説明

連結具

【課題】 使用時に鉤部を閉じた状態にして用いる連結具であって、何かの拍子に誤って鉤部が開放されて連結が外れてしまう不具合が発生しにくい構造の連結具を提供する。
【解決手段】
スライドバー25が鉤部11の先端面11aに当接した状態から離れて半開き状態になったときに把持部26が出入り自在な段差溝61,62がガイド溝23の左右両側に形成され、スライドバー25が鉤部11の先端面11aに当接している状態のときには把持部26が段差溝61,62に入らないようにガイド溝23に対する段差溝の形成される位置が定められ、段差溝61,62の軸方向の端部は軸部先端面12aに近い側が傾斜面、遠い側が直角面にして、不意の力が働いたときに直角面でスライドバーの移動を阻止し、スライドバーを戻すときは傾斜面で案内されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物体に取り付けられたリングやロープに引掛けて連結するための鉤部を備えた連結具に関し、さらに詳細には使用時に鉤部を閉じた状態にして用いる連結具に関する。
具体的には、例えば、犬等の動物の首輪や胴輪(ハーネス)に取り付けたリングに引き綱を繋ぐ際に使用する連結具、または、ショルダバックに対し肩掛け用のベルトを着脱する際に使用する連結具に関する。ここでいう連結具には、その形状によってはナス環と呼ばれるものもあるので、それらも含めて連結具と称する。
【背景技術】
【0002】
部材間を連結するときに、一方の部材に鉤部が形成された連結具を取り付けておき、他方の部材に取り付けられたリング等に対し、この連結具の鉤部を引掛けることで連結する方法が、いろいろな分野で利用されている。このような連結具では、使用中に鉤部の連結状態が容易に外れないようにするために、連結中は鉤部を閉じた状態にすることができる連結具が用いられている。
【0003】
例えば、図3は、犬の散歩用の引き綱を首輪に繋いだ状態を示す図である。引き綱51の先端部分には、C字状の鉤部11が形成された連結具50が取り付けられており、首輪52に取り付けられたリング53に対して鉤部11が着脱できるようにしてある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図4は、この連結具50の構造を示す斜視図である。連結具50は、C字状の鉤部11とこれに続く軸部12とが一体形成されたフック部材13と、引き綱51が係止される連結リング14とからなる。フック部材13の軸部12には、鉤部11とは反対側の軸端において、大径部15,16に挟まれた小径部17が形成してある。一方、連結リング14には貫通孔14aが形成してある。そして小径部17が貫通孔14a内に嵌められるとともに、大径部15,16が貫通孔14aを両側から挟むようにしてあり、これにより連結リング14が軸部12(フック部材13)に対し、回転自在に取り付けてある。
【0005】
軸部12には、軸方向に沿って、鉤部11に近い先端面12aに開口21を有する有底の穴22が形成してある。また軸部12には開口21から軸方向に沿ってガイド溝23が形成してある。さらに穴22の内部にはコイルバネ24と軸方向に沿って移動可能なスライドバー25とが挿入してあり、スライドバー25がコイルバネ24により付勢されることで、鉤部11の先端面11aにスライドバー25の先端が当接するようにしてある。
スライドバー25には凸状の把持部26が一体に形成してあり、把持部26はガイド溝23から穴22の外側に突出するように取り付けてある。
【0006】
この連結具50では、コイルバネ24の付勢力に抗して、把持部26を一時的に接続リング14側にスライドさせることにより、スライドバー25の先端面25aと鉤部11の先端面11aとが分離され、これらの間に間隙が形成される。
したがって、間隙が形成された状態で、首輪52(図3)のリング53を鉤部11に引掛けることにより、リング53と鉤部11(フック部材13)とを連結することができる。その後、再びスライドバー25の先端面25aを鉤部11の先端面11aに当接させ、鉤部11がスライドバー25で閉じられた状態で使用する。
【0007】
鉤部が形成された連結具は、鞄等においても広く使用されている(例えば特許文献2参照)。図5は、ショルダバックの肩掛け用のベルトに使用された連結具60を示す図である。この連結具60は、ナス環61と、ベルト62が係止される連結リング63とからなる。
連結リング63には貫通孔63aが形成してある。一方、ナス環61の基端には、大径部64,65に挟まれた小径部66が形成してある。そして小径部66が貫通孔63a内に嵌められるとともに、大径部64,65が貫通孔63aを両側から挟むようにしてあり、これにより連結リング63がナス環61(フック部材)に対し、回転自在に取り付けてある。
