説明

通信機器の筐体

【課題】 本発明は通信機器の筐体に係り、光ファイバーケーブル導入部とこれに取り付くカバーに改良を加え、工事作業の際に、光ファイバーケーブルの損傷を防止した通信機器の筐体を提供することを目的とする。
【解決手段】 請求項1に係る通信機器の筐体は、光ファイバーケーブルを接続する光ファイバーケーブル導入部が形成された筐体本体と、前記光ファイバーケーブル導入部を覆って筐体本体に着脱自在に取り付き、光ファイバーケーブル導入方向と交叉する方向へスライド操作可能なカバーとからなり、前記光ファイバーケーブル導入部と前記カバーに、カバー操作時の光ファイバーケーブル断線防止のストッパ機構を設けたことを特徴とする。
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の通信機器の筐体に於て、前記ストッパ機構は、筐体本体の光ファイバーケーブル導入部に設けた突起部と、前記カバー側に形成され、カバー操作時に前記突起部が係止する係止部とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーケーブルを使用して信号の送受信を行う通信機器の筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気ケーブルに代え、今日、通信機器は光ファイバーケーブルを使用して信号の送受信を行っており、昨今では、新しい光コネクタの採用によって通信機器への光ファイバーケーブルの接続が簡単に行えるようになり、通信機器の筐体の簡素化,小型化が図られている。
【0003】
そして、光ファイバーケーブルを筐体に引き込んで固定する場合、特許文献1に開示されたネジ止め構造に代え、昨今ではネジを用いずに光ファイバーケーブルの固定が可能なケーブル固定具が広く使用されており、出願人は特許文献2に於て、光ファイバーケーブルの伝送特性に影響を与えることなく、簡単に光ファイバーケーブルを筐体の光ファイバーケーブル導入部(コネクタ接続部)に固定することができるケーブル固定具を提案した。
【0004】
また、筐体には、光ファイバーケーブル導入部を覆うカバーが取り付けられており、光コネクタを筐体側のアダプタに接続し、光ファイバーケーブルをケーブル固定具で筐体の光ファイバーケーブル導入部に固定した後、カバーを被せて光ファイバーケーブル導入部を保護している。
【特許文献1】特開平7−134214号公報
【特許文献2】特願2006−339557
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光ファイバーケーブルは曲げ等の外部ストレスに弱く、工事作業には注意が要求される。
【0006】
このため、通信機器の保守作業等に於て、光ファイバーケーブル導入部からカバーを取り外す際に、光ファイバーケーブルを傷つけることなく作業を行える筐体のカバー構造が要求されていた。
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、光ファイバーケーブル導入部とこれに取り付くカバーに改良を加え、工事作業の際に、光ファイバーケーブルの損傷を防止した通信機器の筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る通信機器の筐体は、光ファイバーケーブルを接続する光ファイバーケーブル導入部が形成された筐体本体と、前記光ファイバーケーブル導入部を覆って筐体本体に着脱自在に取り付き、光ファイバーケーブル導入方向と交叉する方向へスライド操作可能なカバーとからなり、前記光ファイバーケーブル導入部と前記カバーに、カバー操作時の光ファイバーケーブル断線防止のストッパ機構を設けたことを特徴とする。
【0009】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の通信機器の筐体に於て、前記ストッパ機構は、筐体本体の光ファイバーケーブル導入部に設けた突起部と、前記カバー側に形成され、カバー操作時に前記突起部が係止する係止部とからなることを特徴とし、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の通信機器の筐体に於て、前記係止部は、カバーに設けた係止孔であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載の通信機器の筐体に於て、前記カバーに、カバー操作時に前記突起部を案内するガイド部を設けたことを特徴とし、請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4に記載の通信機器の筐体に於て、前記光ファイバーケーブル導入部に挿入孔を形成し、該挿入孔の近傍に前記突起部を設けると共に、前記カバーに、前記挿入孔に挿入可能で平面視U字状の切欠き溝を有する突片を形成し、該切欠き溝の先端に、前記突起部が係止する係止孔を設けたことを特徴とする。
