説明

通帳印刷方法、通帳

【課題】印刷濃度管理が容易で、視認性の高い通帳の印刷が可能な通帳印刷方法を提供する。
【解決手段】通帳1の内部用紙11には、文字15・罫線16等からなる取引明細欄と、バーコード13に加えてカラー絵柄18が印刷される。このとき、取引明細欄用の版およびバーコード13用の版を取引明細欄やバーコードの画像より色分解せずに製版し、カラー絵柄18用の版をカラー絵柄18の画像をC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)に色分解して製版する。オフセット枚葉機2は、バーコード13を印刷するバーコード印刷部310、文字・罫線等を印刷する取引明細欄印刷部330、カラー絵柄18を印刷するC印刷部351、M印刷部353、Y印刷部355の5つの印刷ユニットを有し、第1の版(取引明細欄用版)と、第2の版(カラー絵柄用のC、M、Yの3つの版)、第3の版(バーコード用版)を各印刷部の版胴31に巻装し各版の印刷が実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通帳を印刷する通帳印刷方法および通帳に関し、更に詳しくは、内部用紙に、取引明細欄に加えてカラー絵柄を印刷する通帳印刷方法および通帳に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関では、口座が開設されると通帳が発行されるが、近年、他の金融機関との差別化を図る目的で、通帳の表紙や中の内部用紙への種々の工夫が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特許文献1は、通帳の表紙および中の内部用紙に顔写真を印刷するシステムを提案しており、通帳にアルバムとしての機能を持たせることを可能である。しかし、写真は、取引明細欄の欄外に印刷され、取引明細欄の地紋として印刷するものではない。
【0003】
特許文献2は、通帳の内部用紙に風景写真等の地紋を印刷する方法を提案している。
この印刷方法は、取引明細欄の文字や罫線と、地紋とする画像データをまとめて色分解し、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色についての版を作成し、オフセット印刷機等で印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−97161号公報
【特許文献2】特開2008−44149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の方法は、通帳の内部用紙に印刷される文字、罫線、地紋等のすべてを一緒に色分解し、FMスクリーニング(周波数変調スクリーニング)手法等により網点画像データに変換し、CTP(Computer to Plate)システムにより網点画像データより4色分の版面を形成し、各版を印刷機の版胴に装着することにより印刷する。
【0006】
通帳は、現金自動預払機ATM(Automated Teller Machine)で処理される。その際、内部用紙に印字された取引明細等をATMに装備されているスキャナーで読み取る必要がある。新たな取引明細の印字を既に取引明細が印字された行の下の行に行うなどするためである。
そのため、取引明細等の読み取りを妨げないように、通帳の印刷画像には、PCS(Print Contrast Signal)値による濃度条件の制約がある。PCS値は、用紙地色の反射率と印刷部の反射率の差を用紙地色の反射率で割った0.00〜1.00の数値で、読み取り条件として、例えば、PCS値0.15以下等の濃度条件が設けられている。
【0007】
ここで、文字、罫線、地紋等の本文用紙に印刷する画像をまとめて色分解して作成した版を用いて印刷を行う場合、地紋等に用いるカラー絵柄の色調を合わせることにより、文字や罫線等が前述したPCS値の濃度条件を逸脱する可能性があり、濃度管理が難しいという問題がある。
【0008】
すなわち、印刷時の印刷濃度は、印刷ユニットのインクつぼの開閉によるインク供給量や網点のドット大きさ等によって調整する。そして、インク供給量の多い印刷箇所があると、周囲でもインク供給量が多くなり、濃度が高くなる傾向にある。そのため、印刷濃度の調整を行う際、意図に反してPCS値の濃度条件を逸脱してしまう箇所が生じる可能性がある。
【0009】
また、文字や罫線を含め全印刷画像をまとめて色分解することにより、文字、罫線等の各色の版にずれが生じ、文字や罫線の視認性が低下する可能性が高くなる。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、印刷濃度管理が容易で、視認性の高い通帳の印刷が可能な通帳印刷方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達するための第1の発明は、通帳の内部用紙に、少なくとも罫線および文字から成る取引明細欄、および、カラー絵柄を印刷する通帳印刷方法であって、前記内部用紙に、前記取引明細欄の画像から色分解せずに作成した第1の版により前記取引明細欄を印刷するとともに、前記カラー絵柄の画像から色分解して作成した第2の版により前記カラー絵柄を印刷することを特徴とする通帳印刷方法である。