【0008】
ナス環61は、開口部67を有するナス環本体61aと、弾性部材で形成され開口部67を閉じるように、ナス環本体61aの先端61bに対し付勢するように取り付けられる係止片68とを備えている。
この連結具60では、付勢力に抗して係止片68を押圧することにより、係止片68とナス環本体61aの先端61bとが分離し、これらの間に間隙が形成される。したがって、間隙が形成された状態で、ショルダバッグ69の係止リング70を引掛けることで、リング70とナス環61(フック部材)とを連結することができる。その後は、ナス環本体61aが係止片68により閉じられた状態で使用する。
【0009】
上述した従来の連結具では、いずれも、他の部材と連結中はスライドバーや係止片等が作用して鉤部(ナス環)が閉じられるようにしてある。これらが正常に作動している限りは、安全に連結状態を保つことができる。
しかしながら、スライドバーや係止片を備えた連結具を使用した場合でも、誤って連結が解除されてしまうことがあった。
【0010】
例えば、図3、図4で説明したような犬の散歩用の引き綱に用いられている連結具50では、犬が動き回り、首輪のリング53が把持部26を押すような状態になることがある。そのような状態で、犬が引き続き不規則に動くと、何かの拍子に、スライドバー25が移動して間隙が形成され、リング53が外れてしまうことがあった。
同様の現象は、ショルダバッグ等の鞄に設けられた連結具(ナス環等)においても発生することがありえた。
【0011】
不意に鉤部が開放され連結状態が外れてしまう不具合が発生しにくい構造の連結具として、図4のガイド溝から分岐するロック溝を設けて把持部をロック溝に入れることにより、スライドバーの先端面と鉤部の先端面とが当接した状態でスライドバーの軸方向への移動ができないようにロックがかかるようにした連結具が提案されている(特許文献3参照)。
【0012】
図6は、ロック溝を設けた連結具を示す図であり、図3、図4で説明した内容と同じ部分については同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。この連結具70では、ガイド溝23から分岐して、軸部12の軸方向に垂直な方向の横溝32、および、横溝32から軸部12の先端側12aに向けて直角に屈曲する縦溝33からなるL字状のロック溝31が形成される。横溝32が形成される位置は、コイルバネ24に抗してスライドバー25を軸方向にスライドさせて、スライドバー25が鉤部11から離れたときに把持部26がくる位置となるようにしてある。これにより、一旦スライドバー25をスライドさせなければ横溝32に入れないようにすることで、把持部26が突発的に横溝32に入り込まないようにしてある。
【0013】
連結具70は、図6(a)に示した閉じた状態から図6(b)に示した半開き状態にして、把持部26をロック溝31の横溝32から縦溝33まで移動させる。図6(c)に示すように、把持部26が縦溝33に入った状態で、スライドバー25の先端面25aが鉤部11の先端面11aに当接し、ロック状態となる。ロック状態では、把持部26が縦溝33内で移動が制限される結果、半開き状態以上には開かないようになっている。
【0014】
連結状態を外れにくくした構造の他の連結具として、図6で示したロック溝の代わりに、スライドバーが閉じた状態で、ガイド溝の左右横に設けた段差溝に把持部が入り込んでロックがかかるようにした連結具が提案されている(特許文献4参照)。
【0015】
図7は段差溝を設けた連結具80を示す図であり、図3、図4で説明した内容と同じ部分については同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。
連結具80は、付勢部材24によってスライドバー25の先端面25aが鉤部11の先端面11aに当接している状態のときの把持部26の位置の左右に、段差溝61,62を設けるようにしてある。段差溝61と段差溝62とは、ガイド溝23を挟んで反対側に形成され、スライドバー25が回転したときに把持部26が段差溝61、段差溝62のいずれかに入ることになる。連結具80では、スライドバー25が閉じた状態のときは、把持部26の位置は、ガイド溝23の線上の位置で中立状態(すなわち不安定な状態)になっているのではなく、段差溝61、または、段差溝62のいずれかに入り、段差溝61、段差溝62の側壁に当った状態(安定な状態)で入っている。
【0016】
したがって、スライドバー25が閉じた状態で、把持部26が軸方向後方(連結リング14側)に押されたときにも、把持部26が段差溝61、または、段差溝62の後方の壁に当るので、軸方向に沿った後方への移動が制限され、誤って連結状態が解除されてしまう危険性を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2006−141205号公報