【0011】
更に、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の通信機器の筐体に於て、前記突片は、前記挿入孔に係止可能な係止片であることを特徴とし、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の通信機器の筐体に於て、前記ストッパ機構は、カバー操作時の力点に設けられていることを特徴とする。
【0012】
更にまた、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の通信機器の筐体に於て、前記カバーは、カバー操作時の力点の押圧操作で撓み、前記係止孔内に前記突起部が係止することを特徴とする。
【0013】
そして、請求項9に係る発明は、光ファイバーケーブルを接続する光ファイバーケーブル導入部が形成された筐体本体と、光ファイバーケーブル導入方向に沿って前記筐体本体にヒンジ機構を介してスライド可能、且つ該ヒンジ機構を介して回転可能に取り付き、光ファイバーケーブル導入部を開閉するカバーとからなることを特徴とし、請求項10に係る発明は、請求項9に記載の通信機器の筐体に於て、前記筐体本体に、前記カバーのスライド規制部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
各請求項に係る発明によれば、カバー操作時に、カバーによる光ファイバーケーブルの断線を確実に防止することができることとなった。
【0015】
また、請求項4に係る発明によれば、ガイド部によってカバーの取付け/取り外し作業がスムーズに行える利点を有し、請求項8に係る発明によれば、より確実にカバーによる光ファイバーケーブルの断線を防止することができる。
【0016】
そして、請求項9に係る発明によれば、スライド規制部がカバーに当接してスライドを規制するため、カバーの位置決めがなされてカバーの無用な動きを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1乃至図3は請求項1乃至請求項8に係る通信機器の筐体の一実施形態を示し、図示するように筐体1は、上部の角部に平面視矩形状の光ファイバーケーブル導入部(コネクタ接続部)3が凹状に形成された筐体本体5と、光ファイバーケーブル導入部3を覆って筐体本体5に着脱自在に取り付くカバー7とからなり、カバー7は、光ファイバーケーブル9の導入方向と交叉(直交)する方向(図2中、矢印A,B方向)へスライド操作可能な構造となっている。
【0019】
尚、筐体本体5及びカバー7は、ABS樹脂等を用いて金型成形により夫々一体形成されている。
【0020】
そして、図3に示すように筐体本体5の側方から光ファイバーケーブル導入部3に光ファイバーケーブル9が導入され、光ファイバーケーブル9の先端に光コネクタ11が接続されている。そして、光コネクタ11は、光ファイバーケーブル導入部3の一側面13に装着したアダプタ15に直接接続できるようになっている。
【0021】
また、図示しないが光ファイバーケーブル導入部3の底部17には、従来と同様、ケーブル固定具が着脱自在に取り付くケーブル固定台が設けられており、既述したように光コネクタ11をアダプタ15に接続して、ケーブル固定具で光ファイバーケーブル9をケーブル固定台に固定した後、カバー7を被せて光ファイバーケーブル導入部3を保護するようになっている。
【0022】
図1乃至図8に示すようにカバー7は、筐体本体5の上面5a,側面5b,前面5cと夫々面一に取り付く上面7a,側面7b,前面7cからなる断面L字状に形成され、側面7bには、光ファイバーケーブル導入部3に導入した光ファイバーケーブル9を挿通させる切欠き状のケーブル挿通孔19が幅広に設けられている。
【0023】
そして、図2乃至図6,図8に示すようにカバー7の上面7aの一側縁(図2中、矢印A方向側)の裏面側中央に、光ファイバーケーブル導入部3側に設けた挿入孔21に係止可能な係止片(突片)23が外方へ一体的に突設されており、係止片23の先端にラチェット状の係止爪25が設けられている。
