説明

通信用入出力装置

【課題】複数の出力ポートを有する通信用入出力装置において、記録装置に必要な容量を削減し、ハードウェアの規模を小さく抑える。
【解決手段】複数の入力ポートからそれぞれ通信データを入力し、各通信データに出力先情報を付加して各通信データを多重化する多重化装置と、出力先情報に対応する複数の論理的な記録領域(キュー)を有し、多重化装置から入力する通信データをその出力先情報に応じたキューに書き込み、さらに所定のキューから当該通信データを読み出す記録装置と、複数の出力ポートの優先順位に応じて通信データを読み出す記録装置のキューを指定し、指定したキューから読み出された通信データをその出力先情報に対応する出力ポートに振り分け、当該出力ポートの速度に変換して出力する多重分離装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の通信データ(フレーム)の入出力を行う通信用入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット通信等で使用されるイーサネットフレーム等の通信データの入出力を行う通信用入出力装置では、通常、出力ポート毎に記録装置(メモリ等)が使用される。
【0003】
図6に示す従来の通信用入出力装置は、入力ポート1,2,3と出力ポート1,2,3との間に、それぞれ独立した記録装置(MEM)51,52,53を配置した構成である。
【0004】
図7に示す従来の通信用入出力装置は、入力ポート1,2,3の通信データを多重化装置(MUX)61で時分割多重し、さらに多重分離装置(DEMUX)62で時分割多重された通信データを多重分離し、記録装置(MEM)63,64,65を介して対応する出力ポート1,2,3に出力する構成である。DEMUX62では、多重分離する際に出力ポートの選択や出力ポートごとの優先制御を行う。
【0005】
図8に示す従来の通信用入出力装置(特許文献1)は、入力ポート1の通信データを振分部71を介して記録装置(MEM)72,73,74に振り分け、対応する出力ポート1,2,3に出力する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−227593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通信用入出力装置における記録装置(MEM)は、入力する通信データ(フレーム)の物理レート(単位時間当たりの最大データ量)が大きくなるほどより大きなサイズ(容量)が必要となる。なお、図7,図8に示す通信用入出力装置では、出力ポート1,2,3に対応して記録装置(MEM)を3つ使用しているが、出力ポートの増加に応じて記録装置の数を増やすと、通信用入出力装置に入力する通信データの量は変わらずに、必要となる記録装置のサイズの合計はその数にほぼ比例して大きくなる。
【0008】
本発明は、複数の出力ポートを有する通信用入出力装置において、記録装置に必要な容量を削減し、ハードウェアの規模を小さく抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、複数の入力ポートと複数の出力ポートとの間で通信データを入出力する通信用入出力装置において、複数の入力ポートからそれぞれ通信データを入力し、各通信データに出力先情報を付加して各通信データを多重化する多重化装置と、出力先情報に対応する複数の論理的な記録領域(キュー)を有し、多重化装置から入力する通信データをその出力先情報に応じたキューに書き込み、さらに所定のキューから当該通信データを読み出す記録装置と、複数の出力ポートの優先順位に応じて通信データを読み出す記録装置のキューを指定し、指定したキューから読み出された通信データをその出力先情報に対応する出力ポートに振り分け、当該出力ポートの速度に変換して出力する多重分離装置とを備える。
【0010】
第2の発明は、1つの入力ポートと複数の出力ポートとの間で通信データを入出力する通信用入出力装置において、入力ポートから通信データを入力し、該通信データに出力先情報を付加して出力する入力装置と、出力先情報に対応する複数の論理的な記録領域(以下「キュー」という)を有し、入力装置から入力する通信データをその出力先情報に応じたキューに書き込み、さらに所定のキューから当該通信データを読み出す記録装置と、複数の出力ポートの優先順位に応じて通信データを読み出す記録装置のキューを指定し、指定したキューから読み出された通信データをその出力先情報に対応する出力ポートに振り分け、当該出力ポートの速度に変換して出力する多重分離装置とを備える。
【0011】
第1の発明または第2の発明の通信用入出力装置において、記録装置の複数のキューは、複数の出力ポートにそれぞれ対応して設定される構成であり、記録装置に入力する通信データに付加される出力先情報は、出力先の出力ポートに対応するキューを指定する情報であり、多重分離装置は、指定したキューから読み出された通信データを対応する1つの出力ポートに出力する構成である。
