説明

通信装置および通信システム

【課題】 無線タグの位置を利用者に伝えると共に、消費電力を抑える。
【解決手段】 表示媒体に備わる無線タグと無線通信可能な通信装置であって、前記無線タグと通信を行うための電磁波を送出する通信手段と、周囲の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像に前記表示媒体が存在することを示す情報が含まれる場合に、前記通信手段が無線タグと通信を行うための電磁波を送出するよう制御する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「街角に展示するポスターなどの広告媒体1や、商品またはその包装などの広告対象物2に、無線タグ3を添付する。無線タグ3には、記憶部を備える半導体集積回路チップ4が搭載され、端末装置6から電波を送信すれば、内部で電圧を発生して動作し、記憶されている情報に基づいて反射波を送出する。宣伝広告などの情報は、端末装置6の表示装置8で画像や動画として表示され、スピーカ9からは音声で出力される。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−268593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、NFC(Near Field Communication)やRFID(Radio Frequency Identifier)などの近接通信を行う機能を有する通信装置について検討が進められているが、現在主流の通信装置に無線タグを読み取らせるためには、利用者は、数cm〜十数cmの距離まで意識的に通信装置を無線タグに近づける必要がある。しかし、ポスターや案内板に無線タグが付されていたとしても、利用者が無線タグの存在に気が付かないことが多いという課題がある。
【0005】
また、通信装置は無線タグを読み取るために電波を発して待機する必要があり、無線タグの読み取りに要する消費電力が課題となっている。
【0006】
本発明は、無線タグの位置を利用者に伝えると共に、消費電力を抑える通信装置および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば、特許請求の範囲に記載された構成を採用する。これを例示するならば、表示媒体に備わる無線タグと無線通信可能な通信装置であって、前記無線タグと通信を行うための電磁波を送出する通信手段と、周囲の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像に前記表示媒体が存在することを示す情報が含まれる場合に、前記通信手段が無線タグと通信を行うための電磁波を送出するよう制御する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線タグの位置を利用者に伝えると共に、消費電力を抑える通信装置および通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】通信装置の構成例を示す図である。
【図2】タグつき広告の外観例を示す図である。
【図3】通信装置の表示部における画面例を示す図である。
【図4】共通マーク識別情報テーブルと識別結果格納テーブルの構成例を示す図である。
【図5】通信装置の処理フロー例を示す図である。
【図6】通信装置の処理フロー例を示す図である。
【図7】通信装置と通信サーバの処理フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る通信装置の構成例を示す図である。
【0011】
通信装置1は、NFCなどの近接通信を行う機能を備えた装置であり、例えば、携帯電話、PDA、タブレット端末、またはモバイルPCなどの移動端末である。
【0012】
タグ付き広告21とタグ付き広告22は、通信装置1から電波を発し近接通信を行うことで、通信装置1にタグの情報を送信する。本実施形態において、タグ付き広告21とタグ付き広告22は、それぞれ、通信装置1がタグを読み取るための近接通信の方式が異なるものとして記述することがあるが、同一の通信方式であったとしても良い。また図示していないが、タグ付き広告21とタグ付き広告22以外にも、近接通信の方式を同じくする、または、近接通信の方式を異にする、より多くのタグ付き広告が存在してもかまわない。以降、これらを特に区別する必要がない場合は、単にタグ付き広告と表記するか、あるいはタグ付き広告21を例にとって説明していく。
