通気キャップとその製造方法
【課題】取り付けが確実で信頼性のある通気キャップとその製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマーで構成され、装置の通気孔部2に直接取り付けられるエラストマー内筒状体3は、その一端にフィルター5が接合されている。又、このエラストマー内筒状体3の外周部は、通気空間10を有して合成樹脂体の外筒状体4に射出成形で一体化接合されている。この構成体の外筒状体4の端部に通気空間10を有して有底の合成樹脂体のカバー部材12を弾性変形で押し込み押圧接合して通気キャップを形成する。
【解決手段】熱可塑性エラストマーで構成され、装置の通気孔部2に直接取り付けられるエラストマー内筒状体3は、その一端にフィルター5が接合されている。又、このエラストマー内筒状体3の外周部は、通気空間10を有して合成樹脂体の外筒状体4に射出成形で一体化接合されている。この構成体の外筒状体4の端部に通気空間10を有して有底の合成樹脂体のカバー部材12を弾性変形で押し込み押圧接合して通気キャップを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ヘッドランプ等装置の通気孔部に取り付ける通気キャップとその製造方法に関する。さらに詳しくは、防水機能を有して密閉されている装置の内外空間を通気させる通気キャップとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から防水を要する自動車部品等には、通気キャップが用いられている。密閉構造になる装置は、温度変化や圧力変化等で装置内外の空気の呼吸が伴い通気がスムースにいかない場合がある。従って、例えば外部からの水や塵埃の侵入を防止するが気体は通過させる構成のものが必要となる。その例として、車両用照灯具、ヘッドランプ(前照灯、ヘッドライト)、照明具等は、内部に熱源を有しており、その発熱のため内部の部品の膨張や空気の膨張が伴う。従って、装置構成が気密構造のものであっても、この熱を排熱すると同時に呼吸作用に対応する調整装置の機能も必要とする。また防水、防塵機能を必要とし、そのための代表的製品として通気キャップが使用されている。
【0003】
従来からこの種のキャップ構成のものは、それなりに機能を有して改良されたキャップが開示され知られている。例えば、通気を要する装置の通気孔に直結されるエラストマーの筒状体に、弾性率の異なるカバー部材をこのエラストマー筒状体に弾性変形を利用して取り付けた構成の通気キャップが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。又、ランプハウジングの通気孔に設けられたキャップとして、外側のエラストマー樹脂体であるキャップをランプハウジングから突出する筒状の外形部に被せる構成の通気孔キャップが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4043674号公報
【特許文献2】特開平10−085536号公報
【特許文献3】特開2009−158368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の通気孔用キャップは、使用上、種々問題があり完全なものではない。自動車等の車両用照灯具に使用されているものは、車両用照灯具そのものが外部に露出されている装置であることから、内部の部品を保護するため密閉構造となっている。しかし、これらに関わる装置は一般に熱変化、圧力変化、風雨、水の影響、振動、塵埃の影響等環境の変化に左右される。例えば、熱が加わると、部品の一部は熱膨張し取り付け状態が悪化することもある。又、空気自体も熱膨張する。
【0006】
従って、完全な密閉構造にすることはできず、空気の呼吸が可能な構成にしなければならず、前述の種々の環境条件に耐えられるものでなければならない。又、自動車の場合は、車両走行に伴って振動の影響は大きく、各部品の取り付けは不安定になり緩むおそれが生じる。又、大量生産品であり自動での組み立て、例えばロボットによる組み立ても伴うので、それにマッチした構成のものでなければならない。
【0007】
さらに、キャップの取り付け方向は、必ずしも一定方向とは限らない。制約されることなくどのような方向に取り付けてもよい構成のものにする必要がある。又、メンテナンスも考慮し、管理のしやすい構成のものでなければならない。これに関し従来構成のものは、通気空間を有して外側を覆うカバー体と装置への取り付け部材とは、摩擦力のみで保持しているので、振動等の負荷に対しては緩みが生じてしまうおそれのある構造になっていた。このため、通気キャップの信頼性においては問題があった。
【0008】
本発明は、前述のような技術背景のもとになされたものであり、下記目的を達成する。
本発明の目的は、前記した問題を解決し、振動や温度変化等の悪環境化であっても取り付けが確実で信頼性のある構成とした通気キャップとその製造方法を提供することにある。又、本発明の他の目的は、緩みなく取り付けでき、大量生産に対応し生産性向上の図られた取り付け容易な通気キャップとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明1の通気キャップは、保護を要する部品が内装された装置の通気孔部に取り付けられる通気キャップであって、熱可塑性エラストマー樹脂で構成され、内部に通気空間を有し前記通気孔部に押圧接合される第1筒状体と、前記第1筒状体の一端に接合されるフィルターと、前記第1筒状体の外周部に通気空間を有して射出成形で接合される第2筒状体と、前記第2筒状体の端部に弾性変形で押圧接合され、前記フィルターとの間で通気空間を構成するカバー部材とからなっている。
【0010】
本発明2の通気キャップは、本発明1において、前記第1筒状体の前記通気孔部への取付け端部は、前記通気孔部の外径より小さい内径を有しアンダーカット形状の挿入部となっていることを特徴とする。
本発明3の通気キャップは、本発明1において、前記第2筒状体は、前記第1筒状体の外周に接合される内筒体と、この内筒体の外周部に配置され、通気穴を有する支持部で支持される外筒体との二重筒体構成になっていることを特徴とする。
【0011】
本発明4の通気キャップは、本発明1において、前記第1筒状体の取付け端部は、テーパー形状を有しその外径部が前記通気孔部の穴径より大きく形成され、その外径部に前記通気孔部への取付溝を有していることを特徴とする。
本発明5の通気キャップは、本発明1において、前記カバー部材に前記通気空間と外部とに連通する小穴を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明6の通気キャップは、本発明1において、前記第1筒状体の端部は、前記フィルターを射出成形により固定する凹凸構成の抑え形状になっていることを特徴とする。
本発明7の通気キャップは、本発明1において、前記カバー部材は、第1筒状体の端部に、前記フィルターを押圧固定するための抑え部を有していることを特徴とする。
【0013】
本発明8の通気キャップの製造方法は、保護を要する部品が内装された装置の通気孔部に取り付けられる通気キャップの製造方法であって、合成樹脂体の射出により金型成形し第2筒状体を製造する工程と、合成樹脂体の射出により金型成形しカバー部材を製造する工程と、前記通気孔部に取り付け可能な第1筒状体を成形するためのキャビティを有する構成体用金型に前記第2筒状体とフィルターをインサートする工程と、前記構成体用金型の前記キャビティに熱可塑性エラストマー樹脂体を射出し前記第1筒状体を含む構成体を製造する工程と、前記構成体の前記第2筒状体の端部に前記フィルターとの通気空間部を有して前記カバー部材を押圧係合させ前記構成体と一体化させる工程とからなっている。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の通気キャップは、エラストマー内筒状体と外筒状体とを射出成形で接合することにより一体化した構成としている。又、フィルターも両面の周縁部を挟持してエラストマー内筒状体に射出成形で接合させている。さらにカバー部材もエラストマー内筒状体と異なる合成樹脂体として外筒状体に強固に固定する構成としている。このため、通気キャップは一体化した製品となり、製品として安定し信頼性のあるものとなった。製品管理の上からも1つの部品として扱えるので在庫管理が容易になった。又、大量生産も容易な構成になり、生産効率の高められた通気キャップとなった。
