説明

連結された濾材プリーツ群

連結された濾材プリーツ群アセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
空気中の微粒子物質は、多くの場合、望ましくない(例えば、呼吸に対して刺激的、又は装置の性能を妨害する)。したがって、気流及びガス流から、幾分又は全部の微粒子物質を長期間にわたり除去する必要がある。例えば、HVAC(暖房、換気及び空調)の空気、航空機の機内換気、クリーンルームの換気、電動式車両のエンジン又は発電機器への空気、ガスタービンに向けられるガス流、及びさまざまな燃焼炉への気流は、絶え間なく濾過するか別の方法で除去することが必要な微粒子物質を含む場合が多い。
【0002】
効率とは、濾材が微粒子を通過させずに捕捉する性向である。一般に、より大きい粒子は、より小さい粒子より高い効率で捕捉され、効率性試験ではいくつかの粒子サイズが使用され得る。ある用途において、小さい粒子を高い効率で除去することが望ましい場合がある。濾材は、気流又はガス流中に配置され、その流れの流量をある程度制限する。これは通常、フィルターの(上流から下流側への)圧力降下として測定される。濾材の低い圧力降下は、望ましい場合がある。例えば、より低い圧力降下は、HVACシステムを作動させるより少ないエネルギー使用量をもたらし得る。一般に、初期圧力降下(即ち、清浄な濾材の圧力降下)は、濾材の圧力降下性能の測定に使用される。一般的に言えば、濾材の効率が増大するにつれ、圧力降下が増大する。濾材は、効率/圧力降下のトレードオフの観点から、性能を最適化するように設計され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
所望の又は改良された濾過効率、並びに初期圧力降下を提供する更なるフィルターデザインが、継続的に必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本開示は、少なくとも2つ(例えばいくつかの実施形態では、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又は更には少なくとも8つ)の濾材プリーツ群を有する、連結された濾材プリーツ群アセンブリを提供する。各濾材プリーツ群は、長手方向の軸線を有し、かつ折り目を有する複数の長手方向のプリーツを有する。各プリーツは、谷部及び頂部を有する。各濾材プリーツ群は、ある厚さと、プリーツの折り目に直交して方向付けられた2つの終端部とを有する。各濾材プリーツ群の長手方向の軸線は、隣接する各濾材プリーツ群の長手方向の軸線に対して実質的に非平行な方向に配置される。各濾材プリーツ群の少なくとも1つの終端部は、隣接する濾材プリーツ群の終端部と継ぎ目で組み立てられ、少なくとも1つの:
(a)継ぎ目は、1つの濾材プリーツ群のプリーツが、隣接する濾材プリーツ群のプリーツと交互配置され、1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する頂部に対して入れ子となり、1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの谷部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する谷部に対して入れ子となり、1つのプリーツ群内の各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部と重なり合う、構造を有し、又は
(b)継ぎ目は、隣接する濾材プリーツ群の終端部の少なくとも一部分が相補的な角度にて留め継ぎされ、かつ接合関係に組み立てられた、構造を有する。
【0005】
いくつかの実施形態において、継ぎ目は、少なくとも1つの側部バンド部材を更に有する。いくつかの実施形態において、継ぎ目は、留め継ぎされた隣接する濾材プリーツ群間に配置された接着剤を更に有する。
【0006】
いくつかの実施形態において、連結された濾材プリーツ群アセンブリは、少なくとも2つの継ぎ目を備え、少なくとも1つの継ぎ目は、1つの濾材プリーツ群のプリーツが、隣接する濾材プリーツ群のプリーツと交互配置され、1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する頂部に対して入れ子となり、かつ1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの谷部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する谷部に対して入れ子となり、かつ1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部と重なり合う、構造を有し、少なくとも1つの継ぎ目は、隣接する濾材プリーツ群の終端部が相補的な角度にて留め継ぎされかつ接合関係に組み立てられた、構造を有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、連結された濾材プリーツ群アセンブリは、各濾材プリーツ群の継ぎ目を覆って配置された枠部材を更に有する。いくつかの実施形態において、各継ぎ目は、接着剤材料(例えば、ホットメルト接着剤)中に埋め込まれる。
