説明

通信端末装置及び通信システム

【課題】セキュリティを確保した状態で、ネットワークに接続された複合機の最新の機器状態をネットワークの外部から安価に取得する。
【解決手段】 代表複合機1は、ファクシミリ通信部20と、ネットワーク通信部31と、機器状態取得部11aと、機器状態応答部11cとを備える。機器状態取得部11aは、ネットワークシステム100内の第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3の機器状態の取得に関する機器状態要求を管理PC6からファクシミリ手順に従って受信する。機器状態要求を受信した機器状態取得部11aは、管理PC6とのファクシミリ通信を継続した状態で、LAN5を介して第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3から機器状態を取得する。また、機器状態応答部11cは、取得した機器状態をファクシミリ手順に従って管理PC6に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ機能及びネットワーク機能を有する通信端末装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信端末装置は、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ機能及びネットワーク機能等の多様な機能を備えた複合機として、広くオフィス等で利用されている。また、オフィス内には複数の複合機が配置され、このような複数の複合機を管理するシステムとして、LANを介して複数の複合機と接続された管理装置を備えるシステムが提供されている(例えば、特許文献1)。このシステムでは、複数の複合機のいずれかに故障及び不具合が発生した場合には、その旨が即時にLANを介して管理装置に通報される。通報を受けた管理装置を使用する管理者は、複合機の故障及び不具合をオフィス内で対処し、又はセンターシステムに対して複合機の保守のサービス依頼を通知する。又は、故障及び不具合に関する情報は、管理装置に蓄積され、所定のタイミングでセンターシステムに送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−77965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複合機の遠隔保守等を目的として、複合機が接続されたネットワークの外部から複合機の最新の機器状態を取得したいという要望がある。しかし、ネットワークのセキュリティを確保した状態で、ネットワークの外部から安価に複合機の最新の機器状態を取得できるシステムはいまだ提案されていない。
【0005】
本発明の課題は、セキュリティを確保した状態でネットワークに接続された一以上の機器の状態を外部から安価に取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る通信端末装置は、ファクシミリ通信部と、ネットワーク通信部と、機器状態取得部と、機器状態応答部とを備える。ファクシミリ通信部は、公衆電話回線網を介してファクシミリ手順に従って第1端末装置とデータを送受信する。ネットワーク通信部は、一以上の第2端末装置とネットワークを介してデータを送受信する。機器状態取得部は、第1端末装置から第2端末装置の機器状態の取得に関する機器状態要求をファクシミリ手順に従って受信した場合、第1端末装置とのファクシミリ通信を継続した状態でネットワークを介して第2端末装置から機器状態を取得する。機器状態応答部は、取得した機器状態をファクシミリ手順に従って第1端末装置に送信する制御を行う。
ここでは、通信端末装置は、第1端末装置から機器状態要求をファクシミリ手順に従って受信し、取得した機器状態をファクシミリ手順に従って第1端末装置に送信する。したがって、ネットワークのセキュリティが確保された状態で、通信端末装置は取得した機器状態をネットワーク外にある第1端末装置に送信できる。また、通信端末装置が機器状態を取得するタイミングは機器状態要求を受信した後なので、通信端末装置が第1端末装置に提供する機器状態は最新のものになる。さらに、通信端末装置が機器状態を取得するときには、第1端末装置とのファクシミリ通信を継続されている。したがって、通信端末装置は、一回のファクシミリ通信によって第1端末装置に機器状態要求に対する機器状態を送信でき、その結果第1端末装置と通信端末装置との間のファクシミリ通信に係るコストが低減される。
【0008】
機器状態要求には、機器状態の取得が要求される第2端末装置を指定する装置指定情報が含まれ、機器状態取得部は、装置指定情報によって指定された第2端末装置から機器状態を取得してもよい。
ここでは、機器状態の取得が要求される第2端末装置を指定する装置指定情報を機器状態要求に含めることができるので、予め装置指定情報を自端末に登録しておく必要がなく、そのため通信端末装置の汎用性が高くなっている。
【0009】
機器状態要求には、機器状態を示す一以上の状態項目及び状態項目に対する要求情報が含まれ、機器状態取得部は、状態項目に対する要求情報に基づいて第2端末装置から機器状態を取得してもよい。
ここでは、機器状態を示す一以上の状態項目及び状態項目に対する要求情報を機器状態要求に含めることができるので、予め状態項目を自端末に登録しておく必要がなく、そのため通信端末装置の汎用性が高くなっている。
【0010】
機器状態応答部は、機器状態取得部が取得した機器状態を一括して第1端末装置へ送信してもよい。
ここでは、通信端末装置は一括して機器状態を第1端末装置に送信するため、第1端末装置による機器状態の管理を容易にできる。
【0011】
機器状態応答部は、機器状態取得部が機器状態を取得するごとに、取得した機器状態を第1端末装置へ送信してもよい。
ここでは、機器状態は取得されるごとに第1端末装置へ送信されることにより、通信端末装置と第1端末装置との間のファクシミリ通信の時間を短縮できる。
【0012】
機器状態応答部は、機器状態取得部が取得した機器状態のうち、同じ第2端末装置に関する機器状態は一括して第1端末装置へ送信してもよい。
ここでは、通信端末装置は同じ第2端末装置に関する機器状態を一括して第1端末装置に送信するため、第1端末装置による機器状態の管理を容易にできる。
【0013】
機器状態要求には、第2端末装置のファックス番号の取得を要求するファックス番号取得要求が含まれ、機器状態取得部は、ファックス番号取得要求に応じて第2端末装置のファクシミリ番号を取得してもよい。
【0014】
本発明の他の見地に係る通信システムは、第1端末装置と、第1ネットワークと、一以上の第2端末装置と、通信端末装置とを備える。第2端末装置は、第1ネットワークに接続され、第1ネットワークを介してデータを送受信するネットワーク通信部を有する。通信端末装置は、ファクシミリ通信部と、ネットワーク通信部と、機器状態取得部と、機器状態応答部と、を有する。ファクシミリ通信部は、公衆電話回線網を介してファクシミリ手順に従って第1端末装置とデータを送受信する。通信端末装置のネットワーク通信部は、第2端末装置と第1ネットワークを介してデータを送受信する。機器状態取得部は、第2端末装置の機器状態の取得に関する機器状態要求をファクシミリ手順に従って第1端末装置から受信した場合、第1端末装置とのファクシミリ通信を継続した状態で、第1ネットワークを介して第2端末装置から機器状態を取得する。機器状態応答部は、取得した機器状態を第1端末装置にファクシミリ手順に従って送信する。