更に、本発明の通気キャップの製造方法によれば、生産性の高い射出成形で通気キャップを製造するため、大量生産が容易であり、品質、信頼性、生産性が向上した製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の通気キャップの構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1をA−A線で切断したA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の他の実施の形態を示し、外筒状体が二重筒体構成である通気キャップの断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施の形態を示し、通気キャップを平板部材の穴に取り付ける構成の通気キャップの断面図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施の形態を示し、外筒状体をエラストマー内筒状体に全面を射出接合した構成の通気キャップの断面図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施の形態を示し、カバー部材に小穴を設けた通気キャップの部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施の形態を示し、フィルターに溝を設けエラストマー内筒状体に射出接合させた構成の通気キャップの部分断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施の形態を示し、カバー部材の抑え突部によりフィルターを抑え固定する構成の通気キャップの断面図である。
【図9】図9は、外筒状体の単体構成を示す断面図である。
【図10】図10は、構成体成形のための金型構成を示す断面図である。
【図11】図11は、構成体とカバー部材とを一体化する工程を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1,2は、本発明の通気キャップの実施の形態を示す図である。図1は、通気キャップの断面図、図2は、図1をA−A線で切断したA−A断面図である。図において通気キャップ1は主として相手装置(保護を要する部品が内装された装置)の通気孔部である通気孔体2に直接取り付けられる第1筒状体であるエラストマー内筒状体3と、その外側に外装する形の第2筒状体である外筒状体4とで構成されている。
【0017】
通気孔体2からの空気、蒸気等の気体は、このエラストマー内筒状体3と外筒状体4との間に設けられたフィルター5を介して通気する構成になっている。エラストマー内筒状体3は、熱可塑性エラストマー樹脂で構成され弾力性を有している。このエラストマー樹脂は、例えばオレフィン系の熱可塑性エラストマー樹脂である。このエラストマー内筒状体3の内径部6は通気孔体2の外径部より小さい寸法となっている。
【0018】
又、エラストマー内筒状体3の端部は、内径部6より一部を内側に張り出すアンダーカット部7の構成としている。さらに、エラストマー内筒状体3の先端部は、通気孔体2への挿入を容易にするためテーパー形状部8としている。このような構成によりエラストマー内筒状体3が相手装置の通気孔体2に押圧して取り付けられるとき、エラストマー内筒状体3の内径部6は弾性変形で押し広げられる。同時にテーパー形状部8を介して押し込まれたときアンダーカット部7も同時に押し広げられる。それに伴い、このアンダーカット部7はエラストマー内筒状体3の内径より小さい寸法になっているので、挿入されたときは部分的に強い弾性力で通気孔体2の外径部を締め付けることになる。従って、このエラストマー内筒状体3を通気孔体2に強固に押し込み取り付けが可能である。
【0019】
一方、このエラストマー内筒状体3の外径部には、4ヶ所均等に外方へ張り出すリブ9を構成している。4つのリブ9の間は、通気のための空間部10となっている。エラストマー内筒状体3の端部は断面コ字状に溝部11が形成され、この溝部11にフィルター5の外周の凸部が挿入されて固定配置されている。フィルター5はこの溝部11に両端面部を抑えられるようにして射出成形により一体に接合されている。フィルター5は、相手装置(保護を要する部品が内装された装置)内部あるいは外部からの水等の液体は通過させないが、空気等の気体は通過する働きのあるものである。この機能を有するフィルターは、カメラ関係、車両関係、医療関係、電子機器関係等の種々の分野の装置に使用され公知のものである。
【0020】
例えば自動車関係で使用される例では、この機能を有するフィルターが車両用照灯具、ヘッドランプ(前照灯、ヘッドライト)、照明具等に使用されている。このヘッドランプは外部に露出して設置されており悪環境下に晒される電装品であり、密閉構造のものである。しかし空気の呼吸作用を要するものであり、そのため、その電装品等装置の一部に本発明に関わる部品として通気キャップが組み込まれている。フィルターは一般にベントフィルターと称し、セラミック多孔質体等で構成され、耐薬品性、耐熱性、耐圧性、防水性等の性質を有し、前述のように液体、塵埃は通過させないが気体は通気させる機能を備えている。
【0021】
本実施の形態においては、このフィルター5を円板状にしたものをこの溝部11の形状に合わせ、周囲縁部がこの溝部11に挟持され着脱不可状態に接合した構成としている。このようにフィルター5の接合されたエラストマー内筒状体3のリブ9の外径部に、外筒状体4の内径部が射出成形による接合の形で一体化されて構成体を形成している。この外筒状体4は通気キャップ1の外部周囲を覆う部材であり、例えばポリプロピレン系の合成樹脂体のものであり、円筒形状をなし保護部材となっている。
【0022】
この外筒状体4とエラストマー内筒状体3との間の空間が、前述の空間部10であり通気空間となっている。外筒状体4の端部には、有底のカバー部材12がエラストマー内筒状体3の上部を覆う状態で取り付けられている。このカバー部材12は外筒状体4と同質の合成樹脂体であってよいが、外筒状体4に比し、硬さの異なる合成樹脂体としてもよい。
【0023】
カバー部材12の取り付け部は、外筒状体4の上部(図1上)の内径部に嵌合する張り出し部13となっていて、その一部に嵌合径より外径側に張り出す凸部14を構成している。この凸部14は外筒状体4の内径部の凹部15に係合するようになっている。又、このカバー部材12の有底部分の外表面16は滑らかな面を構成するようにしている。これはロボット等での組み立ての際、吸着しやすい面としているためである。
【0024】
この外筒状体4とカバー部材12は個別に形成されている。カバー部材12を外筒状体4に取り付ける際、カバー部材12の張り出し部13が外筒状体4の内径部に強制的に挿入され、押し込みの過程で凸部14を弾性変形させ凹部15へ押し込み係合させる。このカバー部材12は、押し込みを容易にするため、張り出し部13の端部を面取り形状にしてもよい。又、この張り出し部13に複数ヶ所に張り出し方向に沿って割り溝を設けた形状としてもよい。
【0025】
この係合により、外筒状体4とカバー部材12は一体となり、フィルター5、エラストマー内筒状体3、外筒状体4、カバー部材12間に矢印b1で示されるように通気を可能にする通気路17が構成される。これにより外部からの液体、塵埃等の侵入は遮断されるが、気体は通過する通気キャップ1が構成される。
