説明

造影剤

本発明は、式R−CO−N(R)−(CR−N(R)−R(I)の化合物及びその塩又は光学活性異性体に関する。式中、各Rは独立に同一又は異なるもので、水素原子、ヒドロキシル基、C〜C直鎖又は枝分れアルキル基或いはC〜C直鎖又は枝分れオキシアルキル基を表し、Rは水素原子或いはC〜C直鎖又は枝分れアルキル基を表し、Rは独立に同一又は異なるもので、アシル部分を表し、R及びRは独立に同一又は異なるもので、三ヨウ素化フェニル基、好ましくはさらに3位及び5位において2つのR基で置換された2,4,6−三ヨウ素化フェニル基を表し、ここで各Rは同一又は異なるもので、式(I)の化合物中の少なくとも1つのR基が親水性部分であることを条件にして水素原子又は非イオン性の親水性部分を表し、nは1〜6の正の整数を表す。本発明はまた、診断イメージング、特にX線イメージングにおける造影剤としてのかかる診断用組成物の使用、及びかかる化合物を含むコントラスト媒体にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はある部類の化合物及びかかる化合物を含む診断用組成物に関し、この場合の化合物はヨウ素含有化合物である。さらに詳しくは、かかるヨウ素含有化合物は2つの結合されたヨウ素化フェニル基を含む化合物である。
【0002】
本発明はまた、診断イメージング、特にX線イメージングにおける造影剤としてのかかる診断用組成物の使用、及びかかる化合物を含むコントラスト媒体にも関する。
【背景技術】
【0003】
すべての診断イメージングは、身体内部の異なる構造から異なる信号レベルを得ることに基づいている。したがって、例えばX線イメージングにおいて所定の身体構造が画像中で見えるためには、その構造によるX線減衰度が周囲の組織の減衰度と違っていなければならない。身体構造とその周囲との間における信号の差はしばしばコントラストと呼ばれ、診断イメージングでのコントラストを高めるための手段に多大の努力がささげられてきた。これは、身体構造とその周囲との間のコントラストが大きいほど画像の品質が高くなり、診断を行う医師にとっての価値が高くなるからである。その上、コントラストが大きいほど、イメージング操作で可視化できる身体構造は小さくなる。即ち、コントラストの向上は空間解像度の向上をもたらすことができる。
【0004】
画像の診断品質はイメージング操作における固有ノイズレベルに大きく依存し、したがってコントラストレベルとノイズレベルとの比は診断画像に関する有効診断品質因子となることがわかる。
【0005】
かかる診断品質因子の向上を達成することはずっと以前から重要な目標であって、今なお変わっていない。X線、磁気共鳴イメージング(MRI)及び超音波のような技法では、診断品質因子を向上させるための1つのアプローチは、コントラスト媒体として処方されたコントラスト増強物質を撮影すべき身体領域中に導入することであった。
【0006】
したがって、X線の場合、造影剤の初期の例は、それが分布した身体領域のX線減衰度を高める不溶性の無機バリウム塩であった。最近の50年間、X線造影剤の分野では可溶性のヨウ素含有化合物が支配的となっている。ヨウ素化造影剤を含む商業的に入手可能なコントラスト媒体は、通常、(例えばGastrografen(商標)の商品名で市販されている)ジアトリゾエートのようなイオン性単量体、(例えばHexabrix(商標)の商品名で市販されている)イオキサグレートのようなイオン性二量体、(例えばOmnipaque(商標)の商品名で市販されている)イオヘキソールや(例えばIsovue(商標)の商品名で市販されている)イオパミドールや(例えばIomeron(商標)の商品名で市販されている)イオメロールのような非イオン性単量体、及び(例えばVisipaque(商標)の商品名で市販されている)非イオン性二量体イオジキサノールに分類される。
【0007】
上述したもののような、最も広く使用されている市販の非イオン性X線造影剤は安全と考えられている。ヨウ素化造影剤を含むコントラスト媒体は、米国では年間2000万回を超えるX線検査で使用されており、副作用の数は許容し得るものと考えられている。しかし、コントラスト増強X線検査では総投与量として最大約200mlのコントラスト媒体の投与が要求されるので、改良されたコントラスト媒体を得ようという活動は絶えず存在している。
【0008】
コントラスト媒体の有用性は、主としてその毒性、その診断効果、コントラスト媒体を投与された被験者が受けることがある副作用、及び貯蔵や投与の容易性によって決定される。かかる媒体は通常は直接の治療効果を得るためよりもむしろ診断目的のために使用されるので、細胞又は身体の様々な生物学的機構に対してできるだけ少ない効果を及ぼす媒体を提供することが一般に望ましい。このようなものは、毒性及び有害な臨床効果が少なくて済むからである。コントラスト媒体の毒性及び有害な生物学的効果は、配合媒質の成分(例えば、溶媒又はキャリヤー)並びに造影剤自体及びその成分(例えば、イオン性造影剤用のイオン)によって生み出され、またその代謝産物によって生み出される。
【0009】
コントラスト媒体の毒性に寄与する主な要因は、造影剤の化学毒性、コントラスト媒体の重量オスモル濃度、及びコントラスト媒体のイオン組成又はその欠如にあると確認されている。
【0010】
ヨウ素化造影剤の望ましい特性は、化合物自体の低い毒性(化学毒性)、化合物を溶解したコントラスト媒体の低い粘度、コントラスト媒体の低い重量オスモル濃度、及び(大抵は投与のために処方されたコントラスト媒体1ml当たりのヨウ素のg数で測定される)高いヨウ素含有量である。ヨウ素化造影剤はまた、配合媒質(通常は水性媒質)中に完全に可溶であり、貯蔵中にも溶解状態に保たれなければならない。
【0011】
市販製品、特に非イオン性化合物の重量オスモル濃度は、まだ改良の余地はあるものの、二量体及び非イオン性単量体を含む大部分の媒体について許容できる。例えば冠状動脈血管造影法では、循環系へのボーラス量のコントラスト媒体の注入は重篤な副作用を引き起こしてきた。この操作では、血液ではなくコントラスト媒体が短時間にわたって系中を流れる。コントラスト媒体とそれが置き換える血液との間における化学的性質及び生理化学的性質の差は、不整脈、QT延長及び心臓収縮力の低下のような望ましくない副作用を引き起こすことがある。かかる副作用は、特に、浸透圧毒性効果が注入されるコントラスト媒体の高張性に関連するイオン性造影剤について見られる。体液に対して等張性又は僅かに低張性のコントラスト媒体が特に望ましい。重量オスモル濃度の低いコントラスト媒体は、特に望ましい低い腎毒性を有している。重量オスモル濃度は、処方されたコントラスト媒体の単位体積当たりの粒子数の関数である。
【0012】
急性腎不全の患者では、コントラスト媒体によって誘起されるネフロパシーが、今なおヨウ素化コントラスト媒体の使用に伴う臨床的に最も重要な合併症の1つとなっている。
Aspelin, P et al, The New England Journal of Medicine, Vol.348:491−499(2003)では、重量オスモル濃度の低い非イオン性コントラスト媒体ではなくイオジキサノールを使用した場合、コントラスト媒体によって誘起されるネフロパシーがハイリスク患者で発生しにくいことがあると結論づけている。
【0013】
患者集団のうち、ハイリスク患者と見なされる部分は増加しつつある。患者集団全体のためのインビボX線診断剤を絶えず改良する必要性に応えるため、造影剤誘起腎毒性(CIN)の点からも向上した性質を有するX線造影剤を発見しようという活動は絶えず存在している。
【0014】
コントラスト媒体の注入量をできるだけ少なく保つためには、高いヨウ素/ml濃度を有するコントラスト媒体を処方し、しかも媒体の重量オスモル濃度を低いレベル(好ましくは等張性未満又はその付近)に維持することが極めて望ましい。非イオン性単量体造影剤及び特にイオジキサノール(欧州特許出願公開第108638号)のような非イオン性ビス(トリヨードフェニル)二量体の開発は、低張性溶液で造影有効ヨウ素濃度を達成し得る低浸透圧毒性のコントラスト媒体をもたらし、さらにはコントラスト媒体Visipaque(商標)を所望の重量オスモル濃度に維持しながら血漿イオンの混入によるイオン不均衡の補正を可能にした(国際公開第90/01194号及び同第91/13636号)。
【0015】
商業的な高ヨウ素濃度のX線コントラスト媒体は、周囲温度で約15〜約60mPasの範囲内の比較的高い粘度を有する。一般に、コントラスト増強剤が二量体であるコントラスト媒体は、コントラスト増強剤が該二量体に対応する単量体である対応コントラスト媒体より高い粘度を有する。かかる高い粘度はコントラスト媒体の投与者にとって問題を引き起こすことがある。即ち、比較的大口径の注射針又は高い加圧力が必要とされ、これは小児科X線撮影並びに(例えば、血管造影に際して)急速なボーラス投与を要求するX線撮影技法において特に顕著である。
