説明

通信手段を有する測量機

【課題】 複数の測量機へ測量に必要なプログラムを迅速かつ容易に記憶させ、各測量機を自動的に設定する。
【解決手段】 外部機器(4)との通信を行う通信手段(10)を有する測量機(1)において、この測量機は、外部機器から送信されたプログラム及び設定データを通信手段を介して取り込み、プログラム及び設定データに従って測量機を設定する測量機設定手段を有する。さらに、この測量機は、記憶しているプログラム及び設定データの全部又は任意の部分を通信手段を介して他の測量機(2)に送信する情報送信手段と、他の測量機から送信されてきたプログラム及び設定データを取り込み、他の測量機が正しく設定されたか否かを確認する設定確認手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器との通信を行う通信手段を有する測量機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の測量機においては、測量機の操作のためと、測量に必要な動作を行わせるプログラムを記憶したメモリーカードが用いられている。メモリーカードとは、ICカードとも呼ばれ、CPUとメモリ(ROM及びRAM)を内蔵しており、このROM内にプログラムが記憶されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−215546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載されたメモリーカードのメモリは、一般に記憶容量が大きなものではなく、測量機で行える全ての測量に関するプログラムを1枚のメモリーカードに収納することができず、複数枚のカードに分けてプログラムを記憶していた。このため、測量の種類に応じてメモリカードを交換することが必要になり、この交換が煩わしいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、複数の測量機へ測量に必要なプログラムを迅速かつ容易に記憶させることができ、各測量機は記憶したプログラムによって自動的に設定されることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、外部機器との通信を行う通信手段を有する測量機において、前記測量機は、前記外部機器から送信されたプログラム及び設定データを前記通信手段を介して取り込み、前記プログラム及び設定データに従って前記測量機自体を設定する測量機設定手段を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明において、前記測量機に記憶しているプログラム及び設定データの全部又は任意の部分を前記通信手段を介して外部機器に送信する情報送信手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、請求項2に係る発明において、前記外部機器は他の測量機であり、前記他の測量機の設定後に前記他の測量機から送信されてきたプログラム及び設定データを取り込み、前記他の測量機が正しく設定されたか否かを確認する設定確認手段を有すること特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、外部機器との通信を行う通信手段を有する測量機を測定可能に設定するプログラムにおいて、前記プログラムは、前記測量機を測定可能に設定するプログラム及び設定データを前記外部機器に記憶するか又は前記プログラム及び設定データを訂正する入力編集手順と、前記プログラム及び設定データを前記通信手段を介して前記外部機器から前記測量機に送信する情報送信手順と、前記プログラム及び設定データに従って前記測量機を設定する測量機設定手順とを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、請求項4に係る発明において、前記測量機の設定後に前記測量機から送信されてきたプログラム及び設定データを取り込み、前記測量機が正しく設定されたか否かを前記外部機器が確認する設定確認手順を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上に述べたように、請求項1に係る発明の測量機によれば、外部機器から送信されたプログラム及び設定データを通信手段を介して取り込み、前記プログラム及び設定データに従って測量機自体を設定するデータ設定手段を有するので、外部機器によって複数の測量機を迅速容易に設定にできる。
【0012】