【0015】
第2端末装置は、ファクシミリ通信部と、機器状態取得部と、機器状態応答部と、をさらに有していてもよい。ファクシミリ通信部は、公衆電話回線網を介してファクシミリ手順に従って第1端末装置とデータを送受信する。機器状態取得部は、通信端末装置及び又は自端末以外の第2端末装置に関する機器状態要求をファクシミリ手順に従って第1端末装置から受信した場合、第1ネットワークを介して通信端末装置及び/又は自端末以外の第2端末装置から機器状態を取得する。このとき、第2端末装置と第1端末装置とのファクシミリ通信は継続されている。機器状態応答部は、取得した機器状態を第1端末装置にファクシミリ手順に従って送信する。ここで、第1端末装置は、公衆電話回線網を介して通信端末装置及び第2端末装置のいずれかに機器状態要求を送信してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ネットワーク内のセキュリティを確保した状態で、ネットワークに接続された第2端末装置の最新の機器状態をネットワークの外部から安価に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】複数の複合機を含む通信システムのネットワークを示す図。
【図2】複合機の要部構成を示すブロック図。
【図3】管理PCの要部構成を示すブロック図。
【図4】管理PCと代表複合機との間のファクシミリ通信の処理の流れを示すシーケンス図。
【図5】機器状態要求データを示す図。
【図6】代表複合機による機器状態の取得の処理を示すフローチャート。
【図7】代表複合機から管理対象装置に送信される要求ファイルの内容を示す図。
【図8】代表複合機による機器状態データの作成及び送信の処理を示すフローチャート。
【図9】管理対象装置から代表複合機に送信される応答ファイルの内容を示す図。
【図10】代表複合機から管理PCに送信される機器状態データの内容を示す図。
【図11】管理対象装置による応答ファイルの作成及び送信の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.第1実施形態
(1)通信ネットワークの概要
図1を用いて、本実施形態における通信ネットワークの概要を説明する。図1は、複数の複合機を含む通信システムのネットワークを示す図である。
図1に示す通信システムでは、ネットワークシステム100及び管理センタ200が、公衆交換電話網(PSTN:Public Subscriber Telephone Network)300を介して接続されている。
【0019】
ネットワークシステム100では、通信端末装置としての代表複合機1と、第2端末装置としての第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4とが、LAN(Local Area Network)5を介して互いに接続されている。ネットワークシステム100は、例えばある会社のオフィスに構築されたネットワークシステムである。代表複合機1、第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4は複合機であって、ネットワークシステム100内でグループ化された1つのグループを構成する。なお、代表複合機1、第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4は、WAN(Wide Area Network)を介して接続されていてもよい。
【0020】
本実施形態における代表複合機とは、ネットワークシステム100内においてLAN5を介して一以上の管理対象装置と接続され、かつグループの代表として公衆交換電話網300を介して管理センタ200とファクシミリ通信する役割を担う複合機を指す。したがって、グループを代表して公衆交換電話網300を介して管理センタ200とファクシミリ通信をする複合機であれば、代表複合機1だけでなく、第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4のいずれもが代表複合機になることができる。また、管理対象装置とは、グループ内における代表複合機以外の複合機であって、代表複合機及び他の管理対象装置とLAN5を介して接続された複合機を指す。したがって、第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4のいずれかが代表複合機となった場合、代表複合機1は管理対象装置となる。
【0021】
管理センタ200は、グループを構成する代表複合機1、第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4を遠隔で管理するサービスセンタである。管理センタ200は、ネットワークシステム100とは離れた場所に設けられ、第1端末装置である管理PC(Personal Computer)6を備える。
【0022】
(2)複合機の要部構成
ネットワークシステム100内に配置される複合機の要部構成を説明する。図2は、複合機の要部構成を示すブロック図である。なお、代表複合機1の構成と、第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4との構成は同じであるので、以下代表複合機1を例に挙げて説明する。
【0023】
図2に示すように、代表複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びネットワーク機能等を有する。代表複合機1は、CPU11、ROM13、RAM15、CODEC17、画像メモリ19及びファクシミリ通信部20を備える。代表複合機1は、さらにスキャナ25、プリンタ27、操作パネル29、ネットワーク通信部31及びタイマ33を備える。また、代表複合機1は、バス35を備えており、代表複合機1内の各部はバス35によって互いに接続されている。
【0024】
CPU(Central Processing Unit)11は、代表複合機1の各部を制御する制御部である。CPU11は、ROM13に格納される各種プログラムを読み出して実行することによって、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びネットワーク機能等を実現する。
【0025】
本実施形態のCPU11は、機器状態取得部11a、機器状態データ作成部11b、機器状態応答部11c及び応答ファイル作成処理部11dを有する。
機器状態取得部11aは、自端末が代表複合機である場合に管理PC6からファクシミリ手順に従って機器状態要求を受信すれば、受信した機器状態要求に応じて、各管理対象装置から機器状態を取得する処理を実行する。具体的に機器状態取得部11aは、受信した機器状態要求において指定された管理対象装置に対して、機器状態要求において要求された機器状態の取得を要求する要求ファイルを作成して送信する。また機器状態取得部11aは、要求ファイルへの応答として、管理対象装置から各管理対象装置の機器状態を示す応答ファイルを取得する。
【0026】
