説明

通帳繰越装置

【課題】本発明はATMを使用した通帳繰越装置に関し、特に顧客の都合に合わせて通帳繰越処理を行い、顧客の取引時間を短縮させる通帳繰越装置、及び通帳繰越システムに関する。
【解決手段】通帳繰越装置であって、通帳繰越が必要であるか否か判断する判断部と、該判断部が通帳繰越が必要であると判断する場合、通帳繰越を行うか、又は通帳の簡易発行を行うか選択する選択部と、該選択部によって、上記通帳繰越を選択する場合、直ちに通帳繰越処理を行うとともに、前記通帳の簡易発行を選択する場合、簡易な情報を新たな通帳に記載し、通帳の簡易発行を行う通帳繰越部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動機を使用した通帳繰越装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、銀行やコンビニエンスストア等に設置された自動機(例えば、ATM(現金自動預け払い機・Automated Teller Machine))を使用して預金の預け入れや引き出し、口座振り込み等が広く行われている。また、上記自動機を使用した各処理の履歴は、預金通帳に記録される。
【0003】
従来、上記各処理を行い、預金通帳(以下、単に通帳で示す)の記載が満頁満行になった場合(総合口座通帳等、1つの通帳に複数の科目が存在する場合は、1つの科目が満行となった場合を含む)、例えば以下の特許文献1乃至3に開示される処理が行われている。特許文献1は、情報照会端末より未記帳データの閲覧を実施したとき、未記帳の取引データがデータベースに存在し、かつ手元にある通帳の空き行の情報も一緒にデータベースで管理し、未記帳データと通帳の空き行を比較し、手元にある通帳の空き行より多くの未記帳データが存在する場合、情報照会した表示端末に通帳繰越が発生したことを表示する。
【0004】
また、特許文献2に係る発明は、現金が絡む取引において、通帳繰越が発生した場合、通帳繰越選択画面に「通帳繰越」と「通帳受取」の表示を行い、「通帳繰越」の選択を行った場合、現金処理を優先して実行し、現金処理が完結した後、通帳繰越処理を行う発明である。
【0005】
さらに、特許文献3に係る発明は、通帳繰越時において、ホスト機器から通知された通帳番号に基づき、発行可能な通帳を表示し、新規通帳の発行を行う発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−185371号公報
【特許文献2】特開2004−078770号公報
【特許文献3】特開2000−011070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の通帳繰越方法では、未記帳データと通帳の空き行を比較し、手元にある通帳の空き行より多くの未記帳データが存在する場合、通帳繰越が発生したことを表示させるのみの発明である。また、特許文献2に係る発明は、通帳繰越選択画面に「通帳繰越」と「通帳受取」の表示を行うが、「通帳繰越」と「通帳受取」以外の処理の選択については開示されていない。さらに、特許文献3に係る発明は、ホスト機器から通知された通帳番号に基づき、発行可能な通帳を表示するのみの発明である。
【0008】
そこで、本発明は通帳繰越処理が発生した場合、郵送、簡易発行、別自動機での発行等、通帳繰越処理における繰越方法について、多くの選択方法を提示し、顧客の要求に対応した通帳繰越処理を行うことを可能にする通帳繰越装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ATM等の自動機を使用する通帳繰越装置であって、例えば記帳取引において通帳の記載が満頁満行であるか否かを判断し、通帳繰越が必要であると判断すると、上記自動機を使用して直ちに通帳繰越処理を行うか、又は別の自動機によって後に通帳繰越を行うか選択し、時間に余裕がある場合には直ちに通帳繰越処理を行い、急ぐ場合には別の自動機によって後に通帳繰越処理を行う構成である。
【0010】
また、ATM等の自動機を使用する通帳繰越装置であって、例えば通帳の記載が満頁満行であるか否かを判断し、通帳繰越処理が必要であると判断すると、上記自動機による通帳繰越処理を行うか、又は上記自動機による通帳の簡易発行を行うか選択し、時間に余裕がある場合には直ちに通帳繰越を行い、急ぐ場合には通帳に最小限の記載を行う簡易発行を行う構成である。
【0011】