請求項2に係る発明の測量機によれば、さらに、測量機が記憶しているプログラム及び設定データの全部又は任意の部分を通信手段を介して外部機器に送信する情報送信手段を有するので、設定済みの測量機が正しく設定されたかどうか、外部機器から容易に判る。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、さらに、外部機器が他の測量機であるから、設定済みの測量機が記憶しているプログラム及び設定データの全部又は任意の部分を他の測量機に送信して他の測量機を測量可能な状態に設定できる。そして、設定済みの測量機は、他の測量機の設定後に他の測量機から送信されてくるプログラム及び設定データを取り込み、他の測量機が正しく設定されたか否かを確認することができる。他の測量機が正しく設定されていない場合は直ちに再設定ができて便利であり、正しく設定された場合は安心して測量機を使用できる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、測量機を測定可能に設定するプログラム及び設定データをパソコンに記憶させることにより、パソコンを経済的かつ簡単に本発明の外部機器とすることができる。そして、外部機器から測量機に前記プログラムと設定データを送って測量機を簡単に設定することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、さらに、外部機器では測量機から設定後に返信されてきたプログラム及び設定データを受信して、測量機が正しく設定されたか否かを確認する手順を記録しているから、外部機器側から、測量機が正しく設定されたかどうかが直ちに分るので、正しく設定されていない場合は直ちに再設定ができて便利であるとともに、正しく設定された場合は安心して測量機を使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1−図3に基づいて、本発明の一実施例について説明する。図1は、本発明の本実施例一実施例である測量機と外部機器との接続を示す図である。図2は、前記測量機のブロック図ある。図3は、一つの測量機から他の測量機を設定する手順を示すフローチャートである。
【0017】
本実施例の測量機1は、図1に示したように、通信手段10を介して、ハードディスク5等の大容量記録媒体を内蔵したパーソナルコンピュータ3(以下、パソコンという。)等の情報処理機器や他の測量機2等の外部機器4と接続されている。この通信手段10としては、通信ケーブル、電話、携帯電話、インターネット等、データの送受信ができるものであればどのようなものでもよい。データの形式は、データを単純に羅列した形式、データをカンマで区切ったCSV形式、構造をもつXML形式等、受信側でデータを読めるものであればどのようなものでもよい。
【0018】
各測量機1、2は、図2に示したように、CPU(中央処理装置)12、メモリ14、メモリカード等(記録媒体)に読み書きを行う記憶装置16、I/O(入出力部)18、キーボード等の入力装置20、測定部22、液晶ディスプレイ等の表示装置24を備えている。メモリ14及び記憶装置16からなる記憶手段26は、測定部22で得たデータ、測定部22を制御するためのプログラム、後述する種々のプログラム等を記憶している。CPU12は、測定部22、メモリ14、記憶装置16、入力装置20、表示装置24に接続されていて、測定部22を制御して測量データを得て、この測量データを記憶手段26に記憶させるとともに、表示装置24に表示させる。
【0019】
さらに、CPU12は、I/O18と通信手段10を介して、パソコン3や他の測量機等の外部機器4に接続されており、外部機器4から測量に必要な種々のプログラムと設定データを取り込み、これらのプログラムと設定データを記憶手段26に記憶させる。
【0020】
これらのプログラムには、外部機器4から送信されてきたプログラム及び設定データに基づいて測量機1、2を測定可能な状態に設定する測量機設定手順(測量機設定手段)と、測量機1、2の設定後のプログラム及び設定データを外部機器4に送信したり、他の測量機を設定するときに記憶手段26に記憶しているプログラム及び設定データの全部又は任意の部分を他の測量機に送信したりする情報送信手順(情報送信手段)と、設定した測量機から送信されてきた設定後のプログラムと設定データを取り込み、設定した測量機が正しく設定されたか否かを確認する設定確認手順(設定確認手段)と、入力装置20から入力されたプログラムと設定データを記憶手段26に記憶させるか、又は記憶手段26に記録されているプログラム又は設定データを入力装置20により訂正したり編集したりする入力編集手順(入力編集手段)と、測量結果をパソコン3等の外部機器4に報告する測量結果報告手順(測量結果報告手段)と、他の測量機から送られてくる測量結果を記憶手段26に記憶する測量結果記憶手順(測量結果記憶手段)等が含まれる。そして、これらのプログラムは、外部機器4から各測量機1、2にダウンロードして適時実行できるようになっている。
【0021】