【0012】
第1の発明または第2の発明の通信用入出力装置において、記録装置の複数のキューは、複数の出力ポートにそれぞれ対応して設定されるキューと、複数の出力ポートに対応して設定されるキューを有する構成であり、記録装置に入力する通信データに付加される出力先情報は、出力先の出力ポートに対応するキューを指定する情報であり、多重分離装置は、指定されたキューから読み出された通信データを対応する1つの出力ポートまたは複数の出力ポートに出力する構成である。
【0013】
第1の発明または第2の発明の通信用入出力装置において、記録装置の複数のキューは、複数の出力ポートにそれぞれ対応し、かつ複数の優先度ごとに対応して設定される構成であり、記録装置に入力する通信データに付加される出力先情報は、出力先の出力ポートおよび優先度に対応するキューを指定する情報であり、多重分離装置は、指定されたキューから読み出された通信データを対応する1つの出力ポートに出力する構成である。
【0014】
第1の発明または第2の発明の通信用入出力装置において、記録装置の複数のキューは、複数の出力ポートにそれぞれ対応し、かつ複数の優先度ごとに対応して設定されるキューと、複数の出力ポートに対応し、かつ複数の優先度ごとに対応して設定されるキューを有する構成であり、記録装置に入力する通信データに付加される出力先情報は、出力先の出力ポートおよび優先度に対応するキューを指定する情報であり、多重分離装置は、指定されたキューから読み出された通信データを対応する1つの出力ポートまたは複数の出力ポートに出力する構成である。
【0015】
第1の発明または第2の発明の通信用入出力装置において、複数の出力ポートの優先順位は、複数の出力ポートに出力される通信データの単位時間当たりのデータ量を示す実効出力レートを同等にする基準、または各出力ポートの実効出力レートが各出力ポートの物理レートに比例するように公平化する基準で設定される。また、物理レートが所定値よりも小さい出力ポートを完全優先に設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の通信用入出力装置は、1つまたは複数の入力ポートから入力し、複数の出力ポートのいずれか1つに出力する通信データまたは複数の出力ポートに同報出力する通信データを、1つの記録装置に書き込み、また読み出しを可能にすることにより、ハードウェア規模を低減することができる。
【0017】
また、本発明の通信用入出力装置は、記録装置に複数の論理的な記録領域(キュー)を設定し、複数の出力ポートとキューをそれぞれ対応付ける、また複数の出力ポートに対応するキューを設ける、また出力ポートの優先度に応じて複数のキューを設けることにより、複数の出力ポートの物理レートや実効出力レートに応じた優先制御が可能となり、簡単かつ低規模なハードウェア構成で出力ポート間の公平性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の通信用入出力装置の実施例1を示す図である。
【図2】多重化装置(MUX)10の構成例を示す図である。
【図3】記録装置(MEM)20および多重分離装置(DEMUX)30の構成例を示す図である。
【図4】本発明の通信用入出力装置の実施例2を説明する図である。
【図5】本発明の通信用入出力装置の実施例3を説明する図である。
【図6】従来の通信用入出力装置の構成例1を示す図である。
【図7】従来の通信用入出力装置の構成例2を示す図である。
【図8】従来の通信用入出力装置の構成例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の通信用入出力装置の実施例1を示す。
図1(1) において、本実施例の通信用入出力装置は、複数の入力ポート1,2,3に接続される多重化装置(MUX)10と、複数の出力ポート1,2,3に接続される多重分離装置(DEMUX)30と、MUX10とDEMUX30との間に接続される1つの記録装置(MEM)20とにより構成される。MEM20は、出力ポート1,2,3にそれぞれ対応する論理的な記録領域(キュー)を有する。キューと出力ポートは、図1(2) に示すように1対1に対応する。なお、入力ポートの数と出力ポートの数は異なっていてもよい。
【0020】
図2は、多重化装置(MUX)10の構成例を示す。
図2において、MUX10は、入力ポート1,2,3にそれぞれ接続されるキュー指定情報付加部11,12,13と、多重化部14により構成される。キュー指定情報付加部11,12,13は、入力ポート1,2,3から入力する通信データをMEM20のキューの中のどれに記録するか示すキュー指定情報を決定し、当該キュー指定情報を通信データに付加して多重化部14に出力する。多重化部14は、キュー指定情報が付加された通信データを時分割多重化してMEM20に出力する。
【0021】
