説明

通行料金算出装置、制御方法、及びプログラム

【課題】複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出すること。
【解決手段】道路ネットワークエリアに内包される評価対象の道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、所定時刻における集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出部140を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行料金算出装置、制御方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出装置、当該通行料金算出装置を制御する制御方法、並びに当該通行料金算出装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部や観光地等においては、交通渋滞や大気汚染といった問題に対し、ロードプライシングの導入が検討されている。このロードプライシングとは、対象の道路ネットワークエリアを指定し、その対象の道路エリアネットワークエリア内に進入する、又はその対象の道路エリアネットワーク内を通過する車両に対して料金の徴収を行う制度である。ロードプライシングにおいては、料金徴収を行うことにより、対象の道路ネットワークエリア内の交通量を低減させ、交通渋滞の緩和や大気汚染の軽減を図る。ロードプライシングは、シンガポールやイギリス等の諸外国では既に導入されている。
【0003】
ロードプライシングを実施するにあたり、料金が高すぎる場合には、対象の道路ネットワークエリアを回避する車両が増え、対象の道路エリアネットワーク内の交通渋滞の緩和や大気汚染の軽減は進むように見られるが、結果的には対象の道路ネットワークエリア周辺の道路で渋滞が発生することによって大気環境が悪化することが考えられる。逆に、料金が安すぎる場合には、ロードプライシングの効果が十分に得られないことになる。即ち、ロードプライシングにおいては、道路管理者、及び利用者にとって、渋滞が発生しない合理的な通行料金の設定が望まれる。
【0004】
このような事情に鑑みて成された技術としては、道路エリアネットワーク内に設定された複数の起点から終点までの、複数区間で形成された各経路を走行する車両から徴収する料金を設定する道路料金設定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の道路料金設定装置は、道路エリアネットワーク内の過去の交通データを記憶する。そして、道路料金設定装置は、記憶された過去の交通データに基づいて、各車両が通過する起点、終点の組合せ毎の対象日における交通需要を推定する。そして、道路料金設定装置は、予め設定された各経路に対する交通量配分の初期値と推定された交通需要とに基づいて、各経路及び各区間の交通量と走行時間とを予測する。そして、道路料金設定装置は、予測に基づいて、交通量配分の初期値を修正して目標交通量配分として出力する。そして、道路料金設定装置は、予め設定された各経路の初期料金とその経路の距離とに基づいて、各経路の交通量配分の予測を行う。そして、道路料金設定装置は、予測された交通量配分が目標配分に近似するように初期料金を修正して各経路に対する最終の料金として出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−009639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の道路料金設定装置によっては、各起点と各終点とをそれぞれ接続する各経路相互間における交通量の極端な不均等の発生が抑制され、交通渋滞の発生が極力抑制され、大気汚染等の環境悪化が抑制され、環境管理者、道路管理者、及び車両の利用者にとって有益な料金の設定が可能となるとしている。
【0007】
ところで、特許文献1に記載の道路料金設定装置は、過去の交通データに基づいて、料金を決定している。しかしながら、そのようにして決められた料金は、道路ネットワークエリアの交通現況に対して、最適な値になっているとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出装置であって、道路ネットワークエリアに内包される評価対象の道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、所定時刻における集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出部を備える。
【0009】
道路ネットワークエリアにおける交通流シミュレーション結果に基づいて、道路ネットワークエリアに内包される評価対象の道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係を算出する集計QK関係算出部を更に備え、通行料金算出部は、集計QK関係算出部が算出した集計QK関係と、所定時刻における集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出してよい。
【0010】
道路ネットワークエリアにおける交通流シミュレーション結果に基づいて、所定時刻における集計交通密度Kを推定する集計交通密度K推定部を更に備え、通行料金算出部は、道路ネットワークエリアに内包される評価対象の道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、集計交通密度K推定部が推定した集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出してよい。
【0011】
通行料金算出部が算出した道路ネットワークエリアに適用される通行料金を示すデータを、車両の利用者の利用者端末へ配信する通行料金データ配信部を更に備えてよい。
【0012】
