説明

通信用アンテナ

【課題】振動に強い通信用アンテナを提供する。
【解決手段】放射器及び反射器の上下両端を第1の支持枠と第2の支持枠とで支持する通信用アンテナにおいて、これら支持枠の間の所定位置に第3の支持枠60を設ける。第3の支持枠60は、基体61と挟持金具62と当付金具63と弾性材64、65とから成り、基体61を挟持金具62と当付金具63とで挟み込むことによって、弾性材64、65が、基体61の凸部42c、52cの内部に形成される空間内で、基体61の段部42b、52bと当付金具63の段部43b、53bとの間に収納される。そして、弾性材64、65は、エレメントを挿通孔の中心位置に維持し、エレメントが弓なりに曲がるようなときはその動きを所定範囲内で制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として移動通信システムの基地局に用いられる通信用アンテナに関し、概念的には水平方向に向けて信号を放射したり、又は受信したりする場合に用いることのできる通信用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の通信用アンテナにおいては、筒状の放射器と、筒状の反射器の夫々の上下を、放射器と反射器の相互間に間隙ができる状態で並設状態となるように、夫々上方に位置させる第1の支持枠と下方に位置させる第2の支持枠で連結して通信用アンテナを構成し、それらの上下の支持枠は支柱等の構造物に連結して利用できるようにしてある通信用アンテナが一般的に知られている。
【0003】
従来例では、特に、筒状の反射器におけるエレメントについて、当該エレメントが風などによって生じる振動に対して折れ傷やひび割れが発生しない信頼性の高いアンテナとなるように、前記反射器の上下における第1の支持枠と第2の支持枠に対する取付は、第1の支持枠に下向きの凹部を有する反射器被具を固着し、第2の支持枠に上向きの凹部を有する反射器受具を固着し、夫々の凹部の中に前記反射器の上下の各端部を挿入存置させ、前記反射器の上下の各端部の外周面とこれに対向する前記各凹部の内周面との間には、常時は前記筒状の反射器を各凹部の中心位置に維持し、筒状の反射器が弓なりに曲がるときは、前記各凹部の内周面に対して、凹部の中に挿入存置させた前記反射器の端部外周面が傾動を可能にする為の中空筒状の弾性材を介在させた構成の通信用アンテナが紹介されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−129031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のアンテナ、例えば通信用としてのPHSアンテナについて考えると、サービスエリアを広げようとする場合、アンテナの数を増やす方法もあるが、利得が高く、水平面の指向性が所望の特性を有するアンテナを用いる方法であれば、設置工事等の手間を考えてもシステムコストが安く済むことになる。
【0006】
そこで、アンテナの放射器のアンテナ素子が、例えばコリニアアンテナで構成されているとすれば、このコリニアアンテナの構成段数を増やすことによって高利得化を図ると共に、指向性の改善を図ることが考えられる。
【0007】
ところがこのような多段構成にする事は、アンテナの軸線方向の寸法が非常に長くなることになり、結果的に、反射器もそれに対応して長くなるように構成する必要が生じる。
更に通信用アンテナとしてのコストアップを少なくするために、アンテナのスリム軽量化、或いは、部品の共通化も重要なこととなり、従来のアンテナに使われた支持枠や放射器に被せる保護パイプや放射素子を構成する同軸線、反射器に用いられている金属パイプ、これらを固着するための受具・被具や締着具などの金具類、弾性材等を共通部品として用いて構成することになり、結果的に夫々の径の寸法に比較して軸方向の長さが非常に長いアンテナと成る。
【0008】
そこでこれに伴い、例えば強風などによってアンテナ全体及び各エレメントが振動することによって、これらが損傷を受けたり、破損したりしないように、振動試験器等を使って風によって発生する所定範囲内の振動に対して、アンテナ全体及び各エレメントが損傷を受けたり、破損したりしない、といった耐振動性の保証をしなければならない。
【0009】
ところが各エレメントがその径に対して軸線方向の寸法が非常に長く成るように構成されることによって、このアンテナの耐振動性の規格範囲内における特定の振動数に達したとき(強風が吹きつけたときと同じ状態)に、アンテナ全体若しくは放射器や反射器が弓のように曲がるばかりでなく、その振動数に共振してしまうことがある。
【0010】
つまり例えば反射器が異常に大きく振動する状態(例えば前記上下の支持枠を「節」とし、中間部が「腹」となるように反射器が弓なりに曲がって振動する。)が発生するような状況となれば、従来例の如く、上下の支持枠に備えられた弾性体だけではその振動や撓みに耐えられなくなり、これによって、反射器が外れたり、反射器に生じる金属疲労等によって、反射器にひびが入ったり、破断が起きたりするといった問題が生じるのである。