【特許文献2】特開平11−235223号公報
【特許文献3】特開2009−072080号公報
【特許文献4】国際公開WO2009/037793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前記特許文献3に記載するようなロック溝を設けた構成をとることにより、あるいは、前記特許文献4に記載するような段差溝を設けた構成をとることにより、不意に鉤部が開放され連結状態が外れてしまう不具合を防ぐことができる。
【0019】
しかしながら、ロック溝を設けた構造の連結具を製造するには、ガイド溝23からL字型に分岐するロック溝31(縦溝32と横溝32)を加工する必要があり、加工に手間を要する。
一方、スライドバー25が閉じた状態で、把持部26が入り込む段差溝61,62を設ける構成は、ガイド溝23に沿って浅い段差溝61,62を形成するだけであり、加工については比較的容易である。
しかしながら、スライドバー25を引いて鉤部11を解放状態にする場合、鉤部11の先端面11aにスライドバー25を当接させた状態から、把持部26をガイド溝23に沿って後方に引こうとすると、段差溝61,62で挟まれたガイド溝23の位置では、把持部26が段差溝61,62に入り込まないように中立状態を維持しつつ引くことが必要になる。このときの動作は、親指で把持部26を微調整しながら引くことになるが、把持部26が少しでも左右いずれかに偏ると、段差溝61,62に入ってしまって後方に引くことができなくなる。このときの微調整はかなり気を使うことになり、使用者に煩わしさを与えることとなっていた。
【0020】
そこで、本発明は、不意に鉤部が開放され連結状態が外れてしまう不具合が発生しにくい構造であり、しかも開放状態にするときの操作が簡単に行うことができる連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するためになされた本発明の接続具は、図1を参照しつつ説明すると、鉤部11と軸部12とが一体に形成されるとともに鉤部11の先端面11aが軸部12の先端面12aに対向するように形成されたフック部材13と、軸部12の先端面12aから軸方向に沿って形成された穴22に内蔵される付勢部材24と、付勢部材24により穴22から一部が押し出されることにより先端が鉤部11の先端面11aに当接するスライドバー25とを備え、さらに、軸部12の先端面12aから穴22に沿ってガイド溝23が形成され、スライドバー25の側面に把持部26が形成され、把持部26をガイド溝23の外側に突出させた状態でガイド溝23に沿ってスライドさせることによりスライドバー25の先端面25aと鉤部11の先端面11aとの間に間隙が形成される連結具であって、以下の特徴を有する。
すなわち、スライドバー25が鉤部11の先端面11aに当接した状態から離れて半開き状態になったときに把持部26が出入り自在な段差溝61,62がガイド溝23の左右両側に形成され、かつ、段差溝23はスライドバー25が鉤部11の先端面11aに当接している状態のときには把持部26が段差溝61,62に入らないように、ガイド溝23に対する段差溝の形成される位置が定められている。
【0022】
ここで、鉤部11の形状は、C字状やナス環状が好ましいが、連結対象物に取り付けられたリング等に対して連結できる形状であれば、他の形状であってもよい。
付勢部材24はコイルバネが好ましいが、スライドバー25に付勢力を与えることができれば特に限定されない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スライドバー25が鉤部11の先端面11aに当接した状態のときは、把持部26はガイド溝23に案内された状態になっているので、その位置から把持部26をまっすぐに後方に引くことができ、段差溝61,62の影響を受けることなく、スライドバー25を後方に移動することができ、その結果、スライドバー25を簡単に開放状態にすることができる。
一方、スライドバー25が鉤部11の先端面11aに当接し、把持部26がガイド溝23に入っている状態で、何かの拍子に、把持部26が軸方向に沿って押された場合は、通常は把持部26が軸方向だけではなく横方向にも押されるので、把持部26が段差溝61,62のいずれかに入り、軸方向の移動を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態である連結具の構造を示す斜視図。
【図2】図1の連結具を上から見た図。
【図3】従来からの連結具を用いた散歩用引き綱の使用状態を示す図。