カラー絵柄は、例えば、カラーグラデーションや、彩色、地紋、写真・イラスト等の画像などである。
【0012】
このように、文字、罫線等の取引明細欄の画像と、カラー絵柄の画像を別に処理して、それぞれ、第1の版、および、第2の版を作成し、順次印刷を行うことにより、文字や罫線で構成される取引明細欄等が濃度基準を満たすように、印刷濃度の管理が容易に行えるとともに、版ずれがなく、視認性の高い通帳印刷が可能になる。
【0013】
また、バーコードの画像から色分解せずに作成した第3の版により、前記内部用紙にバーコードの印刷を行うことが望ましい。これにより、内部用紙にスキャナー読み取り領域等を定めるバーコードの印刷を行うことができる。
さらに、前記取引明細欄の印刷を行う際は、ドロップアウトカラーインキを用いることもでき、取引明細欄がスキャナー読み取りの妨げとならない。
加えて、前記第1の版は、前記取引明細欄の前記罫線の画像から色分解せずに作成した前記罫線を印刷するための版と、前記取引明細欄の前記文字の画像から色分解せずに作成した前記文字を印刷するための版から成るものとすることもでき、文字や罫線の色にバリエーションを持たせることができる。
【0014】
前記第2の版は、前記カラー絵柄の画像を色分解して作成した、前記カラー絵柄のシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の成分をそれぞれ印刷するための版から成る。これにより、カラー絵柄の印刷に適した版の作成を行う。
【0015】
前記通帳の印刷を行う際は、作成した各版を、オフセット印刷機またはグラビア印刷機を構成する複数の印刷ユニットにそれぞれ取り付けて、前記複数の印刷ユニットにより印刷を行うことにより、オフセット印刷機またはグラビア印刷機で通帳の印刷を行う。
また、前記第2の版は、前記カラー絵柄の画像を色分解した後、FM(Frequency Modulation)スクリーニング処理により網点変換した画像データから製版してもよい。これにより、印字された取引明細等の視認性を高くするカラー絵柄を得ることが可能になる。
【0016】
第2の発明は、表紙および前記表紙の内部に挟み込まれた内部用紙よりなる通帳であって、前記内部用紙は、少なくとも罫線および文字から成る取引明細欄、および、カラー絵柄が印刷され、前記取引明細欄は、前記取引明細欄の画像から色分解せずに作成された第1の版により印刷され、前記カラー絵柄は、前記カラー絵柄の画像から色分解して作成された第2の版により印刷されることを特徴とする通帳である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、印刷濃度管理が容易で、視認性の高い通帳の印刷が可能な通帳印刷方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係る通帳1の印刷を施した内部用紙11の平面展開図
【図2】本実施の形態に係る通帳印刷方法の手順を示すフローチャート
【図3】本実施の形態に係るオフセット枚葉機2の構成を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通帳1の印刷を施した内部用紙11の平面展開図である。
通帳1は、通常、表紙と、複数の内部用紙11から成る。
【0020】
図1に示すように、通帳1の内部用紙11には、文字15および罫線16からなる取引明細欄、バーコード13、カラー絵柄18が印刷されている。
文字15は、例えば、「普通預金(兼お借入明細)」、「年月日」、「摘要」、「お支払い金額」、「お預り金額」、「差引残高」、「店番号」、取引明細欄の行番号を表わす「1」〜「24」の数値等である。
また、罫線16は、取引明細欄の各項目や、行を分割する線である。
また、バーコード13は、通帳1の内部用紙11のページ番号等を示すコードである。
【0021】
また、バーコード13の下部の領域、すなわち、「年月日」の下の取引明細欄は読み取り領域17となる。
通帳1を自動現金預払機ATMが処理する際、ATMに装備されたスキャナーによりバーコード13が読み込まれ、内部用紙11のページ番号が認識されるとともに、その下部の読み取り領域17をスキャナーで走査し、何行目まで取引明細(年月日)が印刷されているかが認識され、印刷済みの行の次の行以降に取引明細が印字される。
この例では、バーコード13は内部用紙11の左部に印刷され、「年月日」の欄が読み取り領域17になっているが、バーコード13、および、読み取り領域17の位置はこれに限ることはない。例えば、「差引残高」の欄で既に印刷された取引明細の印字インキを検出し、行番号を認識するようにしてもよく、その場合、バーコード13は、「差引残高」の欄の上部に印刷すればよい。
【0022】
カラー絵柄18は、例えば、図1に示すようなイラストや写真、カラーグラデーション、彩色等である。
カラー絵柄18を印刷する領域はカラー絵柄領域19であり、図1では、「摘要」、「お支払い金額」、「お預り金額」、「差引残高」、「店番号」の欄の下部の領域になっている。