【0013】
通信装置1は、演算処理部10と、通信部11と、撮像部12と、表示部13と、入力部14と、近接通信制御部15と、コード格納メモリ16と、データ格納メモリ17と、電源部18とを有しており、これらが通信用バス、専用線、または電力線などで電気的に相互に接続されている。なお、図1では各部が相互に接続されているように記載しているが、これに限定するものではなく、必要な部分のみが互いに接続されている構成であってもよい。
【0014】
演算処理部10は、通信装置1全体の制御を司り、コード格納メモリ16により格納されるプログラムやアプリケーションを実行する。演算処理部10としては、例えばマイクロプロセッサを用いる。
【0015】
通信部11は、通信装置1が広域網に接続されたサーバ等(図示しない)と通信を行うためのものであり、携帯電話網接続モジュール、無線LANモジュール、または有線LANモジュールなどが用いられる。あるいは、通信部11は他の通信装置1との通信を行う機能を備えていてもよく、この場合は、Bluetooth(登録商標)、TransferJET(登録商標)、または赤外線などが用いられる。またはその他の機器間通信手段を用いてもかまわない。
【0016】
撮像部12は、通信装置1の周囲の情景を画像として撮像するための手段であり、カメラやステレオカメラ等が用いられる。撮像部12により撮像される画像は、静画像であっても動画像であってもよい。なお、後に図3の例を用いて説明するが、撮像部12は、通信装置1に備わる表示部13と異なる面に配置されていることが望ましい。ただし、その構成に限るものではない。
【0017】
表示部13は、通信装置1が処理結果等を表示するための手段であり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどが用いられる。場合によってはLEDなどを表示部13として用いてもよい。
【0018】
入力部14は、通信装置1が操作を受け付けるための手段であり、タッチパネル、トラックボール、マウス、キーボード、および加速度センサ等の各種センサなどが用いられる。入力部14は表示部13と一体となっていても構わず、後に説明する図3の例ではその構成を取っている。
【0019】
近接通信制御部15は、通信装置1がタグ付き広告21やタグ付き広告22から情報を取得するための通信手段を制御するものであり、専用ICチップやソフトウェアなどが用いられる。通信手段には、例えば非接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC14443や、NFC、FeliCa(登録商標)方式などがある。近接通信制御部15の機能の一部または全部は演算処理部10などの他のモジュールに含まれていても良い。
【0020】
コード格納メモリ16は、通信装置1が処理を実行するために必要な制御プログラムやアプリケーション等を格納するためのメモリであり、これら制御プログラム等は演算処理部10によって実行される。コード格納メモリ16は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。なお、コード格納メモリ15は、書き換え可能な揮発性メモリ、書き換え可能な不揮発性メモリ、または書き換え不可能なメモリなどの、複数の部品から構成されていてもよいし、あるいは、個別の構成に限らず、構成の一部または全部が、演算処理部10やデータ格納メモリ17などの、他のモジュールの中に含まれていてもよい。
【0021】
データ格納メモリ17は、通信装置1が処理を実行するために必要なデータ等を格納するためのメモリであり、当該データは演算処理部10が実行する処理に用いられる。データ格納メモリ17は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。なお、データ格納メモリ15は、書き換え可能な揮発性メモリ、書き換え可能な不揮発性メモリ、または書き換え不可能なメモリなどの、複数の部品から構成されていてもよいし、あるいは、個別の構成に限らず、構成の一部または全部が、演算処理部10や、コード格納メモリ16などの、他のモジュールの中に含まれていてもよい。
【0022】
電源部18は、通信装置1が動作するための電力を供給する。電源部18としては、例えば、二次電池若しくはコンデンサなどの蓄電装置、外部電源接続端子、または無線給電モジュールなどが考えられる。
【0023】
