説明

造形物スタンド及びスタンド付き動物造形物

【課題】首と胴と両脚とを有する動物をかたどった非自立構造の動物造形物を、目方重量があるものでも残酷な印象を与えること無く立位姿勢に保つ。
【解決手段】動物造形物10の胴12を造形物スタンド20の左右の腕部21により後方から抱き締め、動物造形物10の両脚13、13間の股間を造形物スタンド20の下受け部22で下から支持し、動物造形物10の胴12に下受け部22の股間当て22aの上方に位置する重り部15を内包し、動物造形物10の目方重量を800g以上5000g以下にしながら、造形物スタンド20に保持された状態の重心が安定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自重を両脚で支持できない非自立構造の動物造形物を立たせる造形物スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の動物造形物の代表的なものとしては、毛が予め植え付けられた布、樹脂シート等によって、綿、ペレット等を包み込んで外側から縫うことで作られた縫い包みが挙げられる。
この種の動物造形物を飾るときは、背を壁に当てた座位姿勢が基本になるが、例えば、衣装を着けて飾る場合のように、立位姿勢をとらせて飾る場合には、造形物スタンドが利用されている。
【0003】
従来からある造形物スタンドは、動物造形物の首又は胴を後方から抱き締める左右の腕部と、この左右の腕部を中空に支持する支柱部とからなっている。
この種の造形物スタンドの各部は、一般に、所定の動物造形物のサイズに対応させて設けられている。
動物造形物のサイズに適合する造形物スタンドの左右の腕部で動物造形物の首又は胴を後方から抱き締めると、動物造形物の倒れが前後左右に防止され、動物造形物が立位姿勢に保たれる。
【0004】
上記の造形物スタンドを利用する場合、左右の腕部を首に回すよりも胴に回すことが好まれる。首に回すのは、愛玩性を有する動物造形物の所有者に残酷な印象を与え、また、衣装で左右の腕部を隠し難く、展示上、好ましくないからである。
【0005】
【非特許文献1】ホームページ、インターネット<URL:http://www.cuties.co.jp/ds_a_short_index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の造形物スタンドは、動物造形物の重量が大きくなると、立位姿勢に保つことが困難である。例えば、子供の出生体重に相当する熊等の縫い包みを出産祝いに送ることが人気を得ているが、このような動物造形物は、間節部の柔らかい縫い包みだが、一般に、その目方重量が800g以上5000g以下の範囲に調整される。
このように目方重量のある動物造形物を左右の腕部の締め付けだけで保持させると、動物造形物が簡単にずり落ちてしまう。左右の腕部を首に掛けると上述のように残酷な印象を与えるため、好ましくない。
【0007】
上述の事情に鑑み、この発明は、目方重量のある動物造形物を残酷な印象を与えること無く立位姿勢に保つことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明に係る造形物スタンドは、動物造形物の胴を後方から抱き締める左右の腕部と、前記動物造形物の両脚間の股間を下から支持する下受け部とを有する構成を特徴とするものである。
【0009】
動物造形物の胴を後方から抱き締める左右の腕部を採用すれば、残酷な印象を与えることなく動物造形物を倒れないように保持することができる。
前記動物造形物の両脚間の股間を下から支持する下受け部を採用すれば、左右の腕部を首に掛けることなく、動物造形物の重量を支えることができる。
【発明の効果】
【0010】
したがって、この発明は、上記の特徴的構成の採用により、目方重量のある動物造形物を残酷な印象を与えること無く立位姿勢に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態は、動物造形物10と、造形物スタンド20とからなるスタンド付動物造形物である。
動物造形物10は、首11と胴12と両脚13、13とを有する動物をかたどった非自立構造のものである。造形物スタンド20は、動物造形物10を立位姿勢に保つものである。
【0012】
動物造形物10及び造形物スタンド20は、左右対称構造になっている。
【0013】