【0011】
同様に放射器においても放射器が振動したり弓のように曲がったりすることによって、当該放射器に被せた保護パイプや、放射器を構成するアンテナ素子(例えばコリニアアンテナにおける同軸線若しくは同軸ケーブル)の組み付け部分が壊れる、といった問題の発生が予想されるのである。
【0012】
本発明は、こうした問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、エレメントの上方と、下方とを夫々相互に連結すると共に、中間部の所定位置とも夫々相互に接続することによって丈夫な構造となした通信用アンテナを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、
アンテナのエレメントの上下を、上方に位置させる第1の支持枠と下方に位置させる第2の支持枠で連結してアンテナを構成し、それらの上下の支持枠は支柱等の構造物に連結して利用できるようにしてある通信用アンテナにおいて、
前記第1の支持枠と、前記第2の支持枠との間の所定位置に、前記エレメントを保持すると共に、支持柱等の構造物に連結して利用できる第3の支持枠を備え、
前記第3の支持枠は、
前記エレメントの外径より大きく、該エレメントと軸線を一致させて同心的に形成された第1の貫通孔を有する基体と、
前記第1の挿通孔に対向した位置に、該第1の貫通孔に挿通可能に突出され、内部に空間を有するよう同心的に筒状の周壁を形成してなる凸部と、該凸部の内部に第1の段部を介して同心的に連設され、該凸部の内径より小さく、且つ、前記エレメントの外径より僅かに大きい内径の第2の挿通孔とを有する挟持金具と、
前記第1の貫通孔に対向する位置に、第2の段部を挟んで、前記凸部が嵌合する内径を有する嵌合孔と、該嵌合孔と同心的に連設され、該嵌合孔内径より小さく、且つ、前記アンテナの外径より僅かに大きい内径を有する第3の貫通孔とを有する当付金具と、
前記凸部の内部に形成される前記空間の内径と同じか僅かに大きく、軸線方向の寸法は前記空間の軸方向の寸法と同じか僅かに小さく形成され、その中心部には前記エレメントの外径寸法と同じか僅かに小さい内径の第4の貫通孔を有する弾性材と、
から成り、前記基体を前記挟持金具と前記当付金具とで挟み込むことによって、前記弾性材が、前記空間内において前記第1の段部と前記第2の段部との間に収納されると共に、前記第1の貫通孔と、前記第2の貫通孔と、前記第3の貫通孔と、前記第4の貫通孔との軸線が一致して、前記エレメントの挿通孔が形成され、しかも、当該挿通孔に前記エレメントが挿通されると、前記弾性材が、常時は前記エレメントを前記挿通孔の中心位置に維持し、前記エレメントが弓なりに曲がるようなときはその動きを所定範囲内で制限するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の通信用アンテナによれば、エレメントの上下を、上方に位置させる第1の支持枠と下方に位置させる第2の支持枠で連結してアンテナを構成し、それらの上下の支持枠は支柱等の構造物に連結して利用できるようにされている。
【0015】
そして、第1の支持枠と第2の支持枠との間の所定位置には、前記エレメントを保持すると共に、支持柱等の構造物に連結して利用できる第3の支持枠が備えられている。
このため、高利得で且つ所望の指向特性を有し、エレメントの軸方向の寸法が、該エレメントの軸線に直交する方向の外径に比して非常に長い通信用アンテナであっても、このエレメントの上方と、下方と、その中間部における所定の位置と、を夫々相互に一体的に支持枠で連結でき、その上、上・中・下の支持枠相互間も連結一体化させることによって、アンテナ全体は丈夫な構造となる。
【0016】
また、記第3の支持枠は、基体と、挟持金具と、当付金具と、弾性材とから成り、基体を挟持金具と当付金具とで挟み込むことによって、弾性材が、凸部の内部に形成される空間内で第1の段部と第2の段部との間に収納されると共に、第1〜第4の貫通孔の軸線が一致して当該第3の支持枠にエレメントの挿通孔が形成され、しかも、この挿通孔にアンテナのエレメントが挿通されると、弾性材が、常時はこのエレメントを挿通孔の中心位置に維持し、エレメントが弓なりに曲がるようなときはその動きを所定範囲内で制限するように構成されている。
【0017】
このため、本発明によれば、安価で、且つ、振動や撓みに対して高信頼性を有する通信用アンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態の通信用アンテナの構成を表す説明図であり、(a)は、一部を破断した通信用アンテナの正面図、(b)は、通信用アンテナの平面図、(c)は、第3の支持枠の平面図、である。
【図2】第3の支持枠の構成を表す説明図であり、(a)は、第3の支持枠を分解した部分断面図、(b)は、第3の支持枠を筒状エレメントに取付けたときの部分断面図、である。
【図3】放射器における筒状エレメントと、それの取付部の関連を示す一部破断断面図である。
