説明

通信装置

【課題】 物理的なガイド機構を必要とすることなく、容易に情報記憶媒体を予め定める通信可能な位置に誘導することができる通信装置を提供する。
【解決手段】 表示装置34は、操作部24の表面部25に設けられる表示領域26に画像情報を表示する。ハンディターミナル21は、操作部24の裏面部27側から近接するICカード22と通信可能である。位置検出装置38は、ICカード22の相対位置を検出する。制御装置31は、検出したICカード22の相対位置に基づいて、ICカード22との通信を行うときに、ICカード22の移動すべき向きを演算する。表示領域26には、ICカード22の移動すべき向きを表すガイドマーク28が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶媒体と通信可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
相互に無線通信可能な非接触のICカードとICカードリーダ/ライタとがある(たとえば特許文献1〜3参照)。ICカードおよびICカードリーダ/ライタは、それぞれアンテナを有し、このアンテナを介して無線通信を行う。非接触のICカードの通信可能な範囲は、ICカードリーダ/ライタのアンテナ近傍に制限される。したがって、ICカードとICカードリーダ/ライタとの通信を行うためには、ICカードをICカードリーダ/ライタの通信可能な範囲内に移動する必要がある。利用者がICカードを通信可能な範囲に容易に移動させることができるように、従来の技術のICカードリーダ/ライタには種々の工夫が施されている。
【0003】
図14は、ICカードリーダ/ライタを示す斜視図である。図14(1)は、開放型のICカードリーダ/ライタ1を示す斜視図である。このICカードリーダ/ライタ1は、ICカードリーダ/ライタの一表面2の予め定める位置にICカードが近接したときに、ICカードと通信可能な状態となる。ICカードリーダ/ライタ1の一表面2には、ICカードを通信可能な位置に誘導するためのガイド表示が設けられている。具体的には、ICカードを一表面2に当接させたときに、最も良好に通信可能となるICカードの外形3およびICカードの中心を合わせるべき中心マーク4がガイド表示として描画されている。利用者は、ガイド表示にICカードを合わせるようにICカードリーダ/ライタに近接させることによって、ICカードを通信可能な位置に移動してICカードリーダ/ライタとの通信を可能にすることができる。
【0004】
図14(2)は、カードホルダ5を備える開放型のICカードリーダ/ライタ6を示す斜視図である。このICカードリーダ/ライタ6は、図14(2)に示すICカードリーダ/ライタ1にカードホルダ5を設けたものである。カードホルダ5は、ICカードリーダ/ライタ6の一表面7上に設けられる。このカードホルダ5は、ICカードが嵌り込んだときに、ICカードとの通信が最も良好となるような位置にICカードをガイドするガイド機構として機能する。利用者がカードホルダ5にICカードを挿入するだけで、ICカードを通信可能な位置に移動させることができる。
【0005】
図14(3)は、スロットイン型のICカードリーダ/ライタ8を示す斜視図である。このスロットイン型のICカードリーダ/ライタ8には、ICカード10を挿入可能なスロット9が形成されている。このスロット9にICカード10を挿入することによって、ICカード10がICカードリーダ/ライタ8と通信可能な領域にガイドされる。これによってICカード10とICカードリーダ/ライタ8とが通信可能になる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−3406号公報
【特許文献2】特開平11−154204号公報
【特許文献3】特開2005−135351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
たとえばICカードリーダ/ライタ機能を備えるPDA(Personal Digital
Assistants)がある。このPDAは、一表面部に表示領域を有し、他表面部側から近接するICカードと通信可能に構成される。利用者は、通常の使用状態において表示領域の設けられる一表面を顔に向けた状態でPDAを使用する。図14(1)に示すICカードリーダ/ライタ1のように他表面にガイド表示が描画されていると、ICカードとの通信を行うときには他表面を利用者の顔に向けた状態でICカードをPDAに近接させる必要がある。このように、ICカードとの通信を行おうとする毎に通常の使用状態からPDAを反転させる必要があり、利用者の利便性が悪くなる。
【0008】
また図14(2),(3)に示すICカードリーダ/ライタ6,8には、ICカードをガイドする物理的な機構を必要とするので、ICカードリーダ/ライタ6,8の部品点数が増加し、構成が複雑になるという問題が生じる。
【0009】
したがって本発明の目的は、物理的なガイド機構を必要とすることなく、容易に情報記憶媒体を予め定める通信可能な位置に誘導することができる通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、無線通信可能な情報記録媒体と通信可能な通信装置であって、
一表面部に設けられる表示領域に画像情報を表示する画像表示手段と、
前記一表面部とは反対側の他方面部から近接する情報記憶媒体と無線通信可能な通信手段と、
情報記憶媒体の相対位置を検出する位置検出手段と、
情報記憶媒体と通信手段とが無線通信するときに、情報記憶媒体を配置すべき位置を表す配置位置情報を記憶する記憶手段と、
配置位置情報、および位置検出手段によって検出される情報記憶媒体の相対位置に基づいて、情報記憶媒体と通信手段とが無線通信するときに、情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを演算する演算手段と、
演算手段によって演算される情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを報知する報知手段とを含むことを特徴とする通信装置である。
【0011】
また本発明は、画像表示手段は、位置検出手段によって検出される情報記憶媒体の相対位置を表す情報を表示領域に表示することを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、前記記憶手段は、情報記憶媒体の種類に応じた複数の配置位置情報を記憶し、
前記演算手段は、記憶手段に記憶された複数の配置位置情報のうちの選択された配置位置情報と、位置検出手段によって検出される情報記憶媒体の相対位置とに基づいて、情報記憶媒体と通信手段とが無線通信するときに情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを演算することを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、記憶手段に記憶された複数の配置位置情報のうちから1つの配置位置情報を選択する選択手段をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信装置の一表面部には、画像表示手段によって画像情報が表示される表示領域が設けられる。通信手段は、この表示領域が設けられる一表面部とは反対側の他方面部から近接、すなわち一表面部とは反対側の他表面部に対して、一表面部側とは反対側から近接する情報記憶媒体と無線通信可能である。通信装置の一表面部を顔に向けた状態で、情報記憶媒体が通信可能な位置に配置されたときには、情報記憶媒体は、通信装置によって利用者から隠れた状態となる。したがって通信装置の一表面部を顔に向けた状態では、情報記憶媒体が隠れた状態で情報記憶媒体を通信可能な位置に移動する必要がある。