機器状態要求とは、ネットワークシステム100外から送信される、ネットワークシステム100内に配置された代表複合機1、第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4を含む複合機の最新の機器状態の取得の要求である。機器状態要求には、機器状態の取得が要求される複合機の指定情報が含まれる。また、機器状態要求には、複合機の機器状態を示す具体的な状態項目及び状態項目に対する要求情報が含まれる。状態項目には、例えば、「スキャナステータス」、「プリンタステータス」、「スキャン回数」、「プリンタ回数」、「ファクシミリ回数」、「ドラムカウント」及び「トナーステータス」が含まれる。さらに、機器状態要求には、機器状態の取得が要求される複合機のファックス番号の取得要求が含まれていてもよい。本実施形態において、機器状態要求はネットワークシステム100外にある管理PC6からファクシミリ通信を介して代表複合機1に送信されるが、詳細は後述する。
【0027】
機器状態データ作成部11bは、自端末が代表複合機である場合に、機器状態取得部111aが管理対象装置から取得した応答ファイルに基づき、管理PC6から受信した機器状態要求に応答するための機器状態データを作成する。
機器状態応答部11cは、自端末が代表複合機である場合に、機器状態データ作成部11bが作成した機器状態データをファクシミリ手順に従って管理PC6へと送信するための制御を行う。具体的に、機器状態応答部11cは、機器状態データ作成部11bが作成した機器状態データを、一括又は分割してファクシミリ通信部20を介して管理PC6へと送信する処理を行う。また、管理PC6へ機器状態データを送信する際、機器状態応答部11cは、機器状態データの作成状況及び機器状態データに継続するデータの有無を示す信号を作成し、管理PC6へ送信する制御を行う。
応答ファイル作成処理部11dは、自端末が管理対象装置である場合に、代表複合機から送信された要求ファイルへの応答として、自端末の状態を示す応答ファイルを作成する。
【0028】
ROM(Read Only Memory)13は、制御プログラムや予め設定されているパラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)15は、プログラムを実行するための作業領域として機能する。
CODEC(Coder and Decoder)17は、画像データを圧縮/展開する。すなわち、CODEC17は、スキャナ25から受け取った原稿の画像データを例えばJPEG形式の画像ファイルの圧縮(符号化)、JPEG形式の画像ファイルの復号、ファクシミリ受信した画像データの復号等を行う。圧縮形式としては、公知の形式が採用可能である。
【0029】
画像メモリ19には、受信データあるいはスキャナ25からで読み取った画像データが記憶される。
ファクシミリ通信部20は、公衆交換電話網(PSTN:Public Subscriber Telephone Network)を介したファクシミリ通信を行う。ファクシミリ通信部20は、モデム21とNCU23とを有する。
モデム21は、デジタル信号とアナログ信号を相互変換する変復調装置であり、NCU23に接続されている。NCU(Network Control Unit)23は、公衆交換電話網(PSTN:Public Subscriber Telephone Network)に接続されており、電話回線を介して発呼及び着呼を含む通信を制御する。
スキャナ25は、CPU11の制御の下、原稿から画像を読み取るスキャナ機能を実現する。スキャナ25は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを有している。スキャナ25によって読み取られた原稿の画像データは画像メモリ19に送信される。
【0030】
プリンタ27は、CPU11の制御の下、スキャナ25により原稿から読み取られた画像データ及びファクシミリ通信機能によって受信された画像データを用紙に印刷するプリント機能を実現する。
【0031】
操作パネル29は、表示パネル及びタッチセンサを有するタッチパネル並びにハードキー等を備える。操作パネル29は、表示パネルによって画像を表示することで、代表複合機1の動作状況及びエラーの発生等の情報をユーザに伝えると共に、ソフトキー及びハードキーを介してユーザからの操作を受け付けることができる。すなわち、ユーザは、操作パネル29を用いてコピー、スキャン、又はファクシミリ送信等の指示を入力することができる。
【0032】
ネットワーク通信部31は、通信ネットワークインターフェースを有し、LAN5を介してネットワークシステム100内に配置された他の管理対象装置とのデータの送受信を行う。
タイマ33は、代表複合機1の画像形成処理の動作とは関係なく動作し、例えば時計回路から構成される。
なお、代表複合機1は、インターネットを介した他の機器との接続を可能とする図示しないネットワークボードをさらに備えていてもよい。
【0033】
(3)管理PCの要部構成
図3を参照して、管理センタ200に配置された管理PC6の要部構成を説明する。図3は、管理PCの要部構成を示すブロック図である。管理PC6は、代表複合機1を製造するメーカによって製造された装置であって、後述するように、代表複合機1との間で非標準手順に従ってファクシミリ通信を実行できる装置である。
管理PC6は、CPU61、ROM63、RAM65、表示部67、操作入力部69、通信制御部71及びメール送受信処理部73を有する。また、管理PC6は、バス75を備えており、管理PC6内の各部はバス75によって互いに接続されている。
【0034】
CPU61は、管理PC6の各部を制御する制御部である。CPU61は、ROM63に格納される各種プログラムを読み出して実行する。
本実施形態における管理PC6のCPU61は、機器状態要求作成部61aを有する。機器状態要求作成部61aは、代表複合機1へ送信される機器状態要求を作成する。例えば、機器状態要求作成部61aは、表示部67及び操作入力部69を介して、ユーザから機器状態の取得が要求される複合機の指定、状態項目に対する要求及び/又はファックス番号の取得要求を受け付けて機器状態要求を作成する。
【0035】
ROM63は、制御プログラムや予め設定されているパラメータ等を格納する。
RAM65は、プログラムを実行するための作業領域として機能する。また、RAM65は、複合機データベース65aを有する。複合機データベース65aには、管理PC6が管理する複合機のIPアドレスが記憶されている。また、複合機データベース65aには、グループを代表する代表複合機のファックス番号が記憶されている。本実施形態の複合機データベース65aには、代表複合機1のIPアドレス及びファックス番号並びに第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4のIPアドレスが記憶されている。なお、機器状態要求によって第1管理対象装置2、第2管理対象装置3及び第3管理対象装置4のファックス番号が取得された場合には、複合機データベース65aには取得されたファックス番号が新たに記憶される。
【0036】
表示部67は、表示デバイス及びタッチセンサを含む。表示部67は、管理PC6に関する種々の情報をユーザに提示する一方で、ユーザからの指示の入力を受け付ける。操作入力部69は、ユーザから各種の指示を受け付けるためのキーボード及びマウス等で構成される。例えば管理PC6のユーザは、表示部67及び操作入力部69を用いて、複合機データベース65aに記憶された複合機の情報を参照しながら、機器状態の取得を要求する複合機の指定、状態項目の要求及び/又は複合機のファックス番号の取得要求を行う。
【0037】
通信制御部71は、公衆交換電話網300を介した代表複合機1とのファクシミリ通信の制御を行う。メール送受信処理部73は、図示しない他の端末との間におけるメールの送受信を処理する。