本発明の第2の形態によると、複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出装置を制御する制御方法であって、道路ネットワークエリアに内包される評価対象の道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、所定時刻における集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出段階を備える。
【0013】
本発明の第3の形態によると、複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出装置用のプログラムであって、通行料金算出装置を、道路ネットワークエリアに内包される評価対象の道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、所定時刻における集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出部として機能させる。
【0014】
なおまた、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、この発明は、既知の技術と比較して、道路ネットワークエリアの交通現況に対して最適な通行料金を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】集計QK関係の一例を示す図である。
【図2】一実施形態に係る通行料金算出装置100の一例を示す図である。
【図3】集計QK関係情報格納部170に格納される情報の一例をテーブル形式で示す図である。
【図4】料金情報格納部180に格納されている情報の一例をテーブル形式で示す図である。
【図5】通行料金算出装置100の動作フローの一例を示す図である。
【図6】通行料金算出装置100の動作フローの他の例を示す図である。
【図7】通行料金算出装置100をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
本実施形態においては、複数の道路から構成される道路ネットワークエリアの交通状態量として、集計交通流率Qと集計交通密度Kを定義し、両状態量間に存在する関係を集計QK関係と称する。集計交通流率Q(台・km/h)は、式(1)に示すように、道路ネットワークエリアに内包される評価対象の道路について、道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である。また、集計交通密度K(台)は、式(2)に示すように、道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である。
【0019】
【数1】

【0020】
【数2】

【0021】
図1は、集計QK関係の一例を示す。この例の集計QK関係の曲線は、道路ネットワークエリアにおいて、集計交通密度Kが小さいうちは集計交通密度Kが増加するに伴って集計交通流率Qが増加するが、やがて集計交通密度Kが一定量以上に大きくなってくると、集計交通流率Qが飽和して低下することを示している。このことは、道路ネットワークエリアの交通処理能力を超える量の車両が流入する状況下で流入制御を施さずにいると、道路ネットワークエリアの集計交通密度Kは徐々に上昇し、集計交通流率Qが低下、即ち、道路ネットワークエリアの車両処理能力の低下を招いて加速度的に状況が悪化していくことを意味する。
【0022】
図2は、一実施形態に係る通行料金算出装置100の一例を示す。通行料金算出装置100は、複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する装置である。
【0023】
通行料金算出装置100は、交通流シミュレーション結果データ入力受付部110、集計QK関係算出部120、集計交通密度K推定部130、通行料金算出部140、通行料金データ出力部150、通行料金データ配信部160、集計QK関係情報格納部170、及び料金情報格納部180を備える。以下、各構成要素の機能及び動作を説明する。
【0024】
交通流シミュレーション結果データ入力受付部110は、交通流シミュレータによってシミュレーションされた交通流シミュレーション結果を示すデータの入力を受け付ける。
【0025】
集計QK関係算出部120は、道路ネットワークエリアにおける交通流シミュレーション結果に基づいて、集計QK関係を算出する。
【0026】
集計交通密度K推定部130は、道路ネットワークエリアにおける交通流シミュレーション結果に基づいて、所定時刻における集計交通密度Kを推定する。
【0027】
通行料金算出部140は、集計QK関係と、所定時刻における集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する。より具体的に説明すると、通行料金算出部140は、集計QK関係算出部120が算出した集計QK関係と、所定時刻における集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する。また、通行料金算出部140は、集計QK関係と、集計交通密度K推定部130が推定した集計交通密度Kの推定値とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する。
【0028】
通行料金データ出力部150は、通行料金算出部140が算出した道路ネットワークエリアに適用される通行料金を示すデータを出力する。
【0029】
通行料金データ配信部160は、通行料金算出部140が算出した道路ネットワークエリアに適用される通行料金を示すデータを、車両の利用者の利用者端末へ配信する。
【0030】
図3は、集計QK関係情報格納部170に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。集計QK関係情報格納部170には、集計交通密度K(台/エリア)、及び集計交通流率Q(台・km/h)の各情報が対応付けられて格納される。
【0031】
集計交通流率K(台/エリア)は、道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である。集計交通流率Q(台・km/h)は、集計交通流率K(台/エリア)によって示される台数の車両が道路ネットワークエリア内に存在している場合において、道路ネットワークエリアに内包される評価対象の道路について、道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である。