【図4】反射器における筒状エレメントと、それの取付部の関連を示すための一部破断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を具体化した実施形態の例を、図面を基に詳細に説明する。
図1(a)は、一部を破断した通信用アンテナの正面図、図1(b)は、通信用アンテナの平面図、図1(c)は、第3の支持枠の平面図である。図2(a)は、第3の支持枠を分解した部分断面図、図2(b)は、第3の支持枠を筒状エレメントに取付けたときの部分断面図である。図3は放射器における筒状エレメントと、それの取付部の関連を示す一部破断断面図である。図4は反射器における筒状エレメントと、それの取付部の関連を示すための一部破断断面図である。
【0020】
これらの図において、1は、放射器4と、第1の反射器5と、第3の反射器7と、第2の反射器6(図1(a)における手前側に有って、図示されていない)とを備える通信用アンテナを示す。なお反射器の数と、位置は、通信手段の環境によって任意に増減したり、求める指向性によってその位置を設定したりすると良い。
【0021】
前記放射器4における筒状体(エレメントとも称する)と、反射器5、6、7の筒状体(エレメントとも称する)とは、放射器4と反射器5、6、7の相互間に使用周波数に対応して高周波的に必要な間隙8ができる状態で並設状態となるように構成される。
【0022】
放射器4と、複数の反射器5、6、7における夫々の上下端部は、夫々図に示されているように、上方に位置させる第1の支持枠2と、下方に位置させる第2の支持枠3に連結されていると共に、エレメントの中間位置の所定位置においては、第3の支持枠60において、前記間隙8を維持しつつ保持されている。このようにして通信用アンテナ1は構成される。
【0023】
尚、通信用アンテナ1における前記3つの支持枠2、60、3は、任意の硬質部材で直接連結して通信用アンテナ1を構成しても良いが、任意の構造物、例えば、ビルのベランダの手摺部材、任意高さの支柱(ポール)10等に垂直状態で又は前傾させた状態で装着して使用に供される。
【0024】
2a、60a、3aは、鉄板材によって形成されている支持枠2、60、3の連結部を示し、夫々連結用の透孔2b、60b、3b(3bは図面には現れない)を備えている。
連結部2a、60a、3a、は、支柱10の側から持出し状態の装着部材11(連結用の透孔2b、60b、3bに対応をする透孔を備えている)に重合させてあり、かつ、前記連結用の透孔2b、60b、3bを用いて締具(例えばボルト)12により着脱自在に固着してある。
【0025】
次に前記放射器4及び反射器5、6、7の取付けについて説明する。
先ず、第3の支持枠に形成された挿通孔84に前記放射器4の筒状エレメントを挿通させ、挿通孔85、86、87に前記反射器5、6、7の筒状エレメントを挿通させる。
【0026】
ここで第3の支持枠60の詳細な構造について説明する。
本願の実施例では第3の支持枠60は基体61と当該基体61を上下方向から挟み込んで挟持するように形成された挟持金具62と当付金具63と、から形成されている。
【0027】
前記基体61は前記連結部60aに延設させてあり、該基体61には、前記放射器4の筒状エレメントと反射器5、6、7の筒状エレメントとが、上下における支持枠2、3によって連結された時に形成される、前記所定間隙8と同じ寸法を維持しつつ並列状態となるよう中心軸を一致させて配設された、前記放射器4の筒状エレメントの外径より大きい第1Aの貫通孔41aと反射器5、6、7の筒状エレメントの外径より大きい第1Bの貫通孔51a、61a、71a(61a、71aは図には示されない。以下同様。)が形成されている。
【0028】
次に挟持金具62には、前記第1Aの貫通孔41a及び第1Bの貫通孔51a、61a、71aに対向する位置に、前記第1Aの貫通孔41a及び第1Bの貫通孔51a、61a、71aに挿通可能に突出させた、内部に空間42d及び空間52d、62d、72d(62d、72dは図には示されない。以下同様。)を有するよう同心的に筒状の周壁を形成してなる凸部42c及び凸部52c、62c、72c(62c、72cは図には示されない。以下同様。)が設けられると共に、該凸部42c及び凸部52c、62c、72cの内部上方向には、夫々第1Aの段部42b及び第2Bの段部52b、62b、72b(62b、72bは図には示されない。以下同様。)を介して同心的に成るように連設した、該凸部の内径より小さく、且つ、各エレメントの外径より僅かに大きい内径の第2Aの貫通孔42a及び第2Bの貫通孔52a、62a、72a(62a、72aは図には示されない。以下同様。)が形成されている。
【0029】
次に当付金具63には、前記第1Aの貫通孔41a及び第1Bの貫通孔51a、61a、71aに対向する位置に、第2Aの段部43b及び第2Bの段部53b、63b、73b(63b、73bは図には示されない。以下同様。)を挟んで、上側には前記凸部42c及び凸部52c、62c、72cが嵌合する内径を有する嵌合孔43c及び嵌合孔53c、63c、73c(63c、73cは図には示されない。以下同様。)と、下側には前記嵌合孔と同心的に成るように連設した、この嵌合孔内径より小さく、且つ、各エレメントの外径より僅かに大きい内径を有する第3Aの貫通孔43a及び第3Bの貫通孔53a、63a、73a(63a、73aは図には示されない。以下同様。)が形成されている。