【0038】
(4)ファクシミリ通信の流れ
以下、図4を参照して、ファクシミリ手順に従った、管理PC6と代表複合機1との間における機器状態要求及び機器状態要求に対する機器状態データの通信の流れを説明する。図4は、管理PCと代表複合機との間のファクシミリ通信の流れを示すシーケンス図である。なお、図4における表記は、国際電信電話連合(ITU:International Telecommunication Union)の有線系標準化(T)の勧告(ITU−Tの勧告)T.30に基づく。
【0039】
前述のとおり、管理PC6と代表複合機1との間では、ファクシミリ通信が行われる。ネットワークシステム100内の複合機の最新の機器状態を取得したい場合、管理PC6は、ファクシミリ手順に従って機器状態要求を代表複合機1へ送信する。また、機器状態要求に対して取得された機器状態データは、ファクシミリ手順に従って代表複合機1から管理PC6へと送信される。このように、管理PC6と代表複合機1とがファクシミリ通信にてデータの送受信を行うことにより、ネットワークシステム100内のセキュリティ内が確保された状態で、管理PC6はネットワークシステム100内の複合機の最新の機器状態を取得できる。
なお、管理PC6と代表複合機1との間でファクシミリ通信が開始される前段階として、管理PC6の機器状態要求作成部61aによって機器状態要求が作成されている。以下、代表複合機1、第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3の機器状態の取得を要求する機器状態要求が作成された例を挙げて説明する。
【0040】
まず、管理PC6が代表複合機1に対して呼出信号を送信する(手順P11)。代表複合機1は、呼び出しに応答し、管理PC6に対して被呼端末識別信号(図中、CED(Called Terminal identification)、以下CED信号)及び非標準機能信号(図中、NSF(Non−Standard Facilities)、以下NSF信号)を送信する(手順P13)。また代表複合機1は、被呼端末識別信号(図中、CSI(Called Station Identification)、以下CSI信号)及びデジタル識別信号(図中、DIS(Degital Identification Signal)、以下DIS信号)を送信する(手順P13)。
【0041】
ここで、管理PC6は、手順P13にて代表複合機1から受信した信号にNSF信号が含まれているかどうかを解析する。NSF信号は、非標準機能の有無及び非標準機能を有する場合はその機能を示す信号であって、NSF信号が含まれていれば、受信側である代表複合機1が非標準機能を有すると判断できる。
代表複合機1から受信した信号にNSF信号が含まれていれば、それ以降の管理PC6と代表複合機1との間のファクシミリ通信は、非標準手順に従って実行される。すなわち、管理PC6と代表複合機1との間のファクシミリ通信は、NSF信号及び非標準機能設定信号(図中、NSS(Non−Standard Facilities Set−up、以下、NSS信号))を用いて実行される。NSS信号は、NSF信号で示される非標準機能の中から設定された機能を示す命令信号であって、受信側の装置及び送信側の装置のメーカが同じ場合に、NSF信号に応答して送信側の装置から受信側の装置に送信される信号である。
【0042】
ここでは、管理PC6と代表複合機1とは同じメーカによって製造された装置であるので、手順P13にて代表複合機1からNSF信号を受信した管理PC6は、次に代表複合機1に対して、機器状態要求を含めたNSS信号を送信する(手順P15)。
【0043】
図5に、NSS信号に含まれる機器状態要求の一例を示す。図5は、機器状態要求データを示す図である。
機器状態要求データ10には、項目情報10−1及び要求情報10−2が含まれる。項目情報10−1は、機器状態要求データ10内の項目の一覧である。項目情報10−1には、項目として「IPアドレス」、「ファックス番号」、「スキャナステータス」、「プリンタステータス」、「スキャン回数」、「プリント回数」、「ファックス回数」、「ドラムカウント」及び「トナーステータス」が含まれる。
要求情報10−2には、項目情報10−1で示される項目に対する要求情報が含まれる。要求情報10−2には、機器状態の取得が要求される複合機毎に作成された個別要求情報10−2−1、10−2−2、10−2−3が含まれる。ここで個別要求情報10−2−1は、代表複合機1に対する個別要求情報である。また、個別要求情報10−2−2は第1管理対象装置2に対する個別要求情報であって、個別要求情報10−2−3は第2管理対象装置3に対する個別要求情報である。
【0044】
「IPアドレス」は、機器状態の取得が要求される複合機の指定情報を示す。本実施形態では、代表複合機1、第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3が、機器状態の取得が要求される複合機として指定され、「IPアドレス」に対応する要求情報10−2の欄には、これら複合機のIPアドレスが含まれている。具体的に個別要求情報10−2−1には、代表複合機1のIPアドレス「200.1.30.1」が含まれている。個別要求情報10−2−2には、第1管理対象装置2のIPアドレス「200.1.30.2」が含まれている。個別要求情報10−2−3には、第2管理対象装置3のIPアドレス「200.1.30.3」が含まれている。
【0045】
「ファックス番号」は、機器状態が要求される複合機のファックス番号であって、「ファックス番号」に対応する要求情報10−2の欄には、少なくとも代表複合機1のファックス番号が含まれている。また、機器状態が要求される複合機のファックス番号が不明であってファックス番号の取得が要求される場合は、「ファックス番号」に対応する要求情報10−2の欄にファックス番号の取得要求「Req」が含まれる。ここでは、個別要求情報10−2−1の「ファックス番号」の欄には、代表複合機1のファックス番号「+81−75−xxx−xxxx」が含まれている。また個別要求情報10−2−2及び個別要求情報10−2−3の「ファックス番号」の欄には、「Req」が記載されている。なお、第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3の「ファックス番号」の取得が要求されない場合は、この欄はブランクである。
【0046】
「スキャン回数」、「プリント回数」、「ファックス回数」、「ドラムカウント」及び「トナーステータス」等は、複合機の機器状態を示す具体的な状態項目である。要求情報10−2においてこれらに対応する欄に「Req」が入力されている場合は、状態項目の取得が要求されている。
個別要求10−2−1では、項目情報10−1の状態項目に対応する全ての欄に「Req」が含まれている。これは、代表複合機1に関して項目情報10−1に示す全ての状態項目の取得が要求されていることを示す。
第2要求情報10−2−2では、項目情報10−1の状態項目において、「ファックス回数」に対応する欄には「Not Req」が含まれ、その他の欄には「Req」が含まれている。これは、第1管理対象装置2に関して、項目情報10−1に示す「ファックス回数」以外の状態項目の取得が要求されていることを示す。