【0016】
連結基によって結合された2つの三ヨウ素化フェニル基を有する化合物を活性医薬品成分として含むX線コントラスト媒体は、通常、二量体造影剤又は二量体といわれる。数年の間に、多種多様のヨウ素化二量体が提唱された。関連する特許文献には、欧州特許第1186305号、同第686046号、欧州特許出願公開第108638号、同第0049745号、同第0023992号、国際公開第2003/080554号、同第2000/026179号、同第1997/000240号、同第92/08691号、米国特許第3,804,892号、同第4,239,747号、同第3,763,226号、同第3,763,227号及び同第3,678,152号がある。現在、活性医薬品成分としてヨウ素化非イオン性二量体を含む1種のコントラスト媒体が市場に出ており、それは化合物イオジキサノールを含む製品Visipaque(商標)である。また、イオン性二量体化合物イオキサグリック酸を含む配合物Hexabrix(商標)も市場に出ている。
【0017】
Dibra及びBraccoの国際公開第92/08691号は、対称又は非対称1,3−ビス[3−(モノ−又はポリ−ヒドロキシ)アシルアミノ−5−(モノ−又はポリ−ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ]ヒドロキシ又はヒドロキシアルキルプロパンを提唱し、これらの化合物を多数例示している。表1及び表2には、この特許明細書の実施例1〜実施例10の化合物に関する若干の試験結果が示されている。しかし、国際公開第92/08691号で製造された化合物のうち、開発されて市場に出たものは皆無である。
【0018】
したがって、上述した問題の1以上を解決する造影剤を開発したいという要望は今なお存在している。かかる造影剤は、理想的には、以下の性質、即ち腎毒性、重量オスモル濃度、粘度、溶解度、注入量/ヨウ素濃度及び減衰度/放射線量並びにこのようなヨウ素化化合物について知られ又は発見された追加の副作用の1以上に関し、市場にある可溶性のヨウ素含有化合物に比べて向上した性質を有するべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
米国特許出願公開第2004/198834号明細書
【発明の概要】
【0020】
本発明は、上述した基準、詳しくは腎毒性、重量オスモル濃度、粘度及び溶解度の1以上に関して所望の性質を有するコントラスト媒体として有用な化合物を提供する。かかるコントラスト媒体はヨウ素含有コントラスト増強化合物を含んでなり、この場合のヨウ素含有化合物は非対称リンカーによって結合された2つのヨウ素化フェニル基を含む化合物である。ヨウ素含有コントラスト増強化合物は、商業的に入手できかつ比較的安価な出発原料から合成できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の新規化合物、X線造影剤としてのその使用、その処方及び製造は、以後、添付特許請求の範囲及び本明細書中に詳述される。
【0022】
コントラスト増強化合物は、次の式(I)の合成化合物及びその塩又は光学活性異性体である。
【0023】
−CO−N(R)−(CRN(R)−R 式(I)
式中、
各Rは独立に同一又は異なるもので、水素原子、ヒドロキシル基、C〜C直鎖又は枝分れアルキル基或いはC〜C直鎖又は枝分れオキシアルキル基を表し、
は水素原子或いはC〜C直鎖又は枝分れアルキル基を表し、
はアシル部分を表し、
及びRは独立に同一又は異なるもので、三ヨウ素化フェニル基、好ましくはさらに3位及び5位において2つのR基で置換された2,4,6−三ヨウ素化フェニル基を表し、ここで各Rは同一又は異なるもので、式(I)の化合物中の少なくとも1つのR基が親水性部分であることを条件にして水素原子又は非イオン性の親水性部分を表し、
nは1〜6の正の整数を表す。
【0024】
上記式(I)中、各R基は好ましくは水素原子及び/又はヒドロキシル基を表す。さらに好ましくは、R基は異なるもので、最も好ましくは、一方のRが水素原子を表し、
他方のRがヒドロキシル基を表す。
【0025】
基は好ましくは水素原子又はメチル基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
【0026】
基は好ましくは式−CO−R(式中、Rは1〜4のヒドロキシル部分で任意に置換されたC〜C直鎖又は枝分れアルキル基を表す。)の基を表す。さらに好ましくは、Rは式−CHO、−COCH、−COCH−OH及び−CO−CHOH−CH−OHのアシル基のいずれかを表し、最も好ましくは、Rはホルミル又はアセチル残基を表す。
【0027】
nは好ましくは2〜5の整数を表し、最も好ましくは、nは3である。
【0028】
式(I)の化合物中の2つのヨウ素化R及びR基の各々は、同一又は異なるものであってよく、好ましくはさらにフェニル部分の残りの3位及び5位において2つのR基で置換された2,4,6−三ヨウ素化フェニル基を表す。
【0029】
さらに好ましくは、R基とR基とは異なるものであり、その各々が2,4,6位においてヨウ素で置換されたアミノフタル酸の残基であって、Rはカルボニル基を介して架橋要素−CO−N(R)−(CR−N(R)−に結合しており、Rはさらに式−N(R)−CO−Rを有する一方のR基及び式−CO−N(R)を有する他方のR基を含んでいる。Rはアミン基を介して架橋要素−CO−N(R)−(CR−N(R)−に結合しており、Rはさらに式−CO−N(R)を有する2つのR基を含んでいる。
【0030】
、R、R及びRの一般的意味及び特定の意味は、下記R部分の定義から明らかであろう。
【0031】
非イオン性の親水性部分Rは、水溶性を高めるために通常使用される任意の非イオン化基であり得る。したがって、R置換基は同一又は異なるものであってよく、好ましくはすべてが、エステル、アミド及びアミン部分を含み、任意にはさらに直鎖又は枝分れC1−10アルキル基、好ましくはC1−5アルキル基で置換され、アルキル基は1以上のCH又はCH部分が酸素又は窒素原子で置き換えられていてもよい非イオン性の親水性部分を表すものとする。R置換基はまた、さらにオキソ、ヒドロキシル、アミノ又はカルボキシル誘導体並びにオキソ置換硫黄及びリン原子から選択される1以上の基を含んでいてもよい。直鎖又は枝分れアルキル基の各々は、好ましくは1〜6のヒドロキシ基、さらに好ましくは1〜3のヒドロキシ基を含んでいる。したがって、さらに好ましい態様では、R置換基は同一又は異なるもので、ポリヒドロキシC1−5アルキル、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルコキシアルキル及び炭素原子数1〜5のヒドロキシポリアルコキシアルキルであり、アミド結合又はカルバモイル結合(好ましくはアミド結合)を介してヨウ素化フェニル基に結合している。
【0032】
以下に示す式のR基が特に好ましい。
−CONH−CH−CH−OH、
−CONH−CH−CHOH−CH−OH、
−CON(CH)CH−CHOH−CHOH、
−CONH−CH−(CH−OH)
−CON−(CH−CH−OH)
−CONH
−CONHCH
−NHCOCHOH、
−N(COCH)H、
−N(COCH)−C1−3アルキル、
−N(COCH)−モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1−4アルキル、
−N(COCHOH)−水素、モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1−4アルキル、
−N(CO−CHOH−CHOH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1−4アルキル、
−N(CO−CHOH−CHOH−CHOH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1−4アルキル、
−N(COCHOH)
−CON(CH−CHOH−CH−OH)(CH−CH−OH)、
−CONH−C(CH−OH)、及び
−CONH−CH(CH−OH)(CHOH−CH−OH)。
【0033】
さらに好ましくは、R基は同一又は異なるもので、式−CONH−CH−CHOH−CH−OH、−CON(CH)CH−CHOH−CHOH、−CONH−CH−(CH−OH)、−CON−(CH−CH−OH)、−CON(CHOH−CH−OH)(CH−CHOH)、−NH−COCHOH、−NH−CO−CHOH−CHOH及び−NH−CO−CHOH−CHOH−CHOHを有する1以上の部分を表す。
【0034】
好ましい構造は次の式(II)のものである。
【0035】
【化1】