パソコン3も、測定部22を持たないことを除いて、図2に示した構成を持っている。そして、記憶手段26に記憶している測量に必要なプログラム及び設定データの全部又は任意の部分を外部機器である測量機1、2に送信する情報送信手順(情報送信手段)と、設定した測量機から送信されてきたプログラム及び設定データを取り込み、設定した測量機が正しく設定されたか否かを確認する設定確認手順(設定確認手段)と、入力装置20から入力されたプログラム及び設定データを記憶手段26に記憶させるか、又は記憶手段26に記録されているプログラム又は設定データを入力装置20により訂正したり編集したりする入力編集手順(入力編集手段)と、多数の測量機1、2から送られてくる測量結果を記憶手段26に記憶する測量結果記憶手順(測量結果記憶手段)を実行できるようになっている。これらのプログラム及び設定データは、ハードディスク、CD-R/RW、DVD-RAM等の記録媒体に記録されていて、記憶装置16でメモリ14へ読み取って、適時使用できるようになっている。
【0022】
特に、パソコン3は、極めて大容量のハードディスク等の記録媒体を読み書きできる記憶装置16を備えているので、多数の測量機1、2に必要な設定項目とそのデータを記憶手段26に記憶でき、また、多数の測量機1、2から送られてくる多量の測定データを記憶できる。さらに、パソコン3は、入力装置20として効率的にデータ等の入力作業ができる大きさとキー配列を有するキーボードを備えているので、各測量機1、2の設定データ等の入力又は編集が容易であるうえ、多数の測量機1、2で得た新たな多量の測定データを用いて、各測量機1、2の測量に必要な設定データ等の訂正等の編集も可能になっている。
【0023】
もちろん、汎用性のあるパソコン3の代りに、前述のパソコン3と同じ構成と同じプログラムを備えて、測量機1、2の設定と、これらの測量機1、2の測量結果の記憶のみを行う専用機を用いることも可能である。
【0024】
図3に、測量機2の外部機器である測量機1から測量機2に測量に必要なプログラムと設定データを送信して、測量機2が送られてきたプログラムと設定データに基づいて測定可能な状態に設定されるまでのフローチャートを示す。
【0025】
測量機1には、予め測量に必要なプログラムと設定データを記憶手段26に記憶しておく。もし、必要なプログラム又は設定データが記憶されていない場合や修正したい場合は、入力装置20からそれらを入力して、プログラムと設定データを記憶させるか訂正する。
【0026】
測量機2の設定を開始すると、まずステップS1に進んで、測量機1は、測量機2を設定するために必要な設定データファイルを作成する。これには、両測量機1、2間で同期させる設定項目を選択する。この設定項目の選択は、測量機によっては、設定項目が異なるため、同じ設定項目が同期して両測量機1、2間で送受信されるようにするものである。同期させる設定項目を選択すると、設定データを並べた設定データファイルが作成される。次に、ステップS2に進み、必要なプログラムと設定データファイルを測量機1から測量機2に通信手段10を介して送信する。このステップS1及びS2が、本発明の情報送信手段を構成する。
【0027】
測量機2は、測量機1から必要なプログラムと設定データファイル受信すると、ステップS3に進んで、プログラムと設定データファイルを取り込み記憶手段26に記憶する。次に、ステップS4に進み、測量機2は、記憶手段26に記憶したプログラムと設定データに基づき、設定可能な項目について測量機2の設定を行う。このステップS3及びS4は、測量機設定手段を構成する。測量機2の設定が終わると、ステップS5に進み、測量機1へ返信する設定データに関する返信データファイルを作成する。そして、ステップS6に進んで、設定後の測量機2のプログラムと返信データファイルを測量機1に送信する。このステップS5及びS6も、情報提供手段を構成する。
【0028】
測量機1は、測量機2からプログラムと返信データファイルが受信すると、ステップS7に進み、プログラムと返信データファイルを取り込み記憶手段26に記憶する。そして、ステップS8に進んで、測量機1の記憶手段に記憶されているプログラムと設定データと、測量機2から返信されてきたプログラムと設定データとを比較し、測量機2が正しく設定されたか否かを確認する。測量機2が正しく設定されていない場合は、ステップS9に進み、表示装置24にエラーを表示するとともに、正しく設定されなかった設定項目とそれらの設定データと、正しく設定されなかった推定原因を表示する。測量機2が正しく設定されなかった場合は、正しく設定されなかった原因を取り除いた後に、ステップS1に戻って、測量機2の設定を再度実行する。
【0029】
測量機2が正しく設定された場合は、ステップS10に進み、設定終了を表示して当該測量機の設定を終了する。このステップS7、S8、S9及びS10は、設定確認手段を構成する。