【0030】
即ち、基体61を前記挟持金具62と当付金具63とで挟み込んだときに、前記第2Aの貫通孔42a及び第2Bの貫通孔52a、62a、72aと、前記第1Aの貫通孔41a及び第1Bの貫通孔51a、61a、71aと、前記第3Aの貫通孔43a及び第3Bの貫通孔53a、63a、73aは夫々の軸線が一致するように配設されると共に、このときに前記凸部42c及び凸部52c、62c、72cは前記第1Aの貫通孔41a及び第1Bの貫通孔51a、61a、71aを挿通してから、その先端部が、前記第3の支持枠に形成した嵌合孔43c及び嵌合孔53c、63c、73cと嵌合するように構成されているのである。
【0031】
更には前記凸部の内部に形成される空間42d及び空間52d、62d、72dには、その外形が前記空間の内周と同じか僅かに大きい寸法で、軸方向の寸法は空間の軸方向の寸法と同じか僅かに小さく形成されて前記空間内に装着されると共に、その中心部には各筒状エレメントの外径寸法と同じか若しくは僅かに小径で、該筒状エレメントと軸線を一致させたエレメント保持孔64a及びエレメント保持孔65a、66a、67a(66a、67aは図には示されない。以下同様。)が形成された合成ゴム、プラスチック材等により形成された弾性材から成るエレメント保持部材64及びエレメント保持部材65、66(66は図には示されない。以下同様。)、67が、前記空間と前記第1Aの段部42b及び第1Bの段部52b、62b、72bと前記第2Aの段部43b及び第2Bの段部53b、63b、73bとでもって収納されている。
【0032】
尚、前記エレメント保持孔が請求項に記載の第4の貫通孔である。
このように構成された基体61と挟持金具62と当付金具63は、例えば図2(b)に示されるように、適宜に配設された例えばボルト100とナット101とから成る固着手段を用いて強固に固着されて第3の支持枠60を構成している。
【0033】
尚、この組みあがった状態における第1の貫通孔と、第2の貫通孔と、第3の貫通孔と、第4の貫通孔でもって、放射エレメント挿通孔84及び反射エレメント挿通孔85、86、87とし、このエレメント挿通孔が請求項に記載の支持枠の挿通孔である。また、前記エレメント保持部材64、65、66、67が請求項に記載の弾性材である。
【0034】
このように組み上がった第3の支持枠60に形成される各挿通孔に、夫々筒状エレメントを挿通することによって、各エレメントは前記エレメント保持部材によって前記挿通孔と軸線を一致させて挿入存置されるのである。
【0035】
そして、これらのエレメント保持部材64、65、66、67は、常時は前記筒状の放射器4と反射器5、6、7を、前記挿通孔84、85、86、87の中心位置に維持して、放射器4と反射器5、6、7の正確な周波数に依存する間隔8を維持し、筒状の放射器や反射器5、6、7が強風により振動するようなときには、前記第2の貫通孔及び第3の貫通孔の内周面に対して、僅かな間隙を隔てて前記挿通孔84、85、86、87の中に挿入存置させた前記放射器及び反射器の中間位置における外周面の移動しようとする力を前記エレメント保持部材が吸収しつつ、その移動が所定の範囲内に収束するようにしてある。
【0036】
尚、本発明の実施例においては、第3支持枠60は基体61を挟持金具62と当付金具63で狭着した例を示したが、アンテナと第3支持枠との間に前記弾性材を備えさえるように構成すればこの実施例に限定されるものではない。
【0037】
また、挟持金具と当付金具とは上下を入れ替えもよい。
次に上下端部における第1の支持枠2と第2の支持枠3に対する取付を行う。
前記放射器4は、第1の支持枠2に対しては図3に表れるように、例えばアルミ材などの金属材料から形成された下向きの被具36を固着し、第2の支持枠3に対しては図1及び3に表れるように例えばアルミ材などの金属材料から形成された上向きの凹部を備えた受具15をナット等の止具17によって固着し、夫々の中に前記放射器4における保護パイプ35の上下の各端部を夫々挿入し、図示されていない螺子などの任意の止付部材等で挿入存置させる。
【0038】
放射器4のエレメントの構成としては、利用される使用帯域、都市の環境などによってグランドプレーンアンテナ、コリニアアンテナ、スリーブアンテナ、ホイップアンテナ等、任意構成のものが選択されるが、本発明の実施例においては図2、3に示すコリニアアンテナ30を用いた例を示す。
【0039】
31は、夫々放射エレメントを構成する同軸線(同軸ケーブル)を示し、2分の1波長の長さに形成してあり、例えば外被導体31bとしての黄銅パイプの中に、周囲に絶縁体を備える中心導体31aを挿入した構成と成っている。
【0040】
これらは図示のごとく上下に隣り合う同軸線の中心導体31aと外被導体31bとを交互に接続した構造のものである。