式(II)中、Rは−CH−OH、−CHOH−CH−OH又はCHOH−CHOH−CH−OH部分を表し、RはH、−CH、−CH−CH−OH又は−CH−CH(OH)−CH−OHを表し、R及びRの各々は同一又は異なるもので、H、−CH、−CH−CH−OH又は−CH−CH(OH)−CH−OHを表し、Rはホルミル又はアセチル残基を表す。
【0036】
さらに一段と好ましくは、Rは−CH−OH、−CHOH−CH−OH部分を表し、Rは水素原子を表し、R及びRの各々は同一又は異なるもので、水素原子、−CH−CH−OH又は−CH−CH(OH)−CH−OHを表す。
【0037】
かくして、本発明に係る好ましい構造には、以下の式(IIIa)〜(IIIe)の化合物がある。
【0038】
【化2】

【0039】
【化3】

市販のヨウ素化コントラスト媒体に関する通常の濃度である320mg/mlのヨウ素濃度では、式(I)の化合物の濃度は約0.42M(モル濃度)である。コントラスト媒体はこのヨウ素濃度では低い重量オスモル濃度を有し、これはコントラスト媒体の腎毒性に関して有利な特性である。国際公開第90/01194号及び同第91/13636号に説明されているような心血管効果を低下させるため、コントラスト媒体に電解質を添加することも可能である。
【0040】
式(I)の化合物はまた、光学活性異性体も含んでおり、キラル炭素原子に原因する複数の異性形態で存在し得る。加えて、かかる化合物は、バルキーなヨウ素原子の近接によって引き起こされるアミド結合の回転の制限に原因するエキソ/エンド異性を示す。鏡像異性体として純粋な生成物及び光学異性体の混合物の両方が含まれる。
【0041】
本発明の化合物は造影剤として使用でき、通常のキャリヤー及び賦形剤と配合することで診断用コントラスト媒体を製造できる。
【0042】
したがって、さらに別の側面から見れば、本発明は、上述した式(I)の化合物を1種以上の生理学的に許容されるキャリヤー又は賦形剤と共に(例えば、任意には血漿イオン又は溶存酸素を添加した注射用の水溶液として)含んでなる診断用組成物を提供する。
【0043】
本発明の造影剤組成物は、そのまま使用できる濃度を有していてもよいし、或いは投与に先立って希釈する濃縮物の形態であってもよい。一般に、そのまま使用できる形態の組成物は100mgI/ml以上、好ましくは150mgI/ml以上のヨウ素濃度を有し、300mgI/ml以上(例えば、320mgI/ml)の濃度が好ましい。ヨウ素濃度が高くなるほど、コントラスト媒体のX線減衰度としての診断価値は高くなる。しかし、ヨウ素濃度が高くなるほど、組成物の粘度及び重量オスモル濃度は高くなる。通常、所定のコントラスト媒体に関する最大ヨウ素濃度は、コントラスト増強剤(例えば、ヨウ素化化合物)の溶解度並びに粘度及び重量オスモル濃度に関する許容限界によって決定される。
【0044】
注射又は輸液によって投与されるコントラスト媒体に関しては、周囲温度(20℃)での溶液の粘度に関する所望上限は約30mPasである。しかし、50〜60mPasまで、さらには60mPasを越える粘度も許容できる。例えば血管造影操作に際してボーラス注射で投与されるコントラスト媒体に関しては、浸透圧毒性効果を考慮しなければならず、好ましくは重量オスモル濃度を1Osm/kg HO未満、好ましくは850mOsm/kg HO未満、さらに好ましくは約300mOsm/kg HOにすべきである。
【0045】
本発明の化合物を用いれば、かかる粘度、重量オスモル濃度及びヨウ素濃度目標値を満足させることができる。実際、低張溶液を用いて有効ヨウ素濃度を達成できる。したがって、ボーラス注射後の不均衡効果に由来する毒性の寄与を低減させるため、血漿陽イオンの添加によって溶液の張度を補うことが望ましい場合がある。かかる陽イオンは、国際公開第90/01194号及び同第91/13636号に提唱された範囲内で含めることが望ましい。
【0046】
特に、すべてのヨウ素濃度に関して血液と等張なコントラスト媒体を得るためにナトリウム及びカルシウムイオンを添加することが望ましくかつ達成可能である。血漿陽イオンは生理学的に許容される対イオン(例えば、塩化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭酸水素イオンなど)との塩として供給できるが、好ましくは血漿陰イオンが使用される。
【0047】
式(I)の化合物を含むコントラスト媒体は、注射又は輸液によって(例えば、血管内投与によって)投与できる。別法として、式(I)の化合物を含むコントラスト媒体を経口投与することもできる。経口投与のためには、コントラスト媒体はカプセル、錠剤又は液剤の形態を有し得る。
【0048】
さらに別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を含んでなる診断剤及び式(I)の化合物を薬学的に許容されるキャリヤー又は賦形剤と共に含んでなる診断用組成物を提供する。かかる診断剤及び組成物は、好ましくはX線診断で使用するためのものである。
【0049】
したがって、本発明はさらに、式(I)の化合物を含んでなる診断剤及び診断用組成物の、X線造影検査における使用、並びにX線造影剤として使用するための診断用組成物の製造における式(I)の化合物の使用を包含する。
【0050】
また、式(I)の化合物をヒト又は動物の身体に投与する段階、診断装置で身体を検査する段階、及び検査からのデータをコンパイルする段階を含んでなる診断方法も提供される。かかる診断方法では、式(I)の化合物を身体に予め投与することもできる。
【0051】
さらに、イメージング方法、特にX線イメージング方法であって、式(I)の化合物をヒト又は動物の身体に投与する段階、診断装置で身体を検査する段階、検査からのデータをコンパイルする段階、及び任意にはデータを解析する段階を含んでなるイメージング方法が提供される。かかるイメージング方法では、式(I)の化合物を身体に予め投与することもできる。
【実施例】
【0052】
製造
一般式(I)の化合物は、当業技術で公知である出発原料、或いは商業的に入手できるか又は商業的に入手できる材料から容易に製造できる出発原料から多段階方法によって合成できる。
【0053】
式(I)及び式(II)の化合物は、下記スキーム(1)の一般手順に従って合成できる。
【0054】
【化4】