さらに、上記選択処理による選択には、郵送の選択も可能であり、顧客にとってより利便性のある通帳繰越方法を提供するものである。また、通帳の繰越処理が必要であるか否かの判断も、例えば通帳の記載が満頁満行であるか否かを判断することによって行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ATM等の自動機を使用中、通帳繰越処理が発生した場合、そのまま当該自動機によって通帳繰越処理を行うか、又は後日通帳繰越処理を行うか、又は簡易通帳の発行処理を行うか、更に通帳繰越処理を行った新たな通帳の郵送を依頼するか、何れかの処理を選択でき、顧客の都合に合わせた通帳繰越処理を行うことができる。例えば、後日通帳繰越処理や簡易通帳の発行を選択することによって、顧客の取引時間を短縮させることができる。また、通帳繰越処理を行った新たな通帳の郵送を依頼することによって、後にATMや銀行窓口に出向く必要がなく、通帳繰越処理が行われた新規な通帳を受け取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態のATMを使用する通帳繰越装置のシステム構成図である。
【図2】ATMの外観図である。
【図3】本実施形態の機能ブロック図である。
【図4】ハードディスクに構築されたデータベースのデータ構成を示す図である。
【図5】本実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。
【図7】応答電文の一例を示す図である。
【図8】通帳繰越処理の選択画面を示す図である。
【図9】顧客が、「別自動機で発行」を選択した場合の処理を説明する図である。
【図10】ホスト機器に送信する通帳繰越情報の通知電文の一例を示す図である。
【図11】顧客が、「郵送」を選択した場合の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態の通帳繰越装置のシステム構成図である。同図において、本システムは、自動機(以下、ATMで示す)1、ホスト機器2、営業店端末3、及びホスト機器2に接続された他のATM4−1、4−2、・・・4−nで構成され、ATM1、4−1、4−2、・・・4−n、及び営業店端末3は、専用回線を介してホスト機器2に接続されている。
【0015】
図2は上記ATM1、及び4−1、4−2、・・・4−nの外観図である。尚、本例で使用するATM1、及び4−1、4−2、・・・4−nは、同じ構成、及び同じ機能を有する。また、ATM1、及び4−1、4−2、・・・4−nは銀行の支店のみならず、コンビニエンスストアや、スーパ等に設置され、本来のATM機能、例えば入金、出金、残高照会、振込等の機能に加えて、通帳繰越機能を有する。
【0016】
図2において、ATM1(4−1、4−2、・・・4−n)は、ディスプレイ6、カード挿入部7、通帳挿入部8、現金投入部9a、9b、及び受話器10で構成されている。尚、同図において、現金投入部9aは紙幣の投入部を示し、現金投入部9bは硬貨の投入部を示す。また、受話器10は顧客が緊急時にオペレータと通話するための装置である。
【0017】
ディスプレイ6は入金、出金、残高照会、振込等の取引の選択を行う選択画面の表示、本例の通帳繰越時における選択画面の表示、その他各種表示を行う。また、ディスプレイ6の表面はタッチパネルで構成され、ディスプレイ6に表示される、例えば取引選択画面に従って、顧客は希望する処理を選択することができる。また、カード挿入部7には不図示のキャッシュカードが挿入され、所謂銀行系のカードに限らず、例えば信販系のカードや、流通系のカード等の使用も可能である。
【0018】
通帳挿入部8には不図示の通帳が挿入され、通帳には少なくとも顧客名、銀行名、口座番号等の情報が記録されている。また、通帳には表紙印字、裏表紙印字、第1の科目に対応する第1明細印字、第2の科目に対応する第2明細印字等の印字が行われている。総合口座通帳では、例えば1つの通帳に複数の科目(普通預金、定期預金等)が存在し、各科目は挿入された頁のバーコードに基づき判断する。ここで、第1明細印字とは普通預金の明細記録を意味し、第2明細印字とは定期預金の明細記録を意味する。なお、各金融機関の通帳の仕様により、普通預金と定期預金の順番が逆の場合や第1明細のみの場合もある。さらに、普通預金と定期預金以外(積み立て定期等)が存在する場合もある。
【0019】
図3は上記外観構成のATM1において、ATM1内のシステム構成を示す。また、同図にはホスト機器2等の接続構成も示す。ATM1は判断部11、選択部12、通帳繰越部13、送信部14、発行部20、簡易発行部21で構成されている。判断部11は、例えば通帳の記載が満頁満行を確認し、通帳繰越の必要性を判断する。判断部11が通帳繰越の必要性を判断すると、選択部12は前述のディスプレイ6に選択画面を表示させる。例えば、「別自動機で発行」、「郵送」、「簡易発行」、「発行」の選択表示が行われる。顧客はこの選択画面を見て何れかの通帳繰越方法を選択する。