図2は、造形物スタンド20を左斜め上方からの視線で示している。図3(a)は、造形物スタンド20の正面視を示し、同(b)は、左側面視を示している。図4は、造形物スタンド20の背面視を示している。図5(a)は、造形物スタンド20の平面視を示し、同(b)は、底面視を示している。図6(a)は、図3(a)中に描いたA−A線の断面視を示し、同(b)は、図3(b)中に描いたB−B線の断面視を示している。
【0014】
図1〜図6に示すように、造形物スタンド20は、動物造形物10の胴12を後方から抱き締める左右の腕部21と、動物造形物10の両脚13、13間の股間を下から支持する下受け部22と、左右の腕部21、下受け部22を所定の中空高に支持する支柱部23と、支柱部23の転倒を阻止する土台部24とを有している。
【0015】
左右の腕部21は、金属棒を湾曲状にすることで一連に形成されており、前方に開放している。下受け部22は、前上がりに傾斜する股間当て22aと、この股間当て22aから後傾した背もたれ22bとを有する。
【0016】
股間当て22aは、金属棒を略U字状に曲げて形成されており、U字状の平行部間に亘る補強棒が接合されている。股間当て22aの前端部は、胴12の股間から大きく突き出ないようになっており、動物造形物10を飾ったときに露見し難くなっている。
【0017】
背もたれ22bは、股間当て22aと一体に形成されており、その股間当て22aの最も低い後端部から後上がりに形成されている。
背もたれ22bの両上端部は、股間当て22aに受けられた動物造形物10の脇と股間との間の中間の高さになっており、ここに、上記の左右の腕部21が接合されている。
【0018】
支柱部23は、股間当て22aの補強棒部の幅中央上から下方に連設されており、固定長を有する。すなわち、左右の腕部21は、下受け部22を介して支柱部23に支持されている。なお、支柱部23は、上下方向の平行棒間に亘る補強棒を有する構成になっているが、1本の金属棒から構成することも可能である。
【0019】
土台部24は、円環状に形成された金属棒の直径上に補強棒を亘した構造になっており、その補強棒上に支柱部23が接合されている。
【0020】
支柱部23及び土台部24で決まる股間当て22aの地上高は、図1に示すように、動物造形物10の両脚13、13が地面に当って曲がることがないように設定されている。
なお、自然な立位姿勢に見せるため、股間当て22aの地上高は、両脚13、13の足底がちょうど地面に接する高さでもよい。
また、支柱部23を高さ調節機能を有する構造にすることで、股間当て22aの地上高を調節自在にすることも可能である。
【0021】
図7は、図1に示す動物造形物10の胴12の内部構造を示している。図1、図7に示すように、動物造形物10は、熊の縫い包みからなり、各関節部が柔軟である。このため、動物造形物10は、立位姿勢をとることは可能であるが、両脚13、13で自立することはできない。
【0022】
上記の構成を有するこのスタンド付き動物造形物は、動物造形物10の両脚(13、13)間の股間を造形物スタンド20の股間当て22aに載せた状態で、胴12を前方から左右の腕部21に押し込むようにして、動物造形物10を造形物スタンド20に保持させられる。
その結果、動物造形物10の重量は、胴12の股間下から股間当て22aで支持される。
また、左右の腕部21が胴12を脇と股間との間の中間で後方から両側に回った状態となり、胴12が左右の腕部21に締め付けられることで、左右への倒れが防止されると共に、後方へ引き付けられる。
このため、動物造形物10は、特に外力を付加されない限り、左右の腕部21により股間当て22aから外れないように保持され、股間当て22aの地上高により両脚13、13が延びた状態になる。
【0023】
したがって、造形物スタンド20は、動物造形物10の重量を下受け部22で下から支持した状態で、その動物造形物10を立位姿勢に保つことができる。
左右の腕部21は、胴12を抱き締めるため、残酷な印象を与えることはなく、衣装を着ければ、隠すことができる。
【0024】
上述のように動物造形物10が造形物スタンド20に保持された状態で、股間当て22aが動物造形物10の尻尾14を通す空間を背面に有するため、動物造形物10の臀部を下受け部22で支えながらも、尻尾14を支障なく露見させることができる。
【0025】
下受け部22が、前上がりに傾斜する股間当て22aと、この股間当て22aから後傾した背もたれ22bとを有するため、前方に開放する左右の腕部21に保持された動物造形物10が前方に倒れ難い。したがって、左右の腕部21が弾性締め付けだけで重量のある動物造形物10を保持するが、外力が付加されない限り、動物造形物10が特に外れ難くすることができる。