【0015】
位置検出手段は、情報記憶媒体の相対位置を検出する。これによって、情報記憶媒体が通信装置に隠れ、利用者が情報記憶媒体の位置を視認することができなくとも、情報記憶媒体の現在の位置が通信装置によって把握される。記憶手段は、情報記憶媒体と通信手段とが無線通信するときに、情報記憶媒体を配置すべき位置を表す配置位置情報を記憶する。演算手段は、配置位置情報と情報記憶媒体の相対位置とに基づいて、情報記憶媒体と通信手段とが無線通信するときに情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを演算する。報知手段は、このようにして演算された情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを報知する。利用者は、報知手段によって報知される向きに情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方を移動させることによって、情報記憶媒体を通信可能な領域に移動させることができる。このように報知手段によって報知される情報を利用者が利用することによって、通信装置の一表面部を利用者の顔に向けた状態でも、容易に情報記憶媒体を通信可能な位置に移動させることができる。したがって情報記憶媒体と通信装置との通信を実行する毎に通信装置の他表面部を利用者の顔に向けるように通信装置を反転する必要がなくなり、利用者の利便性が向上する。また従来の技術のように、情報記憶媒体を通信可能な位置に誘導するための物理的なガイド機構を設けなくとも、利用者が容易に情報記憶媒体を通信可能な位置に移動させることができるので、従来の技術に比べて簡易な構成の通信装置を実現することができる。
【0016】
また本発明によれば、表示領域には、相対位置を表す情報、すなわち現在の情報記憶媒体の位置が表示される。情報記憶媒体が通信装置に隠れて視認することができない状況においても、利用者は、表示領域を確認することによって情報記憶媒体の現在の位置を把握することができる。このように情報記憶媒体の現在の位置を把握することができるので、情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動を円滑に行うことができ、利用者の利便性が向上する。
【0017】
さらに本発明によれば、記憶手段は、情報記憶媒体の種類に応じた複数の配置位置情報を記憶しており、演算手段は、記憶手段に記憶された複数の配置位置情報のうちの選択された配置位置情報と、情報記憶媒体の相対位置とに基づいて、情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを演算する。報知手段は、このようにして演算された情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを報知する。情報記憶媒体と通信装置との通信可能な範囲は、情報記憶媒体の種類に応じて異なる場合がある。報知手段は、選択された配置位置情報に基づいて演算された移動すべき向きを報知するので、情報記憶媒体の種類ごとに通信装置の物理的な構成を設計変更することなく、情報記憶媒体の種類に応じた移動すべき向きの報知を行うことができ、通信装置の汎用性が増す。
【0018】
さらに本発明によれば、選択手段によって複数の配置位置情報から1つの配置位置情報を選択することができる。利用者が選択手段を操作することによって、通信装置との通信を実行しようとする情報記憶媒体に応じて、演算手段が演算するときに用いる配置位置情報を選択することができる。配置位置情報を選択することによって、報知手段は、情報記憶媒体の種類に対応した情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを報知する。利用者は、この報知手段によって報知される情報に基づいて情報記憶媒体を通信可能な位置に移動させることができる。このように配置位置情報を選択することによって情報記憶媒体の種類に対応した移動すべき向きを報知させることができるので、情報記憶媒体の種類を変えたとしても情報記憶媒体を通信可能な位置に容易に移動させることができ、利用者の利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態の通信装置として機能するハンディターミナル21および情報記憶媒体として機能するIC(Integrated Circuit)カード22を模式的に示す正面図である。図2は、ハンディターミナル21を模式的に示す背面図である。本実施の形態においてハンディターミナル21は、携帯可能な重さおよび形状であって、たとえばPDA(Personal Digital Assistants)として機能する。
【0020】
ハンディターミナル21は、通信手段を備え、無線通信可能な情報記憶媒体と無線通信可能である。本実施の形態においてハンディターミナル21は、通信手段として機能するICカードリーダ/ライタを備え、情報記憶媒体として機能する非接触型のICカード22と無線通信可能である。
【0021】
ハンディターミナル21は、板状であって、把持部23と、この把持部23の一端部に連結されて一体に形成される操作部24とによって構成される。把持部23は、利用者が把持可能な形状を有する。操作部24の厚み方向の一表面部(以下、表面部という)25には、画像情報が表示される表示領域26が設けられる。また表面部25にはタッチパネルが設けられ、利用者は、表示領域26に表示された画像情報に基づいて表面部25を操作する。ハンディターミナル21は、操作部24の厚み方向の他方面部に相当する他表面部(以下、裏面部という)26の表面部25とは反対側から近接するICカード22と通信可能である。
【0022】
ハンディターミナル21は、ICカード22を通信可能な領域に移動させるために、ICカード22およびハンディターミナル21のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを報知する。本実施の形態では、ICカード22およびハンディターミナル21のうちのICカード22の移動すべき向きを報知する形態について説明する。また報知の方法としては、ICカード22の移動すべき向きを表示領域26に矢印(以下、ガイドマークという)28で表示する。図1には、理解の容易のために、ICカード22とICカードリーダ/ライタとが無線通信するときに、ICカード22を配置すべき位置を表す配置位置情報を二点鎖線29で示す。この二点鎖線29は、操作部24の厚み方向の一方から見て、ICカード22を配置すべき位置に配置したときのICカード22の外観であって、実際には表示されない。利用者は、このガイドマーク28を見ながらICカード22を裏面部27の通信可能な位置に移動させることができる。このように表面部25を顔に向けた状態でICカード22を通信可能な位置に移動させることができるので、ICカード22との通信を行うときに、裏面部27を顔に向けるようにハンディターミナル21を反転させる手間を省くことができる。
