣接するノード装置12のみが障害セルの送信を行っていることになる。
【0081】図12に示すシステムにおいて、点線で分割される領域A,Bの境界に隣接するノード装置12-2,12-3でループバックを行い、通信路13をループ構成とするシステムに変更した場合も、上述の説明の中の上流・下流を、上記ループにおけるデータの流れに沿った上流・下流と読換えることによって、上記障害監視セルを用いた障害検出方法が適用できる。この障害検出方法により、例えば、領域B内の左から2つ目のノード装置12-4と3つ目のノード装置12-5の間の通信路13が障害箇所だと判断された場合、本来の領域B内の左から2つのノード装置12-3,12-4を領域A内のセンタ装置11-1の制御管理下に変更する。
【0082】この場合において、変更の対象となるノード装置12のデータ伝送方向が問題となる。図12に示すようなバス型の通話路13を用いたシステム構成にあっては、領域AとBとではノード装置12内のデータの流れが、同図の下方に示すように、全く異なっている。すなわち、領域A内のノード装置12では、入出力ポート14から入力されるデータはセンタ装置11-1方向に流れ、領域B内のノード装置12では上記データがセンタ装置11-2方向に流れる。つまり、領域A,B内のノード装置12の構成が異なっている。この点に配慮し、障害時には、上記データの流れを変更すること、すなわちノード装置12の構成を変更することで、あるいは障害箇所に隣接したノード装置12-4,12-5をループバックモードで使用することにより通信機能の回復を図る必要がある。なお、通話路13がループ型を構成する場合は、ループバック点を障害箇所に変更することにより、通信機能の回復が可能となる。
【0083】更に、別の障害検出方法としては、各ノード装置12が自己特有の情報を搭載した障害監視セルを一定時間間隔で常にセンタ装置11に送信し、前記センタ装置11は上流のノード装置12からの前記障害監視セルの伝送が停止されたことで障害箇所を特定することも可能である。この他、本発明は上記の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形あるいは応用が可能であることは言うまでもない。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、複数のノード装置と、該各ノード装置に接続されるローカル通信端末を複数のセンタ装置により分散管理する構成において、センタ装置に、通信路手段またはローカル通信手段を通じてシステム構成等の管理情報を他のセンタ装置との間で互いに送受して、ノード装置およびローカル通信端末の管理範囲を変更する手段を設けたため、あるセンタ装置とその制御管理下のノード装置との通信路が途絶した場合も、このノード装置を本来管理に当たるべきセンタ装置以外のセンタ装置の管理下に移すことにより、災害等による障害発生時の自律的な通信機能の回復を確実かつ安定して行えるようになる。
【0085】 また、正常時においても、必要に応じて、各センタ装置間で管理対象のノード装置等を規定した構成管理情報を送受することで管理範囲を適宜変更することができ、これにより、例えば、鉄道管理システム等、複数のセンタ装置間にまたがるノード装置の制御が不可欠なシステムに適用して、任意の距離区間のノード装置を複数のセンタ装置で管理制御したり、1つのノード装置を複数のセンタ装置で重複して制御管理する等、管理制御の要望に沿った柔軟性の高いネットワーク構築が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの概略構成図。
【図2】図1のシステムにおけるノード装置の構成を示す図。
【図3】図2のノード装置における受信部及び分離部の構成を示す図。
【図4】図2のノード装置における多重化部及び送信部の構成を示す図。
【図5】図1のシステムにおけるセンタ装置の概略構成図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る通信システムの概略構成図。
【図7】図1のシステムにおける各センタ装置内の管理テーブルの一例を示す図。
【図8】図7における管理テーブルの拡張例を示す図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る通信システムの概略構成図。
【図10】図9のシステムにおけるループ状通信路部分での障害発生時の自律的通信機能回復動作を説明するための図。
【図11】図9のシステムにおける直線状通信路部分での障害発生時の自律的通信機能回復動作を説明するための図。
【図12】本発明に係るシステムにおいてノード装置をバス型の通信路で接続した場合のデータの流れをイメージ化した図。
【図13】この種の従来の通信システムの概略構成図。
【図14】従来の通信システムの鉄道管理システムへの適用例を示す図。
【符号の説明】
11 センタ装置
111 ATMスイッチ(SW)
112 ネットワーク管理装置
12 ノード装置
21 受信部
22 分離部
23 多重化部
24 送信部
25 障害/警報通知部
26 CPU部
27 クロック部
28 電源部
210,240 切替スイッチ
13 通信路
14 入出力ポート
15 ローカル通信端末
16 広域網
61,71 障害箇所
91 センタースイッチ構成部分
92 スイッチ構成部分
93 伝送路
94 入出力ポート
100 レール