【0008】
一対の入れ子となり又は留め継ぎされたプリーツ群は継ぎ目を提供し、この継ぎ目は継ぎ目の長さに直交する寸法を有し、この寸法は従来の継ぎ目で形成された継ぎ目の対応する寸法よりも小さい。その結果、入れ子となり又は留め継ぎされたプリーツ群を、より大きい枠開口部を有するフィルター枠に密封することが可能であり、このフィルター(枠+濾材)は改善された圧力降下性能を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本明細書に記載する連結された濾材プリーツ群の終端部の部分斜視図。
【図2】図1のプリーツの部分端面図。
【図3】図1の連結された2つの濾材プリーツ群の部分平面図。
【図4】接着剤材料中に埋め込まれた、図1のプリーツの継ぎ目の部分平面図。
【図5】本明細書に記載する別の連結濾材プリーツ群の、終端部の部分斜視図。
【図6】図5のプリーツの部分端面図。
【図7】図5の連結された2つの濾材プリーツ群の部分平面図。
【図8】接着剤材料中に埋め込まれた、図5のプリーツの継ぎ目の部分平面図。
【図9】本明細書に記載する連結された2つの濾材プリーツ群の、別の実施形態の部分平面図。
【図10】本明細書に記載する連結された2つの濾材プリーツ群の、さらに別の実施形態の部分平面図。
【図11】本明細書に記載する、フィルター枠及び連結された濾材プリーツ群、を有する、フィルターの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜4を参照すると、例示的な連結された濾材プリーツ群アセンブリ10が示される。連結された濾材プリーツ群アセンブリ10は、濾材プリーツ群20a、20bを備え、各濾材プリーツ群20a、20bは、長手方向の軸線30a、30bを有し、かつ折り目42a、42bを有する複数の長手方向のプリーツ40a、40bを有する。各プリーツは、(プリーツ群20aに関して谷部44a、プリーツ群20bに関して谷部44bに示すような)谷部及び(プリーツ群20aに関して頂部46a、プリーツ群20bに関して谷部46bに示すような)頂部を有する。各濾材プリーツ群は、厚さ22a、22bと、折り目42aに直交して方向付けられた終端部24a、25a、24b、25bとを有する。各濾材プリーツ群の長手方向の軸線は、隣接する各濾材プリーツ群の長手方向の軸線に対して実質的に非平行な方向に配置され、各濾材プリーツ群の少なくとも1つの終端部は、隣接する濾材プリーツ群の終端部と継ぎ目50で組み立てられる。継ぎ目50は、1つの濾材プリーツ群のプリーツが、隣接する濾材プリーツ群のプリーツと交互配置され、1つのプリーツ群(例えば20a)内の各プリーツの頂部(例えば44a)が、隣接する濾材プリーツ群(例えば20b)の対応する頂部(例えば46a)に対して入れ子となり、1つの濾材プリーツ群(例えば20a)内の各プリーツの谷部(例えば46a)が、隣接する濾材プリーツ群(例えば20b)の対応する谷部(例えば46b)に対して入れ子となり、1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部(例えば44a)が、隣接する濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部(例えば44b)と継ぎ目50に沿って重なり合う、構造を有する。各継ぎ目50は、接着剤材料60(例えば、ホットメルト接着剤)中にてフィルター枠58まで所望により埋め込まれる。充分な接着剤材料60が、実質的にフィルター枠58をプリーツ群20a、20bに密封し、それにより、例えば空気ダクト内での使用時に、空気がプリーツ群の周囲から漏れず、微粒子が濾材により除去されることが、一般に望ましい。
【0011】
図5〜8を参照すると、例示的な連結された濾材プリーツ群アセンブリ110が示される。連結された濾材プリーツ群アセンブリ110は、濾材プリーツ群120a、120bを備える。各濾材プリーツ群120a、120bは、長手方向の軸線130a、130bを有し、かつ折り目142a、142bを有する複数の長手方向のプリーツ140a、140bを有する。各プリーツは、谷部144a及び頂部146aを有する。各プリーツは、プリーツ群の側部バンド222(例えば、ホットメルト接着剤)を所望により有し、ひだ付け工程及びその後の製造工程中に、プリーツ群に付加的な安定性を提供する。図示されないが、いくつかの実施形態では、側部バンドを谷部(1つ又は複数)を覆うように延ばして、プリーツ群の入れ子を容易にし、プリーツ群間の改善された密封を提供する、ことが望ましい場合がある。