【0026】
この通気キャップ1は、フィルター5がエラストマー内筒状体3と射出成形で接合され、又、エラストマー内筒状体3は外筒状体4とリブ9を介して射出成形で接合され、さらにカバー部材12が外筒状体4に対して凸部14、凹部15で固定されていることから、各部材は強固な結合となり一体化されている。従って、振動、熱、圧力等の大きな変動があっても、緩むことなく強固な結合状態を維持することができるのである。この通気キャップ1のメンテナンスは、この通気キャップ1を一体部品とみなして行うことができる。即ち一式交換の形をとることが可能である。このような構成にすることで、部品の管理、大量生産を行うことが容易な構成となる。
【0027】
次に、他の実施の形態の通気キャップについて説明する。なお、以下の説明においては、前述した実施の形態と同一の部品、部材には、同一の符号を付与して詳細な説明を省略している。図3は、前述した外筒状体4の変形例を示す断面図である。図3において外筒状体18は、エラストマー内筒状体3の外周と接合される内筒体19とこの内筒体19の外側に空間部20を介して設けられる外筒体21との二重筒体構成としたものである。内筒体19と外筒体21とは、複数の通気穴22を有する円板状の支持部23で連結している。又、内筒体19と外筒体21の間には、内筒体19と外筒体21の間を跨る形で複数の結合壁が設けられていてもよい。さらに、この支持部23は部分的に張り出す平板状のものであってもよい。この場合は板状の支持部間が通気路となる。
【0028】
この二重筒体構成の場合、内筒体19はエラストマー内筒状体3の外周ほぼ全周に射出成形で一体に接合され強固な接合となる。又、この構成であると、エラストマー内筒状体3に対する通気接触面積は小さくなる。即ち、二重筒体構成の通気キャップは、外部からの液体、塵埃等の侵入は支持部で防止できる構成である。カバー部材24は、外筒体21の内径側に、前述のとおり張り出し部25を介して取り付けられる。係合部の凹凸結合の構成は、前述の実施の形態同様である。通気孔体2からの通気路は矢印b2のような経路となる。即ち、通気孔体2からの気体は、フィルター5、空間部10、空間部20、通気穴22等を介して外部へ排気される。
【0029】
図4は、相手装置の通気用取り付け部(通気孔部)が平板部材(通気孔体)26である場合に適用可能な実施の形態の通気キャップを示す断面図である。通気キャップ1の基本構成は、図1と同様であるが、通気用取り付け部が穴を有する平板部材26の場合は、取り付け部位が平坦であるので、エラストマー内筒状体27の端部の取り付け形状を変えたものとした。即ちエラストマー内筒状体27の端部の外径部を通気用取り付け部の穴、具体的には平板部材26の穴29に挿入し支持できる構成とした。
【0030】
エラストマー内筒状体27の端部をテーパー形状部28とし、平板部材26の穴29に挿入容易な形状としている。又、エラストマー内筒状体27の外径部の中間部に係合溝30を設けている。この係合溝30の径は、平板部材26の穴29の内径に合わせ、嵌まり込める形状としている。一方、外筒状体31の端部は通気キャップ1が平板部材26に取り付けられたとき、平板部材26の面に接触するようにしている。
【0031】
又、この外筒状体31の端部の外周には、切欠溝32を設けている。カバー部材12は図1と同一構成である。この切欠溝32を設けることでこの外筒状体31の端部が平板部材26の面に接触し密閉状態にあっても、気体の通過はこの切欠溝32を介して可能である。このような構成になっている通気キャップ1が平板部材26の穴29に取り付けられたとき、気体は矢印b3で示すようにフィルター5を通過し、空間部33及び切欠溝32を介して通過して外部へ排気可能である。この場合の通気キャップ1は、エラストマー内筒状体27の係合溝30で平板部材26の穴29で支持されると同時に、平板部材26の面に対する外筒状体31の端部の接触支持により平板部材26に支持固定される。このように取り付け相手が平板部材であっても、安定的に支持固定できる。
【0032】
図5は、外筒状体34の内径部全面をエラストマー内筒状体3の外径部に射出成形により一体に接合させた実施の形態の通気キャップを示す断面図である。この形態の場合、カバー部材35の張り出し部36は、外筒状体34の外径部に嵌まり込む構成とし、凸部、凹部の係合構成は、図1と同様であるが、凸部37はカバー部材35の張り出し部36の内径側に設けている。カバー部材35を外筒状体34に取り付ける際、外筒状体34の外径部に設けられた凹部に凸部37が係合する構成となっている。
【0033】
又、カバー部材35には、図5に示すように張り出し部36の一部に複数の穴38を半径方向に設け、この穴38を通気孔として通気キャップ1の気体の通気路としている。従って、通気孔体2からの気体は矢印b4で示すようにフィルター5を介して通過し、気体は穴38から外部へ排気される。このように外筒状体34がエラストマー内筒状体3に全面に亘って接合された構成であっても、通気は確保されている。この構成は、通気キャップをコンパクトにできる利点がある。図示していないが、通気路の穴38は、図1〜図4に示す実施の形態においても、カバー部材にあるいは外筒状体の側壁中間部に通気孔を設けることで、その適用は可能である。
【0034】
図6は、カバー部材39に小穴40を設けた実施の形態の通気キャップを示す部分断面図である。通気キャップ1の取り付け方向は常に一定であるとは限らない。特にカバー部材39側が下方に設置される場合は、通気の方向として出口側が上方になる。即ち、通気路が矢印b5で示すような経路となる。この場合、上方から水等が浸入するおそれがある。もし侵入した場合には、カバー部材39、外筒状体4の内部に溜まり、気体を通過させる通気性を阻害させる。この場合は通気キャップ1を通気孔体2から取り外し、内部に溜まった水を除去するなどの処理を要することになる。この処置を不要とし解決するのが本実施の形態である。カバー部材39に小穴40を設けることで、水が浸入してもこの小穴40から矢印dで示すように通気キャップ1の外部へ水を排出することができる。
【0035】
図7は、フィルター41の側縁部に溝42を設け、この溝42にエラストマー内筒状体3の端部を挟持する構成とした実施の形態の通気キャップを示す部分断面図である。この形態の通気キャップ1が、図1〜図5に図示した形態の場合と異なるのは、フィルター41をエラストマー内筒状体3に挟持する構成である。フィルター41とエラストマー内筒状体3との取り付け構成の凹凸形状が逆になっている。しかし、挟持して固定する機能はどちらも同じである。
【0036】
図8は、本発明の他の実施の形態の通気キャップであって、カバー部材の抑え突部によりフィルターを抑え固定する構成とした通気キャップを示す断面図である。図3の構成例を基本ベースに説明する。この形態の場合は、外筒状体18を二重筒体構成にしている点では、図3と同様であるが、エラストマー内筒状体43の端部を差込可能な形状にしフィルター44をはめ込む構成としている。フィルター44はエラストマー内筒状体43の内径部段差部45に突き当てるようにして差し込まれる。フィルター44の側面部(外周面部)は差込を容易にするためテーパー形状としている。
【0037】
この形態の場合は必ずしもフィルター44とエラストマー内筒状体43とは射出成形により接合する必要はなく、エラストマー内筒状体43と外筒状体18とのみを射出成形し一体に接合している。このようにフィルター44が差し込まれたエラストマー内筒状体43と外筒状体18の構成体にカバー部材46を係合させ取り付ける。カバー部材46の内側底部には、フィルター44を抑えるための抑え突部47を設けている。この抑え突部47はカバー部材46の内側底部に複数個一体的に配置され、カバー部材46が外筒状体18の端部に取り付けられたとき、抑え突部47はフィルター44の表面とエラストマー内筒状体43の端部に接触するようになっている。