【0024】
また、前記係止片23の左右に、該係止片23よりも突出量の少ない突片27,29が係止片23と同方向に突設されている。
【0025】
一方、図2及び図3に示すように光ファイバーケーブル導入部3内には、矢印A方向へスライド操作されるカバー7に対向して段部31が設けられている。そして、段部31の上部に、前記突片27,29に対応して案内溝33,35がカバー7の操作方向に沿って設けられており、両案内溝33,35の中間に前記挿入孔21が開口している。
【0026】
そして、図2に示すように前記案内溝33,35に、夫々、カバー7の突片27,29を当接させてカバー7を矢印A方向へスライド操作すると、案内溝33,35に沿ってカバー7が同方向へ案内され、前記挿入孔21に係止片23が係止して図1の如くカバー7が光ファイバーケーブル導入部3を覆って筐体本体5に取り付くようになっている。
【0027】
尚、斯様にカバー7が取り付くことで、カバー7の矢印A方向のスライド操作が規制されるが、前記ケーブル挿通孔19は、カバー7の矢印A方向のスライド操作時に光ファイバーケーブル9がカバー7で断線されない幅寸法を以って形成されている。
【0028】
そして、図1の如くカバー7が光ファイバーケーブル導入部3を覆って筐体本体5に取り付いた状態で、係止片23に対応するカバー7の表面側を力点として、これを押圧し乍らカバー7を矢印B方向へスライド操作すると、挿入孔21と係止片23との係止状態が解除されて、カバー7が光ファイバーケーブル導入部3から取り外せるようになっている。
【0029】
しかし、斯様にカバー7を矢印B方向へスライド操作した場合、カバー7のスライド量が多いと、ケーブル挿通孔19を挿通する光ファイバーケーブル9がカバー7で断線してしまう虞がある。
【0030】
そこで、本実施形態は、カバー操作時(カバー7の取り外し操作時)の光ファイバーケーブル9の断線を防止するストッパ機構を設けたことを特徴とする。
【0031】
即ち、先ず、図6に示すように前記係止片23に、カバー7の前面7c側に開口する平面視U字状の切欠き溝37を設け、該切欠き溝37内の先端に係止孔(係止部)39を設けている。
【0032】
一方、図3に示すように前記段部31の上部に、前記係止孔39に係止可能な突起部41を挿入孔21の近傍に設けており、突起部41は前記切欠き溝37の形状に沿った平面形状に形成されている。そして、カバー7の取付時に、図2の如く案内溝33,35にカバー7の突片27,29を当接させて係止片23先端の係止爪25を挿入孔21に当接させると、突起部41が係止孔39に対応して切欠き溝37の先端に軽く挿入するようになっている。
【0033】
そして、斯かる状態でカバー7を矢印A方向へスライド操作すると、既述したように案内溝33,35によってカバー7が同方向へ案内され、また、突起部41が挿入した切欠き溝37がカバー7を同方向へ案内するため、挿入孔21に係止片23が係止して図1の如くカバー7が光ファイバーケーブル導入部3を覆って筐体本体5に取り付く。尚、この状態で、突起部41は切欠き溝37内に位置している。
【0034】
このように、切欠き溝37に突起部41が挿入して該切欠き溝37がカバー7を矢印A方向へ案内するため、好ましくは前記案内溝33,35と突片27,29とのガイド機構がカバー操作に必要であるが、案内溝33,35と突片27,29を省略し、切欠き溝37と突起部41のガイド機構のみでカバー7を矢印A方向へ案内させるようにしてもよい。
【0035】
そして、既述したように、図1の如くカバー7が筐体本体5に取り付いた状態で、係止片23に対応するカバー7の表面側を力点としてこれを押圧し乍らカバー7を矢印B方向へスライド操作すると、挿入孔21と係止片23との係止状態が解除されてカバー7が光ファイバーケーブル導入部3から取り外せるが、斯様に係止片23に対応するカバー7の表面側を押圧し乍らカバー7をスライド操作すると、カバー7が下方へ変形する。
【0036】
このため、図2の如くカバー7が矢印B方向へ移動して挿入孔21と係止片23との係止状態が解除されたとき、カバー7の変形で係止孔39内に突起部41が深く係止してカバー7の矢印B方向への移動を規制し、これにより、カバー7がケーブル挿通孔19を挿通する光ファイバーケーブル9を断線しないようになっている。
【0037】