各濾材プリーツ群は、厚さ122a、122bと、折り目142a、142bに直交して方向付けられた終端部124a、125a、124b、125bとを有する。各濾材プリーツ群の長手方向の軸線は、隣接する各濾材プリーツ群の長手方向の軸線に対して実質的に非平行な方向に配置され、各濾材プリーツ群の少なくとも1つの終端部は、隣接する濾材プリーツ群の終端部と継ぎ目150で組み立てられる。継ぎ目150は、隣接する濾材プリーツ群の終端部の少なくとも一部分が、相補的な角度Θ、Θにて留め継ぎ125a、125bされ、接合関係に組み立てられた、構造を有する。所望により、各継ぎ目150は、接着剤材料160(例えば、ホットメルト接着剤)中にてフィルター枠158まで埋め込まれる。充分な接着剤材料160がフィルター枠158をプリーツ群120a、120bまで実質的に密封し、それにより、例えば、空気ダクト内での使用時に、空気がプリーツ群の周囲から漏れず、微粒子が濾材により除去される、ことが一般に望ましい。
【0012】
図2及び3を参照すると、所望により、プリーツ群は、ひだ付け及びその後の製造工程中にプリーツ群に対して付加的な安定性を提供するために、プリーツ群の終端部25a、25bに沿って(しかし所望により又は代替的に24a、24b上に存在してもよいが)、プリーツ群の材料224a、224b(例えば、ホットメルト接着剤)の側部バンドを含んでもよい。側部バンド224a、224b(これらは、その他の構造を見えなくし得るため、図1に示されない)は、プリーツ群継ぎ目50の一部又は全部の密封を提供してもよい。あるいは、例えば、側部バンド224a、224bは、継ぎ目50を密封するために、接着剤及びその他の可撓性の、形成された材料(例えば、不織布材料)を含む、追加材料配置のための全部又は一部の位置を提供してもよい。
【0013】
所望により、フィルター1120a、1120bの一部は、図9に示すように留め継ぎされてもよく、それはまた、終端部1125a(1225a)、1125b(1225b)(しかし、所望により又は代替的に1124a、1124b上に存在してもよい)、所望による接着剤材料1230、所望による埋め込み接着剤1160及び所望によるフィルター枠1158に沿って、所望による側部バンド1224a、1224bをも示す。側部バンド222aはまた、図6に示される。
【0014】
あるいは、例えば所望による材料2156は、隣接する濾材プリーツ群2120a、2120bの留め継ぎされた終端部2125aと終端部2125bとの間に配置してもよく、かつ所望により接着剤材料2159a、2159bは、材料2156と組み合わせて又は材料2156と組み合わせずに使用して、継ぎ目2150に密封を形成してもよい。材料2156は、例えば、多孔質又は非多孔質プラスチック、金属、不織布材料、フィルム、及びスクリムであってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、連結された濾材プリーツ群アセンブリは、少なくとも2つ(いくつかの実施形態では、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、又は更には少なくとも7つ)の継ぎ目を備え、少なくとも1つ(いくつかの実施形態では、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、又は更には少なくとも7つ)の継ぎ目は、1つ(いくつかの実施形態では、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は更には少なくとも8つ)の濾材プリーツ群のプリーツが、隣接する濾材プリーツ群のプリーツと交互配置され、1つの濾材プリーツ群における各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する頂部に対して入れ子となり、1つの濾材プリーツ群における各プリーツの谷部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する谷部に対して入れ子となり、かつ1つの濾材プリーツ群における各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群における各プリーツの頂部と重なり合う、構造を有し、かつ少なくとも1つ(いくつかの実施形態では、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は更には少なくとも7つ)の継ぎ目は、隣接する濾材プリーツ群の終端部が相補的な角度にて留め継ぎされ接合関係に組み立てられる、構造を有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、以下の範囲以外の重なり合いも有用であり得るが、1つの濾材プリーツ群のプリーツは、隣接する濾材プリーツ群のプリーツと、各濾材プリーツ群の厚さの10%〜99%(いくつかの実施形態では、20%〜99%、30%〜99%、40%〜99%、又は更には50%〜99%)の範囲内で重なり合う。