【0023】
さらに表示領域26には、ICカード22の相対位置を表す情報が表示される。本実施の形態では、操作部24の厚み方向の一方から見て、配置位置情報として二点鎖線で表示される領域と、ICカード22との重なる部分のICカード22の外観を、表示領域26に現在位置マーク30として実線で表示する。この配置位置マーク30を利用者が見ることによって、ICカード22がハンディターミナル21に隠れて視認することができない状況においても、ICカード22の現在位置を容易に把握することができる。
【0024】
図3は、ハンディターミナル21およびICカード22の電気的構成を示すブロック図である。ハンディターミナル21は、制御装置31と、記憶装置32と、表示制御装置33と、表示装置34と、入出力接続装置35と、高周波接続装置36と、位置検出装置38とを含んで構成される。ハンディターミナル21は、各装置を電気的に接続するバス37をさらに含む。ハンディターミナル21を構成する各装置は、それぞれ互いにバス37を介して情報の授受を行う。
【0025】
記憶装置32は、制御プログラムを記憶する領域としてプログラム記憶部41を含む。制御装置31は、このプログラム記憶部41に記憶された処理プログラムを読込んで実行することによって各装置を制御する。プログラム記憶部41には、OS(Operating
System)およびアプリケーションプログラムが記憶され、これらを制御装置31が読込んで実行することによって、ハンディターミナル21がたとえばPDAとして機能する。制御装置31は、制御手段に相当し、中央処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)を含んで実現される。
【0026】
記憶装置32は、プログラム記憶部41と、メディアガイド位置記憶部43と、メニュー画面記憶部44と、数値(No)記憶部45とを含む。プログラム記憶部41には、前述したように制御装置31が読込んで実行する制御プログラムが記憶される。メディアガイド位置記憶部43は、情報記憶媒体の種類ごとに対応する複数の配置位置情報を記憶する。メニュー画面記憶部44は、表示領域26に表示させるメニュー画面を表す画像情報を記憶する。このメニュー画面記憶部44に記憶されるメニュー画面が表示領域26に表示される。No記憶部45は、メディアガイド位置記憶部43が記憶する複数の配置位置情報のうちの1つの配置位置情報を指定する数値を記憶する。制御装置31は、このNo記憶部45に記憶する数値に基づいて、メディアガイド位置記憶部43に記憶された複数の配置位置情報のうちの1つの配置位置情報を読込む。
【0027】
表示制御装置33は、制御装置31から表示領域26に表示させる画像情報が与えられる。表示制御装置33は、与えられた画像情報を、表示領域26に表示させるための電気信号に変換して表示装置34に与える。表示装置34は、表示制御装置33から与えられる電気信号に応じて、表示領域26に画像情報を表示する。この表示装置34は、表示領域26に前述したガイドマーク28を表示し、ICカード22の移動すべき向きを報知する報知手段として機能する。表示装置34は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal
Display:略称LCD)を含んで実現される。表示装置34は、さらにタッチパネルを含み、入力装置としても機能する。利用者が表示領域26の所定の位置を押圧することによって、この利用者の操作に応じた指令が表示装置34を介して制御装置31に入力される。制御装置31は、表示装置34から入力される指令に応じて各装置を制御する。
【0028】
通信手段として機能するICカードリーダ/ライタは、入出力接続装置35と高周波接続装置36とを含んで実現される。入出力接続装置35は、制御装置31から与えられる送信データを符号化して高周波接続装置36に与えるとともに、高周波接続装置36から与えられる受信データを復号化して制御装置31に与える。
【0029】
高周波接続装置36は、アンテナコイル46と、変調部と、復調部とを含んで構成される。入出力接続装置35から与えられる符号化した送信データは、変調部によって変調されてアンテナコイル46に与えられ、送信データとして送信される。またアンテナコイル46によって受信した受信データは、復調部に与えられ、復調されて入出力接続装置35に与えられる。アンテナコイル46は、電流を流したときに裏面部27の中央部において操作部24の厚み方向の磁場が最も強くなるように配置される。たとえばアンテナコイル46は、操作部24の厚み方向に垂直な平面上において、操作部24の中央部を中心に巻回されて形成される。
【0030】
ICカード22は、薄板状の略四角柱形状を有し、カード用アンテナコイル47と、ICチップ48とを含んで構成される。ICカード22は、カード用アンテナコイル47を介して受信する受信データに基づいて、カード用アンテナコイル47からハンディターミナル21に対して送信データを送信する。ICカード22から送信される送信データは、ICチップ48の記憶装置に予め記憶されている。またICカード22は、カード用アンテナコイル47を介して受信する受信データを記憶装置に記憶してもよい。カード用アンテナコイル47とアンテナコイル46とは変圧器を構成する。ICカード22の電力は、カード用アンテナコイル47およびアンテナコイル46を介してハンディターミナル21から供給される。
【0031】
図4は、ハンディターミナル21とICカード22とが通信を行うときの、ハンディターミナル21と、ICカード22と、ICカード22が載置される載置台49との側面図である。位置検出装置38は、ICカード22の相対位置を表す相対位置情報を生成して入出力接続装置35に与える。位置検出装置38は、本実施の形態ではCMOS
(Complementary Metal Oxide Semiconductor)およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの撮像装置によって実現され、撮像した画像情報を処理することによってICカード22の相対位置を表す相対位置情報を生成する。この位置検出装置38は、少なくともICカード22が通信可能な領域に配置されたときのICカード22の全体を撮像することができるように裏面部27に配置される。図4では、位置検出装置38が撮像可能な範囲の外縁50を二点鎖線で示す。
【0032】