【0020】
通帳繰越部13は、例えば「発行」が選択された場合、通帳繰越部13及び発行部20を使用して直ちに通帳繰越処理を行う。また、「簡易発行」が選択された場合、通帳繰越部13及び簡易発行部21を使用して簡易な記載を行った新たな通帳の発行を行う。一方、選択部12によって、「別自動機で発行」又は「郵送」が選択された場合、送信部14は、支店番号や、口座番号等の口座情報をホスト機器2に送信する。そして、例えば「別自動機で発行」の場合には、後に顧客が立ち寄った別のATM4−1〜4−nに上記情報等を送信し、当該ATMによって通帳繰越を行わせる。また、「郵送」の場合には、ホスト機器2から営業店端末3に上記情報を送信し、営業店端末3に通帳繰越処理を行わせ、顧客に通帳繰越が行われた新たな通帳を郵送させる。
【0021】
一方、ホスト機器2は、例えば銀行サーバであり、図1に示すように、CPU16、ROM17、RAM18、及びハードディスク(HDD)19で構成され、CPU16はROM17に記憶されたシステムプログラムに従って本例の処理を行う。また、RAM18はCPU16による上記処理のワークエリアとして使用される。
【0022】
また、ハードディスク19には図4に示すデータベースが構築されている。このデータベースは本例の処理を管理するデータベースであり、顧客毎に顧客情報が記憶されている。例えば、同図に示すように、顧客情報Aとして、当該顧客Aの氏名、住所等の情報、支店番号、口座番号、通帳繰越情報及び未記帳の取引明細の情報が科目ごとに記憶され、また顧客情報Bとして、当該顧客Bの氏名、住所等の情報、支店番号、口座番号、通帳繰越情報及び未記帳の取引明細の情報が科目ごとに記憶されている。以下、図示しない顧客情報C、D、・・・についても、同様に、顧客の氏名、住所等の情報、支店番号、口座番号等の情報が順次記憶されている。
【0023】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図5及び図6は本例の処理動作を説明するフローチャートである。先ず、顧客待ち状態において、前述のATM1のディスプレイ6には、不図示の「お預け入れ」、「お支払い」、「お振込み」、「通帳記入」等の表示が行われている。この状態において、例えば「お支払い」の取引キーを押下すると(ステップ(以下、Sで示す)1)、通帳又はカードを挿入して下さいとの表示が行われる。
【0024】
ここで、例えば顧客が通帳又はカードを挿入すると(S2)、次に暗証番号を入力して下さいとの表示が行われ、顧客は暗証番号の入力を行う(S3)。その後、お引出し金額を入力してくださいの表示に従って金額を入力すると(S4)、取引確認表示が行われる(S5)。この取引確認表示は、顧客の「お支払い」の指示や、入力した金額の情報をディスプレイ6に表示するものである。
【0025】
ここで、例えば顧客が確認キーを押下すると、取引電文の送信処理が行われる(S6)。この取引電文には、ディスプレイ6に表示された上記情報以外に、通帳又はカードの磁気ストライプから読み取られた支店番号や口座番号等の口座情報も含まれ、これらの情報を含む取引電文が前述のホスト機器2に送信される。
【0026】
ホスト機器2では取引電文に含まれる情報から支店番号と口座番号を読み出し、CPU16の制御によって、ハードディスク19に構築された図4に示すデータベースから対応する顧客情報を読み出す。そして、支払い金額に基づいてデータベースの残高を更新するとともに取引明細を計算し、応答電文を作成し、ATM1に送信する。
【0027】
図7は応答電文の例であり、取引金額、取引後残高、通帳印字データ、及び通帳発行情報を含む、例えば支払許可の応答電文がATM1に送信される。例えば、取引後残高は今回の取引前の残高から取引金額を差し引いた金額が記録されている。
【0028】
ATM1はホスト機器2から送信される応答電文(支払許可の電文)を受信し(S7)、現金計数を行い(S8)、カード取引の場合はレシートに取引印字処理を行う(S9)。ここで、現金計数は、支払許可電文の取引金額に基づき、ATM内部に格納された現金(紙幣、硬貨)を計数し、前述の現金投入部9aに紙幣を入れ、現金投入部9bに硬貨を入れる処理である。
【0029】