【0017】
いくつかの実施形態において、継ぎ目は、隣接する濾材プリーツ群の終端部の少なくとも一部分が、相補的な角度にて留め継ぎされ接合関係に組み立てられる、構造を有する。いくつかの実施形態において、継ぎ目は、隣接する濾材プリーツ群の留め継ぎされた終端部の間に配置された、少なくとも1つの側部バンド部材を更に有する。一般に、以下の範囲以外の角度も有用であり得るが、相補的な角度は、15°〜45°の範囲内(いくつかの実施形態では、15°〜60°、又は更には10°〜75°の範囲内)にある。いくつかの実施形態において、隣接する濾材プリーツ群の終端部の一部分は、相補的な角度にて留め継ぎされ、接合関係に組み立てられる(例えば、図9参照)。
【0018】
フィルター枠は、例えば、ポリマー樹脂、金属又はそれらの組み合わせから構成されてもよく、かつ、射出成形、押出し又は加工された、部品、若しくはそれらの任意の組み合わせ、を含んでもよい。枠の一部分用に、例えば不織布材料、スパンボンド材料及びスクリムのような、他の材料も有用であり得る。例えばさまざまなプリーツ深さ及びプリーツ間隔のプリーツのような、濾材を好適な形態に形成するための技術は、当技術分野にて公知である。フィルターアセンブリを、フィルター枠構成要素及び濾材を組み立てることによりさまざまな形体に作る方法はまた、当技術分野にて公知である。更に、いくつかの実施形態において、所望のフィルター枠は、本願と同一の日に出願された、米国特許出願第61/016,096号(代理人整理番号63921US002)に記載されるようなものであってもよい。
【0019】
濾材をフィルター枠部材に密封し又は埋め込んで、濾材の周囲のガス(例えば、空気)の流れを低減又は防止することが望ましい可能性がある。いくつかの実施形態において、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤、硬化性接着剤(例えば、二液ウレタン))をこの目的に使用することができる。
【0020】
典型的に、偶数の濾材プリーツ群が使用される(例えば、2つ、4つ、6つ、又は8つ、等)。以下の範囲以外の厚さもまた使用することができるが、典型的には、濾材プリーツ群は、1cm〜10cmの範囲内(いくつかの実施形態では、2cm〜6cmの範囲内)の厚さを有する。
【0021】
濾材は、かような目的のために、ガラス繊維、合成繊維(ポリマー類)、天然繊維、及びそれらの組み合わせを含む、当技術分野にて公知の材料から形成されてもよい。2つの効率(例えば、きめ細かい繊維と粗い繊維)の2種の材料を備える複合濾材を含む、さまざまな効率の濾材は、当技術分野にて公知である。濾材の効率は、例えば、標準的な方法(例えばアメリカ暖房冷凍空調エンジニア学会(American Society of Heating, Refrigerating and Air Conditioning Engineers)(ASHRAE)52.2−1999試験標準規格「粒子サイズによる除去効率に関する一般的な換気空気清浄装置の試験方法(Method of Testing General Ventilation Air-Cleaning Devices for Removal Efficiency by Particle Size)」)により、測定してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、入れ子パラメータ(例えば、重なりの量)の選択、又は留め継ぎパラメータ(例えば、留め継ぎにより除去されるプリーツ群の量、又は留め継ぎ角度)の選択により、フィルター性能、特に圧力降下、を最適化することが望ましい、場合がある。濾材の厚さを考慮して、入れ子となったフィルター内の重なり合いを調整することが望ましい、場合がある。例えば、留め継ぎ又は入れ子の重なりにより枠寸法を調整することが望ましい、場合もある。
【0023】
本発明の利点及び実施形態は以降の実施例によって更に例示するが、これら実施例において列挙される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。全ての部及び割合は、特に指定のない限り重量によるものである。
【実施例】
【0024】
濾材ウェブ
ウェブ1