近接通信制御部15は、近接通信部151と近接通信部152を有する。近接通信部151と近接通信部152は、それぞれが異なる近接通信の方式の電波を発するモジュールであり、例えば、非接触ICカード用の通信規格であるISO/IEC14443に則った通信を行うモジュール、NFCに則った通信を行うモジュール、FeliCa(登録商標)方式に則った通信を行うモジュールなどが適用され得る。図示していないが、近接通信部151と近接通信部152以外にも、近接通信の方式を異にする近接通信部が存在してもよい。図1では近接通信制御部15にこれらの近接通信部が含まれる構成を取っているが、各々が別個のハードウェアで構成されていても構わない。なお、以降の説明では、便宜的な対応付けとして、近接通信部151がタグ付き広告21を読み取るための電波を発するモジュールであり、近接通信部152がタグ付き広告22を読み取るための電波を発するモジュールであるものとする。図1の91と92はこの便宜的な対応付けを表現したものである。実際にはこれ以外の対応付けであっても構わない。
【0024】
コード格納メモリ16は、共通マーク画像識別処理実行コード161と、近接通信制御実行コード162と、アプリケーション実行コード163と、を格納する。これら以外の実行コードが格納されていても構わない。共通マーク画像識別処理実行コード161は、撮像部22が撮像した画像を入力し、図2で説明する共通マークの存在を示す情報が、入力した画像に含まれるかどうかを識別するための実行コードであり、演算処理部10により実行される。近接通信制御実行コード162は、近接通信制御部15に制御情報を通知するための実行コードであり、演算処理部10により実行される。アプリケーション実行コード163は、共通マーク画像識別処理実行コード161や、近接通信制御実行コード162を呼び出しながら、タグ付き広告21等の読み取りのための一連の処理を行うための実行コードであり、演算処理部10により実行される。これらの実行コードの動作は、後述する処理フロー例を用いて説明する。
【0025】
データ格納メモリ17は、共通マーク識別情報テーブル171を格納し、識別結果格納テーブル172と、近接通信タグ情報格納領域173とを有する。これら以外のデータが格納されていても構わない。共通マーク識別情報テーブル171は、共通マーク画像識別処理実行コード161の実行の際に用いられる共通マーク識別情報を格納するためのテーブルであり、後に図4を用いて構成例を説明する。識別結果格納テーブル172は、共通マーク画像識別処理実行コード161の実行による処理結果を格納するためのテーブルであり、後に図4を用いて構成例を説明する。近接通信タグ情報格納領域173は、タグ付き広告21等から読み取ったタグの情報を格納するための領域である。
【0026】
タグ付き広告21は、IDタグ211、および共通マーク212を有する。タグ付き広告22の構成要素はタグ付き広告21と同一なので説明を省くが、近接通信の方式や外観はそれぞれで異なる場合がある。タグ付き広告21の構成は、外観例を示した図2を用いて説明する。タグ付き広告21は、ポスター広告、案内板、掲示板、雑誌等の書籍、または街路に設置された情報など、紙面や設備として広く用いられている表示媒体であって、無線タグであるIDタグ211を有したものである。IDタグ211としては、NFC Forumの規格で定められたNFCタグ、RFIDタグ、FeliCa(登録商標)カード、またはMIFARE(登録商標)カードなどが用いられる。共通マーク212は、タグ付き広告21の表示面において、IDタグ211を読み取るために利用者が通信機器1をかざす場所、例えば、IDタグ211の位置を指し示す。共通マーク212は、IDタグ211の近接通信の方式に応じて業界共通で定められるエンブレム、ロゴ、またはマークであり、例えば、NFCマーク、FeliCa、またはMIFAREなどの規格の種別を示すマークや、タグ付き広告21によって提供されるサービスを示すマークなどであることが考えられる。図2に示した外観例では、表示媒体であるタグ付き広告21の左下に共通マーク212が表示されており、さらに、共通マーク212の近傍にIDタグ211が付されている。IDタグ211はタグ付き広告21に埋め込まれていてもよいし、表面や裏面に貼り付ける形になっていてもよい。あるいはIDタグ211の形状や外観が特徴的なものであるなどの場合は、IDタグ211が共通マーク212の役割を果たすようになっていてもよい。タグ付き広告21におけるIDタグ211や共通マーク212の配置は、図2の例に限るものではない。