次に、通帳挿入済みであるか判断する(S10)。すなわち、前述の図2に示す通帳挿入部8に顧客の通帳が挿入されているか判断する。ここで、通帳挿入部8に通帳が挿入されていなければ(S10がNO)、別自動機での発行が登録されているか判断し(S11)、別自動機での発行も登録されていなければ(S11がNO)、カード/レシート及び現金等の媒体放出処理を行い、顧客待ちへ移行する(S12)。尚、上記別自動機での発行処理については後述する。
【0030】
上記判断(S10)において、通帳挿入部8に通帳が挿入されていれば(S10がYES)、通帳印字処理を行う(S13)。この通帳印字処理は、上記応答電文に含まれる通帳印字データに基づいて、例えば通帳の第1明細印字の次の行に、支払金額や取引処理後の残高を印字する。
【0031】
次に、上記印字処理後の通帳の記載が満頁満行であるか判断する(S14)。この判断は前述の判断部11によって行われ、例えば応答電文に含まれる通帳印字データの印字位置が、前述の普通預金の明細記録である第1明細に記録できる最後頁の最後行である場合、通帳の記載が満頁満行であると判断する。一方、通帳の記載が満頁満行ではない場合(S14がNO)、挿入された通帳及び計数された現金を放出し、顧客待ちへ移行する(S15)。
【0032】
一方、通帳の記載が満頁満行であれば(S14がYES)、次に通帳繰越処理の選択を行う(S16)。この選択処理は前述の選択部12によって行われる。図8は上記通帳繰越処理の選択画面の例である。本例の場合、“通帳繰越処理を選択して下さい”の表示の下に、「別自動機で発行」、「郵送」、「簡易発行」、「発行」の表示が行われる。ここで、「別自動機で発行」とはホスト機器2に接続された他のATM4−1〜4−nによって、別途通帳繰越処理を行うものであり、「郵送」とは後日営業店から通帳繰越処理が行われた通帳を郵送するものであり、「簡易発行」とは前述の表紙印字及び裏表紙印字、通帳MSデータの書き込みのみを行なった新たな通帳を発行するものであり、「発行」とは通常の通帳繰越処理を直ちに行うものである。
【0033】
したがって、顧客はディスプレイ6に表示された上記選択画面を確認し、所望の通帳繰越方法を選択する。ここで、例えば「発行」を選択した場合、通常の通帳繰越処理を実行する(S17)。この処理は、前述の通帳繰越部13によって実行され、挿入した通帳のMS(磁気ストライプ)を更新し、挿入した通帳を不図示の位置に退避させ、新たな通帳を繰り出す。そして、新たな通帳に表紙印字、裏表紙印字、未記録の明細データを記録し、新たな通帳のMSを更新し、新たな通帳と挿入した前の通帳及び計数された現金を排出する(S18)。このように処理することによって、顧客は通帳繰越が必要になった時点で、直ちに通帳繰越処理を選択し、新たな通帳を取得することができる。
【0034】
一方、顧客が「簡易発行」を選択した場合、簡易繰越処理を実行する(S19)。この処理は通帳繰越部13によって実行され、挿入した通帳のMSを更新し、挿入した通帳を不図示に位置に退避させ、新たな通帳を繰り出す。その後、新たな通帳に表紙印字、裏表紙印字のみを行い、新たな通帳のMSを更新し、新たな通帳と挿入した前の通帳を排出する。このように処理することによって、顧客は通帳繰越が必要になった時、短時間で新たな通帳を取得することができ、時間に余裕のない顧客にとって有効な方法である。
【0035】
また、前述の図8に示す選択画面において、「別自動機で発行」が選択された場合、前述の別のATM4−1〜4−nを使用して、別途通帳繰越を行う。図9はこの時の処理を説明する図である。
【0036】
先ず、ATM1は別自動機で発行を行わせるため、通帳繰越情報をホスト機器2に送信する。図10は、この時ホスト機器2に送信される通帳繰越情報の通知電文例である。同図に示すように、この通知電文は、支店番号、口座番号、通帳MS、通帳繰越情報の各エリアで構成され、これらの情報を含む通知電文がホスト機器2に送信される。
【0037】
ホスト機器2では上記通知電文に基づいて、CPU16の制御に従って、データベースの顧客情報エリアに対応する記録を行う。すなわち、前述のATM1からの通知電文に含まれる支店番号、口座番号に基づいて、図4に示すデータベースの顧客情報を検索し、上記通知電文の通帳繰越情報のデータ(“1”)に基づき、通帳繰越情報のエリアに別自動機で発行を意味する“1”をセットする。
【0038】
その後、当該顧客が後日他のATM4−1〜4−nに向かい、当該ATMを操作すると、前述の図5に示すフローチャートに従って処理が行われる。例えば、カードを挿入して操作が行われ(S1〜S9)、この際通帳が挿入されていないので、判断(S10)がNOである。このため、「別自動機で発行」の登録が行われているか判断する(S11)。この判断は、顧客が挿入したカードの磁気ストライプから読み出した口座情報(支店番号、口座番号等)に基づいてホスト機器2のデータベースを検索し、対応する通帳繰越情報のエリアから“1”の情報を読み出す。したがって、通帳繰越情報のエリアに“1”がセットされていれば、通帳繰越処理の選択画面を表示する(S16)。