以下のようにウェブ1を調製した。ポリプロピレンベースのメルトブローンミクロ繊維(BMF)ウェブは、Industrial Engineering Chemistry,Vol.48,pages 1342 et seq(1956)のWente、「Superfine Thermoplastic Fibers」に一般に記載されるメルトブローイング工程を用いて調製した。押出成形機は、それぞれ204℃(400°F)、235℃(455°F)、257℃(495°F)、279℃(535°F)、288℃(550°F)、296℃(565°F)、310℃(590°F)、318℃(605°F)、321℃(610°F)及び327℃(620°F)に維持された10個の温度制御ゾーンを有した。押出成形機をダイに接続するフローチューブは、302℃(575°F)に維持された。BMFダイは、316℃(600°F)に維持された。一次空気は、321℃(610°F)及び24.8キロパスカル(kPa)(3.6psi)に維持され、間隙幅は0.076cmであった。ポリプロピレン樹脂はBMFダイから供給した。得られたウェブは、コレクタから33cm(13.0インチ)に位置付けられた有孔回転式ドラムコレクタ上で捕集した。コレクタドラムは、BMFウェブを捕集しながら所望により電源をオン又はオフにすることができる真空システムに接続し、それによって、真空がコレクタドラムに適用されたとき、より高い中実度のウェブを調製できるようにした。
【0025】
BMFウェブは、米国特許第5,496,507号(Angadjivand et al.)に実質的に記載されるようにハイドロチャージプロセスを用いて、約690kPaの水圧を用いて帯電した。
【0026】
得られたウェブ(即ち、ウェブ1)は、0.58mm厚さ、坪量29g/mを有し、繊維は有効径9.5マイクロメートルを有した。ウェブ効率は70%であり、圧力降下は、試験面積100cmの円形ウェブサンプルを、自動フィルター試験機(Type 8130;TSI,Incorporated,Minneapolis,MNから入手)を使用して、フタル酸ジオクチル(DOP)エアロゾルを用いて85リットル/分にて、試験したとき、15.7Pa(1.6mm H0)であった。
【0027】
ウェブ2
坪量10g/mを有するポリプロピレンスクリムに超音波結合された、坪量40g/mを有する、静電的に帯電され小繊維化された粗いポリプロピレン繊維は、以下のように調製した。
【0028】
静電的に帯電され小繊維化された粗いポリプロピレン繊維は、米国再発行特許第30782号(van Turnhout)の実施例1に記載されるように調製した。厚さ45マイクロメートル、幅5cmのイソタクチックポリプロピレンフィルムは、110℃に加熱したブロック(再発行特許第30780号(van Turnhout)の実施例1参照)上で1:6の比に延伸したが、引き続き第二の延伸は、プレート(再び、再発行特許第30780号(van Turnhout)の実施例1参照)ヒーター(heated)上で130℃に1:1.5の延伸比で行った。延伸中のフィルムの移送速度は、12.2m/分であった。第二の延伸中、フィルムは、−3.2KVに接続したコロナワイヤと、+3KVの上部プレートとの間を通過させることにより、帯電させた。コロナワイヤからプレートまでの距離は、5mmであった。
【0029】
得られたフィルムは、500マイクロメートル離間したニードルを有する60列のニードルローラーにより小繊維化した。帯電した小繊維は、約45cmに伸ばし、ローラー上で巻き上げ厚さ3mmの塊にした。小繊維化した繊維は、断面図で典型的平均寸法10×40マイクロメートルを有した。小繊維化した繊維の坪量は約40g/mであった。ウェブ2の厚さは約1.1mmであった。次に、小繊維化した繊維と、10g/mの坪量を有するスクリム層とを、米国特許公開第2004/0011204号(Both)の実施例2に記載されるように、同公開に記載されるような突出部を有する回転ドラムを備えた装置を使用して超音波連結した。得られたウェブの面積の約2%は、寸法0.81mm×0.81mmのウェブの主表面全体に広く分散された、超音波結合された点を有した。cm当たりの点の数は約2.3であった。得られた超音波連結されたウェブ上の静電荷は、約50nC/cmであった。
【0030】
プリーツ付き濾材
プリーツ付き濾材は、ウェブ1及びウェブ2から以下のように調製した。ウェブ(ウェブ1又はウェブ2)は、積層用接着剤(3M Company,St.Paul MNから商品表記「3M SUPER 77 MULTIPURPOSE ADHESIVE」で入手可能)を使用して、坪量90g/mを有するスパンボンドポリエステルスクリム(Johns−Manville,Denver,COから商品表記「568/90」(またJ−90とも称される)で入手可能)上に積層した。
【0031】
積層した濾材は、従来のひだ付け技術を用いて、プリーツ深さ(図3及び図7の22a、22b、122a、122b参照)2.54cm、プリーツ間隔5mmにてひだ付けした。ひだ付けした媒体は次いで、約28cm×55cmのプリーツ群に切り分けられ、プリーツ群の谷部及び頂部は、図3及び図7の長手方向の軸線30a、30b、130a、130bと平行に延びていた。
【0032】
試作フィルター