個別要求10−2−3では、項目情報10−1の状態項目に対応する全ての欄に「Req」が含まれている。これは、第2管理対象装置3に関して項目情報10−1に示す状態項目の全ての取得が要求されていることを示す。
【0047】
手順P15にて機器状態要求を含むNSS信号を受信した代表複合機1は、その後管理PC6とのファクシミリ通信を継続した状態で、機器状態要求に基づく機器状態の取得を実行する。すなわち、代表複合機1は、管理PC6から定期的にNSS信号を受信した状態で、機器状態要求によって要求された機器状態を取得し機器状態データを作成しながら、機器状態データの作成状況に応じたNSF信号を管理PC6に送信する。なお、代表複合機1による機器状態の取得及び機器状態データの作成については、後に詳述する。
【0048】
NSS信号を受信した時点で機器状態データが作成できていない場合は、代表複合機1は、機器状態データの作成中であることを示す信号をNSF信号に含めて管理PC6に送信する(手順P17)。
また、管理PC6からNSS信号を受信した時点(手順P19)で、機器状態データの作成は完了しているが、データ転送容量の制限等を理由として作成した機器状態データを一括で管理PC6に送信できない場合がある。この場合、代表複合機1は、機器状態データの一部と継続データがある状態を示す信号をNSF信号に含めて管理PC6に送信する(手順P21)。
【0049】
手順P21においてNSF信号を受信した管理PC6は、継続する機器状態データの要求を示すNextデータ信号をNSS信号に含めて代表複合機1に送信する(手順P23)。
代表複合機1は、管理PC6に送信されるべき機器状態データが最終データである場合には、最終の機器状態データ及び継続データがない状態を示す信号をNSF信号に含めて管理PC6に送信する(手順P25)。なお、ここで、管理PC6に送信されるべき機器状態データに継続データがある場合には、手順P21と同様に、代表複合機1は、機器状態データの一部と継続データがある状態を示す信号をNSF信号に含めて管理PC6に送信する。
【0050】
手順P25においてNSF信号を受信した管理PC6は、切断命令信号(図中、DCN(DISCONNECTION))を代表複合機1に送信して、代表複合機1とのファクシミリ通信を終了する(手順P27)。
【0051】
(5)代表複合機による機器状態情報の取得の処理
以下、管理PC6とのファクシミリ通信を継続した状態で、機器状態要求に基づき機器状態を取得して機器状態データを作成し、上記に示すファクシミリ手順に従って機器状態データを管理PC6に送信する代表複合機1の処理について説明する。
【0052】
(5−1)代表複合機による機器状態の要求ファイルの送信
まず、図6を参照して、代表複合機1による機器状態の取得の処理を説明する。図6は、代表複合機による機器状態の取得の処理を示すフローチャートである。
以下、代表複合機1が、管理PC6からファクシミリ通信にて機器状態要求データ10(図5参照)に示される機器状態要求を受信した場合における代表複合機1の処理を説明する。すなわち、機器状態要求によって、代表複合機1、第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3の機器状態の取得が要求される。また、機器状態要求によって、第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3のファックス番号の取得が要求される。また、代表複合機1及び第2管理対象装置3に対しては、状態項目の全ての取得が要求される。第1管理対象装置2に対しては、「ファックス回数」以外の状態項目の取得が要求される。
【0053】
まず、代表複合機1のCPU11は、ファクシミリ通信部20を介して呼出信号を受信したか否かを判断する(ステップS21、図4の手順P11参照)。呼出信号を受信した場合は(ステップS21でYes)、CPU11は、CED信号/NSF信号/CSI信号/DIS信号を、呼出信号を送信した管理PC6に対して送信する(ステップS13、図4の手順P13参照)。
【0054】
次に、CPU11は、CED信号/NSF信号/CSI信号/DIS信号の送信に対して受信する信号が、NSS信号であるかどうかを判断する。まずCPU11は、受信した信号が、NSS信号/送信端末識別信号(図中、TSI(Transmitting Subscriber Information))/デジタル命令信号(図中、DCS(Degital Command Signal))であるかどうかを判断する(ステップS25)。ここで、NSS信号/送信端末識別信号/デジタル命令信号を受信している場合は(ステップS25でYes)、CPU11は、管理PC6から通常のファクシミリ受信を行い(ステップS27)、処理を終了する。一方、受信した信号が、NSS信号/送信端末識別信号/デジタル命令信号でない場合は(ステップS25でNo)、CPU11は、受信した信号がNSS信号であるかどうかを判断する(ステップS29)。ここで、NSS信号を受信したと判断した場合は(ステップS29でYes、図4の手順P15参照)、CPU11は、ステップS33に進み、管理PC6との間の以降のファクシミリ通信を、非標準手順(NSF信号及びNSS信号)を用いて実行する。なお、ステップS29においてNSS信号を受信しない場合は(ステップS29でNo)、CPU11は、タイマ33を用いて所定の時間の計時を開始する。そして、所定の時間が経過しない間は(ステップS31でNo)、CPU11は、ステップS23に戻ってNSS信号の受信を待つ。一方、NSS信号が受信されない状態で所定時間が経過した場合は(ステップS31でYes)、CPU11は処理を終了する。
【0055】
ステップS29にてNSS信号を受信した後、CPU11の機器状態取得部11aは、受信したNSS信号に機器状態要求が含まれているかどうかを判断する(ステップS33)。機器状態要求がある場合は(ステップS33でYes)、機器状態取得部11aはステップS35に進む。一方、受信したNSS信号に機器状態要求が含まれていない場合は(ステップS33でNo)、CPU11は処理を終了する。
【0056】
次に、機器状態取得部11aは、機器状態要求の内容を解析する(ステップS35)。そして機器状態取得部11aは、機器状態要求において指定された自端末以外の管理対象装置に対して、要求ファイルを作成し、要求ファイルをネットワーク通信部31及びLAN5を介して送信する(ステップS37)。要求ファイルとは、前述のとおり複合機の機器状態の取得を要求するファイルであって、本実施形態ではCSV(Comma Separated Values)形式で作成される。作成された要求ファイルは、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)リクエストに含められ、LAN5を介して機器状態の取得が要求された複合機に送信される。
【0057】
ここでは、機器状態取得部11aは、自端末以外で指定された複合機である第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3それぞれに対して要求ファイルを作成する。図7に、要求ファイルの一例を示す。図7は、代表複合機から管理対象装置に送信される要求ファイルの内容を示す図である。
図7に示す要求ファイル20は、代表複合機1から第2管理対象装置3に対して送信される要求ファイルである。要求ファイル20には、項目情報20−1及び個別要求情報20−2が含まれる。項目情報20−1は、機器状態要求データ10の項目情報10−1と同じであり、個別要求情報20−2は、機器状態要求データ10の個別要求情報10−2−3と同じである。すなわち、機器状態取得部11aは、機器状態要求データ10から項目情報10−1及び第2管理対象装置3のIPアドレスが記載された個別要求情報10−2−3を抽出して要求ファイル20を作成する。