カラー絵柄領域19の範囲は、例えば読み取り領域17等を除き図1に示す範囲とするが、これに限らず、例えば、文字15や罫線16の背景領域、読み取り領域17やバーコード13の部分等、内部用紙11の全領域でもよい。但し、読み取り領域17の部分にカラー絵柄18を印刷する場合には、読み取り領域17に印字された取引明細がスキャナーで読み取れるように、PCS値などの印刷濃度を考慮したカラー絵柄にする必要がある。
【0023】
次に、通帳1の内部用紙11に、図1のように取引明細欄やカラー絵柄18を印刷する方法について、図2、図3を用いて説明する。
最終的には、カラー絵柄18と、文字15・罫線16等からなる取引明細欄、またバーコード13が内部用紙11上に印刷されるが、まず、取引明細欄、バーコード、カラー絵柄の印刷に使用する版を、文字15・罫線16等の取引明細欄の画像と、バーコード13の画像と、カラー絵柄18の画像より別々に作成する(ステップ101)。
【0024】
取引明細欄を印刷するための版(第1の版)は、文字15・罫線16等の取引明細欄の原画像を、色分解せずに単一の網点画像データに変換し、これをCTPシステムにより版面に形成することにより作成される。取引明細欄の版の作成時には、PCS値の規定を満たすように、網点画像のドット大きさ等を調整し、印字される取引明細のスキャナー読み取りを妨げないようにする。なお、同様にして取引明細欄の文字15の原画像、罫線16の原画像を、それぞれ単一の網点画像データに変換し、文字15と罫線16で別々の版を作成してもよい。これらを用い、異なる色で取引明細欄を印刷することにより、文字と罫線の色にバリエーションを持たせることも可能である。また文字15についても、個々の文字15ごとに複数の原画像を用意し、文字15ごとに異なる版を作成することも可能である。罫線16についても同様で、個々の部分で異なる版を作成することも可能である。
バーコード13を印刷するための版(第3の版)も、取引明細欄と同様、バーコード13の原画像を、色分解せずに単一の網点画像データに変換し、これをCTPシステムにより版面に形成することにより作成される。
【0025】
なお、取引明細欄の文字15および罫線16は、通常、ATMのスキャナーで読み取られにくい印刷インキを使用して印刷される。即ち、文字15および罫線16の印刷インキの色は、ATMのスキャナーの光源色による。スキャナーの光源が緑の場合はグリーン系の、光源が赤の場合は赤やオレンジ系の、光源が青の場合はブルー系の印刷インキを使用し、PCS値で規定された濃度以内で印刷すればよい。または、文字15および罫線16の印刷インキとして、スキャナー読み取りの妨げとならない、ドロップアウトカラーインキを使用してもよい。
また、バーコード13は、通常、高明度の内部用紙11とのコントラストが最も大きい、ブラック(K)を使用して印刷する。
【0026】
一方、カラー絵柄18の版(第2の版)は、カラー絵柄18の原画像をラスターデータに変換することにより、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の色分解データが得られ、それぞれの色についてのラスターデータを網点画像データに変換し、これをCTPシステムにより版面に形成することにより作成される。これにより、カラー絵柄18用のシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の3つの版が得られる。上記の3色に分解することにより、カラー絵柄18の印刷に適したものとすることができるが、これと異なる色に色分解を行うことも可能である。カラー絵柄18の版の作成時には、PCS値の規定を満たすように、網点画像のドット大きさ等を調整し、取引明細の視認性が低下しないようにする。
また、カラー絵柄18の網点変換には、FM(Furequency Moduration)スクリーニングを用いると、各ドットが小さく、印字される取引明細等の視認性がより高くなるので好適である。
【0027】
以上のように、バーコード13用の版と、文字15・罫線16等の取引明細欄用の版、カラー絵柄18用のシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の3つの版を合わせ5つの版が作成される。
原画像のラスターデータへの変換処理ソフトウエアや、網点データへの変換処理ソフトウエアは、コンピュータのアプリケーション・ソフトウエアであり、これらの処理は、コンピュータ上で実行される。
【0028】
次に、オフセット印刷機により、取引明細欄用の版を用いて、内部用紙11に取引明細欄の印刷を行うとともに、カラー絵柄18用の版を用いて内部用紙11にカラー絵柄18の印刷を行う。さらに、バーコード13用の版を用いて、内部用紙11にバーコード13の印刷を行う(ステップ102)。
図3は、前述した5つの版を印刷するオフセット枚葉機2の概略構成図である。
オフセット枚葉機2は、給紙部200、印刷部300、排紙部400より成る。
【0029】
給紙部200は、給紙パイル21と、給紙装置23、フィーダーボード25等よりなる。