入出力接続装置35は、位置検出装置38が生成した相対位置情報を制御装置31が読込むことが可能な電気信号に変換して制御装置31に与える。制御装置31は、メディアガイド位置記憶部43に記憶された配置位置情報と、位置検出装置38によって検出されるICカード22の相対位置とに基づいて、ICカード22とハンディターミナル21とが無線通信するときに、ICカード22およびハンディターミナル21のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを演算する。本実施の形態ではICカード22の移動すべき向きを演算する。制御装置31は、演算した移動すべき向きを表すガイドマーク28を表示領域26に表示させるように表示制御装置33を介して表示装置34を制御する。
【0033】
図5は、ICカード22の種類に応じて配置位置情報が異なることを説明するための図である。ICカード22は、アンテナコイル46とカード用アンテナコイル47との結合係数が最大となる位置に配置されたときに、最も良好にハンディターミナル21と通信可能となる。結合係数が最大となる位置は、カード用アンテナコイル47の形状および配置に応じて異なる。図5では、操作部24の厚み方向の一方から見て、ハンディターミナル21とICカード22とが最も良好に通信可能となるICカード22の位置を、ハンディターミナル21に重ねて破線で示す。メディアガイド位置記憶部43は、ハンディターミナル21とICカード22とが最も良好に通信可能となるICカード22の位置を、ICカード22の種類ごとに配置位置情報として記憶する。たとえば図5(1)に示すICカード22は、厚み方向の一方から見てカード用アンテナコイル47が、ICカード22の中央部を中心に巻回されて形成されている。この場合には、ハンディターミナル21の厚み方向の一方から見て、ICカード22の中心が操作部24の中心に一致するようにICカード22を裏面部27に当接するときに結合係数が最大となり、最も良好に通信することができる。図5(2)に示すICカード22は、厚み方向の一方から見てカード用アンテナコイル47が、ICカード22の対角線上の一方の隅寄りの位置を中心に巻回されて形成されている。この場合には、ハンディターミナル21の厚み方向の一方から見て、アンテナコイル46が巻回されている中心が操作部24の中心に一致するようにICカード22を裏面部27に当接するときに結合係数が最大になる。すなわちハンディターミナル21の厚み方向の一方から見て、ICカード22の中心が操作部24の中心からずれて配置されたときに結合係数が最大となり、最も良好に通信することができる。図5(2)に示すICカード22では、ハンディターミナル21の厚み方向の一方から見てICカード22の一部が見える位置に配置されたときに最も良好に通信することができる。
【0034】
ICカード22の種類に応じて通信可能なICカード22の位置が異なる場合があるので、表示領域26には、ICカード22の種類に応じたガイドマーク28が表示される。制御装置31は、演算手段として機能し、メディアガイド位置記憶部43に記憶される複数の配置位置情報のうちから、No記憶部45に記憶された数値に対応する配置位置情報を選択し、この選択した配置位置情報と、位置検出装置38によって検出されるICカード22の相対位置とに基づいて、ICカード22の移動すべき向きを演算し、演算した移動すべき向きを表すガイドマーク28を表示領域26に表示させる。
【0035】
図6は、ICカード22の種類を選択するメディア選択処理を表すフローチャートである。配置位置情報は、ICカード22の種類に応じて異なるので、ハンディターミナル21と通信するICカード22に応じて設定される。利用者が表示領域26に表示されるメニュー画面に基づいてタッチパネルを押圧して操作し、メディア選択処理を開始する指令が表示装置34を介して制御装置31に入力されると、メディア選択処理が開始してステップa0からステップa1に移行する。
【0036】
ステップa1において制御装置31は、メディアガイド位置記憶部43からメディアの種類を読込む。メディアガイド位置記憶部43には、ICカード22の種類ごとに配置位置情報が記憶されており、ステップa1では、メディアガイド位置記憶部43に配置位置情報として記憶されている全てのICカード22の種類がメディアの種類として読込まれる。メディアの種類が読込まれると、制御装置31は、読込んだメディアの種類を表す情報を表示領域26に表示させ、ステップa2に移行する。
【0037】
利用者は、表示領域26に表示されたメディアの種類から、現在無線通信させようとしているICカード22の種類を選択し、表示領域26を押圧することによって入力する。表示装置34は、記憶手段に記憶された複数の配置位置情報のうちから1つの配置位置情報を選択する選択手段として機能する。
【0038】
ステップa2において制御装置31は、タッチパネルとして機能する表示装置34を介してメディアの選択を表す指令が入力されたか否かを判断する。メディアの選択を表す指令が入力されなければ、この指令が入力されるまでステップa2の処理を繰返す。メディアの選択を表す情報が入力されると、ステップa3に移行する。ステップa3において制御装置31は、入力されたメディアの選択を表す指令に基づいて、No記憶部45に記憶される数値(No.)を、選択されたメディアに対応する数値(No.)に設定して記憶させる。No記憶部45に記憶される数値(No.)の設定が終了すると、ステップa4に移行してメディア選択処理を終了する。
【0039】
図7は、ハンディターミナル21とICカード22とが通信を行うときのハンディターミナル21の処理を表すフローチャートである。表示領域26に表示されるメニュー画面にしたがって、ICカード22との通信を行うためのプログラムの起動を選択するようにタッチパネルとして機能する表示装置34を利用者が押圧すると、通信処理が開始してステップb0からステップb1に移行する。
【0040】
ステップb1において制御装置31は、プログラム記憶部41に記憶された複数のアプリケーションプログラムのうちから通信用のアプリケーションプログラムを読込んで実行し、ステップb2に移行する。ステップb2において制御装置31は、No記憶部45に記憶された数値を参照することによって選択されたメディアの種類を特定し、メディアガイド位置記憶部43から選択したメディアに対応する配置位置情報を読込む。次にステップb3に移行する。
【0041】
ステップb3において位置検出装置38は、撮像領域を撮像して画像情報を取込み、ステップb4に移行する。ステップb4において位置検出装置38は、後述するように取込んだ画像情報の画像処理を行うことによって、ICカード22の相対位置を検出し、ステップb5に移行する。ステップb5において位置検出装置38は、検出したICカード22の相対位置を表す相対位置情報を、入出力接続装置35を介して制御装置31に与え、ステップb6に移行する。
【0042】
ステップb6において制御装置31は、ICカード22が通信可能な位置に配置されているか否かを判断する。この判断は、ICカード22を配置すべき配置位置情報と、現在のICカード22の位置を表す相対位置情報とを比較することによって行われる。ステップb6において比較する配置位置情報は、ステップb2において読込まれた情報であって、現在通信を行おうとしているICカード22の種類に対応する配置位置情報である。ICカード22が通信可能な位置に配置されていないと制御装置31が判断すると、ステップb7に移行する。
【0043】