なお、第1管理対象装置2に対しても同様に、機器状態取得部11aによって機器状態要求データ10から項目情報10−1及び第2要求情報10−2−2が抽出された要求ファイルが作成される。
また、本実施形態では、機器状態要求によって代表複合機1の機器状態の取得が要求されている。したがって、機器状態取得部11aは、第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3への要求ファイルを作成し送信するタイミングで、機器状態要求によって自端末に対して要求された機器状態を取得する。
【0058】
(5−2)代表複合機による機器状態データの作成及び送信の処理
次に、図8を参照して、要求ファイルを含めたHTTPリクエストの送信後の代表複合機1による、機器状態データの作成及び機器状態データの送信の処理について説明する。図8は、代表複合機による機器状態データの作成及び送信の処理を示すフローチャートである。
【0059】
前述のとおり、代表複合機1は、管理PC6とのファクシミリ通信を継続した状態で、機器状態要求によって要求された複合機の機器状態をLAN5を介して取得して機器状態データを作成し、作成した機器状態情報を管理PC6にファクシミリ送信する。
【0060】
まず、代表複合機1のCPU11は、ファクシミリ通信部20を介して管理PC6からNSS信号を受信したかどうかを判断する(ステップS41)。ここで、NSS信号を受信していない場合(ステップS41でNo)、CPU11は、ネットワーク通信部31を介して応答データを含んだHTTPレスポンスを受信しているかどうかを判断する(ステップS43)。HTTPレスポンスとは、HTTPリクエスト(図6ステップS37参照)への応答である。HTTPレスポンスには、HTTPリクエストに含まれた要求ファイルによって要求された機器情報が含まれた応答ファイルが含まれている。
【0061】
図9を参照して応答ファイルを説明する。図9は、管理対象装置から代表複合機に送信される応答ファイルの内容を示す図である。応答ファイル30は、第2管理対象装置3から代表複合機1に送信される応答ファイルであって、CSV形式で表される。応答ファイル30には、項目情報30−1及び個別機器情報30−2が含まれる。項目情報30−1は、要求ファイル20の項目情報20−1と同じである。個別機器情報30−2には、個別要求情報20−2で要求された機器情報が含まれる。個別機器情報30−2に示されるとおり、第2管理対象装置3に関して取得された「ファックス番号」は「+81−75−zzz−zzzz」、「スキャナステータス」は「エラー」、「プリンタ状態」は「OK」、「スキャン回数」は「8500」である。また、第2管理対象装置3に関して取得された「プリント回数」は「12500」、「ファックス回数」は「2000」、「ドラムカウント」は「4000」、「トナー状況」は「ノー トナー(No Tonner)」である。管理対象装置による応答ファイルの作成処理は後述する。
【0062】
HTTPレスポンスを受信した場合(ステップS43でYes)、機器状態取得部11aは、次にHTTPリクエストを送信した全ての管理対象装置から応答データを含んだHTTPレスポンスを受信したかどうかを判断する(ステップS45)。すなわち、本実施形態では、HTTPリクエストを送信した第1管理対象装置2及び第2管理対象装置3からHTTPレスポンスを受信したかどうかを判断する。ここで、全ての管理対象装置から応答ファイルを含んだHTTPレスポンスを受信していない場合は(ステップS45でNo)、機器状態取得部11aは受信した応答ファイルをRAM15に仮記憶し(ステップS47)、プロセスはステップS41に戻る。
【0063】
一方、全ての管理対象装置から応答ファイルを含んだHTTPレスポンスを受信した場合は(ステップS45でYes)、次に機器状態データ作成部11bが、機器状態データを作成する(ステップS49)。具体的に機器状態データ作成部11bは、受信した応答ファイルと、自端末について取得した機器状態とに基づき機器状態データを作成する。
【0064】
機器状態データ作成部11bが作成する機器状態データを図10に示す。図10は、代表複合機から管理PCに送信される機器状態データの内容を示す図である。
機器状態データ40には、項目情報40−1及び機器情報40−2が含まれる。項目情報40−1は、応答ファイルの項目情報30−1と同じである。機器情報40−2は、各管理対象装置から受信した応答ファイルに含まれる個別機器情報と自端末の機器状態とをまとめた情報である。
【0065】
機器情報40−2において、個別機器情報40−2−1には、代表複合機1に関して取得された最新の機器情報が含まれる。すなわち、代表複合機1の「スキャナステータス」は「OK」、「プリンタ状態」は「OK」、「スキャン回数」は「10000」、「プリント回数」は「15000」である。また、代表複合機1の「ファックス回数」は「500」、「ドラムカウント」は「8000」、「トナー状況」は「通常」である。
個別機器情報40−2−2には、第1管理対象装置2に関して取得された最新の機器情報が含まれる。すなわち第1管理対象装置2の「スキャナステータス」は「OK」、「プリンタ状態」は「OK」、「スキャン回数」は「9000」、「プリント回数」は「20000」、「ドラムカウント」は「250」、「トナー状況」は「トナーロー(Tonner Low)」である。また、第1管理対象装置2について、「ファックス回数」の取得は要求されていないため(図5参照)、「ファックス回数」に対応する個別機器情報40−2−2の欄は空白である。さらに、ファックス番号の取得要求に対して取得されたファックス番号「+81−yyy−yyyy」が、「ファックス番号」に対応する個別機器情報40−2−2の欄に示されている。
【0066】
個別機器情報40−2−3には、第2管理対象装置3の機器情報が示され、これは応答ファイル30に示される個別機器情報30−2に対応する。
なお、機器状態データ作成部11bは、機器状態データを作成した後、ステップS47にて仮記憶した応答ファイルがある場合は仮記憶した応答ファイルをRAM15から削除する(ステップ51)。
【0067】
代表複合機1のCPU11は、ステップS41にて管理PC6からNSS信号を受信した場合は(ステップS41でYes)、NSF信号を管理PC6に対して送信する。具体的には、CPU11の機器状態応答部11cは、機器状態データの作成状況及び機器状態データに継続するデータの有無を示す信号を作成する。そして、機器状態応答部11cは、作成した信号及び機器状態データをNSF信号に含めて、ファクシミリ通信にて管理PC6に送信する。
まず、機器状態応答部11cは、機器状態データ作成部11bによって機器状態データが作成されているかどうかを判断する(ステップS53)。ここで、機器状態データが作成されていない場合は(ステップS53でYes)、機器状態応答部11cは、NSS信号への応答として、機器状態データの作成中であることを示す信号を作成する。そして、機器状態応答部11cは、作成した信号をNSF信号に含めて管理PC6に送信する(ステップS55、図4の手順P17参照)。
【0068】