なお、キュー指定情報付加部11,12,13は、例えばIEEE802.1D等のブリッジ機能により実現することができる。具体的には、MACアドレス学習による出力ポート検索、VLAN IDによる出力ポート指定等が可能である。
【0022】
また、MUX10は、入力ポート1,2,3から入力する通信データを時分割多重化した後に、キュー指定情報を付加する構成としてもよい。また、MUX10は、入力ポートが1つの場合には、キュー指定情報付加部のみを有する入力装置として構成してもよい。
【0023】
図3は、記録装置(MEM)20および多重分離装置(DEMUX)30の構成例を示す。
図3において、MEM20は、メモリ部21、書込部22、読出部23、キューマップ24により構成される。DEMUX30は、読出部31、振分部32、出力ポート1,2,3にそれぞれ接続される速度変換部33,34,35により構成される。
【0024】
MEM20のメモリ部21は、複数の出力ポートに個々に対応する複数のキューを有する。これは、メモリ部21のアドレスを分割し、それぞれのキューのアドレス範囲を決めることにより実現される。キューマップ24は、各キューの対応する先頭アドレスと最終アドレスをマッピング情報として格納する。なお、各キューのアドレス範囲は、予め決めておいてもよいし、あるいは例えば外部の制御装置等から制御信号によって設定可能としてもよい。
【0025】
なお、通信用入出力装置の入力ポートが複数存在する場合、MEM20に対する出力(書き込み)はすべての入力ポートの物理レートを加算した値に相当する物理レートを必要とし、MEM20からの出力(読み出し)はすべての出力ポートの物理レートを加算した値に相当する物理レートが必要となるが、MEM20としては1つのメモリ部21で構成することができる。
【0026】
MEM20の書込部22は、MUX10からキュー指定情報が付加された通信データを入力し、そのキュー指定情報と、キューマップ24のマッピング情報と、読出部23から出力される読出終了アドレス情報(例えば、読み出した通信データの最終アドレス)を参照し、メモリ部21の書き込むアドレスを決定し、入力した通信データをメモリ部21の当該アドレスに書き込む。通信データの書き込み終了後は、書込済アドレス情報(例えばフレームの先頭アドレスと最終アドレス)を読出部23に出力する。
【0027】
MEM20の読出部23は、DEMUX30から読出指示信号として指示されるキュー情報と、キューマップ24のマッピング情報と、書込部22から出力される書込済アドレス情報を参照し、メモリ部21から読み出すアドレスを決定し、メモリ部21の当該アドレスに書き込まれている通信データを読み出してDEMUX30に出力する。また、キューマップ24のマッピング情報と、書込部22から出力される書込済アドレス等の情報を参照し、各キューに出力すべき通信データが存在しているか否か、存在している場合は合計の蓄積データ量を、キュー情報としてDEMUX30に出力する。また、読出終了アドレス情報を書込部22に出力する。
【0028】
DEMUX30の読出部31は、MEM20から出力されるキュー情報と、速度変換部33,34,35から出力される読出停止指示信号を参照し、MEM20に対してどのキューの通信データを読み出すかを示す読出指示信号を出力し、それに対してMEM20から読み出された通信データを振分部32に出力する。
【0029】
振分部32は、入力した通信データに付加されたキュー指定情報に応じて出力する出力ポートを決定し、当該出力ポートに接続されている速度変換部33,34,35に通信データを出力する。速度変換部33,34,35は、入力した通信データの速度を出力ポートの速度に合せて出力する。また、速度変換部33,34,35は、入力の速度が出力の速度より大きい場合に、バッファ溢れを防止するための読出停止指示信号を読出部31に出力する。なお、通信データに付加されていたキュー指定情報は、振分部32または速度変換部33,34,35で削除する。
【0030】
また、MEM20の読出部23は、書込部22が出力する書込済アドレス等の情報からフレームサイズを計算するとともに、フレームサイズのキュー毎の累積値とその値からすでに読出した分を差し引くことにより、各キューに蓄積されている通信データの量を計算することができる。読出部23は、この各キューに蓄積されている通信データの量をDEMUX30の読出部31に出力し、読出部31で最も蓄積量が多いキューを指示して読み出しを行うようにしてもよい。
【0031】
ここで、本実施例の通信用入出力装置と、図6〜8に示す従来の通信用入出力装置のハードウエア規模について比較する。
本実施例の通信用入出力装置と、図6に示す従来の通信用入出力装置を比較する場合、MUX10とDEMUX30の分だけ本実施例のハードウエア規模が大きく見える。しかし、大量の通信データを扱う装置では、MUX10とDEMUX30のハードウエア規模は、集積回路(LSI)化によってMEM20に対して相対的に小さくなる。MEM20に必要となる容量は、各キューの入力の物理レートの合計値で決まるため、本実施例構成と従来構成との間に差はない。ただし、本実施例の構成では、MUX10で多重化することにより統計多重効果が得られるので、従来構成に比べて合計容量を小さくできる場合がある。