トリヨードアレーン(1)を(Aldrich社から入手できる)tert−ブチル−N−(2−オキシラニルメチル)カルバメート(2)と反応させる。モノマーの第一アミンの脱保護によって所望の遊離アミン(3)が得られるが、これを(4)のような各種のアシルクロリドと反応させることができる。最後に、完全な脱保護によって所望の二量体(II)が得られるはずである。
【0055】
中間体の製造:
製法A
5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタロイルジクロリドをジメチルアセトアミド(DAMc)に溶解し、効率的に撹拌しながらアセトキシアセチルクロリド(2eq)のDMAc溶液をゆっくりと添加した。反応混合物を一晩撹拌し、翌日に混合物を撹拌氷水中にゆっくりと注ぎ込んだ。沈殿を濾別して乾燥することで所望の物質を得た。
【0056】
この手順に従い、各種の化合物を製造できる。かかる化合物には、特に限定されないが下記のものがある。
【0057】
酢酸(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル)メチルエステル
【0058】
【化5】

NMRによって構造を確認した。H NMR(CDCl,300MHz):10.43(br s,1H)、4.71(s,2H)、2.11(s,3H)。
【0059】
酢酸2−アセトキシ−1−(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル)エチルエステル
【0060】
【化6】

NMRによって構造を確認した。H NMR(CDCl,300MHz):10.45(br s,1H)、4.49−4.30(m,3H)、2.13(s,6H)。
【0061】
酢酸2,3−ジアセトキシ−1−(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル)プロピルエステル
【0062】
【化7】

NMRによって構造を確認した。H NMR(CDCl,300MHz):8.08(br s,1H)、5.75−5.50(m,2H)、4.49−4.10(m,2H)、2.29(s,3H)、2.11(s,3H)、2.09(s,3H)。
【0063】
製法B
前段階からのビス−酸塩化物を乾燥フラスコ内において窒素雰囲気下でDMACに溶解した。トリエチルアミン(2eq)を溶液に添加し、直後に3−メチルアミノプロパン−1,2−ジオール(2eq)を添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を濃縮乾固し、残留物をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製することで所望の生成物を得た。
【0064】
この手順に従い、上記式(4)の各種化合物を製造できる。かかる化合物には、特に限定されないが下記のものがある。
【0065】
酢酸{3−クロロカルボニル−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)メチルカルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステル
【0066】
【化8】

NMRによって構造を確認した。H NMR(DMSO−D6,300MHz):10.4(br s,1H)、4.70(s,2H)、3.89−3.83(m,1H)、3.75−3.67(m,1H)、3.51−3.42(m,2H)、3.25−3.15(m,1H)、2.85(s,3H)、2.15(s,3H)。
【0067】
酢酸2−アセトキシ−1−{3−クロロカルボニル−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)メチルカルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}エチルエステル
【0068】
【化9】

NMRによって構造を確認した。H NMR(DMSO−D6,300MHz):10.4(br s,1H)、4.70−4.65(m,3H)、3.89−3.83(m,1H)、3.75−3.67(m,1H)、3.51−3.42(m,2H)、3.25−3.15(m,1H)、2.85(s,3H)、2.15(s,6H)。
【0069】
酢酸2,3−ジアセトキシ−1−{3−クロロカルボニル−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)メチルカルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}プロピルエステル
【0070】
【化10】

NMRによって構造を確認した。H NMR(DMSO−D6,300MHz):10.4(br s,1H)、5.63−5.60(m,2H)、4.40−4.05(m,2H)、4.0−2.60(m,2H)、3.46(m,2H)、3.30−3.05(m,1H)、2.85(s,3H)、2.26(s,3H)、2.08(s,3H)、2.02(s,3H)。
【0071】
製法C
酢酸(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル)メチルエステル(20g、25.5mmol)を乾燥DMA(100mL)に溶解し、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタナミン(6.62ml、51mmol)を添加した。反応物を窒素下において室温で24時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、氷水(50ml×3)及びブラインで洗浄した。有機物を集め、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて褐色の油状物を得た。これをペトロール:酢酸エチルで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製することで、酢酸{3−クロロカルボニル−5−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステル(13.85g、17.5mmol)をピンク色の固体として得た。
【0072】
この手順に従い、上記式(4)の各種化合物を製造できる。かかる化合物には、特に限定されないが下記のものがある。
【0073】
酢酸{3−クロロカルボニル−5−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステル
【0074】
【化11】