試作品の枠(図11の400)を以下ように部品から組み立てた。ポスターボード(厚めの厚紙)は、約50cm及び約57cmの長さと約28cmの深さとを有する台形に切った(公称61cm×61cm×30cmの4−V V−バンクフィルターアセンブリの端部450、451の形状及び寸法は、図11に示されたとおりである)。図4及び図8の押出ポリプロピレン枠部材58、158は、図11に枠部材401a、401b、401cとして、かつまた図11に402a、402b、402c、402dと名付けられる枠部材としても、より詳細に示され、幅5.72cm、4.13cm及び3.18cmにて構成した。8つの濾材プリーツ群は、各試作品を組み立てるのに使用したが、隣接するプリーツ群の各組を、前方枠寸法411a、411b、411c及び後方枠寸法412a、412b、412c、412d内に適合するのに必要な程度に、入れ子に組み込んでいる。前方枠の外縁420a、420bは、押出ポリプロピレンから形成され、かつ4.13mm(1.625インチ)の幅421a、421bを有した。枠部材が組み立てられ、プリーツ群は、ホットメルト接着剤(Bostik Adhesives,Wauwatosa,WIから商品表記「BOSTIK HM 9041」で入手)を使用して枠部材に密封した。
【0033】
公称61cm×61cm×30cm(24インチ×24インチ×12インチ)の4−V V−バンクのフィルターの初期圧力降下に関する試験。
【0034】
フィルター試作品を、アメリカ暖房冷凍空調エンジニア学会(American Society of Heating, Refrigerating and Air Conditioning Engineers)(ASHRAE)52.2−1999試験標準規格「粒子サイズによる除去効率に関する一般的な換気空気清浄装置の試験方法(Method of Testing General Ventilation Air-Cleaning Devices for Removal Efficiency by Particle Size)」によって試験した。
【0035】
清浄な公称61cm×61cm×30cmの4−V V−バンクのプリーツ付きフィルターは、テンプレートに密封し、公称61cm×61cmの試験ダクト内に設置した。1つの圧力センサー(MKS Instruments Inc.,Andover,MAから入手)は、試験ダクト内に位置する2つのタップと共に、1つをフィルターの上流側に、1つを下流側に、配置して、清浄フィルターの初期圧力降下を測定した。送風機からの気流供給は、層流エレメント(Merriam Instruments,Cleveland,OH;Model 50MC2−6から入手)により、55.8m/分(1970ft./分、CFM)に設定した。
【0036】
試作フィルター内で試験された、J−90に積層されたウェブ1を有するプリーツ付き濾材の結果は、下記表1に示す。入れ子の量は、図11に示すように、前方枠幅411a、411b、411c及び後方枠幅412a、412b、412c、412dを達成するよう調整されたが、これを下記表1に列挙する。
【0037】
【表1】

【0038】
比較例フィルターAは、J−90に積層されたウェブ1を有する、入れ子となっていないプリーツ付き濾材を用いて、同一の方法にて構成した。この構造に関する試験結果は、上記表1に示す。
【0039】
試作フィルター内で試験されたJ−90に積層されたウェブ2を有するプリーツ付き濾材の結果を、下記表2に示す。重ねの量は、図11に示し下記表2に列挙するように、前方枠幅411a、411b、411c及び後方枠幅412a、412b、412c、412dを達成するよう調整された。
【0040】
【表2】

【0041】
比較例フィルターBは、J−90に積層されたウェブ2を有する、入れ子となっていないプリーツ付き濾材を用いて、同一の方法にて構成した。結果は表2に示す。
【0042】
試作品の枠は、濾材を全く含まずに組み立てたが、枠寸法は図11に示す通りであり、前方枠寸法411a、411b、411c及び後方枠寸法412a、412b、412c、412dは下記表3に示した。
【0043】
【表3】

【0044】
比較例の試作品の枠C寸法は、プリーツ群の入れ子又は留め継ぎを有さない従来のフィルター構造内で使用されるものであり、プリーツ深さ2.54cmのプリーツ群用であり、枠の厚さに余裕を残し、小さい製作公差を可能にし、かつ2つの2.54cmプリーツ群が枠に取り付けられることを可能にする。試作品の枠3、4及び5は、さまざまな程度の入れ子又は留め継ぎに使用されるであろう寸法を有し、3.18cmはプリーツ深さ2.54cmの充分に入れ子となったプリーツ群と共に実際に使用可能なほぼ最小寸法であり、枠の厚さに余裕を残し、また小さい製作公差を可能にする。
【0045】