【0032】
図4は、料金情報格納部180に格納されている情報の一例をテーブル形式で示す。料金情報格納部180には、集計交通流率Qの最大値QMAXに対する割合(%)、QMAXに対応するKMAX未満?、及び通行料金(円)の各情報が対応付けられて格納されている。
【0033】
ここで、集計QK関係は、図1に示すように、弓なりの曲線を描いている。そして、集計交通流率Qは、集計交通密度Kが増加するにつれて上昇し、飽和すると、集計交通密度Kが更に増加するにつれて下降する。以下の説明においては、集計交通流率Qの変化が上昇から下降へ転じる時の集計交通流率Qの最大値をQMAXと称し、集計QK関係におけるQMAXに対応する集計交通密度Kの値をKMAXと称する。ここで、実際の運用においては、QMAXに至ってからでは手遅れになる虞がある。そこで、本実施形態においては、QMAXに対応する実際のKMAXよりも、例えば、5(%)〜10(%)程度低い集計交通密度Kの値を、KMAXとして扱うことにする。
【0034】
図5は、通行料金算出装置100の動作フローの一例を示す。この動作フローは、集計QK関係を算出する動作を示すものである。なおまた、この動作フローの説明には、図1から図4を共に参照する。
【0035】
通行料金算出装置100は、交通流シミュレータによる道路ネットワークエリアの交通流シミュレーション結果に基づいて、集計QK関係を算出する。交通流シミュレーションとは、実際の道路の状況をコンピュータで模擬的に再現し、事前に評価するものである。
【0036】
通行料金算出装置100の交通流シミュレーション結果データ入力受付部110は、道路ネットワークエリアの交通流シミュレーション結果を示すデータの入力を、交通流シミュレータから受け付けると(S101)、そのデータを、集計QK関係算出部120へ送る。
【0037】
通行料金算出装置100の集計QK関係算出部120は、交通流シミュレーション結果データ入力受付部110から送られたデータを受け取ると、道路ネットワークエリアの集計QK関係を算出する(S102)。例えば、集計QK関係算出部120は、交通流シミュレーション結果データ入力受付部110から受け取ったデータによって示される道路ネットワークエリアの交通流シミュレーション結果から、所定タイミングにおける集計交通密度Kの値と、その時の集計交通流率Qの値とをそれぞれ算出し、両値を対応付ける処理を経時的に繰り返す。そして、集計QK関係算出部120は、対応する集計交通流率Qと集計交通密度Kとの複数の組合せに対する曲線あてはめを行って、集計QK関係を示す曲線の関数を算出する。そして、集計QK関係算出部120は、複数の集計交通密度Kの値と、その各集計交通密度Kの値を算出した関数に代入して得られる各集計交通流率Qとを対応付けて集計QK関係情報格納部170に格納する(S103)。
【0038】
このようにして、通行料金算出装置100の集計QK関係情報格納部170には、道路ネットワークエリアの集計QK関係を示す情報が格納されることになる。なおまた、この一連の処理は、少なくとも道路ネットワークエリアの環境が変化する度に実行されるものとする。道路ネットワークエリアの環境の変化とは、例えば、交通事故の影響により道路が封鎖されたり、新たな商業施設が開店したりすることにより、その道路ネットワークエリア内において車両が通行する経路の傾向が変化するような場合を指す。
【0039】
図6は、通行料金算出装置100の動作フローの他の例を示す。この動作フローは、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する動作を示すものである。なおまた、この動作フローの説明には、図1から図5を共に参照する。
【0040】
通行料金算出装置100は、交通流シミュレータによる道路ネットワークエリアの交通流シミュレーション結果に基づいて、その道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する。
【0041】
通行料金算出装置100の交通流シミュレーション結果データ入力受付部110は、道路ネットワークエリアの交通流シミュレーション結果を示すデータの入力を、交通流シミュレータから受け付けると(S201)、そのデータを、集計交通密度K推定部130へ送る。
【0042】
通行料金算出装置100の集計交通密度K推定部130は、交通流シミュレーション結果データ入力受付部110から送られたデータを受け取ると、そのデータによって示される道路ネットワークエリアの交通流シミュレーション結果から、所定時刻における集計交通密度Kを推定する(S202)。例えば、集計交通密度K推定部130は、5分後の集計交通密度Kを推定する。そして、集計交通密度K推定部130は、推定した集計交通密度Kの推定値KESTを示すデータを、通行料金算出部140へ送る。
【0043】
通行料金算出装置100の通行料金算出部140は、集計交通密度K推定部130から送られたデータを受け取ると、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する(S203)。例えば、通行料金算出部140は、集計交通密度K推定部130から送られたデータを受け取ると、集計QK関係情報格納部170に格納されている情報を読み出す。そして、通行料金算出部140は、集計QK関係情報格納部170から読み出した情報に基づいて、集計交通流率Qの最大値QMAXの値を特定する。また、通行料金算出部140は、QMAXに対応する集計交通密度Kの値KMAXを特定する。また、通行料金算出部140は、集計交通密度K推定部130から受け取ったデータによって示されるKESTに対応する集計交通流率Qの値QESTを特定する。そして、通行料金算出部140は、QMAXに対するQESTの割合を算出する。また、通行料金算出部140は、KMAXとKESTとを比較する。そして、通行料金算出部140は、料金情報格納部180に格納されている情報と、QMAXに対するQESTの割合と、KMAXとKESTとの比較結果とに基づいて、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する。例えば、料金情報格納部180には、図4に示すような情報が格納されていたとする。そして、QMAXに対するQESTの割合が47(%)で、KMAXとKESTとの関係がKMAX>KESTであったとすると、通行料金算出部140は、道路ネットワークエリアに適用される通行料金を500(円)とする。そして、通行料金算出部140は、通行料金を示す通行料金データを、通行料金データ出力部150、及び通行料金データ配信部160へ送る。