【0038】
即ち、差し込まれていたフィルター44は、このカバー部材46とエラストマー内筒状体43に挟まれ、カバー部材46の抑え突部47、エラストマー内筒状体43の内径部段差部45を介して固定されることになる。このような構成にすることで、フィルター44はエラストマー内筒状体43に物理的に外れることのない取り付けが可能である。この形態の場合は、フィルター44を射出成形で接合しなくても確実な取り付けを実現できる。
【0039】
次に、通気キャップの製造方法について、図9〜図11に基づき、図1,2に示す通気キャップを例にして説明する。図9は、外筒状体の単体構成を示す断面図、図10は、構成体成形のための金型構成を示す断面図、図11は、構成体とカバー部材とを一体化する工程を説明するための説明図である。外筒状体4とカバー部材12は、それぞれの該当する金型により射出成形される。外筒状体4は、凹部15を有し単体の形状としては、図9のようになる。フィルター5は市販のもので、対象とする通気キャップに適合するように切断し所定形状にする。
【0040】
次に、構成体成形のための構成体用金型に、外筒状体4とフィルター5をインサートする。この構成体用金型は図10に示すように、第1筒状体であるエラストマー内筒状体3を成形するためのキャビティ50が形成され、外筒状体4とフィルター5と合わせ通気キャップ1の基本構成体を形成するものである。この構成体用金型は、上金型51と下金型52とで構成され、図10はその構成例である。図10の例は、上金型51に外筒状体4とフィルター5をインサートした後に下金型52を閉じ、エラストマー内筒状体3を成形するためのキャビティ50を構成する。
【0041】
エラストマー内筒状体3は内部にアンダーカット部7があるので、内径部側の金型は中子53としている。ただし、外筒状体4の変形を利用して取り出せれば、中子53でなく、下金型52と一体のものとしてもよい。このように構成された構成体用金型のキャビティ50に、加熱され軟化(可塑化)している熱可塑性エラストマー樹脂体を射出する。この射出に伴い、熱可塑性エラストマー樹脂体はキャビティ50内に流入する。キャビティ50内に射出された熱可塑性エラストマー樹脂体は、外筒状体4とフィルター5とに融着し、エラストマー内筒状体3と一体化された構成体が成形される。熱可塑性エラストマー樹脂体が冷却した後、一体化された構成体は構成用金型から取り出される。
【0042】
次に、構成体用金型から取り出された構成体の外筒状体4の端部に、予め成形されているカバー部材12を通気空間を有する状態で、図11の矢印Cで示す方向に押し込み係合部である凸部14、凹部15を介して固定する。このようにして完成したのが図1,2に示す通気キャップ1である。他の実施の形態の通気キャップも形状は異なるものの同様の方法で通気キャップを製造することができるので、その各々の詳細説明は省略する。
【0043】
以上、種々の実施の形態の通気キャップについて説明を行ったが、本発明はエラストマー内筒状体、フィルター、外筒状体、カバー部材を一体化した構成の通気キャップである。従って、この通気キャップが相手装置の通気孔体に取り付けられ、振動等の悪条件があっても通気キャップは個々に部品が緩むことがなく、安定して信頼性のあるものとなっている。従って、通気キャップのメンテナンスは、通気キャップを個々に分解することなく、他の通気キャップに交換する一式処理で容易に対応することができる。
【0044】
又、実施の形態を種々説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、空間部の気体通過断面積等は、適用する装置の条件に合わせ、通過穴径、数等を決めればよい。製造方法に関し、構成体用金型に外筒状体とフィルターをインサートし、その後エラストマー内筒状体を成形することでの構成体を説明したが、エラストマー内筒状体にフィルターを接合したものを金型にインサートし、その後外筒状体を射出成形し構成体を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…通気キャップ
2,26…通気孔体
3,43…エラストマー内筒状体(第1筒状体)
4,18,34…外筒状体(第2筒状体)
5,41,44…フィルター
10…空間部
12,35,39,46…カバー部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ヘッドランプ等装置の通気孔部に取り付ける通気キャップとその製造方法に関する。さらに詳しくは、防水機能を有して密閉されている装置の内外空間を通気させる通気キャップとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から防水を要する自動車部品等には、通気キャップが用いられている。密閉構造になる装置は、温度変化や圧力変化等で装置内外の空気の呼吸が伴い通気がスムースにいかない場合がある。従って、例えば外部からの水や塵埃の侵入を防止するが気体は通過させる構成のものが必要となる。その例として、車両用照灯具、ヘッドランプ(前照灯、ヘッドライト)、照明具等は、内部に熱源を有しており、その発熱のため内部の部品の膨張や空気の膨張が伴う。従って、装置構成が気密構造のものであっても、この熱を排熱すると同時に呼吸作用に対応する調整装置の機能も必要とする。また防水、防塵機能を必要とし、そのための代表的製品として通気キャップが使用されている。
【0003】
従来からこの種のキャップ構成のものは、それなりに機能を有して改良されたキャップが開示され知られている。例えば、通気を要する装置の通気孔に直結されるエラストマーの筒状体に、弾性率の異なるカバー部材をこのエラストマー筒状体に弾性変形を利用して取り付けた構成の通気キャップが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。又、ランプハウジングの通気孔に設けられたキャップとして、外側のエラストマー樹脂体であるキャップをランプハウジングから突出する筒状の外形部に被せる構成の通気孔キャップが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4043674号公報
【特許文献2】特開平10−085536号公報
【特許文献3】特開2009−158368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の通気孔用キャップは、使用上、種々問題があり完全なものではない。自動車等の車両用照灯具に使用されているものは、車両用照灯具そのものが外部に露出されている装置であることから、内部の部品を保護するため密閉構造となっている。しかし、これらに関わる装置は一般に熱変化、圧力変化、風雨、水の影響、振動、塵埃の影響等環境の変化に左右される。例えば、熱が加わると、部品の一部は熱膨張し取り付け状態が悪化することもある。又、空気自体も熱膨張する。
【0006】
従って、完全な密閉構造にすることはできず、空気の呼吸が可能な構成にしなければならず、前述の種々の環境条件に耐えられるものでなければならない。又、自動車の場合は、車両走行に伴って振動の影響は大きく、各部品の取り付けは不安定になり緩むおそれが生じる。又、大量生産品であり自動での組み立て、例えばロボットによる組み立ても伴うので、それにマッチした構成のものでなければならない。
【0007】
さらに、キャップの取り付け方向は、必ずしも一定方向とは限らない。制約されることなくどのような方向に取り付けてもよい構成のものにする必要がある。又、メンテナンスも考慮し、管理のしやすい構成のものでなければならない。これに関し従来構成のものは、通気空間を有して外側を覆うカバー体と装置への取り付け部材とは、摩擦力のみで保持しているので、振動等の負荷に対しては緩みが生じてしまうおそれのある構造になっていた。このため、通気キャップの信頼性においては問題があった。