【0027】
図3は、通信装置1の表示部13における画面例を示す図である。図3では、タグ付き広告21、およびタグ付き広告22が、通信装置1の撮像部22がその画像を取得可能な位置に存在している場合を示している。タグ付き広告21は、通信装置1から見てタグ付き広告22よりも左手前に位置し、タグ付き広告22は、通信装置1から見てタグ付き広告21よりも右奥に位置している。撮像部22が取得した画像は、表示部13を通じて表示される(以下、撮像部22が撮像可能な範囲を「撮像範囲」という)。このとき、撮像範囲に存在する共通マーク212や共通マーク222は、表示部13において、それぞれ、共通マーク画像510、共通マーク画像520として表示され、共通マーク画像510は表示部13の左下、共通マーク画像520は表示部13の右上に表示されている。それぞれの共通マーク画像の表示位置は、共通マーク212および共通マーク222と通信装置1との位置関係に対応している。
【0028】
表示部13では、共通マーク画像510の近傍に、通知表示511を重ね合わせて表示し、また、共通マーク画像520の近傍に、通知表示521を重ね合わせて表示している。通知表示511と通知表示521はそれぞれ異なる形であってもよいし、同じ形であってもよいが、共通マーク画像と対応付いていることが望ましい。例えば、共通マーク画像510と共通マーク画像520が同一の共通マークに基づく共通マーク画像である場合は、通知表示511と通知表示512について、それらが同一の共通マークに基づいているとわかる形式で表示する。また、共通マーク画像510と共通マーク画像520が異なる共通マークに基づく共通マーク画像である場合は、通知表示511と通知表示512について、それらが異なる共通マークに基づいているとわかる形式で表示する。なお、共通マークと通知表示とが別個になっていなくともよく、例えば共通マーク画像510が通知表示511の役割を兼ねても構わない。
【0029】
通知表示511や通知表示521は、入力部14が受け付ける入力により、利用者が選択することが可能であるものとする。例えば、入力部14がタッチパネルにより構成されている場合は利用者が通知表示に触れる形で選択してもよいし、入力部14がトラックボールの場合は利用者がカーソル等(図示しない)を移動させることで選択してもよい。
【0030】
タグ付き広告21やタグ付き広告22およびその他のタグ付き広告(図示しない)と通信端末1との個数や位置関係は、図3の例に示す限りではない。例えば、より多くのタグ付き広告21が撮像範囲に存在する場合は、それに応じた個数の共通マーク画像が表示部13により表示されることになる。また、通信装置1、タグ付き広告、共通マーク、共通マーク画像、および通知表示などの形状や外観は、図3の例で示す限りではない。
【0031】
図4は、共通マーク識別情報テーブル171と識別結果格納テーブル172の構成例を示すものである。
【0032】
共通マーク識別情報テーブル171は、共通マーク種別600と、共通マーク識別情報610と、近接通信方式情報620を有する。これらの構成要素は複数存在してもよく、図4の例では2つのエントリまで図示している。共通マーク種別600は、タグ付き広告21に付される共通マークの種別であり、近接通信の方式やサービス方式を同定できる情報が適用可能である。例えば、NFCならば1番、RFIDならば2番など、適当な番号でもよい。例えば共通マーク種別600は1番、共通マーク種別601は2番、などとすることが考えられる。共通マーク識別情報610は、共通マーク画像識別処理実行コード161の実行の際、入力した画像に含まれる共通マークを識別する際に使用する参照パターンである。参照パターンは共通マーク毎に異なるため、共通マーク種別600と対応付けて格納する。共通マーク識別情報610は、撮像された共通マークが、例えば、画像における大きさが様々であったり、前後左右あるいは手前側や奥側に傾いていたり、光や影あるいは劣化などの影響で色合いなどが変化していた場合でも、共通マーク画像識別処理実行コード161の実行によってそれが共通マーク画像であることを判別することができるようになっていることが望ましい。近接通信方式情報620は、近接通信制御実行コード162が、近接通信制御部15に対し、いずれの近接通信部を動作させるか指令を行うための情報が格納されている。近接通信の方式は共通マーク毎に異なるため、共通マーク種別600と対応付けて格納する。
【0033】