給紙パイル21には、印刷処理を行う内部用紙11が収納されている。
給紙装置23は、給紙パイル21に収納されている内部用紙11を1枚ずつフィーダーボード25に送り出し、内部用紙11は、フィーダーボード25上を搬送されて印刷部300に送り込まれる。
【0030】
印刷部300は、前述した5つの版を順次印刷する5つの印刷ユニットと、第1渡し胴27、各印刷ユニット間に設けられた渡し胴37、排紙胴41等から成る。
5つの印刷ユニットは、バーコード印刷部310、取引明細欄印刷部330、C(シアン)印刷部351、M(マゼンダ)印刷部353、Y(イエロー)印刷部355である。
C印刷部351、M印刷部353、Y印刷部355の3つの印刷ユニットによりカラー絵柄印刷部350が構成される。
【0031】
印刷部300に送り込まれた内部用紙11は、第1渡し胴27を介して第1の印刷ユニットであるバーコード印刷部310に送り込まれる。
バーコード印刷部310の版胴31には、バーコード13用の版板が巻装され、バーコード印刷部310に装備されたブラック(K)のインキ供給装置(図示せず)により版板に転移されたインキがブランケット胴33に転移し、圧胴35とブランケット胴33間を走行する内部用紙11にブラック(K)のインキが転移し、印刷される。これにより、例えばバーコード13のようなブラック(K)による印刷が完了する。
【0032】
バーコード印刷部310と取引明細欄印刷部330の間には渡し胴37が装備され、ブラック(K)による印刷が完了した内部用紙11が渡し胴37を介して取引明細欄印刷部330に送られる。
取引明細欄印刷部330の版胴31には、取引明細欄用の版板が巻装され、インキ供給装置(図示せず)には、ATMのスキャナーの光源色と同系統の色のインキが充填される。例えば、スキャナーの光源が青の場合は、パープルのドロップアウトカラーインキを使用すればよい。
版胴31に巻装された版板に転移されたインキがブランケット胴33に転移し、このインキが圧胴35とブランケット胴33の間を走行する内部用紙11に転移することにより、文字15および罫線16等からなる取引明細欄が印刷される。
【0033】
取引明細欄が印刷された内部用紙11は、取引明細欄印刷部330とC印刷部351の間に装備された渡し胴37を介してカラー絵柄印刷部350のC印刷部351に送られる。
C印刷部351の版胴31には、カラー絵柄18用のC(シアン)の版板が巻装され、C印刷部351のインキ供給装置に充填されたC(シアン)のインキにより、圧胴35とブランケット胴33間を走行する内部用紙11にシアン(C)の版が印刷される。
【0034】
シアン(C)の印刷が完了した内部用紙11は、渡し胴37を介してM印刷部353に送られ、他の色のインキと同様に、マゼンダ(M)の印刷が行われる。
M印刷部353の版胴31には、マゼンダ(M)の版板が巻装されている。
同様に、マゼンダ(M)の印刷が完了した内部用紙11は、渡し胴37を介してY印刷部355に送られ、イエロー(Y)の印刷が行われる。
Y印刷部355の版胴31には、イエロー(Y)の版板が巻装されている。
【0035】
C印刷部351、M印刷部353、Y印刷部355によるC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)の版の印刷が完了することにより、カラー絵柄18が印刷され、バーコード13および取引明細欄とともに、内部用紙11の印刷が完了する。
【0036】
印刷が完了した内部用紙11は、排紙胴41を介して排紙部400に排出され、排紙パイル45に載置される。排紙部400には、印刷済みの内部用紙11の動きを安定化するためのファン43等が設置されている。
【0037】
オフセット枚葉機2による以上の印刷処理により、内部用紙11の片面への処理が終了する。通常、内部用紙11には両面印刷により取引明細欄等が印刷される。もう一方の面の印刷も、前述のオフセット枚葉機2により印刷すればよい。
以上のようにして、内部用紙11に取引明細欄、バーコードとカラー絵柄が印刷される。
【0038】
本実施の形態の印刷機としてはオフセット枚葉機2を例にあげたが、グラビア印刷機を使用してもよい。この場合も同様、取引明細欄、バーコードの原画像を色分解せずに単一の網点画像データに変換し、カラー絵柄の原画像を色分解してC、M、Y等の網点画像データに変換する。そして、これらにより取引明細欄、バーコード、カラー絵柄を印刷するためのグラビア印刷用の版を作成しグラビア印刷機の複数の印刷ユニットの版胴にそれぞれ取り付けて印刷を行うとよい。
【0039】
以上の通帳印刷方法により、カラー絵柄と、文字・罫線の印刷濃度管理が容易に行え、視認性の良い通帳を得ることが可能になる。また、文字・罫線のずれを防ぐことが可能であり、視認性が向上する。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る通帳印刷方法等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0041】
1………通帳
2………オフセット枚葉機
11………内部用紙
13………バーコード
15………文字