この後、図2の状態からカバー7を上方へ持ち上げて、カバー7を筐体本体5から取り外せばよい。
【0038】
本実施形態に係る筐体1はこのように構成されているから、筐体1に光ファイバーケーブル9を接続してカバー7を取り付けるには、先ず、図3の如く光コネクタ11を光ファイバーケーブル導入部3のアダプタ15に接続して、光ファイバーケーブル9をケーブル固定具で光ファイバーケーブル導入部3のケーブル固定台に固定する。
【0039】
次いで、図2に示すように光ファイバーケーブル導入部3の案内溝33,35にカバー7の突片27,29を当接させて、係止片23の係止爪25を挿入孔21に当接させる。
このとき、筐体本体5側の突起部41が切欠き溝37の先端に軽く挿入される。
【0040】
そして、斯かる状態でカバー7を矢印A方向へスライド操作すると、案内溝33,35に沿ってカバー7が同方向へ移動すると共に、切欠き溝37に突起部41が深く挿入して切欠き溝37がカバー7を同方向へ案内するため、挿入孔21に係止片23が係止して、図1の如くカバー7が光ファイバーケーブル導入部3を覆って筐体本体5に取り付く。
【0041】
而して、斯様にカバー7が筐体本体5に取り付くことでカバー7の矢印A方向のスライド操作が規制されるが、既述したように前記ケーブル挿通孔19は、カバー操作によって光ファイバーケーブル9がカバー7で断線されない幅寸法とされているため、カバー7の取付け作業時に光ファイバーケーブル9がカバー7で断線されることがない。
【0042】
また、保守作業等でカバー7を筐体本体5から取り外す場合には、係止片23に対応するカバー7の表面側を力点として、これを押圧し乍らカバー7を矢印B方向へスライド操作すると、挿入孔21と係止片23との係止状態が解除される。
【0043】
そして、斯様にカバー7を押圧するとカバー7は下方へ変形するため、図2の如くカバー7が矢印B方向へ移動して挿入孔21と係止片23との係止状態が解除されたとき、カバー7の変形で係止孔39内に突起部41が深く係止してカバー7の矢印B方向への移動が規制され、これにより、カバー7がケーブル挿通孔19を挿通する光ファイバーケーブル9を断線することがなくなる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、カバー7の取り外し操作時に、カバー7による光ファイバーケーブル9の断線を防止することができるが、既述したように本実施形態は、係止片23に対応するカバー7の表面側を力点として、これを押圧し乍らカバー7を矢印B方向へスライド操作すると、カバー7の変形で係止孔39内に突起部41が深く係止してカバー7の矢印B方向への移動が規制されるようにしたので、カバー操作による光ファイバーケーブル9の断線を確実に防止することができる利点を有する。
【0045】
また、前記案内溝33,35と突片27,29からなるガイド機構、そして、前記切欠き溝37と突起部41からなるガイド機構によって、カバー7の取付け/取り外し作業がスムーズに行える利点を有する。
【0046】
尚、前記実施形態では、カバー7の裏面側中央に設けた係止片23に切欠き溝37や係止孔39を設けると共に、これに対応して筐体本体5側に突起部41を設けたが、前記突片27,29に同様な切欠き溝や係止孔を設け、これに対応して筐体本体5側に突起部を設けてカバー7のストッパ機構を構成してもよい。
【0047】
また、前記切欠き溝37に代え、係止片23の先端側下部を断面L字状に形成して、突起部41が係止可能な係止爪(係止部)を下方に突設させてもよく、これらの各実施形態によっても、カバー操作の光ファイバーケーブル9の断線を防止することが可能である。
【0048】
図9及び図10は請求項9及び請求項10の一実施形態に係る筐体を示し、図示するように本実施形態に係る筐体43も、上部の角部に平面視矩形状の光ファイバーケーブル導入部45が凹状に形成された筐体本体47と、光ファイバーケーブル導入部45を覆って筐体本体47に着脱自在に取り付くカバー49とで構成されており、筐体本体47の側方から光ファイバーケーブル導入部45に光ファイバーケーブル9が導入され、光ファイバーケーブル9先端の光コネクタ11が、光ファイバーケーブル導入部3の一側面51側に装着したアダプタ15に接続できるようになっている。
【0049】
また、図示しないが光ファイバーケーブル導入部45の底部53には、ケーブル固定具が着脱自在に取り付くケーブル固定台が設けられており、光コネクタ11をアダプタ15に接続して、ケーブル固定具で光ファイバーケーブル9をケーブル固定台に固定した後、カバー49を被せて光ファイバーケーブル導入部45を保護するようになっている。