ステップb7では、後述する誘導表示が行われる。具体的には、図1に示すようなICカード22を移動すべき向きを表すガイドマーク28が表示領域26に表示される。このようにICカード22が通信可能な位置に存在しないときに表示領域26にガイドマーク28が表示されるので、このガイドマーク28にしたがって利用者がICカード22を通信可能な位置に移動させることができる。表示領域26にガイドマーク28が表示されるとステップb3に移行して、ICカード22が通信可能な位置に移動されるまでステップb3〜ステップb7までの処理が繰返される。
【0044】
ステップb6においてICカード22が通信可能な位置に配置されていると制御装置31が判断すると、ステップb8に移行する。ステップb8において制御装置31は、入出力接続装置35にICカード22との通信を確立するための検出用信号を与え、高周波接続装置36を介して検出用信号を送信用データとして送信させる。次にステップb9に移行する。
【0045】
ICカード22は、ハンディターミナル21と通信可能な位置に配置されていると、検出信号を受信して、この検出信号に対する応答信号をレスポンスとしてハンディターミナル21に送信する。
【0046】
ステップb9において制御装置31は、送信した検出用信号に対する応答信号を、ICカード22からのレスポンスとして受信したか否かを判断する。すなわち制御装置31は、ICカード22からの応答信号を、高周波接続装置36を介して受信したか否かを判断する。レスポンスがない場合には、ICカード22との通信が不能であるとしてステップb10に移行する。
【0047】
ステップb10において制御装置31は、表示領域26にエラー表示を表示させるように表示制御装置33にエラー表示を表す画像情報を与える。表示領域26にエラー表示が表示されるとステップb3に移行して、ICカード22との通信が可能な状態となるまでステップb3〜ステップb10までの処理が繰返される。
【0048】
ステップb9においてメディアからのレスポンスを受信したと制御装置31が判断すると、ステップb11に移行する。ステップb11において制御装置31は、メニュー画面記憶部44に記憶されたメニュー画面を表示領域26に表示させるように表示制御装置33にメニュー画面を表す画像情報を与える。表示領域26にメニュー画面が表示されると、ステップb12に移行する。
【0049】
ステップb12において制御装置31は、高周波接続装置36を介してICカード22との通信を行い、ステップb13に移行する。ステップb13において制御装置31は、ICカード22との通信によって受信した受信データに基づく処理を行う。たとえば制御装置31は、ICカード22から送信された個人情報などを表示領域26に表示させたりする。次にステップb14に移行する。
【0050】
ステップb14において制御装置31は、全ての処理が終了したか否かを判断する。全ての処理が終了しておらず、たとえばICカード22との通信をさらに行う必要があればステップb11に移行してICカード22との通信を行う処理を再び繰返す。全ての処理が終了したと制御装置31が判断すると、ステップb15に移行する。
【0051】
ステップb15において制御装置31は、高周波接続装置36を介した検出用信号の送信を終了して、ステップb16に移行して通信処理を終了する。ステップb16において通信処理を終了すると、制御装置31は、通信処理後の処理として、表示領域26への画像情報の表示を停止したり、メニュー画面を表示したり、電源を切ったりする。
【0052】
図8は、図7に示すステップb7で行われる誘導表示を行う処理を表すフローチャートである。誘導表示を行う処理が開始するとステップc0からステップc1に移行する。
【0053】
ステップc1において制御装置31は、選択されたメディアに対応する配置位置情報と、相対位置情報との差分を演算する。本実施の形態において配置位置情報は、操作部24の厚み方向に垂直な平面においてICカード22を配置すべき位置を表し、相対位置情報は、操作部24の厚み方向に垂直な平面にICカード22を投影したときのICカード22の位置を表す。ステップc1では、たとえば操作部24の厚み方向に垂直な平面において、配置位置情報が表すICカード22の頂点を配置すべき位置と、相対位置情報が表す現在のICカード22の頂点の位置との差分を演算する。
【0054】
ステップc2において制御装置31は、演算した差分に基づいて、ICカード22を移動すべき向きを演算する。たとえば操作部24の厚み方向に垂直な平面において、相対位置情報が表す現在のICカード22の頂点の位置から、配置位置情報が表すICカード22の頂点を配置すべき位置に向かうベクトルを演算する。このベクトルは、ICカード22を移動すべき向きを表す。次にステップc3に移行する。
【0055】
ステップc3において制御装置31は、誘導表示を行う。具体的には演算したICカード22を移動すべき向きを表すガイドマーク28を表示領域26に表示させるように表示制御装置33に画像情報を与える。ガイドマーク28の長さは、演算したベクトルの大きさに無関係に一定でもよく、また演算したベクトルの長さに対応させてもよい。ガイドマーク28の長さが演算したベクトルに対応する場合には、利用者がガイドマーク28の長さを確認することによって、ICカード22を移動すべき向きに加えて、移動すべき量も把握することができ、利用者の利便性が向上する。さらに制御装置31は、相対位置情報に基づいて表示領域26に現在のICカード22の位置を表す現在位置マーク30を表示させるように表示制御装置33に画像情報を与える。表示領域26にガイドマーク28および現在位置マーク30が表示されると、ステップc4に移行して誘導表示を行う処理を終了する。
【0056】
図9は、図7に示すステップb4で行われるICカード22の相対位置を検出する処理を表すフローチャートである。図10は、位置検出装置38によって撮像された画像を表す図である。位置検出装置38によって撮像される撮像領域51は、本実施の形態では長方形である。図10では、ICカード22を示す領域52にハッチングを施している。ICカード22の相対位置を検出する処理を開始するとステップd0からステップd1に移行する。
【0057】
ステップd1において位置検出装置38は、走査開始位置を設定する。本実施の形態では、位置検出装置38によって撮像された画像情報を画像として配置したときに、短手方向Xの一端かつ長手方向Yの一端の位置、すなわち長方形の1つの頂点55を走査開始位置として設定し、ステップd2に移行する。画像情報は、画像として配置したときに各位置の明るさをそれぞれ数値で表すデジタル値の集合である。
【0058】
ステップd2では、撮像して生成した画像情報のうちから、設定した走査開始位置から長手方向Yに連続する一列分の画像情報を走査して読込み、ステップd3に移行する。後述するようにステップd2の処理は、繰返して行われる。走査開始位置は、画像情報の走査が行われるたびに、短手方向Xの他方に隣接する画像情報に移動して設定し直される。したがって、n回目の画像情報の走査は、n−1回目の画像情報の走査を行った長手方向Yの一列に対して、短手方向Xの他方に隣接する一列について行われる。
【0059】