【0008】
本発明は、前述のような技術背景のもとになされたものであり、下記目的を達成する。
本発明の目的は、前記した問題を解決し、振動や温度変化等の悪環境化であっても取り付けが確実で信頼性のある構成とした通気キャップとその製造方法を提供することにある。又、本発明の他の目的は、緩みなく取り付けでき、大量生産に対応し生産性向上の図られた取り付け容易な通気キャップとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明1の通気キャップは、保護を要する部品が内装された装置の通気孔部に取り付けられる通気キャップであって、熱可塑性エラストマー樹脂で構成され、内部に通気空間を有し前記通気孔部に押圧接合される第1筒状体と、前記第1筒状体の一端に接合されるフィルターと、前記第1筒状体の外周部に通気空間を有して射出成形で接合される第2筒状体と、前記第2筒状体の端部に弾性変形で押圧接合され、前記フィルターとの間で通気空間を構成するカバー部材とからなっている。
【0010】
本発明2の通気キャップは、本発明1において、前記第1筒状体の前記通気孔部への取付け端部は、前記通気孔部の外径より小さい内径を有しアンダーカット形状の挿入部となっていることを特徴とする。
本発明3の通気キャップは、本発明1において、前記第2筒状体は、前記第1筒状体の外周に接合される内筒体と、この内筒体の外周部に配置され、通気穴を有する支持部で支持される外筒体との二重筒体構成になっていることを特徴とする。
【0011】
本発明4の通気キャップは、本発明1において、前記第1筒状体の取付け端部は、テーパー形状を有しその外径部が前記通気孔部の穴径より大きく形成され、その外径部に前記通気孔部への取付溝を有していることを特徴とする。
本発明5の通気キャップは、本発明1において、前記カバー部材に前記通気空間と外部とに連通する小穴を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明6の通気キャップは、本発明1において、前記第1筒状体の端部は、前記フィルターを射出成形により固定する凹凸構成の抑え形状になっていることを特徴とする。
本発明7の通気キャップは、本発明1において、前記カバー部材は、第1筒状体の端部に、前記フィルターを押圧固定するための抑え部を有していることを特徴とする。
【0013】
本発明8の通気キャップの製造方法は、保護を要する部品が内装された装置の通気孔部に取り付けられる通気キャップの製造方法であって、合成樹脂体の射出により金型成形し第2筒状体を製造する工程と、合成樹脂体の射出により金型成形しカバー部材を製造する工程と、前記通気孔部に取り付け可能な第1筒状体を成形するためのキャビティを有する構成体用金型に前記第2筒状体とフィルターをインサートする工程と、前記構成体用金型の前記キャビティに熱可塑性エラストマー樹脂体を射出し前記第1筒状体を含む構成体を製造する工程と、前記構成体の前記第2筒状体の端部に前記フィルターとの通気空間部を有して前記カバー部材を押圧係合させ前記構成体と一体化させる工程とからなっている。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の通気キャップは、エラストマー内筒状体と外筒状体とを射出成形で接合することにより一体化した構成としている。又、フィルターも両面の周縁部を挟持してエラストマー内筒状体に射出成形で接合させている。さらにカバー部材もエラストマー内筒状体と異なる合成樹脂体として外筒状体に強固に固定する構成としている。このため、通気キャップは一体化した製品となり、製品として安定し信頼性のあるものとなった。製品管理の上からも1つの部品として扱えるので在庫管理が容易になった。又、大量生産も容易な構成になり、生産効率の高められた通気キャップとなった。
更に、本発明の通気キャップの製造方法によれば、生産性の高い射出成形で通気キャップを製造するため、大量生産が容易であり、品質、信頼性、生産性が向上した製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の通気キャップの構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1をA−A線で切断したA−A断面図である。
【図3】図3は、本発明の他の実施の形態を示し、外筒状体が二重筒体構成である通気キャップの断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施の形態を示し、通気キャップを平板部材の穴に取り付ける構成の通気キャップの断面図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施の形態を示し、外筒状体をエラストマー内筒状体に全面を射出接合した構成の通気キャップの断面図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施の形態を示し、カバー部材に小穴を設けた通気キャップの部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施の形態を示し、フィルターに溝を設けエラストマー内筒状体に射出接合させた構成の通気キャップの部分断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施の形態を示し、カバー部材の抑え突部によりフィルターを抑え固定する構成の通気キャップの断面図である。
【図9】図9は、外筒状体の単体構成を示す断面図である。
【図10】図10は、構成体成形のための金型構成を示す断面図である。
【図11】図11は、構成体とカバー部材とを一体化する工程を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1,2は、本発明の通気キャップの実施の形態を示す図である。図1は、通気キャップの断面図、図2は、図1をA−A線で切断したA−A断面図である。図において通気キャップ1は主として相手装置(保護を要する部品が内装された装置)の通気孔部である通気孔体2に直接取り付けられる第1筒状体であるエラストマー内筒状体3と、その外側に外装する形の第2筒状体である外筒状体4とで構成されている。
【0017】
通気孔体2からの空気、蒸気等の気体は、このエラストマー内筒状体3と外筒状体4との間に設けられたフィルター5を介して通気する構成になっている。エラストマー内筒状体3は、熱可塑性エラストマー樹脂で構成され弾力性を有している。このエラストマー樹脂は、例えばオレフィン系の熱可塑性エラストマー樹脂である。このエラストマー内筒状体3の内径部6は通気孔体2の外径部より小さい寸法となっている。
【0018】
又、エラストマー内筒状体3の端部は、内径部6より一部を内側に張り出すアンダーカット部7の構成としている。さらに、エラストマー内筒状体3の先端部は、通気孔体2への挿入を容易にするためテーパー形状部8としている。このような構成によりエラストマー内筒状体3が相手装置の通気孔体2に押圧して取り付けられるとき、エラストマー内筒状体3の内径部6は弾性変形で押し広げられる。同時にテーパー形状部8を介して押し込まれたときアンダーカット部7も同時に押し広げられる。それに伴い、このアンダーカット部7はエラストマー内筒状体3の内径より小さい寸法になっているので、挿入されたときは部分的に強い弾性力で通気孔体2の外径部を締め付けることになる。従って、このエラストマー内筒状体3を通気孔体2に強固に押し込み取り付けが可能である。
【0019】