【0032】
また、通信用入出力装置内のMEMをLSI内に内蔵せずに、別のメモリチップを接続して使用する場合、LSIとメモリチップ間の接続に使用する配線の数はできるだけ少ない方が望ましい。メモリチップとの接続に使用する信号のクロックレートを同じにするという条件で比較すると、メモリチップへのデータの入出力に使用するデータ信号の合計数は、本実施例構成と従来構成で変わらない。しかし、本実施例構成の場合はアドレス信号、ライト指示信号等が1系統で済むのに対して、図6に示す従来構成の場合はアドレス信号等をポート数分用意しなければならない。これは、図7,8に示す従来の通信用入出力装置においても同様である。
【0033】
ところで、MEM20の複数のキューの通信データのどれを先に出力するかを判断するためには、優先制御を行う必要がある。複数の出力ポートを持つ通信用入出力装置では、通常、各出力ポート毎の実効出力レート(単位時間当たりの平均データ量)が同等または物理レートに応じて公平になることが望まれる。ただし、入力される通信データの出力先が特定の出力ポートに偏る場合もあるので、そのようなケースも考慮して優先制御を行う必要がある。
【0034】
ここで、各出力ポートの物理レートよりもキューからの通信データの出力(読み出し)の物理レートの方が大きいため、同じキューから連続して通信データを読み出し続けることはできない。例えば、各キューの容量が同じ場合であれば、読み出し可能なキューの中でキューに蓄積されている通信データの量が最も多いキューから出力(読み出し)を行うことにより、優先制御を行うことができる。
【0035】
また、複数の出力ポートの中に物理レートが異なるポートが存在する場合には、物理レートがより所定値より小さい出力ポートの出力を完全優先で出力するように優先制御を行うことにより、優先制御回路のハードウエア規模が従来構成より小さくなる。それは次の理由による。出力ポートにより出力レートが異なる場合、通常はキュー毎の実効出力レートを出力ポートの物理レートに比例するように優先制御を行い、出力ポート毎の実効出力レートを公平化する。このような機能を実現するためには、実際に出力した通信データの量をキュー毎にカウントする機能が必要となる。一方、物理レートが所定値より小さい出力ポートの出力を完全優先で出力する場合は、上記のようなカウント機能は不要であり、簡単な回路で優先制御を実現することができる。
【0036】
また、DEMUX30の読出部31に出力ポート毎の物理レートを表示する手段を内蔵することにより、以下のように優先制御を行うことができる。キューと出力ポートの物理レートの対応については、キューにより出力ポートが決まっているので、その出力ポートの物理レートを参照することにより対応させる。キュー毎の蓄積量が0ではないキューの中で最も物理レートが小さい出力ポートを確認し、その出力ポートに接続されているDEMUX30の速度変換部(33,34,35)から読出停止指示信号が出力されていない(出力許可状態)場合は、その出力ポートに対応するキューを指示して読み出しを行う。一方、読出停止指示信号が出力されている場合には、キュー毎の蓄積量が0ではないキューの中で2番目に物理レートが小さい出力ポートを確認し、その出力ポートに接続されている速度変換部から読出停止指示信号が出力されていない(出力許可状態)場合は、その出力ポートに対応するキューを指示して読み出しを行う。キュー毎の蓄積量が0ではないすべてのキューに対応する出力ポートに接続されている速度変換部から読出停止指示信号が出力されている場合は、キュー毎の蓄積量が0ではないすべてのキューに対応する出力ポートに接続されている速度変換部から読出停止指示信号のどれかの出力が停止(出力許可状態)となるまで待って、該当の出力ポートに対応するキューを指示して読み出しを行う。
【0037】
物理レートが所定値より小さい出力ポートの出力を完全優先で出力する場合、物理レートが異なる出力ポート間での公平性の有無が課題となる。例えば、2個の出力ポートの内、一方が10Gbit/s で他方が1Gbit/s の場合を考えると、1Gbit/s 側を完全優先としても、10Gbit/s の出力ポートへの通信データの遅延が極端に大きくなったり、10Gbit/s の出力ポートへの通信データの廃棄が多発したりすることはないので、実効的に問題とならない。すなわち、通信データのフレームサイズがすべて同じ場合を仮定して説明すると、1Gbit/s の出力ポート向けのフレームの読み出しは、出力ポートの速度制限により11回に1回しか行うことができず、11回中10回は10Gbit/s の出力ポート向けのフレームが読み出されるので問題は生じない。フレームサイズがランダムでも、1Gbit/s の出力ポート向けのフレームの読み出しが連続することはないので同様である。
【0038】