識別結果格納テーブル172は、識別情報格納領域700と、共通マーク種別格納領域710と、描画情報格納領域720と、距離情報格納領域730を有する。これらの構成要素は複数存在してもよく、図4の例では3つのエントリまで図示している。識別情報格納領域700は、共通マーク画像識別処理実行コード162の実行による識別結果を同定できる情報が含まれており、配列番号などを付すことが考えられる。共通マーク種別格納領域710は、共通マーク識別情報テーブル171の構成要素である共通マーク種別を示す情報を格納することで、共通マーク画像識別処理実行コード161の実行により、いずれの共通マーク種別を識別の対象としたかを示す。複数のエントリに同一の共通マーク種別が含まる場合もある。図4の例では、共通マーク種別格納領域710に共通マーク種別600を示す情報が、共通マーク種別格納領域711に共通マーク種別600を示す情報が、共通マーク種別格納領域712に共通マーク種別601を示す情報が、それぞれ含まれている。描画情報格納領域720には、画面または画像における共通マーク画像の座標情報や、あるいは近傍に表示する通知表示の座標情報などが格納される。距離情報格納領域730には、撮像部22、言い換えると、通信装置1と共通マークの距離に関する情報を距離情報として格納される。距離情報は、共通マーク画像識別処理実行コード161が共通マーク画像の識別を行う段階で推定したものでもよいし、撮像部22がステレオカメラ等である場合は、視差情報などから推定したものでもよい。
【0034】
図5に、通信装置1における処理フロー例を示す。
【0035】
この処理フローは、例えば、利用者の操作によりコード格納メモリ16のアプリケーション実行コード163が演算処理部10により実行されることによってスタートする。但し、これに限定するものではなく、例えば通信装置1に電源が投入されたときの起動シーケンスの一環としてスタートしてもよいし、あるいは撮像部22を用いる他の処理からアプリケーション実行コード163が呼び出されることでスタートしても良い。
【0036】
演算処理部10は撮像部12が撮像した画像を取得し、表示部13に表示する(S1000)。なお、図5の処理フロー例において、表示部13への描画タイミングは、続くS1010〜S1100の処理と前後しても特に問題ない。
【0037】
続いて演算処理部10は、共通マーク画像識別処理実行コード162を実行し、共通マーク識別情報テーブル171の各々の共通マーク識別情報に基づき、S1000で取得した画像から共通マーク画像を識別し、識別結果を識別結果格納テーブル172に反映する(S1010)。なお、処理フロー図には示していないが、共通マーク画像識別処理実行コード162は、識別結果を識別結果格納テーブル172に格納する際、既に識別結果格納テーブル172に格納されている情報について、共通マーク種別格納領域、描画情報格納領域、距離情報格納領域に含まれるデータと、所定の類似度比較処理を行い、比較結果が所定の類似度を上回る場合、識別結果と当該格納済み情報とは、同一の共通マークを源とすると判断し、識別情報格納領域と共通マーク種別格納領域を更新せずに、当該格納済み情報の描画情報格納領域と距離情報格納領域を更新することが望ましい。類似度の判定は、例えば描画情報格納領域に含まれる座標の差が所定の値以下である場合、あるいは、距離情報格納領域に含まれる距離情報の差が所定の値以下である場合に、類似度を高く判定する、といった処理が考えられる。
【0038】
続いて演算処理部10は、識別結果格納テーブル172の識別情報のエントリ数だけ、共通マーク種別に対応した通知表示を、描画情報に基づいて表示部12に表示する(S1020)。なお、図5の処理フロー例において、表示部13への描画タイミングは、続くS1030〜S1100の処理と前後しても特に問題ない。
【0039】
続いて演算処理部10は、識別結果格納テーブル172の共通マーク種別格納領域に格納された共通マーク種別について、それに対応する近接通信方式情報として、近接通信部151を用いるものと、近接通信部152を用いるものが両方含まれているかどうかを判定する(S1030)。含まれている場合(S1030 Yes)、演算処理部10は、近接通信制御実行コード162を実行し、近接通信部151と近接通信部152から所定の間隔で交互に近接通信の実行のためのポーリングを開始または継続するよう、近接通信制御部15に通知する(S1040)。ここでポーリングとは、近接通信部151または近接通信部152から、IDタグの存在を検知するための電波を繰り返し発することであるとする。また、所定の間隔で交互に、とは、例えば、近接通信部151からのポーリングを100ミリ秒継続したら、近接通信部151からのポーリングを一旦停止し、今度は近接通信部152からのポーリングを100ミリ秒継続する、といったことを繰り返すことが考えられる。S1030の後はS1000に戻り処理を継続する。