【0026】
ここで、動物造形物10は、前記下受け部22の股間当て22aの上方に位置する重り部15を胴12に内包している。これにより、動物造形物10が造形物スタンド20に保持された状態で重心を股間当て22a上に安定させることができる。なお、この重り部15が胴12内に位置決めされていることは勿論である。
【0027】
動物造形物10は、重り部15の重量を調整することにより、その目方重量が800g以上5000g以下に設定することが可能になっている。
増量する際は、下受け部22との干渉を避けるため、重り部15の嵩を上げるようになっている。
【0028】
なお、立位姿勢に保持された動物造形物10の重心は、胴12の股間と脇の間の高さに位置するようになっており、左右の腕部21で重心ずれの防止を行ない易くしている。
【0029】
重り部15を省略し、動物造形部10の充填物に、単位体積当りの重量が綿より重いペレットを採用することにより全体として上記の目方重量に設定することも可能であるが、動物造形部10の末端部の重量が増えて倒れ易くなるため、この実施形態のように重り部15で重量を調整する方がよい。
【0030】
また、前記の目方重量の動物造形物10を造形物スタンド20で支持可能であれば、人間の出生体重に対応した動物造形物、いわゆる体重ベア、メモリアルベアの縫い包みを立位姿勢に安定して保つことができ、衣装を着けて飾る場合に便利である。
なお、動物造形物10の重量が、前記の目方重量の範囲から外れて軽くなっても、重くなってもよいことは勿論である。
【0031】
この実施形態の動物造形物10は、熊をかたどっているが、犬、兎、人形といった他の動物に変更することができる。
また、この実施形態の動物造形物10は、重り部15の他は綿が充填された縫い包みからなるが、FRP製、蝋製等の他の動物造形物に変更することができる。
また、造形物スタンド20は、この発明の作用効果が得られる限り、全体又は各部において適宜の構成、デザインに変更することができる。
例えば、左右の腕部21を別々に設けた構成、左右の腕部21、下受け部22等を板材から形成した構成、背もたれと支柱とを一連に設けた構成、動物造形物10の重量の一部を左右の腕部21で支持する構成等を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】aは、実施形態に係るスタンド付き動物造形物の側面図、bは同スタンド付き動物造形物の正面図
【図2】図1の造形物スタンドの全体斜視図
【図3】aは、図1の造形物スタンドの正面図、bは、同造形物スタンドの側面図
【図4】図1の造形物スタンドの背面図
【図5】aは、図1の造形物スタンドの平面図、bは、同造形物スタンドの底面図
【図6】aは、図3(a)のA−A線の断面図、bは、図3(a)のB−B線の断面図
【図7】図1の動物造形物の胴内部を部分的に切り欠いて示す部分縦断側面図
【符号の説明】
【0033】
10 動物造形物
11 首
12 胴
13 脚
15 重り部
20 造形物スタンド
21 腕部
22 下受け部
22a 股間当て
22b 背もたれ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
首(11)と胴(12)と両脚(13、13)とを有する動物をかたどった非自立構造の動物造形物(10)を立位姿勢に保つ造形物スタンドにおいて、
前記動物造形物(10)の胴(12)を後方から抱き締める左右の腕部(21)と、前記動物造形物(10)の両脚(13、13)間の股間を下から支持する下受け部(22)とを有することを特徴とする造形物スタンド。
【請求項2】
前記下受け部(22)が、前上がりに傾斜する股間当て(22a)と、この股間当て(22a)から後傾した背もたれ(22b)とを有する請求項1に記載の造形物スタンド。
【請求項3】
前記動物造形物(10)と、請求項1又は2に記載の造形物スタンド(20)とからなり、前記動物造形物(10)の胴(12)に前記下受け部(22)の上方に位置する重り部(15)を内包しているスタンド付き動物造形物。
【請求項4】
前記動物造形物(10)が縫い包みからなり、目方重量が800g以上5000g以下である請求項3に記載のスタンド付き動物造形物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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