95,101 障害箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の箇所に分散配置される複数のノード装置と、前記ノード装置のそれぞれに接続される1または複数のローカル通信端末と、前記ノード装置および前記ローカル通信端末を制御管理する複数のセンタ装置と、前記ノード装置と前記センタ装置を直列に接続する対向する通信路手段と前記センタ装置間に設けられるローカル通信手段とを具備し、前記センタ装置は、管理対象の前記ローカル通信端末に対するセル化データを前記通信路手段に送信する手段と、前記通信路手段または前記ローカル通信手段を通じてシステム構成等の管理情報を他のセンタ装置との間で互いに送受して、前記ノード装置および前記ローカル通信端末の管理範囲を変更する手段とを備え、前記ノード装置は、前記通信路手段から前記セル化データを受信し、該受信データの中から自ノード装置に接続されたローカル通信端末宛のセル化データを抽出して当該ローカル通信端末に出力するとともに、自ノード装置に接続された前記ローカル通信端末から前記センタ装置に対するセル化データを前記通信路手段を通じて送信する手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】 通信路手段は、前記ノード装置と前記センタ装置を直線状に接続し、前記複数のセンタ装置のうちの少なくとも2つは、当該直線状の通信路手段の両端に配置されることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】 通信路手段は、前記ノード装置と前記センタ装置をループ状に接続することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】 センタ装置は、ローカル通信手段を介して相互に接続され、前記通信路手段の一部に障害が発生した時、前記ローカル通信手段を通じて障害箇所情報およびシステム構成等の管理情報を送受して、前記障害によりあるセンタ装置と通信不能に陥ったノード装置を他のセンタ装置の管理対象に変更する手段を具備することを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項5】 通信路手段の一部に障害が発生したことを検出して、センタ装置をローカル通信手段を介して相互に接続させ、前記ローカル通信手段を通じて障害箇所情報およびシステム構成等の管理情報を送受して、前記障害によりあるセンタ装置と通信不能に陥ったノード装置を他のセンタ装置の管理対象に変更する手段を具備することを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項6】 センタ装置は、ローカル通信手段を介して相互に接続され、前記通信路手段の一部に障害が発生した時、障害のない迂回した前記通信路手段または前記ローカル通信手段を通じて障害箇所情報およびシステム構成等の管理情報を送受して、前記障害によりあるセンタ装置と通信不能に陥ったノード装置を他のセンタ装置の管理対象に変更する手段を具備することを特徴とする請求項3記載の通信システム。
【請求項7】 通信路手段の一部に障害が発生したことを検出して、センタ装置をローカル通信手段を介して相互に接続させ、障害のない迂回した前記通信路手段または前記ローカル通信手段を通じて障害箇所情報およびシステム構成等の管理情報を送受して、前記障害によりあるセンタ装置と通信不能に陥ったノード装置を他のセンタ装置の管理対象に変更する手段を具備することを特徴とする請求項3記載の通信システム。
【請求項8】 センタ装置は、前記ノード装置から送られてくる当該ノード装置の情報が搭載された障害セルに基づき前記障害箇所を特定することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の通信システム。
【請求項9】 ノード装置は、センタ装置または上流のノード装置からのセルの伝送が停止されたことにより障害を検出する手段を具備し、障害検出時、自己特有の情報を搭載した障害セルを特定の仮想通信路でセンタ装置または下流のノード装置に転送することを特徴とする請求項8記載の通信システム。
【請求項10】 ノード装置は、自己特有の情報を搭載した障害監視セルを一定時間間隔で常に下流のノード装置に送信し、上流のノード装置からの前記障害監視セルの伝送が停止されたことにより障害を検出する手段を具備し、障害検出時、自己特有の情報を搭載した障害セルを特定の仮想通信路でセンタ装置または下流のノード装置に転送することを特徴とする請求項8記載の通信システム。
【請求項11】 ノード装置は、自己特有の情報を搭載した障害監視セルを一定時間間隔で常にセンタ装置に送信し、前記センタ装置は、前記ノード装置からの前記障害監視セルの伝送が停止されたことにより障害箇所を特定することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の通信システム。
【請求項12】 ノード装置およびセンタ装置および通信路手段は、ATM交換機能により実現されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の通信システム。

【図5】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【特許番号】特許第3507602号(P3507602)
【登録日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【発行日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−293098
【出願日】平成7年11月10日(1995.11.10)
【公開番号】特開平9−135251
【公開日】平成9年5月20日(1997.5.20)
【審査請求日】平成13年9月6日(2001.9.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【参考文献】
【文献】特開 昭62−185430(JP,A)
【文献】特開 昭62−284540(JP,A)
【文献】特開 昭55−47530(JP,A)
【文献】特開 昭60−223249(JP,A)