ステップd3において位置検出装置38は、読込んだ長手方向Yに連続する一列分の画像情報の数値に、大きな変動個所があるか否かを判断する。長手方向Yに画像情報を走査したときに、ICカード22の端を跨ぐと、このICカード22の端を境に画像情報の数値が大きく変動する。大きな変動個所があると、ステップd4に移行する。
【0060】
ステップd4において位置検出装置38は、前回(n−1回目)画像情報を走査したときにも、長手方向Yに画像情報の大きな変動があったか否かを判断する。前回(n−1回目)画像情報を走査したときとは、今回(n回目)長手方向Yに画像情報を走査した一列に対して、短手方向Xの一方に隣接する一列の画像情報を長手方向Yに走査したときのことである。前回(n−1回目)変動がなかった場合には、ステップd5に移行する。ステップd5では、今回(n回目)画像情報を長手方向Yに走査した一列の短手方向Xの位置を、座標データに変換する。たとえば今回(n回目)画像情報を長手方向Yに操作した一列は、短手方向Xの一端の一列のデータから、短手方向Xの他方のn番目に配列されるデータと認識される。このn番目という情報が、短手方向Xの位置を表す。ステップd5では、この短手方向Xの位置を、たとえば実際のX−Y座標系におけるXの座標値に変換する。次にステップd6に移行して、位置検出装置38は、変換した座標値を、X座標データとして仮設定し、ステップd7に移行する。このX座標データは、撮像画像において、ICカード22の長手方向Yに平行な一辺53の、短手方向Xの座標値を表す。
【0061】
ステップd4において前回(n−1)も変動があった場合には、ステップd7に移行する。すなわち連続して長手方向Yに画像情報の大きな変動があった場合には、X座標データの仮設定が行われない。
【0062】
図11は、X座標データの仮設定が行われるか否かを説明するための図である。図11では、画像情報の長手方向Yの数値の変化を、今回(n回目)の長手方向Yの画像情報の走査と、前回(n−1回目)の長手方向Yの画像情報の走査とについてそれぞれ示す。縦軸は、画像情報の数値を表し、横軸は長手方向Yを示す。
【0063】
X座標データとして設定する例としては2つある。まず1つめの例としては、今回(n回目)の走査において画像情報に大きな変動があり、前回(n−1回目)の走査において画像情報に大きな変動がなかった場合である。2つ目の例としては、今回(n回目)の走査において画像情報に大きな変動がなく、前回(n−1回目)の走査において画像情報に大きな変動があった場合である。いずれの例ともに、今回(n回目)の走査と、前回(n−1回目)の走査との間において、ICカード22の長手方向Yに平行な一辺53を跨いだことを示す。したがって今回(n回目)の長手方向Yの走査は、ICカード22の長手方向Yに平行な一辺53に近い位置において行われたことになるので、今回(n回目)走査を行った一列の、短手方向Xの座標値を座標データとして仮設定する。
【0064】
X座標データとして設定しない例としては2つある。まず1つ目の例としては、今回(n回目)と前回(n−1回目)との画像情報の走査において画像情報に大きな変動がなかった場合である。2つ目の例としては、今回(n回目)と前回(n−1回目)との画像情報の走査において画像情報に大きな変動がなかった場合である。いずれの例ともに、今回(n回目)の走査と、前回(n−1回目)の走査との間において、ICカード22の長手方向Yに平行な一辺53を跨いでいないことを示す。
【0065】
図12は、ステップd7〜ステップd9において行われる画像処理を説明するための図である。横軸は、長手方向Yを示す。図12には、長手方向Yの走査範囲を破線で示す。ステップd7において位置検出装置38は、輪郭強調を行う。たとえば長手方向Yの画像情報の数値の変化を周波数領域で見たときに、高い周波数成分の値を大きくして輪郭強調する。輪郭強調を行うと、ステップd8に移行する。ステップd8において位置検出装置38は、エッジ部検出を行う。たとえば位置検出装置38は、輪郭強調を行った画像情報を、長手方向Yに関して微分する。ICカード22の端では、画像情報の数値が大きく変化するので、この部分で微分値が大きくなる。エッジ部検出を行うとステップd9に移行する。ステップd9において位置検出装置38は、2値化を行う。たとえば微分値が予め定める値よりも大きい場合に、画像情報を数値「1」に設定し、微分値が予め定める値よりも小さい場合には、数値「0」に設定する。ICカード22の端以外では、微分値は小さく、ICカード22の端では微分値が大きくなるので、ICカード22の端のみの画像情報が数値「1」に設定される。
【0066】
ステップd7〜ステップd9までの処理は、微分回路および積分回路などによって構成されるフィルタによって実現されても、ソフトウェア的に実現されるデジタルフィルタによって実現されてもよい。
【0067】
ステップd10において位置検出装置38は、2値化された画像情報で、「1」に設定されたICカード22の端を表す長手方向Yの位置を座標データに変換する。たとえばICカード22の端を表す長手方向Yの位置は、長手方向Yの一端のデータから、長手方向Yの他方のm(記号「m」は、自然数を表す)番目に配列されるデータと認識されている。このm番目という情報が、長手方向Yの位置を表す。ステップd10では、この長手方向Yの位置を、たとえば実際のX−Y座標系におけるYの座標値に変換する。次にステップd11に移行し、位置検出装置38は、座標変換したデータをY座標データとして仮設定し、ステップd15に移行する。このY座標データは、撮像画像において、ICカード22の短手方向Xに平行な一辺54の、長手方向Yの座標値を表す。ステップd3において長手方向Yに連続する一列分の画像情報の数値に、大きな変動個所がない場合には、ステップd12に移行する。ステップd12において制御装置31は、前回も画像情報に大きな変動がなかったか否かを判断する。前回も画像情報に大きな変動がなかった場合には、X座標データおよびY座標データを設定することなくステップd15に移行する。
【0068】
ステップd12において前回(n−1回目)画像情報に大きな変動があった場合には、ステップd13に移行する。前回(n−1回目)画像情報に大きな変動があり、今回(n回目)画像情報に大きな変動がなかったので、今回(n回目)の走査と、前回(n−1回目)の走査との間において、ICカード22の長手方向Yに平行な一辺53を跨いだことを示す。つまり、ICカード22の長手方向Yに平行な一辺53に近い位置において今回(n回目)長手方向Yに画像情報を走査したことを示す。次にステップd13に移行し、位置検出装置38は、今回(n回目)画像情報を長手方向Yに走査した一列の短手方向Xの位置を、ステップd5と同様に座標データに変換し、ステップd14に移行する。ステップd14において位置検出装置38は、変換した座標値を、X座標データとして仮設定し、ステップd15に移行する。
【0069】
ステップd15において位置検出装置38は、最終位置からの走査を終了したか否かを判断する。本実施の形態では、位置検出装置38によって撮像された画像情報を画像として配置したときに、短手方向Xの他端かつ長手方向Yの一端を最終走査位置とする。したがってステップd15では、短手方向Xの他端を、長手方向Yに走査したか否かを判断する。最終位置からの走査を終了していない場合には、ステップd16に移行する。ステップd16において位置検出装置38は、次の走査開始位置を設定する。具体的には今回の走査開始位置に、短手方向Xの一方に隣接する画像情報を走査開始位置として設定する。次の走査開始位置を設定すると、ステップd2に移行し、長手方向Yに画像情報を走査する処理を再び繰返す。