なお、以上説明したような優先制御の規則は通信用入出力装置の設計時に定められ、例えばDEMUX30の読出部31に当該優先制御の規則を予め設定しておき、DEMUX30の読出部31が当該優先制御の規則に基づいて制御されるものとする。
【実施例2】
【0039】
実施例1の通信用入出力装置のMEM20のメモリ部21は、図1(2) に示すように、複数の出力ポートに個々に対応した複数のキューを有し、書込部22および読出部23の制御により、所定の出力ポートに出力する通信データを対応するキューに書き込み、また読み出しが行われる。
【0040】
実施例2の通信用入出力装置のMEM20のメモリ部21は、図4に示すように、各出力ポートに個別に対応するキュー1〜3の他に、複数の出力ポートに対応するキュー4〜7を設置する。例えば、キュー4は出力ポート1,2に対応し、キュー7は出力ポート1,2,3に対応する。これは、複数の出力ポートに対して同じ通信データを同報する機能として利用される。
【0041】
図1〜図3の構成において、MUX10は、マルチキャストアドレスがついた通信データ(フレーム)を入力した場合に、当該マルチキャストする出力ポートに対応するキュー4〜7を指定するキュー指定情報を当該通信データに付加する。MEM20の書込部22、読出部23、DEMUX30の読出部31は、当該キュー指定情報に応じて対応するキュー4〜7に書き込み、また対応するキュー4〜7から読み出しを行うように制御する。
【0042】
さらに、DEMUX30では、キューの種別により動作を変える必要がある。読み出しを行うキューが出力ポート毎に用意されたキューであれば、読み出した通信データを対応する出力ポートから出力する。また、読み出しを行うキューが、複数の出力ポートに対応するキュー4〜7であれば、読み出した通信データを予めキュー毎に定められている複数の出力ポートから出力する。複数の出力ポートから出力する場合、複数の出力ポートから同時に出力してもよいし、順次出力してもよい。また、複数の出力ポートから出力する場合、出力対象のすべてのポートからの出力が終了するまで、次の読み出しは行わない。または、DEMUX30の出力対象のすべてのポートに接続されている速度変換部に対する読出部31からの出力が終了するまで、次の読出しは行わない。複数の出力ポートから出力する場合の出力先は、予め決めておいてもよいし、例えば外部の制御装置から制御信号により設定するようにしてもよい。
【0043】
また、本実施例では優先制御が複雑になる。すなわち、出力ポート毎の公平性を制御することは難しいが、例えばフレーム廃棄の確率をできるだけ低くするためには、読み出し可能なキューの中で、キューに蓄積されている通信データの量が最も多いキューから出力(読み出し)を行えばよい。
【実施例3】
【0044】
実施例3の通信用入出力装置のMEM20のメモリ部21は、図5に示すように、各出力ポートに個別に対応するキューを例えば2つの読出優先度(優先、非優先)に分けて設置する。例えば、キュー1−1は出力ポート1に優先で出力される通信データを記録し、キュー1−2は出力ポート1に非優先で出力される通信データを記録する。
【0045】
図1〜図3の構成において、MUX10は、出力ポートごとの優先度がついた通信データ(フレーム)を入力した場合に、当該出力ポートと優先度に対応するキューを指定するキュー指定情報を当該通信データに付加する。MEM20の書込部22、読出部23、DEMUX30の読出部31は、当該キュー指定情報に応じて対応するキューに書き込み、また対応するキューから読み出しを行うように制御する。これにより、同一出力ポート内での優先制御が可能になる。DEMUX30の振分部32は、優先度にかかわらず、キュー指定情報で指定された出力ポートに通信データを出力する。
【実施例4】
【0046】
実施例2では、図4に示すように、各出力ポートに個別に対応するキュー1〜3の他に、複数の出力ポート(同報)に対応するキュー4〜7を設置しているが、これらのキューを実施例3に示すように例えば2つの読出優先度(優先、非優先)に分けて設置してもよい。これにより、各出力ポートに出力される通信データおよび複数の出力ポートに同報される通信データについて、同一出力ポート内での優先制御が可能になる。
【符号の説明】
【0047】
10 多重化装置(MUX)
11,12,13 キュー指定情報付加部
14 多重化部
20 記録装置(MEM)
21 メモリ部
22 書込部
23 読出部
24 キューマップ
30 多重分離装置(DEMUX)
31 読出部
32 振分部
33,34,35 速度変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力ポートと複数の出力ポートとの間で通信データを入出力する通信用入出力装置において、
前記複数の入力ポートからそれぞれ通信データを入力し、各通信データに出力先情報を付加して各通信データを多重化する多重化装置と、