16………罫線
17………読み取り領域
18………カラー絵柄
19………カラー絵柄領域
31………版胴
33………ブランケット胴
35………圧胴
300………印刷部
310………バーコード印刷部
330………文字・罫線印刷部
350………カラー絵柄印刷部
351………C印刷部
353………M印刷部
355………Y印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳の内部用紙に、少なくとも罫線および文字から成る取引明細欄、および、カラー絵柄を印刷する通帳印刷方法であって、
前記内部用紙に、
前記取引明細欄の画像から色分解せずに作成した第1の版により前記取引明細欄を印刷するとともに、前記カラー絵柄の画像から色分解して作成した第2の版により前記カラー絵柄を印刷することを特徴とする通帳印刷方法。
【請求項2】
バーコードの画像から色分解せずに作成した第3の版により、前記内部用紙にバーコードの印刷を行うことを特徴とする請求項1記載の通帳印刷方法。
【請求項3】
前記第1の版は、前記取引明細欄の前記罫線の画像から色分解せずに作成した前記罫線を印刷するための版と、前記取引明細欄の前記文字の画像から色分解せずに作成した前記文字を印刷するための版から成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通帳印刷方法。
【請求項4】
前記第2の版は、前記カラー絵柄の画像を色分解して作成した、前記カラー絵柄のシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の成分をそれぞれ印刷するための版から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の通帳印刷方法。
【請求項5】
前記取引明細欄の印刷を行う際は、ドロップアウトカラーインキを用いて印刷を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通帳印刷方法。
【請求項6】
前記通帳の印刷を行う際は、作成した各版を、オフセット印刷機またはグラビア印刷機を構成する複数の印刷ユニットにそれぞれ取り付けて、前記複数の印刷ユニットにより印刷を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の通帳印刷方法。
【請求項7】
前記第2の版は、前記カラー絵柄の画像を色分解した後、FM(Frequency Modulation)スクリーニング処理により網点変換した画像データから製版されることを特徴する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の通帳印刷方法。
【請求項8】
表紙および前記表紙の内部に挟み込まれた内部用紙よりなる通帳であって、
前記内部用紙は、少なくとも罫線および文字から成る取引明細欄、および、カラー絵柄が印刷され、
前記取引明細欄は、前記取引明細欄の画像から色分解せずに作成された第1の版により印刷され、前記カラー絵柄は、前記カラー絵柄の画像から色分解して作成された第2の版により印刷されることを特徴とする通帳。
【請求項9】
バーコードの画像から色分解せずに作成した第3の版により、前記内部用紙にバーコードが印刷されていることを特徴とする請求項8記載の通帳。
【請求項10】
前記取引明細欄は、前記取引明細欄の前記罫線の画像から色分解せずに作成した前記罫線を印刷するための版と、前記取引明細欄の前記文字の画像から色分解せずに作成した前記文字を印刷するための版を用いて印刷されていることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の通帳。
【請求項11】
前記カラー絵柄は、前記カラー絵柄の画像を色分解して作成した、前記カラー絵柄のシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の成分をそれぞれ印刷するための版を用いて印刷されていることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の通帳。
【請求項12】
前記取引明細欄は、ドロップアウトカラーインキにより印刷されていることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の通帳。
【請求項13】
前記カラー絵柄は、前記カラー絵柄の画像を色分解した後、FM(Frequency Modulation)スクリーニング処理により網点変換した画像データから製版された版により印刷されていることを特徴する請求項8乃至請求項12のいずれかに記載の通帳。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−201100(P2011−201100A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69532(P2010−69532)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】