【0070】
ステップd15において、最終位置からの走査を終了している場合には、ステップd17に移行する。ステップd17において位置検出装置38は、ICカード22の外郭を、配列データに変換する。たとえば、X座標データとY座標データとを対にしたX−Y座標値は、ICカード22の頂点の座標値を表すので、この頂点の座標値を配列データとする。または、X座標データとY座標データとに基づいて、ICカード22の各辺の位置を算出し、ICカード22の各辺を表すデータを配列データにしてもよい。配列データに変換すると、ステップd18に移行する。ステップd18において位置検出装置38は、変換した配列データを、相対位置情報として出力し、ステップd19に移行して、ICカード22の相対位置を検出する処理を終了する。
【0071】
以上の説明では、ICカード22の各辺が、長手方向Yまたは短手方向Xに平行に配置された状態のICカード22の相対位置を検出する方法について説明したが、位置検出装置38は、任意の向きに配置されたICカード22の相対位置を検出することができる。位置検出装置38は、前述した手順でICカード22の端の位置を検出することができるので、長手方向Yに画像情報を走査するたびにICカード22の端の位置を逐次記憶しておけば、ICカード22の各辺の位置を検出することができる。これによって、任意の向きに配置されたICカード22の相対位置を検出することができる。
【0072】
図13は、ICカード22との通信が可能な状態のハンディターミナル21の正面図である。ICカード22が裏面部27の通信可能な位置に配置され、メディアからのレスポンスを受信すると、ステップb11の処理において表示画面にメニュー画面が表示される。図1に示すようにICカード22が通信不能な位置から、図13に示すようにICカード22が通信可能な位置に移動すると、表示領域26の表示が誘導表示からメニュー画面に遷移する。
【0073】
以上説明した本実施の形態のハンディターミナル21によれば、ICカード22とアンテナコイル46を介した無線通信を行うときに、ICカード22を移動すべき向きを表すガイドマーク28が表示領域26に表示される。表面部25にガイドマーク28が表示されるので、利用者は、このガイドマーク28を見ながらICカード22を通信可能な領域に移動させることができる。このようにガイドマーク28を確認することによって、表面部25を利用者の顔に向けた状態でも、容易にICカード22を通信可能な位置に移動させることができる。したがってICカード22との通信を実行する毎に裏面部27を利用者の顔に向けるようにハンディターミナル21を反転する必要がなくなり、利用者の利便性が向上する。
【0074】
また従来の技術のように、ICカード22を通信可能な位置に誘導するための物理的なガイド機構を設けなくとも、利用者が容易にICカード22を通信可能な位置に移動させることができるので、従来の技術に比べて簡易な構成のハンディターミナル21を実現することができる。
【0075】
また本実施の形態のハンディターミナル21によれば、表示領域26には、ICカード22の相対位置を表す相対位置情報、すなわち現在の情報記憶媒体の位置を表す現在位置マーク30が表示される。ICカード22がハンディターミナル21に隠れて視認することができない状況においても、利用者は、表示領域26を確認することによってICカード22の現在の位置を把握することができる。このようにICカード22の現在の位置を把握することができるので、ハンディターミナル21およびICカード22のうちの少なくともいずれか一方の移動を円滑に行うことができ、利用者の利便性が向上する。
【0076】
また本実施の形態のハンディターミナル21によれば、表示装置34によって複数の配置位置情報のうちから、1つの配置位置情報を選択することができる。利用者がタッチパネルとして機能する表示装置34を押圧して操作することによって、ハンディターミナル21との通信を実行しようとするICカード22に応じて、配置位置情報を選択することができる。制御装置31は、選択された配置位置情報に基づいてガイドマーク28を演算して生成するので、配置位置情報を選択することによってICカード22の種類に対応するガイドマーク28を表示領域26に表示させることができき、利用者は、このガイドマーク28に基づいてICカード22を通信可能な位置に移動させることができる。このようにICカード22に対応するガイドマーク28を表示領域26に表示させることができるので、ICカード22の種類を変えたとしてもICカード22を通信可能な位置に容易に移動させることができ、利用者の利便性が向上する。
【0077】
また本実施の形態のハンディターミナル21によれば、ICカード22とハンディターミナル21とが無線通信すると、ステップb11においてガイドマーク28とは異なる情報が表示領域26に表示される。ガイドマーク28は、ICカード22を誘導するために表示される情報なので、ICカード22が通信可能な位置まで移動した後においてガイドマーク28を表示領域26に表示する必要がない。ICカード22が通信可能な位置まで移動した後に、ガイドマーク28とは異なる画像情報としてたとえばメニュー画面が表示させるので、表示領域26の有効利用を図ることができる。またガイドマーク28を表示する誘導表示から、たとえば誘導表示と異なるメニュー画面に変わることによって、利用者は、ICカード22が通信可能な位置に配置されたことを認識することができ、利用者の利便性が向上する。
【0078】
本実施の形態においてICカード22は、薄板状の略四角柱形状を有するとしたけれども、どのような形状であってもよく、たとえば薄板状の三角柱、五角柱および六角柱などの多角柱形状であってもよく、また薄板状でなくてもよい。ICカード22がどのような形状であったとしても、ICカード22の種類に対応するガイドマーク28が表示領域26に表示されるので、利用者はこのガイドマーク28を見ながら、表面部25を顔に向けた状態で通信可能な領域にICカード22を容易に移動することができる。
【0079】
また本実施の形態では、位置検出装置38は、撮像装置を含んで構成されるとしたけれども、撮像装置に限らずにICカード22の位置を検出することができる装置であれば、どのような装置であってもよい。たとえば位置検出装置38は、赤外線センサ、近接センサ、およびフォトインタラプタなどのセンサを備え、これらのセンサを用いてICカード22の位置を検出してもよい。
【0080】
また本実施の形態ではガイドマーク28を表示領域26に表示して、ICカード22を移動すべき向きを利用者に報知したが、報知する方法としては、可視表示に限られない。たとえばICカード22の移動すべき向きを音声情報を用いて利用者に報知してもよい。
【0081】