【0044】
通行料金算出装置100の通行料金データ出力部150は、通行料金算出部140から送られた通行料金データを受け取ると、その通行料金データを外部機器へ出力する(S204)。例えば、通行料金データ出力部150は、通行料金データによって示される通行料金を表示画面に表示させるためのデータをディスプレイへ出力する。この場合、ディスプレイには、道路ネットワークエリアに適用される通行料金が表示されることになる。道路ネットワークエリアの管理者は、ディスプレイに表示された通行料金を適用すべく所定の作業を行えばよいことになる。
【0045】
また、例えば、通行料金データ出力部150は、通行料金データを、道路ネットワークエリアの通行料金を収受する料金所装置へ出力する。この場合、料金所装置には、収受すべき通行料金の設定が自動的に適用されることになる。
【0046】
一方、通行料金算出装置100の通行料金データ配信部160は、通行料金算出部140から送られた通行料金データを受け取ると、その通行料金データを車両の利用者の利用者端末へ配信する(S205)。ここで、利用者端末は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末、パソコン、及び車載器を含む。このようにして、車両の利用者は、道路ネットワークエリアの通行料金を知ることができる。なおまた、この一連の処理は、所定時間置きに実行されるものとする。
【0047】
以上説明したように、通行料金算出装置100は、既知の技術と比較して、道路ネットワークエリアの交通現況に対して最適な通行料金を算出することができる。
【0048】
図7は、通行料金算出装置100をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。通行料金算出装置100は、CPU(Central Processing Unit)周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ801により相互に接続されるCPU802、RAM(Random Access Memory)803、グラフィック・コントローラ804、及び表示装置805を有する。入出力部は、入出力コントローラ806によりホスト・コントローラ801に接続される通信インターフェース807、ハードディスクドライブ808、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ809を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ806に接続されるROM(Read Only Memory)810、フレキシブルディスク・ドライブ811、及び入出力チップ812を有する。
【0049】
ホスト・コントローラ801は、RAM803と、高い転送レートでRAM803をアクセスするCPU802、及びグラフィック・コントローラ804とを接続する。CPU802は、ROM810、及びRAM803に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ804は、CPU802等がRAM803内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置805上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ804は、CPU802等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0050】
入出力コントローラ806は、ホスト・コントローラ801と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ808、通信インターフェース807、CD−ROMドライブ809を接続する。ハードディスクドライブ808は、CPU802が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェース807は、ネットワーク通信装置891に接続してプログラム又はデータを送受信する。CD−ROMドライブ809は、CD−ROM892からプログラム又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808、及び通信インターフェース807に提供する。
【0051】
入出力コントローラ806には、ROM810と、フレキシブルディスク・ドライブ811、及び入出力チップ812の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM810は、通行料金算出装置100が起動時に実行するブート・プログラム、あるいは通行料金算出装置100のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ811は、フレキシブルディスク893からプログラム又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808、及び通信インターフェース807に提供する。入出力チップ812は、フレキシブルディスク・ドライブ811、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0052】