本実施形態では、機器状態要求に対して代表複合機1が取得し作成した機器状態データは、一括して管理PC6に送信される。しかし、データ転送容量の制限等を理由として作成した機器状態データを一括で代表複合機1から管理PC6に送信できない場合もあり、この場合には機器状態応答部11cは、機器状態データを分割してNSF信号に含めて管理PC6に送信する。
したがって、機器状態応答部11cは、機器状態データをNSF信号に含めて送信する際、送信する機器状態データが最終データであるか、すなわち機器状態データの継続データの有無を判断する(ステップS57)。送信する機器状態データが最終データである場合は、機器状態応答部11cは、機器状態データと継続する機器状態データはない状態を示す信号とをNSF信号に含めて管理PC6に送信する(ステップS59、図4の手順P25参照)。一方、送信する機器状態データが最終データでない場合は、機器状態データの一部と機器状態データに継続データがある状態を示す信号とをNSF信号に含めて管理PC6に送信する(ステップS61、図4の手順P21参照)。なお、ステップS61及び前述のステップS55においてNSF信号を送信した場合は、プロセスは再びステップS41に戻る。
【0069】
ここで管理PC6に対して機器状態データが一括にて送信できる場合は、管理PC6は要求した機器状態を一括で受信できるので、より容易に機器状態を管理できる。
一方、管理PC6に対して機器状態データを分割して送信される場合であっても、機器情報データと共に継続データがある状態を示す信号が管理PC6に送信される。したがって、管理PC6は、機器状態の取得状況を認識できる。また、NSS信号に継続データがある状態を示す信号が含まれることによって、全ての機器情報データが管理PC6に送信される前にファクシミリ手順が終了することを防止できる。
【0070】
(6)管理対象装置の処理
図11を参照して、HTTPリクエストを受信した管理対象装置による応答ファイルの作成及びHTTPレスポンスの送信の処理を説明する。図11は、管理対象装置による応答ファイルの作成及び送信の処理を示すフローチャートである。ここでは、図6のステップ37にて代表複合機1からHTTPリクエストを受信した第2管理対象装置3による処理を例に挙げて説明する。
【0071】
まず、第2管理対象装置3のCPU11は、代表複合機1からHTTPリクエストを受信したかどうか判断する(ステップS71)。HTTPリクエストを受信した場合(ステップS71でYes)、次に第2管理対象装置3のCPU11は、HTTPリクエストと共に要求ファイルを受信したかどうかを判断する(ステップS73)。要求ファイルを受信した場合は(ステップS73でYes)、第2管理対象装置3は、要求ファイルに基づき応答ファイルを作成する(ステップS75)。
具体的には、第2管理対象装置3の応答ファイル作成処理部11dが、受信した要求ファイルにおいて要求されている機器状態を解析する。そして、応答ファイル作成処理部11dは、要求された機器状態に関する情報を自端末から収集し、応答ファイルを作成する。なお、ここで作成される応答ファイルの一例が、応答ファイル30である(図9参照)。
【0072】
応答ファイルの作成が完成すれば、第2管理対象装置3は、完成した応答ファイルをHTTPレスポンスに含めて代表複合機1に対して送信する(ステップS77)。
【0073】
(7)実施形態の効果
以上のように、本実施形態では、ネットワークシステム100内の複合機の最新の機器状態をネットワークシステム100の外から取得したい場合、管理PC6は、ファクシミリ手順に従って公衆交換電話網300を介して機器状態要求を代表複合機1に送信する。そして代表複合機1は、機器状態要求によって機器状態の取得を要求された管理対象装置及び/又は自端末に関して要求された機器状態を取得し、取得した機器状態データを公衆交換電話網300を介して管理PC6へ送信する。
このように管理PC6と代表複合機1とはファックス通信を行うので、ネットワークシステム100内のセキュリティを確保した状態で、管理PC6はネットワークシステム100の外からネットワークシステム100内に配置された複合機の機器状態を取得できる。また、代表複合機1は、管理PC6から機器状態要求を受信した後に機器状態の取得を指定された複合機に関する機器状態を取得するので、管理PC6は、機器状態要求に対して最新の機器状態データを取得できる。さらに、管理PC6は、ネットワークシステム100内の複合機それぞれと通信する必要はないので、機器状態の取得に係る時間が短縮される。
【0074】
また、本実施形態の代表複合機1は、管理PC6とのファクシミリ通信を継続した状態で、機器状態要求に基づいてネットワークシステム100内の複合機の機器状態の取得を実行する。したがって、代表複合機1は、一回のファクシミリ通信によって機器状態要求に対する機器状態データを送信できる。すなわち、代表複合機1は、機器状態要求の受信からファクシミリ通信を終了することなく、機器状態データを管理PC6へ送信できる。したがって、管理PC6と代表複合機1との間のファクシミリ通信に係るコストを低減させることができる。
【0075】
さらに、本実施形態では、機器状態要求に管理対象装置のファックス番号の取得要求を含めることにより、管理PC6は、管理対象装置のファックス番号を取得できる。
このように代表複合機1以外の管理対象装置のファックス番号の取得することにより、管理PC6と代表複合機1との間のファクシミリ通信が困難である場合にも、管理PC6はネットワークシステム100内の複合機の機器状態を取得できる。例えば、代表複合機1が他のファクシミリ装置とファクシミリ通信している間に管理PC6から代表複合機1に対して呼出信号が送信された場合等、代表複合機1が管理PC6の呼出信号に応答できないときがある。また、公衆交換電話網300がダウンし、管理PC6と代表複合機1とがファクシミリ通信ができない場合がある。
このような場合、管理PC6は、代表複合機1が属するグループの他の複合機、例えば第2管理対象装置3のファックス番号を機器状態要求によって事前に取得しておくことにより、第2管理対象装置3との間でファクシミリ通信を実行できる。したがって、管理PC6は、代表複合機1の代わりに第2管理対象装置3を介してネットワークシステム100内の複合機の最新の機器情報データを取得できる。
【0076】
(8)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合わせが可能である。
【0077】
(a)上記の実施形態では、管理PC6からファクシミリ手順に従って送信される機器状態要求には、機器状態の取得が要求される複合機の指定情報が含まれる例を挙げた。しかし、代表複合機1側に予め機器状態の取得が要求される管理対象装置の指定を記憶させておいてもよい。そして、複合機の指定情報を含まない機器状態要求を管理PC6から受領した場合には、代表複合機1は、予め記憶している管理対象装置に関する機器情報を取得してもよい。
【0078】
(b)上記の実施形態では、代表複合機1は、機器状態が要求された全ての複合機から、要求された全ての状態項目に対する全ての機器状態を取得した後に、機器状態データを管理PC6に送信する。
しかし、代表複合機1は、機器状態を取得するごとに取得した機器状態を管理PC6に送信してもよい。例えば、代表複合機1は、第2管理対象装置3から機器状態要求によって要求された一部の機器状態のみが含まれる応答ファイルを受信した場合には、受信した応答ファイルに基づき一部の機器状態データを作成して管理PC6に送信してもよい。また、一部の機器状態データを送信する際、代表複合機1は、機器状態データに継続データがあることを示す信号を、NSF信号にさらに含めて管理PC6に送信してもよい。