一方、このエラストマー内筒状体3の外径部には、4ヶ所均等に外方へ張り出すリブ9を構成している。4つのリブ9の間は、通気のための空間部10となっている。エラストマー内筒状体3の端部は断面コ字状に溝部11が形成され、この溝部11にフィルター5の外周の凸部が挿入されて固定配置されている。フィルター5はこの溝部11に両端面部を抑えられるようにして射出成形により一体に接合されている。フィルター5は、相手装置(保護を要する部品が内装された装置)内部あるいは外部からの水等の液体は通過させないが、空気等の気体は通過する働きのあるものである。この機能を有するフィルターは、カメラ関係、車両関係、医療関係、電子機器関係等の種々の分野の装置に使用され公知のものである。
【0020】
例えば自動車関係で使用される例では、この機能を有するフィルターが車両用照灯具、ヘッドランプ(前照灯、ヘッドライト)、照明具等に使用されている。このヘッドランプは外部に露出して設置されており悪環境下に晒される電装品であり、密閉構造のものである。しかし空気の呼吸作用を要するものであり、そのため、その電装品等装置の一部に本発明に関わる部品として通気キャップが組み込まれている。フィルターは一般にベントフィルターと称し、セラミック多孔質体等で構成され、耐薬品性、耐熱性、耐圧性、防水性等の性質を有し、前述のように液体、塵埃は通過させないが気体は通気させる機能を備えている。
【0021】
本実施の形態においては、このフィルター5を円板状にしたものをこの溝部11の形状に合わせ、周囲縁部がこの溝部11に挟持され着脱不可状態に接合した構成としている。このようにフィルター5の接合されたエラストマー内筒状体3のリブ9の外径部に、外筒状体4の内径部が射出成形による接合の形で一体化されて構成体を形成している。この外筒状体4は通気キャップ1の外部周囲を覆う部材であり、例えばポリプロピレン系の合成樹脂体のものであり、円筒形状をなし保護部材となっている。
【0022】
この外筒状体4とエラストマー内筒状体3との間の空間が、前述の空間部10であり通気空間となっている。外筒状体4の端部には、有底のカバー部材12がエラストマー内筒状体3の上部を覆う状態で取り付けられている。このカバー部材12は外筒状体4と同質の合成樹脂体であってよいが、外筒状体4に比し、硬さの異なる合成樹脂体としてもよい。
【0023】
カバー部材12の取り付け部は、外筒状体4の上部(図1上)の内径部に嵌合する張り出し部13となっていて、その一部に嵌合径より外径側に張り出す凸部14を構成している。この凸部14は外筒状体4の内径部の凹部15に係合するようになっている。又、このカバー部材12の有底部分の外表面16は滑らかな面を構成するようにしている。これはロボット等での組み立ての際、吸着しやすい面としているためである。
【0024】
この外筒状体4とカバー部材12は個別に形成されている。カバー部材12を外筒状体4に取り付ける際、カバー部材12の張り出し部13が外筒状体4の内径部に強制的に挿入され、押し込みの過程で凸部14を弾性変形させ凹部15へ押し込み係合させる。このカバー部材12は、押し込みを容易にするため、張り出し部13の端部を面取り形状にしてもよい。又、この張り出し部13に複数ヶ所に張り出し方向に沿って割り溝を設けた形状としてもよい。
【0025】
この係合により、外筒状体4とカバー部材12は一体となり、フィルター5、エラストマー内筒状体3、外筒状体4、カバー部材12間に矢印b1で示されるように通気を可能にする通気路17が構成される。これにより外部からの液体、塵埃等の侵入は遮断されるが、気体は通過する通気キャップ1が構成される。
【0026】
この通気キャップ1は、フィルター5がエラストマー内筒状体3と射出成形で接合され、又、エラストマー内筒状体3は外筒状体4とリブ9を介して射出成形で接合され、さらにカバー部材12が外筒状体4に対して凸部14、凹部15で固定されていることから、各部材は強固な結合となり一体化されている。従って、振動、熱、圧力等の大きな変動があっても、緩むことなく強固な結合状態を維持することができるのである。この通気キャップ1のメンテナンスは、この通気キャップ1を一体部品とみなして行うことができる。即ち一式交換の形をとることが可能である。このような構成にすることで、部品の管理、大量生産を行うことが容易な構成となる。
【0027】
次に、他の実施の形態の通気キャップについて説明する。なお、以下の説明においては、前述した実施の形態と同一の部品、部材には、同一の符号を付与して詳細な説明を省略している。図3は、前述した外筒状体4の変形例を示す断面図である。図3において外筒状体18は、エラストマー内筒状体3の外周と接合される内筒体19とこの内筒体19の外側に空間部20を介して設けられる外筒体21との二重筒体構成としたものである。内筒体19と外筒体21とは、複数の通気穴22を有する円板状の支持部23で連結している。又、内筒体19と外筒体21の間には、内筒体19と外筒体21の間を跨る形で複数の結合壁が設けられていてもよい。さらに、この支持部23は部分的に張り出す平板状のものであってもよい。この場合は板状の支持部間が通気路となる。
【0028】
この二重筒体構成の場合、内筒体19はエラストマー内筒状体3の外周ほぼ全周に射出成形で一体に接合され強固な接合となる。又、この構成であると、エラストマー内筒状体3に対する通気接触面積は小さくなる。即ち、二重筒体構成の通気キャップは、外部からの液体、塵埃等の侵入は支持部で防止できる構成である。カバー部材24は、外筒体21の内径側に、前述のとおり張り出し部25を介して取り付けられる。係合部の凹凸結合の構成は、前述の実施の形態同様である。通気孔体2からの通気路は矢印b2のような経路となる。即ち、通気孔体2からの気体は、フィルター5、空間部10、空間部20、通気穴22等を介して外部へ排気される。
【0029】
図4は、相手装置の通気用取り付け部(通気孔部)が平板部材(通気孔体)26である場合に適用可能な実施の形態の通気キャップを示す断面図である。通気キャップ1の基本構成は、図1と同様であるが、通気用取り付け部が穴を有する平板部材26の場合は、取り付け部位が平坦であるので、エラストマー内筒状体27の端部の取り付け形状を変えたものとした。即ちエラストマー内筒状体27の端部の外径部を通気用取り付け部の穴、具体的には平板部材26の穴29に挿入し支持できる構成とした。
【0030】
エラストマー内筒状体27の端部をテーパー形状部28とし、平板部材26の穴29に挿入容易な形状としている。又、エラストマー内筒状体27の外径部の中間部に係合溝30を設けている。この係合溝30の径は、平板部材26の穴29の内径に合わせ、嵌まり込める形状としている。一方、外筒状体31の端部は通気キャップ1が平板部材26に取り付けられたとき、平板部材26の面に接触するようにしている。
【0031】
又、この外筒状体31の端部の外周には、切欠溝32を設けている。カバー部材12は図1と同一構成である。この切欠溝32を設けることでこの外筒状体31の端部が平板部材26の面に接触し密閉状態にあっても、気体の通過はこの切欠溝32を介して可能である。このような構成になっている通気キャップ1が平板部材26の穴29に取り付けられたとき、気体は矢印b3で示すようにフィルター5を通過し、空間部33及び切欠溝32を介して通過して外部へ排気可能である。この場合の通気キャップ1は、エラストマー内筒状体27の係合溝30で平板部材26の穴29で支持されると同時に、平板部材26の面に対する外筒状体31の端部の接触支持により平板部材26に支持固定される。このように取り付け相手が平板部材であっても、安定的に支持固定できる。
【0032】
図5は、外筒状体34の内径部全面をエラストマー内筒状体3の外径部に射出成形により一体に接合させた実施の形態の通気キャップを示す断面図である。この形態の場合、カバー部材35の張り出し部36は、外筒状体34の外径部に嵌まり込む構成とし、凸部、凹部の係合構成は、図1と同様であるが、凸部37はカバー部材35の張り出し部36の内径側に設けている。カバー部材35を外筒状体34に取り付ける際、外筒状体34の外径部に設けられた凹部に凸部37が係合する構成となっている。
【0033】