質量分析及びNMRによって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C1818ClN[M+H]に関する計算値791.520、実測値790.84。H NMR(DMSO;300MHz)δ=10.35−10.15(m,1H,NH)、9.03−8.87(m,1H,NH)、4.70(s,2H)、4.25(m,1H)、4.07(m,1H)、3.79(m,1H)、3.50−3.10(m,2H)、2.15(s,3H)、1.36(s,3H)、1.23(s,3H)。
【0075】
酢酸2−アセトキシ−1−[3−クロロカルボニル−5−(2,3−ジヒドロキシプロピルカルバモイル)−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル]エチルエステル
【0076】
【化12】

質量分析及びNMRによって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C2122ClN[M+H]に関する計算値863.594、実測値862.75。H NMR(CDCl;300MHz)δ=6.39(s,br,1H,NH)、5.63(s,br,1H,NH)、4.64(m,1H)、4.50(m,1H)、4.35(m,1H)、3.78−3.65(m,2H)、3.42(m,1H)、2.28(d,3H)、2.08(s,3H)、(s,3H)、1.43(s,3H)、1.33(s,3H)。
【0077】
製法D
Aldrich社から容易に入手できる5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタル酸(50g、89.5mol)を50℃の濃硫酸(200ml)にゆっくりと溶解した。次いで、得られた紫色の溶液を、40〜50℃の温度を維持しながらホルムアルデヒド(38重量%、100ml)に滴下した。溶液を50℃で2時間撹拌し、次いで放冷した。混合物を氷水(3L)上に注ぎ、固体を濾過によって集め、50℃の真空オーブン内で7日間乾燥することで、2,4,6−トリヨード−5−メチルアミノイソフタル酸(55.3g)を得た。質量分析(ESI)m/z:[M+H]=574.36。13C NMR(DMSO;300MHz)δ=169.84、152.75、149.44、90.49、80.00、35.55。
【0078】
2,4,6−トリヨード−5−メチルアミノイソフタル酸(50g、87.3mmol)を塩化チオニル(275ml、1.41mol)及びDMF(1ml)中で70℃で72時間撹拌した。塩化チオニルを減圧下で除去し、得られた固体を酢酸エチル(400ml)と氷水(200ml)との間で分配した。有機層を集め、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。生成物をペトロール:酢酸エチルで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製することで、2,4,6−トリヨード−5−メチルアミノイソフタロイルジクロリド(30.93g、50.7mmol)を得た。
【0079】
この手順に従い、各種の化合物を製造できる。かかる化合物には、特に限定されないが下記のものがある。
【0080】
2,4,6−トリヨード−5−メチルアミノイソフタロイルジクロリド
【0081】
【化13】

NMRによって構造を確認した。13C NMR(DMSO;300MHz)δ=169.42、154.03、149.85、89.82、75.23、35.58。
【0082】
製法E
2,4,6−トリヨード−5−メチルアミノイソフタロイルジクロリド(20g、32.8mmol)をDMA(60ml)に溶解し、アセトキシアセチルクロリド(15.32ml、142mmol)を添加した。反応混合物中に窒素を吹き込みながら、反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を氷水(300ml)上にゆっくりと注ぎ、白色の固体を濾過によって単離した。固体を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した。酢酸エチルを集め、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて白色の固体を得た。これをペトロール:酢酸エチルで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製することで、酢酸[(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニル)メチルカルバモイル]メチルエステル(16.25g、22.9mmol)を得た。
【0083】
この手順に従い、各種の化合物を製造できる。かかる化合物には、特に限定されないが下記のものがある。
【0084】
酢酸[(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニル)メチルカルバモイル]メチルエステル
【0085】
【化14】

質量分析及びNMRによって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:[M+H]=710.73。H NMR(CDCl;300MHz)δ=4.32(s,2H)、3.26(s,3H)、2.13(s,3H)。13C NMR(CDCl;300MHz)δ=170.11、165.19、151.89、147.88、95.91、84.21、62.39、34.17、20.47。
【0086】
製法F
酢酸[(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニル)メチルカルバモイル]メチルエステル(16.25g、22.9mmol)及び3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール(4.42ml、45.8mmol)をDMA(80ml)中で室温で72時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(150ml)で希釈し、氷水/ブライン(50:50、20ml×3)で洗浄した。有機物を集め、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。生成物をDCM:メタノールで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製することで、酢酸({3−クロロカルボニル−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)メチルカルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニル}メチルカルバモイル)メチルエステル(5.42g、6.96mmol)を得た。
【0087】
この手順に従い、上記式(4)の各種化合物を製造できる。かかる化合物には、特に限定されないが下記のものがある。
【0088】
酢酸({3−クロロカルボニル−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)メチルカルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニル}メチルカルバモイル)メチルエステル
【0089】
【化15】

質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:[M+H]=778.72。
【0090】
製法G
N−(ヒドロキシエチル)アミノ−2,3−プロパンジオール
【0091】
【化16】

商業的に入手できるグリシドール(0.17mol、11ml)を0℃で撹拌エタノールアミン(1eq、1.4mol、84.3ml)に滴下した。滴下完了後、反応物を一晩撹拌しながら室温まで放温した。次いで、生成物を蒸留した(最初に60℃及び1トルでエタノールアミンが留出し、170℃及び1トルで所望の生成物が留出した)。生成物は透明な油状物として得られたが、これを冷却すると透明で粘稠なシロップとなった(0.122mol、収率=72%)。
【0092】
NMRによって構造を確認した。13C NMR(DO;300MHz)δ=50.21、50.86、60.36、64.20、70.63。H NMR(DO;300MHz)δ=2.55−2.75(m,4H)、3.45−3.7(m,4H)、3.75−3.85(m,1H)。
【0093】
製法H
2−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)アミノ]エタノール
【0094】
【化17】

N−(ヒドロキシエチル)アミノ−2,3−プロパンジオール(16.5g、122mmol)をHClのジオキサン溶液(33.5ml、134mmol)で処理した。この溶液に2,2−ジメトキシプロパン(15.3g、147mmol)、DMAC(50mL)及び触媒量のp−トルエンスルホン酸(0.006mol、1.16g)を添加した。混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、トリエチルアミン(1mL)を添加し、回転蒸発によって溶媒を除去した。粘稠な粗混合物をトリエチルアミン(30mL)及び酢酸エチル(500mL)に溶解し、RTで30分間撹拌した。混合物を濾過し、集めた固体を酢酸エチルで数回洗浄した。次いで、濾液を高真空ロータリーエバポレーター上で40℃で蒸発させることで黄色の液体を得た(0.122mol、99%収率)。
【0095】
NMRによって構造を確認した。H NMR(DO;300MHz)δ=1.40(s,3H)、1.46(s,3H)、2.75−2.8(m,4H)、3.7−3.75(m,3H)、4.17(dd,1H)、4.37(dd,1H)。
【0096】
製法I
酢酸2−アセトキシ−1−{3−クロロカルボニル−5−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}エチルエステル
【0097】
【化18】