機器状態を取得するごとに取得した機器状態を管理PC6に送信することにより、管理PC6と代表複合機1との間のファックス通信の時間を短くでき、管理PC6はより安価に機器状態データを取得できる。
【0079】
(c)代表複合機1は、上記(b)で記載のとおり機器状態を取得するごとに取得した機器状態を管理PC6に送信してもよいが、少なくとも一台の複合機に関する機器情報については、一括してNSF信号に含めて管理PC6に送信されてもよい。
少なくとも一台の複合機に係る機器情報については一括して管理PC6に送信することにより、管理PC6は、複合機毎に機器状態データを取得できるので、機器状態の管理が容易となる。
【0080】
(d)上記の実施形態では、機器状態要求は、管理PC6が管理PC6のユーザから指示を受け付けることにより作成される例を挙げた。しかし、管理PC6は、メール送受信処理部73を介して、他の端末からネットワークシステム100内の複合機の機器状態の要求指示を受け付けてもよい。そして、要求指示を受け付けた管理PC6は、機器状態の取得が要求された複合機のファックス番号及びIPアドレスを複合機データベース65aに問い合わせた上で機器状態要求を作成し、機器状態要求を代表複合機1に送信してもよい。
また、代表複合機1から受信した機器状態データを、メール送受信処理部73を介して他の端末にメール送信してもよい。
(e)上記の実施形態では、要求ファイル及び応答ファイルはCSV形式で表された。しかし、要求ファイル及び応答ファイルの形式はこれに限定されることなく、他の形式で表されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
ファクシミリ機能及びネットワーク機能を有する通信端末装置及び通信システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1 代表複合機
2 第1管理対象装置
3 第2管理対象装置
4 第3管理対象装置
5 LAN
6 管理PC
11 CPU(代表複合機、管理対象端末)
11a 機器状態取得部
11b 機器状態データ作成部
11c 機器状態応答部
11d 応答ファイル作成処理部
13 ROM(代表複合機、管理対象端末)
15 RAM(代表複合機、管理対象端末)
17 CODEC
19 画像メモリ
20 ファクシミリ通信部
21 モデム
23 NCU
25 スキャナ
27 プリンタ
29 操作パネル
31 ネットワーク通信部
33 タイマ
61 CPU(管理PC)
61a 機器状態要求作成部
63 ROM(管理PC)
65 RAM(管理PC)
67 表示部
69 操作入力部
71 通信制御部
73 メール送受信処理部
100 ネットワークシステム
200 管理センタ
300 公衆交換電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆電話回線網を介してファクシミリ手順に従って第1端末装置とデータを送受信するファクシミリ通信部と、
一以上の第2端末装置とネットワークを介してデータを送受信するネットワーク通信部と、
前記第1端末装置から前記第2端末装置の機器状態の取得に関する機器状態要求を前記ファクシミリ手順に従って受信した場合、前記第1端末装置とのファクシミリ通信を継続した状態で前記ネットワークを介して前記第2端末装置から機器状態を取得する機器状態取得部と、
前記取得した機器状態を前記ファクシミリ手順に従って前記第1端末装置に送信する制御を行う機器状態応答部と、
を備える通信端末装置。
【請求項2】
前記機器状態要求には、機器状態の取得が要求される前記第2端末装置を指定する装置指定情報が含まれ、
前記機器状態取得部は、前記装置指定情報によって指定された前記第2端末装置から機器状態を取得する、請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記機器状態要求には、機器状態を示す一以上の状態項目及び前記状態項目に対する要求情報が含まれ、
前記機器状態取得部は、前記状態項目に対する要求情報に基づいて前記第2端末装置から機器状態を取得する、請求項1又は2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記機器状態応答部は、前記機器状態取得部が取得した機器状態を一括して前記第1端末装置へ送信する、請求項1〜3のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記機器状態応答部は、前記機器状態取得部が機器状態を取得するごとに、取得した機器状態を前記第1端末装置へ送信する、請求項1〜3のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記機器状態応答部は、前記機器状態取得部が取得した機器状態のうち、同じ前記第2端末装置に関する機器状態は一括して前記第1端末装置へ送信する、請求項5に記載の通信端末装置。
【請求項7】
前記機器状態要求には、前記第2端末装置のファックス番号の取得を要求するファックス番号取得要求が含まれ、
前記機器状態取得部は、前記ファックス番号取得要求に応じて前記第2端末装置のファクシミリ番号を取得する、請求項1〜6のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項8】
第1端末装置と、
第1ネットワークと、
前記第1ネットワークに接続され、前記第1ネットワークを介してデータを送受信するネットワーク通信部を有する一以上の第2端末装置と、
公衆電話回線網を介してファクシミリ手順に従って前記第1端末装置とデータを送受信するファクシミリ通信部と、前記第2端末装置と前記第1ネットワークを介してデータを送受信するネットワーク通信部と、前記第2端末装置の機器状態の取得に関する機器状態要求を前記ファクシミリ手順に従って前記第1端末装置から受信した場合、前記第1端末装置とのファクシミリ通信を継続した状態で、前記第1ネットワークを介して前記第2端末装置から機器状態を取得する機器状態取得部と、前記取得した機器状態を前記第1端末装置に前記ファクシミリ手順に従って送信する制御を行う機器状態応答部と、を有する通信端末装置と、
を備える通信システム。
【請求項9】
前記第2端末装置は、
公衆電話回線網を介してファクシミリ手順に従って前記第1端末装置とデータを送受信するファクシミリ通信部と、
前記通信端末装置及び又は自端末以外の前記第2端末装置に関する機器状態の取得に関する機器状態要求を前記ファクシミリ手順に従って前記第1端末装置から受信した場合、前記第1端末装置とのファクシミリ通信を継続した状態で、前記第1ネットワークを介して前記通信端末装置及び/又は自端末以外の前記第2端末装置から機器状態を取得する機器状態取得部と、
前記取得した機器状態を前記第1端末装置に前記ファクシミリ手順に従って送信する機器状態応答部と、
をさらに有し、
前記第1端末装置は、公衆電話回線網を介して前記通信端末装置及び前記第2端末装置のいずれかに前記機器状態要求を送信する、請求項8に記載の通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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