【図4】従来からの連結具の構造を示す斜視図。
【図5】従来からの他の連結具の構造を示す斜視図。
【図6】従来からの他の連結具の構造を示す斜視図。
【図7】従来からの他の連結具の構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態を示す連結具1の斜視図であり、図2は連結具1を上から見た図である。図1(a)および図2(a)は通常状態、図1(b)および図2(b)はロック状態へ移行可能な状態、図1(c)および図2(c)は開放状態を示す。ここでは犬等の散歩用の引き綱に用いる連結具を例に説明を行うが、引き綱および連結リングの形状を変更すれば、ショルダバッグ等の鞄用の連結具としても、そのまま利用することができる。
【0027】
連結具1は、C字状の鉤部11および軸部12が一体形成されたフック部材13と、引き綱51が繋がれる連結リング14とからなる。フック部材13および連結リング14は鉄等の金属材料で形成される。あるいは、アルミ等のダイキャストや樹脂で形成するようにしてもよい。軸部12には、鉤部11とは反対側の軸端において、大径部15,16に挟まれた小径部17が形成してある。一方、連結リング14には貫通孔14aが形成してある。そして小径部17が貫通孔14a内に嵌められるとともに、大径部15,16が貫通孔14aを両側から挟むようにしてあり、これにより連結リング14が軸部12(フック部材13)に対し、回転自在に取り付けてある。
【0028】
軸部12には、軸方向に沿って、鉤部11に近い先端面12aに開口21を有する有底の穴22が形成してある。また軸部12には開口21から軸方向に沿って線状のガイド溝23が形成してある。さらに穴22の内部にはコイルバネ24と、軸方向に沿って移動可能な棒状のスライドバー25とが挿入してあり、スライドバー25がコイルバネ24により付勢されることで、鉤部11の先端面11aにスライドバー25の先端面25aが当接するようにしてある。
スライドバー25は、側面に凸状の把持部26が形成してあり、把持部26はガイド溝23から穴22の外側に突出するように取り付けてある。
【0029】
なお、スライドバー25を穴22に挿入する時点では、鉤部11の先端面11aが軸部12の先端面12aに対向する位置から外れた位置にくるようにしておき、スライドバーを挿入した後から、鉤部11の先端面11aと軸部12の先端面12aとが対向するように鉤部11を変形するようにしている。
【0030】
また、ガイド溝23の左右には、段差溝61,62がガイド溝23を挟んで対称に形成してある。段差溝61,62は、鉤部11の先端面11aに近い側の端部には傾斜面63,64が形成され、鉤部11の先端面11aから遠い側の端部には直角面65,66が形成されている。したがって、把持部26が段差溝61,62に入り込んだとき、後方(連結リング14側)に移動しようとしても直角面65,66に当接して移動が制限されるが、前方(鉤部11の先端面11a側)に移動しようとするときはそのままガイド溝23に案内されることになる。
【0031】
段差溝61,62を形成する軸方向の位置は、スライドバー25の先端が軸部11の先端面11aに当接している状態のときに、把持部26がガイド溝23から段差溝61,62に入れないように、傾斜面63,64の位置が調整されている。
具体的には、スライドバー25の先端が、先端面11aから0.5mm程度以上離隔したときに、把持部26が段差溝61,62に入り込めるように、傾斜面63,64が形成してある。
【0032】
また、把持部26が段差溝61,62に入った状態で、スライドバー25の先端面25aと鉤部11の先端面11aとの間隙が大きく開かないように、直角面65,66の位置が調整されている。具体的には、鉤部11を引っ掛けるリング等の太さに応じて、間隙が0.5mm〜5mm程度にしてあり、把持部26が段差溝61,62に入り込んで直角面65,66に当接した状態(半開き状態)で、リング等が外れない程度の間隙になるようにしてある。
【0033】
次に、連結具1を使用する際の動作について説明する。連結具1は、操作していないときに、図1(a)、図2(a)に示した通常状態になっている。
このとき、把持部26はガイド溝23に案内された状態にあり、段差溝61,62の影響を受けない位置にある。したがって、把持部26を親指でそのまままっすぐに後方(連結リング14側)にスライドさせるだけで、図1(c)、図2(c)に示すように鉤部11を開放状態にすることができる。そして、開放状態のときにリング等を鉤部11に係合させる。
【0034】