CPU802が実行するプログラムは、フレキシブルディスク893、CD−ROM892、又はIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ808にインストールされ、RAM803に読み出されてCPU802により実行される。CPU802により実行されるプログラムは、通行料金算出装置100を、図1から図6に関連して説明した交通流シミュレーション結果データ入力受付部110、集計QK関係算出部120、集計交通密度K推定部130、通行料金算出部140、通行料金データ出力部150、通行料金データ配信部160、集計QK関係情報格納部170、及び料金情報格納部180として機能させる。
【0053】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク893、CD−ROM892の他に、DVD(Digital Versatile Disk)又はPD(Phase Disk)等の光学記録媒体、MD(MiniDisk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして提供してもよい。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0055】
100 通行料金算出装置
110 交通流シミュレーション結果データ入力受付部
120 集計QK関係算出部
130 集計交通密度K推定部
140 通行料金算出部
150 通行料金データ出力部
160 通行料金データ配信部
170 集計QK関係情報格納部
180 料金情報格納部
801 ホスト・コントローラ
802 CPU
803 RAM
804 グラフィック・コントローラ
805 表示装置
806 入出力コントローラ
807 通信インターフェース
808 ハードディスクドライブ
809 CD−ROMドライブ
810 ROM
811 フレキシブルディスク・ドライブ
812 入出力チップ
891 ネットワーク通信装置
892 CD−ROM
893 フレキシブルディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出装置であって、
前記道路ネットワークエリアに内包される評価対象の前記道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、前記道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、所定時刻における前記集計交通密度Kの推定値とに基づいて、前記道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出部
を備える通行料金算出装置。
【請求項2】
前記道路ネットワークエリアにおける交通流シミュレーション結果に基づいて、前記道路ネットワークエリアに内包される評価対象の前記道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、前記道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係を算出する集計QK関係算出部
を更に備え、
前記通行料金算出部は、前記集計QK関係算出部が算出した集計QK関係と、所定時刻における前記集計交通密度Kの推定値とに基づいて、前記道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する
請求項1に記載の通行料金算出装置。
【請求項3】
前記道路ネットワークエリアにおける交通流シミュレーション結果に基づいて、所定時刻における前記集計交通密度Kを推定する集計交通密度K推定部
を更に備え、
前記通行料金算出部は、前記道路ネットワークエリアに内包される評価対象の前記道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、前記道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、前記集計交通密度K推定部が推定した集計交通密度Kの推定値とに基づいて、前記道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する
請求項1又は2に記載の通行料金算出装置。
【請求項4】
前記通行料金算出部が算出した前記道路ネットワークエリアに適用される通行料金を示すデータを、車両の利用者の利用者端末へ配信する通行料金データ配信部
を更に備える請求項1から3のいずれか一項に記載の通行料金算出装置。
【請求項5】
複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出装置を制御する制御方法であって、
前記道路ネットワークエリアに内包される評価対象の前記道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、前記道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、所定時刻における前記集計交通密度Kの推定値とに基づいて、前記道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出段階
を備える制御方法。
【請求項6】
複数の道路から構成される道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出装置用のプログラムであって、前記通行料金算出装置を、
前記道路ネットワークエリアに内包される評価対象の前記道路について道路単位で算定される単位時間あたりにおける単位距離あたりの車両の台数を合算した値である集計交通流率Qと、前記道路ネットワークエリア内に存在する全ての車両の台数である集計交通密度Kとの相関関係を示す集計QK関係と、所定時刻における前記集計交通密度Kの推定値とに基づいて、前記道路ネットワークエリアに適用される通行料金を算出する通行料金算出部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−50844(P2013−50844A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188302(P2011−188302)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】