又、カバー部材35には、図5に示すように張り出し部36の一部に複数の穴38を半径方向に設け、この穴38を通気孔として通気キャップ1の気体の通気路としている。従って、通気孔体2からの気体は矢印b4で示すようにフィルター5を介して通過し、気体は穴38から外部へ排気される。このように外筒状体34がエラストマー内筒状体3に全面に亘って接合された構成であっても、通気は確保されている。この構成は、通気キャップをコンパクトにできる利点がある。図示していないが、通気路の穴38は、図1〜図4に示す実施の形態においても、カバー部材にあるいは外筒状体の側壁中間部に通気孔を設けることで、その適用は可能である。
【0034】
図6は、カバー部材39に小穴40を設けた実施の形態の通気キャップを示す部分断面図である。通気キャップ1の取り付け方向は常に一定であるとは限らない。特にカバー部材39側が下方に設置される場合は、通気の方向として出口側が上方になる。即ち、通気路が矢印b5で示すような経路となる。この場合、上方から水等が浸入するおそれがある。もし侵入した場合には、カバー部材39、外筒状体4の内部に溜まり、気体を通過させる通気性を阻害させる。この場合は通気キャップ1を通気孔体2から取り外し、内部に溜まった水を除去するなどの処理を要することになる。この処置を不要とし解決するのが本実施の形態である。カバー部材39に小穴40を設けることで、水が浸入してもこの小穴40から矢印dで示すように通気キャップ1の外部へ水を排出することができる。
【0035】
図7は、フィルター41の側縁部に溝42を設け、この溝42にエラストマー内筒状体3の端部を挟持する構成とした実施の形態の通気キャップを示す部分断面図である。この形態の通気キャップ1が、図1〜図5に図示した形態の場合と異なるのは、フィルター41をエラストマー内筒状体3に挟持する構成である。フィルター41とエラストマー内筒状体3との取り付け構成の凹凸形状が逆になっている。しかし、挟持して固定する機能はどちらも同じである。
【0036】
図8は、本発明の他の実施の形態の通気キャップであって、カバー部材の抑え突部によりフィルターを抑え固定する構成とした通気キャップを示す断面図である。図3の構成例を基本ベースに説明する。この形態の場合は、外筒状体18を二重筒体構成にしている点では、図3と同様であるが、エラストマー内筒状体43の端部を差込可能な形状にしフィルター44をはめ込む構成としている。フィルター44はエラストマー内筒状体43の内径部段差部45に突き当てるようにして差し込まれる。フィルター44の側面部(外周面部)は差込を容易にするためテーパー形状としている。
【0037】
この形態の場合は必ずしもフィルター44とエラストマー内筒状体43とは射出成形により接合する必要はなく、エラストマー内筒状体43と外筒状体18とのみを射出成形し一体に接合している。このようにフィルター44が差し込まれたエラストマー内筒状体43と外筒状体18の構成体にカバー部材46を係合させ取り付ける。カバー部材46の内側底部には、フィルター44を抑えるための抑え突部47を設けている。この抑え突部47はカバー部材46の内側底部に複数個一体的に配置され、カバー部材46が外筒状体18の端部に取り付けられたとき、抑え突部47はフィルター44の表面とエラストマー内筒状体43の端部に接触するようになっている。
【0038】
即ち、差し込まれていたフィルター44は、このカバー部材46とエラストマー内筒状体43に挟まれ、カバー部材46の抑え突部47、エラストマー内筒状体43の内径部段差部45を介して固定されることになる。このような構成にすることで、フィルター44はエラストマー内筒状体43に物理的に外れることのない取り付けが可能である。この形態の場合は、フィルター44を射出成形で接合しなくても確実な取り付けを実現できる。
【0039】
次に、通気キャップの製造方法について、図9〜図11に基づき、図1,2に示す通気キャップを例にして説明する。図9は、外筒状体の単体構成を示す断面図、図10は、構成体成形のための金型構成を示す断面図、図11は、構成体とカバー部材とを一体化する工程を説明するための説明図である。外筒状体4とカバー部材12は、それぞれの該当する金型により射出成形される。外筒状体4は、凹部15を有し単体の形状としては、図9のようになる。フィルター5は市販のもので、対象とする通気キャップに適合するように切断し所定形状にする。
【0040】
次に、構成体成形のための構成体用金型に、外筒状体4とフィルター5をインサートする。この構成体用金型は図10に示すように、第1筒状体であるエラストマー内筒状体3を成形するためのキャビティ50が形成され、外筒状体4とフィルター5と合わせ通気キャップ1の基本構成体を形成するものである。この構成体用金型は、上金型51と下金型52とで構成され、図10はその構成例である。図10の例は、上金型51に外筒状体4とフィルター5をインサートした後に下金型52を閉じ、エラストマー内筒状体3を成形するためのキャビティ50を構成する。
【0041】
エラストマー内筒状体3は内部にアンダーカット部7があるので、内径部側の金型は中子53としている。ただし、外筒状体4の変形を利用して取り出せれば、中子53でなく、下金型52と一体のものとしてもよい。このように構成された構成体用金型のキャビティ50に、加熱され軟化(可塑化)している熱可塑性エラストマー樹脂体を射出する。この射出に伴い、熱可塑性エラストマー樹脂体はキャビティ50内に流入する。キャビティ50内に射出された熱可塑性エラストマー樹脂体は、外筒状体4とフィルター5とに融着し、エラストマー内筒状体3と一体化された構成体が成形される。熱可塑性エラストマー樹脂体が冷却した後、一体化された構成体は構成用金型から取り出される。
【0042】
次に、構成体用金型から取り出された構成体の外筒状体4の端部に、予め成形されているカバー部材12を通気空間を有する状態で、図11の矢印Cで示す方向に押し込み係合部である凸部14、凹部15を介して固定する。このようにして完成したのが図1,2に示す通気キャップ1である。他の実施の形態の通気キャップも形状は異なるものの同様の方法で通気キャップを製造することができるので、その各々の詳細説明は省略する。
【0043】
以上、種々の実施の形態の通気キャップについて説明を行ったが、本発明はエラストマー内筒状体、フィルター、外筒状体、カバー部材を一体化した構成の通気キャップである。従って、この通気キャップが相手装置の通気孔体に取り付けられ、振動等の悪条件があっても通気キャップは個々に部品が緩むことがなく、安定して信頼性のあるものとなっている。従って、通気キャップのメンテナンスは、通気キャップを個々に分解することなく、他の通気キャップに交換する一式処理で容易に対応することができる。
【0044】
又、実施の形態を種々説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、空間部の気体通過断面積等は、適用する装置の条件に合わせ、通過穴径、数等を決めればよい。製造方法に関し、構成体用金型に外筒状体とフィルターをインサートし、その後エラストマー内筒状体を成形することでの構成体を説明したが、エラストマー内筒状体にフィルターを接合したものを金型にインサートし、その後外筒状体を射出成形し構成体を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…通気キャップ
2,26…通気孔体
3,43…エラストマー内筒状体(第1筒状体)
4,18,34…外筒状体(第2筒状体)
5,41,44…フィルター
10…空間部
12,35,39,46…カバー部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護を要する部品が内装された装置の通気孔部(2,26)に取り付けられる通気キャップであって、
熱可塑性エラストマー樹脂で構成され、内部に通気空間を有し前記通気孔部に押圧接合される第1筒状体(3,43)と、