前記出力先情報に対応する複数の論理的な記録領域(以下「キュー」という)を有し、前記多重化装置から入力する前記通信データをその出力先情報に応じたキューに書き込み、さらに所定のキューから当該通信データを読み出す記録装置と、
前記複数の出力ポートの優先順位に応じて前記通信データを読み出す前記記録装置のキューを指定し、指定したキューから読み出された通信データをその出力先情報に対応する前記出力ポートに振り分け、当該出力ポートの速度に変換して出力する多重分離装置と
を備えたことを特徴とする通信用入出力装置。
【請求項2】
1つの入力ポートと複数の出力ポートとの間で通信データを入出力する通信用入出力装置において、
前記入力ポートから通信データを入力し、該通信データに出力先情報を付加して出力する入力装置と、
前記出力先情報に対応する複数の論理的な記録領域(以下「キュー」という)を有し、前記入力装置から入力する前記通信データをその出力先情報に応じたキューに書き込み、さらに所定のキューから当該通信データを読み出す記録装置と、
前記複数の出力ポートの優先順位に応じて前記通信データを読み出す前記記録装置のキューを指定し、指定したキューから読み出された通信データをその出力先情報に対応する前記出力ポートに振り分け、当該出力ポートの速度に変換して出力する多重分離装置と
を備えたことを特徴とする通信用入出力装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通信用入出力装置において、
前記記録装置の複数のキューは、前記複数の出力ポートにそれぞれ対応して設定される構成であり、
前記記録装置に入力する前記通信データに付加される前記出力先情報は、出力先の出力ポートに対応するキューを指定する情報であり、
前記多重分離装置は、前記指定したキューから読み出された通信データを対応する1つの出力ポートに出力する構成である
ことを特徴とする通信用入出力装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の通信用入出力装置において、
前記記録装置の複数のキューは、前記複数の出力ポートにそれぞれ対応して設定されるキューと、複数の出力ポートに対応して設定されるキューを有する構成であり、
前記記録装置に入力する前記通信データに付加される前記出力先情報は、出力先の出力ポートに対応するキューを指定する情報であり、
前記多重分離装置は、前記指定されたキューから読み出された通信データを対応する1つの出力ポートまたは複数の出力ポートに出力する構成である
ことを特徴とする通信用入出力装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の通信用入出力装置において、
前記記録装置の複数のキューは、前記複数の出力ポートにそれぞれ対応し、かつ複数の優先度ごとに対応して設定される構成であり、
前記記録装置に入力する前記通信データに付加される前記出力先情報は、出力先の出力ポートおよび優先度に対応するキューを指定する情報であり、
前記多重分離装置は、前記指定されたキューから読み出された通信データを対応する1つの出力ポートに出力する構成である
ことを特徴とする通信用入出力装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の通信用入出力装置において、
前記記録装置の複数のキューは、前記複数の出力ポートにそれぞれ対応し、かつ複数の優先度ごとに対応して設定されるキューと、複数の出力ポートに対応し、かつ複数の優先度ごとに対応して設定されるキューを有する構成であり、
前記記録装置に入力する前記通信データに付加される前記出力先情報は、出力先の出力ポートおよび優先度に対応するキューを指定する情報であり、
前記多重分離装置は、前記指定されたキューから読み出された通信データを対応する1つの出力ポートまたは複数の出力ポートに出力する構成である
ことを特徴とする通信用入出力装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の通信用入出力装置において、
前記複数の出力ポートの優先順位は、前記複数の出力ポートに出力される通信データの単位時間当たりのデータ量を示す実効出力レートを同等にする基準、または各出力ポートの実効出力レートが各出力ポートの物理レートに比例するように公平化する基準で設定される
ことを特徴とする通信用入出力装置。
【請求項8】
請求項7に記載の通信用入出力装置において、
前記物理レートが所定値よりも小さい出力ポートを完全優先に設定する
ことを特徴とする通信用入出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−10195(P2011−10195A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153757(P2009−153757)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】