また、放射エレメント31は保護パイプ35の内周面との間に周知の如く適当な間隔で配置される絶縁材によって支持され、各放射エレメント同士の間隔を保つように構成されている。
【0041】
前記保護パイプ35は、一般的な合成樹脂で形成された保護パイプ(レドーム)を示す(材質としては例えばFRP:ガラス繊維強化プラスチックを用いてもよい)。
このパイプ35は機械的に弱体な放射エレメント30を保護するものであり、パイプ35の内に、放射エレメント30を挿入し、その周囲には、長手方向に適当な間隔を隔てて弾力性のある発泡スチロールなどの介在物(図示省略)を介設し、放射エレメント30が常時保護パイプ35の中心位置に位置するようにしてある。
【0042】
尚、図1及び図2に示される19は放射器と接続される同軸コネクタの接栓24との接続点を雨などから守る防水筒である。
次に前記反射器5、6、7の上下における第1の支持枠2と、第2の支持枠3に対する取付について説明する。
【0043】
尚以下には、説明を簡単にするために反射器5について説明(反射器6、7についても同様な構成で有るので、特に明記しない限りその説明は省略。)する。
第1の支持枠2には下向きの凹部50cを有するアルミ合金材、例えばダイカスト等により成形された反射器被具50を固着し、第2の支持枠3には反射器被具50と対称的に互換可能に構成してある上向きの凹部41Cを有する反射器受具41を固着し、夫々の凹部の中に前記反射器5の上下の各端部を挿入存置させて固定する。
【0044】
その場合、前記反射器の上下の各端部の外周面とこれに対向する前記各凹部の内周面との間には、下向きの凹部50cと、上向きの凹部41cの内側に夫々挿入存置させた弾性材であって、前記反射器の筒状部材であるエレメント5の振動、特に共振による振動を吸収する為の中空筒状の合成ゴム、プラスチック材等により形成された弾力性を備える抱持部材45A、45B(抱持部材46、47は図には示されていない)を介在させた状態で固定されている。
【0045】
尚、この抱持部材45は、常時は前記筒状の反射器5を各凹部41c、50cの中心位置に維持して、放射器4との正確な周波数に依存する間隔8を維持すると共に、筒状の反射器5が強風等により振動するようなときには、前記各凹部41c、50cの内周面に対して、僅かな間隙を隔てて凹部の中に挿入存置させた前記反射器の端部の外周面が傾動可能にしてある。
【0046】
前記構成のものについての組立作業は、第2支持枠3に対して、受具15を例えばナット等の止具17を用い、反射器受具41には締付具42を用いて図示の如く固着する。
その装着の場合、受具15における上向きの凹部に対しては、予め放射エレメント30が内装されている保護パイプ35の下端を挿入し、図には示されない周知のねじ等の止付部材や接着剤等を用いて固着しておくとよい。また周知の防水用のOリング等も介設しておいたり、シーリング材を塗布しておいたりする。また反射器受具41における上向きの凹部41cには、抱持部材45を被せ付けた反射エレメント5の端部を挿入する。
【0047】
次に保護パイプ35の上端、反射エレメント5の各上端部には被具36を固着したり、反射器被具50を夫々被付けたりする。その場合、反射エレメント5の上端部には抱持部材45を予め被せ付けておく。
【0048】
次に第1支持枠2に対して下方向から挿通させた被具36には上方向からキャップ38を、例えば螺合等の固着手段を使って固着する。また、反射器被具50には上方向から締付具53を挿通させ、螺合させることによって固着する。
【0049】
このようにして一体化させた通信用アンテナ1には、必要に応じて上部・中間位置・下部の3つの連結部2a、60a、3aの間に、鋼材10を連結一体化させたり、或いはさせることなく現場に持ち込み、上部・中間位置・下部の3つの連結部2a、60a、3aを現場に予め設置されている構造支持物10に対して直接的にあるいは間接的に装着して送信(または受信)に用いる。
【0050】
前記した組付けの例は、作業の一例を示すのであるが、作業の都合によっては、部分的にそれらの作業順を前後逆にしても良い。
尚、本願の実施例においては、前記第3支持枠60の取付位置は各エレメントの所定の中間位置となっているが、その位置の好適な例として、例えば図1に示される第3支持枠60の上方に位置するエレメントの軸方向の長さをL1、第3支持枠60の下方に位置する軸方向長さをL2とすれば、基本的には両端を固定された長尺ものが振動したときに、振動の「腹」となる中間部、即ちL1=L2となるように第3支持枠60を位置させるように構成するのがよい。
【0051】
また、上述のようにエレメントの中間位置に第3支持枠を備えさせたときに、前記L1部分と前記L2部分が、強風等によって夫々が同時に振動するようなことが考えられる。
このような場合には、例えばL1=L2でないよう、上側に位置する寸法がL1´、下側に位置する寸法がL2´となる位置に第3の支持枠60を位置させることによって、前記L1´部分と前記L2´部分が、強風等によって振動するタイミングをずらす(言い換えれば、L1´部分とL2´部分が同時に振動させない)ことによって、振動のエネルギーを分散させ、アンテナに相乗的な力が加わらないように構成してもよい。