【0050】
図9及び図10に示すようにカバー49は、筐体本体47の上面47a,側面47b,前面47cと夫々面一に取り付く上面49a,側面49b,前面49cからなる断面L字状に形成され、側面4bにケーブル挿通孔19が設けられている。
【0051】
そして、本実施形態は、前記カバー49を、光ファイバーケーブル導入方向に沿って筐体本体47にヒンジ機構55を介してスライド可能、且つ該ヒンジ機構55を介して回転可能に取り付けたことを特徴としている。
【0052】
以下、ヒンジ機構55を説明すると、図10に示すように筐体本体47の前面47cと光ファイバーケーブル導入部45の底部53との角部に、所定の間隔を空けて2つの矩形状の切欠き57が形成されると共に、両切欠き57内に、光ファイバーケーブル9の導入方向に沿って断面円形状の軸59が設けられている。
【0053】
一方、図10及び図11に示すようにカバー49の前面49cの底部には、両切欠き57内の軸59に回転自在に係合する断面C字状の係合片61を先端に有するヒンジ部63が設けられており、前記ヒンジ機構55は該ヒンジ部63と前記軸59とで構成されている。そして、カバー49は、軸59に沿って、即ち、光ファイバーケーブル導入方向に沿って、図10に示す可動ストロークL分だけ同方向(図9中、矢印C,D方向)へスライドできるようになっている。
【0054】
更に、図9及び10に示すようにカバー49の上面49aの一側縁(図9中、矢印C方向側)の裏面側中央に、光ファイバーケーブル導入部45の一側面51に設けた挿入孔65に係止可能な係止片67が外方へ一体的に突設されており、係止片67の先端にラチェット状の係止爪69が設けられている。
【0055】
そして、図9に示すように前記ヒンジ機構55を介して回転可能なカバー49を光ファイバーケーブル導入部45へ戻して、カバー49を矢印C方向へスライド操作すると、前記挿入孔65に係止片67が係止して、カバー49が光ファイバーケーブル導入部45を覆って筐体本体47に取り付くようになっている。
【0056】
また、斯様にカバー49が筐体本体47に取り付いた状態で、係止片67に対応するカバー49の表面側を力点として、これを押圧し乍らカバー49を矢印D方向へスライド操作すると、挿入孔65と係止片67との係止状態が解除されるようになっている。
【0057】
そして、カバー49が矢印D方向へ可動ストロークL分だけスライドすると、切欠き57の一側面71がカバー49のストッパ(スライド規制部)として機能するようになっており、この後、図10の如くカバー49を回転させると、光ファイバーケーブル導入部45が開放されるようになっている。
【0058】
従って、カバー49で光ファイバーケーブル導入部45を閉じるには、カバー49を図9の如く戻して、これを矢印C方向へスライド操作すればよい。
【0059】
本実施形態に係る筐体43はこのように構成されているから、筐体43に光ファイバーケーブル9を接続するには、先ず、図10の如くカバー49を回転させて光ファイバーケーブル導入部45を開放した状態で、光コネクタ11をアダプタ15に接続し、光ファイバーケーブル9をケーブル固定具で光ファイバーケーブル導入部45のケーブル固定台に固定する。
【0060】
この後、カバー49を図9の如く戻してこれを矢印C方向へスライド操作すれば、挿入孔65に係止片67が係止して、カバー49が光ファイバーケーブル導入部45を覆って筐体本体47に取り付く。
【0061】
そして、保守作業等の際には、既述したように係止片67に対応するカバー49の表面側を押圧し乍らカバー49を矢印D方向へスライド操作すれば、挿入孔65と係止片67との係止状態が解除され、カバー49が矢印D方向へ可動ストロークL分だけスライドすると、切欠き57の一側面71にカバー49が当接してスライドが規制される。この後、図10の如くカバー49を回転させれば、光ファイバーケーブル導入部45が開放されることとなる。
【0062】
このように本実施形態は、ヒンジ機構55を介してカバー49を光ファイバーケーブル導入方向に沿って筐体本体47にスライド可能、且つ該ヒンジ機構55を介して回転可能に取り付けたので、図1の実施形態と同様、本実施形態によっても、カバー操作時に光ファイバーケーブル9の断線を確実に防止することができることとなった。
【0063】