【0030】
もちろん、パソコン3も、記憶手段26に記憶するプログラムと設定データの全部又は任意の部分を外部の測量機1、2に提供する情報送信手順(情報送信手段)と、当該測量機1、2が正しく設定されたか否かを確認する設定確認手順(設定確認手段)と、入力装置20から入力された測量プログラム及び設定データを記憶手段26に記憶するか、又は入力装置20からの入力に基づいて記憶手段26に記憶されているプログラム又は設定データを訂正する入力編集手順(入力編集手段)を有しているので、図3に示したように測量機1、2とプログラム及び設定データの送受信をして、測量機1、2の設定を行うことができる。また、測量機1のプログラムと設定データをパソコン3に提供し、パソコン3からそのプログラムと設定データを測量機2にそのまま提供するか、又は、パソコン3でその設定データを訂正等の適当な編集後に測量機2に提供してもよい。
【0031】
前述した本実施例は、次のような効果を奏する。(1)測量に必要なプログラム及び設定データについて、既にプログラムが入力済みで且つ設定済みの測量機1から、他の測量機2にプログラムと設定データを提供することにより、複数の測量機2を迅速容易に設定にできる。(2)測量に必要な設定データをパソコン3のキーボードから入力することが可能なので、大量の設定データを迅速容易に入力又は編集してパソコン3に記憶でき、パソコン3に記憶されたプログラムと設定データを測量機1、2に提供することにより、複数の測量機1、2を迅速容易に設定にできる。(3)設定後に測量機2からプログラムと設定データが測量機1又はパソコン3に返信されてくるので、測量機2が正しく設定されたかどうかが直ちに分るので、正しく設定されていない場合は直ちに再設定ができて便利であるとともに、正しく設定された場合は安心して測量機2を使用できる。(4)パソコン3の記憶手段26には、測量機1、2のプログラムと設定データがバックアップされているので、測量機1、2のプログラムと設定データが失われても、簡単に測量機1、2へのプログラム入力と測量機1、2の再設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例である測量機と外部機器との接続を示す図である。
【図2】前記測量機のブロック図ある。
【図3】一つの測量機から他の測量機を設定する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1、2 測量機
3 パーソナルコンピュータ
4 外部機器
5 ハードディスク(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器との通信を行う通信手段を有する測量機において、
前記測量機は、前記外部機器から送信されたプログラム及び設定データを前記通信手段を介して取り込み、前記プログラム及び設定データに従って前記測量機を設定する測量機設定手段を有することを特徴とする通信手段を有する測量機。
【請求項2】
前記測量機に記憶しているプログラム及び設定データの全部又は任意の部分を前記通信手段を介して外部機器に送信する情報送信手段を有することを特徴とする請求項1に記載の通信手段を有する測量機。
【請求項3】
前記外部機器は他の測量機であり、該他の測量機の設定後に前記他の測量機から送信されてきたプログラム及び設定データを取り込み、前記他の測量機が正しく設定されたか否かを確認する設定確認手段を有すること特徴とする請求項2に記載の通信手段を有する測量機。
【請求項4】
外部機器との通信を行う通信手段を有する測量機を測定可能に設定するプログラムにおいて、
前記プログラムは、前記測量機を測定可能に設定するプログラム及び設定データを前記外部機器に記憶するか又は前記プログラム及び設定データを訂正する入力編集手順と、前記プログラム及び設定データを前記通信手段を介して前記外部機器から前記測量機に送信する情報送信手順と、前記プログラム及び設定データに従って前記測量機を設定する測量機設定手順とを含むことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記測量機の設定後に前記測量機から送信されてきたプログラム及び設定データを取り込み、前記測量機が正しく設定されたか否かを前記外部機器が確認する設定確認手順を含むことを特徴とする請求項4に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−3201(P2006−3201A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179623(P2004−179623)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000148623)株式会社ソキア (114)