また本実施の形態では、ICカード22の移動すべき向きを表すガイドマーク28を表示領域26に表示したが、ハンディターミナル21の移動すべき向きを表すガイドマーク28を表示してもよく、さらにICカード22およびハンディターミナル21の移動すべき向きを表すガイドマーク28を表示領域26に表示してもよい。ハンディターミナル21の移動すべき向きは、ICカード22の移動すべき向きを反転させた向きである。ICカード22およびハンディターミナル21の移動すべき向きを表すガイドマーク28は、たとえばICカード22の移動すべき向きを表す矢印の色と、ハンディターミナル21の移動すべき向きを表す矢印の色とを異ならせればよい。
【0082】
また本実施の形態では情報記憶媒体として非接触型のICカード22について説明したが、情報記憶媒体としては、非接触型のICカード22に限られずに、ハンディターミナル21と通信可能な情報記憶媒体であればどのようなものでもよい。
【0083】
また本実施の形態のハンディターミナル21では、ICカード22との通信を行うときにガイドマーク28を表示するとしたけれども、ガイドマーク28とは異なる画像にガイドマーク28を重ねて表示するようにしてもよい。たとえばメニュー画面にガイドマーク28を重ねて表示したとしても、このガイドマーク28を見ながらICカード22を通信可能な領域に移動させることができる。ガイドマーク28以外の情報も表示領域26に表示することができるので、表示領域26の有効利用を図ることができる。
【0084】
また本実施の形態では、ハンディターミナル21はPDAとして機能するとしたけれども、PDAに限らずに表面部25に表示領域26を有していれば、どのような装置に用いられてもよい。たとえばハンディターミナル21は、ICカードリーダ/ライタ専用の装置として用いられてもよく、また電子辞書および携帯電話機として用いられてもよい。
【0085】
また本実施の形態では、No記憶部45に記憶された数値(NO.)は、利用者の操作に応じて変更可能としたけれども、予め定める数値に固定されていてもよい。たとえばNo記憶部45に記憶される数値(NO.)は、出荷時に設定されてもよく、また製造時において設定されてもよい。この場合、ハンディターミナル21は、特定の種類のICカード22に対応する専用のICカードリーダ/ライタとして機能する。このようにハンディターミナル21のハード的な構成を変更することなく、No記憶部45に記憶された数値(NO.)の設定を変えるだけで種々のICカード22の種類に対応するハンディターミナル21を実現することができ、ハンディターミナル21の汎用性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の一形態の通信装置として機能するハンディターミナル21および情報記憶媒体として機能するICカード22を模式的に示す正面図である。
【図2】ハンディターミナル21を模式的に示す背面図である。
【図3】ハンディターミナル21およびICカード22の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ハンディターミナル21とICカード22とが通信を行うときの、ハンディターミナル21と、ICカード22と、ICカード22が載置される載置台49との側面図である。
【図5】ICカード22の種類に応じて配置位置情報が異なることを説明するための図である。
【図6】ICカード22の種類を選択するメディア選択処理を表すフローチャートである。
【図7】ハンディターミナル21とICカード22とが通信を行うときのハンディターミナル21の処理を表すフローチャートである。
【図8】図7に示すステップb7で行われる誘導表示を行う処理を表すフローチャートである。
【図9】図7に示すステップb4で行われるICカード22の相対位置を検出する処理を表すフローチャートである。
【図10】位置検出装置38によって撮像された画像を表す図である。
【図11】X座標データの仮設定が行われるか否かを説明するための図である。
【図12】ステップd7〜ステップd9において行われる画像処理を説明するための図である。
【図13】ICカード22との通信が可能な状態のハンディターミナル21の正面図である。
【図14】ICカードリーダ/ライタを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
21 ハンディターミナル
22 ICカード
23 把持部
24 操作部
25 厚み方向の一表面部
26 表示領域
27 厚み方向の他表面部
28 ガイドマーク
29 配置位置情報
30 現在位置マーク
31 処理装置
32 記憶装置
33 表示制御装置
34 表示装置
35 入出力接続装置
36 高周波接続装置
37 バス
38 位置検出装置
41 プログラム記憶部
43 メディアガイド位置記憶部
44 メニュー画面記憶部
45 No記憶部
46 アンテナコイル
47 カード用アンテナコイル
48 ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信可能な情報記録媒体と通信可能な通信装置であって、
一表面部に設けられる表示領域に画像情報を表示する画像表示手段と、
前記一表面部とは反対側の他方面部から近接する情報記憶媒体と無線通信可能な通信手段と、
情報記憶媒体の相対位置を検出する位置検出手段と、
情報記憶媒体と通信手段とが無線通信するときに、情報記憶媒体を配置すべき位置を表す配置位置情報を記憶する記憶手段と、
配置位置情報、および位置検出手段によって検出される情報記憶媒体の相対位置に基づいて、情報記憶媒体と通信手段とが無線通信するときに、情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを演算する演算手段と、
演算手段によって演算される情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを報知する報知手段とを含むことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
画像表示手段は、位置検出手段によって検出される情報記憶媒体の相対位置を表す情報を表示領域に表示することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、情報記憶媒体の種類に応じた複数の配置位置情報を記憶し、
前記演算手段は、記憶手段に記憶された複数の配置位置情報のうちの選択された配置位置情報と、位置検出手段によって検出される情報記憶媒体の相対位置とに基づいて、情報記憶媒体と通信手段とが無線通信するときに情報記憶媒体および通信装置のうちの少なくともいずれか一方の移動すべき向きを演算することを特徴とする請求項1または2記載の通信装置。
【請求項4】
記憶手段に記憶された複数の配置位置情報のうちから1つの配置位置情報を選択する選択手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−165651(P2008−165651A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356723(P2006−356723)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】