本発明の範囲及び趣旨から外れることなく、本発明の予測可能な修正及び変更は当業者には自明であろう。本発明は、例証目的のため本明細書に記載される実施形態に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの濾材プリーツ群を備える連結された濾材プリーツ群アセンブリであって、各濾材プリーツ群は長手方向の軸線を有し、かつ折り目を有する複数の長手方向のプリーツを有し、各プリーツが谷部及び頂部を有し、各濾材プリーツ群が、厚さと、前記プリーツの前記折り目に直交して方向付けられた2つの終端部とを有し、各濾材プリーツ群の前記長手方向の軸線が、各隣接する濾材プリーツ群の長手方向の軸線に対して実質的に非平行な方向に配置され、かつ各濾材プリーツ群の少なくとも1つの終端部が、隣接する濾材プリーツ群の前記終端部と継ぎ目で組み立てられ、少なくとも1つの:
(a)前記継ぎ目は、1つの濾材プリーツ群のプリーツが、隣接する濾材プリーツ群のプリーツと交互配置され、1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する頂部に対して入れ子となり、かつ1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの谷部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する谷部に対して入れ子となり、1つのプリーツ群内の各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部と重なり合う、構造を有し、又は
(b)前記継ぎ目は、隣接する濾材プリーツ群の終端部の少なくとも一部分が、相補的な角度にて留め継ぎされ、接合関係に組み立てられている、構造を有する、連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項2】
前記継ぎ目が、少なくとも1つの側部バンド部材を更に有する、請求項1に記載の連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項3】
前記継ぎ目が、隣接して留め継ぎされた濾材プリーツ群の間に配置された接着剤を更に有する、請求項1に記載の連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項4】
少なくとも2つの継ぎ目を備え、
少なくとも1つの継ぎ目は、1つの濾材プリーツ群のプリーツが、隣接する濾材プリーツ群のプリーツと交互配置され、1つの濾材プリーツ群における各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する頂部に対して入れ子となり、かつ1つの濾材プリーツ群における各プリーツの谷部が、隣接する濾材プリーツ群の対応する谷部に対して入れ子となり、かつ1つの濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部が、隣接する濾材プリーツ群内の各プリーツの頂部と重なり合う、構造を有し、かつ、
少なくとも1つの継ぎ目は、隣接する濾材プリーツ群群の終端部が相補的な角度にて留め継ぎされ、接合関係に組み立てられた、構造を有する、請求項1に記載の連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項5】
前記相補的な角度が10°〜75°の範囲内にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項6】
1つの濾材プリーツ群のプリーツが、隣接する濾材プリーツ群のプリーツと、各濾材プリーツ群の厚さの10%〜99%の範囲内で重なり合う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項7】
枠部材を更に含み、枠部材が各濾材プリーツ群の前記継ぎ目にわたって配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項8】
各継ぎ目が接着剤材料中に埋め込まれる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項9】
前記接着剤材料がホットメルト接着剤である、請求項8に記載の連結された濾材プリーツ群アセンブリ。
【請求項10】
枠部材と、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの連結された濾材プリーツ群アセンブリと、を備えるフィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−507684(P2011−507684A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539639(P2010−539639)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/086518
【国際公開番号】WO2009/085645
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】