【0039】
この場合、顧客は「発行」又は「簡易発行」のキーを押下し、前述と同様対応する処理を行う。例えば、「発行」が選択された場合には、新たな通帳に表紙印字、裏表紙印字、未記録の明細データを新たな通帳に記録し、新たな通帳のMSを更新し、新たな通帳と挿入した前の通帳を排出する(S18)。尚、この場合には、通帳の挿入は行わないので、MSを更新することはなく、また挿入した通帳を不図示に位置に退避させる処理も行われない。
【0040】
一方、「簡易発行」が選択された場合には、新たな通帳に表紙印字、裏表紙印字のみを記録し、新たな通帳のMSを更新し、新たな通帳と挿入した前の通帳を排出する(S19)。尚、この場合も、通帳の挿入は行わないので、MSを更新することはなく、また挿入した通帳を不図示に位置に退避させる処理も行われない。
【0041】
以上のように処理することによって、直ちに通帳繰越処理が行えない場合でも、後日別のATMによって通帳繰越を行うことができ、極めて利便性の高い通帳繰越装置とすることができる。
【0042】
さらに、前述の図8に示す選択画面において、顧客が「郵送」を選択した場合、通帳繰越選択情報をホスト機器2に送信する(S20)。この場合も、ATM1はホスト機器2に前述の図10に示す通帳繰越情報の通知電文を送信する。すなわち、支店番号、口座番号、通帳MS、通帳繰越情報を含む通知電文をホスト機器2に送信する。
【0043】
図11は「郵送」時の処理を説明する図であり、ホスト機器2はATM1から上記通知電文が送信され、上記通知電文はCPU16の制御に従って、対応する顧客情報のエリアに記憶される。すなわち、前述のATM1からの通知電文に含まれる支店番号、口座番号に基づいて、図4に示すデータベースの顧客情報を検索し、上記通知電文の通帳繰越情報のデータ(“2”)に基づき、対応する顧客情報の通帳繰越情報のエリアに“2”を記憶する。
【0044】
ホスト機器2は通知された情報に基づいて、郵送の登録通知を営業店端末3に送信する。営業店端末3では送信された情報に基づいて、通帳繰越処理を行った新たな通帳を作成する。すなわち、営業店端末3において新たな通帳に表紙印字、裏表紙印字、未記録の明細データを印字し、新たな通帳のMSを更新し、顧客の住所に郵送する。
【0045】
以上のように、通帳繰越処理を行った新たな通帳の郵送を依頼することによって、後に自動機や銀行窓口に出向くことなく新規な通帳を受け取ることができる。
尚、上記実施形態において、第1印字の明細が満頁満行であるか否かによって通帳繰越処理の有無を判断したが、第2印字の明細が満頁満行であるか否かによって通帳繰越処理の有無を判断する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ATM
2 ホスト機器
3 営業店端末
4−1、4−2、・・・4−n ATM
6 ディスプレイ
7 カード挿入部
8 通帳挿入部
9a、9b 現金投入部
10 受話器
11 判断部
12 選択部
13 通帳繰越部
14 送信部
16 CPU
17 ROM
18 RAM
19 ハードディスク(HDD)
20 発行部
21 簡易発行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳繰越が必要であるか否か判断する判断部と、
該判断部が通帳繰越が必要であると判断する場合、通帳繰越を行うか、又は通帳の簡易発行を行うか選択する選択部と、
該選択部によって、前記通帳繰越を選択する場合、直ちに通帳繰越処理を行うとともに、前記通帳の簡易発行を選択する場合、簡易な情報を新たな通帳に記載し、通帳の簡易発行を行う通帳繰越部と、
を有することを特徴とする通帳繰越装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記通帳の記載が満頁満行であるか否かを判断することによって前記通帳繰越が必要であるか判断することを特徴とする請求項1に記載の通帳繰越装置。
【請求項3】
前記選択部による選択には、更に他の通帳繰越装置による通帳繰越処理の選択もできることを特徴とする請求項1、又は2に記載の通帳繰越装置。
【請求項4】
前記選択手段による選択には、更に別自動機で発行及び郵送の選択もできることを特徴とする請求項1、又は2に記載の通帳繰越装置。