【0040】
S1030で含まれていないと判定した場合(S1030 No)、演算処理部10は、識別結果格納テーブル172の共通マーク種別格納領域に格納された共通マーク種別について、それに対応する近接通信方式情報として、近接通信部151を用いるものが含まれているかどうかを判定する(S1050)。含まれている場合(S1050 Yes)、演算処理部10は、近接通信制御実行コード162を実行し、近接通信部151から近接通信実行のためのポーリングを開始または継続するよう、近接通信制御部15に通知し、さらに、近接通信部152からの無線出力を所定時間後に停止するよう、近接通信制御部15に通知する(S1060)。ここでの所定時間とは例えば30秒などのマクロな長さであることが望ましい。S1050の後はS1000に戻り処理を継続する。
【0041】
S1050で含まれていないと判定した場合(S1050 No)、演算処理部10は、識別結果格納テーブル172の共通マーク種別格納領域に格納された共通マーク種別について、それに対応する近接通信方式情報として、近接通信部152を用いるものが含まれているかどうかを判定する(S1070)。含まれている場合(S1070 Yes)、演算処理部10は、近接通信制御実行コード162を実行し、近接通信部152から近接通信の実行のためのポーリングを開始または継続するよう、近接通信制御部15に通知し、さらに、近接通信部151からの無線出力を所定時間後に停止するよう、近接通信制御部15に通知する(S1080)。ここでの所定時間とは例えば30秒などのマクロな長さであることが望ましい。S1070の後はS1000に戻り処理を継続する。
【0042】
S1070で含まれていないと判定した場合(S1070 No)、演算処理部10は、近接通信部151と近接通信部152からの無線出力を所定時間後に停止するよう、近接通信制御部15に通知する(S1080)。ここでの所定時間とは例えば30秒などのマクロな長さであることが望ましい。S1090の後はS1000に戻り処理を継続する。
【0043】
なお処理フロー例に示してはいないが、近接通信制御部15は、近接通信部151と近接通信部152のポーリングの実行状態を管理し、「開始または継続」、「所定時間後に停止」といった演算処理部10からの通知を実行する。この状態管理の機能は近接通信制御実行コード162に記述され演算処理部10で実行されてもよい。
【0044】
また、図5の処理フロー例に示してはいないが、例えば、通信装置1でタグ付き広告21の読み取りを行った場合、演算処理部10はIDタグ211から読み取った情報を近接通信タグ情報格納領域173に格納し、近接通信制御部15に対し、近接通信部の出力する電波停止する通知を送信した後、図5の処理フロー例を抜けるといった処理が考えられる。
【0045】
なお、図5の処理フロー例は近接通信部が近接通信部151と近接通信部152の2つであった場合を例にとったフローであるが、近接通信部が1つないし3つ以上であっても、同様の条件分岐処理を実施することで対応可能である。
【0046】
以上の処理を行うことで、通信装置1で読み取ることのできるタグ付き広告の場所を利用者にわかりやすく提示しつつ、通信装置1の近くにタグ付き広告がある場合のみ読み取り電波を発信することで省電力化が可能となる。
【0047】
図6に、通信装置1における別の処理フロー例を示す。図6の処理フロー例によると、利用者が通知表示を選択し、それに対応するタグ付き広告を読み取る電波のみを発信することで、図5の利点に加え、通信方式を異にするIDタグが近くにあった場合であっても目的のタグ付き広告を確実に読み取ることができる。図6の処理フロー例において、図5の処理フロー例と同一の処理は同じ番号を付して説明を省略する。ただし、図6のフローでは、S1000とS1020の表示部13での描画タイミングは、S1020終了時点で完了している必要がある。
【0048】
演算処理部10は、S1020で表示部12に通知表示を表示したのち、S2030に遷移する。S2030では、入力部12が受け付けた操作について、表示部12に表示した通知表示のいずれかを選択したかどうかを判定する。選択した場合(S2030 Yes)はS2040に遷移し、選択していない場合(S2030 No)はS1000に戻って処理を継続する。