【0052】
前記構成のものについての使用状態においては、上部・中間部・下部の3つの連結部2a、60a、3aが直接的に、或いは間接的に構造支持物10に装着されるとその位置関係は固定され、放射器4と、反射器5、6、7は、強風のもとでも堅固な構造によって安定して支持されることになる。
【0053】
即ち、本発明における通信アンテナのように、従来においては17段構成のコリニアアンテナで、利得が略16dBi、水平面の指向性が略90°であるアンテナ(軸方向の長さが略1、2m)であったものを、サービスエリアの拡充のために、放射エレメントを、例えば36段構成のコリニアアンテナとし、利得が略18.5dBi、水平面の指向性が120°となるようなアンテナ(軸方向の長さが略2.5m)を開発することによって、高利得で所望の指向性を有する通信アンテナを提供しようとする場合、放射器4を構成する放射エレメント(例えばコリニアアンテナ)30は従来の2倍程度の多段構成と成ることから、軸方向の長さが非常に長いアンテナとなる。また、それに付随する反射器5、6、7も同様に軸方向の長さが非常に長くなる。
【0054】
しかしながら通信アンテナとしてコストアップを少なくするために、アンテナのスリム軽量化、或いは、部品の共通化が重要なこととなり、従来のアンテナに使われた支持枠2、3や放射器4の保護パイプ(例えばΦ=25mm)35や放射エレメント、反射器5、6、7に用いられている金属パイプ(例えばΦ=13.5mm)、これらのエレメントを固着するための被具や受具や締着具などの金具類、弾性材等を共通部品として用いて構成することになり、夫々の径の太さに比較して軸方向の長さが非常に長いアンテナとなる。
【0055】
放射器4にあっては、比較的丈夫な保護パイプ35構成されているのであっても、上下を第1支持枠2と第2支持枠3で連結した従来例の構成では、強風等により発生する振動が発生したのなら、放射器4の全体が弓なりに曲がる振動幅や撓みの幅がより大きくなるので、放射器4を構成する保護パイプ35やコリニアアンテナ30が破損したり、第1及び第2支持枠との連結部分に振動の力が加わって連結部において折れ傷やひび割れが生じたりと言ったことが発生する。
【0056】
更には、例え放射器4の全体が弓なりに曲がっても、強度的な問題が発生しないとしても、放射器4と反射器5、6、7の相互間における使用周波数に対応して高周波的に必要な間隙8が過剰に変化することになり、高周波特性に悪影響を及ぼすことも考えられる。
【0057】
そこで、放射エレメント4と反射エレメント5、6、7の所定の中間部における所定位置を第3支持枠60で連結し、これらの支持枠2、60、3と構造支持物10とが互いに連結することによって、筒状エレメントが強風等によって弓なりに曲がらないよう保持するものであり、特に本発明においては、振動が発生したときに一般的に振動の「腹」と成る筒状エレメントの部分を、前記第3支持枠60を用いて直接機械的に固着するのではなく、該第3支持枠60に形成した挿通孔84に装着したエレメント保持材64によって、常時は放射器4を挿通孔84の中心位置に維持し、強風等により振動が発生したのなら、その振動を、放射器が破損することがなく、且つ、前記間隔8の変化によって高周波特性に影響の出ない所定の範囲内の振動に吸収するように保持するように構成したので、放射器4全体が大きく弓なりに曲がる事がなくなり、これによって放射器4を構成する保護パイプ35や放射エレメント30が破損したり、第1及び第2支持枠との連結部分に過剰な振動の力が加わり、該連結部分において折れ傷やひび割れが生じると言った問題がなくなるのである。
【0058】
また、上述のように、この第3支持枠には反射器5、6、7も保持されていることから、放射器4が前記所定範囲内の振動で収束し該放射器4と反射器5、6、7における所定の間隙8の変化はアンテナの特性に影響がないようにできるのである。
【0059】
一方、これに付随する反射器5、6、7においては、通常アルミパイプ等を用いて構成される関係から機械的な前記保護パイプと比べても曲げ強度が弱く、強風の影響を受けて大きく撓みながら独り振動するのであるが、更に本発明の構成のアンテナでは従来に比べて軸方向の長さが略2倍ほどになると共に、使用する金属パイプは、従来のアンテナに使っていた部材を、所定の寸法に加工して使うことから、その径にたいして軸方向の長さが極めて長くなるので、強風等によって更に大きく弓なりに曲がることになり、反射器被具50と反射器受具41に備えさせた抱持部材45、46、47だけではその振動を押えきれず、エレメントが脱落したり、折れ傷やひび割れの発生が起きることになる。
【0060】
更には、例え反射器5、6、7の夫々が全体に弓なりに曲がっても、強度的な問題がないとしても、放射器4と反射器5、6、7の相互間における使用周波数に対応して高周波的に必要な間隙8が過剰に変化することになり、高周波特性に悪影響を及ぼすことも考えられる。
【0061】