酢酸2−アセトキシ−1−(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル)エチルエステル(20g、0.026mol)を無水DMAC(20mL)に溶解した氷冷溶液に、2−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)アミノ]エタノール(4.6g、0.026mol)をDMAC(20mL)に溶解した溶液を滴下し、次いでトリエチルアミン(約3g)を添加した。混合物を室温で24時間撹拌し、次いで氷水(0.75リットル)上に注いだ。白色の沈殿が生じた。これを集め、冷水で洗浄した。次いで、濾過ケークを酢酸エチルに溶解し、ブラインで洗浄した。有機物を集め、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。生成物を、石油エーテル/酢酸エチルで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーによって精製した。80%酢酸エチルで接近して溶出する2つのピークをNMR及び質量分析によって分析したところ、両者が所望の物質を含むことがわかった。分析後にこれらを合わせることで所望の生成物を得た(10mmol、収率=38%)。
【0098】
質量分析及びNMRによって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C2326ClI10[M+H]に関する計算値906.64、実測値906.93。H NMR(CDCl;300MHz)δ=1.33(2s,3H)、1.45(2s.3H)、2.02(s,3H)、2.26(s,3H)、3−3.5(m,4H)、3.5−3.9(m,3H)、3.9−4.3(m,2H)、4.5(m,1H)、4.6−4.8(m,2H)、5.62(NH一重線,1H)。
【0099】
この手順に従い、上記式(4)の各種化合物を製造できる。かかる化合物には、特に限定されないが下記のものがある。
【0100】
酢酸{3−クロロカルボニル−5−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)−(2−ヒドロキシエチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステル
【0101】
【化19】

質量分析及びNMRによって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C2022ClI[M+H]に関する計算値834.57、実測値834.93。H NMR(CDCl;300MHz)δ=1.33(2s,3H)、1.48(2s.3H)、2.26(s,3H)、3−3.5(m,3H)、3.5−4.3(m,5H)、4.4(m,1H)、4.76(1H NH)。
【0102】
製法J
(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0103】
【化20】

2−アミノ−1,3−プロパンジオール(5.0g、54.9mmol)を乾燥THF(175ml)に溶解し、トリエチルアミン(7.7ml)を添加した。溶液を氷浴中で冷却し、ジ−tert−ブチルカーボネート(11.98g、54.9mmol)を15分かけて少しずつ添加した。溶液を周囲温度に放温し、90分間撹拌した。溶媒を除去させ、水(250ml)を添加し、生成物を酢酸エチル(4×125ml)中に抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。生成物を熱酢酸エチル−ペトロール(1:3)からの再結晶により単離することで、光沢のあるフレーク5.18g(49%収率)を得た。
【0104】
NMRによって構造を確認した。H NMR(300MHz,CDCl):1.44(s,9H)、3.08−3.17(m,1H)、3.61−3.84(m,4H)。
【0105】
製法K
酢酸3−アセトキシ−2−tert−ブトキシカルボニルアミノプロピルエステル
【0106】
【化21】

(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.0g、26.1mmol)をピリジン(50ml)に溶解し、無水酢酸(50ml)を添加した。溶液を周囲温度で24時間撹拌したところ、TLCは出発材料が残留しないことを示した。溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチル(120ml)に溶解し、希塩酸(3×50ml)、重炭酸ナトリウム溶液(50ml)及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させることで、無色の油状物を得た(7.2g、99%収率)。
【0107】
NMRによって構造を確認した。H NMR(300MHz,CDCl):1.42(s,9H)、2.05(s,6H)、4.00−4.20(m,4H)、4.76−4.88(m,1H)。
【0108】
製法L
2−アセトキシ−1−アセトキシメチル−エチルアンモニウムトリフルオロアセテート
【0109】
【化22】

酢酸3−アセトキシ−2−tert−ブトキシカルボニルアミノプロピルエステル(7.2g)をトリフルオロ酢酸(40ml)に溶解し、周囲温度で撹拌した。初めは急速な泡立ちが起こり、1時間後に停止したが、そこで揮発分を減圧下で除去することで、生成物を粘稠な油状物として定量的収量で得た。
【0110】
NMRによって構造を確認した。H NMR(300MHz,CDCl):2.12(s,9H)、3.83−3.91(m,1H)、4.27−4.46(m,4H)。
【0111】
製法M
酢酸3−アセトキシ−2−[3−(2−アセトキシアセチルアミノ)−5−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ]プロピルエステル
【0112】
【化23】

2−アセトキシ−1−アセトキシメチル−エチルアンモニウムトリフルオロアセテート(2.0g、6.92mmol)をトリエチルアミン(2ml、15.8mmol)と共にジメチルアセトアミド(30ml)に溶解した溶液に、酢酸(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル)メチルエステル(4.82g、6.92mmol)を添加した。溶液を40℃で18時間加熱し、次いで60℃で4時間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(350ml)で希釈し、氷水(4×50ml)及びブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、酢酸エチル及びペトロール溶離剤を使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製することで、生成物を白色の固体泡状物として得た(1.11g、38%収率)。
【0113】
質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C1918ClI[M+H]に関する計算値834.53、実測値834.84。
【0114】
製法N
(5−アミノ−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−5−イル)メタノール
【0115】
【化24】

トリス塩酸塩(51g、324mmol)を乾燥DMF(100ml)中に懸濁し、2,2−ジメトキシプロパン(39g、374mmol)を添加し、次いでp−トルエンスルホン酸(2.6g、13.5mmol)を添加した。混合物を密封フラスコ内において周囲温度で18時間撹拌したところ、透明な溶液が生じた。トリエチルアミン(2.5ml)を添加し、溶媒を蒸発させた。粘稠な粗材料をトリエチルアミン(40ml)に溶解し、酢酸エチル(750ml)を添加し、30分間撹拌した後にアンモニウム塩の白色沈殿を濾別した。濾液を蒸発させることで、生成物を無色の液体として約85%の収率で得た。
【0116】
NMRによって構造を確認したH NMR(300MHz,CDCl):1.38(s,3H)、1,41(s,3H)、3.48(s,2H)、3.53(d,2H)及び3.77(d,2H)。
【0117】
製法O
酢酸[3−クロロカルボニル−5−(5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−5−イルカルバモイル)−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル]メチルエステル
【0118】
【化25】

(5−アミノ−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−5−イル)メタノール(9.5g、58.9mmol)をジメチルアセトアミド(100ml)に溶解し、トリエチルアミン(2ml)を添加した。酢酸(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル)メチルエステル(21.0g、30.2mmol)を添加し、混合物を窒素下において60℃で24時間加熱した。冷却後、酢酸エチル(1.21)を添加し、溶液を氷水(4×120ml)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させて粗生成物を得た。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、純生成物を白色の固体として得た(8.32g、34%収率)。
【0119】
質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C1920ClI[M+H]に関する計算値820.546、実測値818.89。
【0120】
製法P
4−ジベンジルアミノブタン−1,2,3−トリオール
【0121】
【化26】