続いて、把持部26を親指から離すと、コイルバネ24による付勢力で、スライドバー25の先端が鉤部11の先端面11aに当接する位置に戻る。このとき、把持部26を回転する力が働くと、把持部26が段差溝61,62に入ることになるが、たとえ入ったとしても、傾斜面63,64によって把持部26がガイド溝23に戻るように案内されるので、段差溝61,62によってロックされることなく、通常状態に戻ることができる。
【0035】
次に、通常状態で使用中に、非人為的な力が働いて把持部26が後方に引かれた状態について説明する。一般に、不意に人為的な力以外の外力が働くときは、後方に向かう力とともに、把持部26を回転させる力が伴う。そのため、非人為的な力が働くと、把持部26は、左右いずれかの段差溝61,62に入り込むようになる。
把持部26が段差溝61,62に入った状態でさらに後方に向いた力が加わると、把持部26は直角面65,66に当接することとなり、それ以上、把持部26が後方に引かれないようになる。このとき、スライドバー25と先端面11aの間は半開き状態になるが、リング等の太さに合わせて間隙の大きさが最大でもリング等の太さ以下に制限してあるので、リング等が外れることはない。
【0036】
そして、後方に向いた力が消失すると、コイルバネ24の付勢力によってスライドバー25の先端が鉤部11の先端面11aに当接する位置に戻る。把持部26を回転する力が働くと、把持部26が段差溝61,62に入ることになるが、たとえ入ったとしても、傾斜面63,64によって把持部26がガイド溝23に戻るように案内されるので、段差溝61,62によってロックされることなく、通常状態に戻ることができる。
【0037】
このように、段差溝61,62とガイド溝23との位置関係を調整することによって、不意にスライドバー25が開放状態になることを防止するとともに、スライドバー25を開放状態にしたいときは、開放のための操作を容易に行えるようにすることができる。
そして、段差溝61,62はガイド溝23に沿って浅い溝を形成すだけでよいので加工も容易であり、それでいて不意に力がかかったときでも、確実にロックをかけることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上説明したように、本発明に係る連結具は、使用時に鉤部を閉じた状態にして用いる連結具として利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 連結具
11 鉤部
12 軸部
13 フック部材
14 連結リング
22 穴
23 ガイド溝
24 コイルバネ
25 スライドバー
26 把持部
61 段差溝(右)
62 段差溝(左)
63 傾斜面(右)
64 傾斜面(左)
65 直角面(右)
66 直角面(左)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉤部(11)と軸部(12)とが一体に形成されるとともに鉤部(11)の先端面(11a)が軸部(12)の先端面(12a)に対向するように形成されたフック部材(13)と、
軸部(12)の先端面(12a)から軸方向に沿って形成された穴(22)に内蔵される付勢部材(24)と、
前記付勢部材(24)により穴(22)から一部が押し出されることにより先端が鉤部(11)の先端面(11a)に当接するスライドバー(25)とを備え、
さらに、前記軸部(12)の先端面(12a)から前記穴(22)に沿ってガイド溝(23)が形成され、
前記スライドバー(25)の側面に把持部(26)が形成され、
前記把持部(26)を前記ガイド溝(23)の外側に突出させた状態でガイド溝(23)に沿ってスライドさせることによりスライドバー(25)の先端面(25a)と鉤部(11)の先端面(11a)との間に間隙が形成される連結具であって、
スライドバー(25)が鉤部(11)の先端面(11a)に当接した状態から離れて半開き状態になったときに把持部(26)が出入り自在な段差溝(61,62)が前記ガイド溝(23)の左右両側に形成され、
前記スライドバー(25)が鉤部(11)の先端面(11a)に当接している状態のときには把持部(26)が段差溝(61,62)に入らないように前記ガイド溝(23)に対する前記段差溝の形成される位置が定められ、
前記スライドバー(25)が鉤部(11)の先端面(11a)に当接している状態からスライドバー(25)が段差溝に入り込むまでの長さが0.5mmよりも大きいことを特徴とする連結具。
【請求項2】
把持部(26)が段差溝(61,62)に入った状態で、スライドバー(25)の先端面(25a)と鉤部(11)の先端面(11a)との間に形成される間隙の最大長さが0.5mm〜5mmである請求項1に記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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