そこで、反射エレメント5、6、7の所定の中間部を上述のように第3支持枠60で連結し、これらの支持枠2、60、3と構造支持物10とが互いに連結することによって、反射エレメントが強風等によって弓なりに曲がらないよう保持するものであり、特に本発明においては、振動が発生したときに一般的に振動の「腹」と成る反射エレメントの部分を、前記第3支持枠60を用いて直接機械的に固着するのではなく、該第3支持枠60に形成した挿通孔85、86、87に装着したエレメント保持材65、66、67によって、常時は反射器5、6、7を挿通孔85、86、87の中心位置に維持し、強風等により振動が発生したのなら、その振動を、反射器5、6、7が破損することがなく、且つ、前記間隔8の変化によって高周波特性に影響の出ない所定の範囲内の振動に吸収するように保持するように構成したので、反射器5、6、7全体が弓なりに曲がる事がなくなり、これによって反射器5、6、7を形成する、例えばアルミ材から成る金属パイプが破損したり、第1及び第2支持枠における反射器被具50や反射器受具41における保持部分に過剰な振動による力が加わり、エレメントが脱落したり、折れ傷やひび割れの発生が起きると言った問題がなくなるのである。
【0062】
また、この第3支持枠には放射器4も保持されていることから、各エレメントは夫々が所定範囲内の振動で収束することになり、放射器4と反射器5、6、7との間における所定の間隙8の変化が、アンテナの特性に影響がないようにできるのである。
【0063】
尚、本願の実施例においては、前記第3支持枠60の取付位置は各エレメントの所定の中間位置となっているが、その位置の好適な例として、基本的に両端を固定された長尺ものが振動したときに、振動の「腹」となる中間部、即ちL1とL2が略同じとなるところに第3支持枠60を位置させるように構成すようにすれば効果的に振動を防止できる。
【0064】
また、上述のようにエレメントの中間部に第3支持枠を備えさせたときに、エレメントの長さによっては前記L1部分と前記L2部分が、強風等によって夫々が同時に振動するような場合には、例えばL1=L2とならないように、上側に位置する寸法がL1´、下側に位置する寸法がL2´となる位置に第3の支持枠60を配置することによって、前記L1´部分と前記L2´部分が、強風等によって振動するタイミングをずらす(言い換えれば、L1´部分とL2´部分が同時に振動させない)ことによって、振動のエネルギーが分散され、アンテナに相乗的な力が加わらないように構成することによって、各エレメントに対する負荷を軽減することができるのである。
【0065】
以上のように本発明は、本願の実施例のように軸線方向の長さ(略2.5m)が各エレメント径(放射器はΦ=25mm、反射器はΦ=13.5mm)の寸法に比して長く、高利得で所望の指向性を有した通信アンテナにおいて、並設状態となっている放射器のエレメント4と、反射器のエレメント5、6、7の上方と、下方と、その中間部と、を夫々相互に一体的に支持枠で連結し、その上、上・中・下の支持枠相互間も連結一体化させるものであるから、アンテナ全体は丈夫な構造となる特長がある。
【0066】
その上本願発明にあっては、比較的丈夫な構造である放射器のエレメント4と、放射器のエレメント4に比較すると弱体な構造となる反射器のエレメント5、6、7とを、相互に連結するものであっても、弱体な構造である反射器のエレメント5、6、7の上下端部を、下向きの凹部と、上向きの凹部とに夫々入れこんで、しかもこれらの凹部の内面と、反射器のエレメントの上下端部との間には、夫々エレメント5、6、7の振動を吸収するように構成した弾力性を有する抱持部材45、46、47を介在させるものであり、その端部は宙に浮いた状態となり、反射器エレメント5、6、7が強風により移動が発生しても、凹部の口元において、捩れによって折れ傷が入ったり、ねじれによってひび割れが入るような恐れはない。
【0067】
更に加えて、エレメントにおける上下の支持枠の中間部における所定位置に第3支持枠60を配設し、該第3支持枠60には各エレメントの振動を吸収するように形成した弾性材からなるエレメント保持体64、65、66、67を介在させて、中間部は宙に浮いた状態となり、放射器エレメント4や反射器エレメント5、6、7が強風により移動が発生しようとしても、その移動をさせようとする力を吸収しつつ、移動の範囲を所定の範囲内に収束させることができ、中間部において放射器4や反射器5、6、7が夫々弓なりに曲がることが防止され、各エレメントには異常なストレスが加わる恐れはなく、その上、上下における連結部に対する振動も僅かに押えることができるのである、また支持枠によって各エレメントが相互に連結されていると共に、構造物に対して連結して利用できるように構成されていることから、放射器と反射器が強風によって振動し始めるタイミングが例えずれたとしても、その振動を所定範囲に納めることができることから、この振動によって他のエレメントが共振したりアンテナ全体が共振振動を始めたりすることによって、他方のエレメントに負荷をかけるといったこともないので、通信アンテナに対する振動による疲労が防止され、長寿命のものとして利用に供し得る効果がある。