これは欧州特許第675105号に従って製造した。
【0122】
製法Q
2−ジベンジルアミノ−1−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)エタノール及び{5−[(ジベンジルアミノ)メチル]−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル}メタノールを混合物として製造した。
【0123】
【化27】

4−ジベンジルアミノブタン−1,2,3−トリオール(10.0g、33.2mmol)を乾燥DMF(10ml)及びメタノール(30ml)に溶解し、ジオキサン中の塩化水素(11ml、4N)を添加した。15分後、メタノール及び過剰の塩化水素を減圧下での蒸発によって除去した。ジメトキシプロパン(4.0g、38.4mmol)及びp−トルエンスルホン酸(触媒量)を添加し、混合物を周囲温度で18時間撹拌した。トリエチルアミン(0.5ml)を添加し、溶媒を減圧下で除去した。残留物はトリエチルアミン(4〜5ml)に溶解しなかったので、酢酸エチル(150ml)を添加し、固形分を濾別した。濾液を蒸発させることで、粗生成物を油状物として得た。シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、精製された生成物混合物を8.18g(72%)の合計収量で得た。
【0124】
質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C2127NO[M+H]に関する計算値341.454、実測値324.08。
【0125】
製法R
酢酸{3−クロロカルボニル−5−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−2−ヒドロキシエチルカルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステル及び酢酸{3−クロロカルボニル−5−[(5−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステルを混合物として製造した。
【0126】
【化28】

2−ジベンジルアミノ−1−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル)エタノール及び{5−[(ジベンジルアミノ)メチル]−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル}メタノールの混合物(2.32g、14.4mmol)をジメチルアセトアミドに溶解し、トリエチルアミン(4ml、28.8mmol)を添加し、次いで酢酸(3,5−ビス−クロロカルボニル−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル)メチルエステル(10.0g、14.4mmol)を添加した。混合物を40℃で24時間撹拌し、次いで冷却し、酢酸エチル(150ml)で希釈し、氷水(4×30ml)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させることで、粗生成物を固体泡状物として得た。シリカゲル上のクロマトグラフィーにより、純生成物を白色の固体泡状物として得た(4.9g、42%収率)。
【0127】
質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C1920ClI[M+H]に関する計算値820.546、実測値818.88。
【0128】
製法S
5−アセチルアミノ−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
【0129】
【化29】

これは米国特許第5,705,692号に従って製造した。
【0130】
製法T
5−[アセチル−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
【0131】
【化30】

水/tBuOH(2:1、8mL:10mL)及びKOH(0.73g、13mmol、1.2eq)の撹拌溶液に、5−アセチルアミノ−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(8.1g、11mmol)を40℃で添加した。次いで、透明な溶液にホウ酸(0.47g、8mmol、0.7eq)を添加した。混合物を室温に冷却し、pHをKOHでpH12.6〜13.0に調整した。t−ブチルn−(2−オキシラニルメチル)カルバメート(0.996g、8mmol、0.7eq)を添加し、pHを数回測定し、12.6〜13.0に調整した。混合物を週末中撹拌した。次いで、pH4になるまでHCl水溶液を添加した。反応混合物を蒸発乾固した。生成物をMeOH/水で溶出するC18カラムクロマトグラフィーにより精製することで、5−[アセチル−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミドを得た(2.09mmol、収率=19%)。
【0132】
質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C1927[M+H]に関する計算値820.162、実測値820.89。
【0133】
製法U
5−[アセチル−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]−N−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)−N’−(ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
【0134】
【化31】

5−[アセチル−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(14.6g、16mmol)を乾燥DMFに溶解した溶液に、2,2−ジメトキシプロパン(5mL、40mmol、2.5eq)を添加し、次いで触媒量のp−トルエンスルホン酸(0.15g、1mmol、0.06eq)を添加した。反応混合物を室温で週末中撹拌した。トリエチルアミン(1mL)を添加し、混合物を蒸発乾固した。粗混合物を精製せずに次の段階で使用した。
【0135】
質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C2535[M+H]に関する計算値900.293、実測値901.04。
【0136】
実施例1
5−{[3−(3−ヒドロキシメチルアミノ−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]アセチルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
【0137】
【化32】

5−[アセチル−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]−N−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)−N’−(ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド(2.0g、2mmol)をDMF(4mL)に溶解した溶液に、トリエチルアミン(0.45g、4mmol、2eq)を添加し、次いで酢酸{3−クロロカルボニル−5−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステル(1.85g、2mmol、1eq)を添加した。反応混合物を窒素下において室温で一晩撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機物を集め、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。生成物を酢酸エチル/MeOHで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製することで、酢酸{3−[3−(アセチル{3,5−ビス[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニル}アミノ)−2−ヒドロキシプロピルカルバモイル]−5−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステルを得た(725μmol、収率=33%)。
【0138】
質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C435215[M+H]に関する計算値1654.351、実測値1655.10。
【0139】
酢酸{3−[3−(アセチル{3,5−ビス[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニル}アミノ)−2−ヒドロキシプロピルカルバモイル]−5−[(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)カルバモイル]−2,4,6−トリヨードフェニルカルバモイル}メチルエステル(1.2g、725μmol)をMeOH/2M HCl(1:1、5mL:5mL)中で1時間還流させた。次いで、反応物を濃縮乾固し、粗物質をR−HPLCにより精製することで所望の生成物を得た。
【0140】
質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C323214[M+H]に関する計算値1492.118、実測値1493.11。
【0141】
この手順に従い、上記式(II)の各種化合物を製造できる。かかる化合物には、特に限定されないが下記のものがある。
【0142】
実施例2
5−{[3−(3,4−ジヒドロキシエチルアミノ−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]アセチルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
【0143】
【化33】

質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C334015[M+H]に関する計算値1522.144、実測値1522.69。
【0144】
実施例3
5−{[3−(3−ヒドロキシメチルアミノ−5−[N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]アセチルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
【0145】
【化34】

質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C344215[M+H]に関する計算値1536.171、実測値1536.72。
【0146】
実施例4
5−{[3−(3,4−ジヒドロキシエチルアミノ−5−[N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]アセチルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
【0147】
【化35】

質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C354416[M+H]に関する計算値1566.198、実測値1566.69。
【0148】
実施例5
5−{[3−(3−ヒドロキシメチルアミノ−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]ホルミルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド
【0149】
【化36】