【0049】
S2040において、演算処理部10は、共通マーク識別情報テーブル171に基づき、S2030で選択した通知表示に対応する共通マーク種別の近接通信方式情報を取得する。
【0050】
続いて演算処理部10は、S2040で取得した近接通信の方式が、近接通信部151を用いるかどうかを判定する(S2050)。用いると判定した場合(S2050 Yes)、S1060に遷移する。
【0051】
S2050の判定処理で用いないと判断した場合(S2050 No)、演算処理部10は、S2040で取得した近接通信の方式が、近接通信部152を用いるかどうかを判定する(S2070)。用いると判定した場合(S2070 Yes)、S1080に遷移する。S2070の判定処理で用いないと判断した場合(S2070 No)、S1090に遷移する。
【0052】
また、図6の処理フロー例に示してはいないが、例えば、通信装置1がタグ付き広告21の読み取りを行った場合、演算処理部10はIDタグ211から読み取った情報を近接通信タグ情報格納領域173に格納し、近接通信制御部15に対し、近接通信部の出力する電波停止する通知を送信した後、図6の処理フロー例を抜けるといった処理が考えられる。
【0053】
なお、図6の処理フロー例は近接通信部が近接通信部151と近接通信部152の2つであった場合を例にとったフローであるが、近接通信部が1つないし3つ以上であっても、同様の条件分岐処理を実施することで対応可能である。
【0054】
以上の処理を行うことで、通信装置1で読み取ることのできるタグ付き広告の場所を利用者にわかりやすく提示しつつ、通信装置1の近くにタグ付き広告がある場合のみ読み取り電波を発信することで省電力化が可能となり、さらに、利用者が選択したタグ付き広告を読み取るための電波のみを発信できることから、通信方式を異にするIDタグが近くにあった場合であっても目的のタグ付き広告を確実に読み取ることができる。
【0055】
本発明の処理フロー例は図5や図6に限るものではない。例えば、識別結果格納テーブル172の距離情報格納領域730に格納される距離情報を、演算処理部10が所定の閾値と比較し、所定の距離よりも短いと判断した場合に、近接通信制御部15に対し、ポーリングの間隔を狭めるように通知する。これにより、タグ付き広告が通信端末1の遠くにある場合に、より消費電力を抑えることができる。この閾値には複数の段階があってもかまわない。
【0056】
また、S1010において、撮像範囲の画像から共通マーク画像を識別する処理は、例えば通信サーバにおいて処理するような構成であってもよい。処理フローを図7で説明する。図7に登場する通信サーバ3の構成は図示しないが、少なくとも、通信装置1と通信可能な通信モジュールと、共通マーク画像識別処理実行コード161と、共通マーク識別情報テーブル171と、それらを制御する演算処理部を持つ。
【0057】
図7の処理フロー例において、図5の処理フロー例と同一の処理は同じ番号を付して説明を省略する。説明は省略するが、図6の処理フロー例を実施する場合であっても、図7の処理フロー例を同様に適用できる。
【0058】
通信端末1は、S1000で撮像した画像を通信サーバ3に送信する(S3000)。それを受けた通信サーバ3は、共通マーク画像識別処理実行コード161を実行することで、共通マーク識別情報テーブル171に基づいた識別処理を行い、識別結果を通信装置1に送信する(S3005)。通信装置1は、通信サーバ3から取得した識別結果を識別結果格納テーブル172に反映し、S1020に遷移する。
【0059】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、既に例示したものも含めて、様々な変形例が考えられる。また、各実施形態は本発明の理解のために詳細に説明されたものであり、本発明は、前述の各構成を全て備える必要は必ずしもない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の一部に置き換えることは可能であり、また、ある実施形態の一部を他の実施形態に付加することも可能である。
【0060】