【0068】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部構成を適宜に変更して実施することも可能である。
先ず、本願の実施例では、反射器エレメント5、6、7の上下端部における固着方法は、各端部を下向きの凹部と、上向きの凹部とに夫々入れこんで、しかもこれらの凹部の内面と、反射器のエレメントの上下端部との間には、夫々エレメント5、6、7の振動を吸収するように構成した弾力性を有する抱持部材45、46、47を介在させた例を示したが、特にこの実施例に限定されるものではなく、この通信アンテナの使用規格範囲(例えば耐風速、耐振動試験)において、第3の支持枠60の設置によって、上下端部における支持枠との連結部分に係るストレスが、エレメントに対して信頼性を損ねることなく、所望の規格を満足するなら、抱持部材は無くてもよく、周知の固着手段によって固着するように構成してもよい。
【0069】
また、第3の支持枠には放射器と反射器の夫々に対応する挿通孔と、該挿通孔に挿入存置された弾性材を備えさせた例を示したが、3つの挿通孔を連設した該挿通孔を放射器と反射器が挿通できるような1つの挿通孔を形成し、この1つの挿通孔には、放射器と反射器に対向する位置にエレメント挿通孔が形成された弾性材を挿入存置させるように構成してもよい。
【0070】
更に、アンテナの実施例として放射器と反射器を備えた通信用アンテナを用いたが、通信用アンテナに限定されるものではない。また、反射器を備えていない垂直偏波無指向性アンテナであってもよいなど、特に実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
1…通信用アンテナ、2…第1支持枠、3…第2支持枠、4…放射器、5…第1反射器、6…第2反射器、7…第3反射器、8…間隙、10…支柱、11…装着部材、12…締具、15…受具、17…止具、19…防水筒、24…接栓、30…コリニアアンテナ、31…同軸線、31a…中心導体、31b…外被導体、32…スリーブ、35…保護パイプ、36…被具、38…キャップ、41…反射器受具、42…締付具、45・46・47…抱持部材、50…反射器被具、53…締付具、60…第3支持枠、61…基体、62…挟持金具、63…当付金具、64…放射エレメント保持具、65・66・67…反射エレメント保持具、84…放射器の挿通孔、85、86、87…反射器の挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナのエレメントの上下を、上方に位置させる第1の支持枠と下方に位置させる第2の支持枠で連結してアンテナを構成し、それらの上下の支持枠は支柱等の構造物に連結して利用できるようにしてある通信用アンテナにおいて、
前記第1の支持枠と、前記第2の支持枠との間の所定位置に、前記エレメントを保持すると共に、支持柱等の構造物に連結して利用できる第3の支持枠を備え、
前記第3の支持枠は、
前記エレメントの外径より大きく、該エレメントと軸線を一致させて同心的に形成された第1の貫通孔を有する基体と、
前記第1の挿通孔に対向した位置に、該第1の貫通孔に挿通可能に突出され、内部に空間を有するよう同心的に筒状の周壁を形成してなる凸部と、該凸部の内部に第1の段部を介して同心的に連設され、該凸部の内径より小さく、且つ、前記エレメントの外径より僅かに大きい内径の第2の挿通孔とを有する挟持金具と、
前記第1の貫通孔に対向する位置に、第2の段部を挟んで、前記凸部が嵌合する内径を有する嵌合孔と、該嵌合孔と同心的に連設され、該嵌合孔内径より小さく、且つ、前記アンテナの外径より僅かに大きい内径を有する第3の貫通孔とを有する当付金具と、
前記凸部の内部に形成される前記空間の内径と同じか僅かに大きく、軸線方向の寸法は前記空間の軸方向の寸法と同じか僅かに小さく形成され、その中心部には前記エレメントの外径寸法と同じか僅かに小さい内径の第4の貫通孔を有する弾性材と、
から成り、前記基体を前記挟持金具と前記当付金具とで挟み込むことによって、前記弾性材が、前記空間内において前記第1の段部と前記第2の段部との間に収納されると共に、前記第1の貫通孔と、前記第2の貫通孔と、前記第3の貫通孔と、前記第4の貫通孔との軸線が一致して、前記エレメントの挿通孔が形成され、しかも、当該挿通孔に前記エレメントが挿通されると、前記弾性材が、常時は前記エレメントを前記挿通孔の中心位置に維持し、前記エレメントが弓なりに曲がるようなときはその動きを所定範囲内で制限するように構成されていることを特徴とする通信用アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−72044(P2011−72044A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3181(P2011−3181)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2005−199331(P2005−199331)の分割
【原出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】