質量分析によって構造を確認した。質量分析(ESI)m/z:C313614[M+H]に関する計算値1477.6、実測値1478.7。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I)の化合物及びその塩又は光学活性異性体。
−CO−N(R)−(CR−N(R)−R 式(I)
式中、
各Rは独立に同一又は異なるもので、水素原子、ヒドロキシル基、C〜C直鎖又は枝分れアルキル基或いはC〜C直鎖又は枝分れオキシアルキル基を表し、
は水素原子或いはC〜C直鎖又は枝分れアルキル基を表し、
はアシル部分を表し、
及びRは独立に同一又は異なるもので、三ヨウ素化フェニル基、好ましくはさらに3位及び5位において2つのR基で置換された2,4,6−三ヨウ素化フェニル基を表し、ここで各Rは同一又は異なるもので、式(I)の化合物中の少なくとも1つのR基が親水性部分であることを条件にして水素原子又は非イオン性の親水性部分を表し、
nは1〜6の正の整数を表す。
【請求項2】
各R基が水素原子及び/又はヒドロキシル基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
一方のRが水素原子を表し、他方のRがヒドロキシル基を表す、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
基が水素原子又はメチル基を表す、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
基が水素原子を表す、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
基が式−CO−R(式中、Rは1〜4のヒドロキシル部分で任意に置換されたC〜C直鎖又は枝分れアルキル基を表す。)の基を表す、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
が式−CHO、−COCH、−COCH−OH及び−CO−CHOH−CH−OHのアシル基のいずれかを表す、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
がホルミル又はアセチル残基を表す、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
nが2〜5の整数を表す、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
nが3である、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
各Rが同一又は異なるもので、エステル、アミド及びアミン部分を含み、任意にはさらに直鎖又は枝分れC1−10アルキル基、好ましくはC1−5アルキル基で置換され、アルキル基は1以上のCH又はCH部分が酸素又は窒素原子で置き換えられていてもよい非イオン性の親水性部分であり、さらにオキソ、ヒドロキシル、アミノ又はカルボキシル誘導体並びにオキソ置換硫黄及びリン原子から選択される1以上の基を含んでいてもよい非イオン性の親水性部分を表す、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
直鎖又は枝分れアルキル基の各々が好ましくは1〜6のヒドロキシ基を含む、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
直鎖又は枝分れアルキル基の各々が好ましくは1〜3のヒドロキシ基を含む、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
置換基が同一又は異なるもので、ポリヒドロキシC1−5アルキル、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルコキシアルキル及び炭素原子数1〜5のヒドロキシポリアルコキシアルキルであり、アミド結合又はカルバモイル結合を介してヨウ素化フェニル基に結合している、請求項11乃至請求項13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
基が以下の式の基のいずれかである、請求項11乃至請求項13のいずれか1項記載の化合物。
−CONH−CH−CH−OH、
−CONH−CH−CHOH−CH−OH、
−CON(CH)CH−CHOH−CHOH、
−CONH−CH−(CH−OH)
−CON−(CH−CH−OH)
−CONH
−CONHCH
−NHCOCHOH、
−N(COCH)H、
−N(COCH)−C1−3アルキル、
−N(COCH)−モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1−4アルキル、
−N(COCHOH)−水素、モノ、ビス又はトリス−ヒドロキシC1−4アルキル、
−N(CO−CHOH−CHOH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1−4アルキル、
−N(CO−CHOH−CHOH−CHOH)−水素、モノ、ビス又はトリヒドロキシル化C1−4アルキル、
−N(COCHOH)
−CON(CH−CHOH−CH−OH)(CH−CH−OH)、
−CONH−C(CH−OH)、及び
−CONH−CH(CH−OH)(CHOH−CH−OH)。
【請求項16】
各R基が同一又は異なるもので、式−CONH−CH−CHOH−CH−OH、−CON(CH)CH−CHOH−CHOH、−CONH−CH−(CH−OH)、−CON−(CH−CH−OH)、−CON(CHOH−CH−OH)(CH−CHOH)、−NH−COCHOH、−NH−CO−CHOH−CHOH及び−NH−CO−CHOH−CHOH−CHOHを有する1以上の部分を表す、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
基とR基とが異なるものであり、その各々が2,4,6位においてヨウ素で置換されたアミノフタル酸の残基であって、Rはカルボニル基を介して架橋要素−CO−N(R)−(CR−N(R)−に結合しており、Rはさらに式−N(R)−CO−Rを有する一方のR基及び式−CO−N(R)を有する他方のR基を含み、Rはアミン基を介して架橋要素−CO−N(R)−(CR−N(R)−に結合しており、Rはさらに式−CO−N(R)を有する2つのR基を含み、式中のR、R、R及びRは上記に定義した通りであり、R、R、R及びRはRに関して定義した通りである、請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
次の式(II)を有する、請求項1乃至請求項17のいずれか1項記載の化合物。
【化1】

式中、Rは−CH−OH、−CHOH−CH−OH又はCHOH−CHOH−CH−OH部分を表し、RはH、−CH、−CH−CH−OH又は−CH−CH(OH)−CH−OHを表し、R及びRの各々は同一又は異なるもので、H、−CH、−CH−CH−OH又は−CH−CH(OH)−CH−OHを表し、Rはホルミル又はアセチル残基を表す。
【請求項19】
以下の化合物から選択されるものである、請求項1乃至請求項18のいずれか1項記載化合物。
5−{[3−(3−ヒドロキシメチルアミノ−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]アセチルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド、
5−{[3−(3,4−ジヒドロキシエチルアミノ−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]アセチルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド、
5−{[3−(3−ヒドロキシメチルアミノ−5−[N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]アセチルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド、
5−{[3−(3,4−ジヒドロキシエチルアミノ−5−[N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]アセチルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド、及び5−{[3−(3−ヒドロキシメチルアミノ−5−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノカルボニル]−2,4,6−トリヨードベンゾイルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル]ホルミルアミノ}−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−2,4,6−トリヨードイソフタルアミド。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載式(I)の化合物を含んでなる診断剤。
【請求項21】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の式(I)及び式(II)の化合物を薬学的に許容されるキャリヤー又は賦形剤と共に含んでなる診断用組成物。
【請求項22】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の式(I)及び式(II)の化合物を薬学的に許容されるキャリヤー又は賦形剤と共に含んでなるX線診断用組成物。
【請求項23】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の式(I)及び式(II)の化合物を含む診断剤及び診断用組成物の、X線造影検査における使用。
【請求項24】
X線造影剤として使用するための診断用組成物の製造における、請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の式(I)及び式(II)の化合物の使用。
【請求項25】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の式(I)及び式(II)の化合物をヒト又は動物の身体に投与する段階、診断装置で身体を検査する段階、及び検査からのデータをコンパイルする段階を含んでなる診断方法。
【請求項26】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の式(I)及び式(II)の化合物を予め投与した身体を診断装置で検査する段階、及び検査からのデータをコンパイルする段階を含んでなる診断方法。
【請求項27】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の式(I)及び式(II)の化合物をヒト又は動物の身体に投与する段階、診断装置で身体を検査する段階、検査からのデータをコンパイルする段階、及び任意にはデータを解析する段階を含んでなるイメージング方法。
【請求項28】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の式(I)及び式(II)の化合物をヒト又は動物の身体に投与する段階、X線診断装置で身体を検査する段階、検査からのデータをコンパイルする段階、及び任意にはデータを解析する段階を含んでなるX線イメージング方法。

【公表番号】特表2011−504939(P2011−504939A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542542(P2010−542542)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065042
【国際公開番号】WO2009/060021
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】