また、各実施形態における構成の一部または全部を、例えば、集積回路等のハードウェアを用いて実現しても良いし、マイクロプロセッサがプログラムを解釈し、実行することにより実現しても良い。また、各構成を実現するプログラム、テーブル、およびファイル等の電子的情報を、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、ICカード、SDカード、DVDその他の記録媒体が記録するようにしても良い。
【0061】
なお、各図面上の制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、本発明の実施に必要な制御線や情報線が全て示されているとは限らない。例えば、全ての構成が相互に接続されるようにしてもよい。逆に、本発明の実施に際して、各図面上の制御線や情報線全てを備える必要は必ずしもない。
【符号の説明】
【0062】
1…通信装置、10…演算処理部、11…通信部、12…撮像部、13…表示部、14…入力部、15…近接通信制御部、16…コード格納メモリ、17…データ格納メモリ、18…電源部、21…タグ付き広告、22…タグ付き広告

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示媒体に備わる無線タグと無線通信可能な通信装置であって、
前記無線タグと通信を行うための電磁波を送出する通信手段と、
周囲の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像に前記表示媒体が存在することを示す情報が含まれる場合に、前記通信手段が無線タグと通信を行うための電磁波を送出するよう制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像部により取得された画像に前記表示媒体が存在することを示す情報が含まれない場合に、前記通信手段が無線タグと通信を行うための電磁波の送出を、所定時間経過後に停止するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記撮像部により取得された画像に前記表示媒体が存在することを示す情報が含まれ、且つ前記通信装置と前記表示媒体との距離が所定の閾値より小さい場合に、前記通信手段が無線タグと通信を行うための電磁波を送出するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像部により取得された画像に前記表示媒体が存在することを示す情報が含まれ、且つ前記通信装置と前記表示媒体との距離が所定の閾値より小さい場合に、前記通信手段が無線タグと通信を行うために送出する電磁波の送出間隔を短くするよう制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
表示媒体に備わる無線タグと無線通信可能な通信装置であって、
前記無線タグと通信を行うための電磁波を送出する通信手段と、
周囲の画像を撮像する撮像部と、
前記表示媒体の存在情報を表示する表示部と、
前記存在情報を選択する操作を受け付ける入力部と、
前記撮像部により撮像された画像に前記表示媒体が存在することを示す情報が含まれる場合に前記表示部が存在情報を表示し、前記入力部が存在情報を選択する操作を受け付けた場合に前記通信手段が無線タグと通信を行うための電磁波を送出するよう制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項6】
通信装置と通信サーバとを有する通信システムであって、
前記通信装置は、表示媒体に備わる無線タグと通信を行うための電磁波を送出する第1の通信手段と、周囲の画像を撮像する撮像部と、前記通信サーバと通信するための第2の通信手段と、これらを制御する制御手段とを備え、
前記通信サーバは、前記通信装置と通信を行う第3の通信手段と、前記撮像部により撮像された画像に前記表示媒体が存在することを示す情報が含まれているかどうかを判断する判断手段と、を備え、
前記第2の通信手段は、前記撮像部により撮像された画像を前記通信サーバに送信し、
前記第3の通信手段は、前記判断手段により表示媒体が存在することを示す情報が含まれているかどうかを判断した判断結果を前記通信装置に送信し、
前記制御手段は、前記判断手段により表示媒体が存在することを示す情報が含まれていると判断した場合に、前記通信手段が無線タグと通信を行うための電磁波を送出するよう制御することを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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