また、切欠き57の一側面71がカバー49に当接してスライドを規制するため、カバー49の位置決めがなされてカバー49の無用な動きを抑制することができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】請求項1乃至請求項8の一実施形態に係る筐体の全体斜視図である。
【図2】カバーを僅かにスライド操作した筐体の全体斜視図である。
【図3】カバーを取り外した筐体の全体斜視図である。
【図4】カバーの平面図である。
【図5】カバーの側面図である。
【図6】カバーの底面図である。
【図7】カバーの背面図である。
【図8】カバーの正面図である。
【図9】請求項9及び請求項10の一実施形態に係る筐体のカバーを僅かにスライド操作した状態の全体斜視図である。
【図10】カバーを開いた筐体の全体斜視図と要部拡大斜視図である。
【図11】ヒンジ機構の断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1,43 筐体
3,45 光ファイバーケーブル導入部
5,47 筐体本体
7,49 カバー
9 光ファイバーケーブル
11 光コネクタ
15 アダプタ
19 ケーブル挿通孔
21,65 挿入孔
23,67 係止片
25,69 係止爪
27,29 突片
31 段部
33,35 案内溝
37 切欠き溝
39 係止孔
41 突起部
55 ヒンジ機構
57 切欠き
59 軸
61 係合片
63 ヒンジ部
71 一側面(スライド規制部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーケーブルを接続する光ファイバーケーブル導入部が形成された筐体本体と、
前記光ファイバーケーブル導入部を覆って筐体本体に着脱自在に取り付き、光ファイバーケーブル導入方向と交叉する方向へスライド操作可能なカバーとからなり、
前記光ファイバーケーブル導入部と前記カバーに、カバー操作時の光ファイバーケーブル断線防止のストッパ機構を設けたことを特徴とする通信機器の筐体。
【請求項2】
前記ストッパ機構は、筐体本体の光ファイバーケーブル導入部に設けた突起部と、
前記カバー側に形成され、カバー操作時に前記突起部が係止する係止部とからなることを特徴とする請求項1に記載の通信機器の筐体。
【請求項3】
前記係止部は、カバーに設けた係止孔であることを特徴とする請求項2に記載の通信機器の筐体。
【請求項4】
前記カバーに、カバー操作時に前記突起部を案内するガイド部を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の通信機器の筐体。
【請求項5】
前記光ファイバーケーブル導入部に挿入孔を形成し、該挿入孔の近傍に前記突起部を設けると共に、
前記カバーに、前記挿入孔に挿入可能で平面視U字状の切欠き溝を有する突片を形成し、該切欠き溝の先端に、前記突起部が係止する係止孔を設けたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信機器の筐体。
【請求項6】
前記突片は、前記挿入孔に係止可能な係止片であることを特徴とする請求項5に記載の通信機器の筐体。
【請求項7】
前記ストッパ機構は、カバー操作時の力点に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の通信機器の筐体。
【請求項8】
前記カバーは、カバー操作時の力点の押圧操作で撓み、前記係止孔内に前記突起部が係止することを特徴とする請求項7に記載の通信機器の筐体。
【請求項9】
光ファイバーケーブルを接続する光ファイバーケーブル導入部が形成された筐体本体と、
光ファイバーケーブル導入方向に沿って前記筐体本体にヒンジ機構を介してスライド可能、且つ該ヒンジ機構を介して回転可能に取り付き、光ファイバーケーブル導入部を開閉するカバーとからなることを特徴とする通信機器の筐体。
【請求項10】
前記筐体本体に、前記カバーのスライド規制部を設けたことを特徴とする請求項9に記載の通信機器の筐体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−69494(P2009−69494A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238019(P2007−238019)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】