【請求項5】
ATMを使用することを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の通帳繰越装置。
【請求項6】
通帳繰越が必要であるか否か判断する判断部と、
該判断部が通帳繰越が必要であると判断する場合、通帳繰越を行うか、又は他の装置による通帳繰越処理を行うか選択する選択部と、
該選択部によって、前記通帳繰越を選択する場合、直ちに通帳繰越処理を行う通帳繰越部と、
前記選択部によって、前記他の装置による通帳繰越処理を行うことを選択する場合、該情報をホスト機器に送信する送信部と、を有する通帳繰越装置と、
前記送信部から送信される前記情報に従って、他の装置に該情報を送信する前記ホスト機器と、
該ホスト機器から送信される情報に従って通帳の繰越処理を行う他の通帳繰越装置と、
を有することを特徴とする通帳繰越システム。
【請求項7】
前記情報は、他の装置による通帳繰越処理の依頼と、口座情報であり、前記ホスト機器のデータベースに記憶され、前記他の通帳繰越装置から前記口座情報に対応する口座情報の入力があると、前記ベータベースから前記情報が前記他の通帳繰越装置に送信されることを特徴とする請求項6に記載の通帳繰越システム。
【請求項8】
通帳繰越が必要であるか否か判断する判断部と、
該判断部が通帳繰越が必要であると判断する場合、通帳繰越を行うか、又は郵送による通帳繰越処理を行うか選択する選択部と、
該選択部によって、前記通帳繰越を選択する場合、直ちに通帳繰越処理を行う通帳繰越部と、
前記選択部によって、前記郵送による通帳繰越処理を行うことを選択する場合、該情報をホスト機器に送信する送信部と、を有する通帳繰越装置と、
前記送信部から送信される前記情報に従って、他の装置に該情報を送信する前記ホスト機器と、
該ホスト機器から送信される情報に従って通帳の繰越処理を行い、顧客に通帳繰越後の通帳を郵送する営業店端末と、
を有することを特徴とする通帳繰越システム。
【請求項9】
前記情報は、郵送の依頼と、口座情報と、通帳明細であり、前記ホスト機器のデータベースに記憶され、該データベースの情報が前記営業店端末に送信されることを特徴とする請求項8に記載の通帳繰越システム。
【請求項10】
ATMを使用することを特徴とする請求項6、7、8、又は9に記載の通帳繰越システム。
【請求項11】
通帳繰越が必要であるか否か判断する判断処理と、
前記通帳繰越が必要であると判断する場合、通帳繰越を行うか、又は通帳の簡易発行を行うか選択する選択処理と、
該選択処理によって、前記通帳繰越を選択する場合、直ちに通帳繰越を行うとともに、前記通帳の簡易発行を選択する場合、簡易な情報を新たな通帳に記載し、通帳の簡易発行を行う通帳繰越処理と、
を行うことを特徴とする通帳繰越方法。
【請求項12】
通帳繰越が必要であるか否か判断する判断処理と、
通帳繰越が必要であると判断する場合、通帳繰越を行うか、又は他の装置による通帳繰越処理を行うか選択する選択処理と、
該選択処理によって、前記通帳繰越を選択する場合、直ちに通帳繰越処理を行う通帳繰越処理と、
前記選択処理によって、前記他の装置による通帳繰越処理を行うことを選択する場合、該情報をホスト機器に送信する送信処理と、
該送信される前記情報に従って、他の装置に該情報を送信するホスト処理と、
該ホスト処理によって送信される情報に従って通帳の繰越処理を行う通帳繰越処理と、
を行うことを特徴とする通帳繰越方法。
【請求項13】
通帳繰越が必要であるか否か判断する判断処理と、
前記通帳繰越が必要であると判断する場合、通帳繰越を行うか、又は郵送による通帳繰越処理を行うか選択する選択処理と、
該選択処理によって、前記通帳繰越を選択する場合、直ちに通帳繰越を行う通帳繰越処理と、
前記選択処理によって、前記郵送による通帳繰越処理を行うことを選択する場合、該情報をホスト機器に送信する送信処理と、
該送信される前記情報に従って、他の装置に該情報を送信するホスト処理と、
該ホスト処理によって送信される情報に従って通帳の繰越処理を行い、顧客に通帳繰越後の通帳を郵送する営業店端末処理と、
を行うことを特徴とする通帳繰越方法。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−208715(P2012−208715A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73534(P2011−73534)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】