前記第1筒状体の一端に接合されるフィルター(5,44)と、
前記第1筒状体の外周部と通気空間を有して射出成形で接合される第2筒状体(4,18)と、
前記第2筒状体の端部に弾性変形で押圧接合され、前記フィルターとの間で通気空間を構成するカバー部材(12,35,39,46)と
からなる通気キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記第1筒状体(3)の前記通気孔部への取付け端部は、前記通気孔部の外径より小さい内径部(6)を有しアンダーカット形状(7)の挿入部となっている
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項3】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記第2筒状体(18)は、前記第1筒状体の外周に接合される内筒体(19)と、この内筒体の外周部に配置され、通気穴(22)を有する支持部(23)で支持される外筒体(21)との二重筒体構成になっている
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項4】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記第1筒状体(3)の取付け端部は、テーパー形状を有しその外径部が前記通気孔部(26)の穴径より大きく形成され、その外径部に前記通気孔部への取付溝(30)を有している
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項5】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記カバー部材(35,39)に前記通気空間と外部とに連通する小穴(40)を設けた
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項6】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記第1筒状体(3)の端部は、前記フィルターを射出成形により固定する凹凸構成の抑え形状になっている
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項7】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記カバー部材(46)は、第1筒状体(43)の端部に、前記フィルターを押圧固定するための抑え部を有している
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項8】
保護を要する部品が内装された装置の通気孔部(2)に取り付けられる通気キャップの製造方法であって、
合成樹脂体の射出により金型成形し第2筒状体(4)を製造する工程と、
合成樹脂体の射出により金型成形しカバー部材(12)を製造する工程と、
前記通気孔部に取り付け可能な第1筒状体(3)を成形するためのキャビティ(50)を有する構成体用金型に前記第2筒状体とフィルターをインサートする工程と、
前記構成体用金型の前記キャビティに熱可塑性エラストマー樹脂体を射出し前記第1筒状体を含む構成体を製造する工程と、
前記構成体の前記第2筒状体の端部に前記フィルターとの通気空間部を有して前記カバー部材を押圧係合させ前記構成体と一体化させる工程と
からなる通気キャップの製造方法。
【請求項1】
保護を要する部品が内装された装置の通気孔部(2,26)に取り付けられる通気キャップであって、
熱可塑性エラストマー樹脂で構成され、内部に通気空間を有し前記通気孔部に押圧接合される第1筒状体(3,43)と、
前記第1筒状体の一端に接合されるフィルター(5,44)と、
前記第1筒状体の外周部と通気空間を有して射出成形で接合される第2筒状体(4,18)と、
前記第2筒状体の端部に弾性変形で押圧接合され、前記フィルターとの間で通気空間を構成するカバー部材(12,35,39,46)と
からなる通気キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記第1筒状体(3)の前記通気孔部への取付け端部は、前記通気孔部の外径より小さい内径部(6)を有しアンダーカット形状(7)の挿入部となっている
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項3】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記第2筒状体(18)は、前記第1筒状体の外周に接合される内筒体(19)と、この内筒体の外周部に配置され、通気穴(22)を有する支持部(23)で支持される外筒体(21)との二重筒体構成になっている
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項4】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記第1筒状体(3)の取付け端部は、テーパー形状を有しその外径部が前記通気孔部(26)の穴径より大きく形成され、その外径部に前記通気孔部への取付溝(30)を有している
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項5】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記カバー部材(35,39)に前記通気空間と外部とに連通する小穴(40)を設けた
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項6】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記第1筒状体(3)の端部は、前記フィルターを射出成形により固定する凹凸構成の抑え形状になっている
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項7】
請求項1に記載の通気キャップにおいて、
前記カバー部材(46)は、第1筒状体(43)の端部に、前記フィルターを押圧固定するための抑え部を有している
ことを特徴とする通気キャップ。
【請求項8】
保護を要する部品が内装された装置の通気孔部(2)に取り付けられる通気キャップの製造方法であって、
合成樹脂体の射出により金型成形し第2筒状体(4)を製造する工程と、
合成樹脂体の射出により金型成形しカバー部材(12)を製造する工程と、
前記通気孔部に取り付け可能な第1筒状体(3)を成形するためのキャビティ(50)を有する構成体用金型に前記第2筒状体とフィルターをインサートする工程と、
前記構成体用金型の前記キャビティに熱可塑性エラストマー樹脂体を射出し前記第1筒状体を含む構成体を製造する工程と、
前記構成体の前記第2筒状体の端部に前記フィルターとの通気空間部を有して前記カバー部材を押圧係合させ前記構成体と一体化させる工程と
からなる通気キャップの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−150919(P2011−150919A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11883(P2010−11883)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000206141)大成プラス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000206141)大成プラス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】
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